説明

洗濯機

【課題】使用者がデモモード設定を容易に解除することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯物を投入する洗濯槽内に給水して洗濯を行う通常運転モードと、給水を停止して動作の実演を行うデモ運転モードとを有し、デモ運転モードの実行後に電源を停止して次回電源を投入した際にデモ運転モードが立ち上がる洗濯機において、デモ運転モードが立ち上がってから第1待機期間内(ステップ♯31)に所定の続行操作を行った場合にデモ運転モードを続行し、続行操作を行わない場合に通常運転モードに移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯物の洗濯を行う洗濯機に関し、特にデモ運転モードを有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に店頭での実演を目的としてデモ運転モードが電気機器に備えられており、デモ運転モードが設定された電気機器が特許文献1に開示される。特許文献1の空気調和機はデモ運転モードの設定内容を記憶するメモリと、再度電源投入時にメモリに記憶されたデモ運転モードを行うデモ運転モード手段とを備える。これにより、一度デモ運転モードを設定すると意識的に解除しない限り、次回電源投入時に再設定しなくてもデモ運転モードを起動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−89943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の空気調和機によると、デモ運転モードが設定された展示品を購入した使用者が家で最初に電源投入した時、デモ運転モードが起動する場合がある。このため、使用者が特殊な方法によりデモ運転モードの解除設定を行う必要があり、利便性が悪いことが問題であった。この問題は、同様のデモ運転モードを備える洗濯機において同様に問題となっていた。
【0005】
そこで、本発明は利便性を向上できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の洗濯機は、洗濯物を投入する槽内に給水して洗濯を行う通常運転モードと、給水を停止して動作の実演を行うデモ運転モードとを有し、前記デモ運転モードの実行後に電源を停止して次回電源を投入した際に前記デモ運転モードが立ち上がる洗濯機において、前記デモ運転モードが立ち上がってから第1待機期間内に所定の続行操作を行った場合に前記デモ運転モードを続行し、前記続行操作を行わない場合に前記通常運転モードに移行することを特徴とする。
【0007】
この構成によると、電源を投入後デモ運転モードが立ち上がった際に、所定時間無操作の状態が続くと通常運転モードに移行する。
【0008】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記通常運転モードは第1待機期間よりも長い第2待機期間内に何も操作が行われなかった際に電源を停止することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、洗濯コースの洗濯操作を行うコース選択部を設け、第1待機期間内で前記続行操作の前に前記コース選択部の操作を行った際に前記通常運転モードに移行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、洗濯の開始を指示するスタート指示部を設け、第1待機期間内で前記続行操作の前に前記スタート指示部の操作を行った際に前記通常運転モードに移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、電源を投入後、デモ運転モードが立ち上がってから所定時間無操作の状態が続くと通常運転モードに移行する。このため、使用者がデモ運転モードの設定解除を特別意識することなく行うことができる。従って、洗濯機の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る洗濯機を前方斜め上視点で示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る洗濯機の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る洗濯機の各工程の動作制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施形態に係る洗濯機を前方斜め上視点で示す斜視図である。
【0014】
洗濯機1は全自動型であり、直方体形状の外箱10を備えている。外箱10は略直方体に成形され、その上下は開放されている。外箱10の上側開放部は上面板11で覆われている。また、上面板11の前面側には洗濯機の操作を行う操作部71が設けられている。
【0015】
上面板11の中央部には洗濯機1内に洗濯物を投入するための出入口11aが開設されている。出入口11aはヒンジ部15aで枢支される蓋部15によって開閉される。蓋部15を上下に回動させて出入口11aを開閉することにより、脱水槽30に洗濯物を投入したり、脱水槽30から洗濯物を取り出すことができる。また、水槽(不図示)及び脱水槽30がともに上面が開口した有底筒状に形成され、各々軸線を垂直にして水槽を外側、脱水槽30を内側とする形で同心的に配置される。
【0016】
図2は洗濯機1の構成を示すブロック図である。制御部70にはモータ41、クラッチ・ブレーキ機構43、送風機50、ヒータ54、給水弁77、操作部71、表示部72、記憶部79が接続される。
【0017】
モータ41及びクラッチ・ブレーキ機構43は水槽の下面に取り付けられ、洗濯工程及び乾燥工程において脱水槽30を回転させる。給水弁77を介して給水口(不図示)が市水に接続され、給水弁77を開くことにより脱水槽30に給水する。送風機50及びヒータ54は脱水槽30内に温風を送出する。
【0018】
制御部70は記憶部79にあらかじめ格納されている制御プログラムを読み出して命令の解読および実行を行う。これにより、モータ41、クラッチ・ブレーキ機構43、送風機50、ヒータ54、給水弁77の駆動・停止を制御することができる。また、一時的に発生したデータは記憶部79に記憶する。記憶部79には通常運転モードの運転プログラム及びデモ運転モードの運転プログラムが記憶してある。なお、通常運転モードとは洗濯物を脱水槽30内に投入後、脱水槽30内に給水して洗濯を行うモードである。デモ運転モードとは給水を停止して動作の実演を行うモードである。
【0019】
表示部72は操作部71に設けられ、洗濯機1の操作画面や動作状態を表示する。操作部71には電源キー、スタートキー(スタート指示部)、コース選択キー(コース選択部)等各種操作ボタンを備えている。操作部71の入力により制御部70がプログラムの実行を行う。なお、電源キーは電源の投入を指示し、スタートキーは洗濯の開始を指示し、コース選択キーは洗濯コースの操作選択を行う。
【0020】
図3は本実施形態に係る洗濯機1の各工程の動作制御を示すフローチャートである。上記構成の洗濯機1において、通常運転モードと店頭での実演を目的とするデモ運転モードの運転プログラムは記憶部79に内蔵されている。
【0021】
電源を投入したとき、ステップ♯11では電源投入時にデモ運転モードを立ち上げるか否かを示すフラグFに1が記憶されているか否かが判断される。フラグFに1が記憶されている場合はステップ♯31に移行し、フラグFに1が記憶されてない場合はステップ♯12に移行する。即ち、フラグFが1のときにデモ運転モードが実行され、フラグFが0のときに通常運転モードが実行される。
【0022】
ステップ♯12では所定時間(例えば、電源投入後10分)が経過したか否かが判断される。所定時間が経過していない場合はステップ♯13で操作部71の操作が行われたか否かが判断される。操作部71の操作が行われていない場合はステップ♯12、ステップ♯13が繰り返し行われる。そして、所定時間が経過するとステップ♯25に移行し、所定時間内に操作部71の操作が行われるとステップ♯14に移行する。
【0023】
ステップ♯14では所定のデモ可能時間(例えば、電源投入後5分)が経過しているか否かが判断される。デモ可能時間が経過していなければステップ♯15に移行し、デモ可能時間が経過していればステップ♯21に移行する。ステップ♯14で判断するデモ可能時間はステップ♯12で判断する所定時間より短い。即ち、ステップ♯14で判断されるデモ可能時間をデモ運転モードへの移行期間とすると、デモ運転モード移行期間経過後はデモ運転モードへの移行が禁止され、通常運転モードの操作のみが受付けられる。
【0024】
ステップ♯15ではステップ♯13の操作がデモ運転モードを実行するのに予め設定されたボタン操作であるか否かが判断される。ボタン操作がデモ運転モードを実行するものであればステップ♯34に移行する。これにより、通常運転モードからデモ運転モードに切り替えられる。
【0025】
一方、ステップ♯13で行われたボタン操作が通常のコース選択等を目的とするする操作であってデモ運転モードを実行するものでないとステップ♯15で判断した場合、ステップ♯21に移行する。
【0026】
ステップ#21では電源キーによって電源オフの操作が行われたか否かが判断される。電源オフの操作が行われていない場合はステップ#22に移行する。ステップ#22ではスタートキーの操作によって洗濯開始の指示があったか否かが判断される。洗濯開始の指示がない場合はステップ#12に戻り、ステップ#12〜#22が繰り返し行われる。
【0027】
ステップ#22の判断で洗濯開始の指示があると、ステップ#23に移行する。ステップ♯23では使用者により入力された設定に従って、洗濯及び乾燥の通常運転が実行される。ステップ♯24では通常運転が終了するまで待機する。通常運転が終了するとステップ♯25に移行してフラグFに0が記憶される。これにより、デモ運転モードがオフであることが記憶部79に記憶され、ステップ#26に移行して電源が停止される。このとき、デモ運転モードがオフであることが記憶されており、次回電源投入時に通常運転モードが立ち上がる。
【0028】
なお、ステップ#21の判断によって電源オフの操作が行われた場合及びステップ#12の判断によって所定時間が経過した場合、ステップ♯25に移行してフラグFに0が記憶され、ステップ♯26で電源が停止される。
【0029】
一方、ステップ♯11でフラグFに1が記憶されている場合、ステップ♯31に移行してデモ運転モードが立ち上がる。ステップ#31ではデモ運転モードが立ち上がってから所定時間(例えば、電源投入後2秒)が経過したか否かが判断される。所定時間が経過していない場合は、ステップ#32でスタートキーの操作が行われたか否かが判断される。スタートキーの操作が行われていない場合は、ステップ#33でコース選択キーの操作が行われたか否かが判断される。
【0030】
コース選択キーの操作が行われていない場合はステップ#34に移行し、デモ運転モードを続行する所定の続行操作が行われたか否かが判断される。続行操作が行われていない場合はステップ#31に戻り、ステップ#31〜#34が繰り返し行われる。そして、所定時間が経過すると、ステップ#12に移行して通常運転モードに切り替えられる。
【0031】
また、所定時間内にスタートキーの操作が行われると通常運転モードのステップ#23に移行し、所定時間内にコース選択キーの操作が行われると通常運転モードのステップ#12に移行する。スタートキーの操作によって予め脱水槽30に投入された洗濯物の洗濯及び乾燥が既定の条件で行われる。また、コース選択キーの操作によって洗濯物に応じた洗濯及び乾燥の条件が設定される。
【0032】
所定時間内に続行操作が行われると、ステップ#41に移行する。続行操作はステップ#15で判断されるデモ運転モードに移行する移行操作とは異なるキーにより行われる。そして、移行操作には複雑なキー操作(例えば、キーの長押しや複数キーの同時操作等)が割り当てられ、続行操作では移行操作よりも簡単なキー操作が割り当てられている。これにより、デモ運転モードの続行の指示を簡単に行うことができるとともに、デモ運転モードへの移行が容易にできないようになっている。
【0033】
ステップ#41では電源キーによって電源オフの操作が行われたか否かが判断される。電源オフの操作が行われていない場合はステップ#42で所定時間(例えば、ステップ♯34又はステップ♯45の実行後10分)が経過したか否かが判断される。所定時間が経過していない場合はステップ#43でスタートキーの操作によってデモ運転開始の指示があったか否かが判断される。デモ運転開始の指示がない場合はステップ#41に戻り、ステップ#41〜#43が繰り返し行われる。
【0034】
そして、ステップ#41の判断によって電源オフの操作が行われた場合及びステップ#42の判断によって所定時間が経過すると、ステップ♯51に移行してフラグFに1が記憶される。これにより、デモ運転モードがオンであることが記憶部79に記憶され、ステップ#26に移行して電源が停止される。このとき、デモ運転モードがオンであることが記憶されており、次回電源投入時にデモ運転モードが立ち上がる。
【0035】
ステップ#43でスタートキーの操作によってデモ運転開始の指示があった場合、ステップ#44でデモ運転が実行される。ステップ♯45ではデモ運転が終了するまで待機する。デモ運転が終了するとステップ♯41に移行してステップ♯41〜ステップ♯45が繰り返し行われる。
【0036】
本実施形態によるとデモ運転モードが立ち上がってから所定時間(第1待機期間)内になんらボタン操作を行わない場合、ステップ♯31の判断により通常運転モードに移行する。このため、電源投入から所定時間経過まで無操作状態が続くと、使用者がデモ運転モードの設定解除を特別意識することなく行うことができる。従って、洗濯機の利便性が向上する。
【0037】
また、ステップ♯31の所定時間(第1待機期間)をステップ♯12の所定時間(第2待機期間)より非常に短い時間に設定することにより(例えば、第1待機期間を3秒以内に設定し、第2待機期間を10分に設定した場合)、デモ運転モードが立ち上がってから短時間で通常運転モードに移行する。これにより、使用者が通常の操作を行う前にデモ運転モードを解除することができる。
【0038】
また、ステップ♯32でスタートキーを入力した場合、所定時間(第1待機期間)内であっても通常運転モードに移行する。このため、使用者にデモ運転モードが実行されていることを認識させることなく通常運転モードに移行することができる。
【0039】
また、同様にステップ♯32でコース選択キーを入力した場合、所定時間(第1待機期間内)であっても通常運転モードに移行する。このため、使用者にデモ運転モードが実行されていることを認識させることなく通常運転モードに移行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明はデモ運転モードを備えた洗濯機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 洗濯機
10 外箱
11 上面板
11a 出入口
30 脱水槽
41 モータ
43 クラッチ・ブレーキ機構
50 送風機
54 ヒータ
70 制御部
71 操作部
72 表示部
77 給水弁
79 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を投入する槽内に給水して洗濯を行う通常運転モードと、給水を停止して動作の実演を行うデモ運転モードとを有し、前記デモ運転モードの実行後に電源を停止して次回電源を投入した際に前記デモ運転モードが立ち上がる洗濯機において、前記デモ運転モードが立ち上がってから第1待機期間内に所定の続行操作を行った場合に前記デモ運転モードを続行し、前記続行操作を行わない場合に前記通常運転モードに移行することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記通常運転モードは第1待機期間よりも長い第2待機期間内に何も操作が行われなかった際に電源を停止することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
洗濯コースの洗濯操作を行うコース選択部を設け、第1待機期間内で前記続行操作の前に前記コース選択部の操作を行った際に前記通常運転モードに移行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
洗濯の開始を指示するスタート指示部を設け、第1待機期間内で前記続行操作の前に前記スタート指示部の操作を行った際に前記通常運転モードに移行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−147979(P2012−147979A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9409(P2011−9409)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】