説明

流体を制御するための弁

【課題】通常作動時に作動条件に応じて弁座との機械的接触をもたらし得る揺動が閉鎖体で生じ、これにより、閉鎖体に機械的負荷が加えられる。じ箇所で連続的な接触が生じた場合、閉鎖体に損傷が生じる場合がある。
【解決手段】閉鎖体(2)と弁座(3)とを備え、鎖体(2)が球面キャップ状の終端部(20)を備え、閉鎖体(2)が弁座(3)で通路(4)を開閉し、閉鎖体(2)が支承部(25)に回転可能に支承されており、閉鎖体(2)が、閉鎖体(2)の表面に形成された少なくとも1つの外形部を備え、外形部が、閉鎖体(2)を回転させるように構成されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖体に向けて加えられる回転力によって流体を制御するための弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を制御するための弁は、従来技術により様々な構成で既知であり、特に、例えば、自動車のアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)のための吸込弁として使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの弁では通常作動時に作動条件に応じて、弁座との機械的接触をもたらし得る揺動が閉鎖体に生じ、これにより、閉鎖体に機械的負荷が加えられる。同じ箇所で連続的な接触が生じた場合、閉鎖体に損傷が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに対して、請求項1に記載の特徴を有する流体を制御するための本発明による電磁弁は、閉鎖体の幾何学形状に基づいて弁体に対して閉鎖体の連続的な位置変化が引き起こされるという利点を有する。これにより、通常作動時に閉鎖体が揺動した場合に閉鎖体の周囲の同じ箇所に常に負荷が加えられることが防止される。これは、本発明によれば、弁が弁座と閉鎖体とを備え、閉鎖体が球面キャップ状の終端部を備え、閉鎖体が弁座で通路を開閉することにより達成される。さらに、支承部に回転可能に支承された閉鎖体は、閉鎖体の表面に形成された、弁開放時に閉鎖体を回転させる少なくとも1つの外形部を備える。これにより、場合によって生じる機械的負荷を閉鎖体の周囲にわたって分配させることができる。これにより、温度に依存したプラスチック材料により形成されることの多い閉鎖体の耐用寿命が著しく高められる。この弁は、有利には、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)における調節弁/吸込弁として使用可能である。
【0005】
従属請求項は、本発明の好ましい改良形態を示す。
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、外形部はコイル状に周回する凹部である。これにより、閉鎖体の周囲を流れる流体流の一部はコイル状に周回する凹部を流れ、この場合に閉鎖体の長手方向軸線を中心とした回転力を生成する。閉鎖体の回転により、通常作動時に揺動によって生じる場合のある弁座との接触は、球面キャップ状の終端部周囲の常に異なる箇所で生じる。
【0007】
有利には、コイル状に周回する凹部は、凹部に流入する流れに好都合に形成された(流れ抵抗を生じさせないようにされた)流入部を備える。これにより、流体流はできるだけ小さい抵抗により、もしくは渦流なしに凹部に流入する。
【0008】
本発明の別の有利な実施形態では、外形部は一定の傾斜でコイル状に周回するエッジまたはコイル状に周回する、閉鎖体から突出した突出部である。エッジもしくは突出部で生じる流体流は、ここではエッジもしくは突出部表面に力を生成する。この場合、閉鎖体に接線方向に作用するそれぞれの力成分は、閉鎖体の長手方向軸線に関してトルクを生成し、このトルクは閉鎖体の回転を誘起する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、エッジまたは突出部は少なくとも360°にわたってコイル状に周回する形で形成されている。これにより、閉鎖体の実質的に安定した回転が、できるだけ閉鎖体が中心軸線方向からそれることなしに得られる。
【0010】
さらに好ましくは、閉鎖体の表面から外形部への移行部は流れに好都合に形成されている。これにより、渦流形成が少なく、抵抗の小さい密着した流体流が可能となる。
【0011】
有利には、外形部は、球面キャップ状の終端部に設けられたシール線の後に貫流方向に始まる。これにより、閉鎖体と弁座との間の確実なシールが絶えず確保される。さらに、これにより外形部の領域における弁座と閉鎖体との間の機械的接触は不可能である。
【0012】
さらに好ましくは、外形部の幾何学形状は一様であり、および/または外形部は一定の傾斜を備える。これにより、実質的に対称的な力比もしくは流体比が保障され、通常作動時に流体流内で回転する閉鎖体のぐらつきが実質的に防止される。代替的に、外形部の傾斜を変化させてもよい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、閉鎖体は貫流方向に連続的に拡大する領域を備え、この領域に外形部が形成されている。これにより、貫流方向に増大する接線方向力が閉鎖体で生成される。さらに、これにより、特に流れに好都合な、閉鎖体の周囲に密着した流れが得られ、こうした流れが正確で確実な通常作動を可能にする。
【0014】
有利には、弁は非通電状態で開かれたまたは閉じられた弁である。
【0015】
次に、本発明の実施例を添付の図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例にしたがって本発明による弁を部分的に断面して示す概略図である。
【図2】図1の弁の閉鎖体を示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施例にしたがって本発明による弁を示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施例にしたがって本発明による弁を示す概略的である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図1および図2に基づき本発明の好ましい第1実施例による流体を制御するための弁1を詳細に説明する。
【0018】
図1は、閉鎖体2および弁座3を備える弁1を示す。閉鎖体2は支承部25で回動可能に支承されており、球面キャップ状に構成された終端部20を備える。代替的には、閉鎖体は円筒状の弁インサートで支承され、案内されている。中心軸線がX−Xで示されている。図1は、部分的に開かれた行程位置で弁1を示し、この行程位置で、流体は高圧により中心軸線X−Xの方向に案内される。流体流は矢印によって示した貫流方向Sに、閉鎖体2で、閉鎖体2と弁座3との間で開放されたリング状通路4に向けて変向される。
【0019】
閉鎖体2は、表面にコイル状に周回する凹部21の形態の外形部を備え、この外形部は閉鎖体2の連続的に拡大する連続拡大部27に形成されている。コイル状に周回する凹部21は連続拡大部27にわたって一定の傾斜および一様な幾何学形状を備える。凹部21は、球面キャップ状の終端部20に設けられたシール線5の後方から貫流方向Sに始まり、流れに好都合に形成された流入部26を備え、この流入部26を通って矢印で示した部分流体流STが流入し、凹部21を流れる。
【0020】
図1からさらにわかるように、凹部21は540°(1.5回転)の角度範囲にわたって閉鎖体2に形成されている。次いで部分流体流STは流出部28で再び凹部21から流出する。
【0021】
コイル状に周回する凹部21の形状に基づいて、図2に示すように、凹部21の流体流STによって矢印で示す接線方向力F1,F2,F3,F4,F5が生成される。周方向に作用するこれらの力F1,F2,F3,F4,F5は、矢印により示すように中心線X−Xを中心とした閉鎖体2の時計回りの回転Rを誘起する。この場合、接線方向力F1,F2,F3,F4,F5の大きさは流入部26から始まって、凹部21のコイル状延びに沿って増大する。
【0022】
したがって、本発明による弁1は、閉鎖体2の幾何学形状もしくは外形によって流体流の一部が閉鎖体2に向けて作用する接線方向もしくは周方向の力を生成するという利点を有する。これにより、閉鎖体2は通常作動時に連続的に回転され、揺動する閉鎖体2の当接は球面キャップ状の終端部20の全周に分配される。このようにして閉鎖体2の負荷ならびに閉鎖体2および/または弁座の表面における損傷の危険性を低減することができ、これにより、耐用寿命が著しく高められる。
【0023】
次に図3に関して、本発明の第2実施例による弁1を詳細に説明する。ここでは同じまたは機能的に同じ構成部分には第1実施例と同様の符号を付す。
【0024】
上述の第1実施例とは反対に、この場合には、凹部21の代わりに突出したエッジ22の形態の外形部が設けられており、エッジは閉鎖体2に一定の傾斜で、360°の角度範囲にコイル状に周回する形で形成されている。ここでは、移行部25が貫流方向Sに閉鎖体2の表面からエッジ22まで流れに好都合に形成されている。この場合、閉鎖体2の周囲を流れる際に流体流はそれぞれエッジ22の表面に対して垂直方向に作用する力を生成するが、ここには例示的に力Fのみを示す。図3からわかるように、ここでは力Fの接線方向の力成分FHが中心軸線X−Xを中心とした閉鎖体2の回転Rを引き起こす。
【0025】
次に図4に関して、本発明の第3実施例による弁1を詳細に説明する。同じまたは機能的に同じ構成部分には第1実施例と同様の符号を付す。
【0026】
第2実施例とは異なり、この場合にはエッジ22の代わりに、360°の角度でコイル状に周回する突出した突出部23の形態の外形部が閉鎖体2に設けられている。回転を誘起するためには、ここでは、突出部23で第2実施例の場合と同じ力比が提供される。したがって、これについては上記説明を参照することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 弁
2 閉鎖体
3 弁座
4 通路
20 終端部
21 凹部
22 エッジ
23 突出部
25 支承部
26 流入部
27 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を制御するための弁において、
閉鎖体(2)と弁座(3)とを備え、
前記閉鎖体(2)が球面キャップ状の終端部(20)を備え、
前記閉鎖体(2)が前記弁座(3)で通路(4)を開閉し、
前記閉鎖体(2)が支承部(25)に回転可能に支承されており、
前記閉鎖体(2)が、閉鎖体(2)の表面に形成された少なくとも1つの外形部を備え、
該外形部が、前記閉鎖体(2)を回転させるように構成されていることを特徴とする、流体を制御するための弁。
【請求項2】
前記外形部が、コイル状に周回する凹部(21)である、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
コイル状に周回する前記凹部(21)が、流れに好都合に形成された流入部(26)を備える、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記外形部が、コイル状に周回するエッジ(22)であるか、またはコイル状に周回する、前記閉鎖体(2)から突出した突出部(23)である、請求項1に記載の弁。
【請求項5】
前記エッジ(22)または前記突出部(23)が、少なくとも360°にわたってコイル状に周回する形で形成されている、請求項4に記載の弁。
【請求項6】
前記閉鎖体(2)の表面から前記外形部への移行部(25)が、流れに好都合に形成されている、請求項4または5に記載の弁。
【請求項7】
前記外形部が、球面キャップ状の前記終端部(20)に設けられたシール線(5)の後方で貫流方向(S)に始まる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の弁。
【請求項8】
前記外形部の幾何学形状が一様であり、および/または前記外形部が一定の傾斜を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記閉鎖体(2)が、連続的に拡大する連続拡大領域(27)を備え、該領域に前記外形部が形成されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の弁。
【請求項10】
前記弁が、非通電状態で閉じられた弁である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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