津波高さ算出方法、及び津波高さ算出装置
【課題】検潮所を持たない地点における、既往及び将来の津波高さを算出可能な技術を提供する。
【解決手段】潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、しきい値となる周期以上の周期成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、をコンピュータが実行する。
【解決手段】潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、しきい値となる周期以上の周期成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、をコンピュータが実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波高さ算出方法、及び津波高さ算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や原子力発電所など、タービンの回転に用いた蒸気を冷却する復水器を有する発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められる。例えば、特許文献1には、発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器と、復水器に冷却水を供給する循環ポンプと、循環ポンプを介して復水器に冷却水を流入する冷却管とを備えた復水系統の制御システムが開示されている。特許文献1に記載の制御システムは、更に復水器の出口圧力を検出する圧力センサと、冷却管と連通して復水器内の圧力変化を調整するバイパス路と、バイパス路に設けられて復水器内の圧力変化に応じて開閉されるバイパス弁と、復水器の出口圧力を調整する出口弁と、循環ポンプから冷却水として供給される海水の潮位に関する変位情報及び圧力センサで検出された出口圧力の値に応じて復水器の出口弁を制御する制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30900号公報
【特許文献2】特開平9−210304号公報
【特許文献3】特開2000−170138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火力発電所や原子力発電所など、タービンの回転に用いた蒸気を冷却する復水器を有する発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められる。ここで、津波の来襲時では、押し波による浸水被害に加えて、引き波時における海面水位の低下に伴い、復水器が冷却水としての海水を安定的に取水できなくなる虞がある。
【0005】
津波襲来時における津波の津波高さを算出する手法の一つとして天文潮位を用いる技術がある。天文潮位とは気象庁が過去に観測された潮位を解析して算出した潮位の予測値である。天文潮位を用いる技術では、潮位観測記録(以下、実測データという)と天文潮位との差分をとることで、津波による海面水位の変化量、すなわち津波高さを算出する。図1は、天文潮位と実測データとの関係を示し、図2は、実測データと天文潮位との差分から算出された海面水位の変化を示す。横軸は時間を示し、縦軸は変位を示す。なお、図1、図2は、検潮所において、既往データの蓄積から推算した天文潮位と津波時の潮位が比較可能な場合を示す。図1に示すように、津波襲来時(15時頃)前においては実測データの波形と天文潮位の波形が概ね一致しているが、津波襲来(15時頃)以降では、実測データの波形と天文潮位の波形が異なっている。これは、実測データに津波の影響が反映されたものである。実測データは天文潮位(潮汐成分)と津波高さ(津波成分)の和で表されていることから、実測データと天文潮位の差分を算出することで、津波高さの算出が可能となる。
【0006】
ここで、上記天文潮位は、所定の標準港にある検潮所の既往測位記録を元に算出される予測値であり、天文潮位の値は標準港の検潮所(観測地点)によって異なる。従って、検潮記録のない地点では天文潮位を算出することができない。つまり、所定の標準港以外の検潮所を持たない地点では、天文潮位を持った標準港に近接していても、実測データと天文潮位との差分によって正確な津波高さを算出することはできない。
【0007】
なお、潮汐表(海上保安庁 刊)に掲載されている潮候改正数を用いて、天文潮位を持
った標準港に近接する地点での満潮・干潮位とその時刻を算定する方法が存在する。当該潮汐表によれば、標準港に近接する地点の潮候改正数が網羅的に整理されている。この方法により、概ね任意地点の満潮・干潮位とその時刻が算定可能であるが、任意時刻の天文潮位が算定可能なものではなく、船舶の入出港可否判断に用いる簡便な手法である。
【0008】
本発明では、上記した背景に鑑み、検潮所を持たない地点において、津波時の実測データを用い、当該津波高さを算出する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上述した課題を解決するため、潮汐特有の周期を算出し、津波襲来時に測定した実測データから潮汐成分を抽出することとした。そして、抽出した潮汐成分と実測データとの差分をとり、津波高さを算出することとした。
【0010】
より詳細には、本発明は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、をコンピュータが実行する津波高さ算出方法である。
【0011】
本発明に係る津波高さ算出方法は、検潮所を持たない、すなわち天文潮位が算定できない地点における津波高さを算出する技術として好適に用いることができる。従って、本発明に係る津波高さ算出方法は、検潮所を持たない火力発電所や原子力発電所などの発電設備において、津波高さを算出する技術として好適に用いることができる。上記発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められるが、本発明によれば津波襲来時における引き波による水位の低下を含む津波の高さを簡便に算出することができるため、当該津波による水位低下に対して冷却水取水ポンプの取水限界水位と対比することで、冷却水取水ポンプがどの程度余裕を持って取水していたのかを事後評価することができる。さらに、津波高さの算出結果は、今後来襲することが懸念される、最大級の津波高さを推定する手がかりとして、被災リスク評価の基礎資料とすることできる。なお、津波高さには、押し波によって増加する水位の高さと、引き波によって低下する水位の高さが含まれる。
【0012】
ここで、潮汐と津波は、夫々が特有の周期を有しており、海水面の水位は、潮汐の周期や津波の周期に応じて変化する。実測データ取得ステップで取得される実測データには、潮汐成分と津波成分に関する情報が含まれる。潮汐成分とは、例えば潮汐の周期成分であり、津波成分とは、例えば津波の周期成分である。実測データは、発電設備等の地点に水位計を設置することで取得することができる。
【0013】
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定することで、実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出することが可能となる。潮汐の特有周期は、潮汐の影響による水位の変化に関するデータや文献を参照・分析して求めることができる。潮汐成分は、実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する情報が抽出されたものであり、潮汐と津波の各成分のうち、潮汐成分のみを含む。
【0014】
津波高さは、実測データと潮汐成分との差分を算出することで得ることができ、潮汐と
津波の各成分のうち、津波成分のみを含む。
【0015】
ここで、本発明者等の研究によれば、津波の周期は、一般的に数10分から1時間程度であり、また、日本に来襲した津波の中で最も長周期とされる1960年チリ地震津波であっても周期は130分程度であることが確認された。一方で、潮汐の周期は、最長で1年、最短で4時間であることが確認された。すなわち、津波の周波数帯と潮汐の周波数帯は混在しないことが確認された。そこで、本発明に係る津波高さ算出方法において、潮汐成分特有の周期は、4時間以上とすることができ、津波成分と潮汐成分のしきい値となる周期を4時間に特定することで潮汐成分の抽出が可能となり、ひいては津波成分の算出が可能となる。
【0016】
また、本発明では、上述した津波高さ算出方法において、更に既往最大の津波の津波高さと上述した津波高さの算出対象となる津波の津波高さとの比を求め、上記比と上述した津波高さ算出方法で算出された津波高さと乗じることで、将来発生する可能性のある最大の津波高さが、所定の条件(上述した津波高さの算出が可能であって、当該地近傍において既往最大津波高さ等が既知であること)を満たす地点で算出できる。
【0017】
より詳細には、本発明に係る津波高さ算出方法は、前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さとを乗じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する最大津波高さ算出ステップを更に備える構成とすることができる。
【0018】
本発明によれば、将来発生する可能性がある最大の津波の津波高さを簡便に算出することができる。本発明では、将来発生が予測される最大の津波は、観測史上で世界最大の地震津波による当該地点の既往最大津波高さ(以下、既往最大津波高さ)と同程度とする。従って、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さとは、換言すると、既往最大の津波と同程度の津波高さである。津波高さが算出される地点の近傍は、観測史上世界最大の津波に関するデータが存在する、津波高さが算出される地点(例えば、発電設備)から最も近い地点とすることが望ましい。津波高さが算出される地点からより近い地点での既往最大の津波に関するデータを用いることで、算出精度を高めることができる。同域の発生源とは、換言すると津波の発生源となる地震の震源地である。なお、同域の発生源は、経度や緯度が完全に一致している必要は無く、同一の発生源には、○○沖地震といったように、同一の地名や海域によって特定される地震の震源地(発生源)が含まれる。
【0019】
ここで、本発明は、津波高さ算出装置として特定することもできる。具体的には、本発明は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得部と、しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得部で取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出部と、前記潮汐成分抽出部で抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得部で取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出部と、を備える津波高さ算出装置である。
【0020】
なお、前記のしきい値となる周期は、4時間とすることができる。また、本発明に係る津波高さ算出装置は、前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さを乗
じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する、最大津波高さ算出部を更に備える構成とすることができる。
【0021】
また、本発明は、上述した津波高さ算出方法を実現させるプログラムであってもよい。更に、本発明は、そのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検潮所を持たない地点における津波高さを算出可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術における、天文潮位と実測データとの関係を示す。
【図2】従来技術における、実測データと天文潮位との差分から算出された海面水位の変化(津波高さ)を示す。
【図3】実施形態に係る発電設備の概略図を示す。
【図4】実施形態に係る津波高さ算出装置の機能ブロック図を示す。
【図5】津波高さ算出処理のフロー図を示す。
【図6A】ある湾内に設けられた発電設備で測定された実測データと実測データから抽出した潮汐成分を示す。
【図6B】算出された津波高さを示す。
【図7A】ある湾外に設けられた発電設備で測定された実測データと実測データから抽出した潮汐成分を示す。
【図7B】算出された津波高さを示す。
【図8A】分潮成分の一覧(前半)を示す。
【図8B】分潮成分の一覧(後半)を示す。
【図9】最大津波高さ算出処理のフロー図を示す。
【図10】既往最大の津波波源と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波波源の比較を示す。
【図11】太平洋側及び東京湾内各地における、既往最大の津波高さと既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波高さの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る津波高さ算出方法及び津波高さ算出装置について図面に基づいて説明する。本実施形態では、発電設備において津波高さを算出する場合を例に説明する。
【0025】
<発電設備の構成>
図3は、実施形態に係る発電設備の概略図を示す。図3に示す発電設備100は、海岸沿いに設けられた火力発電所の一例であり、ボイラ1、タービン2、復水器3、海水取込口4、水位計5、脱硝・脱硫装置6、煙突7を備える。
【0026】
ボイラ1は、燃料を燃焼させ、水を熱して蒸気を発生させる。燃料には、石炭、石油、液化天然ガス(LNG)が例示される。タービン2は、複数の羽を有し、ボイラ1の蒸気によって回転し、電力を発電する。復水器3は、冷却水としての海水を取り込む海水取込口4と接続され、タービン2の回転に用いた蒸気を冷却する。水位計5は、海水取込口4付近に設置され、海面水位を計測する。脱硝・脱硫装置6は、ボイラ1に接続される排煙
処理装置であり、ボイラ1から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物等を分解し除去する。煙突7は、排ガスを排出する。
【0027】
<津波高さ算出装置の構成>
図4は、実施形態に係る津波高さ算出装置の機能ブロック図を示す。津波高さ算出装置10は、汎用のコンピュータによって構成され、制御部11、表示部12、操作部13を備える。表示部12は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等である。操作部13は、コンピュータの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等が含まれる。津波高さ算出装置10は、発電設備100内に設置してもよく、また、発電設備100の外部に設置してもよい。
【0028】
制御部11は、CPU(中央演算処理装置)15、メモリ16、実測データ取得部17、抽出部18、津波高さ算出部19、最大津波高さ算出部20、記憶部21を備える。CPU15は、表示部12や操作部13等のハードウェアを制御すると共に、メモリ16に格納された制御プログラムに従って、実測データ取得部17、抽出部18、津波高さ算出部19、最大津波高さ算出部20、記憶部21を機能させる。
【0029】
メモリ16は、揮発性のRAM(Random Access Memory)と、不揮発性のROM(Read Only Memory)を含む。ROMには、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)のような書き換え可能な半導体メモリを含む。記憶部21は、ハードディスクドライブ(以下、HDDとする。)や半導体メモリにより構成することができる。
【0030】
実測データ取得部17は、潮汐の周期成分と津波の周期成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する。抽出部18は、しきい値となる周期(4時間)以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、実測データ取得部17で取得された実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する。津波高さ算出部19は、抽出部で抽出された潮汐成分と実測データ取得部で取得された実測データとの差分を算出し、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する。
【0031】
最大津波高さ算出部20は、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と津波高さとを乗じることで、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する。既往最大の津波の津波高さ、及び既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さは、操作部13を介して入力することができる。
【0032】
<津波高さ算出処理>
次に津波高さ算出装置10で実行される津波高さ算出処理について説明する。以下の説明では、2010年2月28日に発生したチリ地震津波を例に説明する。図5は、津波高さ算出処理のフロー図を示す。ステップS01では、実測データ取得部17は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する。取得された実測データは、例えば表示部12に表示することができる。実測データは、発電設備100の水位計5で計測されたデータである。実測データは、操作部13を介して入力することで取得してもよく、また、津波高さ算出装置10と水位計5とを電気的に接続し、水位計5で計測されたデータを記憶部21に記憶し、これを取得するようにしてもよい。実測データが取得されるとステップS02へ進む。
【0033】
ステップS02では、抽出部18は、しきい値となる周期(4時間)以上の周期成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、実測データ取得部17で取得された実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する。抽出結果は、例えば表示部12へ表示することができる。ここで、図6Aは、ある湾内に設けられた発電設備100で測定された実測データを示し、図7Aは、ある湾外に設けられた発電設備100で測定された実測データを示す。横軸は時間、縦軸は水位の変化(潮位)を示す。実線は実測データの波形を示し、点線は実測データから抽出した潮汐成分の波形を示す。なお、図6A、図7A、及び後述する図6B、図7Bは、津波高さを算定しようとする地点において、検潮所がなく、天文潮位が算定できない場合を示す。図6A、図7Aに示すように、津波襲来時(2010年2月28日15時頃)前では、実測データの波形(1)と潮汐成分の波形(2)が概ね一致しているが、津波襲来時以降では、実測データの波形(1)と潮汐成分の波形(2)が異なっていることが確認できる。
【0034】
ここで、潮汐成分の抽出について詳しく説明する。潮汐成分の抽出は、しきい値となる周期(4時間)以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、しきい値となる周期(4時間)を数値フィルタとしてフーリエ変換によるフィルタリング処理を行うことで実現される。しきい値となる周期(4時間)は、以下に説明するように本発明者らの研究によって見出されたものである。津波の周期は、一般的に数10分から1時間程度であり、また、至近年において日本に来襲した津波の中で最も長周期とされる1960年チリ地震津波であっても周期は130分程度であることが確認された。一方で、潮汐の周期は、最長で1年、最短で4時間であることが確認された。ここで、図8Aは、分潮成分の一覧(前半)を示し、図8Bは、分潮成分の一覧(後半)を示す。図8A、図8Bに示す分潮成分の一覧は、気象庁が公表しているものであり、各潮位表掲載地点の60分潮の振幅・遅角とその解析年次、経度についてまとめられている。気象庁によれば、分潮一覧表について、『潮汐を起す力(起潮力)は天体(月と太陽)の引力の効果です。これら天体の運動は複雑ですが、大部分の運動は周期的であるため、起潮力は様々な周期の三角関数の総和として表すことができます。この、個々の周期の三角関数で表される潮汐の成分を分潮と呼び、三角関数に含まれる振幅と遅角(天体の周期的な運動に対する、分潮の振動の遅れ具合)の値を調和定数と呼びます。』と説明されている。更に、気象庁では、『60分潮のうち、記号Sa、Ssa、Mm、MSf、Mfは、長周期潮であり、それ以外の記号は、
短周期潮である。』と説明されている。
【0035】
長周期潮のうち最も速度が遅いSaを周期に換算すると式1、2により約365日とな
る。また、短周期潮のうち最も速度が速いMSK6を周期に換算すると式3により約4時
間となる。
360°/0.041=8780h・・・式1
8780/24≒365d・・・式2
360°/89.06≒4h・・・式3
【0036】
以上により、潮汐の周期は、最短で4時間であることが確認された。また、津波の周期は、上述したように最長でも130分であることから、津波の周波数帯と潮汐の周波数は混在しないことが確認された。そこで、本実施形態では、しきい値となる周期を4時間と特定することで、潮汐成分の抽出が可能となる。潮汐成分が抽出されるとステップS03へ進む。
【0037】
ステップS03では、津波高さ算出部19は、抽出部18で抽出された潮汐成分と実測データ取得部17で取得された実測データとの差分を算出し、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する。算出結果は、例えば表示部12へ表示することができる。図6Bは、算出された津波高さであって、図6Aに対応する津波成分を示す。また、図
7Bは、算出された津波高さであって、図7Aに対応する津波成分を示す。横軸は時間、縦軸は水位の変化を示す。図6B、図7Bに示すように、抽出部18で抽出された潮汐成分(2)と実測データ取得部で取得された実測データ(1)との差分をとることで、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出することができる。また、図6Bに示すように、この場合での津波による水位変化は、押し波による上昇量の最大値よりも引き波による下降量の最大値の方が大きく、湾内に設置された発電設備では、引き波による下降量の最大値は、押し波による上昇量の最大値の凡そ4/3倍となっている。また、湾外に設置された発電設備では、図7Bに示すように、押し波による上昇量の最大値と引き波に
よる下降量の最大値は凡そ同じであることが確認できる。但し、湾内に設置された発電設備よりも湾外に設置された発電設備の方が津波による影響が大きいことが確認できる。
【0038】
以上説明した津波高さ算出処理によれば、発電設備のように検潮所を持たない地点における津波高さを簡便に算出することができる。
【0039】
<最大津波高さ算出処理>
次に最大津波高さ算出処理について説明する。図9は、最大津波高さ算出処理のフロー図を示す。最大津波高さ算出処理は、上述した津波高さ算出処理に加えて更に最大津波高さ算出部20による最大津波高さを算出する処理を備える。すなわち、ステップS03の津波高さが算出されると、ステップS04において、最大津波高さ算出部20は、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と津波高さとを乗じることで、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波高さを算出する。なお、以下の説明では、既往最大津波として、1960年5月24日に発生した、1960年チリ地震津波、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波として2010年2月28日に発生した、2010年チリ中部地震津波を例に説明する。
【0040】
具体的には、まず、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さが、取得される。これら2つの津波の高さは、操作部13を介して入力することで取得される。そして、既往最大の津波の津波高さを既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さで除することで上記「比」が算出される。ここで、図10は、既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の比較を示す。また、図11は、既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の潮位偏差(天文潮位に対する振幅)の比較を示す。図11では、複数の観測地点(検潮所)毎に、(1)1960年5月24日チリ地震津波(既往最大津波)の潮位偏差、(2)2010年2月28日チリ地震津波(既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波)の潮位偏差、(3)「比」((1)/(2))が示されている。例えば、最大津波の算出対象となる発電設備に最も近い観測地点が千葉であれば、「比」は2.0となる。なお、図11に相当するテーブルを記憶部21に格納しておき、地震名(例えば、1960年5月24日チリ地震津波)と観測地点(例えば、千葉)を操作部13を介して入力することで、「比」を算出(抽出)するようにしてもよい。
【0041】
「比」が算出されると、式4によって津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さが算出される。
当該地点(津波高さを算出する地点)で予測される最大津波高さ=津波高さ×比・・・式4
比=既往最大津波の潮位偏差/既往最大の津波と既往最大の津波の発源と同域の発源からの津波の潮位偏差
【0042】
例えば、津波高さに含まれる津波高さが押し波+20cm、引き波−30cmである場合、これらの値と比を乗じることで、当該地点(津波高さを算出する地点)で予測される最大の津波の津波高さは、押し波+40cm、引き波−60cmとして算出される。なお、算出された予測される最大の津波の津波高さに応じて更により詳しい分析(例えば、シミュレーション)を行ってもよく、また、必要に応じて発電設備の改修を行うようにしてもよい。
【0043】
以上説明した最大津波高さ算出処理によれば、発電設備における既往最大の津波に関するデータが無い場合でも、将来発生する可能性がある最大の津波高さを簡便に算出することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・ボイラ
2・・・タービン
3・・・復水器
4・・・海水取込口
5・・・水位計
6・・・脱硝・脱硫装置
7・・・煙突
10・・・津波高さ算出装置
11・・・制御部
12・・・表示部
13・・・操作部
15・・・CPU
16・・・メモリ
17・・・実測データ取得部
18・・・抽出部
19・・・津波高さ算出部
20・・・最大津波高さ算出部
21・・・記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波高さ算出方法、及び津波高さ算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や原子力発電所など、タービンの回転に用いた蒸気を冷却する復水器を有する発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められる。例えば、特許文献1には、発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出された蒸気を冷却して凝縮させる復水器と、復水器に冷却水を供給する循環ポンプと、循環ポンプを介して復水器に冷却水を流入する冷却管とを備えた復水系統の制御システムが開示されている。特許文献1に記載の制御システムは、更に復水器の出口圧力を検出する圧力センサと、冷却管と連通して復水器内の圧力変化を調整するバイパス路と、バイパス路に設けられて復水器内の圧力変化に応じて開閉されるバイパス弁と、復水器の出口圧力を調整する出口弁と、循環ポンプから冷却水として供給される海水の潮位に関する変位情報及び圧力センサで検出された出口圧力の値に応じて復水器の出口弁を制御する制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30900号公報
【特許文献2】特開平9−210304号公報
【特許文献3】特開2000−170138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火力発電所や原子力発電所など、タービンの回転に用いた蒸気を冷却する復水器を有する発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められる。ここで、津波の来襲時では、押し波による浸水被害に加えて、引き波時における海面水位の低下に伴い、復水器が冷却水としての海水を安定的に取水できなくなる虞がある。
【0005】
津波襲来時における津波の津波高さを算出する手法の一つとして天文潮位を用いる技術がある。天文潮位とは気象庁が過去に観測された潮位を解析して算出した潮位の予測値である。天文潮位を用いる技術では、潮位観測記録(以下、実測データという)と天文潮位との差分をとることで、津波による海面水位の変化量、すなわち津波高さを算出する。図1は、天文潮位と実測データとの関係を示し、図2は、実測データと天文潮位との差分から算出された海面水位の変化を示す。横軸は時間を示し、縦軸は変位を示す。なお、図1、図2は、検潮所において、既往データの蓄積から推算した天文潮位と津波時の潮位が比較可能な場合を示す。図1に示すように、津波襲来時(15時頃)前においては実測データの波形と天文潮位の波形が概ね一致しているが、津波襲来(15時頃)以降では、実測データの波形と天文潮位の波形が異なっている。これは、実測データに津波の影響が反映されたものである。実測データは天文潮位(潮汐成分)と津波高さ(津波成分)の和で表されていることから、実測データと天文潮位の差分を算出することで、津波高さの算出が可能となる。
【0006】
ここで、上記天文潮位は、所定の標準港にある検潮所の既往測位記録を元に算出される予測値であり、天文潮位の値は標準港の検潮所(観測地点)によって異なる。従って、検潮記録のない地点では天文潮位を算出することができない。つまり、所定の標準港以外の検潮所を持たない地点では、天文潮位を持った標準港に近接していても、実測データと天文潮位との差分によって正確な津波高さを算出することはできない。
【0007】
なお、潮汐表(海上保安庁 刊)に掲載されている潮候改正数を用いて、天文潮位を持
った標準港に近接する地点での満潮・干潮位とその時刻を算定する方法が存在する。当該潮汐表によれば、標準港に近接する地点の潮候改正数が網羅的に整理されている。この方法により、概ね任意地点の満潮・干潮位とその時刻が算定可能であるが、任意時刻の天文潮位が算定可能なものではなく、船舶の入出港可否判断に用いる簡便な手法である。
【0008】
本発明では、上記した背景に鑑み、検潮所を持たない地点において、津波時の実測データを用い、当該津波高さを算出する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上述した課題を解決するため、潮汐特有の周期を算出し、津波襲来時に測定した実測データから潮汐成分を抽出することとした。そして、抽出した潮汐成分と実測データとの差分をとり、津波高さを算出することとした。
【0010】
より詳細には、本発明は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、をコンピュータが実行する津波高さ算出方法である。
【0011】
本発明に係る津波高さ算出方法は、検潮所を持たない、すなわち天文潮位が算定できない地点における津波高さを算出する技術として好適に用いることができる。従って、本発明に係る津波高さ算出方法は、検潮所を持たない火力発電所や原子力発電所などの発電設備において、津波高さを算出する技術として好適に用いることができる。上記発電設備では、海からの冷却水を復水器が安定して取水できることが求められるが、本発明によれば津波襲来時における引き波による水位の低下を含む津波の高さを簡便に算出することができるため、当該津波による水位低下に対して冷却水取水ポンプの取水限界水位と対比することで、冷却水取水ポンプがどの程度余裕を持って取水していたのかを事後評価することができる。さらに、津波高さの算出結果は、今後来襲することが懸念される、最大級の津波高さを推定する手がかりとして、被災リスク評価の基礎資料とすることできる。なお、津波高さには、押し波によって増加する水位の高さと、引き波によって低下する水位の高さが含まれる。
【0012】
ここで、潮汐と津波は、夫々が特有の周期を有しており、海水面の水位は、潮汐の周期や津波の周期に応じて変化する。実測データ取得ステップで取得される実測データには、潮汐成分と津波成分に関する情報が含まれる。潮汐成分とは、例えば潮汐の周期成分であり、津波成分とは、例えば津波の周期成分である。実測データは、発電設備等の地点に水位計を設置することで取得することができる。
【0013】
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定することで、実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出することが可能となる。潮汐の特有周期は、潮汐の影響による水位の変化に関するデータや文献を参照・分析して求めることができる。潮汐成分は、実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する情報が抽出されたものであり、潮汐と津波の各成分のうち、潮汐成分のみを含む。
【0014】
津波高さは、実測データと潮汐成分との差分を算出することで得ることができ、潮汐と
津波の各成分のうち、津波成分のみを含む。
【0015】
ここで、本発明者等の研究によれば、津波の周期は、一般的に数10分から1時間程度であり、また、日本に来襲した津波の中で最も長周期とされる1960年チリ地震津波であっても周期は130分程度であることが確認された。一方で、潮汐の周期は、最長で1年、最短で4時間であることが確認された。すなわち、津波の周波数帯と潮汐の周波数帯は混在しないことが確認された。そこで、本発明に係る津波高さ算出方法において、潮汐成分特有の周期は、4時間以上とすることができ、津波成分と潮汐成分のしきい値となる周期を4時間に特定することで潮汐成分の抽出が可能となり、ひいては津波成分の算出が可能となる。
【0016】
また、本発明では、上述した津波高さ算出方法において、更に既往最大の津波の津波高さと上述した津波高さの算出対象となる津波の津波高さとの比を求め、上記比と上述した津波高さ算出方法で算出された津波高さと乗じることで、将来発生する可能性のある最大の津波高さが、所定の条件(上述した津波高さの算出が可能であって、当該地近傍において既往最大津波高さ等が既知であること)を満たす地点で算出できる。
【0017】
より詳細には、本発明に係る津波高さ算出方法は、前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さとを乗じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する最大津波高さ算出ステップを更に備える構成とすることができる。
【0018】
本発明によれば、将来発生する可能性がある最大の津波の津波高さを簡便に算出することができる。本発明では、将来発生が予測される最大の津波は、観測史上で世界最大の地震津波による当該地点の既往最大津波高さ(以下、既往最大津波高さ)と同程度とする。従って、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さとは、換言すると、既往最大の津波と同程度の津波高さである。津波高さが算出される地点の近傍は、観測史上世界最大の津波に関するデータが存在する、津波高さが算出される地点(例えば、発電設備)から最も近い地点とすることが望ましい。津波高さが算出される地点からより近い地点での既往最大の津波に関するデータを用いることで、算出精度を高めることができる。同域の発生源とは、換言すると津波の発生源となる地震の震源地である。なお、同域の発生源は、経度や緯度が完全に一致している必要は無く、同一の発生源には、○○沖地震といったように、同一の地名や海域によって特定される地震の震源地(発生源)が含まれる。
【0019】
ここで、本発明は、津波高さ算出装置として特定することもできる。具体的には、本発明は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得部と、しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得部で取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出部と、前記潮汐成分抽出部で抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得部で取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出部と、を備える津波高さ算出装置である。
【0020】
なお、前記のしきい値となる周期は、4時間とすることができる。また、本発明に係る津波高さ算出装置は、前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さを乗
じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する、最大津波高さ算出部を更に備える構成とすることができる。
【0021】
また、本発明は、上述した津波高さ算出方法を実現させるプログラムであってもよい。更に、本発明は、そのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検潮所を持たない地点における津波高さを算出可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術における、天文潮位と実測データとの関係を示す。
【図2】従来技術における、実測データと天文潮位との差分から算出された海面水位の変化(津波高さ)を示す。
【図3】実施形態に係る発電設備の概略図を示す。
【図4】実施形態に係る津波高さ算出装置の機能ブロック図を示す。
【図5】津波高さ算出処理のフロー図を示す。
【図6A】ある湾内に設けられた発電設備で測定された実測データと実測データから抽出した潮汐成分を示す。
【図6B】算出された津波高さを示す。
【図7A】ある湾外に設けられた発電設備で測定された実測データと実測データから抽出した潮汐成分を示す。
【図7B】算出された津波高さを示す。
【図8A】分潮成分の一覧(前半)を示す。
【図8B】分潮成分の一覧(後半)を示す。
【図9】最大津波高さ算出処理のフロー図を示す。
【図10】既往最大の津波波源と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波波源の比較を示す。
【図11】太平洋側及び東京湾内各地における、既往最大の津波高さと既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波高さの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る津波高さ算出方法及び津波高さ算出装置について図面に基づいて説明する。本実施形態では、発電設備において津波高さを算出する場合を例に説明する。
【0025】
<発電設備の構成>
図3は、実施形態に係る発電設備の概略図を示す。図3に示す発電設備100は、海岸沿いに設けられた火力発電所の一例であり、ボイラ1、タービン2、復水器3、海水取込口4、水位計5、脱硝・脱硫装置6、煙突7を備える。
【0026】
ボイラ1は、燃料を燃焼させ、水を熱して蒸気を発生させる。燃料には、石炭、石油、液化天然ガス(LNG)が例示される。タービン2は、複数の羽を有し、ボイラ1の蒸気によって回転し、電力を発電する。復水器3は、冷却水としての海水を取り込む海水取込口4と接続され、タービン2の回転に用いた蒸気を冷却する。水位計5は、海水取込口4付近に設置され、海面水位を計測する。脱硝・脱硫装置6は、ボイラ1に接続される排煙
処理装置であり、ボイラ1から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物等を分解し除去する。煙突7は、排ガスを排出する。
【0027】
<津波高さ算出装置の構成>
図4は、実施形態に係る津波高さ算出装置の機能ブロック図を示す。津波高さ算出装置10は、汎用のコンピュータによって構成され、制御部11、表示部12、操作部13を備える。表示部12は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等である。操作部13は、コンピュータの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等が含まれる。津波高さ算出装置10は、発電設備100内に設置してもよく、また、発電設備100の外部に設置してもよい。
【0028】
制御部11は、CPU(中央演算処理装置)15、メモリ16、実測データ取得部17、抽出部18、津波高さ算出部19、最大津波高さ算出部20、記憶部21を備える。CPU15は、表示部12や操作部13等のハードウェアを制御すると共に、メモリ16に格納された制御プログラムに従って、実測データ取得部17、抽出部18、津波高さ算出部19、最大津波高さ算出部20、記憶部21を機能させる。
【0029】
メモリ16は、揮発性のRAM(Random Access Memory)と、不揮発性のROM(Read Only Memory)を含む。ROMには、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)のような書き換え可能な半導体メモリを含む。記憶部21は、ハードディスクドライブ(以下、HDDとする。)や半導体メモリにより構成することができる。
【0030】
実測データ取得部17は、潮汐の周期成分と津波の周期成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する。抽出部18は、しきい値となる周期(4時間)以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、実測データ取得部17で取得された実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する。津波高さ算出部19は、抽出部で抽出された潮汐成分と実測データ取得部で取得された実測データとの差分を算出し、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する。
【0031】
最大津波高さ算出部20は、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と津波高さとを乗じることで、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する。既往最大の津波の津波高さ、及び既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さは、操作部13を介して入力することができる。
【0032】
<津波高さ算出処理>
次に津波高さ算出装置10で実行される津波高さ算出処理について説明する。以下の説明では、2010年2月28日に発生したチリ地震津波を例に説明する。図5は、津波高さ算出処理のフロー図を示す。ステップS01では、実測データ取得部17は、潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する。取得された実測データは、例えば表示部12に表示することができる。実測データは、発電設備100の水位計5で計測されたデータである。実測データは、操作部13を介して入力することで取得してもよく、また、津波高さ算出装置10と水位計5とを電気的に接続し、水位計5で計測されたデータを記憶部21に記憶し、これを取得するようにしてもよい。実測データが取得されるとステップS02へ進む。
【0033】
ステップS02では、抽出部18は、しきい値となる周期(4時間)以上の周期成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、実測データ取得部17で取得された実測データから潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する。抽出結果は、例えば表示部12へ表示することができる。ここで、図6Aは、ある湾内に設けられた発電設備100で測定された実測データを示し、図7Aは、ある湾外に設けられた発電設備100で測定された実測データを示す。横軸は時間、縦軸は水位の変化(潮位)を示す。実線は実測データの波形を示し、点線は実測データから抽出した潮汐成分の波形を示す。なお、図6A、図7A、及び後述する図6B、図7Bは、津波高さを算定しようとする地点において、検潮所がなく、天文潮位が算定できない場合を示す。図6A、図7Aに示すように、津波襲来時(2010年2月28日15時頃)前では、実測データの波形(1)と潮汐成分の波形(2)が概ね一致しているが、津波襲来時以降では、実測データの波形(1)と潮汐成分の波形(2)が異なっていることが確認できる。
【0034】
ここで、潮汐成分の抽出について詳しく説明する。潮汐成分の抽出は、しきい値となる周期(4時間)以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、しきい値となる周期(4時間)を数値フィルタとしてフーリエ変換によるフィルタリング処理を行うことで実現される。しきい値となる周期(4時間)は、以下に説明するように本発明者らの研究によって見出されたものである。津波の周期は、一般的に数10分から1時間程度であり、また、至近年において日本に来襲した津波の中で最も長周期とされる1960年チリ地震津波であっても周期は130分程度であることが確認された。一方で、潮汐の周期は、最長で1年、最短で4時間であることが確認された。ここで、図8Aは、分潮成分の一覧(前半)を示し、図8Bは、分潮成分の一覧(後半)を示す。図8A、図8Bに示す分潮成分の一覧は、気象庁が公表しているものであり、各潮位表掲載地点の60分潮の振幅・遅角とその解析年次、経度についてまとめられている。気象庁によれば、分潮一覧表について、『潮汐を起す力(起潮力)は天体(月と太陽)の引力の効果です。これら天体の運動は複雑ですが、大部分の運動は周期的であるため、起潮力は様々な周期の三角関数の総和として表すことができます。この、個々の周期の三角関数で表される潮汐の成分を分潮と呼び、三角関数に含まれる振幅と遅角(天体の周期的な運動に対する、分潮の振動の遅れ具合)の値を調和定数と呼びます。』と説明されている。更に、気象庁では、『60分潮のうち、記号Sa、Ssa、Mm、MSf、Mfは、長周期潮であり、それ以外の記号は、
短周期潮である。』と説明されている。
【0035】
長周期潮のうち最も速度が遅いSaを周期に換算すると式1、2により約365日とな
る。また、短周期潮のうち最も速度が速いMSK6を周期に換算すると式3により約4時
間となる。
360°/0.041=8780h・・・式1
8780/24≒365d・・・式2
360°/89.06≒4h・・・式3
【0036】
以上により、潮汐の周期は、最短で4時間であることが確認された。また、津波の周期は、上述したように最長でも130分であることから、津波の周波数帯と潮汐の周波数は混在しないことが確認された。そこで、本実施形態では、しきい値となる周期を4時間と特定することで、潮汐成分の抽出が可能となる。潮汐成分が抽出されるとステップS03へ進む。
【0037】
ステップS03では、津波高さ算出部19は、抽出部18で抽出された潮汐成分と実測データ取得部17で取得された実測データとの差分を算出し、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する。算出結果は、例えば表示部12へ表示することができる。図6Bは、算出された津波高さであって、図6Aに対応する津波成分を示す。また、図
7Bは、算出された津波高さであって、図7Aに対応する津波成分を示す。横軸は時間、縦軸は水位の変化を示す。図6B、図7Bに示すように、抽出部18で抽出された潮汐成分(2)と実測データ取得部で取得された実測データ(1)との差分をとることで、津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出することができる。また、図6Bに示すように、この場合での津波による水位変化は、押し波による上昇量の最大値よりも引き波による下降量の最大値の方が大きく、湾内に設置された発電設備では、引き波による下降量の最大値は、押し波による上昇量の最大値の凡そ4/3倍となっている。また、湾外に設置された発電設備では、図7Bに示すように、押し波による上昇量の最大値と引き波に
よる下降量の最大値は凡そ同じであることが確認できる。但し、湾内に設置された発電設備よりも湾外に設置された発電設備の方が津波による影響が大きいことが確認できる。
【0038】
以上説明した津波高さ算出処理によれば、発電設備のように検潮所を持たない地点における津波高さを簡便に算出することができる。
【0039】
<最大津波高さ算出処理>
次に最大津波高さ算出処理について説明する。図9は、最大津波高さ算出処理のフロー図を示す。最大津波高さ算出処理は、上述した津波高さ算出処理に加えて更に最大津波高さ算出部20による最大津波高さを算出する処理を備える。すなわち、ステップS03の津波高さが算出されると、ステップS04において、最大津波高さ算出部20は、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と津波高さとを乗じることで、津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波高さを算出する。なお、以下の説明では、既往最大津波として、1960年5月24日に発生した、1960年チリ地震津波、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波として2010年2月28日に発生した、2010年チリ中部地震津波を例に説明する。
【0040】
具体的には、まず、津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、津波高さの算出対象となる津波であって、既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さが、取得される。これら2つの津波の高さは、操作部13を介して入力することで取得される。そして、既往最大の津波の津波高さを既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さで除することで上記「比」が算出される。ここで、図10は、既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の比較を示す。また、図11は、既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の潮位偏差(天文潮位に対する振幅)の比較を示す。図11では、複数の観測地点(検潮所)毎に、(1)1960年5月24日チリ地震津波(既往最大津波)の潮位偏差、(2)2010年2月28日チリ地震津波(既往最大の津波と既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波)の潮位偏差、(3)「比」((1)/(2))が示されている。例えば、最大津波の算出対象となる発電設備に最も近い観測地点が千葉であれば、「比」は2.0となる。なお、図11に相当するテーブルを記憶部21に格納しておき、地震名(例えば、1960年5月24日チリ地震津波)と観測地点(例えば、千葉)を操作部13を介して入力することで、「比」を算出(抽出)するようにしてもよい。
【0041】
「比」が算出されると、式4によって津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さが算出される。
当該地点(津波高さを算出する地点)で予測される最大津波高さ=津波高さ×比・・・式4
比=既往最大津波の潮位偏差/既往最大の津波と既往最大の津波の発源と同域の発源からの津波の潮位偏差
【0042】
例えば、津波高さに含まれる津波高さが押し波+20cm、引き波−30cmである場合、これらの値と比を乗じることで、当該地点(津波高さを算出する地点)で予測される最大の津波の津波高さは、押し波+40cm、引き波−60cmとして算出される。なお、算出された予測される最大の津波の津波高さに応じて更により詳しい分析(例えば、シミュレーション)を行ってもよく、また、必要に応じて発電設備の改修を行うようにしてもよい。
【0043】
以上説明した最大津波高さ算出処理によれば、発電設備における既往最大の津波に関するデータが無い場合でも、将来発生する可能性がある最大の津波高さを簡便に算出することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・ボイラ
2・・・タービン
3・・・復水器
4・・・海水取込口
5・・・水位計
6・・・脱硝・脱硫装置
7・・・煙突
10・・・津波高さ算出装置
11・・・制御部
12・・・表示部
13・・・操作部
15・・・CPU
16・・・メモリ
17・・・実測データ取得部
18・・・抽出部
19・・・津波高さ算出部
20・・・最大津波高さ算出部
21・・・記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、
前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、
をコンピュータが実行する津波高さ算出方法。
【請求項2】
前記しきい値となる周期は4時間である、請求項1に記載の津波高さ算出方法。
【請求項3】
前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さとを乗じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する最大津波高さ算出ステップを更に備える、請求項1又は2に記載の津波高さ算出方法。
【請求項4】
潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得部と、
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得部で取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出部と、
前記潮汐成分抽出部で抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得部で取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出部と、を備える津波高さ算出装置。
【請求項1】
潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得ステップと、
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得ステップで取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出ステップと、
前記潮汐成分抽出ステップで抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得ステップで取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出ステップと、
をコンピュータが実行する津波高さ算出方法。
【請求項2】
前記しきい値となる周期は4時間である、請求項1に記載の津波高さ算出方法。
【請求項3】
前記津波高さが算出される地点の近傍における、既往最大の津波の津波高さと、前記津波高さの算出対象となる津波であって、前記既往最大の津波の発生源と同域の発生源からの津波の津波高さとの比を算出し、算出された比と前記津波高さとを乗じることで、前記津波高さを算出する地点での発生が予測される最大の津波の津波高さを算出する最大津波高さ算出ステップを更に備える、請求項1又は2に記載の津波高さ算出方法。
【請求項4】
潮汐成分と津波成分とを含む水位の変化に関する実測データを取得する実測データ取得部と、
しきい値となる周期以上の成分を潮汐の影響による水位の変化として特定し、前記実測データ取得部で取得された実測データから前記潮汐の影響による水位の変化に関する潮汐成分を抽出する潮汐成分抽出部と、
前記潮汐成分抽出部で抽出された前記潮汐成分と前記実測データ取得部で取得された前記実測データとの差分により、前記津波の影響による水位の変化に関する津波高さを算出する津波高さ算出部と、を備える津波高さ算出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−167950(P2012−167950A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27354(P2011−27354)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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