説明

洗車機用布製ブラシおよびその製造方法

【課題】洗車機に装着した洗車用布ブラシにおいて、洗車性能およびワックス掛けが良好で耐久性が優れた洗車機用布製ブラシおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が2デシテックス以上20デシテックス以下の合成フィラメント繊維が編機によって編成された編物であって、かつ合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物で構成されていることを特徴とする洗車機用布製ブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、塵埃、土などで汚れた車の洗浄機に装着される布製ブラシであって、洗浄性およびワックス掛などに優れ、かつ、繰り返し使用において変退色が小さく、耐久性に優れた洗車機用布製ブラシおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗車機用ブラシとしては、回転軸の外周に合成繊維モノフィラメントを装着したもの(例えば、特許文献1参照)、スポンジ状のもの(例えば、特許文献2参照)、布製のもの(例えば、特許文献3および4参照)が提案されている。
【0003】
特許文献1では、合成繊維モノフィラメントを回転軸に埋め込んで洗車が行われている。該洗車ブラシは車体の表面を傷付けることなく、綺麗に洗車およびワックス掛けができ、好評であるが、多数の車を洗車した場合、繊維が契れて飛散し、洗車機周辺を汚してしまう、いわゆる、耐久性の面で問題があった。
【0004】
特許文献2では、合成樹脂発泡体が用いられている。該方法においても洗車およびワックス掛けはできるが、洗車時に車体との接触音が大きく、かつ、洗車した場合、発泡体が契れて飛散し、洗車機周辺を汚してしまう、いわゆる、耐久性の面で問題が残った。
【0005】
特許文献3では、洗車ブラシ材として長繊維不織布が用いられている。長繊維不織布にしたことによって騒音はかなり解消され、耐久性もかなり向上されたが、不織布のため、満足できるものではなかった。
【0006】
特許文献4では、極細繊維を含む布帛で構成されており、洗浄性、拭取性、耐騒音性などについてはかなり満足できるレベルであるが、繊維が細すぎるため、拭圧によって単糸切れが発生し、やはり耐久性の面で問題が残るものである。
【特許文献1】特開2000−142331号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097987号公報
【特許文献3】特許第3098630号公報
【特許文献4】特開2004−123091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、単繊維繊度を太くし、好ましくは経編構造にし、得られた編物を樹脂含浸および/またはコーティングでさらに補強・撥水した編物を洗車機に装着することによって、洗浄性、ワックス掛け性および耐久性面で優れた洗車機用布製ブラシおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)単繊維繊度が2デシテックス以上20デシテックス以下の合成フィラメント繊維が編機によって編成された編物であって、かつ合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物で構成されていることを特徴とする洗車機用布製ブラシ。
【0009】
(2)合成フィラメント繊維がポリエステル系繊維からなることを特徴とする前記(1)に記載の洗車機用布製ブラシ。
【0010】
(3)編機によって編成された編物が経編機によって編成された編物であることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0011】
(4)編機によって編成された編物が経編機によって編成された編物であって、構造がメッシュ構造の編物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0012】
(5)合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の樹脂量が編物重量に対し10〜90重量%付着していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0013】
(6)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物のスコット型モミ試験法による品質が4級以上であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0014】
(7)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の摩擦堅牢度試験法による表面の変退色が3級以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0015】
(8)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物のカンチレバー法で測定される曲げ硬さが1〜200g・cmであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0016】
(9)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の保水率が10〜150重量%であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0017】
(10)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の目付が10〜300g/m2であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0018】
(11)前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の厚さが0.1〜2.0mmの編物であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0019】
(12)合成樹脂が、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリメラミン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0020】
(13)合成樹脂が、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、およびパラフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【0021】
(14)合成フィラメント繊維を編機によって編成した編物を熱水中または温液中で処理し、編物表面および内部に含まれた油剤または糊材を脱落させた後、染色を行ってから合成樹脂を含浸および/またはコーティングすることを特徴とする洗車機用布製ブラシの製造方法。
【0022】
(15)合成樹脂の含浸を、浸漬法によって行うことを特徴とする前記(14)に記載の洗車機用布製ブラシの製造方法。
【0023】
(16)合成樹脂のコーティングを、噴霧、ドクター、ロール、コンマ、およびグラビアから選ばれる少なくとも1種のコーティング方法によって行うことを特徴とする前記(14)または(15)のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシの製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、単繊維繊度を太くし、好ましくは経編構造にし、得られた編物を樹脂含浸および/またはコーティングでさらに補強・撥水した編物を洗車機に装着することによって、洗浄性、ワックス掛け性および耐久性面で優れた洗車機用布製ブラシとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、さらに詳しく本発明について、説明する。
【0026】
本発明の洗車機用布製ブラシは、耐久性を向上するために単繊維繊度を太くし、ソフトな風合いを持たせるために、合成フィラメント繊維の編組織にし、さらに樹脂含浸および/またはコーティングしたことによってさらなる耐久性の向上を図り、該ソフト性が車表面や曲面に入り込み、洗浄性とワックス掛け性を高める効果が得られたものである。
【0027】
本発明の洗車機用布製ブラシに含まれる合成フィラメント繊維は、太さにおいて単繊維繊度が2デシテックス以上20デシテックス以下の合成フィラメント繊維であり、好ましい太さは3デシテックス以上15デシテックス以下、さらに好ましくは5デシテクッス以上10デシテクッス以下の合成フィラメント繊維である。2デシテックスを下回る場合には、細いため、拭圧に耐えられず単糸切れが発生して逆にゴミを発生することになり、20デシテックスを越える場合は太すぎるため洗車時に車体に傷を付ける危険性がある。
【0028】
編物を構成する合成フィラメント繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの繊維であればいかなる繊維でもよいが、なかでも、耐候性に優れたポリエチレンテレフタレート繊維およびこれらの共重合体などからなるポリエステル系繊維が好ましい。
【0029】
合成単繊維の集合体が短繊維で形成されるスパン糸であると、洗車時の圧拭によって短繊維が、拭圧に耐えられず単糸切れが発生してゴミを発生することになるため、本発明においては、洗車時の圧拭によって耐久性の大きい連続長繊維で形成されるマルチフィラメント糸が好ましい。フィラメント本数は5〜50本であり、好ましい本数は10〜45本、より好ましい本数は15〜40本である。
また、該合成フィラメント繊維は、生糸のまま使うことはできるが、予め、仮撚り、押し込み、擦過などの加工糸にして使うこともできる。
【0030】
本発明の洗車機用布製ブラシは、編物を使用する。織物は洗車圧拭において、反末から繊維がホツレるという欠点を有し、また不織布は構造がルーズなため、耐久性に乏しいという欠点を有する。
【0031】
編物は大別して緯編と経編に分けられる。緯編、経編いずれも用いることはできるが、編成において安定した寸法が得やすい経編がより好ましい。経編にはラッセル、トリコット、ジャージーなどの経編みなどが挙げられるが、柔軟な風合いを有するトリコットが好ましい。またメッシュ構造にすることがより好ましい。メッシュ構造とはネット状の構造を意味し、タテ、ヨコとも2〜20個/2.45cmの孔を有しており、好ましくは4〜18個/2.45cm、さらに好ましくは6〜16個/2.54cmである。2個を下回る場合は孔が大きすぎるため、たとえば車などのアンテナに掛かってアンテナを損傷する。
20個を上回る場合、泡立ち性や水切れせいが不足する。従ってメッシュ構造は洗車時の泡立ち性や水切れ性の面で有用である。
【0032】
次に、編成された編物を合成樹脂によって含浸および/またはコーティングされた編物について述べる。
【0033】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の耐久性は後述するスコット型モミ試験法によって測定され、品質は例えば洗車機に装着されたブラシの外観変化がわずかにある、4級以上が好ましい。外観変化があるものは耐久性の面で好ましくない。洗車用ブラシは、例えばガソリンスタンドなどの洗車機に装着し、屋外で洗車されるため、耐久性のあるブラシが望まれている。
【0034】
一方、別の耐久性の指標として車体表面との摩擦のみならず、濡れた布−布間の摩擦による耐久性も要求されている。前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の後述する摩擦堅牢度試験法による表面の変退色は3級以上であり、3級を下回る場合には商品価値がない。
【0035】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の後述するカンチレバー法で測定される曲げ硬さは、1〜200g・cmであることが好ましく、より好ましくは5〜175g・cmであり、さらに好ましくは10〜150g・cmである。1g・cmを下回る場合には、編物が柔らかすぎるために回転軸にブラシを装着した場合、洗車時においてヘタリが発生し、車体表面に届かず洗車できない。一方、200g・cmを上回る場合は硬過ぎるため、車体表面に傷を付けてしまう危険性があるため好ましくない。
【0036】
保水性の指標である保水率は、前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物で10〜150重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜125重量%であり、さらに好ましくは20〜100重量%である。10重量%を下回る場合には洗浄時の洗剤液およびワックス液を弾いてしまうため、洗車が十分に行うことができない。また150重量%を上回る場合には水分を含みすぎるため、泡立ちが不足し、洗車が不十分となり、ワックス掛けにおいてもワックス液が編物に吸収され、車体へワックスが移らないため、ワックス掛けが不十分となる。
【0037】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の目付は10〜300g/m2であることが好ましく、より好ましくは20〜250g/m2であり、さらに好ましくは30〜200g/m2である。10g/m2を下回る場合には、あまりにも軽すぎるため、洗車時にブラシが風にあおられ、車体まで届かないことから洗車およびワックス掛けができない。また300g/m2を上回る場合には、あまりにも重すぎるため、車体への衝撃が強すぎるため、騒音や車体への傷つきが発生する危険性があり、好ましくない。
【0038】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の厚さは0.1〜2.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.7mmであり、さらに好ましくは1.0〜1.5mmである。0.1mmを下回る場合には上記目付と同様、軽すぎるため、洗車できない。また、2.0mmを上回る場合も上記目付と同様、車体への傷つきが発生する危険性があるため好ましくない。
【0039】
樹脂含浸および/または樹脂コーティングは編物を補強または液含み量をコントロールする意味で重要である。
【0040】
樹脂は、補強の場合は合成樹脂がポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメラミン系樹脂などから選ばれた少なくとも一種の合成樹脂を含む合成樹脂を挙げることができるが、柔軟性の優れたポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0041】
一方、液含み量をコントロールする樹脂としては撥水性の合成樹脂としてシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、パラフィン系樹脂などが挙げられるが撥水耐久性の優れたフッ素系樹脂が好ましい。
【0042】
補強用の樹脂および撥水用の樹脂はそれぞれ単独で別々に用いることができるが、同時に用いることもできる。
【0043】
合成樹脂の付着量は編物重量に対し、10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。10%を下回る場合は補強力が不足し、90%を上回る場合は硬過ぎるため車表面を傷付ける危険性があり、好ましくない。樹脂量は上記の曲げ硬さ、目付、保水率の範囲に入るようコントロールすることにより選ぶことができる。
【0044】
本発明の洗車機用布製ブラシは、合成フィラメント繊維を編機によって編成した編物を熱水中または温液中で処理し、編物表面および内部に含まれた油剤または糊材を脱落させた後、染色を行ってから合成樹脂を含浸および/またはコーティングすることによって得ることができる。
【0045】
染色は、通常の染色方法で良いが、好ましくは耐光性の優れた染料を選ぶことが重要である。また、編物の硬さを調整するために合成樹脂を付着させることは重要である。編物の硬さを調整するための樹脂の付着方法は、合成樹脂を編物内部および/または表面に介在せしめるためには浸漬などの浸漬法が好ましく、表面に介在させる方法としては合成樹脂を噴霧やドクター、ロール、コンマ、グラビアなどのコーティング方法が挙げられるが塗布量の調整がし易いロールコーティングが好ましい。
【0046】
本発明の洗車機用布製ブラシは、合成フィラメント繊維を編機によって編成した編物に合成樹脂を付着させて適度な硬さ、保水性、目付にしたことによって耐久性のある布製ブラシが得られる。該ブラシは、洗車機に装着して使えば良く、特に限定されないが、例えば、回転軸に扇形または螺旋状に取り付けられた布製ブラシまたは短冊状にすることによって、洗車機用布製ブラシとして好適に使用され、特に自動車の洗車およびワックス掛け用として効果を奏するものである。
【実施例】
【0047】
以下実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。品質評価は次の方法に従った。
(1)耐久性評価方法
A.スコット型モミ試験法
JIS K 6722「ビニールレザークロス」(1994)を参考にスコット型モミ試験器を用い、スコット法(ストローク:15mm、圧力:2N、モミ回数:500回)で評価を行い、
判定は
5級:外観変化が全くないないもの
4級:外観変化がわずかにあるもの
3級:外観変化があるもの
2級:外観変化がかなりあるもの
1級:外観変化が著しいもの
とした。
【0048】
B.摩擦堅牢度試験法
JIS L0849「摩擦に対する染色堅牢度試験方法」(1996)を参考に、
試験片および摩擦布とも同素材とし、両素材を純水中に約10分浸漬してから取り出し、濾紙上に置き、余分な水分を除去した後、大栄精機製作所(株)製の学振型摩擦試験機に装着し、5,000回摩擦した後、摩擦布の変退色をミノルタ(株)製のスペクトロメーターCM−3600dで非摩擦部と摩擦部の明度差(△L値)で耐久性を評価した。
判定は△L値が
5級:1未満で良好
4級:1〜1.8未満でかなり良好
3級:1.8〜3.4未満で僅かに良好
2級:3.4〜6.8未満でかなり不良
1級:6.8以上で不良
とした。
(2)曲げ硬さ測定方法
JIS L1018「ニット生地試験方法」、剛軟度測定A−1法(カンチレバー法)で測定される。
判定は
○:1g・cm以上200g・cm以下の範囲のもの
×:上記範囲を外れるもの
とした。
(3)保水率(%)
試料(10cm×20cm)の重量を計り、2分間水中に浸す。次に濡れた試料を引き上げて1分間ドリップ後、重量を計り、浸漬前後の重量差を次の式で求めた。
【0049】
保水率(%)=100×{(A−B)/B}
A:浸漬後、取り上げた試料の重量
B:浸漬前の試料の重量
とした。
【0050】
判定は、
○:10重量%以上150重量%以下の範囲のもの
×:上記範囲を外れるもの
とした。
【0051】
(4)目付測定方法
試料(10cm×10cm)の重量を計って目付を求めた。
【0052】
判定は
○:10g/m2以上300g/m2以下の範囲のもの
×:上記範囲を外れるもの
とした。
(5)厚さ測定方法
大栄精機製作所(株)製の中型測厚器(型式:UF−60A)を用いて測定した。
判定は、
○:0.5mm以上2.0mm以下の範囲のもの
×:上記範囲を外れるもの
とした。
【0053】
(実施例1)
トータル繊度が110デシテックス、12フィラメントのポリエステル繊維(単繊維繊度が9.17デシテックス)を用い、220g/m2の目付になるように設計した経編地トリコットを作成した。次に60℃の湯水中で編地に付着した製糸油剤及び製織油剤を除去してから、日本化薬(株)製の分散染料KayalonPolyesterBlackEX−SF300を使って染色し、乾燥した。得られた編地を日華化学(株)のウレタン系樹脂に浸漬してからピックアップ90重量%で絞ったのち乾燥してキュアした。得られた編地の樹脂量は36重量%であった。得られた編地のカンチレバー法で測定される曲げ硬さは3.9g・cm、保水率47.2重量%、目付231g/m2、厚さ0.53mm、耐久性のスコット型モミ試験法による品質は4級であり、摩擦堅牢度試験法による表面の変退色は4級であり、耐久性の良い洗車機用布製ブラシであった。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例2)
トータル繊度が84デシテックス、36フィラメントのポリエステル繊維(単繊維繊度が2.3デシテックス)とトータル繊度が280デシテックス、48フィラメントのポリエステル繊維(単繊維繊度が5.8デシテックス)を用い、312g/m2の目付になるように設計したタテ6個/2.54cm、ヨコ11個/2.54cmのメッシュのトリコット経編地を作成した以外は実施例1と同様の方法で作成した。樹脂量は28重量%であった。得られた編地のカンチレバー法で測定される曲げ硬さは6.7g・cm、保水率56.6重量%、目付274g/m2、厚さ0.8mm、耐久性のスコット型モミ試験法による品質は5級であり、摩擦堅牢度試験法による表面の変退色は4級であり、耐久性の良い洗車機用布製ブラシであった。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
単繊維繊度が3.3デシテックスからなるポリエステル繊維をメルトブロー方式によって、不織布を作成してから、アクリル樹脂を含浸し、128g/m2目付とした。得られた不織布をグレー色に染色した。得られた不織布のカンチレバー法で測定される曲げ硬さは硬すぎて測定不能であり、保水率は111.7重量%、厚さ0.68mm、耐久性のスコット型モミ試験法による品質は1級であり、摩擦堅牢度試験法による表面の変退色は2級であり、耐久性の劣るものであった。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
トータル繊度が33デシテックス、12フィラメントの海島型繊維(海成分:テレフタル酸と5ナトリウムスルスルホイソフタル酸の共重合ポリエステル、島成分:ポリエステル100%、70本、海成分/島成分=20/80、島成分の単繊維繊度0.08デシテックス)を用い、目付が162g/m2になるように丸編地を編成した。得られた編地を80℃のアルカリ液中で脱海してから、日本化薬(株)製の分散染料KayalonPolyesterBlackEX−SF300を使って染色し、乾燥した。次に日華化学(株)のアクリル系樹脂に浸漬してからピックアップ90重量%で絞ったのち乾燥してキュアした。得られた編地のカンチレバー法で測定される曲げ硬さは155.5g・cm、保水率36.9重量%、目付222g/m2、厚さ0.58mm、耐久性のスコット型モミ試験法による品質は1級であり、摩擦堅牢度試験法による表面の変退色は1級であり、耐久性の劣るものであった。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維繊度が2デシテックス以上20デシテックス以下の合成フィラメント繊維が編機によって編成された編物であって、かつ合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物で構成されていることを特徴とする洗車機用布製ブラシ。
【請求項2】
合成フィラメント繊維がポリエステル系繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項3】
編機によって編成された編物が経編機によって編成された編物であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項4】
編機によって編成された編物が経編機によって編成された編物であって、構造がメッシュ構造の編物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項5】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の樹脂量が編物重量に対し10〜90重量%付着していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項6】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物のスコット型モミ試験法による品質が4級以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項7】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の摩擦堅牢度試験法による表面の変退色が3級以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項8】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物のカンチレバー法で測定される曲げ硬さが1〜200g・cmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項9】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の保水率が10〜150重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項10】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の目付が10〜300g/m2であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項11】
前記合成樹脂が含浸および/またはコーティングされた編物の厚さが0.1〜2.0mmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項12】
合成樹脂が、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリメラミン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項13】
合成樹脂が、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、およびパラフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシ。
【請求項14】
合成フィラメント繊維を編機によって編成した編物を熱水中または温液中で処理し、編物表面および内部に含まれた油剤または糊材を脱落させた後、染色を行ってから合成樹脂を含浸および/またはコーティングすることを特徴とする洗車機用布製ブラシの製造方法。
【請求項15】
合成樹脂の含浸を、浸漬法によって行うことを特徴とする請求項14に記載の洗車機用布製ブラシの製造方法。
【請求項16】
合成樹脂のコーティングを、噴霧、ドクター、ロール、コンマ、およびグラビアから選ばれる少なくとも1種のコーティング方法によって行うことを特徴とする請求項14または15のいずれかに記載の洗車機用布製ブラシの製造方法。

【公開番号】特開2007−231469(P2007−231469A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56012(P2006−56012)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】