説明

活性な図案を有するクリーニング拭き取り繊維

本発明は水不溶性基材及びクリーニング組成物を含むクリーニング物品、好ましくはクリーニング拭き取り繊維に関し、前記水不溶性基材はそこに活性な図案を印刷され、コーティングされ又は施されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング組成物を含み、及び活性な図案を印刷された、使い捨てクリーニング拭き取り繊維に関する。その活性な図案はそのクリーニング拭き取り繊維の使用中に経時的に変化し、及び使用者に信号を与える方法を提供する。信号は、例えば、及び好ましい実施形態では、そのクリーニング拭き取り繊維をいつ廃棄して新しいものと交換すべきかを使用者に知らせてもよい。
【背景技術】
【0002】
食器ケア製品、特に食器手洗い用製品は、従来から磨き粉、ペースト、水性液体及びジェルなどの種々の形態で販売されてきた。通常、これらの製品は、消費者にとって許容可能となるための多くの基準を満たすように試みられてきた。これらの基準としては、クリーニング効果、特に効果的な油汚れ除去、すすぎ性及び泡立ち体積が挙げられる。また、上述のクリーニング効果を使い捨て製品から送達することも極めて望ましい。使い捨て製品は、じゃまな瓶、壷、噴霧器、スポンジ、再使用できる食器ケア布、ブラシ及びクリーニング、すすぎ及び泡立ち効果を提供できる手による食器ケア製品を包含する他の形態の散乱物を保管する必要をなくするので、便利である。また、スポンジ、再使用可能な食器ケア布、ブラシ又は多数回の再使用を意図したその他のクリーニング用具は、繰り返し使用することに関連して細菌が増殖し、不快な臭気を発生させ、そして他の望ましくない特徴を発現し得るので、使い捨て製品は、このようなクリーニング用具の使用に代わる、より衛生的な代替品でもある。
【0003】
驚くべきことに、本発明の拭き取り繊維は、便利で安価で及び衛生的な様式で、効果的なクリーニング及び追加の手による食器ケアの効果を提供する。本発明は、別個の用具(例えば、食器布、ブラシ、スポンジなど)や液体又は粉末食器手洗い用洗剤を持ち運び、保管し又は使用する必要がないという、便利さを提供する。これらの拭き取り繊維は、湿らせた後は食器手洗い操作ですぐに食器をクリーニングできるような一回使用の使い捨て拭き取り繊維又は複数回使用の使い捨て拭き取り繊維のいずれかの形態であるため、使用するのに便利である。加えて、本発明の使い捨て拭き取り繊維には、クリーニングされるべき表面上で拭き取り繊維を移動させるのに適した取っ手や握りが、取り外しできるように付いていてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の拭き取り繊維は、食器、カップ、カトラリー、ガラス類、食品保存容器、調理用具(調理器具)などを包含する「食器類」をクリーニングするための手による食器ケアの用途に適している。それらはまた、家庭の硬質表面、特に台所に見出される硬質表面、例えばシンク、調理台、設備、器具などのクリーニングに有用であり得る。
【0005】
米国特許第5,368,188号は折り畳まれた繊維製品の積み重ね束に関し、その繊維製品は、その折り畳まれた積み重ね束からの製品の取り外しを助けるためにその製品の縁の位置を合図する視覚的な指標を含む。米国特許US2002/0164910(US2002/0164910)は、溶液を含浸させた一片のシート材料を含む拭き取り繊維を記載している。この拭き取り繊維は視覚的な表示を含んでいてもよい。米国特許第5,853,859号は、印刷された基材に関し、この基材は、不織布熱可塑性ポリオレフィンポリマー繊維基材に架橋可能なラテックスポリマー、顔料及び硬化促進剤を含む印刷組成物を印刷されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は水不溶性基材及びクリーニング組成物を含む使い捨て不織布クリーニング拭き取り繊維であって、前記水不溶性基材はそこに活性な図案を印刷され、コーティングされ又は施されている使い捨て不織布クリーニング拭き取り繊維に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書で使用する時、「使い捨て」は、制限された回数の使用事象の後、好ましくは約15回未満、より好ましくは約10回未満、最も好ましくは約2回未満の使用事象の後、処分又は廃棄される物品を意味するようなその通常の意味で用いる。例えば、手による食器ケア操作における使用事象とは、4人家族世帯で1日にたまる食器洗物を食器手洗いによってクリーニングすることとして定義される。
【0008】
本明細書の好ましい実施形態では、本発明に従う使い捨て拭き取り繊維は指触乾燥状態(dry-to-the-touch)である。「指触乾燥状態(dry-to-the-touch)」とは、基材が液体中に浸漬された(すなわち、浸された)場合の濡れた拭き取り繊維又はあらかじめ湿らせた拭き取り繊維の感触と比較して、触ったときに拭き取り繊維が湿っているか又は濡れていると感じさせ得る量で、拭き取り繊維が水又は他の溶媒を実質的に含まないことを意味する。本発明の拭き取り繊維によって保持されるクリーニング組成物は、好ましくは0.01重量%〜20重量%の水、より好ましくは2重量%〜15重量%の水、最も好ましくは5重量%〜12重量%の水を含む。さらに、本発明に従う拭き取り繊維は、本明細書に記載されるように表面のクリーニングに使用するために必要とされるまで指触乾燥状態(dry-to-the-touch)のままであるのが好ましく、これは、本発明に従う表面、好ましくは食器類のクリーニング工程において拭き取り繊維を水で故意に湿らせるまでを意味する。
【0009】
本発明の拭き取り繊維は、好ましくは、水で活性化され、従って使用の前に水で湿らせることを意図したものである。本明細書で使用する時、「水で活性化される」とは、本発明が、指触乾燥状態(dry-to-the-touch)の形態で消費者に呈示され、水で濡らした/湿らせた後で使用されることを意味する。したがって、拭き取り繊維は、水中にちょっと浸すこと若しくは浸漬させることを含めそれを水と接触させることによって、又はそれを水蒸気下に置くことによって、湿らされる。
【0010】
本発明に従う拭き取り繊維は、約10〜約20cmの長さ、約10〜約20cmの幅及び約2〜約5mmの厚みを有していてよい。
【0011】
本発明の拭き取り繊維は、好ましくは少なくとも2つの層、クリーニング層及び磨き層を含む水不溶性基材を含む。本明細書の層は、内側面及び外側面を有する。層の内面は、本発明の拭き取り繊維の内側又は最も内部の部分に対向するものであり、一方、層の外側面は、物品の外側又は最も外部の部分に対向するものである。実際に、一実施形態では、前記クリーニング層及び前記磨き層の2つの内側又は内側面が互いに対向し、及び互いに隣接して位置決めされている。しかし本明細書の以下で記載されるように、1つ以上の追加の層が前記クリーニング層及び前記磨き層の間に存在していてもよい。これらの追加の層は、存在する場合、前記クリーニング層及び前記磨き層の間に挟み込まれている。
【0012】
拭き取り繊維の基材層は、異なる用途に向けて設計されており、故に好ましくは異なる質感を有している。クリーニング層はクリーニングされている表面から汚れを拭き取り、及び繊細な表面をクリーニングするのに使用されるように設計されている。磨き層は、焦げ付いた、焼き付いた汚れのような汚れを取り除くために激しく磨くように設計されている。磨き層はしたがって、クリーニング層よりも比較的研磨性である。
【0013】
クリーニング層及び磨き層、並びにあらゆる追加の層は、拭き取り繊維の一体性を維持するために互いに結合されているのが好ましい。層は、好ましくは、共に熱点結合され、より好ましくは、拭き取り繊維は高圧溶接されている。幾何学的形状及びパターン、例えば、菱形、円、四角等が層及び結果として得られる拭き取り繊維の外側面に形成されるように結合を配置してもよい。
【0014】
基材は好ましくは可撓性であり、及び更により好ましくは基材はまた弾力性があり、これは、一旦加えられた外圧が除去されると、基材はその元の形状を回復することを意味する。
【0015】
本発明の使い捨て食器ケア及び硬質表面クリーニング拭き取り繊維は、好ましくは次の構成成分を含む。
【0016】
(クリーニング層)
本拭き取り繊維のクリーニング層は、好ましくはクリーニング層を含む。前記クリーニング層は好ましくは、不織布繊維又は紙で構成される基材である。不織布という用語は、不織布繊維産業協会(Association of the Nonwoven Fabric Industry)によって出版された「不織布繊維ハンドブック(Nonwoven Fabrics Handbook)」によって提供される一般に既知の定義に従って定義されるべきである。紙基材はEDANA(ISO9092−EN29092の注1)によって、質量基準で50%よりも多いその繊維含有量を含む基材が、300よりも大きな長さ対直径比を有する繊維(化学蒸解された植物繊維を除く)で作製され、及びより好ましくはまた、0.040g/cm3未満の密度を有するとして、定義されている。明らかに、不織布及び紙基材の両方の定義は織布若しくは布地又はスポンジを包含しない。クリーニング基材は好ましくは、水及びクリーニング組成物に対し部分的に又は完全に透過性である。
【0017】
クリーニング基材は天然又は合成繊維を含んでいてもよい。天然繊維は、人によって変性され、再生され又は製造されることなく自然に入手可能であるすべてのものを包含し、植物、動物、昆虫又は植物、動物及び昆虫の副産物から生成される。天然繊維の好ましい例としては、木材パルプ、綿、麻布、黄麻、ファックス(fax)及びこれらの組み合わせを包含する、ケラチン繊維及びセルロース繊維が挙げられる。本発明に有用な天然材料の不織布は、多種多様な市販の供給源から入手してよい。本明細書で有用な適した市販の紙の非限定例には、ジェイムズリバー(James River)(ウィスコンシン州グリーンベイ(Green Bay,WI))から入手可能な約71gsmの坪量(base weight)を有するエンボス加工された、エアレイドセルロース系のエアテックス(Airtex)(登録商標)、及びウォーキソフトU.S.A.(Walkisoft U.S.A.)(ノースカロライナ州マウントホリー(Mount Holly,NC))から入手可能な約75gsmの坪量(base weight)を有するエンボス加工された、エアレイドセルロース系のウォーキソフト(Walkisoft)(登録商標)が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用するとき、「合成」とは、材料が、主として様々な人工材料から得られること、又は天然材料を更に変化させて得られることを意味する。本発明で有用な合成材料の非限定例には、アセテート繊維、アクリル繊維、セルロースエステル繊維、モダクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるものが挙げられる。適した合成材料の例には、アクリラン、クレスラン及びアクリロニトリル系繊維、オーロンなどのアクリル類、セルロースアセテート、アーネル及びアシーレ(acele)などのセルロースエステル繊維類、ナイロン類(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等)などのポリアミド類、フォルトレール、コデル及びポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレファレート(terephalate)繊維、ダクロンなどのポリエステル類、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリビニルアセテート繊維類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これら及び他の適した繊維並びにそれらから調製される不織布については、リーデル(Riedel)、「不織布結合方法及び材料(Nonwoven Bonding Methods and Materials)」、不織布の世界(Nonwoven World)(1987)、アメリカ百科事典(The Encyclopedia Americana)、第11巻147〜153頁、及び第26巻566〜581頁(1984)、米国特許第4,891,227号(ターマン(Thaman)ら、1990年1月2日発行)、及び米国特許第4,891,228号に概ね記載されており、それらの各々についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0019】
好ましいポリオレフィン繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、並びにこれらの組み合わせ及びこれらのコポリマーから成る群から選択される繊維である。より好ましいポリオレフィン繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、並びにこれらの組み合わせ及びこれらのコポリマーから成る群から選択される繊維である。好ましいポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、並びにこれらの組み合わせ及びこれらのコポリマーから成る群から選択される繊維である。より好ましいポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、並びにこれらの組み合わせ及びこれらのコポリマーから成る群から選択される繊維である。第1層の最も好ましい合成繊維は、ポリエチレンテレフタレートホモポリマー類を含む固体状の短繊維ポリエステル繊維を含む。適した合成材料としては、固体の単一成分(即ち、化学的に同種の)繊維、多組成繊維(multiconstituent fibers)(即ち、各繊維は1つより多くのタイプの材料で作られている)及び多成分繊維(multicomponent fibers)(即ち、より大きな繊維を製造するために、何らかの形で撚り合わされている二つ以上の別個のフィラメントタイプを含んでいる合成繊維)、中空繊維並びにこれらの組み合わせを挙げてよい。好ましい繊維には、二成分繊維、多組成繊維(multiconstituent fibers)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このような二成分繊維は、コア/シース構成又はサイドバイサイド構成を有することができる。いずれの例においても、第1の層は、上記で掲載した材料を含む繊維の組み合わせ、又はそれ自体が上記で掲載した材料の組み合わせを含む繊維、のいずれかを含んでもよい。
【0020】
不織布を製造する方法は、当該技術分野において周知である。一般に、これらの不織布は、エアレイイング、ウォーターレイイング、メルトブローン、コフォーム、スパンボンド、又はカーディング方法により製造することができ、これらの方法においては、初めに繊維又は長繊維を長いストランドから所望の長さに切断し、水流又は気流に通した後、繊維の入った空気又は水をスクリーンに通してスクリーン上に付着させる。
【0021】
基材を作製するために使用される繊維に加えて、基材は、結合剤、乾燥強度及びリント制御添加剤を包含する、当該技術分野で既知であるようにそれに添加される他の構成成分又は材料を含むことができる。
【0022】
好ましい実施形態では、クリーニング基材は部分的に疎水性の不織布である。本明細書では「部分的に疎水性」とは、不織布が疎水性材料を少なくとも部分的に含むことを意味する。好ましくは不織布基材は、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは約55%〜約75%の疎水性材料を含む。疎水性材料は一般に、合成有機ポリマーを基にする。本明細書で適した疎水性材料は、アクリル繊維、モダクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、及びこれらの組み合わせなどの合成有機ポリマーから成る群から選択される。適した合成材料の例としては、アクリラン、クレスラン及びアクリロニトリル系繊維、オーロンなどのアクリル類、ナイロン類(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等)などのポリアミド類、フォルトレール、コデル、及びポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ダクロンなどのポリエステル類、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、及びポリウレタン発泡体類が挙げられる。好ましくは本明細書の前記疎水性材料は、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、及びポリオレフィン類から成る群から選択される。より好ましくは、前記クリーニング層の前記部分的に疎水性の不織布は、60%のポリプロピレン及び40%のレーヨン繊維を含むカーディングされた水流交絡基材を含んでいる。
【0023】
クリーニング層として適した疎水性材料は、セルロース系不織物、非嵩高(non-lofty)不織物、及び吸収性不織布、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましくはこの実施形態におけるクリーニング層の基材は、非嵩高(non-lofty)不織布基材である。
【0024】
基材は約20gm-2〜約200gm-2の重量を有することが好ましい。より好ましくは、基材は少なくとも約20gm-2、及びより好ましくは、約150gm-2未満の重量を有し、より好ましくは坪量(base weight)は約20gm-2〜約120gm-2の範囲であり、最も好ましくは、約30gm-2〜約110gm-2である。基材はいかなる厚さであってもよい。典型的には、基材を水流交絡法で製造する場合、基材の厚さの平均は、約689Pa(0.1ポンド/平方インチ)の圧力で約1.2mm未満である。より好ましくは、基材の厚さの平均は、約689Pa(0.1ポンド/平方インチ)(約0.007kg/平方メートル)の圧力で約0.1mm〜約1.0mmである。基材の厚さは、EDANA標準不織布産業方法論(standard EDANA nonwoven industry methodology)、参照方法番号30.4−89に従って測定される。
【0025】
本発明の最も好ましい実施形態では、前記クリーニング層はカーディングされスパンレース加工された部分的に疎水性の不織布である。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態では、前記クリーニング層の前記部分的に疎水性の不織布は、少なくとも約40%、好ましくは、約50%〜約75%、より好ましくは、約55%〜約65%の合成繊維から成る。
【0027】
(磨き層)
上記に定義したように、磨き層はクリーニング層よりも比較的研磨製の表面を提供し、したがって食器類から食品残留物/汚れを磨き落とすのに、特に頑固な残留物/汚れを、取り除くのに有用である。この層の研磨性は、本質的に研磨性である基材によって提供されても、或いはその研磨性がその基材に付着され又は何らかの方法で固着された追加の要素によって提供される基材によって提供されてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態では、磨き基材は、研磨性ネット、さもなければスクリムとしても既知の繊維を含む。用語「ネット」は、少なくとも長さ0.2mmであり、水素結合以外のシステムによって互いに保持された溶融物又は繊維から直接作製された構造体を意味する。繊維は、得られる編み状の物がクリーニング基材よりも研磨性である表面を与える限り、金属、天然若しくは合成のワイヤ、フィラメント若しくはスタンド(stands)又はこれらの混合物から選択されてよい。好ましい繊維は、合成有機物起源のものから、より好ましくは高分子合成有機物起源及び熱可塑性ポリマー類から選択される。繊維は好ましくは、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン繊維及びこれらの混合物から選択される。
【0029】
繊維はランダムに配置されてもよいが、規則正しく配列されているのが好ましい。ネットは、不織布基材の調製に関して上述したものを含め、あらゆる既知の方法を用いて製造されてよい。好ましい実施形態では、繊維は開放格子状に配列されており、この際繊維は、例えば、互いに編まれ又は押出成形されてネットを形成する。本発明の特に好ましい実施形態では、磨き基材は高分子メッシュ、スクリム又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、磨き層は巨視的に伸張された編み物状の物から作製されてよい。用語「巨視的に伸張されたとは、編み物状の物の両面が形成構造の巨視的な断面に対応する表面収差の3次元形成パターンを示すように、3次元形成構造の表面と同一となるようになされた編み物状の物を意味し、この際前記パターンを含む前記表面収差は、標準的な肉眼(すなわち20/20の視力を有する標準的な肉眼)で、その検視者の目と編み物状の物の平面との間の直角距離が約30cm(12インチ)である場合に個々に識別できる。例えば、編み物状の物は浮き出し加工されて(embossed)いてもよく、これは編み物状の物が主にオス型突起から成るパターンを示すことを意味する。一方、編み物状の物は型押しされて(debossed)いてもよく、これは編み物状の物が主にメス型毛管網状構造から成るパターンを示すことを意味する。クリーニング基材と同様に、磨き基材は可撓性であることが極めて好ましく、更により好ましくは基材はまた弾力性があり、これは一旦加えられた圧力が取り除かれると基材がその元の形状を回復するということを意味する。
【0030】
別の実施形態では、磨き層は、基材の片面上に融合した熱可塑性のコブ又はフックの層を含む上述したような不織布基材であってもよく、前記コブ又はフックを含む表面が磨き層を形成する。研磨コーティングとして使用されるのに適した熱可塑性材料は、好ましくはポリエチレン及びポリエチレンコポリマー、ポリプロピレン、並びにポリエチレンテレフタレートを包含する熱可塑性ポリマー類から成る群から選択される。好ましくは前記熱可塑性材料はホットメルト接着剤である。適したホットメルト接着剤は、HBフラー(HB Fuller)から商品名NW1034(登録商標)又はHL1014X(登録商標)として市販されている。更に適したホットメルト接着剤は、商品名H2128(登録商標)としてアトファインドリ(Ato Findley)から市販されている。
【0031】
好ましくは前記コブ又はフックは、少なくとも約200μmの直径、好ましくは約300〜約600μm、より好ましくは約300〜約500μmの直径を有する実質的に球体の形状を有する。熱可塑性材料のコブ又はフックの研磨コーティングは、スクリーン印刷によって前記磨き基材上に施されるのが好ましい。
【0032】
クリーニング基材及び磨き基材は、互いに付着されているのが好ましく、互いに裏返せるように(reversibly)付着されることも可能である。その付着点は、その磨き基材(類)及びクリーニング基材(類)が互いに付着される限り、拭き取り繊維の表面上のあらゆる点であることができる。更により好ましくは、クリーニング基材及び磨き基材は、その磨き基材及び/又はクリーニング基材の周囲の周りで互いに付着されている。基材はあらゆる一般に既知の方法を用いて、例えば、ヒートシール、接着剤、超音波シール、縫製及びこれらの組み合わせを用いて、互いに付着されてよい。好ましくは、基材はヒートシールを用いて互いに付着されている。更により好ましくは、基材は、その基材の周囲の周りのヒートシールと、拭き取り繊維の表面領域を横切る、好ましくはパターンを成したドットヒートシールとの組み合わせによって、互いに付着される。ヒートシールが使用される場合、クリーニング基材及び/又は磨き基材が熱可塑性ポリマー類を含むことが必要である。熱可塑性ポリマー類の含有量が多くなるほどシールは強くなる。
【0033】
(追加の層)
任意に、しかし好ましくは、基材は、前記クリーニング層と前記磨き層との間に位置する1つ以上の追加の層を含んでいてよい。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、拭き取り繊維は嵩高い基材、より好ましくは詰綿基材から作製された追加の層を含む。詰綿はTAPPI不織布繊維産業協会(the TAPPI Association of the Nonwoven Fabrics Industry)に従い繊維の柔軟嵩高アセンブリ(soft bulky assembly)として定義されている。詰綿は好ましくは、上記により詳細に記載した合成材料を含む。
【0035】
クリーニング基材の好ましい繊維はヒートシールを受け入れ易いものである。特に好ましい実施形態では、クリーニング基材は単成分繊維と二成分繊維の組み合わせを含む。より具体的には、クリーニング基材がポリエステル単成分繊維とポリエステルコア、ポリエチレンシース二成分繊維を含むのが好ましい。
【0036】
詰綿はまた天然繊維を含んでもよい。適した天然繊維は上に記載されている。
【0037】
本発明に従う更に好ましい実施形態では、本明細書の水不溶性基材は、これもまた前記クリーニング層と前記磨き層との間に位置する実質的に不透水性の層を更に含む。本明細書において「実質的に不透水性」とは、層の水透過性が低いが有意水準ではないことを意味する。
【0038】
好ましくは、前記実質的に不透水性の層は、可塑性フィルム、より好ましくは、線状低密度ポリエチレン(LDPE)及びメタロセン触媒された低密度ポリエチレンから製造される可塑性フィルムである。好ましくは、前記可塑性フィルムは約0.8mmの厚さを有する。好ましくは前記第3の不透水性層はエンボス加工されたミクロパターンを有する。このようなエンボス加工されたミクロパターンにより使用中のノイズが小さくなることが見出された。前記不透水性層に適した材料は、トレゲダー(Tregedar)から商品名EMB−685(登録商標)として市販されている。
【0039】
(活性な及び永久的な図案)
本発明に従う水不溶性基材はそこに活性な図案を印刷され、コーティングされ又は施されている。「活性な図案」という用語は消失し、退色し、出現し、再出現し又は他の態様で図案表示が変化することを意味する。本発明の拭き取り繊維は使い捨てである。それらは予め規定された量のクリーニング組成物を含み、従ってクリーニング組成物が消耗された場合には廃棄されるように企図されている。従来から消費者は、食器クリーニング水中の泡の存在がクリーニング組成物の活性の信号であると信じてきた。しかし、これは誤った仮説である。クリーニング組成物は泡が消失したときでも食器クリーニング水中でまだ活性である。本発明は、いつ拭き取り繊維を新しいものと取り替え、そうしてクリーニング水に新しい洗剤を加えるべきかに関する代替の信号を使用者に提供する。活性な図案はまた拭き取り繊維における他の変化を表示するために使用することもできる。例えば、クリーニング水への新しい又は特定の成分の放出、又は第2のすなわち後続のクリーニング組成物の溶解。図案の変化のための誘発物は例えば組成物からの成分の放出、成分の枯渇、成分の放出によってもたらされる温度又はpHの変化であってもよい。
【0040】
水不溶性基材上の図案表示は、インク又は染料若しくは顔料含有組成物などの同様の化合物を用いて作られる。活性な図案を生ずるために水不溶性基材に適用されるインクは、水溶性インク、熱感受性インク、漂白剤感受性インク、pH感受性インク及びこれらの混合物から選択されてよい。別法では、インクは非水溶性であるが、基材直接性(substrate substantivity)に劣り、このために使用時に擦り落ちてもよい。上述の全ての場合において、図案は、環境における特定の変化があった場合に、消失、出現、再出現又は退色のいずれかによって変化することになる。例えば、水溶性インクは水と接触して可溶化状態となり始める。pH感受性インクは、クリーニング水のpHの変化がもたらされた時、例えばクリーニング組成物がクリーニング水へと可溶化された時に、色を変化させ、出現し又は消失することになる。熱感受性インクは、クリーニング組成物構成成分のクリーニング水への放出の結果として起こる化学反応によって温度上昇が起こった時に、色を変化させ、出現し又は消失することになる。図案は印刷された表面が擦られてインクが拭き取り繊維の表面から実質的に擦られた時に、退色するように感じられてよい。或いは、図案は使用を通して色を変化させてもよい。例えば、組み合わされたときに第3のすなわち後続の色を目に見えるようにする、2つ以上のインクで図案を印刷することによる。使用中に、可溶化された1つのインクが他のものより優先的に擦り取られ又は他の態様で変化する。インクのうちの1つのものの除去又は変化は、図案の全体としての視覚的な外観に影響をもつ。目で見て分かる図案の外観の変化は永久的であっても一時的であってもよい。
【0041】
活性な図案が、上述されたインクの種類のいずれかをハーフトーンで拭き取り繊維に印刷することによって達成されてもよいということも想定されている。「ハーフトーンで印刷する」との用語は、非常に小さなドットの形態でインクを印刷し、それらのドットの組み合わせが見る者に全体的な図的表現を与えることを意味する。それらのドットは様々な色、色合い、大きさ又は形状であることができる。より小さな及びより淡い色合いのドットは、大きく又は濃い色合いのドットよりも速く退色する又は可溶化される傾向にある。結果として、図案の色合い、色、形状又は全体的な外観が使用を通して変化することになる。
【0042】
同様に、使用に渡る図案の目に見える外観の変化が、色又は色調における出現、消失又は変化とは対照的な図案の全体構成(format)の変化の1つであってよい様に、図案が2つ以上のインクを用いて印刷されていてもよいということが想定されている。基材が1つの繰り返し図案を印刷されていてもよく、或いは、2つ以上の異なる図案を印刷されていてもよいことも想定されている。それらの図案は、インク類若しくはインク類の組み合わせで印刷されていてもよく、又は実際異なるインク類で印刷されていてもよい。
【0043】
活性な図案はいかなる形態であってもよいが、拭き取り繊維の商標名、メーカー名、ストライプ、円、ドットのような図案要素、キャラクター、例えば拭き取り繊維の使用法を示している漫画のキャラクター、食器洗いを暗示する図案、例えば泡、拭き取り繊維の香りの図案表示、例えばレモンの香りのクリーニング組成物を含む拭き取り繊維上のレモン、言葉、例えば漂白剤のような成分が、使用中現在に活性であるということを消費者に示す、特定の成分の名前、指示、例えば拭き取り繊維のクリーニングサイドをガラスの器及び他の繊細な物品のクリーニングに使用するという指示、又は拭き取り繊維の擦り層を頑固な汚れをクリーニングするために使用することを示すその擦り層上の指示、及びこれらの混合物を挙げてよい。
【0044】
水不溶性基材はまた永久的な図案を印刷されてもよい。「永久的な図案」との用語は、拭き取り繊維の使用中に消失せず、目に見えて退色せず、又は視覚的外観が変化しない図案を意味する。このことは、部分的にも全体的にも溶解せず、使用中に目に見えて退色することがなく、及び基材直接性である(substrate substantive)、特定のインク組成物を選択することによって達成できる。このことは、インクの化学的組成、並びに基材の繊維へのインクの良好な付着により達成可能である。別の方法では、このことは、追加の化学物質でインクをコーティングしてインクを「密封」し、及び拭き取り繊維のクリーニング組成物成分及び使用時の摩擦に起因する擦り落ちの両方からインクを保護することにより、達成することができる。ここで、拭き取り繊維は活性な及び永久的な図案の組み合わせを含んでいてもよく、この際活性な図案は拭き取り繊維の使用中に変化し、一方、永久的な図案は使用を通して同じままである。
【0045】
図案は既知の技術を用いて水不溶性基材上に印刷されてよい。このような方法としては、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、又は輪転グラビア印刷が挙げられる。フレキソ印刷が好ましいが、それは、この方法が柔軟な基材に印刷するのに適しているため、並びに製造速度及びコストの要因を考慮することによる。フレキソ印刷方法は、可撓性材料で作製された隆起した印刷面を使用してインク画像を基材に転写する。可撓性表面は粗い基材編み物状の物に対してさえも良好な画像を転写することができる。溶媒又は水ベースであって主として蒸発によって乾燥されてよい液体インクが使用され、印刷は単色又は複数色のどちらで行われてもよい。
【0046】
図案は1色若しくは数色で又は同一の色の異なる色合いで印刷されてもよい。一実施形態では、拭き取り繊維はまた、永久的な図案をプリントされていてもよく、又は着色されたクリーニング組成物を含んでいてもよい。前記実施形態では、活性な図案、永久的な図案及び/若しくはクリーニング組成物は同じ色又は個々に異なる色であることもできる。
【0047】
好ましいインクは水と接触して時間をかけて可溶化するもの又は拭き取り繊維の使用中に擦り落ちるものである。好ましいインクは、充分に可溶化され又は後述する試験の間に擦り落ちて、10よりも大きな色差、ΔEを生ずるものである。好ましくは、ΔE値は12よりも大きく、より好ましくは15よりも大きく、更により好ましくは20よりも大きい。
【0048】
ΔE値は、米国特許第545859(キンバリー−クラーク(Kimberley-Clark)、1995年10月17日発行)第8段54行〜第10段49行に記載の試験方法を用いて決定することができる。この試験方法は、インクで印刷された試料基材を参照用の白布上へと擦りつけること及びこの参照布上に移行した色のレベルをハンター比色計(hunter colorimeter)によりΔE値として測定すること、から本質的に成る。試料基材から参照布へ移行するインクが多いほど、故にインクがより退色し又は消失するほど、ΔE値は大きくなる。上述したように適していないインクの例は、サンケミカルインク(Sunchemical inks)XO−92(商標)及びサンプリ(Sunpli)(商標)並びにタッチドライ(Touch dry)(商標)として知られているマーケムインク(Markem's ink)である。これらのインクは10未満のΔEを生ずる。本明細書で使用するために適した種類のインクの例としては次のものが挙げられる。
【0049】
【表1】

【0050】
好ましくは、インクはヒト及び動物の両方に対し無毒性である。他の適したインクは、クロマチックテクノロジー社(Chromatic Technologies Inc.)からダイナカラーサーマクロミックインク(Dynacolor Thermachromic Inks)の商標名で入手可能なものである。前記インクは異なる温度に曝された時に色が変わる温度感受性インクである。例えば、フレキソ印刷において使用するために利用可能な染料は、冷たい条件における着色された状態から、温かい条件における無色の状態へと変化する。インクの色を変化させる活性化温度は、使用要件に応じてカスタマイズされることができるが、一般に−5〜65℃である。
【0051】
本発明の拭き取り繊維類は、使用者が拭き取り繊維及び/又は食器類に水を適用し、その後拭き取り繊維を食器類に適用する、食器洗いの直接適用法において使用するように意図されている。拭き取り繊維は水に浸漬されない。本発明の活性な図案を有する拭き取り繊維は、しかし、拭き取り繊維及び/又は食器類を水のシンク又はボール中に完全に浸漬させる食器洗いのフルシンク法において使用されるように意図された拭き取り繊維に適用することができる。この実施形態では、インクの選択は少々異なる可能性がある。拭き取り繊維は使用中、より過酷な条件に曝されるので、例えば、上記の試験に従って10未満のΔE値を有するインクが有用である場合がある。このように、拭き取り繊維がフルシンク食器洗い法で使用されるように意図されているとき、拭き取り繊維は好ましくはサンプリ(Sunpli)のようなΔE値が10未満であるインクを含む。
【0052】
図案は、図案が基材の層全体に渡って認識できる限り、拭き取り繊維のどちらかの外側面に印刷されていてもよく、或いは基材の外部層の裏側(すなわち拭き取り繊維の内側に面した面)に逆向きに印刷されていてもよい。図案は別法では、可塑性フィルム上(内面上又は外面上のどちらか)に印刷されることができ、次に透明な又は半透明なプラスチックフィルムの薄い層上で又は層全体に渡って図案がはっきり目に見える様に、このフィルムを拭き取り繊維の外部面の1つの上に層状化する(熱的に若しくは他の機械的及び/又は化学的手段により)。図案はまた、その図案が外部層全体に渡って識別できる限り、基材の内側の(追加の)層上に印刷されていてもよい。例えば、図案は磨き層スクリムの直ぐ下にある層の上に印刷されていてもよく、こうして図案はスクリムのメッシュ状の編み物状の物全体に渡って識別可能である。
【0053】
クリーニング組成物が染料を含む場合、活性な図案が実際にクリーニング組成物そのものによって提供されてもよいということも想定されている。この実施形態では、図案は輪転グラビア、インクジェット又はスクリーン印刷技術を使用して印刷される。クリーニング組成物は、基材の内層上に印刷されていてもよく、外部層のうちの1つの内側面上に印刷されていてもよく、外部層のうちの1つの外面上に印刷されていてもよく、及び任意に適したニス又はラッカーから作られるコーティング層で覆われていてもよい。図案の変化はクリーニング組成物の溶解時に達成される。
【0054】
(クリーニング組成物)
本発明の拭き取り繊維はクリーニング組成物を含む。本明細書のクリーニング組成物の成分(類)の全ての濃度(重量%)は、本明細書の基材の1又は多数の層上に適用されたクリーニング組成物について与えられる。保存時に、存在する場合には水のような溶媒、又は存在する場合には他の揮発性化合物が蒸発する場合があることが観測された。これによりクリーニング組成物の非蒸発性化合物(類)の濃度が増すことになる。さらに、存在する場合、溶媒類の蒸発は、前記クリーニング組成物のレオロジー及びモルホロジー(morphology)の変化をもたらすことになる。
【0055】
本発明の好ましい態様では、組成物はペーストの形態である。「ペースト」とは、本明細書では、物質が固体状態であり、所与の降伏応力に付された時に、その形状を連続的に変えないものを意味する。
【0056】
本明細書のクリーニング組成物、好ましくはクリーニングペーストは、前記クリーニング層、前記磨き層及び/又は存在する場合任意の追加の層(類)上に適用されてもよい。さらに本明細書のクリーニング組成物は、拭き取り繊維の基材の1つ又は幾つかの層の内側面及び/又は外側面上に適用されてもよい。
【0057】
本明細書のクリーニング組成物は、そのクリーニング組成物が付着する層(類)の表面全体に等しく分配されてもよく、又はそのクリーニング組成物が付着する層(類)の表面の一部に付着されてもよい。好ましい実施形態では、クリーニング組成物は本明細書の少なくとも1つの層、好ましくは内層の部分上に縞状パターンで適用される。より好ましくは前記縞状パターンは、少なくとも1つの縞、好ましくは約1〜約6つの縞、より好ましくは約3〜約6つの縞、更により好ましくは5つの縞を含む。好ましくは縞状パターンの1又は複数の縞は、基材の全長に渡って伸びている。縞状パターンの1又は複数の縞は、少なくとも約3mm、好ましくは約5mm〜約15mmの幅を有していてもよい。
【0058】
本発明の特に好ましい実施形態では、クリーニング組成物は、着色剤、例えばインク、染料又は顔料を含む。クリーニング組成物は1つの着色剤を含み、このため全て同じ色であってもよい。しかし、別の方法として、クリーニング組成物の異なる縞が別個に着色されていてもよいことも想定される。さらにクリーニング組成物の異なる色の縞が用いられて、クリーニング組成物における異なる成分の存在を示すこともできる。例えば、クリーニング組成物の漂白剤を含有する縞は、界面活性剤を、若しくは酵素を含有するクリーニング組成物の縞とは異なって着色されていてもよい。クリーニング組成物が活性な及び/又は永久的な図案と同じ又は似たような色であってもよいことが想定される。或いは、クリーニング組成物、活性な及び/又は永久的な図案が個々に異なる色であってもよいことも想定される。
【0059】
本明細書の好ましい実施形態では、本明細書中のクリーニング組成物は、本明細書の層のうちの少なくとも1つの層の表面の少なくとも約30%を覆い、好ましくは、本明細書のクリーニング組成物は本明細書中の層のうちの少なくとも1つの層の表面の約40%〜約60%を覆う。
【0060】
本発明の拭き取り繊維は、水不溶性基材の重量基準で約10重量%〜約1,000重量%、好ましくは約50重量%〜約600重量%、より好ましくは約100重量%〜約250重量%のクリーニング組成物を含む。本発明の拭き取り繊維は好ましくは、少なくとも約4.5gの前記クリーニング組成物を含む。
【0061】
(クリーニング組成物の任意成分)
(界面活性剤)
本発明のクリーニング組成物は、界面活性剤又はそれらの混合物を含んでいてもよい。好ましくは前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0062】
適した陰イオン性界面活性剤は食器洗い組成物で通常使用される市販の界面活性剤である。特に好ましい陰イオン性界面活性剤は、アルキル、アルキルアリール、アルキルアルコキシスルフェート類、スルフォネート類、カルボキシレート類及びこれらの混合物から選択されるものである。本明細書の組成物に使用するのに特に適した陰イオン性界面活性剤としては、式ROSO3M又はRO(A)mSO3M(式中、Rは好ましくはC6〜C20直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル、好ましくはC10〜C20アルキル構成成分を有するアルキル若しくはヒドロキシアルキル、より好ましくはC10〜C14アルキル又はヒドロキシアルキルであり、Aはエトキシ又はプロポキシ単位であり、mはゼロよりも大きく、典型的には約0.5〜約5、より好ましくは約0.5〜約2であり、及びMはH又は陽イオン、例えばアルカリ金属陽イオン又はアンモニウム又は置換アンモニウムであるが好ましくはナトリウムである)の水溶性塩又は酸が挙げられる。
【0063】
両性界面活性剤は、好ましい追加的な界面活性剤である。本発明に有用な両性界面活性剤は、好ましくはアミンオキシド界面活性剤から選択される。アミンオキシド類は半極性非イオン性界面活性剤であり、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分、並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル基及びヒドロキシアルキル基から成る群から選択される約2つの部分を含有する水溶性アミンオキシド類を包含する。
【0064】
本発明に有用な両性クリーニング性界面活性剤のその他の適した非限定的な例としては、アミドプロピルベタイン類及び脂肪族又は複素環式二級及び三級アミン類の誘導体が挙げられ、ここで脂肪族部分は直鎖又は分岐鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは約8〜約24個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの脂肪族置換基は陰イオン性水溶性基を含有する。
【0065】
好ましい非イオン性クリーニング性界面活性剤は、脂肪族アルコール類と約1〜約25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖、一級又は二級のいずれかであることができ、一般に約8〜約22個の炭素原子を含有する。
【0066】
他の適した非イオン性界面活性剤としては、次の式を有するアルキルポリグリコシド類が挙げられる。
【0067】
2O(Cn2nO)t(グリコシル)x
式中、R2はアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニル、及びこれらの混合物から成る群から選択され、アルキル基は約10〜約18個、好ましくは約12〜約14個の炭素原子を含有し、nは約2又は約3、好ましくは約2であり、tは0〜約10、好ましくは0であり、xは約1.3〜約10、好ましくは約1.3〜約3、最も好ましくは約1.3〜約2.7である。グリコシルは、好ましくはグルコースから誘導される。
【0068】
クリーニング組成物の界面活性剤構成成分は、全クリーニング組成物の約15重量%〜約100重量%、好ましくは約20重量%〜約85重量%、より好ましくは約25重量%〜約60重量%の界面活性剤を含んでいてよい。
【0069】
(水)
クリーニング組成物は好ましくは、全組成物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約2重量%〜約15重量%、より好ましくは約5重量%〜約12重量%の水を含む。上記で概説したように、水は基材に一旦適用されたらクリーニング組成物から蒸発してもよい。
【0070】
(水移動剤)
組成物の任意成分に構造剤として機能する水移動剤がある。適した水移動剤は、組成物から遊離水、特に、界面活性剤及び/又は漂白剤と関連する遊離水を吸収することができる粒子状物質である。水移動剤は、界面活性剤から水を抜き取ることができる。「界面活性剤から水を抜き取ることができる」とは、水と水移動剤との間に、水と界面活性剤との間に存在するよりも大きな親和力が存在することを意味する。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、水移動剤は、無機酸化物及び塩、特に水和可能な酸化物及び塩、とりわけケイ素、アルミニウム、亜鉛、ホウ素、リン、アルカリ土類金属及びアルカリ金属の酸化物及び塩並びにこれらの混合物から成る群から選択される。例としては、ケイ酸塩類、ケイ酸及びシリカ、クエン酸、クエン酸塩類、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸カリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸カルシウムが挙げられる。好ましくは、水移動剤は、シリカ、マグネシウムの塩及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0072】
より好ましくは水移動剤は、シリカ、好ましくは非晶性燻蒸シリカである。疎水性シリカは、必要な親水性を有していないため水移動剤として作用しない。好ましくは、水移動剤は、(DIN66131に記載され、JACS、第60巻、1938年、309頁(ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmet)及びテラー(Teller)による)に元々記載されるように)BETによって測定される表面積が5〜800m2/gである。より好ましくは、水移動剤は、100〜400m2/gの表面積を有する。別の好ましい実施形態では、シリカは0.05〜1μm、好ましくは、0.2〜0.3μmの平均粒径を有する。
【0073】
好ましくは、基材に適用された組成物は、2.5〜15%、より好ましくは、5〜10%、最も好ましくは、約6%の水移動剤を含む。
【0074】
(漂白剤)
本発明の特に好ましい実施形態では、クリーニング組成物、又は幾つか存在する場合には少なくとも1つのクリーニング組成物は、漂白剤又は漂白剤系を含む。洗剤の使用のために公知のあらゆる漂白剤が、適切に使用されてもよい。本発明の第1の態様では、漂白剤は、ペルオキシカルボン酸漂白剤又はそれらの親水性前駆体である。好ましくは、漂白剤は、脂肪族C1〜C22ペルオキシカルボン酸類及びそれらの前駆体から選択され、特に、脂肪族C9〜C16ペルオキシカルボン酸類及びそれらの前駆体から選択される。この種類において特に適したペルオキシカルボン酸としては、ペルノナン酸、n−ノナノイル−6−アミノペルカプロン酸及びジペルオキシドデカン二酸が挙げられる。
【0075】
他の好ましい漂白剤は、芳香族C7〜C30ペルオキシカルボン酸類及びそれらの前駆体であり、好ましくは、C7〜C20ヘテロ芳香族ペルオキシカルボン酸類である。特に好ましい例としては、EP−A−349940に記載のフタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP)、及び次式の他の化合物が挙げられる:
【0076】
【化1】

式中、nは1〜18であることができる。PAPでは、nは5である。
【0077】
他の好ましい芳香族漂白剤は、置換過安息香酸類(例えば、メタ−クロロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム)である。
【0078】
さらに、漂白剤系は、漂白剤の作用を促進させる漂白剤活性化剤のような他の成分を含んでもよい。漂白剤活性剤の例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、NOBS、アシルトリエチルクエン酸塩、過アジピン酸のノニルアミド(例えば、米国特許第4259201号に論じられたようなもの)、ナトリウム3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート(例えば、米国特許第4818425号に開示されるようなもの)、N−アシルカプロラクタム類(アセトイル−ウンデカノイルカプロラクタム類)、イミン及びオキサジリジンに基づく漂白剤活性化剤である。
【0079】
それに加えて、この系は、酸化動力学を向上させるために漂白触媒を包含してもよい。漂白触媒の例は、遷移金属(例えば、Co、Mn及びFe)の錯体である。
【0080】
漂白剤系は、疎水性漂白剤化合物を更に含んでもよい。例としては、ジアシルペルオキシド類(例えば、過酸化ベンゾイル)、ジアルキルペルオキシド類(例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド)、及びペルオキシエステル類(例えば、t−ブチルペルオキシアセテート)である。
【0081】
本発明の別の態様では、漂白剤は親水性漂白剤又はそれらの前駆体である。好ましくは、親水性漂白剤は、過ホウ酸、過炭酸、次亜塩素酸又は次亜臭素酸、それらの塩、又はそれらの前駆体である。親水性漂白剤及びそれらの前駆体は、非常に色のついた汚れ、特にカロチノイドの汚れを、プラスチック食器類から除去することにおいて、優れたクリーニング性能を提供することが見出された。カロチノイド汚れ、例えば、α−、β−、γ−カロチン及びリコピン及びキサントフィル(ゼアキサンチン又はカプサンシン)は、ニンジン類及びトマト類から、及びこれらの構成成分を含有するいずれかの加工製品、並びに特定の熱帯果物類及びサフロンにおいて、誘導される。
【0082】
発熱性の水和塩、例えば、K2CO3又はMgSO4は、これらの親水性漂白剤と組み合わせて使用されてもよく、水と接触する場合に熱を発生し、漂白剤活性を高める。
【0083】
基材に適用された組成物中の漂白剤の全体量は、組成物の1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲であることができる。
【0084】
本発明者らは、拭き取り繊維中に漂白剤を含めることが悪臭の減少の利益を提供することを見出す。特に、本発明者らは、漂白剤を含めることにより、そうでなければ1回以上の使用の後に生じ得る拭き取り繊維自体からの悪臭を、減少させることを見出す。
【0085】
本発明において、漂白剤はペルオキシ陰イオンの形成によって作用する。故に、遊離ラジカル反応によって作用しない(基材に適用された組成物は、一般的に、遊離ラジカル開始剤を含有しない)。従って、基材に適用された組成物は、使用中に、一般的にpH8〜12、好ましくは、8〜10のアルカリ水性環境を提供するようになされていることが好ましい。
【0086】
(ジアミン)
食器手洗い用拭き取り繊維として使用する場合の、本発明に従うクリーニング組成物の任意のしかし好ましい成分は、ジアミンである。
【0087】
クリーニング組成物は、前記組成物の好ましくは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.2重量%、更により好ましくは少なくとも約0.25重量%、更に一層より好ましくは少なくとも約0.5重量%のジアミンを含有する。組成物はまた好ましくは、前記組成物の約15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更により好ましくは約6重量%以下、更により好ましくは約5重量%以下、なお更により好ましくは約1.5重量%以下のジアミンを含有する。
【0088】
好ましい有機ジアミン類は、pK1及びpK2が約8.0〜約11.5の範囲、好ましくは約8.4〜約11の範囲、更により好ましくは約8.6〜約10.75の範囲であるものである。性能及び供給を考慮した好ましい物質は、1,3−ビス(メチルアミン)−シクロヘキサン(pKa=10〜10.5)、1,3プロパンジアミン(pK1=10.5、pK2=8.8)、1,6ヘキサンジアミン(pK1=11、pK2=10)、1,3ペンタンジアミン(ダイテック(Dytek)EP)(pK1=10.5、pK2=8.9)、2−メチル1,5ペンタンジアミン(ダイテックA)(pK1=11.2、pK2=10.0)である。その他の好ましい物質は、アルキレンスペーサーが約C4〜約C8の範囲の一級/一級ジアミン類である。一般に、一級ジアミン類は、二級及び三級ジアミン類より好ましいと考えられている。
【0089】
本明細書に有用なジアミン類は、次の構造によって定義できる。
【0090】
【化2】

式中、R2〜5は独立して、H、メチル、−CH3CH2、及びエチレンオキシド類から選択され、Cx及びCvは独立して、メチレン基又は分岐アルキル基から選択され、ここでx+yは約3〜約6であり、Aは任意に存在し、ジアミンのpKaを所望の範囲に調整するために電子供与性部分又は電子求引性部分から選択される。Aが存在する場合は、x及びyはいずれも約1以上でなければならない。
【0091】
(高分子泡安定剤)
本発明のクリーニング組成物は、任意に高分子泡安定剤を含有してもよい。このような高分子泡安定剤は、液体洗剤組成物の油脂を断ち切る能力を犠牲にすることなく、高められた泡体積及び泡立ち持続時間を提供する。これらの高分子泡安定剤は以下から選択される。
【0092】
i)以下の式を有する(N,N−ジアルキルアミノ)アルキルアクリレートエステル類のホモポリマー類、
【0093】
【化3】

式中、各Rは独立して、水素、C1〜C8のアルキル、及びこれらの混合物であり、R1は水素、C1〜C6のアルキル、及びこれらの混合物であり、nは約2〜約6である、並びに
ii)(i)と次のものとのコポリマー
【0094】
【化4】

式中、R1は水素、C1〜C6アルキル、及びこれらの混合物であり、但し、(ii)と(i)の比率は約2:約1〜約1:約2である、別の好ましい高分子泡安定剤は(i)とヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレートとのコポリマーである。
【0095】
前記高分子泡促進剤類の分子量は、従来のゲル浸透クロマトグラフィーで求められ、約1,000〜約2,000,000、好ましくは約5,000〜約1,000,000、より好ましくは約10,000〜約750,000、より好ましくは約20,000〜約500,000、更により好ましくは約35,000〜約200,000である。高分子泡安定剤は、任意に、無機塩若しくは有機塩のどちらかの塩の形態で、例えば(N,N−ジメチルアミノ)アルキルアクリレートエステルのクエン酸塩、硫酸塩、又は硝酸塩の形態で存在することができる。
【0096】
好ましい高分子泡安定剤の1つは、(N,N−ジメチルアミノ)アルキルアクリレートエステル類、即ち次式である。
【0097】
【化5】

【0098】
本明細書のクリーニング組成物中に存在する場合、高分子泡促進剤は、約0.01重量%〜約15重量%、好ましくは約0.05重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%で組成物中に存在してもよい。
【0099】
(他の任意成分)
クリーニング組成物は、増粘化ポリマー、フィルム形成(filming)ポリマー、シクロデキストリン、着色剤、香料及び香料送達剤、安定剤、溶媒、密度制御剤、乾燥剤、ヒドロトロープ、塩、凝固剤、保存剤、水しみ形成(spotting)/フィルム形成(filming)/乾燥制御剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される追加の成分を含んでいてもよい。
【0100】
増粘ポリマーは所与の剪断速度における降伏値又は剪断粘度の増加を付与するために使用されてもよい。それらはまた、濃縮界面活性剤製品におけるそれらの粘弾性に起因する塗り付け(smear)及び押出し(extrusion)特性を改善することもある。それらはまた、界面活性剤系を基材(ダイ押出成形)へ適用する際のような要件に対する所望の加工特性を達成するのに役立つこともある。増粘ポリマーの好ましい例としては、陰イオン性側鎖、及び/又はクリーニング組成物そのものにおける場合に陰イオン性であり、好ましくは4〜20の範囲のpKaを有する側鎖を有するものが挙げられる。
【0101】
従って、側鎖は、酸基であってもよいが、但し、これらの酸基のpKaは、その種の形態のクリーニング組成物においてよく用いられているpH条件下で十分に低いものである。一般的に、pKa8.5以下を有する酸基がクリーニング組成物中で陰イオン性側鎖を形成し、好ましくは、pKaは8を超えない。一般的に、pKaは少なくとも4であり、好ましくは、4〜7である。側鎖は、例えば、カルボキシレート、サルフェート、又はスルホネートであることができ、組成物中にその塩形態が存在する限り、このポリマーは酸又は塩の形態で組成物に提供可能である。特に好ましいポリマーとしては、キサンタンガム、セルロース、変性セルロース、グアーガム、アラビアゴム、多糖類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン及びこれらの混合物が挙げられる。増粘ポリマーの1つの例は、ノベオン(Noveon)からカルボポール(Carbopol)ETD2623(登録商標)として市販されているポリアクリル酸である。最も好ましいポリマーはポリビニルアルコール(PVA)である。次いで、陰イオン電荷は、ヒドロキシル基の脱プロトン化、8〜14のpKaを有するそれらのアルコキシド基への変換によって組成物中で形成される。PVAは、好ましくは、0.016(10,000)〜0.099ag(60,000ダルトン)の分子量を有し、好ましくは、クリーニング組成物中でのその分散性を高めるために部分的に加水分解される。加水分解度は、好ましくは、85%〜90%である。部分的に加水分解された形態では、PVAは、界面活性剤様の、優れた泡立ち特性を生じる、陰イオン性及び疎水性の両方の特性を有する。
【0102】
フィルム形成ポリマーは、界面活性剤の放出、水の移動を阻むために、又はクリーニング組成物中に存在する界面活性剤の1つ以上の構成成分の安定性への望ましくない環境の影響を防ぐために使用されてもよい。フィルム形成ポリマーの1つの例は、クラリアント(Clariant)からモルウィオールブランド(Molwiol brand)(登録商標)として市販されているポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0103】
シクロデキストリンを、ペルオキシカルボン酸漂白剤又は親水性ペルオキシカルボン酸漂白剤前駆体をカプセル化するために使用してもよい。さらに、このことは、時間をかけて漂白剤の放出を制御するという利点も提供する。あらゆる公知のシクロデキストリン類、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンが使用可能であり、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びメチル−β−シクロデキストリンが好ましい。
【0104】
界面活性剤系の1つ以上の構成成分を保護するために、安定剤を使用してもよい。安定剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ラジカル捕捉のための安息香酸ナトリウム、色安定化のためのベンゾフェノン−4、及び望ましくない界面活性剤の経時変化のためのシリケート類を挙げてよい。ベンゾフェノン−4はバスフ(BASF)からウビヌル(UVINUL)(登録商標)MS−40として市販されている。
【0105】
界面活性剤系の相化学を制御するために溶媒を使用してもよい。溶媒の例としてはダウケミカル(Dow Chemical)から入手可能なポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールなどがある。
【0106】
相(類)の密度を改変して安定性を改善するために、密度制御剤を使用してもよい。適した密度制御剤の例は、空気又はサスカチェワンミネラルズ(Saskatchewan Minerals)から入手可能な硫酸ナトリウムである。
【0107】
界面活性剤の経時変化及び最終的な特性を改善するために乾燥剤を使用してもよい。遊離水と結合するための乾燥剤の例はアルドリッチ(Aldrich)から入手可能な硫酸マグネシウムである。
【0108】
相化学を改変して安定性を改善し又は界面活性剤の溶解特性を改変するために、ヒドロトロープを使用してもよい。ヒドロトロープの例は、ラトガーズオーガニクス(Rutgers Organics)から入手可能なクメンスルホン酸ナトリウム、ナキソネートSC(Naxonate SC)(登録商標)である。
【0109】
相化学を改変して安定性を改善し又は界面活性剤の溶解特性を改変するために、塩を使用してもよい。好ましくは、添加される塩は、クリーニング組成物にマグネシウム及び/又はカルシウムを与えるためのマグネシウム及び/又はカルシウム塩である。塩の1つの例は、ダウケミカルから入手可能な(Dow Chemical)塩化マグネシウムである。
【0110】
固体特性及び最終の界面活性剤のレオロジーを改善するために、凝固剤を使用してもよい。2、3の凝固剤の例は、ステアリルアルコールスルフェート類(ラネッテE(Lanette E)(登録商標)、コグニス(Cognis)より入手可能)、P&Gケミカルズ(P&G Chemicals)から入手可能なステアリルアルコール類、P&Gケミカルズから入手可能なステアリン酸のような脂肪酸類、ダウケミカル(Dow Chemical)/ユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能なPEG4000〜20000、サスカチェワンミネラルズ(Saskatchewan Minerals)から入手可能な硫酸ナトリウムなどである。
【0111】
界面活性剤中の微生物の繁殖を防ぐために防腐剤を使用してもよい。防腐剤の例は、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン混合物(ロームアンドハース(Rohm & Haas)から入手可能なカトン(Kathon)CG/ICP−II(登録商標))である。
【0112】
最終のすすぎ及びその後の乾燥を改善するために、水しみ形成(spotting)及びフィルム形成(filming)制御剤を使用してもよい。水しみ形成(spotting)/フィルム形成(filming)剤の例は、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー(ロームアンドハース(Rohm and Haas)から入手可能なアクソル(Acusol)445N(登録商標))である。水乾燥剤の例は、テキサコ(Texaco)から入手可能なタローアルコールエトキシレート(18モルEO)である。
【0113】
本発明に従う極めて好ましい実施形態では、クリーニング組成物は、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、マグネシウム及び/又はカルシウムイオン、及びポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)アセテートを更に含む。
【0114】
(製造方法)
本発明の拭き取り繊維は、クリーニング基材層又は存在する場合追加の層類の好ましくは内側面にクリーニング組成物を添加することによって製造される。組成物は、散布、浸漬コーティング、噴霧、スロットコーティング、及びロールトランスファー(例えば圧縮ロール又はキスロール)を挙げてよいがこれらに限定されない、従来の方法によって基材に添加される。次いで残りの層がクリーニング層の上に配置される。これらの層は好ましくはヒートスポットシーリングによって互いにシールされる。次に、シールされたシートは、消費者が使用する単位に分割される。任意の製造工程には、物品を平らにするカレンダー加工、乾燥すること、しわ形成すること、縮ませること、伸ばすこと、或いは機械的に変形させることが包含されてもよい。
【0115】
図案は好ましくは拭き取り繊維の外側面上に印刷される。より好ましくは、図案は拭き取り繊維のクリーニング層の外側面上に印刷される。図案はあらゆる既知の及び便利な印刷機構を用いて基材上に印刷されてよい。好ましくは、図案はフレキソ印刷方法を用いて基材上に印刷される。
【0116】
(食器類のクリーニング方法)
本発明はまた、食器類をクリーニングする方法、好ましくは手で食器類をクリーニングする方法を包含する。
【0117】
この方法は、a)本発明に従う拭き取り繊維を水で濡らす工程、及びb)食器類をこの濡れた拭き取り繊維と接触させる工程、を含む。
【0118】
加えて本明細書の食器類のクリーニング方法は、拭き取り繊維を前記食器類上で機械的に激しく動かす(拭取る)工程、及び/又はこの食器類を水ですすぐ工程を更に含む。
【0119】
好ましい実施形態において、本発明はまた硬質表面、好ましくは、台所の硬質表面をクリーニングする方法に関する。硬質表面をクリーニングする方法は、a)本発明に従う拭き取り繊維を水で濡らす工程、及びb)硬質表面をこの濡れた拭き取り繊維と接触させる工程、を含む。さらに本明細書の硬質表面をクリーニングする方法は、拭き取り繊維を前記硬質表面上で機械的に激しく動かす(拭取る)工程、及び/又はこの硬質表面を水ですすぐ工程を更に含む。
【0120】
本発明の拭き取り繊維は、水で活性化され、従って使用の前に水で濡らすことを意図したものである。本明細書で使用する時、「水で活性化される」は、本発明が、水で濡らした後使用されるように乾燥した形状で消費者に提示されるということを意味する。したがって、この物品を水に浸すことによって、又は流水にさらすことによって濡らす。
【実施例】
【0121】
次の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し及び実証する。以下の実施例では、成分はすべて活性レベルで記載する。これらの実施例は、単に説明目的で与えられるにすぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの変形形態が可能であるため、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0122】
次の様式で表示付使い捨て食器ケア及び硬質表面クリーニング拭き取り繊維物品を調製する。
【0123】
好ましい拭き取り繊維は5つの基材層を含む。第1層基材は、40%ビスコースレーヨン及び60%のポリプロピレン繊維のスパンレースブレンドであり、約60gsmの坪量を有する。この層は、フレキソ印刷機構を用いて活性な図案を予め印刷されている。第2層は19gsmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムである。第3及び第4層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びPET−ポリエテイレン(polyetheylene)2成分繊維の混合物を含むエアレイド、嵩高、低密度不織布から作製される。詰綿の厚さは、76Pa(5gsi(g/平方インチ)で測定して約0.254〜0.508cm(0.1〜0.2インチ)である。基材の第5の層は、30gsmの透明なポリプロピレン/EVAスクリムメッシュである。クリーニング組成物は、LDPEフィルムと連結された詰綿層の表面に適用される。クリーニング組成物はペーストの形態であり、拭き取り繊維基材に縞で適用される。
【0124】
次の構成成分を包含するクリーニング組成物を調製する。
【0125】
【表2】

ジアミン1)は1,3ビス(メチルアミン)−シクロヘキサンである。
ポリDMAM2)は、(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレートホモポリマーである。
【0126】
連続的に攪拌しながら燻蒸シリカを界面活性剤プレミックスに添加する。攪拌下で残りの審美性成分を添加する。クリーニング組成物は基材層と共に加工するのが容易であり、更に乾燥する必要がないのが有利である。クリーニング組成物は、それをコーティングヘッドに連続的に通して5本の直線に押出すことにより、基材の詰綿層の片側に適用され、その5本の直線は、編み物状の物を横切る幅方向に測定して、20mmの距離だけ離間された約12mm幅の直線であり、編み物状の物の各側上に平行な直線を成している。クリーニング組成物は最終の物品当たり7.5gのクリーニング組成物を生ずる速さで押出される。
【0127】
クリーニング組成物を既に保持している第2層(上記を参照)を、第1の層を界面活性剤含有層と接触するように配置して第1の基材上に連続的に送り込む。編み物状の物を横切って、均一に間隔を空けた長さ8mmのシール点の格子を含むティルデ(tilde)形状のドットパターンをシールする超音波シール機に、編み物状の物を連続的に送りこむ。物品当り合計約70個のシール点を有する、角の丸い寸法約120mm×160mmの矩形の個々の物品に編み物状の物を切断する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て不織布であるクリーニング用拭き取り繊維であって、水不溶性基材及びクリーニング組成物を含み、前記水不溶性基材に活性な図案(active graphic)が印刷され、コーティングされ、又は施されていることを特徴とする拭き取り繊維。
【請求項2】
前記拭き取り繊維は、永久的な図案(permanent graphic)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項3】
活性な図案、永久的な図案、及びクリーニング組成物を含む請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維であって、前記活性な図案、永久的な図案及びクリーニング組成物は同一の又は個々に異なる色であることを特徴とする使い捨て拭き取り繊維。
【請求項4】
請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維であって、前記拭き取り繊維は、相対する外面と、その拭き取り繊維の片方の面又は両方の面に印刷された活性な図案とを有することを特徴とする使い捨て拭き取り繊維。
【請求項5】
請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維であって、前記活性な図案は、水溶性インク、使用中に前記基材から擦り取れる退色インク、pH感受性インク、温度感受性インク及びこれらの混合物から成る群から選択されるインクを使用して作製されることを特徴とする使い捨て拭き取り繊維。
【請求項6】
請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維であって、前記活性な図案は、充分に可溶化され又は擦り取られて、10よりも大きな、より好ましくは12よりも大きな、より好ましくは15よりも大きな、更により好ましくは20よりも大きな色差ΔEを生ずるインクを
使用して作製されることを特徴とする使い捨て拭き取り繊維。
【請求項7】
前記図案は異なる色の2つ以上のインクを用いて印刷されることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項8】
少なくとも1つのインクは、その他のものよりも速い速度で基材から除去されることを特徴とする請求項7に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項9】
前記水不溶性基材は、少なくともクリーニング層及び磨き洗い層を備えた積層構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項10】
前記クリーニング層の外側に向いた表面に図案が印刷され、前記表面の使用を表示することを特徴とする請求項9に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項11】
前記クリーニング組成物は、前記拭き取り繊維が実質的に乾燥しているように含まれていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項12】
前記クリーニング組成物はペーストの形態であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項13】
前記クリーニング組成物は着色されていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維。
【請求項14】
食器類をクリーニングする、好ましくは手でクリーニングする方法であって、a)請求項1に記載の使い捨て拭き取り繊維を水で湿らせる工程、及びb)食器類を前記濡らした拭き取り繊維と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。


【公表番号】特表2007−518535(P2007−518535A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551297(P2006−551297)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001913
【国際公開番号】WO2005/072594
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】