説明

洗面化粧台

【課題】排水経路に頻繁に目詰まりが生じるのを回避でき、ヘアーキャッチャーで捕集された毛髪やゴミを除去する作業の回数を減らすことのできる洗面化粧台を提供する。
【解決手段】洗髪用のシャワー装置13が取り付けられた洗面化粧台30において、洗面ボール31の底部に開口する排水口32から下方に向かう主排水経路33に併設して、主排水経路33と切り替え可能な補助排水経路34が設けられており、補助排水経路34は開口面積が大きくなった排水室37による拡幅断面部分を備えていて、この拡幅断面部分を横切って、ヘアキャッチャー38が着脱可能に取り付けられる。補助排水経路34は、排水口32の下方において、主排水経路33から枝分かれして設けられており、補助排水経路34への枝分れ部35に、主排水経路33と補助排水経路34との切り替えを行う切替え弁36が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗髪用のシャワー装置が取り付けられた洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪用のシャワー装置が取り付けられた洗面化粧台は、理髪店や美容院等の業務用としてのみならず、一般家庭においても需要が高まってきている。このような洗面化粧台では、洗面ボールの底部に開口する排水口の直下部分にヘアーキャッチャーを取り付けて、洗髪後の排除水に含まれる毛髪やゴミを捕集するようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−168975号公報
【特許文献2】特開2004−150038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、洗髪用のシャワー装置が取り付けられた従来の洗面化粧台では、環境への配慮から、排除水に含まれる毛髪やゴミをヘアーキャッチャーで効果的に捕集できるようになっており、また排水経路は開口面積が大きいものではないことから、例えば洗髪時に多くの毛髪やゴミが排水口に流れ込むと、ヘアーキャッチャーで捕集された毛髪やゴミによって排水経路に目詰まりが生じやすくなり、洗面ボールからの水をスムーズに排除することが困難になる。このため、ヘアーキャッチャーを着脱して、捕集された毛髪やゴミを除去する作業を頻繁に行う必要があり、管理が煩しいものとなっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、排水経路に頻繁に目詰まりが生じるのを効果的に回避できると共に、ヘアーキャッチャーで捕集された毛髪やゴミを除去する作業の回数を減らすことのできる洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、洗髪用のシャワー装置が取り付けられた洗面化粧台において、洗面ボールの底部に開口する排水口から下方に向かう主排水経路に併設して、該主排水経路と切り替え可能な補助排水経路が設けられており、該補助排水経路は開口面積が大きくなった拡幅断面部分を備えていて、該拡幅断面部分を横切って、ヘアキャッチャーが着脱可能に取り付けられている洗面化粧台を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
また、本発明の洗面化粧台によれば、前記補助排水経路は、前記排水口に隣接して形成した前記排水口よりも開口面積が大きな補助排水口から下方に向かう排水経路として設けられており、前記排水口と前記補助排水口とを選択的に閉塞して、前記主排水経路と前記補助排水経路とを切り替えるようになっていると共に、前記拡幅断面部分は、前記補助排水口の直下部分に配設されることが好ましい。
【0007】
さらに、本発明の洗面化粧台によれば、前記補助排水経路は、前記排水口の下方において、前記主排水経路から枝分れして設けられており、前記補助排水経路への枝分れ部に、前記主排水経路と前記補助排水経路との切り替えを行う切替え弁が取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗面化粧台によれば、排水経路に頻繁に目詰まりが生じるのを効果的に回避できると共に、ヘアーキャッチャーによって捕集された毛髪やゴミを除去する作業の回数を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい第1実施形態に係る洗面化粧台10は、図1(a),(b)に示すように、洗面ボール11の背部に、一般に取り付けられる水栓金具12に加えて、シャワー装置13を備えるものであり、湯水を吐出する吐出口を、水栓金具12或いはシャワー装置13に適宜切り替えつつ、好ましくは温度調整された湯水を供給すると共に、特にシャワー装置13を用いることによって、洗面ボール11において洗髪を行うことができるようになっている。
【0010】
また、第1実施形態に係る洗面化粧台10は、一般のシャワー装置が取り付けられた洗面化粧台と同様に、洗面ボール11の取付け台14には、収納用の引出し15や、開閉扉16が設けられており、また洗面ボール11の背部から立設して、収納部17aを備える鏡壁17が設置されている。
【0011】
そして、本第1実施形態の洗面化粧台10は、洗髪用のシャワー装置13が取り付けられた洗面化粧台において、図2及び図3に示すように、洗面ボール11の底部に開口する排水口18から下方に向かう主排水経路19に併設して、この主排水経路19と切り替え可能な補助排水経路20が設けられており、補助排水経路20は開口面積が大きくなった拡幅断面部分21を備えていて、この拡幅断面部分21を横切って、図4(a)に示すように、ヘアキャッチャー22が着脱可能に取り付けられている。
【0012】
また、本第1実施形態の洗面化粧台10によれば、補助排水経路20は、排水口18に隣接して形成された排水口18よりも開口面積が大きな補助排水口23から下方に向かう排水経路として設けられており、排水口18と補助排水口23とを選択的に閉塞して、主排水経路19と補助排水経路20とを切り替えるようになっていると共に、補助排水経路20の拡幅断面部分21は、補助排水口23の直下部分に配設されている。
【0013】
本第1実施形態では、洗面ボール11の底部分に開口する排水口18は、例えば15〜25mm程度の大きさの円形開口であって、この排水口18には、例えば特開平10−168975号公報に記載の洗面化粧台と同様に、排水金具本体や排水栓を備える排水金具24が洗面ボール11の下方から接続され、この排水金具24の下部には、トラップ部25aを有する排水管25がさらに接続されて、主排水経路19を形成している。なお、排水金具24の排水栓には、上記公報に記載の洗面化粧台と同様に、ヘアキャッチャーが取り付けられていると共に、排水栓は、例えばケーブルガイド内のケーブルを介して、洗面ボール11の背部に設けたポップアップ引き棒のボタン部26からの操作によって、排水口18を開閉できるようになっている。
【0014】
また、本第1実施形態では、主排水経路19と併設して設けられる補助排水経路20は、排水金具24の下方において排水管25と合流する、トラップ部27aを有する補助排水管27によって形成される。補助排水管27の上端部分は、略楕円形状に拡幅して面積が大きくなった拡幅断面部分21となっており、この拡幅断面部分21の上端開口面は、排水口18よりも開口面積が大きな補助排水口23として、洗面ボール11の底部に排水口18と隣接して開口する。これによって拡幅断面部分21は、補助排水口23の直下部分に配置されることになる。
【0015】
さらに、本第1実施形態では、拡幅断面部分21には、図4(a)に示すように、洗面ボール11からの排除水に含まれる毛髪やゴミを捕集するヘアキャッチャー22が、広くなった拡幅断面部分21の開口断面を横切るようにして、着脱可能に装着される。ヘアキャッチャー22は、図4(b)に示すように、例えば下側の開口面を覆って捕集ネット28が取り付けられたネット目皿からなる。そして、中心側に向かって下方に傾斜する扁平な円錐状のテーパー面となった拡幅断面部分21の底面部分21aに、ヘアキャッチャー22の周縁部分を載置した状態で、ヘアキャッチャー22を拡幅断面部分21の内部に装着することにより、ヘアキャッチャー22の捕集ネット28が、拡幅断面部分21の底面部分21aとの間に間隔を保持しつつ、拡幅断面部分21を横切って配置されることになる。
【0016】
さらにまた、本第1実施形態では、拡幅断面部分21の上端開口面による、面積の大きな略楕円形状の補助排水口23を覆って、例えば洗面ボール11の上方からの手作業によって着脱することにより補助排水口23を開閉することが可能な、カバーラバーキャップ29が設けられている。カバーラバーキャップ29は、その周縁部分を補助排水口23の開口周縁部分に密着した状態で取り付けられて、閉塞時に、補助排水口23を介して洗面ボール11からの排除水が補助排水経路20に流入するのを遮断する。また、カバーラバーキャップ29を補助排水口23から取り外すことにより補助排水口23を開放して、洗面ボール11からの排除水を補助排水経路20に流入させることができるようになっている。
【0017】
上述の構成を備える本第1実施形態の洗面化粧台10では、例えばポップアップ引き棒のボタン部26を操作して排水口18を開放した状態とし、且つ補助排水口23を覆ってカバーラバーキャップ29を取り付けた状態とすることにより、洗面ボール11からの排除水を主排水経路19を介して排出することが可能になる。またポップアップ引き棒のボタン部26を操作して排水口18を閉塞した状態とし、且つ補助排水口23からカバーラバーキャップ29を取り外した状態とすることにより、洗面ボール11からの排除水を、補助排水経路19に切り替えて排出することが可能になる。
【0018】
そして、本第1実施形態の洗面化粧台10によれば、排水経路(主排水経路19)に頻繁に目詰まりが生じるのを効果的に回避できると共に、ヘアーキャッチャー22によって補足された毛髪やゴミを除去する作業の回数を減らすことができる。すなわち、本第1実施形態によれば、洗面ボール11の底部分に開口する排水口18から下方に向かう主排水経路19に併設して、主排水経路19と切り替え可能な補助排水経路20が設けられており、補助排水経路20は開口面積が大きくなった拡幅断面部分21を備えていて、拡幅断面部分21を横切って、ヘアキャッチャー22が着脱可能に取り付けられているので、例えば多くの毛髪やゴミが排除水に混入されると予想される洗髪時には、補助排水経路20に切り替えて排除水を排除するようにすれば、毛髪やゴミは、大きな開口面積の拡幅断面部分21において効率良くヘアキャッチャー22によって捕集され、且つ主排水経路19に設けたヘアキャッチャーには、通常の排出時における排除水に含まれる毛髪やゴミのみが捕集されるので、通常使用される主排水経路19に頻繁に目詰まりが生じるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0019】
また、補助排水経路20に設けられるヘアキャッチャー22は、開口面積が大きくなった拡幅断面部分21を横切って取り付けられるので、その大きな捕集面積によって、多量の毛髪やゴミを効率良く捕集できると共に、ヘアキャッチャー22の上方に多量の毛髪やゴミを堆積させることが可能なので、ヘアーキャッチャー22から毛髪やゴミを除去する作業の回数を減らすことが可能になる。
【0020】
図5(a),(b)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る洗面化粧台30の要部を略示すものである。本第2実施形態に係る洗面化粧台30では、補助排水経路34は、洗面ボール31の排水口32の下方において、主排水経路33から枝分かれして設けられており、補助排水経路34への枝分れ部35に、主排水経路33と補助排水経路34との切り替えを行う切替え弁36が取り付けられている。
【0021】
本第2実施形態によれば、補助排水経路34は排水室37によって構成され、その略全体が、開口面積の大きな拡幅断面部分となっている。排水室37の、外側に張り出して水平断面積が広がった部分には、捕集面積の大きな第1ヘアーキャッチャー38が、排水室37の側端部分の装着開口39から着脱可能に挿入装着される。第1ヘアーキャッチャー38は、例えば排水室37の内側面に設けたガイド部材に案内されて横方向にスライド移動し、装着開口39を介して着脱できるようになっている。また、排水室37の外側に張り出して断面積が最も大きくなった部分の天板部37aには、空気孔40が複数開口形成されている。さらに、排水室37による補助排水経路34の下端部分は、合流部41を介して主排水経路33に合流している。
【0022】
主排水経路33と補助排水経路34との切り替えを行う切替え弁36は、例えば天面板36aと垂直板36bとからなる略T字断面形状を備えており、天面板36aの中央背面側部分が枝分れ部35の開口下端縁部に回転可能に軸支され、ボタン部42の押圧操作によって回動することにより、洗面ボール31からの排除水を流下させる、主排水経路33と補助排水経路34との切り替えを行うことができるようになっている。すなわち、天面板36aの上半部分によって枝分れ部35の開口を閉塞し、第2ヘアーキャッチャー43として機能する垂直板36bを主排水経路33を横切って配置して、排除水を主排水経路33から流下させる状態(図5(a)参照)と、天面板36aの左半部分よって主排水経路33を閉塞し、垂直板36bを枝分れ部35の開口を覆って配置して、排除水を補助排水経路34から流下させる状態(図5(b)参照)とを、ボタン部42の押圧操作によって容易に切り替えることができるようになっている。
【0023】
そして、上述の構成を備える本第2実施形態の洗面化粧台30では、上記第1実施形態の洗面化粧台10と同様の作用効果が得られることに加えて、以下のように機能することが可能になる。すなわち、例えば洗髪を行わない通常の排水状態では、第2ヘアーキャッチャー43を主排水経路33を横切って配置し、主排水経路33を経て排除水を流下させる。主排水経路33に配置された第2ヘアーキャッチャー43に毛髪やゴミ44が捕集されて相当量蓄積されることにより、主排水経路33を介して排除水を排水し難くなったら、ボタン部42を操作して、排水経路を排水室37による補助排水経路34に切り替える。ボタン部42の操作によって、切替え弁36は回転し、枝分れ部35の開口に配置された第2ヘアーキャッチャー43には裏側から排水室37に水が流入することにより、第2ヘアーキャッチャー43に蓄積されていた毛髪やゴミ44が排水室37に流れ落ち、広い捕集面積の第1ヘアーキャッチャー38に捕集される。
【0024】
第2ヘアーキャッチャー43に蓄積した毛髪やゴミ44を排水室37に流し落としたら、ボタン部42を再び操作して、主排水経路33を経て排除水を流下させる状態に復帰させる。これによって、ボタン部42からの簡単な操作により第2ヘアーキャッチャー43に蓄積した毛髪やゴミ44を排除して、主排水経路33に目詰まりが生じるのをより効果的に回避することが可能になる。また、排水室37の第1ヘアーキャッチャー38に捕集された毛髪やゴミ44は、排水室37の天板部37aに開口形成された空気孔40を介して送られてくる外気に触れて速やかに乾燥するので、蓄積された毛髪やゴミ44を除去する作業をさらに容易且つ衛生的に行うことが可能になる。
【0025】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、上記第1実施形態において、補助排水口を覆う閉塞部材は、手作業で着脱するものである必要は必ずしもなく、排水口を閉塞する排水栓と同様に、ポップアップ引き棒のボタン部からの操作によって開閉するものであっても良い。また、上記第2実施形態において、切替え弁として略T字断面形状を備えるものを用いる必要は必ずしもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明の好ましい第1実施形態に係る洗面化粧台の斜視図、(b)は一部切欠き側面図である。
【図2】本発明の好ましい第1実施形態に係る洗面化粧台の要部略示平面図である。
【図3】本発明の好ましい第1実施形態に係る洗面化粧台の要部略示正面図である。
【図4】(a)は第1実施形態に係る洗面化粧台の補助排水口及び拡幅断面部分の構成を説明する断面図、(b)はヘアーキャッチャーの斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る洗面化粧台の構成を説明する要部略示断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10,30 洗面化粧台
11,31 洗面ボール
12 水栓金具
13 シャワー装置
18,32 排水口
19,33 主排水経路
20,34 補助排水経路
21 拡幅断面部分
22 ヘアキャッチャー
23 補助排水口
24 排水金具
25 排水管
26 ポップアップ引き棒のボタン部
27 補助排水管
28 捕集ネット
29 カバーラバーキャップ
35 枝分れ部
36 切替え弁
37 排水室
38 第1ヘアーキャッチャー
39 装着開口
40 空気孔
41 合流部
42 ボタン部
43 第2ヘアーキャッチャー
44 毛髪やゴミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗髪用のシャワー装置が取り付けられた洗面化粧台において、
洗面ボールの底部に開口する排水口から下方に向かう主排水経路に併設して、該主排水経路と切り替え可能な補助排水経路が設けられており、該補助排水経路は開口面積が大きくなった拡幅断面部分を備えていて、該拡幅断面部分を横切って、ヘアキャッチャーが着脱可能に取り付けられている洗面化粧台。
【請求項2】
前記補助排水経路は、前記排水口と隣接して形成された前記排水口よりも開口面積が大きな補助排水口から下方に向かう排水経路として設けられており、前記排水口と前記補助排水口とを選択的に閉塞して、前記主排水経路と前記補助排水経路とを切り替えるようになっていると共に、前記拡幅断面部分は、前記補助排水口の直下部分に配設される請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記補助排水経路は、前記排水口の下方において、前記主排水経路から枝分かれして設けられており、前記補助排水経路への枝分れ部に、前記主排水経路と前記補助排水経路との切り替えを行う切替え弁が取り付けられている請求項1に記載の洗面化粧台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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