説明

洗面化粧台の水栓ユニット

【課題】 洗面化粧台の吐水口の直下へ透明なコップを差し出したときも確実に感知するセンサを備え、吐水の開始動作および停止動作を正常に且つ自動的に行うことのできる水栓ユニット。
【解決手段】 本発明の水栓ユニット(1)は、洗面ボウルへ水を吐出するための吐水部(4a)と、吐水部の直下への物体の介入を感知するためのセンサ(5)とを備えている。センサの感知領域は、吐水部からの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されている。センサは、たとえば赤外線センサである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台の水栓ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台の水栓ユニットでは、吐水口(吐水部)に手を近づけるとセンサが感知して吐水が開始され、吐水の利用が終了して吐水口の近傍から手を遠ざけると例えば1〜2秒後に吐水が停止する構成が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公共の施設などに設けられた洗面化粧台では、吐水口からの水を利用したい場合、吐水口に手を近づけるのが一般的である。しかしながら、家庭に設けられた洗面化粧台では、吐水口からの水を利用する際に、必ずしも吐水口に手を近づけるだけではない。
【0004】
たとえば歯磨きなどに際して、片手で握った透明なコップを吐水口の直下へ差し出すこともある。この場合、センサからの検出光が透明なコップを透過してしまい、センサへの戻り光が実質的に発生しない。その結果、センサが透明なコップを感知することができず、ひいては吐水が開始動作および停止動作が正常に且つ自動的に行われないという不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、洗面化粧台の吐水口の直下へ透明なコップを差し出したときも確実に感知するセンサを備え、吐水の開始動作および停止動作を正常に且つ自動的に行うことのできる水栓ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、洗面化粧台の水栓ユニットにおいて、
洗面ボウルへ水を吐出するための吐水部と、
前記吐水部の直下への物体の介入を感知するためのセンサとを備え、
前記センサの感知領域は、前記吐水部からの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されていることを特徴とする水栓ユニットを提供する。ここで、吐水流線とは、吐水部の内部流路において、その流路中心の仮想延長線であり、吐水前に使用者が吐水領域と認識する流線方向である。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記吐水部は、前記洗面ボウルの後壁上部に固定されたカバーパネルに配置されており、前記カバーパネルから前記吐水部の先端へ向けて斜めに突出したセンサカバー内に前記センサが収納されている。また、前記センサは、赤外線センサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる洗面化粧台の水栓ユニットでは、洗面ボウルへ水を吐出する吐水部(吐水口)の直下への物体の介入を感知するためのセンサの感知領域が、吐水部からの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されている。以下、説明を簡単にするために、センサの感知領域が右上から左下に向かって斜めに設定されているものとする。
【0009】
この場合、片手で握った透明なコップを吐水口の直下へ差し出した場合、センサは透明なコップを握る右手の甲あるいは左手の掌を感知する。すなわち、本発明では、吐水口の直下へ透明なコップを差し出したときも、透明なコップを握っている手をセンサが確実に感知するので、吐水の開始動作および停止動作を正常に且つ自動的に行うことができる。
【0010】
ちなみに、センサの感知領域を吐水流線から右方向に位置ずれさせてほぼ鉛直方向に設定する場合、たとえば右利きの人がコップを握る右手を感知することができても、たとえば左利きの人がコップを握る左手を感知することができない。同様に、センサの感知領域を吐水流線から左方向に位置ずれさせてほぼ鉛直方向に設定する場合、コップを握る左手を感知することができても、コップを握る右手を感知することができない。
【0011】
なお、本発明では、吐水部(吐水口)の直下への物体の介入を感知するためのセンサが赤外線センサであることが好ましい。この構成により、比較的簡素な構成にしたがって、吐水部からの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定すべき感知領域を有するセンサを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる水栓ユニットが適用された洗面化粧台の構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示すカウンターユニットの構成を図1とは異なる角度から概略的に示す斜視図である。
【0013】
図1に示す洗面化粧台は、床面上に設置されたベースキャビネット20と、このベースキャビネット20の上に載置されたカウンターユニット10とを備えている。カウンターユニット10の上側には、図中右側から順に、1つのミラー付きの片開き扉を有するサイドミラーキャビネット21と、3つのミラー付きの片開き扉を有する中央ミラーキャビネット22と、サイドミラー23とが設けられている。
【0014】
また、中央ミラーキャビネット22の上側には、その幅のほぼ全体に亘って水平方向に延びる照明部24が取り付けられている。さらに、ベースキャビネット20およびカウンターユニット10の左側には、上下に間隔を隔てた一対のミラーを有し且つ床面からサイドミラーキャビネット21の上端(ひいては照明部24やサイドミラー23の上端)まで細長く延びるトールキャビネット25が設けられている。
【0015】
図2を参照すると、カウンターユニット10は、その中央に設けられた洗面ボウル11と、洗面ボウル11の右側に配置された右側カウンター12Rと、洗面ボウル11の左側に配置された左側カウンター12Lとを備えている。ここで、右側カウンター12Rと左側カウンター12Lとは互いに同じ高さ位置に、すなわち洗面ボウル11の上端よりも実質的に高い位置に設けられている。
【0016】
また、洗面ボウル11の底部には排水口11aが設けられ、洗面ボウル11の後壁11bの上部には水栓ユニット1が設けられている。水栓ユニット1の構成および作用については後述する。さらに、右側カウンター12Rの下側には右側引出し収納部13Rが設けられ、左側カウンター12Lの下側には左側引出し収納部13Lが設けられている。
【0017】
また、洗面ボウル11と左側カウンター12Lおよび右側カウンター12Rとの間において洗面ボウル11の上端よりもわずかに低い高さ位置には、左側補助カウンター14Lおよび右側補助カウンター14R(不図示)がそれぞれ設けられている。なお、洗面ボウル11の奥側において、左側補助カウンター14Lよりも僅かに低い高さ位置には、オーバーフロー11cが設けられている。
【0018】
図3は、本実施形態にかかる水栓ユニットの構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。また、図4は、本実施形態にかかる水栓ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。図3および図4を参照すると、本実施形態の水栓ユニット1は、カバーパネル2と、排水口操作部3と、吐水部4と、センサ5と、吐水調節部6とを備えている。
【0019】
そして、排水口操作部3と吐水部4と吐水調節部6とは、カバーパネル2の開口部から僅かに前方へ突出した状態または開口部から前方へ突出しない状態で横方向に(水平に)直線状に配置されている。具体的に、本実施形態では、図3(a)の上面図において明瞭に示すように、吐水部4および吐水調節部6がカバーパネル2の開口部から僅かに前方へ突出し、排水口操作部3がカバーパネル2の開口部から突出していない。
【0020】
カバーパネル2は、洗面ボウル11の後壁11bの上部において横方向に細長く延びており、比較的フラットな形態を有する。排水口操作部3は、洗面ボウル11の排水口11aの開閉を操作する機能を有する。具体的には、たとえば排水口操作部3の中央部を押すことにより、洗面ボウル11の排水口11aに対して排水栓(不図示)を作用させたり、その作用を解除したりすることができる。
【0021】
吐水部4は、洗面ボウル11へ水を吐出する吐水口(吐水部)4aを有し、洗面ボウル11への吐水を行う機能を有する。また、吐水部4は、カバーパネル2から前方へ引出し可能に構成されている。具体的に、吐水部4のカバーパネル2からの引出しに際して、図5に示すように、たとえばフレキシブルホース4dに接続された吐水部4の中央部を押すことにより、吐水部4がカバーパネル2から前方へ僅かに突出する。
【0022】
次いで、カバーパネル2から前方へ僅かに突出した吐水部4をさらに前方へ引き出すことにより、吐水口4aが所望の位置まで引き出される。なお、吐水部4の上部には、吐水部4をカバーパネル2から前方へ引き出す際に指を掛けるための指掛け部4cが設けられている。また、吐水部4の下部には、洗面ボウル11への吐水を整流水とシャワー水との間で切り換えるための切換え部(切換えレバー)4bが設けられている。
【0023】
吐水調節部6は、給水配管7から供給される常温水と給湯配管8から供給される高温水とを混合することにより吐水口4aから洗面ボウル11へ吐出される水の温度を調節する機能を有する。また、吐水調節部6は、吐水口4aから洗面ボウル11への吐水の流量を調節する機能を有する。具体的に、吐水調節部6は、左右に揺動可能で且つ前後に揺動可能なレバーハンドル6aを有する。
【0024】
吐水調節部6では、たとえばレバーハンドル6aを右に廻すと吐水口4aから吐出される水の温度が下がり、レバーハンドル6aを左に廻すと吐水口4aから吐出される水の温度が上がる。また、レバーハンドル6aを手前に引き上げると吐水口4aから吐出される水の流量が増大し、レバーハンドル6aを奥へ戻すと吐水口4aから吐出される水の流量が低下し、ひいては吐水口4aからの吐水が停止する。
【0025】
センサ5は、たとえば吐水部4の右側近傍に設けられた赤外線センサであって、吐水口(吐水部)4aの直下への物体の介入を感知する機能を有する。センサ5は、吐水口4a先端吐水口へ向けてカバーパネル2から斜めに突出しているセンサカバー内に収納されている。ここで、センサ5の感知領域は、吐水口4aからの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されている。吐水流線とは、吐水部の内部流路において、その流路中心の仮想延長線であり、吐水前に使用者が吐水領域と認識する流線方向である。したがって、図6に示すように、吐水口4aに手を近づけるとセンサ5が感知して吐水口4aからの吐水が開始される。そして、吐水の利用が終了して吐水口4aの近傍から手を遠ざけると、例えば1〜2秒後に吐水が停止する。
【0026】
以上のように、本実施形態にかかる洗面化粧台の水栓ユニット1では、センサ5の感知領域が吐水口4aからの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されているので、たとえば片手で握った透明なコップや透明な歯ブラシなどを吐水口4aの直下へ差し出した場合、センサ5は透明なコップなどを握る右手の甲あるいは左手の掌を感知する。すなわち、本実施形態では、吐水口4aの直下へ透明なコップなどを差し出したときも、透明なコップなどを握っている手をセンサ5が確実に感知するので、吐水の開始動作および停止動作を正常に且つ自動的に行うことができる。
【0027】
また、本実施形態では、排水口操作部3と吐水部4と吐水調節部6とが、横方向に細長くて比較的フラットな形態を有するカバーパネル2の開口部から前方へほとんど突出しない状態で水平に並んで配置されている。すなわち、排水口操作部3と吐水部4と吐水調節部6とが大きく突出することなくコンパクトに納められているので、各部(3,4,6)が汚れ難く且つ清掃し易い。
【0028】
また、排水口操作部3と吐水部4と吐水調節部6とを備えた水栓ユニット1のコンパクト化が十分に図られているので、洗面ボウル11の有効寸法が広がるという利点もある。また、本実施形態では、たとえば吐水部4の中央部を押すような簡単な操作により吐水部4がカバーパネル2から前方へ引出し可能に構成されているので、吐水口4aを所望の位置まで引き出すことができ、洗面ボウル11の清掃や洗面ボウル11での洗髪などを容易に且つ快適に行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、吐水部4の上部にそれを前方へ引き出す際に指を掛けるための指掛け部4cが設けられ、吐水部4の下部に洗面ボウル11への吐水を整流水とシャワー水との間で切り換えるための切換え部4bが設けられているので、吐水部4の前方への引出し操作および所望の位置まで引き出された吐水口4aの切換え操作を片手で容易に行うことができる。
【0030】
なお、上述の実施形態では、センサ5が吐水部4の右側近傍に設けられているが、これに限定されることなく、センサ5を吐水部4の左側近傍に設けることもできる。この場合、片手で握った透明なコップなどを吐水口4aの直下へ差し出すと、センサ5は透明なコップなどを握る左手の甲あるいは右手の掌を感知することになる。また、上述の実施形態では、センサ5をカバーパネル2に設けているが、吐水口近傍の洗面ボウル(壁面)に開口を設けて直接取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態にかかる水栓ユニットが適用された洗面化粧台の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すカウンターユニットの構成を図1とは異なる角度から概略的に示す斜視図である。
【図3】本実施形態にかかる水栓ユニットの構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図4】本実施形態にかかる水栓ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】本実施形態の水栓ユニットにおける吐水部の操作および作用を説明する図である。
【図6】本実施形態の水栓ユニットにおけるセンサの動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 水栓ユニット
2 カバーパネル
3 排水口操作部
4 吐水部
4a 吐水口(吐水部)
4b 切換え部(切換えレバー)
4c 指掛け部
4d フレキシブルホース
5 センサ
6 吐水調節部(流量・温度調節部)
6a レバーハンドル
7 給水配管
8 給湯配管
10 カウンターユニット
11 洗面ボウル
11a 洗面ボウルの排水口
11b 洗面ボウルの後壁
11c 洗面ボウルのオーバーフロー
12R,12L カウンター
13R,13L 引出し収納部
14R,14L 補助カウンター
20 ベースキャビネット
21 サイドミラーキャビネット
22 中央ミラーキャビネット
23 サイドミラー
24 照明部
25 トールキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面化粧台の水栓ユニットにおいて、
洗面ボウルへ水を吐出するための吐水部と、
前記吐水部の直下への物体の介入を感知するためのセンサとを備え、
前記センサの感知領域は、前記吐水部からの吐水流線の手前を斜めに通過するように設定されていることを特徴とする水栓ユニット。
【請求項2】
前記吐水部は、前記洗面ボウルの後壁上部に固定されたカバーパネルに配置されており、
前記カバーパネルから前記吐水部の先端へ向けて斜めに突出したセンサカバー内に前記センサが収納されていることを特徴とする請求項1に記載の水栓ユニット。
【請求項3】
前記センサは、赤外線センサであることを特徴とする請求項1または2に記載の水栓ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−22538(P2006−22538A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200925(P2004−200925)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】