説明

流体を検知するシステムおよび方法

【課題】食塩水などの流体が、コンタクトレンズの保存用パッケージなどの容器の中に含まれているか否かを判断するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】コンタクトレンズパッケージなどの容器に配される食塩水などの流体は、容器に超音波エネルギーを向けて、その超音波エネルギーの戻り反射を受信することによって、検知され得る。超音波エネルギーおよび戻り反射は、その超音波エネルギーと戻り反射を気流から実質的に隔離するシュラウドを通って伝搬することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、食塩水などの流体が、コンタクトレンズの保存用パッケージなどの容器の中に含まれているか否かを判断するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
コンタクトレンズは、一般的に、プラスチックパッケージの形の容器に入れられて消費者に提供される。典型的なパッケージは、コンタクトレンズを収容するのに適した一つまたは複数のカップを備え、画定している。各カップは、通常、コンタクトレンズを浸す食塩水で満たされており、コンタクトレンズを、水分を与えられた状態に(in a hydrated condition)保つ。コンタクトレンズおよび食塩水がカップ内に入れられた後、カップは、パッケージにあてがわれるアルミニウム箔片または他の適切な材料で被覆されてもよい。包装工程は、通常、プログラマブル論理制御装置または他の適切な制御装置により中央制御される自動装置を用いて実施される。
【0003】
パッケージのカップは、定量の食塩水を放出するポンプを用いて満たされてもよい。中央制御装置は、各ポンプが、関係するカップ(an associated cup)に、ある量の食塩水を放出しているかを検査するよう、プログラムを組み込むことができる。制御装置は、ポンプから食塩水を受け入れるためにカップが位置させられる際に、ポンプが作動しているか監視することにより、この機能を実行することができる。食塩水がカップに送達されたことを確認するため、カップが被覆および密封される前に第2の検査を実施することができる。
【0004】
第2の検査は、カップに向けて赤外線光を放射する光電子近接センサーを用いて実施され得る。食塩水が一定の水位を超えてカップ内に入っている場合、食塩水は、赤外線光を反射する。対して、近接センサーは、予め定められた強さの反射光を検知することができ、この反射光が近接センサーによって測定された場合、食塩水が一定の水位、たとえば半分の目印を超えて入っていることを示すものと解釈されうる。
【0005】
センサーの作用は、センサーとカップの整列に従属している。特に、センサーから放射される赤外線ビームは、カップに食塩水が入っているかを近接センサーが正確に示すために、食塩水のメニスカスの頂点に正確に集中する必要があり得る。近接センサーが最も望ましく機能するために必要な整列の程度は、製造環境においては達成および維持が困難なこともある。
【0006】
また、近接センサーの作用は、食塩水のメニスカスの向きにも従属し得る。例えば、カップの充填の際に、しばしばメニスカスの中で気泡が形成され、メニスカスの向きを変えてしまい、それにより、近接センサーのビームがメニスカスの頂点に集中しなくなる。こうした環境において、センサーは読み間違いを起こすかもしれない。特に、センサーが誤って、パッケージは食塩水を含んでいないと示し、パッケージおよび付属するコンタクトレンズの不当な排除につながることもある。
【0007】
〔発明の概要〕
コンタクトレンズのパッケージなどの容器の中に存在する食塩水などの流体は、容器に超音波エネルギーを向けて、超音波エネルギーの戻り反射(return reflection)を受信することによって検知されうる。超音波エネルギーおよび戻り反射は、超音波エネルギーと戻り反射を気流から実質的に隔離するシュラウド(shroud)を通って伝搬することができる。
【0008】
システムの好ましい実施形態は、食塩水を収容するカップを形成する表面を備えた容器、および、その表面に音波エネルギーを向け、かつ音波エネルギーの戻り反射を検知する超音波センサーを含む。
【0009】
好ましい方法は、食塩水を収容するカップを形成する容器表面に音波エネルギーを向け、音波エネルギーの戻り反射を検知し、さらに、表面へ音波エネルギーを向けてからその音波エネルギーの反射を検知するまでの間の経過時間に基づき、音波エネルギーの発生点とその音波エネルギーの反射点との間の距離を測定することを含む。
【0010】
システムのその他の好ましい実施形態は、カップを画定する表面およびカップに配される流体を有する容器、音波エネルギーを表面に向け、音波エネルギーと流体との接触により発生する戻り反射を検知し、さらに容器表面へ音波エネルギーを向けてから戻り反射を検知するまでの間の経過時間に基づく出力(output)を生成する超音波センサー、ならびに超音波センサーに連結したシュラウドを含む。
【0011】
その他の好ましい方法は、容器のカップにコンタクトレンズを配すること、ポンプ近くの第1の位置にパッケージを搬送すること、ポンプを用いてカップに食塩水を注入すること、パッケージが第1の位置にある時にポンプが作動していたかを判断すること、超音波センサー近くの第2の位置にパッケージを搬送すること、および、容器が第2の位置にある時に、超音波センサーを用いて、音波エネルギーをカップに向け、音波エネルギーの反射を測定することを含む。
【0012】
上記の概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と合わせて読むことにより、さらに深く理解されよう。本発明を説明する目的で、図面は、目下のところ好ましい実施形態を示している。しかしながら、本発明は、図面に開示される特定の手段(instrumentalities)に限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態の詳細な説明〕
図面は、容器つまりパッケージ12における流体を検知するシステム10の好ましい実施形態を示すものである。パッケージ12は、コンタクトレンズ14をエンドユーザーに搬送する間、コンタクトレンズ14を保存するために使用され得る。パッケージ12は、図8に示されるように、半球体のくぼみ、つまりカップ16を画定している。カップ16は、コンタクトレンズ14を収容している。カップ16は、コンタクトレンズ14を浸す食塩水18で満たされ、コンタクトレンズ14を、水分を与えられた状態に(in a hydrated condition)保つ。コンタクトレンズ14および食塩水18がカップ16に入れられた後、カップ16は、アルミニウム箔片20で被覆および密封され得る。パッケージ12の詳細な説明は、専ら例示を目的として本明細書に開示されている。システム10は、パッケージ12とは異なった構成を備えるパッケージを含むことができる。
【0014】
図1に示されるように、コンタクトレンズ14がカップ16内に配された後、パッケージ12は、ポンプステーション26で、食塩水18を充填され得る。パッケージ12は、コンタクトレンズ14および食塩水18が、カップ16の中に入れられるときに、パレット21上に支持され得る。図1、図2および図9に、パレット21が図示されている。パレット21は、5個ずつ2列に配列された10個のパッケージ12を収容することができる。パレット21は、搬送体22により、ポンプステーション26へ、またポンプステーション26から運ばれ得る。
【0015】
図9に示されるように、ポンプステーション26は、パッケージ12の各カップ16に、ある量の食塩水18を注入するための複数のポンプ28を含んでいる。少量(nominal dose)の食塩水18は、カップ16の上端部から約1.0mm(0.039インチ)以内のところまでカップ16を満たす。
【0016】
図10に示されるように、ポンプ28、搬送体22、および、コンタクトレンズ14の包装に関連する他の機器は、プログラマブル論理制御装置(PLC)30などの中央制御装置に伝達的に(communicatively)連結され得る。PLC30は、コンタクトレンズ14の全包装工程を調整することができる。PLC30は、食塩水18が、ポンプ28によってパレット21上の各パッケージ12に注入されたかという、第1の検査を実施することができる。特に、PLC30は、パレット12がポンプステーション26の下に配された際に、各ポンプ28が作動しているかを検査するよう、プログラムを組み込むことが可能である。PLC30は、ポンプ28のうち一つまたは複数のポンプが作動していないとPLC30が判断する場合、特定のパレット21上のすべてのパッケージ12を不良品として分類するよう、プログラムを組み込むことができる。不良品と指定されたパッケージ12は、その後、廃物として廃棄され得る。
【0017】
図1〜図5に示されるように、システム10は、複数の超音波センサー23、および据付構造部(mounting structure)24を含む。センサー23は、各パッケージ12の食塩水18の水位が、予め定められた水位を超えていることを確認できる。これにより、センサー23は、特定のパレット21上の各パッケージ12に食塩水18が添加されたことを確認する第2の検査として作動することができる。必要な場合、PLC30は、PLC30による第1の充填検査の際に不良品と指定されたパッケージ12に対して、この第2の検査が実施されないようにプログラムを組み込むことができる。
【0018】
図1〜図3に示されるように、センサー23は、据付構造部24のプレート部材27に設置されている。センサー23は、プレート部材27に設置される際、アレイ(array)29を形成する。図2および図3にあるように、センサー23は、例えば、関係する(associated)センサー23のハウジング108上に形成された相補的なねじ筋(complementary threads)に係合するねじ筋を有するナット31を用いて設置され得る。
【0019】
システム10は、例えば、10個のパッケージ12の中の食塩水18の各水位を同時に計測できるように、5個ずつ2列に配列された10個のセンサー23を含むことができる。アレイ29で10個のセンサー23を使用することは、専ら例示を目的として述べられている。本発明の原理は、一つのセンサー、および10個より多いか、または少ないセンサーを有するセンサーアレイにおいて適用が可能である。
【0020】
ポンプステーション26(図1および図9を参照)においてカップ16が充填された後、搬送体22は、パレット21をセンサー23のアレイ29の下の位置に移動させる。パレット21がアレイ29の下に位置させられる際に、センサー23の各々が、関係する(associated)パッケージ12と整列できるように、センサー23は、プレート部材27上に配列されている。代表的な例では、同列内の隣接するセンサー23の中心間の間隔は、約30.00mm(1.181インチ)であり、二列の中心間の間隔は、約50.00mm(1.969インチ)であってよく、パレット21上のパッケージ12の間隔と実質的に整合している。
【0021】
据付構造部24は、パレット21の上のセンサー23のアレイ29およびブラケット部材27を支持している。以下に説明するように、センサー23が、対応するパッケージ12に対してもっとも望ましく位置させられるように、ブラケット部材27の位置は、パレット21に対して調節され得る。
【0022】
図1〜図4に示されるように、据付構造部24は、好ましくは、二つのブラケット組立体50および二つのベース部材52を含む。各ブラケット組立体50は、留め具56などの適切な手段によって、関係する(associated)ベース部材52に固定される、実質的にL字型をした下部ブラケット54を含むことができる。留め具56は、各下部ブラケット54に形成されたスロット58に収容されてもよい。図3に示されるように、スロット58は、プレート部材27の長さ方向に対し実質的に直角をなす第1の方向に延びている。この特質により、センサー23の位置は、パレット21(およびパッケージ12)に対し、第1の方向に調節可能となる。
【0023】
据付構造部24は、実質的にL字型をした二つの上部ブラケット60をさらに含んでいる。各上部ブラケット60は、ベース部材52に固定された下部ブラケット54を固定するために使用される留め具56と同様の、または実質的に同一の留め具56など、適切な手段によって、対応する下部ブラケット54に固定されている。各下部ブラケット54は、これらの留め具56を収容するために、下部ブラケットの上部端近くに形成されたスロット62を有している(図1、図4および図9を参照)。スロット62はそれぞれ、(図4の視点からみた)垂直方向と実質的に同一の第2の方向に延びている。この特質により、上部ブラケット60(およびプレート部材27およびセンサー23)の位置は、パレット21に対して、第2の(垂直)方向に調節可能となる。
【0024】
各上部ブラケット60は、ベース部材52に固定された下部ブラケット54を固定するために使用される留め具56と同様の、または実質的に同一の留め具56など、適切な手段によって、プレート部材27の対応する端部に固定されている。図1および図3に示されるように、プレート部材27は、関係する(associated)留め具56を収容するため、プレート部材27に形成されるスロット66を有している。スロット66はそれぞれ、プレート部材27の長さ方向と実質的に同一の第3の方向に延びている。この特質により、センサー23の位置は、パレット21に対し、第3の方向に調節可能となる。
【0025】
図10に示されるように、各センサー23は、振動要素100、および、振動要素100に伝達的に(communicatively)連結されたマイクロプロセッサーなどのプロセッサー102を含むことができる。振動要素100およびプロセッサー102は、センサー23のハウジング108内に設置され得る。ハウジング108は、例えば、樽型(barrel-type)のハウジングとすることができる。電力(power)および信号は、各センサー23に連結されたケーブル109およびコネクター111を介して、センサー23へ、またセンサー23から伝搬され得る。(明瞭化のため、センサー23のうちのいくつかに連結されるケーブル109およびコネクター111は、図2および図3では、図示されていない。)
【0026】
センサー23は、音波エネルギーを送信および受信する。特に、センサー23の振動要素100は、例えば、500kHzなどの予め定められた周波数の音波エネルギーのパルスまたはバースト(burst)を発生させることができる。振動要素100は、例えば、この振動要素に加えられた電流に応答して、予め定められた周波数で振動する圧電結晶であってもよい。音波エネルギーは、センサー23の作動距離内の対象物にぶつかると、戻り反射つまりパルスエコーを発生させる。戻り反射は、振動要素100に到達すると、振動要素100を振動させ、電気的出力(electrical output)を生成する。
【0027】
プロセッサー102は、センサー23の作動距離内の対象物の存在について判断するよう、プログラムを組み込むことができる。特に、プロセッサー102は、音波エネルギーのパルスの送信と戻り反射の受信との間の経過時間を、振動要素100により記録する(振動要素100の電気的出力によって記録するような)タイムレコーダーをプログラムとして組み込むことができる。
【0028】
プロセッサー102は、音の局所的速度(local speed)、および音波エネルギーの送信と戻り反射の受信との間の経過時間に基づき、センサー23と目標の対象物との間の距離を計算するよう、プログラムを組み込むことができる。また、プロセッサー102は、目標の対象物、すなわちカップ16内の食塩水18のメニスカス19が、センサー23の作動距離内にあると判断される場合のみ、出力を生成するよう、プログラムを組み込むことができる。
【0029】
センサー23の詳細な説明は、専ら例示を目的として示されている。音波エネルギーの発生および戻り反射の受信が個別の要素によって実施される超音波センサーを含め、他の形式の超音波センサーが、代替として利用され得る。超音波センサーという用語は、本明細書および請求項において使用される場合、音波エネルギーの発生および戻り反射の受信が、一つの要素によって、共通のハウジングに配された個別の要素によって、および共通のハウジングに配されていない個別の要素によって、実施される装置を含むことが意図される。
【0030】
センサー23は、センサー23のそれぞれが、パッケージ12のうちの対応する一つのパッケージのカップ16と実質的に整列し、かつセンサー23が発生させる音波エネルギーのパルスが、カップ16に向けられるように、プレート部材27上に図1のように配列される。音波エネルギーのパルスは、食塩水18が存在する場合、カップ16中の食塩水18のメニスカス19に当たり、それにより戻り反射が発生する。
【0031】
前述したように、各センサー23のプロセッサー102は、センサー23と、関係する(associated)カップ16中の食塩水18のメニスカス19との間の距離が、センサー23の作動距離内にあるか否かを判断することができる。センサー23とメニスカス19との間の距離がセンサー23の作動距離内にある場合、プロセッサー102は、センサー23に連結したケーブル109およびコネクター111を介してPLC30に送信される出力を生成することができる。PLC30は、この出力を、予め定められた水位を上回る食塩水18がカップ16に存在していることを示す指標として解釈することができる。
【0032】
食塩水18がカップ16に存在しているか否かの正確かつ信頼性のある指標を生成するセンサー23の能力は、センサー23と、目標物、つまり食塩水18のメニスカス19との間の間隔に従属する。したがって、カップ16中の食塩水18を検知するセンサー23の能力は、パレット21からの特定の垂直距離にセンサー23を位置させることにより、最も効果的に利用され得る。この距離は、図2の参照記号「D1」によって表されている。
【0033】
距離D1は、上述したように、据付構造部24のプレート部材27の垂直位置を変更することにより、調節できる。例えば、プレート部材27の垂直位置は、距離D1が約51.00mm(2.008インチ)になるように、調節され得る。出願人は、センサー23とパレット21をこの間隔をおいて設置することによって、対応するカップ16中の食塩水18の水位が約半分の水位を上回る(または上回らない)ことを示す正確かつ反復可能の指標を、各センサー23が生成することを確認している。
【0034】
距離D1のもっとも望ましい値は、適用(application)に従属するものであり、センサー23として用いられる特定のセンサー、カップ16のサイズと間隔、および周囲の環境条件などの要因によって変わり得る。D1の特定の値は、専ら例示を目的として示されている。
【0035】
各センサー23は、好ましくは、目標距離、つまりセンサー23の底部から約51.00mm(2.008インチ)の点で、約10mm(0.39インチ)のビーム幅を有する。もっとも望ましいビーム幅は、適用、目標距離、センサー23の間隔などの要因によって変わり得る。
【0036】
本発明における使用に適する超音波センサーは、例えば、オハイオ州デイトンのハイドパークエレクトロニクス社(Hyde Park Electronics LLC)から、SUPERPROX Model SM300シリーズ超音波センサーとして得ることができる。ケーブル109およびコネクター111としての使用に適したケーブルおよびコネクターも、例えば、ハイドパークエレクトロニクス社(Hyde Park Electronics LLC)から、AC134の直角、4コンダクタータイプのコネクター/ケーブル組立体(the AC134 right-angle, 4-conductor, connector/cable assembly)として得ることができる。
【0037】
各センサー23は、好ましくは、管状シュラウド(shroud)76を備えている。(明瞭化のため、図2ではシュラウド76のうち一つだけ表示されている。)シュラウド76は、パレット21に面するセンサー23の端部に固定されている。シュラウド76は、例えば、シュラウド76およびセンサー23の上に形成された相補的なねじ筋(threads)によってセンサー23に取り付けることができる。
【0038】
各シュラウド76により、関係する(associated)センサー23が発生させる音波エネルギーのパルスおよび戻り反射は、センサー23とパレット21上の関係するパッケージ12との間を伝搬することができる。また、シュラウド76は、センサー23とパッケージ12との間に存在し得る気流から、パルスおよび戻り反射を実質的に隔離または保護している。図5〜図7に示されるように、各シュラウド76は、軸方向に延在する通路77を画定している。通路77は、センサー66の振動要素100と連絡しており、これにより、音波エネルギーのパルスおよび戻り反射は、通路77を通って、振動要素100と、関係するパッケージ12との間を伝搬できる。通路77は、好ましくは、センサー23の底端部の直径とほぼ同じ直径を有している。
【0039】
シュラウド76は、潜在的にセンサー23の機能性を高めることができる。特に、出願人は、センサー23の機能性が、センサー23と、対応するパッケージ21との間の気流によって悪影響を受け得ることを確認している。センサー23の機能性に悪影響を与え得る気流は、例えば、システム10を収めることができる囲いの内部で生成される薄層の空気流(laminar airflow)によって、または、真空発生器などの補助的な機器により生成され得る清浄な空気の排出(clean air exhaust)によって、発生し得る。また、センサー23の機能性は、システム10が設置される施設における空気調節装置や暖房システムによって、または、システム10のごく近くでの人や物体の動きによっても、悪影響を受け得る。このような気流は、各センサー23から、また各センサー23へ伝搬する音波エネルギーおよび戻り反射を変えてしまい、このことが、センサー23と、関係するパッケージ12中の食塩水18との間の距離を正確に測定するセンサー23の能力を阻害し得ると考えられる。
【0040】
出願人は、センサー23とパッケージ12との間の気流に対するセンサー23の感度を低下させるためには、センサー23の機能性が悪影響を受け得ない程度に、センサー23をパッケージ12の近くに設置することが必要となり得ることも確認している。気流の悪影響を実質的に削減するためにセンサー23をパッケージ12に十分近く設置することによって、距離D1は、センサー23がパッケージ12中の食塩水18の存在をもっとも望ましく検知するために必要な距離よりも短い距離となり得る。
【0041】
シュラウド76は、センサー23が発生させる音波エネルギーのパルスおよび戻りエコーを、センサー23とパッケージ12との間の気流から実質的に隔離することができる。シュラウド76の使用により、センサー23は、センサー23とパッケージ12との間の気流による検知エラーをもたらすことなく、カップ16中の食塩水18のもっとも望ましい検知を実施しやすくするため、パレット21から十分な距離D1をおいて設置されることができる。
【0042】
例えば、各シュラウド76は、センサー23の端部の下に、約33.50mm(1.319インチ)延びる大きさとなり得る。この寸法は、図2の参照記号「D3」で示されている。このようなシュラウド76の大きさの設定は、距離D1が約51.00mmである場合、シュラウド76の底部とパレット21の上部との間に約24.50mm(0.9646インチ)の隙間をもたらす。シュラウド76の底部とパレット21の上部との間の隙間は、図2に参照記号(「D2」)で示されている。
【0043】
隙間D2の最も望ましい値は、適用(application)に従属するものであり、センサー23として用いられる特定のセンサー、センサー23とパレット21との間の気流の大きさ(magnitude)および方向、ならびに周囲の環境などの要因によって変わり得る。隙間D2の特定の値は、専ら例示目的で示されているものである。
【0044】
出願人は、メニスカス19内に泡が存在する場合、センサー23が、カップ16内の食塩水18の水位の正確かつ信頼性のある指標を提示できることも確認している。カップ16が食塩水18で満たされると、一般的に、メニスカス19に泡が形成される。メニスカス19に存在する泡を含んだ食塩水18の水位を検知するセンサー23の能力は、泡の存在により検知エラーを引き起こし得る光電子センサーなどの他のタイプのセンサーに比べ、かなりの利点を示すと確信されている。光電子センサーは、泡のうち一つまたは複数の泡の上部を流体の水位と解釈することがあるため、泡が存在する場合、検知エラーが起こりうる。出願人は、センサー23が、センサーと目標物との間の誤整列により起こる検知エラーを、光電子センサーよりも受けにくいことも確認している。
【0045】
前述の記載は、説明を目的として提示されており、本発明を制限すると解釈されるものではない。本発明は、望ましい実施形態または望ましい方法を参照して説明されているが、本明細書において使用されている語は、説明および解説のための語であり、制限するための語ではないことが理解される。さらに、本発明は、本明細書において特定の構造、方法および実施形態を参照して説明されているが、本発明は、本明細書に開示されている詳細な記述に限定されることを意図しておらず、これは、本発明が、添付の請求項の範囲内にあるあらゆる構造、方法および用途に亘るものであるからである。本明細書の教旨の利益を有する当業者であれば、本明細書に記述される発明への多くの改変をもたらすことが可能であり、添付の請求項により定められる本発明の範囲および精神を逸脱することなく、変更が実施され得る。例えば、システム10は、コンタクトレンズのパッケージ以外のパッケージにおける、食塩水以外の流体を検知するために使用され得る。さらに、別の実施形態のシュラウド76は、管状ではない形態を有し得る。
【0046】
〔実施の態様〕
(1)システムにおいて、
食塩水を収容するカップを形成する表面を含む容器と、
前記表面に音波エネルギーを向け、かつ前記音波エネルギーの戻り反射を検知する超音波センサーと、
を含む、システム。
(2)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記表面の実質的に反対側に前記超音波センサーを位置させる据付構造部、
をさらに含む、システム。
(3)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーに固定されたシュラウド、
をさらに含む、システム。
(4)実施態様(3)に記載のシステムにおいて、
前記シュラウドは、実質的に管状をしている、システム。
(5)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーは、前記容器から予め定められた距離だけ間隔を置いて設置されている、システム。
【0047】
(6)実施態様(2)に記載のシステムにおいて、
前記据付構造部は、
前記据付構造部に設置された前記超音波センサーを有するプレート部材と、
前記プレート部材に固定された上部ブラケットと、
ベース部材と、
前記ベース部材に設置され、かつ前記上部ブラケットに連結された下部ブラケットと、
を含む、システム。
(7)実施態様(6)に記載のシステムにおいて、
前記下部ブラケットは、前記上部ブラケットおよび前記下部ブラケットのうち一つに形成されたスロットを通って延びる留め具によって前記上部ブラケットに連結されている、システム。
(8)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーは、前記音波エネルギーのパルスを発生させる、システム。
(9)実施態様(8)に記載のシステムにおいて、
前記音波エネルギーの前記パルスは、約500kHzの周波数を有する、システム。
(10)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーに伝達的に連結されたプロセッサー、
をさらに含む、システム。
【0048】
(11)実施態様(1)に記載のシステムおいて、
前記超音波センサーは、
前記音波エネルギーを発生させる振動要素と、
前記振動要素に伝達的に連結されたプロセッサーと、
を含む、システム。
(12)実施態様(11)に記載のシステムおいて、
前記振動要素は、電圧結晶である、システム。
(13)実施態様(11)に記載のシステムおいて、
前記振動要素は、前記戻り反射に反応して、振動し電気的出力を生成する、システム。
(14)実施態様(6)に記載のシステムおいて、
前記システムは、前記プレート部材に設置された10個の前記超音波センサーを含む、システム。
(15)実施態様(14)に記載のシステムおいて、
前記超音波センサーが前記容器に前記音波エネルギーを向ける際に、10個の前記容器を収容するパレット、
をさらに含み、
前記超音波センサーは、前記超音波センサーのそれぞれが、前記容器のうち対応する一つと実質的に整列するように、前記プレート部材に設置されている、システム。
【0049】
(16)実施態様(3)に記載のシステムおいて、
前記シュラウドは、内部通路を画定しており、
前記音波エネルギー、および前記戻り反射は、前記内部通路を伝搬する、システム。
(17)実施態様(16)に記載のシステムおいて、
前記シュラウドは、前記超音波センサーの下端部に固定されており、
前記内部通路は、前記超音波センサーの前記下端部の直径とほぼ同じ直径を有している、システム。
(18)実施態様(3)に記載のシステムおいて、
前記シュラウドは、前記シュラウドおよび前記超音波センサーの相補的なねじ筋によって、前記超音波センサーに固定されている、システム。
(19)実施態様(10)に記載のシステムおいて、
前記超音波センサーは、制御装置に伝達的に連結され、
前記超音波センサーは、前記食塩水が予め定められた水位を超えて前記容器内に存在する場合にのみ、前記制御装置に出力を与える、システム。
(20)方法において、
食塩水を収容するカップを形成している容器表面に音波エネルギーを向けることと、
前記音波エネルギーの戻り反射を検知することと、
前記表面へ前記音波エネルギーを向けてから前記音波エネルギーの前記反射を検知するまでの間の経過時間に基づき、前記音波エネルギーの発生点と前記音波エネルギーの反射点との間の距離を測定することと、
を含む、方法。
【0050】
(21)実施態様(20)に記載の方法において、
容器の表面に音波エネルギーを向けることは、前記音波エネルギーを気流から実質的に隔離するシュラウドを通して前記音波エネルギーを向けることを含む、方法。
(22)実施態様(20)に記載の方法において、
超音波センサーを用いて前記音波エネルギーを発生させること、
をさらに含む、方法。
(23)実施態様(22)に記載の方法において、
前記超音波センサーを用いて前記戻り反射を受信することと、
前記超音波センサーを用いて、前記音波エネルギーの前記発生点と前記音波パルスの前記反射点との間の前記距離を、測定することと、
をさらに含む、方法
(24)実施態様(20)に記載の方法において、
前記容器を、前記音波エネルギーを発生させる超音波センサーと整列させること、
をさらに含む、方法。
(25)実施態様(20)に記載の方法において、
前記容器の表面に音波エネルギーを向けることは、前記表面に前記音波エネルギーのパルスを向けることを含む、方法。
【0051】
(26)実施態様(25)に記載の方法において、
前記音波エネルギーの前記パルスは、約500kHzの周波数を有する、方法。
(27)実施態様(20)に記載の方法において、
前記超音波センサーと前記食塩水の水位との間の距離が予め定められた値を下回る場合にのみ、前記超音波センサーが出力を生成するように、前記容器を収容するパレットから離して前記超音波センサーを設置すること、
をさらに含む、方法。
(28)システムにおいて、
カップを画定する表面および前記カップに配された流体を有する容器と、
前記表面に音波エネルギーを向ける超音波センサーであって、
前記音波エネルギーと前記流体との接触によって発生する戻り反射を検知し、
前記容器の前記表面へ前記音波エネルギーを向けてから前記戻り反射を検知するまでの間の経過時間に基づき、出力を生成する、
超音波センサーと、
前記超音波センサーに連結されたシュラウドと、
を含む、システム。
(29)実施態様(28)に記載のシステムにおいて、
前記シュラウドは、実質的に管状をしている、システム。
(30)実施態様(28)に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーは、前記容器の前記表面に前記音波エネルギーのパルスを向ける、システム。
【0052】
(31)実施態様(28)に記載のシステムにおいて、
前記容器の近くに前記超音波センサーを設置するための据付構造部、
をさらに含む、システム。
(32)実施態様(31)に記載のシステムにおいて、
前記据付構造部は、
前記据付構造部に設置された前記超音波センサーを有するプレート部材と、
前記プレート部材に固定された上部ブラケットと、
ベース部材と、
前記ベース部材に設置された下部ブラケットであって、前記超音波センサーと前記容器との間の距離が調節され得るように、前記上部ブラケットに連結された、下部ブラケットと、
を含む、システム。
(33)方法において、
コンタクトレンズを容器のカップ内に配することと、
前記パッケージをポンプの近くの第1の位置に搬送することと、
前記ポンプを用いて前記カップの中に食塩水を注入することと、
前記パッケージが前記第1の位置にあった時に前記ポンプが作動していたか否かを判断することと、
前記パッケージを超音波センサー近くの第2の位置に搬送することと、
前記容器が前記第2の位置にある時に、前記超音波センサーを用いて前記カップに音波エネルギーを向けて、前記音波エネルギーの反射を測定することと、
を含む、方法。
(34)実施態様(33)に記載の方法において、
前記カップを密封すること、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】パッケージ内の流体を検知するためのシステムの好ましい実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示されるシステムの側面図である。
【図3】図1および図2に示されるシステムの上面図である。
【図4】図1〜図3に示されるシステムを、図2の視点から見て約90度回転させたシステムの側面図である。
【図5】図1〜図4に示されるシステムの超音波センサー、および超音波センサーのシュラウドの斜視図である。
【図6】図5に示されるシュラウドの上面斜視図である。
【図7】図5および図6に示されるシュラウドの長さ方向の断面図である。
【図8】図1〜図4に示されるシステムに使用するのに適した、食塩水を満たしたパッケージの断面図である。
【図9】コンタクトレンズを包装するためのシステムの一部として設置された、図1〜図4に示されるシステムの側面図である。
【図10】図9に示されるシステムの様々な構成要素を図示したブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおいて、
食塩水を収容するカップを形成する表面を含む容器と、
前記表面に音波エネルギーを向け、かつ前記音波エネルギーの戻り反射を検知する超音波センサーと、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記表面の実質的に反対側に前記超音波センサーを位置させる据付構造部、
をさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーに固定されたシュラウド、
をさらに含む、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記据付構造部は、
前記据付構造部に設置された前記超音波センサーを有するプレート部材と、
前記プレート部材に固定された上部ブラケットと、
ベース部材と、
前記ベース部材に設置され、かつ前記上部ブラケットに連結された下部ブラケットと、
を含む、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーは、前記音波エネルギーのパルスを発生させる、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーに伝達的に連結されたプロセッサー、
をさらに含む、システム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記システムは、前記プレート部材に設置された10個の前記超音波センサーを含む、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーが前記容器に前記音波エネルギーを向ける際に、10個の前記容器を収容するパレット、
をさらに含み、
前記超音波センサーは、前記超音波センサーのそれぞれが、前記容器のうち対応する一つと実質的に整列するように、前記プレート部材に設置されている、システム。
【請求項9】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記シュラウドは、内部通路を画定しており、
前記音波エネルギー、および前記戻り反射は、前記内部通路を伝搬する、システム。
【請求項10】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記超音波センサーは、制御装置に伝達的に連結され、
前記超音波センサーは、前記食塩水が予め定められた水位を超えて前記容器内に存在する場合にのみ、前記制御装置に出力を与える、システム。
【請求項11】
方法において、
食塩水を収容するカップを形成している容器表面に音波エネルギーを向けることと、
前記音波エネルギーの戻り反射を検知することと、
前記表面へ前記音波エネルギーを向けてから前記音波エネルギーの前記反射を検知するまでの間の経過時間に基づき、前記音波エネルギーの発生点と前記音波エネルギーの反射点との間の距離を測定することと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
容器の表面に音波エネルギーを向けることは、前記音波エネルギーを気流から実質的に隔離するシュラウドを通して前記音波エネルギーを向けることを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記超音波センサーと前記食塩水の水位との間の距離が予め定められた値を下回る場合にのみ、前記超音波センサーが出力を生成するように、前記容器を収容するパレットから離して前記超音波センサーを設置すること、
をさらに含む、方法。
【請求項14】
システムにおいて、
カップを画定する表面および前記カップに配された流体を有する容器と、
前記表面に音波エネルギーを向ける超音波センサーであって、
前記音波エネルギーと前記流体との接触によって発生する戻り反射を検知し、
前記容器の前記表面へ前記音波エネルギーを向けてから前記戻り反射を検知するまでの間の経過時間に基づき、出力を生成する、
超音波センサーと、
前記超音波センサーに連結されたシュラウドと、
を含む、システム。
【請求項15】
方法において、
コンタクトレンズを容器のカップ内に配することと、
前記パッケージをポンプの近くの第1の位置に搬送することと、
前記ポンプを用いて前記カップの中に食塩水を注入することと、
前記パッケージが前記第1の位置にあった時に前記ポンプが作動していたか否かを判断することと、
前記パッケージを超音波センサー近くの第2の位置に搬送することと、
前記容器が前記第2の位置にある時に、前記超音波センサーを用いて前記カップに音波エネルギーを向けて、前記音波エネルギーの反射を測定することと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−511910(P2009−511910A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535664(P2008−535664)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/039849
【国際公開番号】WO2007/044847
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】