洗車機
【課題】 フレームに設けた回転支持軸に、円盤状の洗浄体を回転支持軸21の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機において、洗浄ブラシの洗浄体の角により被洗浄車両の車体の塗装表面を傷めるのを防止することができる。
【解決手段】 トップブラシ13を構成する洗浄体61A,61Bは布からなり、その外周縁に繊維端の角を落す角落し加工をする。
【解決手段】 トップブラシ13を構成する洗浄体61A,61Bは布からなり、その外周縁に繊維端の角を落す角落し加工をする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの被洗浄車両の車体面に洗浄体を回転させつつ追従接触させて車体面を洗浄するようにした洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機は公知である(後記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−282451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、かかる洗車機は、洗浄ブラシが、被洗浄車両の車体面に対して移動するとき、洗浄体の車体面に接触する外周面を左右方向に移動させることができ、車体面の洗浄効果を向上させるという利点がある。
【0004】
ところで、かかる洗車機では、洗浄体が、これを支持する回転支持軸の回転軸線に対して傾斜しており、その洗浄体の外周縁の角が車体面に接触した状態で、洗浄体が回転してその車体面を洗浄することになるため、洗浄体の角で車体面を擦り過ぎて、その塗装表面を傷めることがあるという問題があり、前記特許文献1に開示されるもののように、洗浄体を布により形成しても前記問題を解決するには至っていない。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、布からなる洗浄体の外周縁の繊維端の角をなくすことにより、前記問題を解決できるようにした、新規な洗車機を洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的達成のため、請求項1記載の発明は、フレームに設けた回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機において、
前記洗浄体は、布から構成されており、その外周縁の繊維端の角を落す角落し加工したことを特徴としている。。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、洗浄ブラシの洗浄体の角により被洗浄車両の車体の塗装表面を傷めるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0009】
図1は、本発明洗車機の全体側面図、図2は、図1の2−2線に沿う洗車機の正面図、図3は、図1の3−3線に沿う洗車機の背面図、図4は、図2の4矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図、図5は、図1の5矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図、図6は、洗浄体素材の側面図、図7は第1の洗浄体の正面図、図8は第2の洗浄体の正面図、図9は、図8の9−9線に沿う断面図、図10は、角落し加工機の正面図、図11は、図10の11−11線に沿う断面図、図12は、洗浄体素材の角落し加工を示す模式説明図、図13は、トップブラシによる自動車の洗浄過程を示す図、図14は、トップブラシの、車体上面洗浄時の状態を示す図、図15は、サイドブラシによる車体側面洗浄時の状態を示す図、図16は、トップブラシ(サイドブラシ)の進行方向に対する洗浄体の傾斜角を示す図である。
【0010】
図1〜3において、洗車機の洗車機本体1は、被洗浄車両としての自動車Vを跨ぎ得る、フレームとしての門型の走行フレーム2を備え、この走行フレーム2は、走行モータ3,3で駆動される左右一対の駆動輪4,4と左右一対の従動輪5,5により左右一対の走行レール6,6を往復走行する。一方の走行モータ3の出力軸には、洗車機本体1の走行位置を検出するロータリエンコーダ51が設けられている。
【0011】
走行フレーム2の上部には、その左右方向に延びる昇降駆動軸7が回転自在に支持され、この昇降駆動軸7の一端には、後述のトップブラシ13の昇降位置を検出するロータリエンコーダ28が設けられている。
【0012】
また、走行フレーム2の左右側部には、上下方向に延びる左右一対のガイドレール8,8が一体に設けられている。ガイドレール8,8は横断面コ字状に形成されており、これらのガイドレール8,8には、このガイドレール8,8の内側壁で案内される2個のローラ9,9とガイドレール8,8の内奥壁で案内される1個のローラ10とを有する左右一対の台車11A,11Bがそれぞれ昇降できるように設けられている。
【0013】
一対の台車11A,11Bには、トップブラシ13のトップブラシ支持軸12の両端が固定されており、このトップブラシ支持軸12には、後述するトップブラシ13が回転自在に支持されている。そして、トップブラシ13は、一対の台車11A,11Bと共に左右一対のガイドレール8,8に案内される。
【0014】
図2に示すように、走行フレーム2の一側上部には、昇降モータ14が設けれられている。昇降モータ14の出力軸に固定したスプロケット15と昇降駆動軸7に固定したスプロケット16には無端状のチエン17が巻き掛けられている。また、昇降駆動軸7の両端部には、スプロケット18,18が固定され、一方、走行フレーム2の左右下部には、これらのスプロケット18,18に対応する他のスプロケット19,19が回転自在に支持されており、これらのスプロケット18,18,19,19には、チエン20,20がそれぞれ巻き掛けられており、これらのチエン20,20の両端は、前記台車11A,11Bの上下部にそれぞれ接続されている。
【0015】
しかして、昇降モータ14を駆動すると、左右一対の台車11A,11Bは、案内レール8,8の案内されて同調、昇降される。
【0016】
図2に示すように、トップブラシ13(後に詳述)の、パイプよりなる回転支持軸21は、トップブラシ支持軸12に軸受を介して回転自在に支持されており、この回転支持軸21の、一方の台車11Bに近い一端には、スプロケット22が一体に設けられている。一方の台車11Bには、ブラシ回転モータ23が設けられており、このブラシ回転モータ23の出力軸に設けられたスプロケット24と前記スプロケット22には無端状のチエン25が巻き掛けられている。そして、ブラシ回転モータ23の駆動によれば、トップブラシ13の回転支持軸21が回転駆動される。
【0017】
また、図2に示すように、他方の台車11Aを案内するガイドレール8の下部と上部には、この台車11Aが下限位置にあることを検出する下限検出スイッチ26と、台車11Aが上限位置にあることを検出する上限検出スイッチ27とがそれぞれ設けられている。
【0018】
図1,3に示すように、走行フレーム2の往行方向後側の上部には、その走行フレーム2の左右方向に延びる案内レール31が支持され、この案内レール31の上部および下部には山形レール31A,31Bが固定されている。案内レール31には、左右一対の台車32L,32Rがそれぞれ往復走行可能に支持され、各台車32L,32Rの上部には、山形レール31A上を転動する駆動輪33および遊輪34が回転可能に支持され、また各台車32L,32Rの下部には、山形レール31B上を転動する一対の遊輪35,35が回転可能に支持されている。各台車32L,32Rには、トルクモータ36L,36Rがそれぞれ支持され、これらのトルクモータ36L,36Rの出力軸に前記駆動輪33,33がそれぞれ連結されている。
【0019】
しかして、各トルクモータ36L,36Rを駆動すれば、各台車32L,32Rをそれぞれ案内レール31に沿って往復走行させることができる。
【0020】
図1,3に示すように、各台車32L,32Rの中間部には、横方向に延びる支持軸37がそれぞれ固定され、これらの支持軸37には、ブラシ支持筒38が軸受を介してそれぞれ左右方向に揺動可能に支持されている。ブラシ支持筒38は上下方向に延びており、そこに、上下方向に延びる回転軸39が回転自在に支持され、その回転軸39には、後に詳述するサイドブラシ40が設けられている。
【0021】
図1,3に示すように、各ブラシ支持筒38の上部には、モータベース41が固定され、そのモータベース41には、回転モータ42が設けられている。回転モータ42の出力軸に設けたスプロケット43と前記回転軸39の上端に設けたスプロケット44間には無端状のチエン45が掛け渡されている。
【0022】
しかして、回転モータ42を駆動して、後述のサイドブラシ40を回転させることができる。
【0023】
図3に示すように、台車32L,32Rには、支持軸37よりも上部で、ブラシ支持筒38の両側においてストッパー46,47がそれぞれ設けられている。各ブラシ支持筒38は、ストッパー46,47の間において揺動できるようになっており、ブラシ支持筒38がストッパー46に当たると、サイドブラシ40が鉛直位置(図3の位置)になり、またブラシ支持筒38がストッパー47に当たると、サイドブラシ40が傾斜位置になるようにされている。
【0024】
案内レール31の中央部には、台車36L,36Rがそれぞれ閉じた位置(図3位置)にあることを検出する閉スイッチ48L,48Rが設けられ、また案内レール31の左右側部には、台車36L,36Rがそれぞれ開いた位置にあることを検出する開スイッチ49L,49Rが設けられている。
【0025】
図1に示すように、洗車機の設置面上には、スタート位置カム52が設けられ、一方、走行フレーム2には、そのスタート位置カム52に当たって洗車機本体1がスタート位置にあることを検出するスタート位置検出スイッチ53が設けられている。
【0026】
図1,2に示すように、走行フレーム2のトップブラシ13よりも前部には、自動車V(図15参照)の上面位置を検出する車両上面位置検出手段54が設けられている。この車両上面位置検出手段54は、走行フレーム2の左右両側で上下方向にそれぞれ配列される、第1の光電センサ群54A,54B,54C・・・・54Nと、第2の光電センサ群54A′,54B′,54C′・・・・54N′とより構成されており、第1の光電センサ群54A,54B,54C・・・・54N群はそれぞれ投光器であり、第2の光電センサ群54A′,54B′,54C′・・・・54N′はそれぞれ受光器である。
【0027】
そして、図2中、2点鎖線Lは、第1の光電センサ54Aと第2の光電センサ54A′間の光軸を示している。
【0028】
図1に示すように、走行フレーム2の前面には、この洗車機を作動制御するための制御盤55が設けられており、この制御盤55内には、走行フレーム2に設けられる洗車機器を制御する制御装置56が設けられている。
【0029】
図1中、符号57は、自動車Vの車体上面に乾燥エアーを吹き付けるためのトップノズル、符号58,58は、自動車Vの車体両側面に乾燥エアーを吹き付けるための一対のサイドノズルである。
【0030】
なお、図示しないが、走行フレーム2には、自動車Vに洗浄水を噴射する、従来公知の洗浄水噴射装置が設けられている。
【0031】
つぎに、図2に、図4,図6〜9を併せ参照して本発明にかかるトップブラシ13の構造について説明する。
【0032】
トップブラシ13は、左右の台車11L,11Rに固定のトップブラシ支持軸12と、この支持軸12に軸受を介して回転自在に支持される、パイプよりなる回転支持軸21と、この回転支持軸21にリベットRで固定される複数の洗浄体ユニット60とより構成されており、各洗浄体ユニット60は、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61Bとを備えており、取付部62と押え板63とにより回転支持軸21に固定される。
【0033】
図4,7に示すように、第1の洗浄体61Aは不織布より円盤状に形成され、その放射方向に複数の山折と谷折とを交互に有してり周方向に波状に形成されてなる洗浄体素材64を、複数枚(5枚)重ね、それらを図7に示すように、N2,N3,N4位置で同心円状に縫合して構成されている。
【0034】
この第1の洗浄体61Aの作り方について説明すると、図6に示すように、不織布よりなる矩形状の洗浄体素材64の両端N1,N1を縫合してリング状にする。つぎに、リング状の洗浄体素材64を図6に示す複数位置で山折と谷折りして、図7に示すように円盤状にする。つぎに、ビク型(トムソン型)で円形Cに切断し、複数のボルト穴H1を明けることで作られる。
【0035】
また、図8,9に示すように、第2の洗浄体61Bは、前述のように構成される洗浄体素材64と、他の洗浄体素材65とより構成される。
【0036】
この第2の洗浄体61Bの作り方について説明すると、前述の洗浄体素材64を複数枚(5枚)重ね、その一側面に図9に示すように、他の洗浄体素材65を複数枚(2枚)重ね、それらを図8に示すN2,N3,N4位置で同心円状に縫合することで作られる。
【0037】
他の洗浄体素材65は、図8に示すように、平板状の不織布をビク型(トムソン型)で、前記洗浄体素材64の円形Cと同じ外形寸法になるように円形に切断する。つぎに、取付穴H2と、その外周部に周方向に間隔をあけて複数のボルト穴H1を明けることで作られる。
【0038】
つぎに、前述のようにして作られた、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bとよりなる洗浄体ユニット60の作り方について説明する。
【0039】
1つの第1の洗浄体61Aと、2つの第2の洗浄体61Bを用意し、図4に示すように、第2の洗浄体61Bの、平板状の他の洗浄体素材65が両外になるようにして、第1の洗浄体61Aを第2の洗浄体61Bで挟み、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61B,61Bを、取付部62のフランジ部62Fと押え板63との間に重ね、それらを複数のボルト・ナット66で固定する。
【0040】
図4に示すように、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61Bとよりなる洗浄体ユニット60は、回転支持軸21に取り付けた状態で、回転支持軸21の回転軸線と直交する直角面に対して傾斜角度β(約20度)傾斜している。
【0041】
つぎに、図1,3に図5を併せ参照して本発明にかかるサイドブラシ40の構造について説明する。
【0042】
このサイドブラシ40は、下段サイドブラシ40A、中段サイドブラシ40Bおよび上段サイドブラシ40を、前記回転軸39に固定した、パイプよりなる回転支持軸67に縦列固定して構成されている。
【0043】
下段サイドブラシ40A、中段サイドブラシ40Bおよび上段サイドブラシ40Cはそれぞれ洗浄体ユニットが別の構造を備えており、下段サイドブラシ40Aは、図5に示すように、回転支持軸67に、前記洗浄体ユニット60と同じ構造で外形寸法が相違(洗浄体ユニット60よりも若干小径)の洗浄体ユニット60Aとスポンジ円盤68とを交互に取り付けて構成されている。スポンジ円盤68は、その中央部に前記取付部62のボス部62Aの外形寸法よりも若干小さい取付穴69が斜めに明けられており、この取付穴62の弾性による摩擦力でボス部62Aに取り付けられている。
【0044】
また、前記中段サイドブラシ40Bは、図1,3に示すように、回転支持軸67に、発泡体(スポンジ)からなり外周部を切込みにより分割してなる複数の発泡洗浄体60Cを放射状に取り付けて構成されている。そして、中段サイドブラシ40Bは、上部ブラシ40Buと、中間部ブラシ40Bnと、下部ブラシ40Blとよりなり、上部ブラシ40Buと下部ブラシ40Blは半円状に取り付けられて位相が180度ずらされている。
【0045】
さらに、前記上段サイドブラシ40Cは、回転支持軸67に、前記洗浄体ユニット60と同じ構造で、外形寸法が相違の複数の洗浄体ユニット60Bを取り付けて構成されており、それらの洗浄体ユニット60Bの回転支持軸67に対する取付角は、洗浄体ユニット60Aと同じである。
【0046】
前記洗浄体ユニット60,60A,60Bは、ビク型による切断面の繊維の角、すなわち切断角(図12参照)をなくすために、角落し加工を行う。
【0047】
洗浄体ユニット60,60A,60Bはいずれも同じ角落し加工を行うので、以下に、図10〜12を参照し、洗浄体ユニット60を選択してその角落し加工を説明する。
【0048】
前記洗浄体ユニット60を支持台71に回転自在に支持し、これを支持台71に設けたモータ72により回転駆動させる。洗浄体ユニット60の下で複数のシリンダ73により昇降可能に設けた昇降台74の上面にサンドペーパー75を敷設する。図10,11実線に示すように、洗浄体ユニット60がサンドペーパー75と接触してない状態から、昇降台74を緩徐に上昇させると、図10,11に2点実線で示すように、回転している洗浄体ユニット60の外周にサンドペーパー75の研磨材面を接触させる。これにより、切断面の繊維の角、すなわち切断角(図12参照)をなくすことができる。
【0049】
なお、この実施例では、切断面の繊維の角は、斜面に研磨されてなくなるが、他の角落し加工により、その角に丸みをつけるようにしてもよい。
【0050】
つぎに、主に、図13を参照して、この実施例の作用について説明する。
【0051】
洗車機に設けた、図示しないスタートキーが押されると、洗車機本体1はスタート位置から往走行する。この往走行時に、トップブラシ13およびサイドブラシ40,40で被洗浄車両、この実施例では自動車Vの車体面を洗浄する。
【0052】
トップブラシ13は、車両上面検出手段54で検出した車両上面位置と、ロータリエンコーダ51で検出した洗車機本体1の走行位置と、ロータリエンコーダ28で検出したトップブラシ13の昇降位置とにより、車両上面から一定距離で車両上面に追従するように、昇降モータ14を制御することで昇降される。
【0053】
一方、サイドブラシ40,40は、トルクモータ36L,36Rを制御することで、一定の押付力で車体側面に接触する。
【0054】
ところで、トップブラシ13による自動車Vの洗浄過程において、トップブラシ13の回転により、図14(A),(B)に示すように、洗浄体素材64,65の外周部が、自動車Vの車体面上を左右に移動する。この左右移動により、洗浄体素材64,65は、図16に示すようにトップブラシ13の進行方向に対して斜め方向a,bに左右に移動する。この斜め方向a、bの移動により洗浄効果を向上させることができ、その結果、洗浄時間を短くすることができる。
【0055】
ここで、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの傾斜角と洗浄効果および洗浄時間との関係について考察してみるに、それらの洗浄体61A,61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での回転軸線と直交する直角面に対する傾斜角βが15度未満であるとき(前記特許文献1に開示のもの)は、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの左右移動の最大角度α(図16に示す)が小さく、所定の洗浄時間内での所期の洗浄効果が得られず、洗浄時間を短くすることができる程度にするには困難であり、また、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での前記傾斜角βが、25度を超えると、洗浄体61Aおよび第2の他の洗浄体61Bが左右に傾斜したときの車体表面に接触する力が小さく、所定の洗浄時間内での所期の洗浄効果が得られず、洗浄時間を短くすることができる程度にするには困難であることが判明した。
【0056】
それに対し、洗浄体61Aおよび洗浄体61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での前記傾斜角を、図16にβで示すように15〜25度(特に、20度)に特定すると、洗浄体61Aおよび他の洗浄体61Bが左右に傾斜したときの車体表面に接触する力を十分に確保しながら、それらの移動方向の角度を大きくすることができ、その結果、洗浄効果を向上でき、洗浄時間を短くすることができる。
【0057】
図16において、洗浄体素材64,65の先端は、移動方向a,bで示す方向に移動しその移動方向は範囲am〜bm間で変化する。また前記傾斜角βが15度未満のときの前記移動方向の最大角度αをα1とし、βが15度〜25度のときのαをα2とし、βが25度を越えたときのαをα3とすれば、
α1<α2<α3となる。
【0058】
また、洗浄体素材64,他の洗浄体素材65の切断面は、走行フレーム2の走行に伴い、図12において、紙面と略直角方向に移動するため、前述の角落し加工を行わないと、その切断面の車体表面と接触する切断角で、その車体の塗装表面に傷を付ける恐れがあるが、この実施例では、布から成る洗浄ユニット60の、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの外周縁の切断面の角、すなわち繊維端の角に角落し加工を行うことによりその恐れを防止できる。
【0059】
また、洗浄体ユニット60,60A,60Bの両側を、折り曲げのない平板状の他の洗浄体素材65にし、その中間を折り曲げ構造の洗浄体素材64にしたので、外側の他の洗浄体素材65と中間の洗浄体素材64の間には空間部が形成されて、全体として洗浄体ユニット60,60A,60Bにボリュ−ム感を出すすことができて、その外観上の見栄えを良好にすることができ、また、洗浄体素材64の折り曲げ部分が車体に引っ掛かることを他の洗浄体素材65で防止することができる。さらに、洗浄体64の折り曲げ構造により、洗浄体素材64と他の洗浄体素材65が相互にばらけることができ、すなわちトップブラシ13は、図2において左右方向に、またサイドブラシ40,40は図3において上下方向にばらけることができ、洗浄効果を向上できる。
【0060】
サイドブラシ40,40は、洗浄体素材64、他の洗浄体素材65の外周部が上下に移動する。これにより、トップブラシ13と同様の効果を生じる。
【0061】
また、下段サイドブラシ40Aは、図5に明瞭に示すように、洗浄体ユニット60Aとスポンジ円盤68とが交互に配設されるので、自動車Vのタイヤハウスに洗浄体素材64、他の洗浄体素材65が入り込んで、それらの素材64,65や車体が傷むことを防止できる。
【0062】
さらに中段サイドブラシ40Bの中間部ブラシ40Bnは、発泡体により構成したので、ドアミラーMやフェンダミラーなどの車体の上下方向の中間部分より突出する付属機器が破損するのを防止できる。
【0063】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0064】
たとえば、前記実施例では、本発明を、被洗浄車両に対し洗車機本体1を走行させる洗車機に実施した場合を説明したが、コンベアなどの移送手段により被洗浄車両を移送する洗車機にも実施できる。
【0065】
また、本発明は、洗浄体素材64、他の洗浄体素材65に不織布を用いたが、これに代えて織布、編布などの他の布を用いることができる。また、洗浄体素材64において、ビク型で円形Cに切断しない場合には、図6に示す加工途中の矩形の状態で、サンドペーパーを掛けて切断面の繊維の角をなくすことを行い角落し加工としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明洗車機の全体側面図
【図2】図1の2−2線に沿う洗車機の平面図
【図3】図1の3−3線に沿う洗車機の後面図
【図4】図2の4矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図
【図5】図1の5矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図
【図6】洗浄体素材の側面図
【図7】第1の洗浄体の正面図
【図8】第2の洗浄体の正面図
【図9】図8の9−9線に沿う断面図
【図10】角落し加工機の正面図
【図11】図10の11−11線に沿う断面図
【図12】洗浄体素材の角落し加工を示す模式説明図
【図13】トップブラシによる自動車の洗浄過程を示す図
【図14】トップブラシの、車体上面洗浄時の状態を示す図
【図15】サイドブラシによる車体側面洗浄時の状態を示す図
【図16】トップブラシ(サイドブラシ)の進行方向に対する洗浄体の傾斜角を示す図
【符号の説明】
【0067】
2・・・・・・・・・・・フレーム(走行フレーム)
21・・・・・・・・・・・回転支持軸
13・・・・・・・・・・洗浄ブラシ(トップブラシ)
40・・・・・・・・・・洗浄ブラシ(サイドブラシ)
61A・・・・・・・・・洗浄体(第1の洗浄体)
61B・・・・・・・・・洗浄体(第2の洗浄体)
67・・・・・・・・・・・回転支持軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの被洗浄車両の車体面に洗浄体を回転させつつ追従接触させて車体面を洗浄するようにした洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機は公知である(後記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−282451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、かかる洗車機は、洗浄ブラシが、被洗浄車両の車体面に対して移動するとき、洗浄体の車体面に接触する外周面を左右方向に移動させることができ、車体面の洗浄効果を向上させるという利点がある。
【0004】
ところで、かかる洗車機では、洗浄体が、これを支持する回転支持軸の回転軸線に対して傾斜しており、その洗浄体の外周縁の角が車体面に接触した状態で、洗浄体が回転してその車体面を洗浄することになるため、洗浄体の角で車体面を擦り過ぎて、その塗装表面を傷めることがあるという問題があり、前記特許文献1に開示されるもののように、洗浄体を布により形成しても前記問題を解決するには至っていない。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、布からなる洗浄体の外周縁の繊維端の角をなくすことにより、前記問題を解決できるようにした、新規な洗車機を洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的達成のため、請求項1記載の発明は、フレームに設けた回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機において、
前記洗浄体は、布から構成されており、その外周縁の繊維端の角を落す角落し加工したことを特徴としている。。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、洗浄ブラシの洗浄体の角により被洗浄車両の車体の塗装表面を傷めるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0009】
図1は、本発明洗車機の全体側面図、図2は、図1の2−2線に沿う洗車機の正面図、図3は、図1の3−3線に沿う洗車機の背面図、図4は、図2の4矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図、図5は、図1の5矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図、図6は、洗浄体素材の側面図、図7は第1の洗浄体の正面図、図8は第2の洗浄体の正面図、図9は、図8の9−9線に沿う断面図、図10は、角落し加工機の正面図、図11は、図10の11−11線に沿う断面図、図12は、洗浄体素材の角落し加工を示す模式説明図、図13は、トップブラシによる自動車の洗浄過程を示す図、図14は、トップブラシの、車体上面洗浄時の状態を示す図、図15は、サイドブラシによる車体側面洗浄時の状態を示す図、図16は、トップブラシ(サイドブラシ)の進行方向に対する洗浄体の傾斜角を示す図である。
【0010】
図1〜3において、洗車機の洗車機本体1は、被洗浄車両としての自動車Vを跨ぎ得る、フレームとしての門型の走行フレーム2を備え、この走行フレーム2は、走行モータ3,3で駆動される左右一対の駆動輪4,4と左右一対の従動輪5,5により左右一対の走行レール6,6を往復走行する。一方の走行モータ3の出力軸には、洗車機本体1の走行位置を検出するロータリエンコーダ51が設けられている。
【0011】
走行フレーム2の上部には、その左右方向に延びる昇降駆動軸7が回転自在に支持され、この昇降駆動軸7の一端には、後述のトップブラシ13の昇降位置を検出するロータリエンコーダ28が設けられている。
【0012】
また、走行フレーム2の左右側部には、上下方向に延びる左右一対のガイドレール8,8が一体に設けられている。ガイドレール8,8は横断面コ字状に形成されており、これらのガイドレール8,8には、このガイドレール8,8の内側壁で案内される2個のローラ9,9とガイドレール8,8の内奥壁で案内される1個のローラ10とを有する左右一対の台車11A,11Bがそれぞれ昇降できるように設けられている。
【0013】
一対の台車11A,11Bには、トップブラシ13のトップブラシ支持軸12の両端が固定されており、このトップブラシ支持軸12には、後述するトップブラシ13が回転自在に支持されている。そして、トップブラシ13は、一対の台車11A,11Bと共に左右一対のガイドレール8,8に案内される。
【0014】
図2に示すように、走行フレーム2の一側上部には、昇降モータ14が設けれられている。昇降モータ14の出力軸に固定したスプロケット15と昇降駆動軸7に固定したスプロケット16には無端状のチエン17が巻き掛けられている。また、昇降駆動軸7の両端部には、スプロケット18,18が固定され、一方、走行フレーム2の左右下部には、これらのスプロケット18,18に対応する他のスプロケット19,19が回転自在に支持されており、これらのスプロケット18,18,19,19には、チエン20,20がそれぞれ巻き掛けられており、これらのチエン20,20の両端は、前記台車11A,11Bの上下部にそれぞれ接続されている。
【0015】
しかして、昇降モータ14を駆動すると、左右一対の台車11A,11Bは、案内レール8,8の案内されて同調、昇降される。
【0016】
図2に示すように、トップブラシ13(後に詳述)の、パイプよりなる回転支持軸21は、トップブラシ支持軸12に軸受を介して回転自在に支持されており、この回転支持軸21の、一方の台車11Bに近い一端には、スプロケット22が一体に設けられている。一方の台車11Bには、ブラシ回転モータ23が設けられており、このブラシ回転モータ23の出力軸に設けられたスプロケット24と前記スプロケット22には無端状のチエン25が巻き掛けられている。そして、ブラシ回転モータ23の駆動によれば、トップブラシ13の回転支持軸21が回転駆動される。
【0017】
また、図2に示すように、他方の台車11Aを案内するガイドレール8の下部と上部には、この台車11Aが下限位置にあることを検出する下限検出スイッチ26と、台車11Aが上限位置にあることを検出する上限検出スイッチ27とがそれぞれ設けられている。
【0018】
図1,3に示すように、走行フレーム2の往行方向後側の上部には、その走行フレーム2の左右方向に延びる案内レール31が支持され、この案内レール31の上部および下部には山形レール31A,31Bが固定されている。案内レール31には、左右一対の台車32L,32Rがそれぞれ往復走行可能に支持され、各台車32L,32Rの上部には、山形レール31A上を転動する駆動輪33および遊輪34が回転可能に支持され、また各台車32L,32Rの下部には、山形レール31B上を転動する一対の遊輪35,35が回転可能に支持されている。各台車32L,32Rには、トルクモータ36L,36Rがそれぞれ支持され、これらのトルクモータ36L,36Rの出力軸に前記駆動輪33,33がそれぞれ連結されている。
【0019】
しかして、各トルクモータ36L,36Rを駆動すれば、各台車32L,32Rをそれぞれ案内レール31に沿って往復走行させることができる。
【0020】
図1,3に示すように、各台車32L,32Rの中間部には、横方向に延びる支持軸37がそれぞれ固定され、これらの支持軸37には、ブラシ支持筒38が軸受を介してそれぞれ左右方向に揺動可能に支持されている。ブラシ支持筒38は上下方向に延びており、そこに、上下方向に延びる回転軸39が回転自在に支持され、その回転軸39には、後に詳述するサイドブラシ40が設けられている。
【0021】
図1,3に示すように、各ブラシ支持筒38の上部には、モータベース41が固定され、そのモータベース41には、回転モータ42が設けられている。回転モータ42の出力軸に設けたスプロケット43と前記回転軸39の上端に設けたスプロケット44間には無端状のチエン45が掛け渡されている。
【0022】
しかして、回転モータ42を駆動して、後述のサイドブラシ40を回転させることができる。
【0023】
図3に示すように、台車32L,32Rには、支持軸37よりも上部で、ブラシ支持筒38の両側においてストッパー46,47がそれぞれ設けられている。各ブラシ支持筒38は、ストッパー46,47の間において揺動できるようになっており、ブラシ支持筒38がストッパー46に当たると、サイドブラシ40が鉛直位置(図3の位置)になり、またブラシ支持筒38がストッパー47に当たると、サイドブラシ40が傾斜位置になるようにされている。
【0024】
案内レール31の中央部には、台車36L,36Rがそれぞれ閉じた位置(図3位置)にあることを検出する閉スイッチ48L,48Rが設けられ、また案内レール31の左右側部には、台車36L,36Rがそれぞれ開いた位置にあることを検出する開スイッチ49L,49Rが設けられている。
【0025】
図1に示すように、洗車機の設置面上には、スタート位置カム52が設けられ、一方、走行フレーム2には、そのスタート位置カム52に当たって洗車機本体1がスタート位置にあることを検出するスタート位置検出スイッチ53が設けられている。
【0026】
図1,2に示すように、走行フレーム2のトップブラシ13よりも前部には、自動車V(図15参照)の上面位置を検出する車両上面位置検出手段54が設けられている。この車両上面位置検出手段54は、走行フレーム2の左右両側で上下方向にそれぞれ配列される、第1の光電センサ群54A,54B,54C・・・・54Nと、第2の光電センサ群54A′,54B′,54C′・・・・54N′とより構成されており、第1の光電センサ群54A,54B,54C・・・・54N群はそれぞれ投光器であり、第2の光電センサ群54A′,54B′,54C′・・・・54N′はそれぞれ受光器である。
【0027】
そして、図2中、2点鎖線Lは、第1の光電センサ54Aと第2の光電センサ54A′間の光軸を示している。
【0028】
図1に示すように、走行フレーム2の前面には、この洗車機を作動制御するための制御盤55が設けられており、この制御盤55内には、走行フレーム2に設けられる洗車機器を制御する制御装置56が設けられている。
【0029】
図1中、符号57は、自動車Vの車体上面に乾燥エアーを吹き付けるためのトップノズル、符号58,58は、自動車Vの車体両側面に乾燥エアーを吹き付けるための一対のサイドノズルである。
【0030】
なお、図示しないが、走行フレーム2には、自動車Vに洗浄水を噴射する、従来公知の洗浄水噴射装置が設けられている。
【0031】
つぎに、図2に、図4,図6〜9を併せ参照して本発明にかかるトップブラシ13の構造について説明する。
【0032】
トップブラシ13は、左右の台車11L,11Rに固定のトップブラシ支持軸12と、この支持軸12に軸受を介して回転自在に支持される、パイプよりなる回転支持軸21と、この回転支持軸21にリベットRで固定される複数の洗浄体ユニット60とより構成されており、各洗浄体ユニット60は、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61Bとを備えており、取付部62と押え板63とにより回転支持軸21に固定される。
【0033】
図4,7に示すように、第1の洗浄体61Aは不織布より円盤状に形成され、その放射方向に複数の山折と谷折とを交互に有してり周方向に波状に形成されてなる洗浄体素材64を、複数枚(5枚)重ね、それらを図7に示すように、N2,N3,N4位置で同心円状に縫合して構成されている。
【0034】
この第1の洗浄体61Aの作り方について説明すると、図6に示すように、不織布よりなる矩形状の洗浄体素材64の両端N1,N1を縫合してリング状にする。つぎに、リング状の洗浄体素材64を図6に示す複数位置で山折と谷折りして、図7に示すように円盤状にする。つぎに、ビク型(トムソン型)で円形Cに切断し、複数のボルト穴H1を明けることで作られる。
【0035】
また、図8,9に示すように、第2の洗浄体61Bは、前述のように構成される洗浄体素材64と、他の洗浄体素材65とより構成される。
【0036】
この第2の洗浄体61Bの作り方について説明すると、前述の洗浄体素材64を複数枚(5枚)重ね、その一側面に図9に示すように、他の洗浄体素材65を複数枚(2枚)重ね、それらを図8に示すN2,N3,N4位置で同心円状に縫合することで作られる。
【0037】
他の洗浄体素材65は、図8に示すように、平板状の不織布をビク型(トムソン型)で、前記洗浄体素材64の円形Cと同じ外形寸法になるように円形に切断する。つぎに、取付穴H2と、その外周部に周方向に間隔をあけて複数のボルト穴H1を明けることで作られる。
【0038】
つぎに、前述のようにして作られた、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bとよりなる洗浄体ユニット60の作り方について説明する。
【0039】
1つの第1の洗浄体61Aと、2つの第2の洗浄体61Bを用意し、図4に示すように、第2の洗浄体61Bの、平板状の他の洗浄体素材65が両外になるようにして、第1の洗浄体61Aを第2の洗浄体61Bで挟み、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61B,61Bを、取付部62のフランジ部62Fと押え板63との間に重ね、それらを複数のボルト・ナット66で固定する。
【0040】
図4に示すように、第1の洗浄体61Aと第2の洗浄体61Bとよりなる洗浄体ユニット60は、回転支持軸21に取り付けた状態で、回転支持軸21の回転軸線と直交する直角面に対して傾斜角度β(約20度)傾斜している。
【0041】
つぎに、図1,3に図5を併せ参照して本発明にかかるサイドブラシ40の構造について説明する。
【0042】
このサイドブラシ40は、下段サイドブラシ40A、中段サイドブラシ40Bおよび上段サイドブラシ40を、前記回転軸39に固定した、パイプよりなる回転支持軸67に縦列固定して構成されている。
【0043】
下段サイドブラシ40A、中段サイドブラシ40Bおよび上段サイドブラシ40Cはそれぞれ洗浄体ユニットが別の構造を備えており、下段サイドブラシ40Aは、図5に示すように、回転支持軸67に、前記洗浄体ユニット60と同じ構造で外形寸法が相違(洗浄体ユニット60よりも若干小径)の洗浄体ユニット60Aとスポンジ円盤68とを交互に取り付けて構成されている。スポンジ円盤68は、その中央部に前記取付部62のボス部62Aの外形寸法よりも若干小さい取付穴69が斜めに明けられており、この取付穴62の弾性による摩擦力でボス部62Aに取り付けられている。
【0044】
また、前記中段サイドブラシ40Bは、図1,3に示すように、回転支持軸67に、発泡体(スポンジ)からなり外周部を切込みにより分割してなる複数の発泡洗浄体60Cを放射状に取り付けて構成されている。そして、中段サイドブラシ40Bは、上部ブラシ40Buと、中間部ブラシ40Bnと、下部ブラシ40Blとよりなり、上部ブラシ40Buと下部ブラシ40Blは半円状に取り付けられて位相が180度ずらされている。
【0045】
さらに、前記上段サイドブラシ40Cは、回転支持軸67に、前記洗浄体ユニット60と同じ構造で、外形寸法が相違の複数の洗浄体ユニット60Bを取り付けて構成されており、それらの洗浄体ユニット60Bの回転支持軸67に対する取付角は、洗浄体ユニット60Aと同じである。
【0046】
前記洗浄体ユニット60,60A,60Bは、ビク型による切断面の繊維の角、すなわち切断角(図12参照)をなくすために、角落し加工を行う。
【0047】
洗浄体ユニット60,60A,60Bはいずれも同じ角落し加工を行うので、以下に、図10〜12を参照し、洗浄体ユニット60を選択してその角落し加工を説明する。
【0048】
前記洗浄体ユニット60を支持台71に回転自在に支持し、これを支持台71に設けたモータ72により回転駆動させる。洗浄体ユニット60の下で複数のシリンダ73により昇降可能に設けた昇降台74の上面にサンドペーパー75を敷設する。図10,11実線に示すように、洗浄体ユニット60がサンドペーパー75と接触してない状態から、昇降台74を緩徐に上昇させると、図10,11に2点実線で示すように、回転している洗浄体ユニット60の外周にサンドペーパー75の研磨材面を接触させる。これにより、切断面の繊維の角、すなわち切断角(図12参照)をなくすことができる。
【0049】
なお、この実施例では、切断面の繊維の角は、斜面に研磨されてなくなるが、他の角落し加工により、その角に丸みをつけるようにしてもよい。
【0050】
つぎに、主に、図13を参照して、この実施例の作用について説明する。
【0051】
洗車機に設けた、図示しないスタートキーが押されると、洗車機本体1はスタート位置から往走行する。この往走行時に、トップブラシ13およびサイドブラシ40,40で被洗浄車両、この実施例では自動車Vの車体面を洗浄する。
【0052】
トップブラシ13は、車両上面検出手段54で検出した車両上面位置と、ロータリエンコーダ51で検出した洗車機本体1の走行位置と、ロータリエンコーダ28で検出したトップブラシ13の昇降位置とにより、車両上面から一定距離で車両上面に追従するように、昇降モータ14を制御することで昇降される。
【0053】
一方、サイドブラシ40,40は、トルクモータ36L,36Rを制御することで、一定の押付力で車体側面に接触する。
【0054】
ところで、トップブラシ13による自動車Vの洗浄過程において、トップブラシ13の回転により、図14(A),(B)に示すように、洗浄体素材64,65の外周部が、自動車Vの車体面上を左右に移動する。この左右移動により、洗浄体素材64,65は、図16に示すようにトップブラシ13の進行方向に対して斜め方向a,bに左右に移動する。この斜め方向a、bの移動により洗浄効果を向上させることができ、その結果、洗浄時間を短くすることができる。
【0055】
ここで、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの傾斜角と洗浄効果および洗浄時間との関係について考察してみるに、それらの洗浄体61A,61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での回転軸線と直交する直角面に対する傾斜角βが15度未満であるとき(前記特許文献1に開示のもの)は、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの左右移動の最大角度α(図16に示す)が小さく、所定の洗浄時間内での所期の洗浄効果が得られず、洗浄時間を短くすることができる程度にするには困難であり、また、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での前記傾斜角βが、25度を超えると、洗浄体61Aおよび第2の他の洗浄体61Bが左右に傾斜したときの車体表面に接触する力が小さく、所定の洗浄時間内での所期の洗浄効果が得られず、洗浄時間を短くすることができる程度にするには困難であることが判明した。
【0056】
それに対し、洗浄体61Aおよび洗浄体61Bの、回転支持軸21に取り付けた状態での前記傾斜角を、図16にβで示すように15〜25度(特に、20度)に特定すると、洗浄体61Aおよび他の洗浄体61Bが左右に傾斜したときの車体表面に接触する力を十分に確保しながら、それらの移動方向の角度を大きくすることができ、その結果、洗浄効果を向上でき、洗浄時間を短くすることができる。
【0057】
図16において、洗浄体素材64,65の先端は、移動方向a,bで示す方向に移動しその移動方向は範囲am〜bm間で変化する。また前記傾斜角βが15度未満のときの前記移動方向の最大角度αをα1とし、βが15度〜25度のときのαをα2とし、βが25度を越えたときのαをα3とすれば、
α1<α2<α3となる。
【0058】
また、洗浄体素材64,他の洗浄体素材65の切断面は、走行フレーム2の走行に伴い、図12において、紙面と略直角方向に移動するため、前述の角落し加工を行わないと、その切断面の車体表面と接触する切断角で、その車体の塗装表面に傷を付ける恐れがあるが、この実施例では、布から成る洗浄ユニット60の、第1の洗浄体61Aおよび第2の洗浄体61Bの外周縁の切断面の角、すなわち繊維端の角に角落し加工を行うことによりその恐れを防止できる。
【0059】
また、洗浄体ユニット60,60A,60Bの両側を、折り曲げのない平板状の他の洗浄体素材65にし、その中間を折り曲げ構造の洗浄体素材64にしたので、外側の他の洗浄体素材65と中間の洗浄体素材64の間には空間部が形成されて、全体として洗浄体ユニット60,60A,60Bにボリュ−ム感を出すすことができて、その外観上の見栄えを良好にすることができ、また、洗浄体素材64の折り曲げ部分が車体に引っ掛かることを他の洗浄体素材65で防止することができる。さらに、洗浄体64の折り曲げ構造により、洗浄体素材64と他の洗浄体素材65が相互にばらけることができ、すなわちトップブラシ13は、図2において左右方向に、またサイドブラシ40,40は図3において上下方向にばらけることができ、洗浄効果を向上できる。
【0060】
サイドブラシ40,40は、洗浄体素材64、他の洗浄体素材65の外周部が上下に移動する。これにより、トップブラシ13と同様の効果を生じる。
【0061】
また、下段サイドブラシ40Aは、図5に明瞭に示すように、洗浄体ユニット60Aとスポンジ円盤68とが交互に配設されるので、自動車Vのタイヤハウスに洗浄体素材64、他の洗浄体素材65が入り込んで、それらの素材64,65や車体が傷むことを防止できる。
【0062】
さらに中段サイドブラシ40Bの中間部ブラシ40Bnは、発泡体により構成したので、ドアミラーMやフェンダミラーなどの車体の上下方向の中間部分より突出する付属機器が破損するのを防止できる。
【0063】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0064】
たとえば、前記実施例では、本発明を、被洗浄車両に対し洗車機本体1を走行させる洗車機に実施した場合を説明したが、コンベアなどの移送手段により被洗浄車両を移送する洗車機にも実施できる。
【0065】
また、本発明は、洗浄体素材64、他の洗浄体素材65に不織布を用いたが、これに代えて織布、編布などの他の布を用いることができる。また、洗浄体素材64において、ビク型で円形Cに切断しない場合には、図6に示す加工途中の矩形の状態で、サンドペーパーを掛けて切断面の繊維の角をなくすことを行い角落し加工としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明洗車機の全体側面図
【図2】図1の2−2線に沿う洗車機の平面図
【図3】図1の3−3線に沿う洗車機の後面図
【図4】図2の4矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図
【図5】図1の5矢視仮想線囲い部分の拡大詳細図
【図6】洗浄体素材の側面図
【図7】第1の洗浄体の正面図
【図8】第2の洗浄体の正面図
【図9】図8の9−9線に沿う断面図
【図10】角落し加工機の正面図
【図11】図10の11−11線に沿う断面図
【図12】洗浄体素材の角落し加工を示す模式説明図
【図13】トップブラシによる自動車の洗浄過程を示す図
【図14】トップブラシの、車体上面洗浄時の状態を示す図
【図15】サイドブラシによる車体側面洗浄時の状態を示す図
【図16】トップブラシ(サイドブラシ)の進行方向に対する洗浄体の傾斜角を示す図
【符号の説明】
【0067】
2・・・・・・・・・・・フレーム(走行フレーム)
21・・・・・・・・・・・回転支持軸
13・・・・・・・・・・洗浄ブラシ(トップブラシ)
40・・・・・・・・・・洗浄ブラシ(サイドブラシ)
61A・・・・・・・・・洗浄体(第1の洗浄体)
61B・・・・・・・・・洗浄体(第2の洗浄体)
67・・・・・・・・・・・回転支持軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに設けた回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機において、
前記洗浄体は、布から構成されており、その外周縁の繊維端の角を落す角落し加工したことを特徴とする、洗車機。
【請求項1】
フレームに設けた回転支持軸に、円盤状の洗浄体を前記回転支持軸の回転軸線に対して傾斜させて取り付けた洗浄ブラシを備えた洗車機において、
前記洗浄体は、布から構成されており、その外周縁の繊維端の角を落す角落し加工したことを特徴とする、洗車機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−189012(P2008−189012A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22321(P2007−22321)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000210595)タケウチテクノ株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000210595)タケウチテクノ株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
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