説明

洗濯洗剤および洗浄剤

クロロフィラーゼと、さらなる加水分解酵素、好ましくはリパーゼ、特にガラクトリパーゼとからなる組合せを含有する洗濯洗剤および洗浄剤が記載されている。クロロフィラーゼとガラクトリパーゼからなる組合せは、両方の酵素がそれぞれ単独である場合に比べて、特にクロロフィルを含有する汚れに対する洗浄能を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の成分に加えて、クロロフィラーゼと少なくとも一種のさらなる加水分解酵素、好ましくはリパーゼ、特に好ましくはガラクトリパーゼとの組合せを含有する酵素含有洗濯洗剤または洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗剤は、界面活性剤およびビルダー物質など洗濯プロセスに不可欠な成分の他に、通常、洗濯助剤の概念でまとめることができ、泡調節剤、灰色化防止剤、漂白剤および色移り(染料移動)阻害剤など様々な活性物質群を含むさらなる成分を含有する。このような助剤には、繊維上に存在する汚れを酵素分解することにより界面活性剤の能力を支援する物質も属する。同様に、硬質表面用の洗浄剤にも同じことが当てはまる。タンパク質除去を促進するプロテアーゼおよび脂肪を分解するリパーゼの他に、デンプン−多糖を触媒作用で加水分解することによりデンプンを含有する汚れを除去する役割を有するアミラーゼと、セルラーゼが特に重要である。
【0003】
洗濯洗剤および洗浄剤の通常のさらなる含有成分は、紅茶または赤ワインのシミなどの着色汚れを除去する活性物質である。このために、無機ペルオキシ化合物、特に過酸化水素、ならびに過ホウ酸ナトリウムや炭酸ナトリウム過水和物など水中で過酸化水素を遊離しながら溶解する固体のペルオキシ化合物が長らく、殺菌および漂白用の酸化剤として使用されている。これらの物質の酸化作用は、希釈溶液中においては、温度に著しく左右される。比較的低い温度では、無機ペルオキシ化合物の酸化作用を、いわゆる漂白活性化剤の添加により改善することができる。これには特に、N−またはO−アシル化合物の物質クラスからなる化合物、例えば、複数回アシル化されたアルキレンジアミンまたはカルボン酸エステルが該当する。これらの物質を添加することにより、60℃以下の温度でも、95℃で過酸化物溶液のみを用いた場合と実質上同じ作用が生じる程度に、過酸化物水溶液の漂白作用を高めることができる。
【0004】
しばしば、酵素および漂白系はその作用を相互に補完し、相乗作用が観察されることも多い。特にしつこい汚れのグループとしては、クロロフィルを含有する汚れ、特に、草または樹木の葉のシミであり、これらは、従来使用されている酵素によっても、漂白系によっても十分には除去することができない。この場合、クロロフィルが遊離形ではなく、疎水性植物成分またはタンパク質を含有する植物成分との組合せで組み合わされており、それによって、発色団に対する漂白系の攻撃が困難となっていることが問題であることが判明している。
【0005】
加水分解酵素として、クロロフィルまたはフェオフィチンの、クロロフィリドまたはフェオホルビドおよびフィトールへの分解を触媒するクロロフィラーゼ(EC3.1.1.14)が、約100年前から知られている。クロロフィラーゼをクロロフィルと反応させることにより、発色団系の水溶性がかなり改善される。リパーゼは現在すでに、脂質または油脂のシミを除去するために洗濯洗剤および洗浄剤配合物中において日常的に使用されている。これらの酵素はこの場合、トリアシルグリセリドおよびリン脂質の1つまたは複数のエステル結合を加水分解することにより油脂を含有する汚れを除去する。リパーゼの特別な群は、ガラクトリパーゼであり、これは、ガラクトリピドの1つまたは複数のエステル結合のみを、またはトリアシルグリセリドおよびリン脂質に加えてガラクトリピドの1つまたは複数のエステル結合を分解する。
【0006】
市販の洗濯洗剤および洗浄剤配合物においてガラクトリパーゼを特に使用することはこれまで、記載されていない。
【0007】
ガラクトリピドでは、1つまたは複数のガラクトース残基が、ジアシルグリセリドのsn−3位に結合している。ガラクトリピドは、光合成膜の主成分であり、したがって、特に植物および光合成細菌において見出される。これらのガラクトリピド膜内に、クロロフィル分子は埋め込まれている。ガラクトリパーゼは例えば、植物中に見出され、その際、主に葉緑体中に存在する。ガラクトリピド分解酵素のさらなる供給源は、哺乳動物の消化管に由来するリパーゼであり、微生物においても、この活性は既に検出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第258068号
【特許文献2】欧州特許第0642576号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Tenside 7、125 (1970年)
【非特許文献2】P.Bernfeld、in S.P.ColowickおよびN.D.Kaplan、Methods in Enzymology、第1巻、1955年、149頁
【非特許文献3】S.Ito等、Agric.Biol.Chem.53、1275 (1989年)
【非特許文献4】Tsuchiya等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96、15362〜15367(1999年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
驚くべきことに、クロロフィラーゼと、さらなる加水分解酵素、特にリパーゼ、特にガラクトリパーゼとからなる組合せは、クロロフィルを含有する汚れにおける予期せぬ相乗的な性能改善をもたらし、したがってこの酵素の組合せは特に、洗濯洗剤および洗浄剤に使用するのに適していることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の対象は、クロロフィラーゼと、加水分解酵素、好ましくはリパーゼ、特にガラクトリパーゼとからなる組合せを含有する洗濯洗剤または洗浄剤である。
【0012】
クロロフィラーゼと、少なくとも一種のさらなる加水分解酵素、好ましくはリパーゼ、特にガラクトリパーゼとからなるこの組合せを使用すると、特に、クロロフィルベースの着色汚れに対する洗濯洗剤および洗浄剤の洗浄能が、特にペルオキシ化合物を含有する水性洗濯液および洗浄液において高まる。この場合、着色汚れに対する洗浄能との概念は、その最も幅広い意味で理解すべきであり、繊維上に存在する汚れの漂白、繊維から分離されて洗濯液中に存在する汚れの漂白、さらには、洗浄条件下で繊維から分離して洗濯液中に存在する繊維染料が、別の色の繊維に付着できる前に起きる酸化分解も包含する。硬質表面に洗浄剤を使用する場合にも、この概念は、硬質表面上に存在する汚れ、特に、紅茶の漂白とも、硬質表面から分離されて食器洗浄液中に存在する汚れの漂白とも理解される。
【0013】
一成分として、本発明による洗濯洗剤または洗浄剤は、クロロフィラーゼを含有する。クロロフィラーゼとしては、主に植物酵素、好ましくは、オレンジ(Citrus sinensis)または小麦(Triticum aestivum)からの酵素を使用する。本発明による製品中で使用するために、酵素を、例えば大腸菌(Escherichia coli)またはメタノール資化酵母(Pichia pastoris)中で組換え産生させ、続いて細胞質粗抽出物または培養上澄みから、標準的な方法を用いて精製することができる。
【0014】
さらなる成分として、本発明による洗濯洗剤または洗浄剤は、加水分解酵素、好ましくはリパーゼ、特にガラクトリパーゼを含有する。使用されるガラクトリパーゼは一方では、シュードモマス(Pseudomomas)属またはクロモバクテリウム(Chromobacter)属の原核細胞由来のものでよい。他方では、酵母、菌類から、ならびに植物または動物源から、例えば、カンジダ(Candida)属、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、モルモット(Cavia porcellus)、ウマ(Equus caballus)またはヒト(Homo sapiens)からの真核細胞ガラクトリパーゼを使用することもできる。本発明による製品で使用するために、酵素を例えば大腸菌またはメタノール資化酵母中で組換え産生し、細胞質粗抽出物または培養上澄みから、標準的な方法を用いて精製することができる。
【0015】
本発明による洗濯洗剤または洗浄剤は一般に、洗濯洗剤および洗浄剤1グラム当たりクロロフィラーゼおよびさらなる加水分解酵素をそれぞれ0.0001〜10mg、好ましくはそれぞれ0.001mg〜1.0mg、特にそれぞれ0.02〜0.3mg含有する。
【0016】
本発明による洗濯洗剤および洗浄剤は、粉末状の固体として、後圧縮された粒子の形態で、均一な溶液として、または懸濁液として存在してよく、前述の酵素の他に原理的に、公知かつこの種の洗剤で慣用のあらゆる成分を含有する。本発明による洗剤は、界面活性剤、ビルダー物質、有機および/または無機ペルオキシ化合物をベースとする追加的な漂白剤、追加的な漂白活性化剤、漂白触媒、水混和性有機溶媒、追加的な酵素、金属イオン封鎖剤、電解質、pH調節剤、ならびに蛍光増白剤、灰色化防止剤、色移り(染料移動)阻害剤、泡調節剤、銀腐食阻害剤などのさらなる助剤、ならびに染料および香料を含有してよい。本発明による洗剤は、一種の界面活性剤または複数の界面活性剤を含有してよく、その際、特にアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびその混合物、さらに、カチオン性、双性イオンおよび両性イオン界面活性剤も該当する。
【0017】
適切な非イオン性界面活性剤は特に、アルキル部分にそれぞれ12〜18個のC原子および3〜20個、好ましくは4〜10個のアルキルエーテル基を有する、アルキルグリコシド、ならびにアルキルグリコシドまたは直鎖もしくは分枝鎖アルコールのエトキシル化および/またはプロポキシル化生成物である。さらに、アルキル部分に関しては前記長鎖アルコール誘導体に対応するN−アルキルアミン、ビシナルジオール、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドの、ならびにアルキル基中に5〜12個のC原子を有するアルキルフェノールの対応するエトキシル化および/またはプロポキシル化生成物を使用することができる。
【0018】
非イオン性界面活性剤として好ましくは、好ましくは8〜18個のC原子およびアルコール1モル当たり平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたアルコール、特に第一級アルコールを使用することができ、ここで、アルコール残基は、直鎖でも、好ましくは2位でメチル分枝していてよく、あるいは、直鎖の残基とメチル分枝した残基を混合物として、通常オキソアルコール残基中に存在するように含有していてもよい。しかし特に、12〜18個のC原子を有する天然由来のアルコールから、例えば、ココアルコール、パームアルコール、獣脂アルコールまたはオレイルアルコールからの直鎖残基を有し、アルコール1モル当たり平均して2〜8のEOを有するアルコールエトキシレートが好ましいである。好ましいエトキシル化アルコールには、例えば、3EOまたは4EOを有するC12〜C14−アルコール、7EOを有するC〜C11−アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13〜C15−アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12〜C18−アルコール、ならびにそれらの混合物、3EOを有するC12〜C14−アルコールと7EOを有するC12〜C18−アルコールの混合物などが該当する。前述のエトキシル化度は統計的平均値であり、特定の生成物に関して整数でも分数でもよい。好ましいアルコールエトキシレートは、狭い同族体分布(狭い範囲のエトキシレート、NRE)を有する。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12を超えるEOを有する脂肪族アルコールを使用することもできる。この例は、14EO、16EO、20EO、25EO、30EOまたは40EOを有する(獣脂)脂肪アルコールである。特に、機械による食器洗浄で使用するための洗浄剤では通常、極めて泡の少ない化合物が使用される。これには、好ましくは、それぞれ8モルまでのエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位を分子中に有するC12〜C18−アルキルポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールエーテルが挙げられる。しかし、例えば、それぞれ8モルまでのエチレンオキシド単位およびブチレンオキシド単位を分子中に有するC12〜C18−アルキルポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールエーテルならびに末端キャップ化アルキルポリアルキレングリコール混合エーテルなど他の知られている泡の少ない非イオン性界面活性剤を使用することもできる。
【0019】
ヒドロキシル基含有アルコキシル化アルコール、いわゆるヒドロキシ混合エーテルも特に好ましい。非イオン性界面活性剤としては、一般式RO(G)のアルキルグリコシドも使用することができ、式中、Rは、8〜22個、好ましくは12〜18個のC原子を有する、直鎖またはメチル分枝鎖、特に2位メチル分枝鎖の第一級脂肪族残基を意味し、Gは、5または6個のC原子を有する単糖(Glykose)単位、好ましくはグルコースである。モノグリコシドおよびオリゴグリコシドの分布を示すオリゴマー化度xは、分析によって決定される値としては分数でもよい1〜10の任意の数であり、好ましくはxは1.2〜1.4である。同様に、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドも適している。
【0020】
単独の非イオン性界面活性剤として、または、他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて、特にアルコキシル化脂肪族アルコールおよび/またはアルキルグリコシドと一緒に使用される、使用することが好ましい非イオン性界面活性剤の別のクラスは、好ましくはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有する、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化、またはエトキシル化およびプロポキシル化された脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルである。
【0021】
アミンオキシドタイプの非イオン性界面活性剤、例えば、N−ココアルキル−N,N−ジメチルアミンオキシドおよびN−獣脂アルキル−N,N−ジヒドロキシエチルアミンオキシドおよび脂肪酸アルカノールアミドも適切であり得る。この非イオン性界面活性剤の量は、エトキシル化脂肪族アルコール以下、特にその半量以下であることが好ましい。
【0022】
さらなる界面活性剤として、いわゆるジェミニ界面活性剤も考えられる。これは一般的に、1分子当たり2つの親水基を有する化合物と理解される。これらの基は通常、いわゆる「スペーサー」により相互に分離されている。このスペーサーは通常、親水基が相互に独立に作用し得るのに足りる距離を有するような十分に長い炭化水素鎖である。例外的に、ジェミニ界面活性剤との表現は、このような「ダイマー」だけでなく、対応する「トリマー」界面活性剤とも理解される。適切なジェミニ界面活性剤は例えば、硫酸化ヒドロキシ混合エーテルまたはダイマーアルコール−ビス−およびトリマーアルコール−トリス−スルフェートおよび−エーテルスルフェートである。末端キャップ化ダイマーおよびトリマー混合エーテルは特に、その二官能性および多官能性により特徴付けられる。しかし、ジェミニ−ポリヒドロキシ脂肪酸アミドまたはポリ−ポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用することができる。
【0023】
適切なアニオン性界面活性剤は特に、石けん、およびスルフェートまたはスルホネート基を含有するものである。スルホネートタイプの界面活性剤として好ましくは、C〜C13−アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、即ち、アルケン−およびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、ならびに、例えば、末端または中間二重結合を有するC12〜C18−モノオレフィンから、気体三酸化硫黄でスルホン化し、続いてスルホン化生成物をアルカリ性または酸性加水分解することにより得られるジスルホネートが該当する。C12〜C18−アルカンから、例えば、スルホクロロ化またはスルホ酸化と、続いて加水分解または中和により得られるアルカンスルホネートも適している。脂肪酸分子中に8〜20個のC原子を有する植物および/または動物由来の脂肪酸のメチルエステルをα−スルホン化し、続いて中和して、水溶性一塩にすることにより製造されるα−スルホ脂肪酸のエステル(スルホン酸エステル)、例えば、水素化ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸または獣脂脂肪酸のαスルホン化メチルエステルも適している。好ましくは、この場合、これらは、水素化ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸または獣脂脂肪酸のαスルホン化エステルであり、その際、不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸のスルホン化生成物も少量、好ましくは約2〜3重量%以下の量で存在してもよい。特に、エステル基中に4個以下のC原子を有するアルキル鎖を有するαスルホ脂肪酸アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルが好ましい。α−スルホ脂肪酸のメチルエスエル(MES)、さらにまたそのけん化二塩を使用するのが特に有利である。
【0024】
さらなる適切なアニオン性界面活性剤は、モノグリセリンを1〜3モルの脂肪酸でエステル化することにより製造する際に、またはトリグリセリドを0.3〜2モルのグリセリンでエステル交換する際に得られるようなモノ−、ジ−およびトリエステルならびにその混合物である硫酸化脂肪酸グリセリンエステルである。硫酸アルキル(アルケニル)としては、例えば、ココ脂肪アルコール、獣脂アルコール、ラウリル−、ミリスチル−、セチル−もしくはステアリルアルコールからのC12〜C18−脂肪族アルコール、またはC10〜C20オキソアルコールの硫酸半エステル、ならびにこの鎖長の第二級アルコールの半エステルのアルカリ塩、特にナトリウム塩が好ましい。
【0025】
さらに、脂肪化学原料をベースとする同等の化合物と同様の分解特性を有する、石油化学ベースで製造された合成直鎖アルキル基を含有する前記鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートが好ましい。洗浄技術の観点から、C12〜C16−アルキルスルフェートおよびC12〜C15−アルキルスルフェートならびにC14〜C15−アルキルスルフェートが特に好ましい。2,3−アルキルスルフェートも、適切なアニオン性界面活性剤である。平均で3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2−メチル−分枝鎖C〜C11−アルコールまたは1〜4のEOを有するC12〜C18脂肪族アルコールなど、1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシル化された直鎖または分枝鎖C〜C21−アルコールの硫酸モノエステルも適している。好ましいアニオン性界面活性剤には、スルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステルとも称されるアルキルスルホコハク酸の塩、ならびにスルホコハク酸とアルコール、好ましくは脂肪族アルコール、特にエトキシル化脂肪族アルコールとのモノエステルおよび/またはジエステルも属する。好ましいスルホスクシネートは、C〜C18脂肪族アルコール残基またはそれらの混合物を含有する。特に好ましいスルホスクシネートは、それ自体が非イオン性界面活性剤であるエトキシル化脂肪族アルコールに由来する脂肪族アルコール残基を含有する。さらに、その際、その脂肪族アルコール残基が狭い同族体分布を有するエトキシル化脂肪族アルコールに由来する、スルホスクシネートが特に好ましい。同様に、アルキル(アルケニル)鎖中に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩を使用することもできる。
【0026】
さらなるアニオン性界面活性剤として、アミノ酸、例えば、N−メチルタウリン(タウリド)および/またはN−メチルグリシン(サルコシド)の脂肪酸誘導体が該当する。この場合に、サルコシドまたはサルコシネート、特に、場合によって一価または多価不飽和の高級脂肪酸のサルコシネート、例えばオレイルサルコシネートが特に好ましい。さらなるアニオン性界面活性剤として、特に石けんが該当する。特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸およびベヘン酸の塩などの飽和脂肪酸石けん、特に、天然脂肪酸、例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム核酸または獣脂酸に由来する石けん混合物が適している。これらの石けんと共に、または石けんの代替剤として、公知のアルケニルコハク酸塩を使用することもできる。
【0027】
アニオン性界面活性剤は、石けんを含めて、そのナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩の形態で、およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどの有機塩基の可溶性塩として存在してよい。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩またはカリウム塩の形態で、特にナトリウム塩の形態で存在する。
【0028】
界面活性剤は、本発明による洗濯洗剤中に、好ましくは5重量%〜50重量%、特に8重量%〜30重量%の量比で含有されており、一方、硬質表面を洗浄するための、特に、食器を機械洗浄するための洗剤は、10重量%まで、特には5重量%まで、好ましくは0.5重量%〜3重量%の範囲のより低い界面活性剤含有量を有する。
【0029】
本発明による洗剤は、好ましくは、少なくとも一種の水溶性および/または非水溶性の有機および/または無機ビルダーを含有する。水溶性有機ビルダー物質には、ポリカルボン酸、特にクエン酸および糖酸;モノマーおよびポリマーアミノポリカルボン酸、特にメチルグリシンジ酢酸、ニトリロトリ酢酸およびエチレンジアミンテトラ酢酸、ならびにポリアスパラギン酸、ポリホスホン酸、特にアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、デキストリンなどのポリマーヒドロキシ化合物、ならびにポリマー(ポリ−)カルボン酸、特に、多糖またはデキストリンの酸化によって得られるポリカルボキシレート、カルボン酸官能基を含まない重合性物質を重合された状態で少量含有してもよい、ポリマーアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびこれらからなる混合ポリマーが該当する。それぞれ遊離酸に対して、不飽和カルボン酸ホモポリマーの相対分子量は一般に、3000〜200000であり、コポリマーの相対分子量は2000〜200000、好ましくは30000〜120000である。特に好ましいアクリル酸−マレイン酸コポリマーは、30000〜100000の相対分子量を有する。市販の製品は例えば、BASF社のSokalan TM CP5、CP10およびPA30である。好ましさは劣るが適切な、この群の化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸とビニルエーテル、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエステル、エチレン、プロピレンおよびスチレンとのコポリマーであり、ここで、酸の割合は少なくとも50重量%である。水溶性有機ビルダー物質としては、モノマーとして二種の不飽和酸および/またはその塩ならびに第3のモノマーとしてビニルアルコールおよび/またはエスエル化ビニルアルコールまたは炭水化物を含有するターポリマーを使用することもできる。第1の酸性モノマーまたはその塩は、モノエチレン系不飽和C〜C−カルボン酸、好ましくは、C3〜4−モノカルボン酸に、特に、(メタ)アクリル酸に由来する。第2の酸モノマーまたはその塩は、C〜C−ジカルボン酸の、特に好ましくはマレイン酸の誘導体、および/または2位がアルキル基またはアリール基で置換されているアリルスルホン酸の誘導体であってよい。このようなポリマーは一般に、1000〜200000の相対分子量を有する。さらなる好ましいコポリマーは、モノマーとして好ましくはアクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩または酢酸ビニルを有するものである。有機ビルダー物質は、特に液体の洗剤を製造するために、水溶液の形態、好ましくは30〜50重量%水溶液の形態で使用することができる。前記すべての酸は、通常は、その水溶性の塩、特にはそのアルカリ塩の形態で使用する。
【0030】
このような有機ビルダー物質は所望の場合には、40重量%まで、特に25重量%まで、好ましくは1重量%〜8重量%までの量で含有されていてよい。前記上限近くの量は、好ましくはペースト状または液状、特に水含有の、本発明による洗剤中で使用する。
【0031】
水溶性無機ビルダー物質として特に、そのアルカリ性、中性もしくは酸性ナトリウム塩またはカリウム塩の形態で存在してよい、アルカリケイ酸塩、アルカリ炭酸塩およびアルカリリン酸塩が該当する。その例は、リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、いわゆるヘキサメタリン酸ナトリウム、5〜1000、特に5〜50のオリゴマー化度を有するオリゴマーリン酸三ナトリウム、ならびに対応するカリウム塩、またはナトリウム塩とカリウム塩の混合物である。非水溶性、水分散性無機ビルダー物質として特に、結晶または非晶質アルカリ金属アルミノケイ酸塩を50重量%まで、好ましくは40重量%以下の量で、液体洗剤中では特に1重量%〜5重量%の量で使用する。このうち、洗濯洗剤品質の結晶アルミノケイ酸ナトリウム、特にゼオライトA、Pおよび場合によってXが単独で、または、例えば、ゼオライトAおよびXからなる共結晶(Vegobond(登録商標)TM AX、Condea Augusta S.p.A.の市販品)の形態の混合物が好ましい。前記上限に近い量は、好ましくは、固体の粒子状洗剤で使用するのが好ましい。適切なアルミノケイ酸塩は特に、30μmを超える粒径を有する粒子を有さず、好ましくは、少なくとも80重量%が、10μm以下のサイズを有する粒子からなる。そのカルシウム結合能は通常、1グラム当たりCaO100〜200mgの範囲である。
【0032】
前記のアルミノケイ酸塩の適切な代用品または部分代用品は、結晶アルカリケイ酸塩であり、これは、単独で、または非晶質ケイ酸塩との混合物として存在してよい。本発明による洗剤中でビルダーとして使用することができるアルカリケイ酸塩は好ましくは、アルカリ酸化物とSiOのモル比0.95未満、特に1:1.1〜1.12を有し、非晶質または結晶で存在してよい。好ましいアルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、特に、NaO:SiOのモル比が1:2〜1:2.8である非晶質ケイ酸ナトリウムである。単独でまたは非晶質ケイ酸塩との混合物として存在してよい結晶ケイ酸塩として好ましくは、一般式:NaSixOx+1.yHOの結晶層状ケイ酸塩を使用する。式中、x、いわゆるモジュールは1.9〜22、特に1.9〜4の数であり、yは0〜33の数であり、xの好ましい値は2、3または4である。好ましい結晶層状ケイ酸塩は、前記一般式中のxが2または3の値をとるものである。特には、βおよびδ−二ケイ酸ナトリウム(NaSi.yHO)が好ましい。上記一般式中でxが1.9〜2.1の数を意味する、非晶質アルカリケイ酸塩から製造された、実質的に水を含まない結晶アルカリケイ酸塩も、本発明による洗剤中で使用することができる。本発明による洗剤の、さらに別の好ましい一実施形態では、2〜3のモジュールを有する結晶層状ケイ酸ナトリウムを使用する。本発明による洗剤の、さらに別の好ましい一実施形態では、1.9〜3.5の範囲のモジュールを有する結晶層状ケイ酸ナトリウムを使用する。上記式(I)の結晶層状ケイ酸塩は、Clariant社によりNa−SKSとの商品名で販売されており、例えば、Na−SKS−1(NaSi2245・xHO、ケニアイト(Kenyaite))、Na−SKS−2(NaSi1429・xHO、マガディアイト(Magadiit))、Na−SKS−3(NaSi17・xHO)またはNa−SKS−4(NaSi・xHO、マカタイト)である。これらのうち、特に、Na−SKS−5(α−NaSi)、Na−SKS−7(β−NaSi、ナトロシライト(Natrosilite))、Na−SKS−9(NaSi・3HO)、Na−SKS−10(NaHSi・3HO、カネマイト)、Na−SKS−11(t−NaSi)およびNa−SKS−13(NaHSi)、特にNa−SKS−6(δ−NaSi)が適している。本発明による洗剤の好ましい一実施形態では、例えば、Nablon(登録商標)TM15の名称で市販されているような、結晶層状ケイ酸塩およびクエン酸塩からなるか、結晶層状ケイ酸塩および上記(コ)ポリマーポリカルボン酸からなるか、またはアルカリケイ酸塩およびアルカリ炭酸塩からなる顆粒コンパウンドを使用する。
【0033】
ビルダー物質は、本発明による洗剤中に、場合によっては、90重量%までの量で含有されていてよい。これは好ましくは、75重量%までの量で含有されている。本発明による洗濯洗剤は、特には5重量%〜50重量%のビルダー含有量を有する。硬質表面を洗浄するための、特には食器を機械洗浄するための本発明による洗剤では、ビルダー物質の含有量は、特に5重量%〜88重量%であり、このような洗剤では、好ましくは、非水溶性ビルダー物質を使用しない。特に食器を機械洗浄するための、本発明による洗剤の好ましい一実施形態では、水溶性有機ビルダー、特にアルカリクエン酸塩20重量%〜40重量%、アルカリ炭酸塩5重量%〜15重量%、およびアルカリ二ケイ酸塩20重量%〜40重量%が含有されている。
【0034】
好適なペルオキシ化合物としては、特には過酸化水素、ならびにアルカリ過ホウ酸塩、アルカリ過炭酸塩、アルカリ過ケイ酸塩および/またはCaroatなどのアルカリ過硫酸塩が属する、洗浄条件下で過酸化水素を遊離する無機塩が該当するが、フタルイミド過カプロン酸、過安息香酸もしくはジペルドデカン二酸の塩などの有機過酸または有機酸の過酸塩も該当する。固体のペルオキシ化合物を使用すべき場合には、これらを、粉末または顆粒の形態で使用することができ、その粉末または顆粒を原理的に公知の方法でカプセル化されていてよい。ペルオキシ化合物は、好ましくは50重量%まで、特に5重量%〜30重量%、特に好ましくは8重量%〜25重量%の量で存在する。例えば、ホスホン酸塩、ホウ酸塩またはメタホウ酸塩、およびメタケイ酸塩、ならびに硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩など公知の漂白剤安定剤の少量の添加が目的に合うこともある。
【0035】
漂白活性化剤としては特に、過加水分解条件下で、好ましくは1〜10個のC原子、特に2〜4個のC原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸および/または場合によって、置換過安息香酸を生じる化合物を使用することができる。前記のC原子数のO−および/またはN−アシル基、および/または場合によって置換ベンゾイル基をもつ物質が適している。好ましいのは、多アシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特に、テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特に、n−ノナノイル−またはイソノナノイル−オキシベンゾスルホネート(n−またはイソ−NOBS)、カルボン酸無水物、特に、無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特に、トリアセチン、エチレングリコールジアセテート、2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、およびエノールエステル、ならびにアセチル化ソルビトールおよびマンニトール、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、ならびにアセチル化され、場合によってN−アルキル化されたグルカミンおよびグルコノラクトン、および/またはN−アシル化ラクタム、例えば、N−ベンゾイルカプロラクタムである。親水性置換アシルアセタールおよびアシルラクタムも同様に、好ましく使用される。
【0036】
このような漂白活性化剤は、洗剤全体に対して通常の量の範囲で、好ましくは0.5重量%〜10重量%、特に1重量%〜8重量%の量で含有されていてよい。上記の従来の漂白活性化剤に加えて、またはその代わりに、スルホイミンおよび/または漂白増強遷移金属塩または遷移金属錯体がいわゆる漂白触媒として含有されていてよい。該当する遷移金属化合物には特に、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウムまたはモリブデンのサレン錯体およびその知られているN−類似化合物、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウムまたはモリブデンのカルボニル錯体、窒素含有三脚配位子を有するマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウムおよび銅の錯体、コバルト、鉄、銅およびルテニウムのアミン錯体が属する。特に中心原子Mn、Fe、Co、Cu、Mo、V、Tiおよび/またはRuを有する漂白増強遷移金属錯体を通常の量で、好ましくはそれぞれ洗剤全体に対して1重量%まで、特に0.0025重量%〜0.25重量%、特に好ましくは0.01重量%〜0.1重量%の量で使用する。
【0037】
さらに、本発明による洗濯洗剤および洗浄剤は、プロテアーゼ、さらなるリパーゼ、アミラーゼおよび/またはセルラーゼを含有し得る。使用可能なプロテアーゼには、アルカリ範囲にpH−最適値を有する、微生物、特に細菌または真菌から得ることができる酵素が属する。プロテアーゼを本発明の洗剤中で好ましくは、最終的な洗剤が100PE/g〜7500PE/g(Tenside 7、125 (1970年)(非特許文献1)に記載の方法に従って決定された1グラム当たりのプロテアーゼ単位)、特に125PE/g〜5000PE/g、特に好ましくは150PE/g〜4500PE/gを有するような量で使用する。使用可能なプロテアーゼは、例えば、BLAP TM、Savinase TM、Esperase TM、Maxatase TM、Optimase TM、Alcalase TM、Durazym TM、Everlase TM、Maxapem(c)&またはPurafect TM OxPの名称で市販されている。
【0038】
好ましくは少なくとも一種の他の酵素と組み合わせて使用される、本発明による洗剤に使用可能なアミラーゼには、好ましくは約pH10までのアルカリ範囲にpH−最適値を有する、細菌または真菌から得ることができる酵素が属する。使用可能な市販品は例えば、Termamyl TM、Maxamyl TM、Duramyl TMまたはPurafect TM OxAmである。アミラーゼを、本発明による洗剤中で好ましくは、最終的な洗剤が0.01KNU/g〜2KNU/g(Novo社の標準方法に従った1グラム当たりの「キロ−Novo単位」、ここで、1KNUは、pH5.6および37℃でデンプン5.26gを分解する酵素量であり、P.Bernfeld、in S.P.ColowickおよびN.D.Kaplan、Methods in Enzymology、第1巻、1955年、149頁(非特許文献2)に記載された方法に基づく)、特に0.015KNU/g〜1.8KNU/g、特に好ましくは、0.03KNU/g〜1.6KNU/gを有するような量で使用する。本発明による洗剤がアミラーゼを含有する場合、これらを好ましくは、遺伝子工学で改変させたアミラーゼから選択する。
【0039】
本発明による洗剤中に場合によって追加的に含有されるさらなるリパーゼは、微生物、特に細菌または真菌から得ることができる酵素である。リパーゼを本発明による洗剤中で好ましくは、最終的な洗剤が、10LU/g〜10000LU/g(欧州特許第258068号(特許文献1)に挙げられている方法に従って30℃およびpH7でのトリブチリンの酵素加水分解によって決定された1グラム当たりの「リパーゼ活性単位」)、特に80LU/g〜5000LU/g、特に好ましくは、100LU/g〜1000LU/gの範囲の脂肪分解活性を有するような量で使用する。市販のリパーゼは例えば、Lipolase TM、Lipomax TM、Lumafast TMおよびLipozym TMである。
【0040】
同様に、本発明によって使用することができるセルラーゼも、好ましくは6〜9.5のほぼ中性から弱アルカリpH範囲にpH最適値を有する、細菌または真菌から得ることができる酵素に属する。セルラーゼを、本発明による洗剤では好ましくは、最終的な洗剤が0.05IU/g〜1.5IU/g(S.Ito等、Agric.Biol.Chem.53、1275 (1989年)(非特許文献3)に記載されたように、pH9.0および40℃でのNa−カルボキシメチルセルロースの酵素加水分解に基づく1グラム当たりの「国際単位」)、特に0.07IU/g〜1.4IU/g、特に好ましくは、0.1IU/g〜1.3IU/gのセルロース加水分解活性を有するような量で使用する。適切な市販品は例えば、製造者Novo Nordisk社のCelluzyme TMまたは花王社のKAC TMである。
【0041】
本発明による洗剤では複数の酵素を使用するので、これを、二種以上の別の酵素または公知の方法により別々に調製された酵素を混合することにより、または二種以上を一緒に1つの顆粒中で調製した酵素により実施することができる。
【0042】
洗剤中で追加的に使用される酵素として、クチナーゼ、プルラナーゼ、ヘミセルラーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼおよびペルオキシダーゼのクラスのもの、ならびにこれらの混合物が該当する。特に適しているのは、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、リケニホルミス菌(Bacillus licheniformis)、Bacillus lentus、Streptomyces griseus、Humicola lanuginosa、Humicola insolens、Pseudomonas pseudoalcaligenes、Pseudomonas cepaciaまたはCoprinus cinereusなどの真菌または細菌から得られる酵素活性物質である。酵素を、支持体に吸着させ、かつ/またはカプセル物質に埋め込んで、早発の不活性化から保護することができる。これらの酵素は、本発明による洗濯洗剤または洗浄剤中に好ましくは5重量%まで、特には0.2重量%〜4重量%の量で含有されている。
【0043】
本発明による洗剤中で、特に、本発明の洗剤が液体またはペースト形態で存在する場合に、水の他に使用可能な有機溶媒には、1〜4個のC原子を有するアルコール、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびtert−ブタノール、2〜4個の炭素原子を有するジオール、特に、エチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびにその混合物、および前記の化合物群に由来するエーテルが属する。このような水混和性溶媒は、本発明による洗剤中に、好ましくは30重量%以下、特に6重量%〜20重量%の量で存在する。
【0044】
加えて、洗剤は、洗濯洗剤および洗浄剤で慣用のさらなる成分を含有してよい。これらの任意選択の成分には特に、酵素安定剤、灰色化防止剤、色移り(染料移動)阻害剤、泡阻害剤および蛍光増白剤ならびに染料および香料が属する。銀腐食に対する保護をもたらすために、本発明による食器用洗浄剤では、銀腐食阻害剤を使用することができる。硬質表面のための、本発明による洗浄剤はさらに、特に石英粉、木粉、プラスチック粉、チョークおよびマイクロガラスボールを含む群からの研摩作用をもつ成分、ならびにそれらの混合物を含有することができる。研磨剤は、本発明による洗浄剤中に、好ましくは20重量%以下、特に5重量%〜15重量%含有されている。
【0045】
残りの成分を混合しても自発的には生じない所望のpH値に調節するために、本発明による洗剤は、系相容性および環境相容性の酸、特にクエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸および/またはアジピン酸、さらに鉱酸、特に硫酸、または塩基、特に水酸化アンモニウムまたは水酸化アルカリを含有することができる。このようなpH調節剤は、本発明による洗剤中に好ましくは20重量%以下、特に1.2重量%〜17重量%の量で含有されている。
【0046】
本発明による繊維洗濯洗剤で使用される色移り(染料移動)阻害剤には、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−(ビニルピリジン−N−オキシド)などのポリマーN−オキシド、およびビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマーが属する。
【0047】
灰色化防止剤(graying inhibitor)は、繊維繊維から分離された汚れを液中に分散させたままにするという役目を有する。このために、多くの場合に有機質の水溶性コロイド、例えば、デンプン、のり付け剤、ゼラチン、デンプンもしくはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテルスルホン酸の塩、またはセルロースもしくはデンプンの酸性硫酸エステルの塩が適している。水溶性の酸性基含有ポリアミドもこの目的に適している。さらに、上記以外のデンプン誘導体、例えば、アルデヒドデンプンを使用することもできる。好ましくは、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル、ならびにメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロースなどの混合エーテル、およびこれらの混合物を例えば、洗剤に対して0.1〜5重量%の量で使用する。
【0048】
洗浄能を増強するために、特に本発明による洗濯洗剤は、通常、カルボン酸単位および場合によってポリマージオール単位から構成されていて、例えば、エチレンテレフタレート基およびポリオキシエチレンテレフタレート基を含有する、汚れの分離を可能にするポリマー、いわゆる防汚ポリマーを含有してよい。他のモノマー単位、例えば、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキレン−またはアルケニレンジカルボン酸、イソフタル酸、カルボキシ−またはスルホ−置換フタル酸異性体が、汚れの分離を可能にするポリマー中に含有されていてよい。末端キャップ化誘導体、即ち、遊離のヒドロキシル基も遊離のカルボキシル基も有さないが、代わりに、例えばC1〜4−アルキル基を有するか、または一塩基カルボン酸、例えば安息香酸またはスルホ安息香酸で末端エステル化されているポリマーを使用することもできる。オキシエチレン基およびテレフタル酸単位の他に、1,2−プロピレン−、1,2−ブチレン−および/または3−メトキシ−1,2−プロピレン基ならびにグリセリン単位を含有し、C〜C−アルキル基で末端キャップ化されているポリエステル、900〜9000の分子量を有する、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートからなる防汚ポリマー(ここで、ポリエチレングリコール単位は300〜3000の分子量を有し、エチレンテレフタレートとポリエチレンオキシド−テレフタレートのモル比は0.6〜0.95である)、少なくとも部分的にC1〜4アルキル基またはアシル基により末端キャップ化され、ポリプロピレンテレフタレート単位およびポリオキシエチレンテレフタレート単位を有するポリエステル、スルホエチルで末端キャップ化されたテレフタレート含有防汚ポリエステル、不飽和末端基をスルホン化することにより製造され、テレフタレート単位、アルキレングリコール単位およびポリC2〜4−グリコール単位を有する防汚ポリエステル、アミン基、アンモニウム基および/またはアミンオキシド基を有するカチオン性防汚ポリエステル、およびエトキシル化された第四級化モルホリン単位を有するカチオン性防汚ポリエステルも適している。同様に、ポリエチレングリコール単位が750〜5000の分子量を有し、エチレンテレフタレートとポリエチレンオキシド−テレフタレートのモル比が50:50〜90:10である、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートからなるポリマー、ならびに分子量15000〜50000を有し、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートからなるポリマー(ここで、ポリエチレングリコール単位は1000〜10000の分子量を有し、エチレンテレフタレートとポリエチレンオキシド−テレフタレートのモル比が2:1〜6:1である)も適している。
【0049】
本発明による繊維洗濯洗剤は、蛍光増白剤として、ジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含有してよい。例えば、4,4'−ビス(2−アニリノ−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジニル−6−アミノ)スチルベン−2,2'−ジスルホン酸の塩、またはモルホリノ基の代わりにジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基または2−メトキシエチルアミノ基を有する同様の構造の化合物が適している。さらに、置換ジフェニルスチリルタイプの増白剤、例えば、4,4'−ビス(2−スルホスチリル)−ジフェニル、4,4−ビス(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ジフェニル、または4−(4−クロロスチリル)−4'−(2−スルホスチリル)−ジフェニルのアルカリ塩も存在してよい。前記蛍光増白剤の混合物も使用することができる。
【0050】
特に、機械による方法で使用する場合には、洗剤に、慣用の泡阻害剤を加えることが有利であり得る。泡阻害剤としては例えば、高い割合でC18〜C24脂肪酸を有する、天然または合成由来の石けんが適している。適切な非界面活性剤タイプの泡阻害剤は、例えば、オルガノポリシロキサン、およびこれと、極微小の、場合によってシラン化されているケイ酸との混合物、ならびにパラフィン、ロウ、微結晶性ロウ、およびこれらと、シラン化ケイ酸またはビス脂肪酸アルキレンジアミドとの混合物である。様々な泡阻害剤からなる混合物、例えば、シリコーン、パラフィンまたはロウからなる混合物を使用することも好ましい。好ましくは、泡阻害剤、特にシリコーンおよび/またはパラフィン含有泡阻害剤は、顆粒の水溶性または分散性担持物質と結合している。特にこの場合、パラフィンとビステアリルエチレンジアミドからなる混合物が好ましい。
【0051】
本発明による固体洗剤の製造は、公知の方法で、例えば、噴霧乾燥または顆粒化により行うことができ、ここで、酵素、および例えば漂白剤などの、場合によって使用するさらなる熱不安定性成分は、場合によっては後で別に加える。特には650g/l〜950g/lの範囲の高い嵩密度を有する本発明による洗剤を製造するためには、公知の押出ステップを有する方法が好ましい。顆粒化法を用いる他の好ましい製造は、欧州特許第0642576号(特許文献2)に記載されている。
【0052】
単相または多相、一色または多色で、特に一層または複数層から、特に二層からなってよい錠剤形態で、本発明による洗剤を製造するには、好ましくは、すべての成分を、場合によっては一層ずつ、ミキサーで相互に混合し、混合物を慣用の打錠で、例えば、偏心圧縮または回転圧縮により圧縮するというように行う。特に多層錠剤では、少なくとも1つの層を予め圧縮するのが有利であり得る。好ましくは、このように製造された錠剤は、10g〜50g、特に15g〜40gの重量を有する。錠剤の空間的形態は任意であり、円形、楕円形または角形でよく、中間の形態も可能である。角および縁は好ましくは、丸みを付けられている。円形錠剤は好ましくは、30mm〜40mmの直径を有する。特に、主に配量装置によって、例えば食器洗浄機に投入される角形または立方体に形成された錠剤のサイズは、これらの配量装置の寸法および体積に左右される。例示的な好ましい実施形態は、(20〜30mm)×(34〜40mm)、特に26×36mmまたは24×38mmの底面を有する。
【0053】
通常の溶媒を含有する溶液の形態の、液体またはペースト状の、本発明による洗濯洗剤または洗浄剤は、通常、そのままで、または溶液として自動ミキサーに加えることができる成分を単に混合することにより製造される。
【0054】
本発明により使用されるクロロフィラーゼのクローニングによる製造は、文献から公知であり(IntEnz Enzyme Nomenclature EC 3.1.1.1.14)、例えば、Tsuchiya等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96、15362〜15367(1999年)(非特許文献4)による。クロロフィラーゼの例は、Arabidopsis thaliana AT1G19670またはAT5G43860で知られている。ガラクトリパーゼは、EC 3.1.1.26、CAS登録番号:37278−40−3で知られている。
【発明を実施するための形態】
【0055】

1. E.coliでの組換えクロロフィラーゼの発現
ポリメラーゼ連鎖反応を用い、オリゴヌクレオチドCitrus_CHL_fwd_NdelおよびCitrus_CHL_rev_Xholをプライマーとして、cDNAプローブからクロロフィラーゼの遺伝子を増幅させた。適当な発現ベクター、例えばpET28a(Novagen)中に定方向クローニングするために、オリゴヌクレオチドに同時に、制限エンドヌクレアーゼ(NdeIおよびXhoI)の認識配列を組み込むこともできた。ベクターpET28aはバクテリオファージT7プロモーター系を含有し、C−末端および/またはN−末端のHisタグをコードしていた。増幅されたDNAを両方の制限エンドヌクレアーゼで消化させ、アガロースゲル上で分画し、精製したが、その際、対応するバンドをゲルから切り取り、抽出した。消化および精製されたPCR生成物を、同じ制限ヌクレアーゼで切断し脱リン酸化させた発現ベクターに連結した。続いて、連結したDNAを用いて、エレクトロコンピテントE.coli DH10B(Invitrogen)を形質転換させた。プラスの形質転換体を、コロニーPCR、制限酵素分析および塩基配列決定により同定することができた。
【0056】
クロロフィラーゼを発現させるために、E.coli Tuner(DE3)pLacl(Novagen)を、実証済みインサートを含有するプラスミドクローンで形質転換させることができた。培養物を、カナマイシン(50μg/ml)およびクロラムフェニコール(34μg/ml)を補充した2×YT培地中、37℃で培養した。約0.8の光学密度で、1mMのイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を添加することにより、発現を誘発した。続いて、培養を30℃で4〜6時間継続した。
【0057】
2. E.coliからの組換えクロロフィラーゼの精製
遠心により細胞を採取し、500mMNaCl、20mMイミダゾールおよび0.5mg/mlリゾチームを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に再懸濁させ、室温でインキュベートした。細胞を3回、液体窒素で凍結させ、続いて約42℃で解凍することにより、または超音波により破砕した。混合液を遠心したが、その際、クロロフィラーゼは、可溶性タンパク質として上澄み中に存在した。続いて、クロロフィラーゼを金属アフィニティークロマトグラフィーでさらに精製した。このために、金属アフィニティーマトリックスを、500mMNaCl、20mMイミダゾールおよび10%グリセロールを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8)で平衡させ、試料を施与した後にマトリックスを上記の緩衝液で洗浄し、続いて、クロロフィラーゼを、500mMNaCl、250mMイミダゾールおよび10%グリセロールを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8)で溶離した。
【0058】
3.クロロフィラーゼ活性の測定
発現させたクロロフィラーゼの活性を、生じる反応生成物であるクロロフィリドの高い水溶性に基づき決定した。反応を100μl混合液で実施したが、これは、100μMのホウレンソウ由来クロロフィル(Fluka)、20%アセトン(v/v)および100mMのNa−MOPS pH7.0を含有していた。反応混合液を振盪しながら37℃で60分間インキュベートし、次いで、アセトン50μl、n−ヘキサン50μlおよびTris−Cl5μl(2M;pH9.0)を加えることにより反応を停止した。混合物を激しく振盪することにより十分に均質化し、次いで、2分間遠心することにより相分離を促進した。クロロフィラーゼの反応により、水溶性クロロフィリドは下部の水相に存在し、未変換のクロロフィルは上部の有機相に存在した。定量するために、水相80μlにメタノール120μlを加え、励起クロロフィリドの蛍光を測定した(Ex355nm;Em660nm)。形成されたクロロフィリドの量を、標準の校正曲線により決定した。
【0059】
4. Pichia pastorisでの組換えガラクトリパーゼの発現
制限エンドヌクレアーゼKpnIおよびPagIのための認識部位が両脇に位置するヒト膵臓リパーゼ関連タンパク質2(一ガラクトリパーゼ)の合成遺伝子カセットをPichia発現ベクター、例えば、pGK1またはpGAPZαでクローニングした。このために、合成遺伝子も、続いてさらに脱リン酸化される対応する発現ベクターも、製造者の指示に従って、対応する制限エンドヌクレアーゼで消化した。消化された核酸をアガロースゲル電気泳動により大きさに応じて分画し、精製してから、製造者の指示に従ってT4 DNAリガーゼで連結した。連結されたDNAを用いて、続いて、エレクトロコンピテントE.coli DH10Bを形質転換した。陽性の形質転換体を、コロニーPCR、制限酵素分析および塩基配列決定により同定した。
【0060】
リパーゼを発現させるために、Pichia pastorisを実証済みのプラスミドクローンで形質転換した。トリブチリンを加えたYPDプレート上で、活性リパーゼ分泌の際のハロー形成に基づき発現を検出した。続いて、リパーゼ活性クローンの液体培養を、ゼオシン(100μg/l)を加えたYPD培地中で開始した。培養物を振盪しながら30℃で48〜72時間インキュベートした。その後、細胞を遠心により、リパーゼが存在する培養上澄みから分離した。培養上澄みをダイアフィルトレーションにより脱塩し、凍結乾燥により濃縮した。
【0061】
5. リパーゼ活性の測定
リパーゼの活性を、酪酸p−ニトロフェニルpNP−C4またはカプリル酸p−ニトロフェニルpNP−C8を加水分解する間に、405nmでの吸光の上昇により観察した。反応は、2mMのp−ニトロフェニルエステル、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8)および0.1%Triton X−100を含有する1ml混合液で実施した。405nmでの吸光の上昇を、少なくとも1分間にわたり連続して観察した。p−ニトロフェノールの吸光係数ε(pNP、405nm、pH8)=16.05mM−1cm−1を用いて、この上昇から体積活性を決定した。1単位は、上記の試験混合液中、22℃で1分間に1μmolのp−ニトロフェノールの遊離を触媒する酵素量に相当する。
【0062】
6. 葉緑体からのクロロフィリド遊離の測定
このアッセイのための葉緑体を、ホウレンソウの葉から単離した。このために、新鮮なホウレンソウの葉を海砂により乳鉢中で摩砕し、50mMリン酸カリウム緩衝液pH8および0.33Mスクロースと共に乳鉢中で均質化した。懸濁液を8層のガーゼで濾過し、細胞断片および残りの砂を、200xgでの1分間の遠心で除去した。続いて、上澄み中の葉緑体を、1000xgでの10分間の遠心によりペレット化した。葉緑体ペレットを、2mMのEDTA、1mMのMgClおよび0.33Mソルビトールを添加した50mMのHEPES pH7.6に再懸濁させた。80%アセトン中、652nmでの吸光を測定することにより、ε=34.5lg−1cm−1を用いてクロロフィル含有量を決定する。
【0063】
葉緑体からのクロロフィリド遊離を、反応生成物の水溶性の上昇により決定した。クロロフィル含有量10μgに相当する葉緑体を、様々な量のクロロフィラーゼ(例えば250ng)および/またはリパーゼ(例えば5UpNP−C4)を含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH8を含有する150μl反応混合液中で、40℃で60分間インキュベートした。続いて、葉緑体をペレット化し、上澄み中の遊離したクロロフィリドを定量した。クロロフィリド定量は、652nmでの吸光を測定することによるか、または60%MeOH中での蛍光を測定することにより(Em 355nm;Ex 655nm)行った。
【0064】
【表1】

【0065】
7. 繊維表面からの草のシミの除去
洗浄能を決定するために、布片の形の綿布(WFK 10A、Waeschereiforschung Krefeld)を、刈り取ったばかりの草で均一に着色した。エイジングのために、シミを少なくとも3日間、光の遮断下に乾燥貯蔵した。
【0066】
続いて、布片(約1cm)を初めに、クロロフィラーゼ約3μg(例2)およびガラクトリパーゼ約7.5U(pNP−C4)(例4)を含有する酵素溶液500μlで37℃で2時間処理した。続いて、布片を、洗濯洗剤溶液(Spee Color洗濯洗剤、Henkel Duesseldorf)を用いて40℃で手洗いした。続いて、クロロフィルを含有する汚れの除去レベルを白色度測定装置で決定した。デルタR値を、処理された試験布と未処理の試験布との差として報告する。
【0067】
洗浄結果(反射%)
布を洗った洗濯洗剤
Spee color液 反射率36.9%
Spee color液+クロロフィラーゼ 反射率44.6%
Spee color液+クロロフィラーゼ+ガラクトリパーゼ 反射率54.5%
【0068】
クロロフィラーゼと加水分解酵素との本発明による組合せは、加水分解酵素を添加せずにクロロフィラーゼを使用した場合よりも著しく改善された洗浄能を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロフィラーゼとさらなる加水分解酵素とを含有する洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項2】
前記加水分解酵素がリパーゼであることを特徴とする、請求項1に記載の洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項3】
前記加水分解酵素がガラクトリパーゼであることを特徴とする、請求項1に記載の洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項4】
1グラム当たり、クロロフィラーゼ0.0001mg〜10mgおよび加水分解酵素0.0001mg〜10mgを含有することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項5】
追加的にプロテアーゼを含有することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項6】
追加的にアミラーゼを含有することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯洗剤および洗浄剤。
【請求項7】
クロロフィルを含有する汚れを除去するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載の洗濯洗剤および洗浄剤の使用。

【公表番号】特表2011−521027(P2011−521027A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508826(P2011−508826)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003348
【国際公開番号】WO2009/141073
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【出願人】(510303486)ツェー−レクタ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】