説明

活性成分製剤を安定化させるためのホモ−及びコ−ポリマーの使用

本発明は、界面活性物質を含んでいる水性組成物及び/又は製剤中の有機活性化合物を安定化させるためのある種のホモ−及びコ−ポリマーPの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性物質を含んでいる水性組成物又は製剤中の有機活性化合物を安定化させるためのある種のホモ−及びコ−ポリマーPの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性化合物、すなわち、低濃度でもすぐに生理学的な作用を呈することができる物質、特に植物体防護用活性化合物は、多くの場合、活性化合物水性組成物の形態に処方され又はその形態で施用される。つまり、例えば植物体の防護では、病虫害を防除するため、あるいは生長を促進させるために用いられる活性化合物、すなわち、殺虫剤、殺菌剤、除草剤あるいは生長調節剤は、多くの場合、水性コンセントレートとして処方され、販売される。使用するためには、このような製剤の他にもエマルジョンコンセントレートのような非水性の液体製剤さらには水分散性の粉粒又は顆粒は、施用される前に、大量の水を加えることによって所望の使用濃度まで希釈される(スプレー用混合物)。活性化合物水性組成物は、医薬活性物質及び化粧品活性物質並びにビタミン、プロビタミン等のような食品添加物にとっても価値あるものであることは分かっている。
【0003】
有機活性化合物を水性媒体中に処方すること及び使用することにおける主な問題は、一般に、その活性化合物の水への溶解度が低いことであり、その溶解度は、多くの場合、23℃で10g/l未満、特に1g/l未満、特には0.1g/l以下である。このような活性化合物の水性組成物は、したがって、活性化合物が連続水性相中に乳化された又は分散された相として存在する不均質系である。活性化合物製剤は、そのようなそれ自体準安定である系を安定化させるために、通常、乳化剤、湿潤剤及び/又は分散剤のような界面活性物質を含んでいる。そのような界面活性物質は、一方では、静電気的及び/又は立体的相互作用によって水性相の表面張力の低下をもたらし、また水性相中の活性化合物粒子を安定化させる。
【0004】
活性化合物製剤は、多くの場合、アジュバントを含んでいる。これらは、同じく、界面活性物質である。そのようなアジュバントは、一般に、濃縮された製剤の水相中であれあるいはスプレー混合物中であれ、有機活性化合物の水相中でのより均一な分散をもたらす。この改善された活性化合物の分散は、多くの場合、アジュバントの可溶化効果によるものである。植物体防護用活性化合物では、アジュバントは、したがって、処理される植物体組織中への活性化合物の浸透の向上を達成するためにも多くの場合加えられる。このことは、浸透的な効果を持っている植物体防護用活性化合物で特に重要である。
【0005】
界面活性物質が用いられているにもかかわらず、活性化合物水性製剤は、多くの場合、不安定であり、活性化合物粒子が集塊化又は結晶化する傾向があり、その結果、水性相に分散している活性化合物が、例えばクリーミング又は沈殿によって、分離する傾向がある。この問題は、製剤が、高い温度及び/又は高い方に変わり得る温度あるいは凝固点近くの温度に比較的長い期間保存される場合、特に著しい。この問題は、さらにまた、活性化合物が結晶化する傾向を有している場合に特に著しく、例えば、融点が低い(80℃以下)活性化合物、及び/又は水性相及び/又は界面活性物質において限られた溶解度しか示さない活性化合物で特に著しい。結晶化の問題は、さらにまた、製剤が比較的多量の界面活性物質、特にポリアルキレンエーテル基を有している界面活性物質を含んでいる場合に多く起こり、その理由は、そのような界面活性物質は、水性相への活性化合物の溶解度を増大させることができ、また結晶化又は集塊化プロセスを促進させることができるからである。
【0006】
水への溶解度が限られた又は極めて低いものである活性化合物を処方する時のさらなる問題は、活性化合物製剤を所望の使用濃度まで希釈する際に、活性化合物の分離が生じることがあることである。これは、活性物質の効果の喪失をもたらすだけでなく、スプレー混合物では、フィルター及びノズル系が詰まるという危険も存在することになる。この問題は、比較的大含量の界面活性物質及び/又は有機共溶媒を含む活性化合物水性製剤及び乳化性コンセントレート(emulsifiable concentrates)で特に著しい。希釈の際に生じる活性化合物の分離は、当然、懸濁液コンセントレート(suspension concentrates)(SC製剤)やマイクロエマルジョンコンセントレート(ME製剤)のような水性製剤に限られるものではなく、特に、乳化性コンセントレート(EC剤)や水混和性溶媒中活性化合物溶液(DC製剤)のような溶媒を含む製剤でも問題である。
【0007】
特許文献1には、慣用の界面活性物質に加えて脂肪族カルボン酸のジメチルアミドを含むアゾール系殺菌剤の製剤が記載されている。脂肪族カルボン酸のジメチルアミドは、製剤を希釈する際のアゾール系殺菌剤の分離を減らすよう働くものである。
【0008】
特許文献2には、結晶化阻害剤としてポリビニルアルコールを含むアゾール系殺菌剤の液体製剤が記載されている。
【0009】
特許文献3には、植物体防護用活性化合物を含んでいる製剤中における結晶化阻害剤としてのスルホン酸基を含む疎水変性ポリマーの使用が記載されている。
【0010】
当技術分野の現行技術で知られている結晶化阻害剤の安定化効果は、水への溶解度が低い多くの活性化合物にとっては、特に活性化合物の製剤が比較的多量の界面活性物質を含んでいる場合は、多くの場合、不十分なものである。この問題は、さらにまた、製剤中に存在する界面活性物質が活性化合物の水性相中への可溶化をもたらす場合、例えば、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基又はポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している非イオン性界面活性物質のケースで、特に著しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,205,225号明細書
【特許文献2】国際公開第03/00716号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/055944号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、水性相が1種以上の界面活性物質、特に水への溶解度が低い活性化合物に対して可溶化効果がある界面活性物質を含んでいる場合の、そのような活性化合物の水性相中での安定化をもたらす物質を利用可能とすることを目的とする。そのような安定化物質は、特に、結晶化する傾向がある活性化合物、特にアゾール系殺菌剤、殺菌性カルボキサミド、特に殺菌性カルボキサニリド、ストロビルリン及びこれらの混合物の安定化を可能にするものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、意外にも、
i)アクリル酸及びメタクリル酸から選択される少なくとも1種のモノマーM1を、モノマーMの全体重量を基準にして少なくとも10重量%;及び
ii)1種以上の非イオン性モノマーM2を、モノマーMの全体重量を基準にして最大で90重量%;
含み、
モノマーM1及びM2がモノマーMの少なくとも70重量%を構成している
モノエチレン性不飽和モノマーMから生成されるホモ−及びコ−ポリマーPによって達成される。
【0014】
本発明は、これに対応して、
i)アクリル酸及びメタクリル酸から選択される少なくとも1種のモノマーM1を、モノマーMの全体重量を基準にして少なくとも10重量%;及び
ii)1種以上の非イオン性モノマーM2を、モノマーMの全体重量を基準にして最大で90重量%;
含み、
モノマーM1及びM2がモノマーMの少なくとも70重量%、特には少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、特には少なくとも99重量%を構成している。
【0015】
モノエチレン性不飽和モノマーMから生成されるホモ−及びコ−ポリマーPの、水に対して難溶性の有機活性化合物を、界面活性物質を含んでいる水性組成物中に安定化させるための、使用に関するものである。
【0016】
本発明には多くの利点が伴う。第一には、このホモ−及びコ−ポリマーP(以下ではポリマーPとも)は、水性相中に分散された活性化合物粒子の粒子肥大に関しての安定化、特に、結晶化する傾向がある活性化合物での、結晶化によって引き起こされる粒子肥大に関しての安定化をもたらす。このように、本ホモ−及びコ−ポリマーPは、活性化合物の沈殿又は分離に効果的に反対作用を示すものである。さらには、比較的高い保存温度では、水に対して難溶性の活性化合物に加えて、少なくとも1種の本発明によるポリマーPを含んでいる活性化合物水性組成物中では、懸濁された活性化合物粒子の粒子肥大は、起こらない、又は非常にゆっくりしか起こらない、又は著しく低い程度に起こる。この関連での安定化効果は、活性化合物を濃縮された形態で含んでいる活性化合物の水性製剤(すなわち懸濁液コンセントレート)に限られるものではなく、SC又はME製剤のような水性製剤を希釈することで得られるものや、EC及びDC製剤のような非水性液体製剤、又は水分散性粉粒(water-dispersible powders)(WP製剤)又は水分散性顆粒(water-dispersible granules)(WG製剤)のような固体製剤を希釈することでも得られるもののような希釈活性化合物調製物でも生じる。意外にも、このホモ−及びコ−ポリマーPの安定化効果は、さらにまた、ホモ−及びコ−ポリマーPを必ずしも含んでいない通常の製剤が、ホモ−又はコ−ポリマーPが加えられている水で希釈される場合も生じる。
【0017】
本発明のさらなる利点は、水に対して難溶性の活性化合物の水性製剤のミリング法による調製では、ホモ−又はコ−ポリマーPを添加することによって、製剤中の活性化合物の所望微細粉砕特性が、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPが添加されていない調製物に比較して、一般に、より少ない通過回数で又はより短いミリング時間で達成され得ることからエネルギーの消費及び時間が減少され得ることである。
【0018】
本発明は、したがって、
a)本明細書又は特許請求の範囲に記載されている少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーP、
b)少なくとも1種の界面活性物質、
c)水に対して難溶性の少なくとも1種の有機活性化合物、及び
d)適切な場合は水
を含む製剤に関する。
【0019】
本発明は、また、特に、
a)本明細書又は特許請求の範囲に記載されている少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーP、
b)少なくとも1種の界面活性物質、
c)水に対して難溶性の少なくとも1種の有機活性化合物、及び
d)水
を含む活性化合物水性組成物に関する。
【0020】
用語「水に対して難溶性の有機活性化合物」とは、23℃の水中で、一般には10g/l未満の、多くの場合2g/l未満の、好ましくは1g/l未満の、特には0.1g/l未満の溶解度を呈する有機化合物又は異なる有機化合物の混合物を意味すると理解する。本発明の意味内での活性化合物は、一般には少施用量でも、生物中に効果又は反応を選択的に生じさせる化学的に確定される物質である。本発明の意味内での活性化合物は、特には、確定された分子組成(経験式)と、典型的には2000ダルトン未満、特には1000ダルトン未満であり、さらには好ましくは100〜1000ダルトンの範囲内、特には150〜500ダルトンの範囲内にある分子量とを有する有機化合物である。
【0021】
用語「本発明による組成物」とは、非水性並びに水性の活性化合物コンセントレート及び少なくとも1種の有機活性化合物の水性施用形(例えばスプレー混合物)のいずれをも意味すると理解する。用語「コンセントレート」とは、この関連では、少なくとも1種の有機活性化合物を少なくとも1g/l、特には少なくとも10g/l、例えば10〜800g/l、多くの場合は10〜600g/l又は10〜500g/l、特には20〜400g/l含んでいる組成物のことを意味すると理解する。用語「希釈された施用形」とは、したがって、水性又は非水性の活性化合物コンセントレートを水で希釈することによって得られ、その結果、一般には10g/l未満の(例えば0.0001〜<10g/l)、多くの場合は5g/l未満の又は1g/l未満の(例えば0.0005〜<5g/l又は0.001〜<1g/l)活性化合物濃度を呈する水性組成物を意味すると理解する。
【0022】
本発明に従って用いられるポリマーは、共重合された、アクリル酸又はメタクリル酸あるいはこれらの酸の混合物(以下モノマーM1)を少なくとも10重量%、特には少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、特には少なくとも50重量%の量で含むホモ−又はコ−ポリマーPである。ホモ−又はコ−ポリマーを構成しているモノマーMの全体量を基準にしたモノマーM1の割合は、最大100重量%であり得る。この場合は、モノマーM1のホモ−又はコ−ポリマーは、もっぱらモノマーM1からなるポリマーに関わる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、上述したモノマーM1に加えて、共重合された、少なくとも1種のさらなるモノマーM2を含むコポリマーが用いられる。これらのコポリマーでは、モノマーM2の割合は、モノマーMの全体重量を基準にして、1〜90重量%、好ましくは2〜80重量%、特に好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%、特には10〜50重量%である。これらのコポリマー中の共重合されたモノマーM1の割合は、したがって、10〜99重量%、好ましくは20〜98重量%、特に好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは40〜90重量%、特には50〜90重量%の範囲内にある。
【0024】
モノマーM1及びM2の全体量は、本発明によれば、ホモ−又はコ−ポリマーPを構成しているモノエチレン性モノマーMの少なくとも70重量%、多くの場合少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%、特には100重量%を構成している。好ましくは、本発明によるホモ−及びコ−ポリマーPは、モノマーMの全体量を基準にして、5重量%未満、さらに好ましくは無しか又は0.5重量%未満の、リン酸基又はスルホン酸基を有する、共重合されたモノマーを含む。
【0025】
モノマーM1の中では、好ましいのは、メタクリル酸である。
【0026】
モノマーM2の中では、好ましいのは、少なくともある程度の、一般には、25℃で、少なくとも1g/lの、多くの場合少なくとも5g/lの、好ましくは少なくとも10g/lの、特には少なくとも20g/lの水への溶解度を呈するモノマーである。そのようなモノマーM2の例は、
・ C〜C−アルキルアクリラート及びメタクリラート、例えばメチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート及びn−ブチルアクリラート;
・ ヒドロキシアルキルアクリラート及びメタクリラート、特にヒドロキシ−C〜C−アルキルアクリラート及びメタクリラート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、3−ヒドロキシプロピルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、2−ヒドロキシプロピルメタクリラート及び3−ヒドロキシプロピルメタクリラート;
・ アクリル酸又はメタクリル酸のアミド、N−C〜C−アルキルアミド及びN,N−ジ−C〜C−アルキルアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド又はN,N−ジメチルメタクリルアミド;
・ 好ましくは1〜3個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアセタート及びビニルプロピオナート;
・ ビニルエーテル、特にビニルC〜C−アルキルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等;
・ N−ビニルラクタム、好ましくはラクタム環中に3〜5個の炭素原子を有するもの、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン及びN−ビニルカプロラクタム;
である。
【0027】
モノマーM2は、水への溶解度が低い、一般には、25℃で5g/l未満の、特には1g/l未満のより少ない量のモノマーを含んでいてもよい。このような水への溶解度が低いモノマーは、好ましくは、ポリマーPの調製には、ある程度の水への溶解度(25℃で少なくとも1g/l、多くの場合少なくとも5g/l、好ましくは少なくとも10g/l、特には少なくとも20g/l)を呈するモノマーM2との組み合わせで用いられる。水への溶解度が低いモノマーの割合は、モノマーMの全体量を基準にして、一般には、20重量%を超えないものである。水への溶解度が低いモノマーの例は、
・ C〜C20−アルキルアクリラート及びメタクリラート、例えばn−ヘキシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−デシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、2−プロピルヘプチルアクリラート、ラウリルアクリラート、ステアリルアクリラート、n−ヘキシルメタクリラート、n−オクチルメタクリラート、n−デシルメタクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート、2−プロピルヘプチルメタクリラート、ラウリルメタクリラート及びステアリルメタクリラート;
・ ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びビニルトルエン;
・ アクリル酸又はメタクリル酸のN−C〜C20−アルキルアミド及びN−C〜C10−アルキル−N−C〜C20−アルキルアミド、例えばN−ヘキシルアクリルアミド、N;
・ 好ましくは4〜20個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルラウラート及びビニルステアラート;
・ ビニルエーテル、特にビニルC〜C20−アルキルエーテル、例えばビニルヘキシルエーテル、ビニルデシルエーテル、ビニルオクタデシルエーテル等;
・ 並びに2〜20個の炭素原子を有するオレフィン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、n−ヘキセン、ジイソブテン、さらにはブテン又はイソブテンのトリマー及びテトラマー;
である。
【0028】
本発明の第1の実施形態では、モノマーM2は、水への溶解度が限られている、一般には、60g/l未満(例えば1〜60g/l)の、特には10〜60g/l(25℃で)のモノマーから選択される。そのようなものとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のN−C〜C−アルキルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸のN,N−ジ−C〜C−アルキルアミド、脂肪族C〜C−カルボン酸のビニルエステル、C〜C−アルキルビニルエーテル並びにC〜C−アルキルアクリラート及びC〜C−アルキルメタクリラートが挙げられ、C〜C−アルキルアクリラート及びC〜C−アルキルメタクリラートが好ましい。モノマーM2は、特に好ましくは、メチルアクリラート及びメチルメタクリラート並びにこれらの混合物から選択され、これらの混合物には水への溶解度が低いモノマーが最大で20重量%である。
【0029】
もう1つの(第2の)実施形態では、モノマーM2は、水に多く又は完全に溶解する、一般には、少なくとも60g/l、特には少なくとも80g/l(25℃で)のモノマーから選択される。そのようなものとしては、特には、上記したヒドロキシアルキルアクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート及びN−ビニルラクタムが挙げられる。
【0030】
第3の実施形態では、ポリマーPは、もっぱら、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの酸の混合物から生成される。
【0031】
第4の実施形態では、ポリマーPは、モノマーM1としてメタクリル酸、及びモノマーM2としてメチルアクリラート、メチルメタクリラート又はこれらの混合物を含んでいるモノマーMから生成される。特には、ポリマーPは、もっぱら、メタクリル酸と、メチルアクリラート、メチルメタクリラート又はこれらの混合物とから生成される。好ましくは、この実施形態のポリマーP中のモノマーM1対モノマーM2の重量比は、50:1〜1:5、好ましくは20:1〜1:1、特には10:1〜2:1の範囲内にある。
【0032】
本発明によれば、好ましいホモ−又はコ−ポリマーPは、重量平均分子量が500〜200,000ダルトン、特には1000〜70,000ダルトン、特に好ましくは2000〜30,000ダルトンの範囲内にあるホモ−又はコ−ポリマーPである。分子量は、それ自体公知の方法に従ってそれ自体公知の光散乱又はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる方法で測定され得る。1つの間接的な分子量の測定が、Fikentscher(H. Fikentscher, Cellulose-Chemie [Cellulose Chemistry], Volume 13, pages 58-64 and 71-74 (1932))による「K値」である。ホモ−又はコ−ポリマーPの0.1M塩化ナトリウム水溶液又は0.1M塩化ナトリウム水溶液とメタノールとの混合物中0.1重量%溶液として測定されるK値は、一般には、5〜100の範囲、多くの場合は7〜80の範囲、好ましくは10〜50の範囲、特には12〜40の範囲内にある。
【0033】
活性化合物の安定化には、ホモ−及びコ−ポリマーPは、好ましくは、酸性形態又は特には部分的に中和された形態で用いられる。好ましくは、ホモ−及びコ−ポリマーPの中和度、すなわち、共重合されたアクリル酸又はメタクリル酸からもたらされるカルボキシル基の中和されている割合は、90%未満、特には80%未満、好ましくは70%未満、特には50%未満にする。特に、中和度は、0〜70%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜30%とし、例えば、1〜70%、好ましくは1〜50%、特には1〜30%とし、なかでも0〜30%(例えば1〜29%)とする。中和には、カルボキシル基を中和するのに適しているあらゆる塩基が原理的には用いられ得る。適する塩基の例は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水素炭酸塩、アンモニア及び有機アミンである。好ましい塩基は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩であり、特には水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。加えて、ホモ−及びコ−ポリマーPの調製では、中和された又は部分的に中和されたアクリル酸又はメタクリル酸から出発することも可能である。
【0034】
ホモ−及びコ−ポリマーPは、モノマーMのラジカル重合による通常の方法に従って調製され得る。重合は、フリーラジカル重合により又は制御されたラジカル重合法により行われ得る。重合は、1種以上の開始剤を用いて、溶液重合として、乳化重合として、懸濁重合として、沈殿重合として、あるいはバルク重合として行われ得る。重合は、バッチ式、半連続式又は連続式で行われ得る。
【0035】
反応時間は、一般には、1〜12時間の範囲内にある。反応が行われ得る温度範囲は、一般には、20〜200℃、好ましくは40〜120℃の範囲にある。重合の圧力はあまり重要でなく、標準圧力又は若干負の圧力(例えば>800mbar)の範囲内、又は正の圧力下(例えば最大10bar)で行われ得、より高い圧力又はより低い圧力を同様に用いることも可能である。
【0036】
このラジカル重合の開始剤としては、通常のラジカル形成性物質が用いられる。好ましくは、アゾ化合物の群、ペルオキシド化合物の群、及びヒドロペルオキシド化合物の群から開始剤を選択する。ペルオキシド化合物としては、例えば、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシイソブチラート又はカプロイルペルオキシドが挙げられる。過酸化水素の他に、ヒドロペルオキシドとしては、有機ペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド等も挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又は2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)が挙げられる。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が特に好ましい。開始剤は、通常、モノマーMの量を基準にして、0.02〜5重量%、特には0.05〜3重量%の量で用いられ、もっと多くの量、例えば過酸化水素のケースでは最大30重量%を用いることも可能である。開始剤の最適量は当然用いる開始剤によって左右されるものであり、ルーチン実験で当業者によって決定され得るものである。
【0037】
反応容器には開始剤は部分的に又は全体的に導入され得る。好ましくは、開始剤の大半、特には開始剤の少なくとも80%(例えば80〜100%)は、重合反応器に重合の最中に加えられる。
【0038】
ホモ−及びコ−ポリマーPの分子量は、自ずと明らかなように、少量の調節剤、例えば、重合するモノマーMを基準にして0.01〜5重量%を加えることによって調節され得る。適する調節剤は、特には、有機チオ化合物であり、例えば、メルカプトアルコール(例えばメルカプトエタノール)、メルカプトカルボン酸(例えばチオグリコール酸又はメルカプトプロピオン酸)や、アルキルメルカプタン(例えばドデシルメルカプタン)、さらにはアリルアルコール及びアルデヒドである。
【0039】
ホモ−及びコ−ポリマーPは、特には、有機溶媒又は溶媒混合物中でのラジカル溶液重合によって調製される。有機溶媒の例は、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールのようなアルコール、二極性非プロトン性溶媒例えばN−アルキルラクタム(例えばN−メチルピロリドン(NMP)又はN−エチルピロリドン)、さらにはジメチルスルホキシド(DMSO)又は脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はN,N−ジメチルアセトアミド)や、さらにはハロゲン化されていてもよい芳香族、脂肪族及び環式脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、クロロベンゼン、トルエン又はベンゼン)、並びにこれらの混合物である。好ましい溶媒は、イソプロパノール、メタノール、トルエン、DMF、NMP、DMSO及びヘキサンである。イソプロパノールが特に好ましい。さらに、ホモ−及びコ−ポリマーPは、先に記載した溶媒及び溶媒混合物の水との混合物中でも調製され得る。そのような混合物中の水の割合は、この関連では、好ましくは、50体積%未満、特には10体積%未満である。
【0040】
適切な場合は、実際の重合には、例えば、レドックス開始剤系を添加することによる、後重合が続いてもよい。レドックス開始剤系は、少なくとも1種の一般には無機の還元剤と少なくとも1種の無機又は有機酸化剤とから構成されている。酸化性成分は、例えば、既に先に記載したペルオキシド化合物である。還元性成分は、例えば、亜硫酸のアルカリ金属塩(例えば、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウム等)、二亜硫酸のアルカリ金属塩(例えば二亜硫酸ナトリウム)、脂肪族アルデヒド及びケトンの重亜硫酸塩付加化合物(例えばアセトン重亜硫酸塩)、あるいは還元剤(例えばヒドロキシメタンスルフィン酸及びその塩)、又はアスコルビン酸である。レドックス開始剤系は可溶性金属化合物との組み合わせで用いてもよく、その金属成分はいくつかの原子価状態で存在することができるものである。通常のレドックス開始剤系は、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ナトリウムペルオキソジスルファート、tert−ブチルヒドロペルオキシド/ナトリウムジスルフィット、tert−ブチルヒドロペルオキシド/ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナートである。個々の成分(例えば還元性成分)は、混合物(例えば、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩とナトリウムジスルフィットとの混合物)であってもよい。
【0041】
本発明に従って適用可能なホモ−及びコ−ポリマーPは、安定化されることになる活性化合物を基準にして、一般には少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、特には少なくとも10重量%の量で用いられる。好ましくは、ホモ−及びコ−ポリマーPは、活性化合物を基準にして、5〜2000重量%、多くの場合10〜1000重量%、好ましくは10〜500重量%又は10〜100重量%の量で用いられ、特には10〜60重量%の量で用いられる。活性化合物水性製剤中では、ホモ−又はコ−ポリマーPの濃度は、水性組成物の全体重量を基準にして、典型的には0.01〜15重量%の範囲内、好ましくは0.1〜10重量%の範囲内、特には0.5〜6重量%の範囲内にある。
【0042】
希釈することによって得られ得る活性化合物水性調製物中には、ホモ−又はコ−ポリマーPは、活性化合物の1重量部を基準にして、一般には0.05〜20重量部の量、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いられる。一般には、水で希釈することによって得られ得る活性化合物調製物は、活性化合物調製物の全体重量を基準にして、0.01〜5重量%の量で、特には0.1〜3重量%の量でポリマーPを含んでいる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、ホモ−及びコ−ポリマーPは、少なくとも1種の界面活性物質と一緒に適用される。そのような界面活性物質としては、通常の界面活性物質(例えば非イオン性及び陰イオン性乳化剤さらには保護コロイド)及びさらには可溶化ポリマー(例えば、水性相中の活性化合物を安定化させるために用いられる、公知の、可溶化ポリマー)が挙げられる。乳化剤/界面活性剤並びに保護コロイドは、例えば、H. Mollet et al, Formulation Technology, pp. 27-24 and pp. 65-73, Wiley-VCH, Weinheim 2001、及びR. Heusch, Emulsions in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. on CD-Rom, Wiley-VCH 1998から、当業者には公知である。
【0044】
通常の界面活性物質の例は以下に記載されている非イオン性、陰イオン性、陽イオン性もしくは両イオン性の乳化剤、湿潤剤又は分散剤であり、例えば
【0045】
群b1)〜b16)の非イオン性物質:
【0046】
b1)脂肪族C〜C30−アルコール[これは、任意の配列で、例えば、1〜60個のアルキレンオキシド(好ましくは1〜60個のEO及び/又は1〜30個のPO及び/又は1〜15個のBO)単位でアルコキシル化されていてもよい。この関連で、EOはエチレンオキシドから誘導される繰り返し単位であり、POはプロピレンオキシドから誘導される繰り返し単位であり、BOはブチレンオキシドから誘導される繰り返し単位である。これらの化合物の末端ヒドロキシル基は、1〜24(特には1〜4)個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアシルラジカルによって閉鎖された末端基であってよい]。このような化合物の例は、Clariant社から販売されているGenapol(登録商標)C、L、O、T、UD、UDD及びX製品、BASF SE社から販売されているPlurafac(登録商標)及びLutensol(登録商標)A、AT、ON及びTO製品、Condea社から販売されているMarlipal(登録商標)24及び013製品、Henkel社から販売されているDehypon(登録商標)製品、Akzo−Nobel社から販売されているEthylan(登録商標)製品(例えばEthylan CD 120);
【0047】
b2)EO、PO及び/又はBO単位から構成されるコポリマー(特にはEO/POブロックコポリマー)、例えば、BASF SE社から販売されているPluronic(登録商標)製品及びUniquema社から販売されているSynperonic(登録商標)製品(分子量が、一般には400〜10ダルトン(数平均)、好ましくは1000〜100,000ダルトン、特には1500〜80,000ダルトンの範囲内にあるもの)、並びにC〜C−アルコールのアルキレンオキシド付加物、例えば、Uniquema社から販売されているAtlox(登録商標)5000又はClariant社から販売されているHoe(登録商標)S3510(分子量が、一般には400〜10ダルトン(数平均)、特には1000〜100,000ダルトン、特には1500〜80,000ダルトンの範囲内にあるもの);
【0048】
b3)脂肪酸及びトリグリセリドアルコキシラート、例えばCondea社から販売されているSerdox(登録商標)NOG製品、並びにアルコキシル化植物油(例えばダイズ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、綿実油、アマニ油、ココナッツ油、ヤシ油、アザミ油、クルミ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマシ油、特にはナタネ油)、例えばClariant社から販売されているEmulsogen(登録商標)製品;
【0049】
b4)脂肪酸アミドアルコキシラート、例えばHenkel社から販売されているComperlan(登録商標)製品又はRhodia社から販売されているAmam(登録商標)製品;
【0050】
b5)アルキンジオールのアルキレンオキシド付加物、例えばAir製品社から販売されているSurfynol(登録商標)製品。糖誘導体、例えばClariant社から販売されているアミノ−及びアミド−糖。Clariant社から販売されているGlucitols、Henkel社から販売されているAPG(登録商標)製品の形態にあるアルキルポリグリコシドあるいは例えばUniquema社から販売されているSpan(登録商標)又はTween(登録商標)製品の形態にあるソルビタンエステル又はWacker社から販売されているシクロデキストリンエステルもしくはエーテル;
【0051】
b6)界面活性セルロース並びにアルギン、ペクチン及びグア誘導体、例えばClariant社から販売されているTylose(登録商標)製品、Kelco社から販売されているManutex(登録商標)製品及びCesalpina社から販売されているグア誘導体;
【0052】
b7)ポリオール系アルキレンオキシド付加物、例えばClariant社から販売されているPolyglykol(登録商標)製品;
【0053】
b8)Clariant社から販売されている界面活性ポリグリセリド及びその誘導体;
【0054】
b9)糖型界面活性剤、例えば、アルコキシル化ソルビタン脂肪酸 エステル、アルキルポリグリコシド及びそのアルコキシル化誘導体;
【0055】
b10)脂肪アミンのアルキレンオキシド付加物;
【0056】
b11)シリコーン又はシラン系界面活性化合物、例えばGoldschmidt社から販売されているTegopren(登録商標)製品及びWacker社から販売されているSE(登録商標)製品、並びにRhodia(Dow Corning、Reliance、GE、Bayer)社から販売されているBevaloid(登録商標)、Rhodorsil(登録商標)及びSilcolapse(登録商標)製品;
【0057】
b12)ペル−又はポリ−フッ素化界面活性化合物、例えばClariant社から販売されているFluowet(登録商標)製品、Bayer社から販売されているBayowet(登録商標)製品、DuPont社から販売されているZonyl(登録商標)製品並びにDaikin社及びAsahi Glass社から販売されているこの種の製品;
【0058】
b13)界面活性スルホンアミド、例えばBayer社から販売されているもの;
【0059】
b14)中性界面活性ポリビニル化合物、例えば変性ポリビニルピロリドン、例えばBASF社から販売されているLuviskol(登録商標)製品及びISP社から販売されているAgrimer(登録商標)製品、あるいは誘導体化されたポリ(ビニルアセタート)、例えばClariant社から販売されているMowilith(登録商標)製品、又はポリ(ビニルブチラート)、例えばBASF社から販売されているLutonal(登録商標)製品、Wacker社から販売されているVinnapas(登録商標)及びPioloform(登録商標)製品、又は変性ポリ(ビニルアルコール)、例えばClariant社から販売されているMowiol(登録商標)製品、さらにはモンタン、ポリエチレン及びポリプロピレンワックスの界面活性型誘導体、例えばClariant社から販売されているHoechst(登録商標)ワックス又はLicowet(登録商標)製品;
【0060】
b15)ポリ−又はペル−ハロゲン化ホスホナート及びホスフィナート、例えばClariant社から販売されているFluowet(登録商標)PL;
【0061】
b16)ポリ−又はペル−ハロゲン化中性界面活性剤、例えば、Clariant社から販売されているEmulsogen(登録商標)1557等;
【0062】
b17)(ポリ)アルコキシル化(特にはポリエトキシル化)芳香族化合物、例えば(ポリ)アルコキシル化フェノール[=フェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えば、(ポリ)アルキレンオキシ部分に1〜50個のアルキレンオキシ単位を有し、アルキレン部分が好ましくは各部分で2〜4個の炭素原子を有しているもの、好ましくは3〜10モルのアルキレンオキシドと反応させたフェノール)、(ポリ)アルキルフェノールアルコキシラート[=ポリアルキルフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えばアルキルラジカル当たり1〜12個の炭素原子を有し、ポリアルキレンオキシ部分に1〜150個のアルキレンオキシ単位を有しているもの、好ましくは1〜50モルのエチレンオキシドと反応させたトリ(n−ブチル)フェノール又はトリイソブチルフェノール)、ポリアリールフェノール又はポリアリールフェノールアルコキシラート[=ポリアリールフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えば、ポリアルキレンオキシ部分に1〜150個のアルキレンオキシ単位を有するトリスチリルフェノールポリアルキレングリコールエーテル、好ましくは1〜50モルのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール、さらにはそのホルムアルデヒドとの縮合物・・・これらの中で好ましいのは、4〜10モルのエチレンオキシドと反応させたアルキルフェノール(例えば、Agrisol(登録商標)製品(Akcros社)の形態で購買可能なもの)、4〜50モルのエチレンオキシドと反応させたトリイソブチルフェノール(例えば、Sapogenat(登録商標)T製品(Clariant社)の形態で購買可能なもの)、4〜50モルのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノール(例えば、Arkopal(登録商標)製品(Clariant社)の形態で購買可能なもの)、又は4〜150モルのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール(例えば、Soprophor(登録商標)シリーズからのもの、例えばSoprophor(登録商標)FL、Soprophor(登録商標)3D33、Soprophor(登録商標)BSU、Soprophor(登録商標)4D−384、Soprophor(登録商標)CY/8(Rhodia社));
【0063】
群b18〜b24の陰イオン性物質:
【0064】
b18)b1)に記載されている物質のエーテルカルボキシラート、スルホナート、スルファート(=硫酸ヘミエステル)及びホスファート(リン酸モノ−又はジ−エステル)の形態にあるb1)記載製品の陰イオン誘導体並びにその無機塩(例えば、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩)及び有機塩(例えば、アミン系又はアルカノールアミン系)、例えばClariant社から販売されているGenapol(登録商標)LRO、Sandopan(登録商標)製品、Hostaphat/Hordaphos(登録商標)製品;
【0065】
b19)b17)に記載されている物質のエーテルカルボキシラート、スルホナート、スルファート(=硫酸ヘミエステル)及びホスファート(リン酸モノ−又はジ−エステル)の形態にあるb17)記載製品の陰イオン誘導体、例えば2〜10モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC〜C16−アルキルフェノールの酸性リン酸エステル(例えば3モルもしくは9モルのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノールの酸性リン酸エステル)及び20モルのエチレンオキシドと1モルのトリスチリルフェノールとの反応生成物の、トリエタノールアミンで中和された、リン酸エステル;
【0066】
b20)ベンゼンスルホナート、例えばアルキル−又はアリール−ベンゼンスルホナート、例えば酸性であり、適切な塩基で中和されている(ポリ)アルキル−及び(ポリ)アリール−ベンゼンスルホナート、例えば1アルキルラジカル当たり1〜12個の炭素原子を有しているものあるいはポリアリールラジカル中に3個のスチレン単位を有しているもの、好ましくは(線状)ドデシルベンゼンスルホン酸及びその油溶性の塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩又はイソプロピルアンモニウム塩等)並びに酸性(線状)ドデシルベンゼンスルホナート(例えば、Marlon(登録商標)製品(Huls社)の形態で購買可能なもの);
【0067】
b21)リグノスルホナート、例えばナトリウム、カルシウム又はアンモニウムリグノスルホナート(例えばUfoxane(登録商標)3A、Borresperse AM(登録商標)320又はBorresperse(登録商標)NA);
【0068】
b22)アリールスルホン酸(例えばフェノールスルホン酸又はナフタレンスルホン酸)とホルムアルデヒド及び適切であれば尿素(特にはその塩、特にアルカリ金属塩及びカルシウム塩)との縮合生成物(例えば、BASF SE社からTamol(登録商標)及びWettol(登録商標)という商品名で販売されている商品(例えばWettol(登録商標)D1));
【0069】
b23)脂肪族、環式脂肪族及びオレフィンカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、並びにα−スルホ脂肪酸エステル(例えばHenkel社から購買可能なもの);
【0070】
b24)アルカンスルホナート、パラフィンスルホナート及びオレフィンスルホナート、例えばClariant社から販売されているNetzer IS(登録商標)、Hoe(登録商標)S1728、Hostapur(登録商標)OS、Hostapur(登録商標)SAS;
【0071】
さらには群b25)及びb26)の陽イオン及び両イオン性生成物:
【0072】
b25)8〜22個の炭素原子を有する(C〜C22)四級アンモニウム化合物(例えば、Clariant社から販売されているGenamin(登録商標)C、L、O及びT製品等);
【0073】
b26)界面活性、両性イオン化合物(例えば、Goldschmidt社から販売されているTegotain(登録商標)製品、Clariant社から販売されているHostapon(登録商標)T及びArkopon(登録商標)T製品の形態にあるタウリド、ベタイン及びスルホベタイン);
である。
【0074】
アルキレンオキシ単位又はアルキレンエーテル単位の中では、好ましいのは、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及びブチレンオキシ単位、特にはエチレンオキシ単位、及びエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物である。用語「アルコキシル化」とは、界面活性物質が、ポリアルキレンエーテル基、好ましくはポリ−C〜C−アルキレンエーテル基、特にはポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有していることを意味する。群b1)、b3)、b4)、b5)、b7)、b9)、b10)、b11)、b17)、b18)及びb19)の物質のポリアルキレンオキシ単位又はポリアルキレンエーテル基中にあるアルキレンオキシ単位の数は、典型的には、2〜150、好ましくは2〜100、特には3〜60(数平均)の範囲内にある。
【0075】
好ましい通常の非イオン性界面活性物質は、b1)に記載されている物質(特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化C〜C24−アルカノール)、群b2)に記載されている物質(特にEO/POブロックコポリマー)、群b3)に記載されている物質(特にアルコキシル化植物油)、群b4)に記載されている物質、群b9)に記載されている物質、b10)に記載されている物質、及び群b17)に記載されている物質であり、特にはエトキシル化及び/又はプロポキシル化アルキルフェノールである。
【0076】
好ましい通常の陰イオン性界面活性物質は、b18)、b19)、b22)及びb23)に記載されている物質であり、特にはb22)及びb23)に記載されている物質である。
【0077】
本発明が意味するところの可溶化ポリマーとは、水性相中での活性化合物のきわめて細かい分散(すなわちナノ分散)をもたらすポリマーのことであり、その結果、活性化合物粒子の見かけ粒子サイズは、明らかに1000nm以下、典型的には500nm未満、多くの場合400nm未満、特には300nm未満、特に好ましくは250nm未満、きわめて特に好ましくは200nm未満であり、例えば、5〜400nmの範囲、多くの場合10〜300nmの範囲、好ましくは10〜250nmの範囲、特には20〜200nmの範囲にある。可溶化ポリマーのタイプ及び活性化合物のタイプあるいは化合物効果のタイプによって並びに濃度比に応じて、凝集体は、検出可能な個別の粒子の形態(粒子サイズ<20nm、<10nm又は<5nm)ではもはや存在しないほどに小さくもなり得る。ここで言う粒子サイズは、光散乱によって測定され得るもののような、体積平均粒子サイズである。これの方法は、当業者にはよく知られており、例えば、H. Wiese in D. Distler, Wassrige Polymerdispersionen [Aqueous Polymer Dispersions], Wiley-VCH 1999, chapter 4.2.1, pp. 40ff、並びにそこに引用されている文献、さらにはH. Auweter and D. Horn, J. Colloid Interf. Sci., 105 (1985), 399、D. Lilge and D. Horn, Colloid Polym. Sci., 269 (1991), 704、あるいはH. Wiese and D. Horn, J. Chem. Phys., 94 (1991), 6429にも記載されている。
【0078】
本発明の好ましい実施形態によれば、安定化されることになる活性化合物の水性組成物は、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している少なくとも1種の界面活性物質を含んでいる。そのようなものとしては、特に、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している非イオン性乳化剤並びに1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している可溶化ポリマーが挙げられる。群b1)、b3)、b4)、b5)、b7)、b9)、b10)、b11)、b17)、b18)及びb19)の物質のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基中にあるC〜C−アルキレンオキシ単位の数は、典型的には、2〜150の範囲、好ましくは2〜100、特には3〜60(数平均)の範囲にある。これらの中では、好ましいのは、ポリ−C〜C−アルキレンエーテル基のアルキレンオキシ単位が、1,2−エチレンオキシ単位及び1,2−プロピレンオキシ単位並びにこれらの混合物から選択される物質である。
【0079】
適する可溶化ポリマーは、特には、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基、及びモノエチレン性不飽和モノマーから生成される少なくとも1つのポリマー鎖を有しているブロックコポリマーである。各ブロックは互いに直接(すなわち化学結合を介して)連結されていてもよいし、あるいは互いにスペーサーを介して(すなわち多価有機ラジカルを介して)連結されていてもよい。多価とは、この関連では、有機ラジカルが、平均で、少なくとも1.5(特には少なくとも2つ)の結合位置(例えば1.5〜6又は2〜4の結合位置)を有していることを意味する。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、ブロックコポリマーは、少なくとも1個のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基が、ウレタン基を有しているスペーサーを介して、モノエチレン性不飽和モノマーから生成される少なくとも1つのポリマー鎖に連結されているブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマーは、例えば、国際公開第2005/121201号パンフレット及び国際公開第2006/084680号パンフレットから公知であり、ここにおいてこれらの開示内容に参照がなされる。
【0081】
ブロックコポリマー中、モノエチレン性不飽和モノマーから生成されるポリマー鎖(以下ポリマー鎖P1)は、典型的には、500〜20,000ダルトンの範囲、特には1500〜15 000ダルトンの範囲内にある数平均分子量を有している。
【0082】
ブロックコポリマー中、ポリ−C〜C−アルキレンエーテル基(以下ポリマー鎖P2)は、一般に、500〜20,000ダルトンの範囲、特には800〜15 000ダルトンの範囲内にある、標準法に従ってGPCにより測定される数平均分子量を有している。
【0083】
ブロックコポリマー中のポリマー鎖P1の全体としての割合は、ポリマー鎖P1、ポリマー鎖P2及び適切であればスペーサーの全体重量の好ましくは9〜90重量%(特には20〜68重量%)である。
【0084】
ブロックコポリマー中のポリマー鎖P2の全体としての割合は、ポリマー鎖P1、ポリマー鎖P2及び適切であればスペーサーの全体重量の好ましくは9〜90重量%(特には30〜78重量%)である。
【0085】
ブロックコポリマー中のスペーサーの全体としての割合は、ブロックコポリマーの全体重量を基準にして、一般には、20重量%を超えないものであり、また、スペーサーが存在する場合は、多くの場合、ポリマー鎖P1、ポリマー鎖P2及びスペーサーの全体重量の1〜20重量%(好ましくは2〜15重量%)である。
【0086】
ブロックコポリマー中のポリマー鎖P1対ポリ−C〜C−アルキレンエーテル基P2の重量比は、好ましくは、1:10〜10:1の範囲内(特には1:5〜5:1の範囲内)にある。
【0087】
モノエチレン性不飽和モノマーから生成されるポリマー鎖P1の構成成分モノマー(以下モノマーM’)として適するのは、特には、一般には25℃で60g/l未満の水への溶解度が限られている中性モノエチレン性不飽和モノマーMa(疎水性モノマー)、及び水への溶解度が高いモノマーMbである。
【0088】
モノマーM’は、好ましくは、
・ 20〜100重量%,又は20〜99重量%、好ましくは50〜100重量%又は50〜95重量%、の少なくとも1種のモノマーMa、
及び
・ 0〜80重量%,又は1〜80重量%、好ましくは0〜50重量%又は5〜50重量%、の1種以上のモノマーMb、
を含む(重量%での数値はモノマーM’の全体量を基準にしている)。
【0089】
モノマーMaの例は、
i)モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸とC〜C20−アルカノール、C〜C10−シクロアルカノール、フェニル−C〜C−アルカノール又はフェノキシ−C〜C−アルカノールとのエステル、特には上記したアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、アクリル酸又はメタクリル酸とC〜C20−アルカノールとのエステル(C〜C20−アルキルアクリラート又はC〜C20−アルキルメタクリラート)[例えば、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、3−プロピルヘプチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、tert−ブチルメタクリラート、n−ヘキシルメタクリラート、ラウリルアクリラート、ラウリルメタクリラート、イソトリデシルアクリラート、イソトリデシルメタクリラート、ステアリルアクリラート及びステアリルメタクリラート、が特に好ましい。アクリル酸又はメタクリル酸と2−フェノキシエタノールとのエステル(例えば2−フェノキシエチルアクリラート)も同様に好ましい。]、
ii)モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸の、特にはアクリル酸、メタクリル酸のN−(C〜C10−アルキル)アミド、並びにモノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸の、特にはアクリル酸、メタクリル酸の、N−(C〜C−アルキル)−N−(C〜C10−アルキル)アミド、例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチル−N−プロピルアクリルアミド、N−(n−ヘキシル)アクリルアミド、N−(n−オクチル)アクリルアミド及び対応するメタクリルアミド、
iii)ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等、
iv)2〜20個の炭素原子を有するオレフィン、好ましくは3〜10個の炭素原子を有するα−オレフィン、例えばプロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ジイソブテン及び1−デセン、
v)脂肪族カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルラウラート、ビニルノナノアート、ビニルデカノアート、ビニルラウラート及びビニルステアラート、
vi)ハロゲン化オレフィン、例えば塩化ビニル、
vii)好ましくは4〜8個の炭素原子を有するエチレン性不飽和ジカルボン酸のジ−C〜C20−アルキルエステル、例えば、フマル酸、マレイン酸のジ−C〜C20−アルキルエステル、例えばジメチルフマラート、ジメチルマレアート、ジブチルフマラート及びジブチルマレアート、
viii)好ましくは3〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、例えばグリシジルアクリラート及びグリシジルメタクリラート、
である。
【0090】
モノマーMaの中では、好ましいのは、群i)、ii)及びiii)のモノマーである。
【0091】
特には、モノマーMaは、モノマーMaの全体量を基準にして、少なくとも50重量%、特には少なくとも70重量%の、C〜C−アルキルアクリラート、C〜C−アルキルメタクリラート及びスチレン(さらには特に好ましくはこれらの中でもメチルメタクリラート、tert−ブチルメタクリラート、スチレン及びこれらの混合物)から選択される少なくとも1種のモノマーを含む。
【0092】
〜C−アルキルアクリラート、C〜C−アルキルメタクリラート及びスチレンから選択される少なくとも1種の1つ目のモノマーMaを、モノマーMaの全体量を基準にして、好ましくは少なくとも60重量%(特に好ましくは70重量%)(例えば60〜99重量%又は70〜99重量%)と、さらにはこれとは異なる少なくとも1種のモノマーMa(例えば、C〜C20−アルキルアクリラート又はC〜C20−アルキルメタクリラート及び/又は群iii)のモノマー)とを主として含む、上記したモノマーMaの混合物も好ましいモノマーMaである。
【0093】
モノエチレン性不飽和モノマーMbは、塩基性つまり陽イオン性、酸性つまり陰イオン性、又は非イオン性(すなわち電気的に中性)であってよい。
【0094】
中性モノマーMbとしては、例えば、
・ アミド、及びモノエチレン性不飽和C〜C−モノカルボン酸のC〜C−アルキルオキシアルキルアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、
N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド等;
・ モノエチレン性不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリル;
・ 脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族カルボン酸のN−ビニルアミド、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のN−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド及びN−ビニルブチルアミド;
・ 5〜7個の環原子を有するN−ビニルラクタム、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルモルホリノン及びN−ビニルカプロラクタム;
・ 尿素基を有するモノエチレン性不飽和モノマー、例えばN−ビニル−及びN−アリル−尿素並びにイミダゾリジン−2−オンの誘導体、例えば、
N−ビニル−及びN−アリル−イミダゾリジン−2−オン、
N−ビニルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、
N−アリルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、
N−(2−アクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、
N−(2−アクリルオイルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン、
N−(2−メタクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、
N−(2−メタクリルオイルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン(=ウレイドメタクリラート)、
N−[2−(アクリルオイルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、
N−[2−(2−アクリルオイルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、
N−[2−(2−メタクリルオイルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン;
・ アルデヒド又はケト基を有しているモノエチレン性不飽和モノマー、例えば3−(アクリルアミド)−3−メチルブタン−2−オン(ジアセトンアクリルアミド)、
3−(メタクリルアミド)−3−メチルブタン−2−オン、2,4−ジオキソペンチルアクリラート及び
2,4−ジオキソペンチルメタクリラート;
が挙げられる。
【0095】
塩基性モノマーMbとしては、例えば、
・ ビニル−置換窒素 ヘテロ芳香族化合物、例えば2−、3−及び4−ビニルピリジン又はN−ビニルイミダゾール;及び
・ 一級、二級又は三級アミノ基を有するモノエチレン性不飽和モノマー、好ましくは式I
【化1】

【0096】
[式中、
Xは、酸素又はN−R4a 基であり;
Aは、C〜C−アルキレン(例えば、1,2−エタンジイル、1,2−もしくは1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル又は2−メチル−1,2−プロパンジイル)であり、これは、適切であれば、1、2又は3個の非隣接酸素原子によって、例えば3−オキサペンタン−1,5−ジイルにおけるように、分断されており;
1a及びR1bは、互いに独立して、水素、C〜C10−アルキル、C〜C10−シクロアルキル、フェニル又はフェニル−C〜C−アルキルであり、好ましくはそれぞれのいずれもがC〜C−アルキルであり;
2aは、水素又はC〜C−アルキル(好ましくは水素又はメチル)であり;
3aは、水素又はC〜C−アルキル(好ましくは水素)であり;
4aは、水素又はC〜C−アルキル(好ましくは水素)である]
で表されるモノマー;
が挙げられる。
【0097】
式Iのモノマーの例は、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリラート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリラート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリラート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリラート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド及び2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリルアミドであり、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリラートが特に好ましい。
【0098】
モノマーMbとしては、さらに、陰イオン性つまり酸性モノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。そのようなものの例は、
・ スルホン酸基を有しているモノエチレン性不飽和モノマー、並びにそのようなモノマーの塩(好ましくはアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩)さらにはそのようなモノマーのアンモニウム塩[そのようなものとしては、エチレン性不飽和スルホン酸、特にはビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルオイルオキシエタンスルホン酸及び2−メタクリルオイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリルオイルオキシ−及び3−メタクリルオイルオキシ−プロパンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸並びにこれらの塩が挙げられる];
・ エチレン性不飽和ホスホン酸、例えばビニルホスホン酸及びビニルホスホン酸ジメチルエステル並びにこれらの塩;及び
・ 1又は2個のカルボキシル基を有しているモノエチレン性不飽和モノマー、例えば、α,β−エチレン性不飽和 C〜C−モノカルボン酸及びC〜C−ジカルボン酸、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸;
である。
【0099】
好ましい酸モノマーMbは、上記した1又は2個のカルボキシル基を有するモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0100】
ポリマーP2は、線状又は分枝状ポリ−C〜C−アルキレンエーテル、つまり、式II
【化2】

【0101】
[式中、Aは、C〜C−アルキレン基(例えばエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,2−ジイル又はブタン−1,3−ジイル)である]で表される繰り返し単位から実質的に(すなわちポリマーP2の重量を基準にして少なくとも90重量%までが)生成されるポリマーである。ポリマーP2の中では、好ましいのは、少なくとも50重量%までが、有利には少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特には少なくとも90重量%までが、エチレンオキシド単位から、すなわち、Aが1,2−エタンジイルである式IIで表される基から生成されるポリマーである。加えて、この脂肪族ポリエーテルは、C〜C−アルキレンオキシドから誘導される構造単位を有していてもよい。
【0102】
特に好ましいポリエーテルP2は、一般式III
−X−(CHR−CH−O)−H (III)
[式中、
は、水素、C〜C20−アルキル又はベンジルであり、
Xは、酸素又はNHであり、
は、水素又はメチルであり、R基の少なくとも50mol%、特には少なくとも70mol%、好ましくは少なくとも90mol%は水素であり、
pは、整数であり、その平均値は、10〜500の範囲、好ましくは20〜250、特には25〜100(数平均)の範囲内にある]
で表されるポリエーテルである。
【0103】
適するポリエーテルP2は当業者には知られており、多くは市販されており、例えばPluriol(登録商標)及びPluronic(登録商標)の商品名(BASF−Aktiengesellschaft社からのポリエーテル)で市販されている。
【0104】
ブロックコポリマー中では、ポリエーテル鎖P1及びP2は互いに直接(すなわち化学結合を介して)連結されていてもよいし、あるいは互いにスペーサーを介して連結されていてもよいが、後者が、好ましい。ポリマー鎖P1及びP2は、したがって、一般には、官能性基を介する(例えば、エステル、アミド、尿素、チオ尿素又はウレタン基を介する)スペーサーで互いに連結される。
【0105】
スペーサーとして適するのは、一般には2〜20個の炭素原子を有する好ましくは多価の脂肪族、環式脂肪族、芳香族又は芳香族脂肪族炭化水素ラジカルであり、これらは、上記した官能性基を介してポリマー鎖P1及びP2に連結されている。一般には、スペーサーは、ブロックコポリマーが、平均で、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2(例えば、1.5〜6、好ましくは2〜4)のポリマー鎖P1又はP2を有しているように、平均で、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2(例えば、1.5〜6、好ましくは2〜4)の原子価を有している。
【0106】
ブロックコポリマーの好ましい実施形態によれば、ポリマー鎖P1及びP2は、それぞれ、ウレタン基又は尿素基を介してスペーサーに連結されている。そのようなブロックコポリマーは、OH−又はNH−官能化ポリマーP1及びP2を、少なくとも1.5の、好ましくは1.5〜6の、特には2〜4の、イソシアナート基に関しての官能を好ましくは有しているポリイソシアナート化合物Vと順次に又は同時に反応させることによって得られ得る。適するポリイソシアナート化合物Vの例は、脂肪族、シクロ脂肪族及び芳香族ジ−及びポリ−イソシアナート並びに脂肪族、シクロ脂肪族及び芳香族ジイソシアナートのイソシアヌラート、アロファナート、ウレトジオン及びビウレットである。
【0107】
好ましくは、化合物Vは、平均で、1分子当たり2〜4個のイソシアナート基を有しているものである。適する化合物Vの例は、例えばトルエン2,4−ジイソシアナート、トルエン2,6−ジイソシアナート、市販トルエン2,4−及び2,6−ジイソシアナート(TDI)の混合物、m−フェニレンジイソシアナート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、クメン2,4−ジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアナート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアナート、4−エトキシ−1,3−フェニレンジイソシアナート、2,4−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアナート、5,6−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアナート、2,4−ジイソシアナトジフェニルエーテルのような芳香族ジイソシアナート、例えばエチレンジイソシアナート、エチリデンジイソシアナート、プロピレン1,2−ジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート又は1,10−デカメチレンジイソシアナートのような脂肪族ジイソシアナート、例えばイソホロンジイソシアナート(IPDI)、シクロヘキシレン1,2−ジイソシアナート、シクロヘキシレン1,4−ジイソシアナート及びビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンのようなシクロ脂肪族ジイソシアナートである。これらのジイソシアナートの中では、好ましいのは、反応性が異なるイソシアナート基を有しているジイソシアナート、例えばトルエン2,4−ジイソシアナート、IPDI、これらの混合物並びにcis−及びtrans−イソホロンジイソシアナートである。
【0108】
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、ブロックコポリマーの調製には、脂肪族又はシクロ脂肪族ジイソシアナート化合物のビウレット又はイソシアヌラート、例えばテトラメチレンジイソシアナートの又はヘキサメチレンジイソシアナートのシアヌラートが用いられる。
【0109】
さらなる詳細については国際公開第2005/121201号パンフレット及び国際公開第2006/084680号パンフレットを参照されたい。
【0110】
安定化されることになる組成物は、ブロックコポリマーに代えて又はブロックコポリマーと一緒に、さらに、通常の界面活性物質も含み得る。特に適しているのは、陰イオン性界面活性物質、例えば、群b18)〜b24)からの、特には群b18)、b19)、b22)及びb23)からの、陰イオン性界面活性物質及び非イオン性乳化剤(特には少なくとも1個のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している非イオン性乳化剤)及び陰イオン性乳化剤、特には群b1)、b2)、b4)、b9)、b10)及びb17)からの非イオン性乳化剤及び群b3)からのコポリマーである。
【0111】
保護コロイド及び本明細書で定義した可溶化ブロックコポリマーのような高分子界面活性物質とは対照的に、乳化剤は、典型的には、2000ダルトン未満の(特には1000ダルトン未満の)分子量を有している。
【0112】
陰イオン性乳化剤としては、群b18)〜b24)に記載されている物質、特に上記したカルボキシラート、好ましくは脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩(例えば、ステアリン酸カリウム)(これらは、普通、石鹸とも呼ばれる);アシルグルタマート;サルコシナート(例えばナトリウムラウロイルサルコシナート);タウラート;メチルセルロセス;アルキルホスファート(特にはアルキルモノホスファート及びアルキルジホスファート);スルファート(特にはアルキルスルファート及びアルキルエーテルスルファート);スルホナート、さらにはアルキル−及びアルキルアリール−スルホナート(特にはアリールスルホン酸及びアルキル−置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、リグノ−スルホン酸及びフェノールウルホン酸等)、ナフタレン−及びジブチルナフタレン−スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩)や、ドデシルベンゼンスルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、アルキルメチルエステルスルホナート、スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレンスルホン酸、フェノール−及び/又はフェノールスルホン酸とホルムアルデヒドと又はホルムアルデヒド及び尿素との縮合生成物、又はモノアルキル又はジアルキルスルホスクシナート;並びに蛋白加水分解物及びリグニンスルフィット廃液;が挙げられる。上記したスルホン酸は、有利には、その中性の形態、又は、適切であれば、塩基性塩の形態で用いられる。
【0113】
ポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有する非イオン性界面活性剤としては、特に、
・ 群b1)からの物質、例えば脂肪アルコールC〜C−アルコキシラート及びオキソアルコールC〜C−アルコキシラート、特にはアルコキシル化度が普通2〜100(好ましくは3〜50)のエトキシラート及びエトキシラート−co−プロポキシラート、例えば、C〜C30−アルカノール又はアルケ(カジエ)ノールの(例えば、イソ−トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール又はステアリルアルコールの)アルコキシラート(特にはエトキシラート及びプロポキシラート)及びそのC〜C−アルキルエーテル及びC〜C−アルキルエステル(例えばそのアセタート);
・ 群b2)からの物質、特にはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー;
・ 群b3)からの物質、例えばアルコキシル化(特にはエトキシル化及び/又はプロポキシル化)動物及び/又は植物脂及び/又は油、例えばトウモロコシ油エトキシラート、ヒマシ油エトキシラート又は獣脂エトキシラート、
・ 群b17)からの物質、例えばアルキルフェノールC〜C−アルコキシラート、特にはアルキルフェノールエトキシラート及びアルキルフェノールエトキシラート−co−プロポキシラート、例えば、エトキシル化イソ−オクチル、オクチル−もしくはノニル−フェノール又はトリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、
・ 群b4)及びb9)からの物質、例えば脂肪アミンC〜C−アルコキシラート(特には脂肪アミンエトキシラート及び脂肪アミンエトキシラート−co−プロポキシラート)並びに脂肪酸アミドアルコキシラート及び脂肪酸ジエタノールアミドアルコキシラート(特にそのエトキシラート)、
・ 群b10)からの物質、ポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有する糖型界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化アルキルポリグリコシド及びエトキシル化N−アルキルグルコンアミド、
が挙げられる。
【0114】
本発明に従って安定化されることになる組成物は、安定化されることになる活性化合物の1重量部を基準にして、一般には0.05〜20重量部、多くの場合0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜8重量部、特には0.5〜5重量部の量で少なくとも1種の界面活性物質を含んでいる。活性化合物水性製剤中では、界面活性物質の全体濃度は、水性組成物の全体重量を基準にして、典型的には1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜45重量%の範囲、特には1〜40重量%の範囲内にある。
【0115】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従って安定化されることになる組成物は、少なくとも1種の可溶化ポリマー(好ましくは上記したブロックコポリマーのうちの1つ)と適切であればこれとは異なる1種以上の通常の界面活性物質(好ましくは非イオン性界面活性物質)とを含む。組成物中に存在している界面活性物質の全体量中の可溶化ポリマー(好ましくは上記したブロックコポリマー)の割合は、典型的には、少なくとも50重量%(好ましくは少なくとも80重量%)である。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明に従って安定化されることになる組成物は、少なくとも1種の通常の界面活性物質、好ましくはポリ−C〜C−アルキレンオキシド基を有している1種の通常の非イオン性界面活性物質、特には群b1)、b2)、b3)、b4)、b9)、b10)及びb17)に記載されている物質から、特には群b1)、b2)及びb17)に記載されている物質から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性物質と、適切であれば、1種以上の通常の陰イオン性界面活性物質、好ましくは群b18)、b22)及びb23)に記載されている物質からの少なくとも1種とを含む。組成物中に存在している界面活性物質の全体量中の少なくとも1種の非イオン性界面活性物質の割合は、典型的には、少なくとも20重量%(好ましくは少なくとも30重量%)である。通常の界面活性物質対活性化合物の重量比は、この実施形態では、典型的には、1:20〜20:1の範囲(好ましくは1:10〜10:1の範囲)内にある。
【0117】
本発明の好ましい実施形態によれば、活性化合物は、植物体防護用の活性化合物(特には殺虫性及び/又は殺菌活性化合物)である。特には、本発明に従って安定化されることになる組成物は、結晶化する傾向がある少なくとも1種の活性化合物を含んでいる。そのような組成物においては、本発明に従って用いられるホモ−及びコ−ポリマーは、明らかに活性化合物の結晶化傾向の低下をもたらす。
【0118】
本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPを用いて処方され得る殺菌活性化合物の例には、以下の有機化合物:
【0119】
ストロビルリン系
例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、メチル(2−クロロ−5−[1−(3−メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル(2−クロロ−5−[1−(6−メチルピリジン−2−イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル2−(オルト−(2,5−ジメチルフェニルオキシメチル)フェニル)−3−メトキシアクリラート;
【0120】
カルボキサミド系
・ カルボキサニリド系、例えば、ベナラキシル、ベノドアニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘキサアミド、フルトールアニル、フラメトピル、メタラキシル、オフラク、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、N−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(2−シアノフェニル)−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(cis−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(trans−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4 カルボキサミド、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフト−5−イル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド等;
・ カルボン酸モルホリド系、例えば、ジメトモルフ、フルモルフ等;
・ ベンズアミド系、例えば、フルメトベル、フルオピコリド(ピコベンズアミド)、ゾキサミド等;
・ 他のカルボキサミド系、例えば、カルプロプアミド、ジクロシメト、マンジプロプアミド、エタボキサム、ペンチオピラド、N−(2−(4−[3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イニルオキシ]−3−メトキシフェニル)エチル)−2−メタンスルホニルアミノ−3−メチルブチルアミド、N−(2−(4−[3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イニルオキシ]−3−メトキシフェニル)エチル)−2 エタンスルホニルアミノ−3−メチルブチルアミド等;
【0121】
アゾール系
・ トリアゾール系、例えば、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブトアニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、トリチコナゾール等;
・ イミダゾール系、例えば、シアゾフアミド、イマザリル、ペフラゾアート、プロクロラズ、トリフルミゾール等;
・ ベンゾイミダゾール系、例えば、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール等;
・ その他のもの、例えばエタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール;
【0122】
含窒素ヘテロシクリル化合物系、例えば、
・ ピリジン系、例えば、フルアジナム、ピリフェノキス、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン等;
・ ピリミジン系、例えば、ブピリマート、シプロジニル、フェリムゾン、フェナリモール、メパニピリム、ヌアリモール、ピリメトアニル等;
・ ピペラジン系、例えばトリホリン;
・ ピロール系、例えばフルジオキソニル、フェンピクロニル;
・ モルホリン系、例えばアルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
・ ジカルボキシミド系、例えばイプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
・ その他の系、例えばアシベンゾラル−S−メチル、アニラジン、カプタン、カプタホール、ダゾメト、ジクロメジン、フェノキサニル、ホルペト、フェンプロピジン、ファモキサドン、フェンアミドン、オクチリノン、プロベナゾール、プロキンアジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリシクラゾール、6−アリール−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン系(例えば、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン)、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピルクロメン−4−オン、N,N−ジメチル−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−スルホニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−スルホンアミド等;
【0123】
カルバマート系及びジチオカルバマート系
・ ジチオカルバマート系、例えばフェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、メタム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
・ カルバマート系、例えばジエトフェンカルブ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、メチル3−(4−クロロフェニル)−3−(2−イソプロポキシカルボニルアミノ−3−メチルブチリルアミノ)プロピオナート、4−フルオロフェニルN−(1−(1−(4−シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ−2−イル)カルバマート;
【0124】
他の殺菌剤
・ グアニジン系、例えばドジン、イミンオクタジン、グアザチン;
・ 抗生物質系、例えばカスガマイシン、ポリオキシンス、ストレプトマイシン、バリダマイシンA;
・ 有機金属化合物系、例えばフェチン塩;
・ 含イオウヘテロシクリル化合物系、例えばイソプロチオラン、ジチアノン;
・ 有機リン化合物系、例えばエジフェンホス、ホセチル、ホセチル−アルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、亜リン酸及びその塩;
・ 有機塩素化合物系、例えばチオファナート−メチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルスルフアミド、フタリド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、キントゼン;
・ ニトロフェニル誘導体系、例えばビナプアクリル、ジノカプ、ジノブトン;
・ その他のもの、例えば、スピロキサミン、シフルフェンアミド、シモキサニル、メトラフェノン等;
が含まれる。
【0125】
本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPを用いて処方され得る除草活性化合物の例には、
・ 1,3,4−チアジアゾール系、例えばブチダゾール及びシプラゾール;
・ アミド系、例えばアリドクロル、ベンゾイルプロプエチル、ブロモブチド、クロルチアミド、ジメピペラート、ジメテンアミド、ジフェンアミド、エトベンザニド、フランプロプ−メチル、ホサミン、イソキサベン、メタザクロル、モナリド、ナプタラム、プロンアミド、プロプアニル;
・ アミノリン酸系、例えばビラナホス、ブミナホス、グルホシナート−アンモニウム、グリホサート、スルホサート;
・ アミノトリアゾール系、例えばアミトロール;
・ アニリド系、例えばアニロホス、メフェンアセト;
・ アリールオキシアルカン酸系、例えば2,4−D、2,4−DB、クロムプロプ、ジクロルプロプ、ジクロルプロプ−P、フェノプロプ、フルロキシピル、ムクパ、MCPB、メコプロプ、メコプロプ−P、ナプロプアミド、ナプロアニリド、トリクロピル;
・ 安息香酸系、例えばクロランベン、ジカンバ;
・ ベンゾチアジアジノン系、例えばベンタゾン;
・ ブリーチャー系、例えばクロマゾン、ジフルフェニカン、フルオロクロリドン、フルポキサム、フルリドン、ピラゾラート、スルコトリオン;
・ カルバマート系、例えばカルベトアミド、クロルブファム、クロルプロファム、デスムジファム、フェンムジファム、ベルノラート;
・ キノリン酸系、例えばキンクロラク、キンメラク;
・ ジクロロプロピオン酸系、例えばダラポン;
・ ジヒドロベンゾフラン系、例えばエトフメサート;
・ ジヒドロフラン−3−オン系、例えばフルルタモン;
・ ジニトロアニリン系、例えばベネフィン、ブトラリン、ジニトロアミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフルラリン、トリフルラリン;
・ ジニトロフェノール系、例えばブロモフェノキシム、ジノセブ、ジノセブ アセタート、ジノテルブ、DNOC、ムジノテルブ アセタート;
・ ジフェニルエーテル系、例えばアシフルオルフェン−ナトリウム、アクロニフェン、ビフェノキス、クロルニトロフェン、ジフェノキスロン、エトキシフェン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン−エチル、ホメサフェン、フリルオキシフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、オキシフルオルフェン;
・ ジピリジル系、例えばシペルクアト、ジフェンゾクアトメチルスルファート、ジクアト、パラクアトジクロリド;
・ イミダゾール系、例えばイソカルバミド;
・ イミダゾリノン系、例えばイマザメタピル、イマザピル、イマザキン、イマザメタベンゾ−メチル、イマゼタピル、イマザプ酸、イマザモキス;
・ オキサジアゾール系、例えばメタゾール、オキサジアルギル、オキサジアゾン;
・ オキシラン系、例えばトリジファン;
・ フェノール系、例えばブロモキシニル、イオキシニル;
・ フェノキシフェノキシプロピオナート系、例えばクロジナホプ、シハロホプ−ブチル、ジクロホプ−メチル、フェノキサプロプ−エチル、フェノキサプロプ−P−エチル、フェンチアプロプ−エチル、フルアジホプ−ブチル、フルアジホプ−P−ブチル、ハロキシホプ−エトキシエチル、ハロキシホプ−メチル、ハロキシホプ−P−メチル、イソキサピリホプ、プロパキザホプ、キザロホプ−エチル、キザロホプ−P−エチル、キザロホプ−テフリル;
・ フェニル酢酸系、例えばクロルフェナク;
・ フェニルプロピオン酸系、例えばクロルフェンプロプ−メチル;
・ ppi活性化合物系、例えばベンゾフェナプ、フルミクロラク−ペンチル、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルプロパシル、ピラゾキシフェン、スルフェントラゾン、チジアジミン;
・ ピラゾール系、例えばニピラクロフェン;
・ ピリダジン系、例えばクロリダゾン、マレイン酸ヒドラジド、ノルフルラゾン、ピリダート;
・ ピリジンカルボン酸系、例えばクロピラリド、ジチオピル、ピクロラム、チアゾピル;
・ ピリミジルエーテル系、例えばピリチオバク酸、ピリチオバク−ナトリウム、KIH−2023、KIH−6127;
・ スルホンアミド系、例えばフルメツラム、メトスラム;
・ トリアゾールカルボキサミド系、例えばトリアゾフェンアミド;
・ ウラシル系、例えばブロマシル、レナシル、テルバシル;
・ さらにはベナゾリン、ベンフレサート、ベンスリド、ベンゾフルオル、ベンタゾン、ブタミホス、カフェンストロール、クロルタール−ジメチル、シンメチリン、ジクロベニル、エンドタル、5−フルオロ−2−フェニル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(フルオルベントルアニル)、メフルイジド、ペルフルイドン、ピペロホス、トプラメゾン及びプロヘキサジオン−カルシウム;
・ スルホニル尿素系、例えばアミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン−メチル、クロリムロン−エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン−メチル、フラザスルフロン、ハロスルフロン−メチル、イマゾスルフロン、メトスルフロン−メチル、ンイコスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン−エチル、リムスルフロン、スルホメツロン−メチル、チフェンスルフロン−メチル、トリアスルフロン、トリベヌロン−メチル、トリフルスルフロン−メチル、トリトスルフロン;
・ シクロヘキセノン型の植物防護用活性化合物系、例えばアロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、セトキシジム及びトラルコキシジム[シクロヘキセノン型の特に好ましい除草活性化合物は、テプラロキシジム(参照:AGROW, No. 243, 11.3.95, page 21、カロキシジム)及び2−(1−[2−{4−クロロフェノキシ}プロピルオキシイミノ]ブチル)−3−ヒドロキシ−5−(2H−テトラヒドロチオピラン−3−イル)−2−シクロヘキセン−1−オンであり、スルホニル尿素型の特に好ましい除草活性化合物は、N−(((4−メトキシ−6−[トリフルオロメチル]−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)カルボニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドである];
が含まれる。
【0126】
本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPを用いて処方され得る殺虫剤の例には、
・ 有機(チオ)ホスファート系、例えばアセファート、アザメチホス、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クマホス、シアノホス、デメトン−S−メチル、ジアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトアート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、エプン、エチオン、エトプロホス、ファンフル、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホースチアザート、ヘプテノホス、イソキサチオン、マラチオン、ムカルバム、メトアミドホス、メチダチオン、パラチオン−メチル、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトアート、オキシデメトン−メチル、パラオキソン、パラチオン、パラチオン−メチル、フェントアート、ホラート、ホサロン、ホスメト、ホスフアミドン、ホキシム、ピリミホス−エチル、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテプ、スルプロホス、テブピリンホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、ブアミドチオン;
・ カルバマート系、例えばアラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、チオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノキシカルブ、ホルメタナート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メトミル、メトールカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノキス、トリアザマート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ;
・ ピレトロイド系、例えばアクリナトリン、アレトリン、d−cis−trans−アレトリン、d−trans−アレトリン、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオアレトリンS−シクロペンテニル、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、beta−シフルトリン、シハロトリン、lambda−シハロトリン、gamma−シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、alpha−シペルメトリン、beta−シペルメトリン、theta−シペルメトリン、zeta−シペルメトリン、デルタメトリン、エンペントリン、エスフェンバレラート、エトフェンプロキス、フェンプロパトリン、フェンバレラート、フルシトリナート、フルメトリン、tau−フルバリナート、ハルフェンプロキス、イミプロトリン、ペルメトリン、フェノトリン、プラレトリン、プロフルトリン、ピレトリンI及びII、レスメトリン、RU 15525、シラフルオフェン、tau−フルバリナート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、ジメフルトリン、ZXI 8901;
・ 多足類節足動物成長制御剤:a)キチン合成阻害物質系、例えば、ベンゾイル尿素系、例えばビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロキスロン、フルフェノキスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾキス、エトキサゾール、クロフェンテジン;b)エクジソンアンタゴニスト系、例えばクロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c)幼若ホルモン擬似薬系、例えばピリプロキシフェン、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害物質系、例えばスピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
・ ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト系:アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、ニコチン、ベンスルタプ、カルタプ ヒドロクロリド、チオシクラム、チオスルタプ−ナトリウム及びAKD1022;
・ GABAアンタゴニスト系、例えばアセトプロール、クロルダン、エンドスルファン、エチプロール、gamma−HCH(リンダン)、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、式Γ
【化3】

【0127】
で表されるフェニルピラゾール化合物;
・ 大環状ラクトン環系、例えばアバメクチン、エマメクチン、エマメクチンベンゾアート、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド;
・ METI I化合物系、例えばフェナザキン、フェンピロキシマート、フルフェネリム、ピリダベン、ピリミジフェン、ロテノン、テブフェンピラド、トルフェンピラド;
・ METI II及びIII化合物系、例えばアセキノシル、フルアシピリム、ヒドラメチルノン;
・ アンカップリング化合物系、例えばクロルフェナピル、DNOC;
・ 酸化的リン酸化阻害物質系、例えばアゾシクロチン、シヘキサチン、ジアフェンチウロン、フェンブタチンオキシド、プロパルギット、テトラジホン;
・ 脱皮阻害物質系:シロマジン、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシ−フェノジド、テブフェノジド;
・ 共力物質系、例えばピペロニルブトオキシド及びトリブホス;
・ ナトリウムチャネルブロッカー系、例えばインドキサカルブ、メタフルミゾン;
・ 餌摂取選択的阻害物質:クリオリット、ピメトロジン、フロニクアミド;
・ ダニ成長阻害物質系:クロフェンテジン、ヘキシチアゾキス、エトキサゾール;
・ キチン合成阻害物質系、例えばブプロフェジン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロキスロン、フルフェノキスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;
・ 脂質生合成阻害物質系、例えばスピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
・ オクトパミンアゴニスト系、例えばアミトラズ;
・ リアノジン受容体モジュレーター系、例えばフルベンジアミド;
・ その外:アミドフルメト、ベンクロチアズ、ベンゾオキシマート、ビフェナザート、ブロモプロピラート、シエノピラフェン、シフルメトフェン、キノメチオナート、ジコホール、フルオロアセタート、ピリダリル、ピリフルキナゾン、N−R’−2,2−ジハロ−1−R’’−シクロプロパンカルボキサミド2−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)ヒドラゾン、N−R’−2,2−ジ(R’’’)プロピオンアミド2−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)ヒドラゾン[式中、R’はメチル又はエチルであり、ハロは塩素又は臭素であり、R’’は水素又はメチルであり、R’’’はメチル又はエチルである];
・ アントラニルアミド系、例えばクロラントラニリプロール、及び式Γ
【化4】

【0128】
で表される化合物;
・ マロノニトリル化合物系、例えばCF(CHC(CN)CH(CFCFH、CF(CHC(CN)CH(CFCFH、CF(CHC(CN)(CHC(CFF、CF(CHC(CN)(CH(CFCF、CFH(CFCHC(CN)CH(CFCFH、CF(CHC(CN)CH(CFCF、CF(CFCHC(CN)CH(CFCFH、CFCFCHC(CN)CH(CFCFH、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−(3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル)マロノジニトリル及びCFHCFCFCFCHC(CN)CHCHCFCF
・ 式Γで表されるピリミジニルアルキニルエーテル系又は式Γで表されるチアジアゾリルアルキニルエーテル系:
【化5】

【0129】
(式中、Rはメチル又はエチルであり、Hetは、3,3−ジメチルピロリジン−1−イル、3−メチルピペリジン−1−イル、3,5−ジメチルピペリジン−1−イル、4−メチルピペリジン−1−イル、ヘキサヒドロアゼピン−1−イル、2,6−ジメチルヘキサヒドロアゼピン−1−イル又は2,6 ジメチルモルホリン−4−イルである)[これらの化合物は、例えば、特開2006−131529号公報に記載されている];
が含まれる。
【0130】
本発明の好ましい実施形態では、水に溶けない又は難溶性である殺菌剤の活性化合物製剤を調製するための本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPの使用、又は水に溶けない又は難溶性である殺菌剤を水性媒体中に可溶化させるための本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPの使用が関わる。
【0131】
好ましい実施形態では、活性化合物は、
・ ストロビルリン系、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビン、好ましくはピラクロストロビン、
・ コナゾール系殺菌剤、好ましくはプロクロラズ、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾール、そして特にはエポキシコナゾール、メトコナゾール、フルキンコナゾール又はプロチオコナゾール、
・ 6−アリール−[1,2,4]トリアゾロ−[1,5 a]ピリミジン系、例えば、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、
・ カルボキサミド系、好ましくはカルボキサニリド系、例えば、ベナラキシル、ベノドアニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘックスアミド、フルトールアニル、フラメトピル、メタラキシル、オフラク、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルズアミド、チアジニル、N−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(2−シアノフェニル)−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(2−シアノフェニル)−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(cis−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(trans−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4 カルボキサミド、N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフト−5−イル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド並びにエタボキサム及びペンチオピラド等;及び
・ これらの活性化合物の混合物;
から選択される。
【0132】
本発明による活性化合物製剤のさらなる実施形態では、そのような製剤は、少なくとも2種の活性化合物(特には少なくとも2種の殺菌剤)の組み合わせを含んでいる。具体的には、活性化合物組み合わせは、少なくとも1種のコナゾール系殺菌剤(好ましくはエポキシコナゾール又はメトコナゾール)と、少なくとも1種のストロビルリン(好ましくはピラクロストロビン)と、適切であれば、さらなる活性化合物(例えば、フェンプロピジン)との組み合わせ;少なくとも1種のコナゾール系殺菌剤(好ましくはエポキシコナゾール又はメトコナゾール)と、少なくとも1種のカルボキサミド系(好ましくは1種のカルボキサニリド系、特には、ボスカリド、N−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド、N−(2−シアノフェニル)−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(4’−トリフルオロメチルチオ)ビフェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−1,3−ジメチル−5−フルオロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(cis−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(trans−2−ビシクロプロピル−2−イル)フェニル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド又はN−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフト−5−イル]−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)と、適切であれば、さらなる活性化合物(例えば、フェンプロピジン)との組み合わせ;2種の異なるコナゾール系殺菌剤の組み合わせ、特には、エポキシコナゾールと、エポキシコナゾール以外の少なくとも1種のさらなるコナゾール系殺菌剤(好ましくはプロクロラズ、シプロコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾール及び特にはメトコナゾール、フルキンコナゾール及びプロチオコナゾールから選択されるコナゾール系殺菌剤)との組み合わせ;少なくとも1種の6−アリール−[1,2,4]トリアゾロ[1,5 a]ピリミジン系(特には5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン)と、少なくとも1種の他の殺菌活性化合物との(特には1種以上のコナゾール系殺菌剤との)組み合わせ;である。
【0133】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、特に、アリールピロール系(例えばクロルフェナピル)、ピレトロイド系(例えばビフェントリン、シフルトリン、シクロプロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレラート、エトフェンプロキス、フェンプロパトリン、フェンバレラート、シハロトリン、lambda−シハロトリン、ペルメトリン、シラフルオフェン、tau−フルバリナート、テフルトリン、トラロメトリン、alpha−シペルメトリン及びzeta−シペルメトリン、及びペルメトリン)、ネオニコチノイド系及びセミカルバゾン系(例えばメタフルミゾン)から選択される少なくとも1種の殺昆虫活性化合物を含む水性組成物を安定化させるための本発明によるホモ−及びコ−ポリマーPの使用が関わる。
【0134】
本発明の好ましい実施形態は、したがって、水性相中の、殺虫剤、特にはアリールピロール系、ピレトロイド系、ネオニコチノイド系及びメタフルミゾンを安定化させるためのホモ−及びコ−ポリマーPの使用に関する。
【0135】
加えて、本発明によるホモ−及びコ−ポリマーPは、活性化合物水性組成物中の医薬活性化合物を安定化させるのにも適している。医薬活性化合物の例は、ベンゾジアゼピン剤、降圧剤、ビタミン剤、細胞静止剤(好ましくはタキソール)、麻酔剤、神経安定剤、抗鬱剤、抗生物質、抗菌剤、化学療法剤、泌尿器剤、血小板凝集阻害剤、スルホンアミド剤、鎮痙剤、ホルモン剤、免疫グロブリン剤、血清剤、甲状腺治療剤、精神薬理剤、抗パーキンソン剤及び他の抗多動剤、眼科薬剤、神経障害調製剤、カルシウム代謝調節剤、筋弛緩剤、麻薬剤、抗高脂血剤、肝治療剤、抗血栓剤、抗発作剤、免疫治療剤、調節ペプチド剤及びその調節ペプチド阻害剤、睡眠剤、鎮静剤、婦人科薬剤、抗痛風剤、線維素溶解剤、酵素調製剤及び輸送蛋白剤、酵素阻害剤、催吐剤、循環促進剤、利尿剤、診断用薬剤、コルチコイド剤、コリン作動剤、胆管治療剤、抗喘息剤、鎮気管支剤、ベータ−受容体遮断剤、カルシウム拮抗剤、ACE阻害剤、鎮アテローム性動脈硬化剤、抗炎症剤、抗凝固剤、抗低浸透圧剤、抗低血糖剤、抗高浸透圧剤、抗線維素溶解剤、抗癲癇薬、抗嘔吐剤、解毒剤、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血剤、抗アレルギー薬、駆虫剤、鎮痛剤、強壮剤、アルドステロン拮抗剤及びやせ薬である。適する医薬活性化合物の例は、特には、米国特許出願公開第2003/0157170号明細書の段落0105〜0131に記載されている活性化合物である。
【0136】
本発明のもう1つの主題は、水に対して難溶性の少なくとも1種の活性化合物と、少なくとも1種の界面活性物質と、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPとを含んでいる活性化合物組成物(特には活性化合物製剤)である。組成物は、活性化合物を濃縮された形態で含んでいる製剤(すなわち、組成物)、又は活性化合物を希釈された形態で含んでいるそのまま施用できる水性組成物であり得る。
【0137】
少なくとも1種の ホモ−又はコ−ポリマーPを含む本発明による製剤の例は、
・ 活性化合物が懸濁された又は分散された形態で存在している水性製剤(SC製剤);
・ 活性化合物が水非混和性溶媒(例えば炭化水素や植物油又は植物油誘導体(例えば植物油メチルエステル))に溶解されて存在している水で希釈できる乳化性コンセントレート(EC製剤);
・ 活性化合物が水非混和性溶媒(例えば炭化水素や植物油又は植物油誘導体(例えば植物油メチルエステル))に分散されて又は懸濁されて存在している水で希釈できる油系懸濁液コンセントレート(OD製剤);
・ 活性化合物が水混和性溶媒(例えばラクタム[例えばN−メチルピロリドンやN−エチルピロリドン]、ラクトン[例えばブチロラクトン]、環状カルボナート[例えばエチレン又はプロピレンカルボナート]、環状エーテル[例えばテトラヒドロフランやジオキサン]、又はアルカノールやアルカンジオール[例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール又はブタンジオール])又は上記した水混和性溶媒の混合物に溶解されて存在している水で希釈できるコンセントレート(DC製剤)[用語「水混和性溶媒」とは、25℃で水に完全〜少なくとも100g/l溶解し、特にはこの温度で水との不混和領域をなんら示さない有機溶媒を意味すると理解する];
・ 水で希釈することができ、典型的には固体担体を含む固体製剤(例えば粉粒や顆粒);
である。
【0138】
本発明による活性化合物製剤中では、活性化合物の全体濃度は、製剤の全体重量を基準にして、典型的には0.1〜80重量%の範囲、多くの場合0.5〜70重量%の範囲、好ましくは0.5〜60重量%の範囲、特には1〜50重量%又は1〜40重量%又は2〜30重量%の範囲内にある。製剤中の界面活性物質の濃度は、活性化合物製剤の全体重量を基準にして、典型的には1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜45重量%の範囲、特には1〜40重量%の範囲内にある。本発明による活性化合物製剤は、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPを、活性化合物を基準にして、通常少なくとも1重量%の、好ましくは少なくとも5重量%の量(例えば5〜2000重量%の量)、多くの場合10〜1000重量%の量、好ましくは10〜500重量%の又は10〜300重量%の又は10〜100重量%の量、特には10〜60重量%の量で含む。活性化合物製剤中では、ホモ−又はコ−ポリマーPの濃度は、製剤の全体重量を基準にして、典型的には0.01〜15重量%の範囲、好ましくは0.1〜10重量%の範囲、特には0.5〜6重量%の範囲内にある。
【0139】
水性製剤が好ましい製剤である。活性化合物水性製剤中では、活性化合物の全体濃度は、水性組成物の全体重量を基準にして、典型的には0.1〜80重量%の範囲、多くの場合0.5〜70重量%の範囲、好ましくは0.5〜60重量%の範囲、特には1〜50重量%の範囲又は1〜40重量%のもしくは2〜30重量%の範囲内にある。水性製剤中の界面活性物質の濃度は、活性化合物製剤の全体重量を基準にして、典型的には1〜50重量%の範囲、好ましくは1〜45重量%の範囲、特には1〜40重量%の範囲内にある。活性化合物水性製剤中では、ホモ−又はコ−ポリマーPの濃度は、製剤の全体重量を基準にして、典型的には0.01〜15重量%の範囲、好ましくは0.1〜10重量%の範囲、特には0.5〜6重量%の範囲内にある。
【0140】
上記した構成成分に加えて、活性化合物水性組成物は、水を希釈物として含む。水の他にも、組成物は、1又は複数種の水混和性有機溶媒も含み得る。そのような溶媒の割合は、組成物の重量を基準にして、一般には10重量%を超えないものである。
【0141】
本発明による水性組成物中では、その水、又は水と水混和性有機溶媒との混合物は、活性化合物を分散相として含む連続相を形成している。活性つまり有効化合物及び界面活性物質は、おそらく、そのような活性化合物水性製剤中には、活性化合物と界面活性物質の凝集体(例えばミセル)の形態で存在している。活性化合物を含むこの相は、したがって、活性化合物つまり有効化合物及び界面活性物質を含む分散相を形成する。存在している本発明によるホモ−及びコ−ポリマーPがこの分散相を安定化し、例えば、活性化合物の結晶化によって起こり得るような、活性化合物の分離を、効果的に防ぐのである。
【0142】
本発明による水性製剤中では、活性化合物は、水に対して難溶性であることから、懸濁された形態で存在している。調製物のタイプにもよるが、活性化合物粒子の平均粒子サイズ(体積平均、光散乱によって測定)は、典型的には10nm〜5μm、多くの場合20nm〜3μmの範囲、特には100nm〜2μmの範囲内にある。好ましくは、d90値、すなわち、粒子の90体積%以上がそれ以下に入る直径は、10μm(特には5μm)の値を超えないものである。動的又は準弾性光散乱を用いたディスパージョンの粒子サイズの測定方法については、例えば、H. Wiese in D. Distler, Wassrige Polymerdispersionen [Aqueous Polymer Dispersions], Wiley-VCH 1999, chapter 4.2.1, pp. 40ff、及びそこに引用されている文献、さらにはH. Auweter and D. Horn, J. Colloid Interf. Sci., 105 (1985), 399、D. Lilge and D. Horn, Colloid Polym. Sci., 269 (1991), 704、又はH. Wiese and D. Horn, J. Chem. Phys., 94 (1991), 6429、並びにW. Brown, Dynamic Light Scattering, Oxford University Press, 1992を参照されたい。
【0143】
本発明のもう1つの主題は、活性化合物を希釈された形態で含む活性化合物水性調製物である。そのような活性化合物調製物は、活性化合物製剤を水で希釈することによって得ることができ、その希釈は、本発明によれば、ホモ−又はコ−ポリマーPの存在下に行われる。この関連で、ホモ−又はコ−ポリマーは、希釈が意図されている製剤中に一部が又は全部が存在していてもよいし、あるいは水で希釈する際に加えられてもよい。好ましい実施形態によれば、希釈されることになる製剤は、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPを含んでいる。別の実施形態では、希釈に用いられる水が、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーを含んでいる。
【0144】
対応して、水で希釈することによって得ることができる活性化合物組成物も、活性化合物及び少なくとも1種の界面活性物質に加えて、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPを含んでいる。
【0145】
希釈によって得ることができる活性化合物水性調製物中には、ホモ−又はコ−ポリマーPは、活性化合物の1重量部を基準にして、一般には0.05〜20重量部の量、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いられる。一般には、水で希釈することによって得ることができる活性化合物調製物は、ポリマーPを、活性化合物調製物の全体重量を基準にして、0.01〜5重量%の(特には0.1〜3重量%の)量で含む。
【0146】
希釈に用いられる水の量は、自ずと分かるように、施用に望まれている活性化合物の濃度によって決まる。典型的には、希釈には、製剤の1体積部を基準にして、少なくとも10体積部、多くの場合少なくとも20体積部、好ましくは少なくとも50体積部、例えば10〜10,000体積部、好ましくは20〜5000体積部、特には50〜4000体積部、の水又はポリマーPの水溶液が用いられる。
【0147】
ホモ−又はコ−ポリマーPの存在下に製剤を水で希釈すると、活性化合物の水性相中水性懸濁液又はエマルジョンが得られる。用いる製剤のタイプにもよるが、活性化合物粒子の平均粒子サイズ(体積平均、光散乱によって測定)は、典型的には10nm〜5μmの範囲、多くの場合50nm〜3μmの範囲、特には100nm〜2μmの範囲内にある。好ましくは、d90値、すなわち90体積%以上の粒子がそれ以下に入る直径は、10μm(特には5μm)の値を超えないものにする。
【0148】
水で希釈すると、活性化合物水性組成物は、それが可溶化ポリマーを含んでいるとして、活性化合物が水性相中に極めて細かく分散(すなわちナノ分散)して存在している希釈水性組成物を与える。活性化合物組成物が可溶化ポリマー(好ましくは上記したブロックコポリマーのうちの1つ)を含む場合は、活性化合物粒子の見かけ粒子サイズは明らかに1000nm未満であり、多くのケースでは500nm未満、多くの場合400nm未満、好ましくは300nm未満、特に好ましくは250nm未満、きわめて特に好ましくは200nm未満であり、そして、例えば、5〜400nmの範囲、多くの場合10〜300nmの範囲、好ましくは10〜250nmの範囲、特には20〜200nmの範囲内にある。可溶化ポリマーのタイプ及び活性化合物のタイプにもよるが、またその濃度比にもよるが、凝集体はさらにもっと小さくなることがあり、凝集体はもはや検出可能な個別の粒子の形態では存在していない(粒子サイズ<20nm、<10nm又は<5nm)。とは言え、安定化効果は、平均粒子サイズ(体積平均)が1000nm以上、例えば、1〜5μmの範囲、多くの場合1〜3μmの範囲、特には1〜2μmの範囲内にある水性希釈液でも生じる。
【0149】
さらには、活性化合物組成物(すなわち、製剤並びに希釈によって得られ得る活性化合物水性調製物)は、通常の処方助剤を、それに妥当な量で含み得る。そのようなものとしては、例えば、レオロジー改質剤(増粘剤)、消泡剤、殺菌剤、凍結防止剤、pH調節剤等が挙げられる。
【0150】
適する増粘剤は、水性組成物に、偽塑性流動挙動、すなわち静止状態では高粘度そして撹拌状態では低粘度を付与する化合物である。この関連では、例えば、ポリサッカリド、例えばキサンタン(Kelco社から販売のKelzan(登録商標);Rhone−Poulenc社から販売のRhodopol(登録商標)23;又はR.T.Vanderbilt社から販売のVeegum(登録商標))、並びに無機層状鉱物、例えばAttaclay(登録商標)(Engelhardt社)が言及され得、キサンタンが好ましくは用いられる。
【0151】
本発明による組成物には、シリコーンエマルジョン(例えば、Silikon(登録商標)SRE[Wacker社から販売]、あるいはRhodia社から販売のRhodorsil(登録商標)等)、長鎖アルコール、脂肪酸、フッ素有機化合物、及びこれらの混合物が消泡剤として適している。
【0152】
本発明による組成物には微生物による感染に対しての安定化のための殺菌剤を加えてもよい。この関連では、殺菌剤は、典型的には、イソチアゾリノン又はイソチアゾロン化合物、例えば、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾール−3−オン、2−メチルイソチアゾール−3−オン又は2−オクチルイソチアゾール−3−オンであり、これらは、例えば、Arch Chemical Inc.から販売のProxel(登録商標)、Thor Chemie社から販売のActicide(登録商標)RS、Rohm & Haas社から販売のKathon(登録商標)MKの商品名で入手することができる。
【0153】
適する凍結防止剤は有機ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンである。凍結防止剤は、水性製剤中に、活性化合物水性製剤の全体重量を基準にして、通常20重量%未満の量、例えば、1〜20重量%、特には2〜10重量%の量で用いられる。
【0154】
適切な場合は、本発明による活性化合物製剤は、調製した製剤の全体量を基準にして、1〜5重量%の、製剤のpH又は希釈された施用形態のpHを調節するための添加剤を含み得、用いる添加剤の量及びタイプは、活性化合物及びホモ−又はコ−ポリマーPの化学特性及び量によって左右される。pH調節剤(緩衝剤)の例は、無機又は有機弱酸(例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸及びコハク酸等)のアルカリ金属塩である。
【0155】
本発明による活性化合物水性組成物は、それ自体公知の方法で調製され得るもので、調製は、自ずと分かるように、製剤のタイプによって左右されるものである。調製方法は、例えば、米国特許第3,060,084号明細書、欧州特許出願公開第707445号明細書、Browning, "Agglomeration", Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-148、Perry’s Chemical Engineer's Handbook, 4th ed., McGraw-Hill, New York, 1963, pp. 8-57、国際公開第91/13546号パンフレット、米国特許第4,172,714号明細書、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書、米国特許第5,208,030号明細書、英国特許(出願公開)第2,095,558号明細書、米国特許第3,299,566号明細書、Klingman, "Weed Control as a Science", John Wiley and Sons, New York 1961、Hance et al. Weed Control Handbook, 8th ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989、H. Mollet et al., "Formulation Technology", Wiley VCH-Verlag, Weinheim, 2001、並びに国際公開第2005/121201号パンフレット及び国際公開第2006/084680号パンフレットに記載されている方法から公知である。
【0156】
第1の好ましい実施形態によれば、本発明による活性化合物水性組成物は、少なくとも1種の界面活性物質、少なくとも1種の活性化合物、並びに、適切であれば、通常の助剤の部分又は全体量、及び、適切であれば、ホモ−又はコ−ポリマーを水に懸濁させ、続いて活性化合物のサイズを所望の粒子サイズまで見リング法によって小さくすることによって調製される。望ましいなら助剤の残っている量、及びミリングの前に既に加えられていなければホモ−又はコ−ポリマーPの残っている量は、この後、このようにして得られた懸濁液に組み込まれ得る。この関連では、ホモ−又はコ−ポリマーの少なくとも一部、好ましくは製剤中に加えられるポリマーPの少なくとも50重量%の量が、ミリングの前に既に加えられていることが有利であることが判明している。ミリングに適する装置は、ボールミル、コロイドミル及びビーズミルであり、一般には1又は複数回のミリング工程が、所望のサイズ低減度が達成されるまで行われる。
【0157】
もう1つの好ましい実施形態によれば、本発明による活性化合物水性組成物は、少なくとも1種の界面活性物質(好ましくはブロックコポリマー)と1活性化合物又は複数活性化合物を、それらが溶解する有機溶媒に導入することによって調製される。溶媒は、沸点が<100℃となるよう、適宜に選択される。その後、溶液は水で処理され、その混合物は十分長く加熱されて、有機溶媒は実質的に蒸発される。好ましくは、共沸した水を置き換えるために、混合物には、加熱の間に、水が加えられる。活性化合物水性ディスパージョンを冷却させた後、ディスパージョンは、最後に、ホモ−又はコ−ポリマーPで処理される。この関連では、ポリマーは、適切には、水性溶液の形態で加えられる。
【0158】
また、最初に少なくとも1種の活性化合物と、少なくとも1種の界面活性物質と、少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーとの均質混合物を調製し、この混合物を水に導入するやり方で進めることも可能である。好ましくは、均質混合物は、各構成成分の有機溶媒中溶液の形態で水に導入され、有機溶媒が、続いて、例えば、蒸留によって、大部分又は全部が除去され、あり得る水の消失は、一般には、補償される。これに適する溶媒は、基本的には、活性化合物とホモ−又はコ−ポリマーPのいずれをも溶解することができる溶媒、例えば、アセトニトリル及びプロピオニトリルのような脂肪族ニトリル、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドのような脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン又はカプロラクタムのようなラクタム及びN−アルキルラクタム、gamma−ブチロラクトンのようなラクトン、ジエチルカルボナート、エチレンカルボナート又はプロピレンカルボナートのようなカルボナート、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール又はtert−ブタノールのようなC〜C−アルカノール、脂肪族及び脂環式エーテル(例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン)、ジクロロメタン又はジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素、エチルアセタート、ブチルアセタート、ブチルホルマート、メチルプロピオナートや、メチルブチラートのような脂肪族C〜C−カルボン酸とC〜C−アルカノールとのエステル、並びに上記した溶媒の混合物である。好ましい有機溶媒は、特には、水との混和性が少なくともある程度ある溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、C〜C−アルカノール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール又はtert−ブタノール)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル及びプロピオニトリル)、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド(例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド)、又はN−アルキルラクタム(例えばN−メチルピロリドン)である。適切であれば、この時点で、所望の添加剤及び助剤が組成物にそれ自体公知の方法で組み込まれ得る。
【0159】
本発明による活性化合物水性組成物は、別の方法として、界面活性物質の部分又は全体量、及び、適切であれば、ホモ−又はコ−ポリマーPの部分又は全体量を含んでいる活性化合物の有機溶媒中溶液を、適切であれば、界面活性物質の残っている量、及び、適切であれば、ホモ−又はコ−ポリマーPの部分又は全体量を含んでいる水又は水性溶液と混合し、続いてその有機溶媒を除去することによっても調製され得る。混合は適する撹拌容器中で行われ得、ホモ−又はコ−ポリマーPの水溶液又は水性溶液を導入し、それに活性化合物の溶液を加えることでも、あるいは、別の方法として、活性化合物の溶液を導入し、そこにホモ−又はコ−ポリマーPの水溶液又は水性溶液を加えることでも、どちらでも可能である。続いては、有機溶媒が、例えば、蒸留によって、適切であれば、水が加えられて、全部又は一部が除去される。
【0160】
この実施形態の好ましい代替の形態では、活性化合物溶液及びホモ−又はコ−ポリマーPの水溶液又は水性溶液が混合区域に連続的に加えられ、その混合物がここから連続的に取り出され、混合物から溶媒が続いて全部又は一部が除去される。混合区域はどのようにも編成され得る。原理的には、液体ストリームの連続混合を可能にする装置品目はすべてこれに適している。そのような装置品目は、例えば、Ullmann's Encyclopedia, 5th ed. on CD-RomにあるContinuous Mixing of Fluids(J.-H. Henzler)から、さらには国際公開第2008/031780号パンフレット及びそこに引用されている文献から公知である。混合区域は、スタティック又はダイナミックミキサーあるいはそれらのハイブリッドミキサーとして編成されていてもよい。特には、ノズル付きのY−ミキサー、ジェットミキサー又は類似ミキサーも混合区域として適している。好ましい実施形態では、混合区域は、"Handbook of Industrial Crystallization" (A. S. Myerson, 1993, Butterworth-Heinemann, page 139, ISBN 0-7506-9155-7)に記載されている装置品目又は装置類似品目である。
【0161】
さらには、固体製剤は、例えば、活性化合物と、少なくとも1種の界面活性物質と、少なくともホモ−又はコ−ポリマーPとを、適切であれば固体担体及び適切であればさらなる助剤と一緒に混合し、適する方法で(例えばエアージェットミルを用いて)所望の細かさまでミリングすることによって調製され得る。
【0162】
意外にも、ホモ−又はコ−ポリマーPは、通常の界面活性物質が存在していなくても、水に対して難溶性である活性化合物の水性懸濁液の安定性の向上を一般にもたらすことも明らかにされたが、そのような界面活性物質は、存在しているのが好ましい。本発明によるホモ−又はコ−ポリマーPは、この関連では、分散剤として又は保護コロイドとして働く。したがって、本発明のさらなる主題は、水に対して難溶性の有機活性化合物を水性組成物中に分散させるためのホモ−又はコ−ポリマーPの使用である。このためには、ホモ−又はコ−ポリマーPは、水性相中に分散されることになる活性化合物の1重量部を基準にして、一般には0.05〜20重量部の量、好ましくは0.1〜10重量部の量、特には0.2〜5重量部の量で用いられる。
【0163】
活性化合物は、水に対して難溶性である少なくとも1種の有機活性化合物の水性懸濁液を、上述したホモ−又はコ−ポリマーPの水性溶液中で、所望の粒子サイズが達成されるまでミリングすることによって水に分散され得る。別の方法として、活性化合物は、ホモ−又はコ−ポリマーPの水性溶液を、少なくとも1種の活性化合物の有機溶媒(好ましくは水混和性有機溶媒)中溶液と、好ましくは強力な乱流でもって混合し、続いてその有機溶媒を除去することによっても水に分散され得る。このようにして、活性化合物水性懸濁液は、さらなる界面活性物質が有るか又は無しでも、調製され得る。このような懸濁液中の活性化合物濃度は、ディスパージョンの全体重量を基準にして、典型的には、0.1〜60重量%の範囲、多くの場合1〜60重量%の範囲、好ましくは2〜50重量%の範囲、特には3〜40重量%又は5〜30重量%の範囲内にある。
【0164】
存在している活性化合物つまり有効化合物のタイプに応じて、本発明による活性化合物組成物は、それぞれの活性つまり有効化合物の通常の製剤の方法にそれ自体類似の方法で、用いられ得る。例えば、少なくとも1種の殺昆虫性、殺ダニ性又は殺線虫性活性化合物を含む活性化合物製剤は、有害節足動物(例えば昆虫又はダニ又は線虫)を防除するのに用いられ得る。本発明による活性化合物製剤が少なくとも1種の殺菌性活性化合物を含む場合は、そのような製剤は、有害菌を防除するのに用いられ得る。本発明による活性化合物製剤が除草活性化合物を含む場合は、そのような製剤は、雑草等を防除するのに用いられ得る。
【0165】
活性化合物のタイプにもよるが、本発明による組成物は、特には、有害生物(例えば昆虫、ダニ又は線虫)による攻撃から植物体を防護するのに、又は植物病原性菌等による感染からの防護に、又は種子処理又は資材防護で、例えば有害昆虫(例えば木材食性甲虫、シロアリ、アリ等)による攻撃から又は木材変色菌(wood-discoloring fungi)又は木材腐朽菌(wood-destroying fungi)による感染からリグノセルロース資材(例えば木材)を防護するのに用いられる。
【0166】
当然、本発明による組成物は、化粧品にも、又は医薬品にも、用いられ得る。
【0167】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものと取るべきでない。
【実施例】
【0168】
I.調製実施例:
【0169】
調製実施例1:ポリマーP−1
200gのイソプロパノール及び35gのフィード1を、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とした。続いて、容器を75℃に加熱し、フィード1及びフィード2の残っている量をこの温度にて一定フィード速度で、同時に開始して、5時間で加えた。添加終了後、温度をさらに1時間そのままに維持し、続いて揮発性モノマーを除去するために水蒸気蒸留を行った。このようにして、固形分含量が14.8重量%及びpHが3.98のコポリマー水性溶液を得た。モノマー組成及びポリマーP−1のK値は表1に記載されている。
【0170】
フィード1:400gのイソプロパノール、75gのメチルメタクリラート及び225gのメタクリル酸
フィード2:50gのイソプロパノール及び8gのtert−ブチルペルピバラート
【0171】
調製実施例2:ポリマーP−2
200gのイソプロパノールを、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とした。続いて、容器を75℃に加熱し、この温度にて、一定の添加速度で同時に開始して、フィード1を5.5時間で加え、フィード2を5時間で加え、フィード3を6時間で加えた。すべてのフィードの流入が終わった後、混合物をさらに1時間75℃にそのままにして重合させ、その後重合混合物の水蒸気蒸留を行った。このようにして、pHが4.1及び固形物含量が20.8重量%のポリマーP−2の水中無色粘稠溶液を得た。
【0172】
ポリマーP−2のK値及びモノマー組成は表1に記載されている。
【0173】
フィード1:250gのイソプロパノール及び225gのメタクリル酸
フィード2:75gのメチルアクリラート及び100gのイソプロパノール
フィード3:100gのイソプロパノール及び8gのtert−ブチルペルピバラート
【0174】
調製実施例3:ポリマーP−3
150gのイソプロパノール及び11.65gのフィード1を、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。その後、75℃にて、同時に開始して、フィード1を5時間で加え、フィード2を5.5時間で加え、そして温度を、フィードの流入が終わった後さらに1時間そのまま維持した。続いて、フィード3を75℃にて15分で加え、温度を1.5時間そのまま維持した。続いて、水蒸気蒸留を行った。このようにして、固形分含量が19.1重量%の若干濁ったポリマーP−3の溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0175】
フィード1:133gのイソプロパノール及び100gのメタクリル酸
フィード2:16.3gのイソプロパノール及び2.7gのtert−ブチルペルピバラート
フィード3:1.0gのtert−ブチルペルネオデカノアート及び20gのイソプロパノール
【0176】
調製実施例4:ポリマーP−4
重合は調製実施例3と同じように行い、フィード1は100gのメタクリル酸の代わりに100gのアクリル酸を含んでいた。このようにして、固形分含量が34.8重量%の濁ったポリマーP−4の溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0177】
調製実施例5:ポリマーP−5
200gのイソプロパノール、15.25gのフィード1及び19.8gのフィード2を、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。その後、温度をそのままに維持しながら、同時に開始して、フィード1及び2を5時間で加え、フィード3を5.5時間で加えた。すべてのフィードの流入が終わった後、重合をさらに1時間行い、中和を17gの40%水酸化ナトリウム水溶液で行い、その後水蒸気蒸留を行った。このようにして、ポリマーP−5を、固形分含量が25.2重量%及びpHが4.4の透明、きわめて粘稠な、水性物体の形態で得た。ポリマーP−5のK値は表1に記載されている。
【0178】
フィード1:200gのイソプロパノール及び105gのメチルメタクリラート
フィード2:200gのイソプロパノール及び195gのメタクリル酸
フィード3:50gのイソプロパノール及び8gのtert−ブチルペルピバラート
【0179】
調製実施例6:ポリマーP−6
重合は調製実施例5の指示と同じようにして行ったが、以下の差異があった:
初期仕込みは、200gのイソプロパノール、13gのフィード1及び22.06gのフィード2を含んでいた。フィード1は、200gのイソプロパノール及び60gのメチルメタクリラートを含んでいた。フィード2は、200gのイソプロパノール及び240gのメタクリル酸を含んでいた。このようにして、固形分含量が23.9重量%の透明きわめて粘稠なポリマーP−6の溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0180】
調製実施例7:ポリマーP−7
重合を調製実施例5の指示と同じようにして行ったが、以下の差異があった:初期仕込みは、200gのイソプロパノール、10.75gのフィード1及び24.31gのフィード2を含んでいた。フィード1は、200gのイソプロパノール及び15gのメチルメタクリラートを含んでいた。フィード2は、200gのイソプロパノール及び285gのメタクリル酸を含んでいた。このようにして、固形分含量が21.8重量%及びpHが4.2の透明、きわめて粘稠な、ポリマーP−7の水性溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0181】
調製実施例8:ポリマーP−8
重合を調製実施例5の指示と同じようにして行ったが、以下の差異があった:初期仕込みは、200gのイソプロパノール、13.02gのフィード1及び22.06gのフィード2を含んでいた。フィード1は、200gのイソプロパノール、60gのメチルメタクリラート及び0.3gのメルカプトエタノールを含んでいた。フィード2は、200gのイソプロパノール及び240gのメタクリル酸を含んでいた。このようにして、固形分含量が24.3重量%及びpHが4.3のポリマーP−8の透明弾性水性物体を得た。K値は表1に記載されている。
【0182】
調製実施例9:ポリマーP−9
重合を調製実施例5の指示と同じようにして行ったが、以下の差異があった:初期仕込みは、200gのイソプロパノール、13.23gのフィード1及び22.06gのフィード2を含んでいた。フィード1は、200gのイソプロパノール、60gのメチルメタクリラート及び4.65gのメルカプトエタノールを含んでいた。フィード2は、200gのイソプロパノール及び240gのメタクリル酸を含んでいた。このようにして、固形分含量が25.5重量%及びpHが4.1の透明粘稠水性溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0183】
調製実施例10:ポリマーP−10
重合を調製実施例5の指示と同じようにして行ったが、以下の差異があった:初期仕込みは、200gのイソプロパノールを含んでいた。フィード1は、225gのメタクリル酸及び400gのイソプロパノールを含んでいた。フィード2は、75gの2−ヒドロキシプロピルアクリラート及び100gのイソプロパノールを含んでいた。このようにして、pHが3.9及び固形物含量が29.4重量%のポリマーP−10の透明粘稠溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0184】
調製実施例11:ポリマーP−11
200gのイソプロパノールを、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入した。続いて、この容器を窒素で不活性とし、75℃に加熱した。その後、温度をそのままに維持しながら、一定添加速度で、同時に開始して、フィード1を5.5時間で加え、フィード2を5時間で加え、フィード3を6時間で加えた。フィードの流入が終わった後、温度をさらに1時間そのまま維持し、その後水蒸気蒸留を行った。このようにして、固形分含量が25.4重量%及びpHが4.27のポリマーP−11の透明きわめて粘稠な溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0185】
フィード1:250gのイソプロパノール及び225gのメタクリル酸
フィード2:75gのN,N−ジメチルアクリルアミド及び100gのイソプロパノール
フィード3:100gのイソプロパノール及び8gのtert−ブチルペルピバラート
【0186】
調製実施例12:ポリマーP−12
300gのトルエン、12gのフィード1、12gのフィード2及び3gのフィード3を、撹拌器、3つの別個のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入した。この容器を窒素で不活性とし、90℃に加熱した。温度に到達した5分後、温度をそのままに維持しながら、同時に開始して、フィード1及び2の添加を一定添加速度で3時間で、フィード3の添加を、フィード3の最初の半分を3時間で計量投入し、フィード3の残りの半分を1.5時間で計量投入して、4.5時間で行った。フィードの流入が終わった後、重合を90℃でさらに1.5時間行った。沈殿した生成物を真空によって濾別し、アセトンで洗浄し、そうして75℃で100mbarの乾燥キャビネット中で乾燥させた。このようにして、細かい白色の粉粒を得た。K値は表1に記載されている。
【0187】
調製実施例13:ポリマーP−13(比較用ポリマー)
300gのジメチルホルムアミド(DMF)を95℃に加熱した。600gのDMFと、40.5gのメチルメタクリラートと、251.8gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)とからなるフィード1a、及び300gのDMFと、1.9gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、5.8gのメルカプトエタノールとからなるフィード1bを同時に2時間で加え、この混合物を95℃に24時間維持した。24時間後、メチルメタクリラートはもはや存在していなかった(GC追跡)。それで、バッチを周囲温度まで冷却し、溶媒を続いて真空下で除去した。数平均分子量が6700g/mol(DMF中GPCにより測定)であるランダムコポリマーを無色の固形物として得た。
【0188】
調製実施例14:コポリマーP−14
200gのイソプロパノール及び40gのフィード1を、撹拌器、5つの個別のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。75℃にて、同時に開始して、フィード1を5時間で加え、フィード2を5.5時間で加え、そしてフィードの流入が終わった後、温度をさらに1時間そのままに維持した。その後この反応混合物に19.8gの40%水酸化ナトリウム溶液を加えた。続いて、水蒸気蒸留を行った。この後反応混合物を周囲温度まで冷却させ、撹拌しながら、フィード3の添加を5分で、その後フィード4の添加を15分で、最後にフィード5の添加を20分で行った。続いて撹拌を周囲温度でさらに2時間行った。このようにして、固形分含量が32.5重量%のコポリマーP−14の濁った粘稠な溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0189】
フィード1:
450g イソプロパノール、
87.5g メチルメタクリラート及び
262.5g メタクリル酸
【0190】
フィード2:
50g イソプロパノール及び
9.3g tert−ブチルペルピバラート
【0191】
フィード3:
5g 脱塩水及び
2.3g 過酸化水素(30%)
【0192】
フィード4:
20g 脱塩水及び
0.46g 硫酸鉄(II)
【0193】
フィード5:
20g 脱塩水及び
1.75g L−(+)−アスコルビン酸
【0194】
調製実施例15:コポリマーP−15
600gのイソプロパノール及び37.5gのフィード1を、撹拌器、6つの個別のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。その後、75℃にて、同時に開始して、フィード1及び2を5時間で加え、フィード2を5.5時間で加え、そしてフィードの流入が終わった後、温度をさらに1時間そのままに維持した。その後この反応混合物に17gの40%水酸化ナトリウム溶液を加えた。続いて、水蒸気蒸留を行った。この後反応混合物を周囲温度まで冷却させ、撹拌しながら、フィード3の添加を5分で、その後フィード4の添加を15分で、最後にフィード5の添加を20分で行った。続いて撹拌を周囲温度でさらに2時間行った。このようにして、固形分含量が20.6重量%のコポリマーP−15のミルク様白色ディスパージョンを得た。K値は表1に記載されている。
【0195】
フィード1:
450g イソプロパノール
105g メチルメタクリラート及び
195g メタクリル酸
【0196】
フィード2:
93g イソプロパノール及び
8g tert−ブチルペルピバラート
【0197】
フィード3:
5g 脱塩水及び
2g 過酸化水素(30%)
【0198】
フィード4
20g 脱塩水及び
0.4g 硫酸鉄(II)
【0199】
フィード5:
20g 脱塩水及び
1.5g L−(+)−アスコルビン酸
【0200】
調製実施例16:コポリマーP−16
400gのイソプロパノール及び62.03gのフィード1を、撹拌器、5つの個別のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。75℃にて、同時に開始して、フィード1を5時間で加え、フィード2を5.5時間で加え、そしてフィードの流入が終わった後、温度をさらに1時間そのままに維持した。その後この反応混合物に19.8gの40%水酸化ナトリウム溶液を加えた。続いて、水蒸気蒸留を行った。この後反応混合物を周囲温度まで冷却させ、撹拌しながら、フィード3の添加を5分で、その後フィード4の添加を15分で、最後にフィード5の添加を20分で行った。続いて撹拌を周囲温度でさらに2時間行った。このようにして、固形分含量が20.1重量%のコポリマーP−16の溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0201】
フィード1:
890.57g イソプロパノール、
210g メタクリル酸、
17.5g スチレン、
35g メチルメタクリラート、
70g アクリル酸及び
17.5g ラウリルアクリラート
【0202】
フィード2:
14g tert−ブチルペルネオデカノアート及び
100g イソプロパノール
【0203】
フィード3:
5g 脱塩水及び
2.3g 過酸化水素(30%)
【0204】
フィード4:
20g 脱塩水及び
0.46g 硫酸鉄(II)
【0205】
フィード5:
20g 脱塩水及び
1.75g L−(+)−アスコルビン酸
【0206】
調製実施例17:コポリマーP−17
180gのイソプロパノール及び36gのフィード1を、撹拌器、5つの個別のフィード注入口及び1つの窒素注入口が付いた反応容器に導入し、この容器を窒素で不活性とし、その後75℃に加熱した。75℃にて、同時に開始して、フィード1を5時間で加え、フィード2を5.5時間で加え、そしてフィードの流入が終わった後、温度をさらに1時間そのままに維持した。その後この反応混合物に19.8gの40%水酸化ナトリウム溶液を加えた。続いて、水蒸気蒸留を行った。この後反応混合物を周囲温度まで冷却させ、撹拌しながら、フィード3の添加を5分で、その後フィード4の添加を15分で、最後にフィード5の添加を20分で行った。続いて撹拌を周囲温度でさらに2時間行った。このようにして、固形分含量が32.6重量%のコポリマーP−17の濁った粘稠な溶液を得た。K値は表1に記載されている。
【0207】
フィード1:
405g イソプロパノール、
204.75g メタクリル酸、
15.75g スチレン、
31.5g メチルメタクリラート及び
63g アクリル酸
【0208】
フィード2:
45g イソプロパノール及び
12.55g tert−ブチルペルピバラート
【0209】
フィード3:
4.5g 脱塩水及び
2.07g 過酸化水素(30%)
【0210】
フィード4:
18g 脱塩水及び
0.41g 硫酸鉄(II)
【0211】
フィード5:
18g 脱塩水及び
1.58g L−(+)−アスコルビン酸
【0212】
固形物として得られた反応生成物は水に懸濁させた。溶液として得られた重合生成物ではイソプロパノールを水で置き換えた。続いて、丁度よい希釈の水酸化ナトリウム溶液を加えて、ポリマーを完全に溶解させた。すべてのケースで、中和度は、30%未満であった。
【0213】
表1
【表1】

) 0.1M塩化ナトリウム水溶液とメタノールとの1:1混合物中1重量%溶液として25℃(pH7で)で測定される、Fikentscherによる25℃におけるK値
) MAA:メタクリル酸;AA:アクリル酸;MMA:メチルメタクリラート;MA:メチルアクリラート;HPA:ヒドロキシプロピルアクリラート;DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド;VP:ビニルピロリドン;AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
) pphm:100重量部の全体モノマー量当たりの重量部
) 比較用ポリマー
) 記載されている配列でのモノマーのpphm
) サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される、重量平均分子量M:30,400;多分散指数M/M=3.0(Mn=数平均分子量)
) サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される、重量平均分子量M:25,500;多分散指数M/M=2.9(Mn=数平均分子量)
:0.1M塩化ナトリウム水溶液中1%、25℃
n.d.:測定せず
【0214】
調製実施例17(ブロックコポリマーD1)
1445gのテトラヒドロフランを還流で加熱した。2109gのメチルメタクリラートと703gのスチレンとからなるフィード1a、及び1445gのテトラヒドロフランと、18.6gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、58.4gのメルカプトエタノールとからなるフィード1bを同時に2時間で加え、この混合物を還流に24時間維持した。430gの市販のヘキサメチレンジイソシアナートのビウレット(NCO含量が22%、23℃の粘度が4.0Pa・s)、2715gのメチル末端ポリ(エチレンオキシド)(数平均分子量2000ダルトン、OH数33 mg/g固体物質)及び0.5gの二ブチルスズジラウラートをその後加え、この反応混合物を、温度をそのままに維持しながらNCO含量が0%になるまで十分撹拌した。14100gの水をその後30分で加え、テトラヒドロフランを減圧下で留去した。このようにして、平均粒子サイズが47nm(動的光散乱により測定)の両親媒性ポリマー組成物の30重量%水性ディスパージョンを得た。
【0215】
調製実施例18(ブロックコポリマーD2)
1445gのテトラヒドロフランを還流で加熱した。1817gのメチルメタクリラートと、735gのスチレンと、260gのメタクリル酸とからなるフィード1a、及び1445gのテトラヒドロフランと、18.6gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、58.4gのメルカプトエタノールとからなるフィード1bを同時に2時間で加え、この混合物を還流に24時間維持した。430gの市販のヘキサメチレンジイソシアナートのビウレット(NCO含量が22%、23℃の粘度が4.0Pa・s)、2715gのメチル末端ポリ(エチレンオキシド)(数平均分子量2000ダルトン、OH数33 mg/g固体物質)及び0.5gの二ブチルスズジラウラートをその後加え、この反応混合物を、温度をそのままに維持しながらNCO含量が0%になるまで十分撹拌した。14100gの水をその後30分で加え、テトラヒドロフランを減圧下で留去した。このようにして、平均粒子サイズが92nm(動的光散乱により測定)の両親媒性ポリマー組成物の30重量%水性ディスパージョンを得た。
【0216】
使用実施例
【0217】
実施例1〜25
可溶化ポリマーを含む製剤を調製するための一般仕様I:
【0218】
60gのブロックコポリマーD1又はD2のテトラヒドロフラン中30重量%溶液、11.67gのピラクロストロビンのテトラヒドロフラン中30重量%溶液及び12.5gのエポキシコナゾールのテトラヒドロフラン中20重量%溶液を容器に導入し、この混合物が均質となるまで撹拌を行った。これに28gの脱イオン水を加え、この混合物を60〜65℃に加熱し、テトラヒドロフランを2〜3時間で蒸発させた。水を加えることにより水の量をおよそ27±1.5gに維持した。混合物をこの後周囲温度まで冷却させ、その後8.11gのポリマーPの水中14.8重量%溶液を撹拌しながら加えた。このようにして、以下の組成を有する水性製剤を得た:
【0219】
30重量%のブロックコポリマーD1又はD2
10重量%の活性化合物(重量比7:5のピラクロストロビン/エポキシコナゾール)
2重量%のポリマーP及び
58重量%の脱イオン水
【0220】
結晶の生成についてそれぞれの製剤を毎日1週間調べた。続いて、1週間の間隔で、全部で4ヶ月間観察を続けた。時には、結晶化が、異なる形態で開始した。少量の沈殿物が生成したか、結晶化が製剤の完全固化をもたらしたかのどちらかであった。
【0221】
この調査の結果は表2に順に並べられている。
【0222】
実施例C26〜C31及び32〜40:水性製剤を調製するための一般仕様II
【0223】
活性化合物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。ポリマーP及び界面活性物質を水に溶解させた。この活性化合物溶液及びポリマー溶液を続いて国際公開第2008/031780号パンフレットの実施例1と同じようにしてYミキサーを用いて混合した。この後テトラヒドロフランを減圧下で除去した。得られた活性化合物懸濁液に、製剤の全体重量を基準にして1重量%の、調製実施例17からのブロックコポリマーD1を加えた。詳細(活性化合物及び溶媒の量、ポリマー溶液の濃度、及び混合比)は表3に記載されている。
【0224】
比較の目的のために、ポリマーPに代えて、以下の界面活性物質を表3に記載されている量で含む製剤を調製した。
【0225】
CP−1: 6:4の重量比にある1−ビニル−2−ピロリドンとビニルアセタートのコポリマー(BASF SE社から販売のLuvitec VA 64)
CP−2: Cremophor(登録商標)CO40(PEG−40水素化ヒマシ油;CAS No.61788−85−0)
【0226】
ブロックコポリマーを組み込むことなしに、実施例C26〜C31及び32〜40と同様にして水性製剤C26a〜C31a及び32a〜40aを調製した。このようにして、活性化合物を懸濁形態で含む水性製剤を得た。このようにして調製した懸濁液の安定性は、各度、実施例C26〜C31及び32〜40で観察された安定性に対応していた。
【0227】
表2:
【表2】



【0228】
表3:
【表3】


1) 溶液中のポリマーの濃度は重量パーセント
2) 活性化合物大結晶の生成、これは活性化合物が堆積したもの、つまり溶液から活性化合物が分離したものであって、その結果単なる撹拌又は震盪では再分散はもはや可能でない
3) 活性化合物小粒子が生成したもので、水に懸濁されている。活性化合物粒子は、非晶質形態、結晶質形態、又は非晶質形態と結晶質形態の混合形態を呈し得るものである。周囲温度での1ヶ月の保存時間内では活性化合物の堆積は観測することができなかった
C:比較用試験
【0229】
製剤実施例C41、42、43、C44、45、C46及び47では以下の物質を用いた:
【0230】
分散剤:エチレンオキシド/プロピレンオキシドトリブロックコポリマー
湿潤剤:ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物(ナトリウム塩)
凍結防止剤:プロピレングリコール
消泡剤:Wacker社のシリコーン系消泡剤Silfoam
増粘剤:キサンタンガム
殺菌剤:置換されたイソチアゾリン−3−オン(Thor Chemie社のActicide MBS)
ポリマーP:調製実施例5からのポリマーP−5
脂肪アルコールアルコキシラート:C12〜C14−アルカノールのエトキシラート−co−プロポキシラート
【0231】
実施例C41、42及び43:本発明による懸濁液コンセントレートのミリング法による調製(一般仕様)
【0232】
65.3重量部(又は比較実施例C41では68.3部)の脱イオン水を撹拌器が付いた容器に導入した。続いて、3重量部の分散剤、4重量部の湿潤剤、2重量部の凍結防止剤、0.5重量部の消泡剤及び適切であれば3重量部のポリマーP(ポリマーP−5)を加えた。完全に分散させてから、撹拌しながらエポキシコナゾールを粉末で加えた。この粗製のディスパージョンをこの後コロイドミルを用いて予備ミリングし、続いてビーズミルで所望の最終の微細度までミリングした。助剤はまだ無しで、0.2重量部の殺菌剤及び2重量部の増粘剤を、その後この微細懸濁液に組み入れた。
【0233】
実施例C41ではポリマーPは加えなかった。
【0234】
実施例43ではポリマーP−5をミリングの後に加えた。
【0235】
製剤を40℃にて保存した。サンプル中の活性化合物の保存前及び保存後の粒子サイズ分布を、水で希釈した後、レーザー光散乱(PSD、Malvern Mastersizer 2000装置)により測定した。結果は表4に順に並べられている。表4中、d50は、光散乱によって測定される、体積平均粒子直径である。d90値は、90体積%の粒子がそれ以下に入る粒子直径である。
【0236】
表4
【表4】

C=比較実施例
【0237】
実施例C44:ボスカリドを含み、ポリマーPは含まない懸濁液コンセントレート(本発明に従うものではない)
調製は、実施例C41に対して記載した仕様と同じようにして行った。得られた懸濁液コンセントレートは以下の組成を呈するものであった:
【0238】
ボスカリド 500g/l
プロピレングリコール 70g/l
湿潤剤 20g/l
分散剤 30g/l
消泡剤 5g/l
増粘剤 2g/l
殺菌剤 2g/l
水 1リットルに十分量
【0239】
実施例45:ボスカリドを含み、ポリマーPを含む懸濁液コンセントレート
調製は、実施例42に対して記載した仕様と同じようにして行った。得られた懸濁液コンセントレートは以下の組成を呈するものであった:
【0240】
ボスカリド 500g/l
プロピレングリコール 70g/l
湿潤剤 20g/l
分散剤 30g/l
ポリマーP−5 30g/l
消泡剤 5g/l
増粘剤 2g/l
Acticide MBS 2g/l
水 1リットルに十分量
【0241】
各ミリング工程の後、懸濁液を粒子サイズに関して、実施例C41、42及び43に対して上記で述べたようにして調べた。さらには、サンプルを、各回、20℃、30℃、40℃及び50℃に12週間保存し、その粒子サイズを続いて光散乱により測定した。結果は表5に順に並べられている。
【0242】
表5:
【表5】

【0243】
したがって、表5のデータから、ミリングの際にポリマーPを加えることによって、同じ微細度(d50<1.5μm;d90<3.5μm)を達成するためにはおよそ2回少ないミリング通過が必要になることから、微細ミリングのための時間が低減され得ることになる。さらには、さまざまな温度での保存の間の粒子成長が遅らせられた。
【0244】
実施例C46:ボスカリド、エポキシコナゾール及びアジュバントを含み、ポリマーPは含まない懸濁液コンセントレート(本発明に従うものではない)
調製は、実施例C41に対して記載した仕様と同じようにして行った。得られた懸濁液コンセントレートは以下の組成を呈するものであった:
【0245】
ボスカリド 230g/l
エポキシコナゾール 50g/l
脂肪アルコールアルコキシラート 150g/l
プロピレングリコール 70g/l
湿潤剤 30g/l
分散剤 20g/l
消泡剤 8g/l
増粘剤 2g/l
殺菌剤 2g/l
水 1リットルに十分量
【0246】
実施例47:ボスカリド、エポキシコナゾール及びアジュバントを含み、ポリマーPを含む懸濁液コンセントレート
調製は、実施例42に対して記載した仕様と同じようにして行い、脂肪アルコールアルコキシラートは共ミリングされたものであった。得られた懸濁液コンセントレートは以下の組成を呈するものであった:
【0247】
ボスカリド 230g/l
エポキシコナゾール 50g/l
脂肪アルコールアルコキシラート 150g/l
プロピレングリコール 70g/l
湿潤剤 30g/l
分散剤 20g/l
ポリマーP−5 20g/l
消泡剤 8g/l
増粘剤 2g/l
殺菌剤 2g/l
水 1リットルに十分量
【0248】
懸濁液コンセントレートを粒子サイズに関して、実施例C41、42及び43に対して上記で述べたようにして調べた。さらには、サンプルを、各回、20℃、30℃及び40℃に12週間保存し、その粒子サイズを続いて光散乱により測定した。結果は表6に順に並べられている。
【0249】
表6:
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)アクリル酸及びメタクリル酸から選択される少なくとも1種のモノマーM1を、モノマーMの全体重量を基準にして少なくとも10重量%;及び
ii)1種以上の非イオン性モノマーM2を、モノマーMの全体重量を基準にして最大で90重量%;
含み、
モノマーM1及びM2がモノマーMの少なくとも70重量%を構成している、
モノエチレン性不飽和モノマーMから生成されるホモ−及びコ−ポリマーPの、
水に対して難溶性の有機活性化合物を、界面活性物質を含んでいる水性組成物中に安定化させるための使用。
【請求項2】
ホモ−又はコ−ポリマーPが、ホモ−又はコ−ポリマーP中に存在するカルボキシル基を基準にして0〜90%の中和度を呈するものである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ホモ−又はコ−ポリマーPが、500〜200,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を呈するものである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
少なくとも1種のモノマーM1及び少なくとも1種のモノマーM2を含むモノエチレン性不飽和モノマーMから生成されるコポリマーPの請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
モノマーM2が、水への溶解度が25℃で少なくとも1g/lである非イオン性モノエチレン性モノマーから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
モノマーM2が、C〜C−アルキルアクリラート、C〜C−アルキルメタクリラート、ヒドロキシ−C〜C−アルキルアクリラート、ヒドロキシ−C〜C−アルキルメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸のN−C〜C−アルキルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸のN,N−ジ−C〜C−アルキルアミド、脂肪族C〜C−カルボン酸のビニルエステル、C〜C−アルキルビニルエーテル及びN−ビニルラクタムから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
モノマーM2が、メチルアクリラート及びメチルメタクリラートから選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
モノマーM2が、ヒドロキシ−C〜C−アルキルアクリラート、ヒドロキシ−C〜C−アルキルメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド及びN−ビニルラクタムから選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
モノマーMが、
i)少なくとも1種のモノマーM1を、モノマーMの全体重量を基準にして50〜95重量%、
ii)少なくとも1種のモノマーM2を、モノマーMの全体重量を基準にして5〜50重量%
含む、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
ホモ−又はコ−ポリマーPが、安定化させる活性化合物を基準にして5〜2000重量%の量で用いられる、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
組成物が、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している少なくとも1種の界面活性物質を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
界面活性物質が、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基、及びモノエチレン性不飽和モノマーから生成される少なくとも1個のポリマー鎖を有している少なくとも1種のブロックコポリマーを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
組成物が、少なくとも1種の界面活性物質を、活性化合物の1重量部を基準にして0.1〜10重量部の量で含む、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
活性化合物が、植物体防護用活性化合物から選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
少なくとも1種の活性化合物が、アゾール系殺菌剤、カルボキサミド及びストロビルリンからなる群からの活性化合物から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
a)請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーP、
b)少なくとも1種の界面活性物質、及び
c)水に対して難溶性の少なくとも1種の有機活性化合物
を含む、活性化合物組成物。
【請求項17】
活性化合物水性組成物の形態である、請求項16に記載の活性化合物組成物。
【請求項18】
a)0.01〜15重量%の少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーP、
b)1〜50重量%の少なくとも1種の界面活性物質、
c)0.1〜80重量%の少なくとも1種の有機活性化合物、及び
d)場合により水
を含む、請求項16又は17に記載の活性化合物組成物。
【請求項19】
1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基を有している少なくとも1種の界面活性物質を含む、請求項16〜18のいずれかに記載の活性化合物組成物。
【請求項20】
界面活性物質が、1個以上のポリ−C〜C−アルキレンエーテル基、及びモノエチレン性不飽和モノマーから生成される少なくとも1種のポリマー鎖を有している少なくとも1種の両親媒性コポリマーを含む、請求項16〜19のいずれかに記載の活性化合物組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の界面活性物質を、活性化合物の1重量部を基準にして0.1〜10重量部の量で含む、請求項16〜20のいずれかに記載の活性化合物組成物。
【請求項22】
活性化合物が、植物体防護用活性化合物から選択される、請求項16〜21のいずれかに記載の活性化合物組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の活性化合物が、アゾール系殺菌剤、カルボキサミド及びストロビルリンからなる群からの活性化合物から選択される、請求項22に記載の活性化合物組成物。
【請求項24】
請求項16〜23のいずれかに記載の活性化合物組成物を希釈することによって得ることができる、
a)請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーP、
b)少なくとも1種の界面活性物質、
c)水に対して難溶性の少なくとも1種の植物体防護用有機活性化合物、及び
d)水、
を含む、活性化合物水性調製物。
【請求項25】
少なくとも1種のホモ−又はコ−ポリマーPを、活性化合物調製物の全体重量を基準にして0.01〜5重量%含む、請求項24に記載の活性化合物調製物。
【請求項26】
植物有害生物を防除するための請求項22もしくは23に記載の活性化合物組成物又は請求項23もしくは24に記載の活性化合物調製物の使用。
【請求項27】
水に対して難溶性の有機活性化合物を水性組成物中に分散させるための請求項1〜9のいずれかに記載のホモ−又はコ−ポリマーPの使用。
【請求項28】
ホモ−又はコ−ポリマーPが、活性化合物の1重量部を基準にして0.05〜20重量部の量で用いられる、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
活性化合物が、植物体防護用活性化合物から選択される、請求項27又は28に記載の使用。
【請求項30】
少なくとも1種の活性化合物が、アゾール系殺菌剤、カルボキサミド及びストロビルリンからなる群からの活性化合物から選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
水に対して難溶性の有機活性化合物の水性ディスパージョンの調製方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載のホモ−又はコ−ポリマーPの水性溶液を、活性化合物の有機溶媒中溶液と混合すること、及びその有機溶媒を除去すること、を含む方法。
【請求項32】
水に対して難溶性の有機活性化合物の水性ディスパージョンの調製方法であって、活性化合物の水性懸濁液を、請求項1〜9のいずれかに記載のホモ−又はコ−ポリマーPの水性溶液中でミリングすることを含む方法。
【請求項33】
請求項31又は32に記載の方法によって得ることができる、水に対して難溶性の有機活性化合物の水性ディスパージョン。

【公表番号】特表2010−532332(P2010−532332A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514006(P2010−514006)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058711
【国際公開番号】WO2009/007328
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】