説明

洗車機用洗浄ブラシのブラシ片及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】被洗浄面に強い付着力にて汚れ等がこびり付いている場合であっても、汚れ等を迅速に剥離させて除去できると共に、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮されると共に、洗浄時の接触音を低減できる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして斑点状に接触する複数の凸部が形成されてある構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、特に、合成樹脂発泡体のブラシ片に関して、無数の独立気泡を有する合成樹脂発泡体よりなるブロックをスライスして形成した複数のシート状洗浄体の基端部が回転体の外周にその回転軸線に略沿うようにそれぞれ取付けられていて、その各洗浄体の自由端側が該回転体の略放射方向に延びており、前記各洗浄体の自由端部には、それを複数のスリットにより細分化して、互いに平行に並ぶ横断面方形状の複数のブラシ毛が形成されており、その各ブラシ毛の、前記ブロックのスライス面で形成される平坦な側面が、該各ブラシ毛の先端側から見て前記回転体の回転軸線に対し傾斜するように、前記各洗浄体基端部の前記回転体に対する取付位置が設定されていることを特徴とする洗車機が、洗車機として、特開2002−316622号公報に開示されてある。
【0003】
また、回転軸の外周部に複数のブラシ片が形成されてある自動車用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体より形成されると共に、少なくとも表面に、所定の模様を有する緻密な凹凸形状が形成されてあることを特徴とする自動車用洗浄ブラシが、自動車用洗浄ブラシとして、実用新案登録第3087037号に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】 特開2002−316622号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3087037号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特開2002−316622号公報に開示されてある技術においては、洗浄体の自由端側を回転体の略放射方向に延ばし、洗浄体の自由端部を複数のスリットで細分化すると共に、洗浄体を回転体の回転軸線に対し傾斜して形成する事により、洗浄体の車体面への接触音の低減を図っているが、洗浄体を構成する各ブラシ毛は、前記公報の図7に記載されてある如く、平坦な側面が徐々に車体面に当たる構造であるので、接触音の低減は可能であるが、車体面にこびり付いた汚れ等を掻き出すように車体面から剥離させる事は、容易では無かった。
【0006】
また、実用新案登録第3087037号に開示されてある技術においては、ブラシ片に形成された所定の模様を有する緻密な複数の凸部が、被洗浄面に接触する構造の為、凸部は被洗浄面にたいして面接触していた。その為、凸部は被洗浄面の細かな汚れ等は迅速に除去できるが、被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を被洗浄面から除去させる事は、困難であった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、被洗浄面に強い付着力にて汚れ等がこびり付いている場合であっても、汚れ等を迅速に剥離させて除去できると共に、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮されると共に、洗浄時の接触音を低減できる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成する為に、第1の課題解決手段は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして斑点状に接触する複数の凸部が形成されてある構成としたものである。
【0009】
また、第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段のブラシ片において、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして筋状に接触する複数の凸部が形成されてある構成としたものである。
【0010】
また、第3の課題解決手段は、第1から第2の課題解決手段のブラシ片において、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいしてリング状に接触する複数の凸部が形成されてある構成としたものである。
【0011】
また、第4の課題解決手段は、第1から第3の課題解決手段のブラシ片において、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして概波状に接触する複数の凸部が形成されてある構成としたものである。
【0012】
また、第5の課題解決手段は、第1から第4の課題解決手段のブラシ片において、前記ブラシ片の少なくとも片面あるいは内面に前記ブラシ片の硬度よりも大の硬度を有する芯材が形成されてある構成としたものである。
【0013】
また、第6の課題解決手段は、第1から第5の課題解決手段のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシとしたものである。
【0014】
また、第7の課題解決手段は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第6の課題解決手段に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、少なくとも片面に被洗浄面にたいして斑点状に接触する複数の凸部が形成されてある為、被洗浄面に汚れ等が強い付着力にてこびり付いている場合であっても、複数の凸部が斑点状に接触する事により、接触する点にブラシ片の押付力が集中する。その為、被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、被洗浄面から掻き出すようにして剥離して除去する事ができる。
【0016】
また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、合成樹脂発泡体にて形成されてあるブラシ片の複数の凸部は、接触時に斑点状に接触の後、徐々に接触面積を大きくできる為、接触時の接触音を極力、抑制できる。その為、ブラシ片は、高い洗浄性、及び高い静音性を発揮できる。
【0017】
また、洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機は、前記ブラシ片を有している為、高い洗浄性、及び高い静音性を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、ブラシ片が合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして斑点状に接触する複数の凸部が形成されてある為、複数の凸部が斑点状に接触する事により、接触面にブラシ片の押付力が集中する。その為、被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、被洗浄面から掻き出すようにして剥離して除去する事ができる。また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、合成樹脂発泡体にて形成されてあるブラシ片の複数の凸部は、被洗浄面にたいしてブラシ片を押し付ける強さに応じて、斑点状の接触面の接触面積が変化する。その為、ブラシ片は、洗浄時の接触音を極力、抑制できると共に、高い洗浄性を発揮できる。また、接触して変形したブラシ片の凸部は、弾力性を有している為、接触している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。
【0019】
第2の発明は、ブラシ片が合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして筋状に接触する複数の凸部が形成されてある為、ブラシ片は、筋状に接触する凸部の端部に、ブラシ片の押付力が集中する。その為、ブラシ片は、被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば、樹脂製のヘラを被洗浄面に押し付けて擦り取るが如く、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、合成樹脂発泡体にて形成されてあるブラシ片の複数の凸部は、被洗浄面にたいしてブラシ片を押し付ける強さに応じて、筋状の接触面の接触面積が変化する。その為、ブラシ片は、洗浄時の接触音を極力、抑制できると共に、高い洗浄性を発揮できる。また、接触して変形したブラシ片の凸部は、弾力性を有している為、接触している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。
【0020】
第3の発明は、ブラシ片が合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいしてリング状に接触する複数の凸部が形成されてある為、ブラシ片は、複数の凸部が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば、樹脂製のコップで水分等を掬い取るが如く、被洗浄面上の洗浄水、汚れ等を保持する事ができる。また、保持した洗浄水、汚れ等を、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、合成樹脂発泡体にて形成されてあるブラシ片のリング状に接触する複数の凸部は、被洗浄面にたいしてブラシ片を押し付ける強さに応じて、リング状に接触する接触面積が、変化する。その為、ブラシ片は、洗浄時の接触音を極力、抑制できると共に、高い洗浄性を発揮できる。また、接触して変形したブラシ片の凸部は、弾力性を有している為、接触している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。さらにまた、ブラシ片は、リング状に接触する複数の凸部の内部に水等を一時、溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。
【0021】
第4の発明は、ブラシ片が合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして概波状に接触する複数の凸部が形成されてある為、ブラシ片は、複数の凸部が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば、概C字状の樹脂製のヘラで掻き出すが如く、被洗浄面上の洗浄水、汚れ等を、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、合成樹脂発泡体にて形成されてあるブラシ片の概波状に接触する複数の凸部は、被洗浄面にたいしてブラシ片を押し付ける強さに応じて、概波状に接触する接触面積が変化する。その為、ブラシ片は、洗浄時の接触音を極力、抑制できると共に、高い洗浄性を発揮できる。また、接触して変形したブラシ片の凸部は、弾力性を有している為、接触している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。さらにまた、ブラシ片は、概波状に接触する複数の凸部の奥部に水等を一時、溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。
【0022】
第5の発明は、第1から第4の発明のブラシ片において、前記ブラシ片の少なくとも片面あるいは内面に前記ブラシ片の硬度よりも大の硬度を有する芯材が形成されてある為、ブラシ片が被洗浄面に接触した時に、芯材はブラシ片を片面から押し付ける事ができる。その為、極めて強い毛腰を被洗浄面に付与できるので、洗浄性の向上が図られる。
【0023】
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシである為、ブラシ片の少なくとも片面に、被洗浄面にたいして斑点状、筋状、リング状、あるいは概波状に接触する複数の凸部が形成されてある。その為、ブラシ片は、複数の凸部が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、迅速、的確、かつ洗浄残し無く、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。また、ブラシ片は合成樹脂発泡体にて形成されてある為、ブラシ片が汚れ等を被洗浄面から剥離させて除去する時に、被洗浄面に傷を付ける事を防止できる。また、ブラシ片の少なくとも片面あるいは内面にブラシ片の硬度よりも大の硬度を有する芯材が形成されてある場合には、芯材はブラシ片を片面から押し付ける事ができる。その為、極めて強い毛腰を被洗浄面に付与できる。その為、被洗浄面である車体にたいする傷付きが無く、且つ高い洗浄性を兼ね備えた洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【0024】
第7の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有すると共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できる第1から第5の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を有する第6の発明に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機である為、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができると共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できる洗車機用洗浄ブラシが使用できる。その為、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシの回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無いと共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できる非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機を提供することができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1から図3にて実施例1を示す。図1(A)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。(B)は、(A)の断面図である。図2は、図1のブラシ片の使用時の断面図である。図3は、図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。
【0027】
ブラシ片1は、図1(A)及び(B)の如く、ブラシ片1は平板状にて形成されてあると共に、合成樹脂発泡体にて形成されてある。また、ブラシ片1の上面には複数の概山形形状を有する凸部2が形成されてあり、凸部2には端部3が形成されてある。また、ブラシ用毛材1の材質は、低密度ポリエチレン樹脂が使用されてある。
【0028】
ブラシ片1は、図3(A)の如く、台座72の外周の周りに、複数のブラシ片1を形成した洗車機用洗浄ブラシ70として使用される。洗車機用洗浄ブラシ70は、ブラシ片1、台座72、チャンネルブラシ73、及び止め金具74より構成されてある。台座72は、略円筒形状からなり、外周の両端部には止め金具74が組み付けられて形成されてある。チャンネルブラシ73は、ブラシ片1を芯線、及び概コの字断面を有する帯状体にて挟み付けて折り込んだ後、台座72の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具74にて固定されてある。
【0029】
また、ブラシ片1は、図3(B)の如く、台座82の外周の周りに、複数のブラシ片1を形成した洗車機用洗浄ブラシ80として使用される。洗車機用洗浄ブラシ80は、ブラシ片1、台座82、止め金具84、溝部85より構成されてある。台座82は、略円筒形状からなり、外周には、複数の溝部85が形成されてある。ブラシ片1は、概中央部にて折り込んで止め金具84にて固定した後、止め金具84を溝部85に勘合挿入する事により固定されてある。
【0030】
なお、洗車機用洗浄ブラシの構造に関しては、特に限定されるものではなく、上記の如くの構造以外にも、使用目的に応じて、適時、設定することができる。
【0031】
次に、図2(A)及び(B)にてブラシ片1の洗浄時の状態を説明する。車体面等の被洗浄面4には、砂塵6、16及び膜層汚れ7等の各種の汚れが付着している。洗浄時において、ブラシ片1は(A)の如く、回転方向Aにて、被洗浄面4に複数の凸部2が当接する事により、複数の接触面5が形成される。砂塵6、16及び膜層汚れ7等は、複数の凸部2の中間部にて捕捉される。次に、図2(B)の如く、ブラシ片1が被洗浄面4を押し付ける事により、複数の凸部2の中間部にて捕捉された砂塵6、16及び膜層汚れ7等は、被洗浄面4上から掻き出されるように剥離する。また、捕捉された砂塵6、16及び膜層汚れ7等は、複数の凸部2の中間部にて運ばれる為、洗浄残りが発生しない。
【0032】
上記の洗浄時において、ブラシ片1は、被洗浄面4にたいして複数の接触面5が斑点状に接触する。接触面5は、凸部2が押し潰されて形成されてある為、接触面5には、ブラシ片1の押付力が集中する。その為、被洗浄面4に砂塵6、16及び膜層汚れ7が強い付着力にてこびり付いている場合でも、ブラシ片1は、被洗浄面4から砂塵6、16及び膜層汚れ7等を、接触面5に集中した押付力にて、掻き出すようにして剥離して除去する。
【0033】
また、ブラシ片1は、合成樹脂発泡体にて形成されてある。その為、ブラシ片1が砂塵6、16及び膜層汚れ7等の汚れを被洗浄面4から剥離させて除去する時に、被洗浄面4に傷を付ける事を防止できる。複数の凸部2は、被洗浄面4にたいしてブラシ片1を押付ける強さに応じて、斑点状の接触面5の接触面積が変化する。その為、ブラシ片1は、洗浄時の接触音を極力、抑制できると共に、高い洗浄性を発揮できる。また、接触して変形したブラシ片1の凸部2は、弾力性を有している為、接触している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。
【0034】
実施例1のブラシ用毛材1は、上記の如くの構成となっているが、ブラシ用毛材1の材質については、低密度ポリエチレン樹脂の他にも、発泡体を形成することが可能な材質であるならば、合成樹脂の中からいずれの材質を選定しても、何ら支障は無い。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、各種エラストマー、合成ゴム等を使用できる。好適には、熱可塑性樹脂、あるいはポリオレフィン系樹脂が望ましく、より好適には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が望ましく、さらにより好適には、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂が望ましい。また、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することもできる。また、ポリウレタン、各種配合品等の熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーも、使用することができる。さらにまた、上記に記載の材質は、単独で用いられても併用されても良い。
【0035】
また、ブラシ用毛材1の凸部2の形状についても、上記の概山形形状以外にも、例えば、円錐形状、多角錐形状、概釣鐘形状等、被洗浄面4にたいして斑点状に接触する事が可能な形状であれば、適時、設定できる。また、複数の凸部2の配置形態についても、図1(A)の如くの整列された形態以外にも、所定の位相差を有して配置する形態、不規則に配置された形態等、被洗浄面4にたいして斑点状に接触する事が可能な形状であれば、適時、設定できる。
【実施例2】
【0036】
図4にて実施例2を示す。図4は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【0037】
他の実施の形態のブラシ片11は、図4(A)の如く、合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあると共に、上面に複数の概三角柱形状の凸部12が、長手方向に並列して形成されてある。また、凸部12には筋状の端部13が形成されてある。ブラシ片11は、実施例1と同要領にて洗車機用洗浄ブラシを製作する事により洗浄に使用される。洗浄時におけるブラシ片11は、筋状の端部13が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば樹脂製のヘラを被洗浄面に押し付けて擦り取るが如く、被洗浄面から剥離させて除去する。
【0038】
また、他の実施の形態のブラシ片21は、図4(B)の如く、合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあると共に、上面に複数の概円筒形状の凸部22が、形成されてある。また、凸部22にはリング状の端部23が形成されてある。洗浄時におけるブラシ片21は、リング状の端部23が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば、樹脂製のコップで水分等を掬い取るが如く、被洗浄面上の洗浄水、汚れ等を保持する事ができる。また、保持した洗浄水、汚れ等を、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。
【0039】
また、他の実施の形態のブラシ片31は、図4(C)の如く、合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあると共に、上面に複数の概柱形状の凸部32が、形成されてある。また、凸部32には概波状の端部33が形成されてある。洗浄時におけるブラシ片31は、概波状の端部33が被洗浄面に強い付着力にてこびり付いている汚れ等を、例えば、概C字状の樹脂製のヘラで掻き出すが如く、被洗浄面上の洗浄水、汚れ等を、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。ブラシ片31は、凸部32以外にも、概U字状の端部43を有する凸部42、概弓状の端部53を有する凸部52が形成されてある。
【0040】
また、他の実施の形態のブラシ片41は、図4(D)の如く、合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあると共に、上面に図4(A)〜(C)の凸部12、22、32、42、52が形成されてある。洗浄時におけるブラシ片41は、さまざまな形状の端部が被洗浄面に接触する事により、被洗浄面に強い付着力にてこびり付いているさまざまな汚れ等を、洗浄残りを発生させる事無く、被洗浄面から剥離させて除去する事ができる。
【実施例3】
【0041】
図5にて実施例3を示す。(A)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。(B)は、(A)のブラシ片の使用時の断面図である。(C)は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【0042】
実施例3のブラシ片61は、図5(A)の如く、前記実施例1にて記載のブラシ片1の片面にブラシ片1の硬度よりも大の硬度を有する芯材9が形成されてある。ブラシ片61は、洗浄時において、(B)の如く、ブラシ片61が被洗浄面4に接触した時に、芯材9がブラシ片1を片面から押し付ける。その為、極めて強い毛腰を被洗浄面4に付与できるので、砂塵6、16及び膜層汚れ7等は、被洗浄面4上から強力に掻き出されるように剥離する。
【0043】
また、(C)にて実施例3の他の実施の形態のブラシ片71を説明する。ブラシ片71は、(C)の如く、前記実施例1にて記載の2枚のブラシ片1の間に、ブラシ片1の硬度よりも大の硬度を有する芯材9が挟み込まれて形成されてある。ブラシ片71は、両面に凸部が形成されてある為、洗浄時において、ブラシ片71が被洗浄面4に接触する状態がいかなる場合であっても、芯材9がブラシ片1を押し付ける。その為、極めて強い毛腰を被洗浄面4に付与できるので、高い洗浄性を発揮できる。
【実施例4】
【0044】
図6にて実施例4を示す。図6は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。
【0045】
洗車機67は、図6の如く、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されてあり、前記洗車機用洗浄ブラシ66は駆動源68により回転される。ノズル69からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ66により、洗浄され、洗浄後は洗車機67の乾燥手段である乾燥機90により被洗浄面が乾燥される。
【0046】
洗車機67は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有すると共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できるブラシ片を有する洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されてあるので、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができると共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できる洗車機用洗浄ブラシ66が使用できる。その為、洗車機67は、洗車機用洗浄ブラシ66を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ66の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機67に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無いと共に、洗浄時の接触音を、極力、低減、あるいは抑制できる非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機67を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシ、及び洗車機用洗浄ブラシのブラシ片として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 (A)、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図 (B)、(A)の断面図
【図2】 図1のブラシ片の使用時の断面図
【図3】 図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図4】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図
【図5】 (A)、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図 (B)、(A)のブラシ片の使用時の断面図 (C)、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図
【図6】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図
【符号の説明】
【0049】
1、11、21、31、41、61、71 ブラシ片
2、12、22、32、42、52 凸部
3、13、23、33、43、53 端部
4 被洗浄面
5、15、25 接触面
6、16 砂塵
7 膜層汚れ
9 芯材
66、70、80 洗車機用洗浄ブラシ
67 洗車機
68 駆動源
69 ノズル
72、82 台座
73 チャンネルブラシ
74、84 止め金具
90 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして斑点状に接触する複数の凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして筋状に接触する複数の凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項3】
請求項1から2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいしてリング状に接触する複数の凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面に被洗浄面にたいして概波状に接触する複数の凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項5】
請求項1から4記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記ブラシ片は合成樹脂発泡体にて平板状にて形成されてあり、前記ブラシ片の少なくとも片面あるいは内面に前記ブラシ片の硬度よりも大の硬度を有する芯材が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項7】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項6記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−289600(P2007−289600A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143346(P2006−143346)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】