説明

流し台

【課題】流し台の前面に設けたアシストバー(もたれバーや手すりバー)の下方のスペースを、タオル等の物品を掛けるスペースとして有効活用する流し台を実現する。
【解決手段】流し台1は、キャビネット2の前面部に、使用者が身体を凭れさせることが可能なアシストバー3を備えており、アシストバー3の下方に所定の間隔を隔てて物品吊り下げバー4を備え物品吊り下げバー4の最前面は、アシストバー3の最前面よりキャビネット2側に位置している。物品吊り下げバー4は2本設けた構成としてもよく、その場合は、後方の物品吊り下げバー4は、前方の物品吊り下げバー4より上方に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台に関し、特に、キャビネットの前面部に設けたアシストバーの下方に物品吊り下げバーを設けた流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流し台の前面に使用者が凭れかけるバーを取り付けた構成は知られている。例えば、流し台の幕板にサイドカバーを備えた収納兼サポート用部材を設けたものが知られている(特許文献1参照)。また、流し台の幕板にもたれバーを設け、もたれバーにスイッチ装置を設けたものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
さらに、流し台において、幕板に手すりバーを設けたものが知られている(特許文献3参照)。また、カウンターの前面にタオル掛けを埋め込み、出し入れ自在に収納したものが知られている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2007−000162号公報
【特許文献2】特開2002−153339号公報
【特許文献3】特開平08−000375号公報
【特許文献4】実開平03−129332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前面にもたれバーや手すりバーを設けた流し台では、タオルを掛ける手段がなく、もたれバーや手すりバーにタオルを掛けたりすることもあるが、清潔上も好ましくない。また、流し台の前面にもたれバーや手すりバーを設けた構成では、その下方に役に立たないスペース(デッドスペース)が生じる。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、流し台の前面に設けたアシストバー(もたれバーや手すりバー)の下方のスペースを、タオル等の物品を掛けるスペースとして有効活用可能な流し台を実現すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、キャビネットの前面部に、使用者が身体を凭れさせることが可能なアシストバーを備えた流し台であって、アシストバーの下方に所定の間隔を隔てて物品吊り下げバーを備えたことを特徴とする流し台を提供する。
【0007】
上記物品吊り下げバーの最前面は、アシストバーの最前面よりキャビネット側に位置していることが好ましい。
【0008】
上記物品吊り下げバーは前方の物品吊り下げバーと後方の物品吊り下げバーの2本設けられており、後方の物品吊り下げバーは、前方の物品吊り下げバーより上方に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、キャビネット前面部に取り付けたアシストバーの下方に物品吊り下げバーを設けたので、簡単な構成で、アシストバーの下方のスペースを物品の吊り下げスペースとして有効活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る流し台を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図1、2において説明する。本発明は、流し台1において、キャビネット2の前面部に、使用者が身体を凭れさせることが可能なアシストバー3を備えており、アシストバー3の下方に所定の間隔を隔てて物品吊り下げバー4を設けたことを特徴とする。
【0012】
図1(a)は、流し台1の要部の側面図を示しており、キャビネット2の上にワークトップ5が載置されており、キャビネット2の前面に幕板6が取り付けられた構成を示している。幕板6の前面には、図1(a)、(b)に示すように、左右一対のサイドカバー7が取り付けられている。
【0013】
サイドカバー7を幕板6に固定する構成は、いろいろな態様があるが、本実施例では、図1(a)、図2(a)に示すように、サイドカバー7に内側に折り返し取付部8を形成しておき、この取付部8を幕板6にネジ9で固定する構成としている。折り返し取付部8を設けることなく、図1(c)に示すように、幕板6の端壁10を直接、ネジ9で固定する構成としてもよい。
【0014】
左右一対のサイドカバー7の間にアシストバー3が装着される。サイドカバー7へのアシストバー3の取り付け構造を、図1(b)において説明する。アシストバー3を装着するサイドカバー7の内側面に、アシストバー3の端部を嵌入する凹部11が形成されている。アシストバー3は、その端部が凹部11内に嵌合され、サイドカバー7の外側面側からネジ13でサイドカバー7に固定される。
【0015】
この発明の流し台1では、アシストバー3の下方であって、左右一対のサイドカバー7の間に、図1(a)、(b)及び図2(a)に示すように、所定の間隔を隔てて物品吊り下げバー4が挟持されて装着されている。物品吊り下げバー4は、金属、木、樹脂等で形成された棒又はパイプ等が使用される。例えば、アルミニウム製のパイプ表面に樹脂膜を塗布した部材等が使用される。
【0016】
サイドカバー7への物品吊り下げバー4の取り付け構造を、図1(b)に示す。サイドカバー7の内側面に、物品吊り下げバー4の端部を嵌入する凹部12が形成されている。物品吊り下げバー4は、その端部が凹部12内に嵌入され、アシストバー3がサイドカバー7にネジ13で固定される際に、左右一対のサイドカバー7間に挟持される。
【0017】
物品吊り下げバー4の最前面4’は、アシストバー3の最前面3’よりキャビネット2側の位置に取り付けられている。即ち、図1(a)に示すように、サイドカバー7の側方から見て、物品吊り下げバー4の取り付けの取り付け位置は、サイドカバー7の前面より後方の位置(内側の位置)である。
【0018】
このような構成にすることで、使用者がアシストバー3に凭れていても、物品吊り下げバー4自体、又は物品吊り下げバー4に吊り下げられる物品(例.タオル、炊事用手袋等)が、使用者に接触しにくく邪魔にならず、又、衛生的でもある。
【0019】
そして、アシストバー3と物品吊り下げバー4の所定の間隔dは、物品吊り下げバー4に吊り下げるいろいろな物品を想定して設計されるべきである。例えば、タオル14を掛けて使用するような場合(図2(a)参照)は、タオル14が簡単に挿通できる20〜40mm程度にするとよい。
【0020】
以上の構成から成る流し台1では、幕板6が前方に張り出すように装着されたアシストバー3の下方に物品吊り下げバー4を設けたので、アシストバー3の下方のスペースを有効に活用することができる。
【0021】
例えば、図2(a)は、物品吊り下げバー4にタオル14を掛けた使用例を示す。また、図2(b)は、物品吊り下げバー4にフック15を付けて、このフック15に、例えば、袋16や炊事用手袋17等の物品を引っ掛けるようにして利用した使用例を示す。
【実施例2】
【0022】
図3(a)、(b)は、本発明の実施例2の流し台18を示す。この実施例2の流し台18は、実施例1とほぼ同じ構成であり、共通の構成については説明を省略する。実施例2の流し台18は、アシストバー3の下方に、2本の物品吊り下げバー19、20を設けた構成をさらに特徴とする。
【0023】
この実施例2については、前方の物品吊り下げバー19の最前面19’を、アシストバー3の最前面3’よりキャビネット2側の位置に取り付けている。また、後方の物品吊り下げバー20は、前方の物品吊り下げバー19より若干上方に設けることで、後方に吊り下げている物品(例.タオル等)も見やすくしている。
【実施例3】
【0024】
図4は、本発明の実施例3の流し台21を示す。この実施例3の流し台21は、実施例1とほぼ同じ構成であるが、実施例1と異なり特徴的な構成は、流し台21の幕板22と左右のサイドカバー23が一体となって形成されており、左右のサイドカバー23の間に物品吊り下げバー4が挟持されて装着されている構成である。アシストバー3及び物品吊り下げバー4を装着の際に、左右のサイドカバー23は若干、押し広げられるように弾力性を持たせておく。
【0025】
この流し台21では、実施例1と同様で図4(b)に示すように、アシストバー3は、その端部がサイドカバー23内側面に形成された凹部24に嵌入されて、外側からネジ止めされて固定されている。また、物品吊り下げバー4は、その端部がサイドカバー23内側面に形成された凹部25に嵌入されて取り付けられている。
【実施例4】
【0026】
図5は、本発明の実施例4の流し台26を示す。前記特許文献1には、シンクの前方のスペースに、収納兼サポート用幕板を配設した流し台が記載されている。この実施例4は、特許文献1記載の発明と同様に収納兼サポート用幕板を備えた流し台を前提とする構成である。
【0027】
即ち、この実施例4の流し台26は、図5(a)に斜視図で示すように、収納兼サポート用幕板28が流し台1の前側に装着されている。収納兼サポート用幕板28は、図5(b)に斜視図を示すような収納兼サポート用部材29を備えている。収納兼サポート用部材29は、その一部にアシストバー30を備えており、カバー31が被嵌される。この収納兼サポート用部材29は、図5(c)に示すような固定片32によって、キャビネット33に取り付けられている。
【0028】
収納兼サポート用部材29の左右両側に左右のサイドカバー34が嵌着されて取り付けられる。この左右のサイドカバー34の間に、物品吊り下げバー35が装着される。物品吊り下げバー35を左右のサイドカバー34に装着する構成は、実施例1と同様であり、サイドカバー34の内側面に凹部36が形成され、この凹部36に物品吊り下げバー35の端部を嵌入するものである。なお、37は収納兼サポート用幕板28の棚部38に収納されている物品を示している。
【0029】
以上、本発明に係る流し台を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る流し台のアシストバー及び物品吊り下げバーは、流し台に限らず、作業用流し台1、洗面台等にも利用可能であり、これらも本願の権利範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1の構成を説明する図であり、(a)は流し台の要部の側面図((b)において、サイドカバーの右側方から見た図)であり、(b)は(a)のA−A断面図である。(c)は、サイドカバーの別の取り付け構造を説明する図であり、サイドカバーの一部破断図を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の使用例を説明する図であり、(a)は物品吊り下げバーにタオルを掛けた様子を示し、(b)は物品吊り下げバーにフックを掛けて、これに袋や炊事用手袋等の物品を掛けた様子を示す。
【図3】本発明の実施例2の構成を説明する図であり、(a)は流し台の要部側面図であり、(b)は流し台の要部正面図である。
【図4】本発明の実施例3の構成を説明する図であり、(a)は流し台の斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図5】本発明の実施例4の構成を説明する図であり、(a)は流し台の斜視図であり、(b)は収納兼サポート用部材の斜視図であり、(c)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1、18、21、26 流し台
2、33 キャビネット
3、30 アシストバー
4、19、20、35 物品吊り下げバー
5 ワークトップ
6、22 幕板
7、23、34 サイドカバー
8 折り返し取付部
9 ネジ
10 幕板の端壁
11、12、24、25 サイドカバーの凹部
13 ネジ
14 タオル
15 フック
16 袋
17 炊事用手袋
d アシストバーと物品吊り下げバーの間隔
4、25、36 サイドカバーの内側面に形成された凹部
27 シンク
28 収納兼サポート用幕板
29 収納兼サポート用部材
31 カバー
32 固定片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの前面部に、使用者が身体を凭れさせることが可能なアシストバーを備えた流し台であって、アシストバーの下方に所定の間隔を隔てて物品吊り下げバーを備えたことを特徴とする流し台。
【請求項2】
請求項1記載の流し台であって、物品吊り下げバーの最前面は、アシストバーの最前面よりキャビネット側に位置していることを特徴とする流し台。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流し台であって、物品吊り下げバーは前方の物品吊り下げバーと後方の物品吊り下げバーの2本設けられており、後方の物品吊り下げバーは、前方の物品吊り下げバーより上方に位置していることを特徴とする流し台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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