説明

洗車機

【課題】タイヤ洗浄や車体下部洗浄が行われている場合にはその状態をアピールし、タイヤ洗浄や車体下部洗浄が行われなかった場合には利用者に損をさせない洗車機を提供する。
【解決手段】複数の洗車処理装置を装備した洗車機本体1と、待機位置にいる洗車機本体1よりも後方に位置し洗車に関する情報を文字や図形により表示する案内表示器22と、洗車機本体1による洗車状況や受付状況に応じて案内表示器22の表示内容を切り換える洗車制御ボードとを設け、洗車制御ボードは、洗車処理装置が動作するのに合わせて車体に作用している様子をイメージ表示するとともに、正常に車体に作用しなかった場合にその旨を表示して利用者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車処理装置を備えた洗車機本体と自動車とを相対移動させて自動車車体の洗浄・乾燥をはかる洗車機に関する。特に、利用者自らが自動車の乗り入れと退出を行うセルフ洗車に用いられる洗車機である。
【背景技術】
【0002】
この種の洗車機として、本出願人は特許文献1を提案している。この洗車機は、洗車エリアに敷設されたレール上を往復走行し、レール間に停車した自動車を跨いで洗浄と乾燥を行うものである。洗車機本体には、前側にブラシや散水ノズルを備えた洗浄部を形成し、後側にブロワノズルを備えた乾燥部を形成しており、1往復による洗浄と1往行による乾燥を実行可能にしている。
【0003】
こうした洗車機は、利用者が自ら自動車を洗車エリアに乗り入れ、乗車したまま洗車を受けた後、そのまま退場するという形態がとられているため、慣れない利用者でも戸惑うことなく入場・停車・退場ができるように案内表示器が設置されている。この案内表示器は、発光表示素子をマトリクス状に配列して所定の文字・図形等を表示可能にしたものであり、入場・停車・退場といった案内を文字表示したり、洗車動作の進行状況やその他の広告情報を表示している。
【0004】
さて、洗車機の付加価値を高めるため、通常行われる車体の上面洗浄・側面洗浄に加えて、タイヤ洗浄や車体下部の洗浄が実行できる機能を備えた洗車機も提案されている。タイヤ洗浄は、自動車のタイヤ位置を検出し、検出したタイヤ位置で専用の洗浄ブラシや高圧ノズルを作用してタイヤ洗浄するものであり、車体下部洗浄は、自動車の車端位置を検出し、検出した車端位置から高圧ノズルを作用して車体下部洗浄を行うものである。
【特許文献1】特許第3984507号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルフ洗車の場合、こうしたタイヤ洗浄や車体下部洗浄は、利用者が自動車に乗ったまま実行されることになるが、車体の上面や側面を洗浄するときのように洗車の状況を視認しにくいため、実際に洗浄が行われたかを認識することが困難であるという問題があった。また、タイヤ洗浄や車体下部洗浄を洗車メニューにトッピングして設定したにもかかわらず、タイヤ検出が正常に行われずタイヤ洗浄や車体下部洗浄が実行されなかった場合、洗浄が行われなかったことを利用者に報知する機能がなかったため、料金を徴収したまま洗浄を行わないという事態が発生していた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、タイヤ洗浄や車体下部洗浄が行われている場合にはその状態をアピールし、タイヤ洗浄や車体下部洗浄が行われなかった場合には利用者に損をさせない洗車機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明は、複数の洗車処理装置を装備した洗車機本体と、待機位置にいる洗車機本体よりも後方に位置し洗車に関する情報を文字や図形により表示する表示装置と、洗車機本体による洗車状況や受付状況に応じて表示装置の表示内容を切り換える表示制御手段とを設け、利用者が自動車に乗ったまま洗車を受け、洗車後に利用者が自ら自動車を退出させる洗車機であって、表示制御手段は、洗車処理装置が動作するのに合わせて車体に作用している様子をイメージ表示するとともに、正常に車体に作用しなかった場合にその旨を表示して利用者に報知することを特徴としている。
【0007】
洗車処理装置として車体のタイヤ位置を検出するタイヤ検知手段と、該検知手段で検出したタイヤを洗浄するタイヤ洗浄装置を備えた場合、表示制御装置は、タイヤ洗浄装置によるタイヤ洗浄が開始されると洗浄が実行されている間、表示装置にタイヤ洗浄のアニメーションを表示し、タイヤ検知手段によるタイヤ検知に失敗したときに、表示装置にタイヤ洗浄が実行されなかったこと、及びタイヤ洗浄が実行されなかったことへの対応を表示する。
【0008】
洗車処理装置として車体を検出する車体検知手段と、該検知手段で検出した車体の下部に向けて洗浄水を噴射する下部洗浄装置を備えた場合、表示制御装置は、下部洗浄装置による車体下部洗浄が開始されると洗浄が実行されている間、表示装置に車体下部洗浄のアニメーションを表示し、車体検知手段による車体検知に失敗したときに、表示装置に車体下部洗浄が実行されなかったことと、及び車体下部洗浄が実行されなかったことへの対応を表示する。
【0009】
洗車処理装置として車体を検出するタイヤ検知手段と、該検知手段で検出したタイヤ以外の車体下部に向けて洗浄水を噴射する下部洗浄装置を備えた場合、表示制御装置は、下部洗浄装置による車体下部洗浄が開始されると洗浄が実行されている間、表示装置に車体下部洗浄のアニメーションを表示し、タイヤ検知手段によるタイヤ検知に失敗したときに、表示装置に車体下部洗浄が実行されなかったことと、及び車体下部洗浄が実行されなかったことへの対応を表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実行中の洗浄動作を文字やアニメーションを用いて的確に表現するようにしたので、この表示を見た利用者が洗車の状況を把握することができる。特に車内からは実行していることが分かりにくいタイヤ洗浄や車体下部洗浄には非常に有効となる。また、選択した洗浄メニューの中で実行されなかった洗浄がある場合には、その旨を利用者に報知するようにしたので、料金を支払ったにもかかわらず正常な洗車が行われなかった場合に補正処置や返金措置などの対応を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。図1は洗車機の正面図、図2は平面図、図3は側面図である。
1は洗車機本体で、門型に形成され、正逆転可能な走行モータ2の駆動により洗車スペースの床面に敷設されたレール3・3上を往復走行し、このレール3・3間に停車された自動車の車体を洗浄・乾燥するものである。4a・4bはドッグで、レール3・3の前端及び後端の近傍に設けられ、本体1の下部に設けた走行スイッチ5が接触することで、それぞれ本体1の前進限界と後進限界を検出する。
【0012】
洗車機本体1には、洗浄ブラシ6・7・7・8・8,ブロワノズル9・10・10をはじめ、散水ノズル,液剤タンク(図示しない)等が備えられ、走行に伴って水,洗剤,ワックス等を散布しながらブラッシングする洗浄作業やブロワノズルより空気を吹き付ける乾燥作業を行う。
【0013】
洗浄ブラシは、本体1前側に位置し車体上面に沿って昇降して同上面をブラッシングする上面ブラシ6と、上面ブラシ6の後方に位置し車体に対して接離(開閉)動作して車体の前後面および側面をブラッシングする左右一対の側面ブラシ7・7と、上面ブラシ6の前方に位置しタイヤに対して接離(開閉)動作して同タイヤをブラッシングする左右一対のタイヤブラシ8・8とからなる。
【0014】
タイヤブラシ8・8は、図4に示すように、円盤状のブラシ体23と、ブラシ体23とモータ24を支持し内部に伝動機構25を備えた支持体26と、支持体26の背面と洗車機本体1とに軸止され支持体26を車体に向けて進退するL型の作動アーム27と、支持体26の背面と洗車機本体1とに軸止され支持体26の水平移動を支持するバランスシャフトと28、作動アームを作動するエアシリンダ29とから構成される。
【0015】
このタイヤブラシ8は、エアシリンダ29の伸長によって作動アーム27が揺動し、バランスシャフト28によって支持体23を直線的に移動させブラシ体23をタイヤに接触させ(点線部)、エアシリンダ29の収縮によって作動アーム27が揺動し、バランスシャフト28によって支持体23を直線的に移動させブラシ体23をタイヤから隔離させる(実線部)ように動作する。モータ24は、正転・逆転可能であり、ブラシ体23をタイヤに接触させた状態で、正転・逆転を繰り返すことでブラシ体23により万遍なく洗浄が行われる。
【0016】
ブロワノズルは、洗浄ブラシの後方にあって、車体上面に沿って昇降し同上面に空気を吹き付けて乾燥をはかる上面ブロワノズル9と、上面ブロワノズル9より更に本体1後方に位置し車体側面に空気を吹き付けて乾燥をはかる左右一対の側面ブロワノズル10・10とからなる。
【0017】
洗車機本体1は、通常ドッグ4aに走行スイッチ5が接触したレール3・3後端部に待機し、この位置Spから洗車を開始する。洗車動作は、本体1の1往復に伴いブラシによる洗浄動作を行い、本体1の1往行に伴いブロワによる乾燥動作を行う1.5往復洗車が可能になる。洗車終了後は、ドッグ4bに走行スイッチ5が接触したレール3・3前端部に位置し、この位置Epで自動車の退出待ちとなる。洗車を受ける自動車Aは、洗車スペースの入場口から前進で進入し、所定の停車位置に停車して洗車を受け、洗車が終了すると洗車スペースの退場口から前進で退場する。すなわち、洗車機利用客が自動車に乗ったまま洗車を受けて通り抜ける、いわゆるドライブスルー形式による洗車を可能にしている。尚、洗車コースとしては本体1の2.5往復や3.5往復に伴い、コーティング処理・水垢処理などの処理を行う付加価値の高い洗車動作をさせることもできる。
【0018】
11は走行位置検出装置で、走行モータ2の出力軸に連係されて本体1が単位距離走行する毎にパルス出力するエンコーダを備え、そのパルス信号をカウントすることで本体1の走行位置を検知する。12は車形検出装置で、本体1の上面ブラシ4より前側に設けられて複数の発光素子を上下に配列させた発光部12aと、これに対向して複数の受光素子を上下に配列した受光部12bとからなる車形ユニットを備え、両者間で光信号(赤外光)の授受を行い車体の上面位置を検知するともに、エンコーダからのパルス出力に同期して車形ユニットから車体の上面位置を検出することで、自動車の車形データを作成する。
【0019】
13はタイヤ検知センサで、本体1の車形検出装置12よりも前側に設けられて発光素子を地上高60cmの位置に配置し光ファイバーを介して地上高8cmの位置で発光する発光部13aと、発光部13aと対面する地上高8cmの位置から光ファイバーを介して地上高60cmの位置に配置した受光素子で受光する受光部13bとを備え、発光部13aと受光部13bとの間で洗車エリアを横断する検出光軸を形成し、この検出光軸の透光/遮光により自動車のタイヤを検出するものである。
【0020】
14はタイヤスイッチで、自動車の停車位置に相当する床面に設けられ、自動車の前輪が乗り込まれてスイッチングし、自動車が正規の停車位置に停車したことを検出する。15は退出スイッチで、透光/遮光状態によって車体の有無を検出するもので、本体1の後方に設けられ、自動車が退出したことを検出する。16は物体検出器で、本体1後面に設けられ照射した赤外光の反射波を検知して物体検出するエリアセンサからなり、本体1が後退する際にその進行方向に退出する車両や人等がいないか確認する。
【0021】
17は車体下部洗浄装置で、洗車スペース入場口近くの床面に自動車の乗り入れ方向と直交する方向に凹設した溝に装備され、乗り入れられる自動車の下面に対して高圧の洗浄水を噴射する。車体下部洗浄装置17は、中空長尺の給水パイプと、パイプに取り付けられる複数の噴射ノズルと、自動車の乗り入れを検出する車体検出センサとからなり、溝に沿って給水パイプが水平に、噴射ノズルが上向きになるようにして取り付けられている。噴射ノズルは、給水パイプに対して垂直もしくは内側に向けて傾斜させた状態で取り付けられている。尚、噴射ノズルをエアシリンダとリンクロッドを用いた首振り機構により首振り自在に形成しても良い。
【0022】
18は洗車受付装置で、洗車スペースの入場口手前に設置され、前面に備えられる受付操作パネル19により洗車料金や洗車内容の選択入力等を行う。20はゲート装置で、洗車スペースの入場口に設置され、洗車スペースに対する自動車の進入を禁止/許可する。21は洗車受付装置18に設けられる自動車検知センサで、反射型の赤外線センサからなり、洗車受付装置18の前に自動車が入車したことを検出する。尚、自動車検知センサー21は、反射型の赤外線センサに限定されず、洗車受付装置18に自動車の入出したことを検出できれば良く、反射型の超音波センサや発光部と受光部を自動車を挟んで位置した透過型のビームセンサ等でも代用できる。
【0023】
22は案内表示器で、洗車スペースの退場口後方に設置され、洗車受付時には自動車の入場を誘導し、洗車中には洗車動作の進行状況等を表示し、洗車終了時には自動車の退場を案内する。案内表示器22は、RGBの発光素子をマトリクス状に配列しフルカラーで文字・図形を表示するものであり、自動車の入場・退場のタイミングで前進・停止・後進を促す表示したり、洗車が開始する際にドアミラーを畳む、サイドブレーキを引く等の注意事項を表示したり、洗車中にシャンプー中、タイヤ洗浄中等の工程を表示したりするものである。表示形態は、文字のスクロール表示や図形のアニメーション表示が可能であり、利用者に認識しやすい形態での情報提供が行える。
【0024】
図5は本発明の制御系を示すブロック図である。
30は洗車機1に内蔵される洗車制御ボード、31は洗車受付装置18に内蔵される受付制御ボードで、いずれもマイクロコンピュータを備えており、両ボードはシリアル伝送用のケーブルで接続されている。
【0025】
洗車制御ボード30は、走行スイッチ5,走行位置検出装置11,車形検出装置12,タイヤ検知センサ13,タイヤスイッチ14,退出スイッチ15,物体検出器16が接続されるとともに、駆動回路32を介して本体走行モータ2,ブラシ6・7・7・8・8,ブロワノズル9・10・10,車体下部洗浄装置17,ゲート装置20,案内表示器22を接続しており、ケーブルを介して受付制御ボード31より伝送される洗車要求信号に基づき、接続される各要素の動作を制御する。
【0026】
受付制御ボード31は、受付操作パネル19,自動車検知センサ21を接続しており、自動車検知センサ21で自動車が接近したことを検知すると、受付操作パネル19からの洗車料金やメニュー選択を受付可能とし、受け付けた内容に基づいて洗車制御ボード30へ洗車要求信号を出力する。
【0027】
受付操作パネル19は、現金やプリペイドカードにより洗車料金を受け付ける料金受付部33と、車種・洗車コース等の洗車メニューを選択するメニューキー34と、下部洗浄・タイヤ洗浄を指定するトッピングキー35と、自動車の突起物を指定する突起物キー36と、指定した洗車メニューを決定する決定キー37と、指定した洗車メニューを取り消す取消キー38と、受付操作パネル19における操作案内や洗車スペースへの入場案内等を音声で行う音声ガイド部39とを備えている。
【0028】
案内表示器22は、洗車スペースの入場口から入場する自動車が視認でき、しかも洗車後の退出時に邪魔にならないよう洗車スペースの退場口よりも後方に設置されるものであるが、自動車入場時及び洗車中には表示器を自動車退出路に位置させて洗車中の自動車の運転席から視認しやすいようにし、自動車退出時には表示器を自動車退出路から退避させるよう揺動式にするのが望ましい。
【0029】
この場合、案内表示器22は、基台40上にシリンダ41によって回動自在に支持されたアーム42に取り付けられ、洗車時にはアーム42を回動させて表示器22を自動車退出路に突出させるようにして、洗車中の自動車の運転席から視認され易い位置に置き、洗車後の自動車退場の際にはアーム42を回動させて表示器22を自動車退出路から退避させようにする。これにより、洗車場がどのようなレイアウトであっても、効果的に実施できるものである。
【0030】
以下、このように構成する本発明の動作について説明する。図6・7は洗車動作を説明するフローチャート図、図8は各タイミングにおける表示内容を示す説明図である。
まず、受付制御ボード31において、自動車検知センサ21からの自動車の検出待ち状態となっており(1)、自動車の入車を検出すると、音声ガイド部39から「いらっしゃいませ ご希望の洗車メニューを選択してください」といったアナウンスを出力して(2)洗車受付状態となる。利用者により、受付操作パネル19での洗車メニュー・トッピング・突起物の指定、料金精算が正しく行われると洗車受付完了となり(3)、洗車制御ボード30へ洗車要求信号を出力する(4)。
【0031】
洗車制御ボード30では、受付制御ボード31から洗車要求信号が出力されるまでの洗車待機中に案内表示器22に「営業中」や「洗車受付中」といった案内(表示A)を表示しており(5)、受付制御ボード31から洗車要求信号が入力されると(6)、ゲート装置20を開放して(7)、案内表示器22に「前進してください」といった案内(表示B)を表示する(8)。
【0032】
案内表示器22の案内に従って、洗車スペースの後端に待機する洗車機本体1に向けて自動車を乗り入れて行き、タイヤスイッチ14で自動車が停車位置に停車されたことを検出すると(9)、ゲート装置20を閉じて(10)洗車スペースへの入場を禁止するともに、案内表示器22に「停止してください」といった停止を促す案内(表示C)を表示する(11)。尚、所定時間T1経過する前に、タイヤスイッチ14が自動車の移動を検出した場合、車形検出装置12が車体検出となっていれば、案内表示器22に「後進してください」といった後進を促す表示をし、車形検出装置12が車体検出となっていなければ案内表示器22に「前進してください」といった前進を促す表示をする。
【0033】
こうして、停止を促す表示に従い自動車が停止位置に所定時間T1留まることを確認すると(12)、案内表示器22に「ギアをパーキングに入れてください」、「サイドブレーキを引いてください」、「エンジンを切ってください」といった洗車前の準備作業を促す案内(表示D)を文字とアニメーションによって表示し(13)、洗車を開始する(14)。
【0034】
洗車が開始すると、タイヤ洗浄のトッピングが設定されているかを確認する(15)。タイヤ洗浄が設定されていない場合には、選択した洗車メニューに沿って洗車が実行され、本体1が往行を開始し、走行位置検出装置11と車形検出装置12で本体1の走行位置と自動車の高さを検出して、その検出結果に基づいて得られる自動車の上面輪郭に沿って各ブラシを制御して車体に作用させてブラッシングを行う。この後、本体1の復行に伴い、再度ブラッシング洗浄を行った後、本体1の再往行で各ブロワノズルを制御して車体に接近させて乾燥を行う(16)。洗車中は、案内表示器22に「シャンプー中」、「ワックス中」、「乾燥中」といった実行中の工程(表示E)を表示する。利用者は、この表示を見て実行中の工程を認識し、設定した洗車が間違いなく行われているかを確認することができ、また次に実行される工程を予測して洗車にまだ続きがあることを察知し、洗車の途中で退車したり降車したりすることを防ぐことができる。
【0035】
本体1がドッグ4bで与えるレール前端の洗車終了位置Epまで走行して洗車が終了すると(17)、案内表示器22に「洗車が終了しました。前進で退場してください。」といった退場を促す案内(表示F)を表示し(18)、タイヤスイッチ14が非検出となれば(19)、所定時間T2経過した後(20)、案内表示器22に「洗車機が後退します。ご注意ください。」といった注意事項(表示G)を表示し(21)、本体1を後退して開始位置へ復帰させる(22)。本体1の後退中に物体検出器14が検出状態となれば、本体1の走行を停止する。物体検出器16が非検出となれば、本体1の後退を再開し、本体1がレール後端の開始位置Spまで復帰すれば、本体1の走行を停止する。尚、案内表示器22が可動式のものであれば、洗車待機中は退出路側へ突出し、洗車が終了すると退出路より退避するといった動作をさせれば良い。
【0036】
一方、タイヤ洗浄のトッピングが設定されている場合には、洗浄工程の中でタイヤ検知センサ13によるタイヤ検出を実行するとともに、検出したタイヤの位置でタイヤブラシ8を作用させてタイヤ洗浄を実行する(23)。タイヤ位置は、走行位置検出装置11とタイヤ検知センサ13で本体1の走行位置とタイヤによる透光/遮光位置を認識し、最小のタイヤ径とホイールベース長を基準として割り出される。タイヤ洗浄は、検出したタイヤ位置で本体1の走行を一旦停止し、タイヤブラシ8のエアシリンダ29を作動して作動アーム27を揺動し、ブラシ体23を直線的に移動させてタイヤに接触させ、ブラシ体23を左右に正転・逆転させることで実行される。
【0037】
タイヤ洗浄が行われると、案内表示器22に「タイヤ洗浄中」といった案内(表示H)を文字とアニメーションによって表示する。タイヤ洗浄は、自動車に乗ったままの利用者には見えにくく、実際に実行されているか否かが分かりにくいサービスであるため、利用者は案内表示器22の表示を見てタイヤ洗浄がどのタイミングでどのように行われるいるかを理解することができる。
【0038】
ここで、タイヤ洗浄をトッピングしたにもかかわらず、タイヤ検出に失敗して正常なタイヤ洗浄が行えなかった場合、洗車終了後に案内表示器22に「タイヤ洗浄が行えませんでした。店舗にお立ち寄り下さい。」といった案内(表示I)を表示し、顧客にタイヤ洗浄が行えなかったことを報知する。店側は、タイヤ洗浄が行われなかった顧客に対して、トッピング料金を返金するか、手作業によるタイヤ洗浄サービスを施すことで顧客の不信感を取り除くことができる。尚、タイヤ洗浄が行えなかったことを顧客に報知するのと同時に、サービスマンや店舗に対して報知する機能を備え、タイヤが洗浄できなかった時にサービスマンに連絡するようにしても良い。
【0039】
この実施態様は以上のように構成されるが、本発明はこの実施態様に限定されるものではなく、様々な実施態様が考えられる。例えば、洗浄機能と装備した上面ブラシ・側面ブラシ・タイヤブラシは、全てもしくはその一部を高圧スプレーで洗浄するジェットノズルに置き換えることもできる。
【0040】
また、案内表示器22で表示される内容も、上記した以外のタイミングや内容で出力することもできる。例えば、車体下部洗浄を実行するときに、車体下部洗浄装置17が作動している様子を案内表示器22に表示するようにしても良い。車体下部洗浄装置17は、車体検出センサで自動車を検出すると作動して洗浄水の噴出を開始し、車体検出センサで自動車が非検出になると洗浄水の噴出を停止するものであり、案内表示器22において、「車体下部洗浄中 終了○○秒前」といった案内を文字とアニメーションによって表示する。利用者は、案内表示器22の表示を参考にして自動車を低速で乗り入れながら下部洗浄装置17の上を通過させて車体下部洗浄を受けていくことができる。
【0041】
更に、上記実施態様では、洗車エリアの床面に固定的に設置した据置式の車体下部洗浄装置を例示しているが、洗車機本体1に高圧洗浄ノズル進退可能に設け、タイヤ検知センサで検出するタイヤ位置以外の部位で高圧洗浄ノズルを車体下面に伸長させる可動式の車体下部洗浄装置としても良い。この場合にも車体下部洗浄装置が作動している間、案内表示器22において「車体下部洗浄中 終了○○秒前」といった案内を文字とアニメーションによって表示することで、利用者は車体下部洗浄が実行されていることを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の洗車機を示す正面図である。
【図2】同洗車機の平面図である。
【図3】同洗車機の側面図である。
【図4】タイヤ洗浄装置の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の制御系を示すブロック図である。
【図6】受付制御ボード31の動作を示すフローチャート図である。
【図7】洗車制御ボード30の動作を示すフローチャート図である。
【図8】表示内容を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 洗車機本体
8 タイヤブラシ
13 タイヤ検出センサ
17 車体下部洗浄装置
18 洗車受付装置
22 案内表示器
30 洗車制御ボード
31 受付制御ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の洗車処理装置を装備した洗車機本体と、待機位置にいる洗車機本体よりも後方に位置し洗車に関する情報を文字や図形により表示する表示装置と、洗車機本体による洗車状況や受付状況に応じて表示装置の表示内容を切り換える表示制御手段とを設け、利用者が自動車に乗ったまま洗車を受け、洗車後に利用者が自ら自動車を退出させる洗車機であって、
該表示制御手段は、前記洗車処理装置が動作するのに合わせて車体に作用している様子をイメージ表示するとともに、正常に車体に作用しなかった場合にその旨を表示して利用者に報知することを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記洗車処理装置として車体のタイヤ位置を検出するタイヤ検知手段と、該検知手段で検出したタイヤを洗浄するタイヤ洗浄装置を備え、前記表示制御装置は、タイヤ洗浄装置によるタイヤ洗浄が開始されるとタイヤ洗浄が実行されている間、前記表示装置にタイヤ洗浄を実行している状態をアニメーション表示する上記請求項1記載の洗車機。
【請求項3】
前記表示制御装置は、前記タイヤ検知手段によるタイヤ検知に失敗したときに、前記表示装置にタイヤ洗浄が実行されないこと及びタイヤ洗浄が実行されないことへの対応を表示する上記請求項2記載の洗車機。
【請求項4】
前記洗車処理装置として車体を検出する車体検知手段と、該検知手段で検出した車体の下部に向けて洗浄水を噴射する下部洗浄装置を備え、前記表示制御装置は、下部洗浄装置による車体下部洗浄が開始されると車体下部洗浄が実行されている間、前記表示装置に車体下部洗浄を実行している状態をアニメーション表示する上記請求項1記載の洗車機。
【請求項5】
前記表示制御装置は、前記タイヤ検知手段によるタイヤ検知に失敗したときに、前記表示装置に車体下部洗浄が実行されないこと及び車体下部洗浄が実行されないことへの対応を表示する上記請求項4記載の洗車機。
【請求項6】
前記洗車処理装置として車体のタイヤ位置を検出するタイヤ検知手段と、該検知手段で検出したタイヤ以外の車体下部に向けて洗浄水を噴射する下部洗浄装置を備え、前記表示制御装置は、下部洗浄装置による車体下部洗浄が開始されると車体下部洗浄が実行されている間、前記表示装置に車体下部洗浄を実行している状態をアニメーション表示する上記請求項1記載の洗車機。
【請求項7】
前記表示制御装置は、前記タイヤ検知手段によるタイヤ検知に失敗したときに、前記表示装置に車体下部洗浄が実行されないこと及び車体下部洗浄が実行されないことへの対応を表示する上記請求項6記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−5922(P2011−5922A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150391(P2009−150391)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】