説明

流体下降装置及びその支持具

【課題】ワインを含む流体をワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際、十分に空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させるとともに、その際の流体そのものの移動が視覚的に美しい演出効果を伴う流体下降装置を提供する。
【解決手段】流体下降装置の基本構成は上部が開いた流体受け部と、漏斗状の流体収束部と、筒部に設けられる複数の細い貫通孔によって構成される流体噴出部を備えて構成される。ボトル、デキャンタ等から注がれたワインを含む流体は、まず流体受け部で受けられる。流体受け部の下部に配置される流体収束部は漏斗状になっており、ここで受けた流体は、筒部に複数の細い貫通孔からなる流体噴出部から外部に向かってシャワー状に噴出する。噴出された流体は次段の基本構成の流体受け部で受けられ、更に次段の基本構成へと導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワインやジュースのような流体(飲食物に限定されない)をグラス等に注ぐ場合の流体下降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化によってパーティや慶事を祝うイベントだけでなく、日々の食事でもワインを飲むことが一般的になっている。通常、長い年月を経て熟成されたワインは非常に高価であるため、一般には比較的安価な「若いワイン」を飲む機会が多い。ところが、「若いワイン」は、作られてから時間が経っていないため熟成があまり進んでおらず、そのため、開栓後に空気に多く触れさせて酸化を促進し、味をマイルドにして香りを引き立たせる工程が必要となる。十分に味と香りを「開いて」から楽しむのである。
【0003】
味と香りを開く工程の1つとして、たとえば細口のデキャンタを片手で高く掲げ、もう片方の手に持ったグラスとできる限り距離を長く取りながらグラスに注ぎこむというものがある。この際、両手は上下左右に最大限離した状態にし、デキャンタを持つ片手からグラスを持った片手へとワインを移動させる。これによって、デキャンタをグラスの口に接する距離からワインを注ぐより多くの、かつ長時間空気に触れさせることが可能となる。さらに、この行為は視覚的に楽しめるものでもあり、食事の時間の演出にもなる。
【0004】
しかし、上述のように細口のデキャンタからグラスに注ぐ行為は、非常に高度な熟練技術が必要であり、誰にでも簡単にできるものではなく、ワインをこぼして床やテーブルを汚してしまう恐れがある。また、この行為を安全に行うためには、十分なスペースを確保する必要がある。
【0005】
さらに、飲料や液体を十分な空気に触れさせつつサーブすることのできる仕掛けとして、シャンパンタワーやチョコレートファウンテンなどもあるが、いずれも視覚的な演出性はあるものの、準備する手間や大がかりな機械が必要であるため、個人にも気軽に楽しめるものとは言えない。
【0006】
こうしたことを背景に、ワインに空気を触れさせて適度に酸化させるための装置が提案されている。
【0007】
先行文献1には、ワインと外気との接触を促進させ、かつオリやコルクのカスなどを除去する器具として、飲料の風味等を向上させ、さらには、オリやコルクのカスをとる飲料容器用注ぎ口中継器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−256138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された飲料容器用注ぎ口中継器は、中継器本体側面に配置された金属メッシュにより、外気が中継器内に取り入れられるものの、実際にワインそのものが空気に触れることができるのは、中継器内を流れるワイン流体の表面のみに限定され、グラスに注ぎこむワインがまんべんなく酸化されることにはならない。
【0010】
また、ワインを含む流体を各人へサーブする行為は、食事やパーティなどのイベントにおいて場が盛り上がる演出的な効果が期待される行為である。視覚的効果と味覚的効果の両方の向上は、特許文献1に開示される飲料容器用注ぎ口中継器では期待できない。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、ワインを含む流体をワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際、十分に空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させるとともに、その際の流体そのものの移動が視覚的に美しい演出効果を伴う流体下降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明に係る流体下降装置は、ワインを含む流体を下降させる流体下降装置であって、基本構成を複数重ねることによって達成される。本発明の基本構成の1つの実施例である第1種基本構成は、上方が広がった筒型容器状で、上方から注ぎこむ流体を受ける流体受け部と、前記流体受け部から流体が下方へと流れ込む漏斗状の流体収束部と、それに連なる複数の流体噴出孔を有する流体噴出筒部とを具備して構成される。
【0013】
かかる構成において、筒型である流体受け部の場合の口径は、ボトルまたはデキャンタ等から注がれるワインを含む流体をこぼすことなく受け止めるに十分な大きさを有しており、その下端部には、同上端内径に略等しい直径のリムが設けられている。このため、同構成の第1と第2の第1種基本構成を2個重ねた場合、第1の下端と第2の上端が嵌合する。またこの嵌合部分は螺合によっても同様効果が得られる。これによって、特別な技術や熟練を必要とせず、誰でも安全に複数の第1種基本構成を重畳することができる。
【0014】
上記流体受け部は、上方に十分な口径を有した筒型で、その底部はなだらかに下方へと流体を導くように口径が小さくなる、ほぼ漏斗型の流体収束部を有しており、その形は特に限定されるものではない。たとえば花の形、王冠型、優勝カップ型など、視覚的効果をさらに高めるような、美しい装飾が施された形状をしていてもよい。また、流体を受け、かつ一定時間保持していても形態保持性を担保すべく、一定の剛性及び一定以上の厚みを有して形成される。材質としては、流体の保持に耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持するものであれば、特に限定はなく、たとえばガラス、セラミック、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属であってもよい。厚みとしては、該流体下降装置を載せるグラス、カップ等の容器に対する重量による変形や破壊を防止しつつ流体保持性を害しないものであれば、特に限定はない。それぞれの材質を選択することにより、独特の演出効果が期待される。たとえば、本発明に係る流体下降装置をガラス製で透明なものとした場合には、他(たとえば金属製)のものにはない透明感、清涼感等を醸し出す演出が可能となる。
【0015】
流体噴出筒部は、流体収束部の下方に設けられ、流体受け部に注がれたワインを含む流体が、流体受け部から流体収束部を通って流れ込む構造であり、特に形状に限定はない。該流体噴出筒部は、下方に複数の貫通孔から成る流体噴出部を有する。これによって、流体受け部から流下する流体は筒部を通り、該流体噴出部から外部へと噴出する。流体噴出部を構成する貫通孔は、流体が噴出するのに十分な口径を有しつつ細かく複数設けられることによって、この貫通孔から噴出する際に流体はその流体表面のみでなく、全体的にまんべんなく空気と触れ、適度に酸化させて味と香りを増長させることが可能となり、かつ噴水のように細い流体の線が弧を描きつつ落下するという視覚的な演出効果も伴う。
【0016】
前述のように流体噴出部を構成する貫通孔が設けられる筒部は、ガラス、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属を含む、流体が流下するに耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持する一定の剛性を有する材質であれば特に限定はされないが、限られたスペースに流体噴出部を構成するべく貫通孔を細かく設けるには、例えばレーザ光線を使用して孔を貫通させても良い。
【0017】
また、該筒部は、流体収束部との当接部分から流下する流体がこぼれることなく、水密性が保持されれば、流体受け部と一体型であっても、または嵌合、螺合等によって着脱可能に連結されるものであっても良い。筒部が流体受け部と着脱可能に連結される場合には、その材質として、流体を滞りなく流下させ、かつ流体を一定時間保持するに耐えうる資質を有するものを採用する。この資質を持つものであれば、流体受け部と同一の素材であっても異なる素材であっても良い。また、一定の長さを有する筒部であれば、筒部そのものを複数のパーツに分割し、かつ着脱可能な組立式にしても良い。これによって、本発明が長い筒部を有するデザインであったとしても、流体受け部及び筒部は細部にわたって容易に清掃することが可能となる。
【0018】
さらに第1、第2の第1種基本構成を重畳する場合の接続部は、上記説明では第1と第2の第1種基本構成の流体受け部筒の上下端を嵌合または螺合を含む接続方法によって着脱可能な多段式に構成することが可能となる。これによって、該流体下降装置は、上方からワインを含む流体が注がれると、第1の流体下降装置の流体受け部で流体が保持されて流体収束部を伝って流体噴出筒部に流下し、筒部に配置される流体噴出口から流体が筒部外部に向かって噴出する。噴出される流体は第2の流体下降装置の流体受け部が受け止め、さらに第2の流体下降装置の筒部に流下して同様に流体噴出部から噴出する。
【0019】
上記構成において、第1と第2の接続部を気密構造にした場合、第2の流体受け部が密閉状態となるため、流体の下降が妨げられる。このため流体受け部上方に外気との空気流通口を設けることが好ましい。
【0020】
また、上記説明では第1と第2の第1種基本構成を直に接続したが、第1と第2の第1種基本構成間にその上部と下部が第1種基本構成の上/下部構造と同一構造を有する接続リングによって接続することもできる。この場合、第1種基本構成の流体受け部に空気流通口を設けず、接続リングに空気流通口を設けても良い。
【0021】
上記説明では、接続リングの上/下部構造を第1種基本構成の上/下部構造と同一としたが、第1種基本構成の流体受け部筒の下部にリムを設けない構造とし、接続リングの上/下部内径を第1種基本構成の流体受け部外形より若干大きくし、接続リング内部の上/下部内側の上/下端より離れた位置に張り出しを設けて、第1と第2の第1種基本構成を接続しても良い。また、この構造の接続リングを薄い金属板で構成すればデザイン的にも優れたものとなる。
【0022】
上記の構成によれば、接続部で1つまたは複数の流体下降装置が着脱可能な多段式に構成することによって、ワインを含む流体は流下する際、空気と接する流体表面のみが酸化するのではなく、注ぐ流体全体がまんべんなく空気と触れることで味や香りが十分に増長する。さらに、シャンパンタワーやチョコレートファウンテンのように、大がかりな準備や装置の使用を行わなくても、またパーティなど大勢が参加するイベントだけでなく少人数による食事においても、美しく場を演出する視覚的効果も有する。
【0023】
上述の説明では第1種基本構成を多段に構成したが、よりデザイン的に優れた効果を持たせるため、例えば最上部の基本構成をワイングラスの様に上部を絞り型にしたり、最下部の基本構成の下部を同じくワイングラスの様に細く絞った構造とする等のバリエーションを持たせることもできる。
【0024】
さらに、最下部の基本構成からワイングラスやデキャンターに注がれる部分にワイングラスの上部、あるいはデキャンター等の容器の上部構造に合わせたアダプターを付けても良い。
【0025】
上述の第1種基本構成では筒状の流体受け部から口径を徐々に絞っていく漏斗状の流体収束部、更に流体噴出部へと続く構造としたが、流体受け部の上部から口径を徐々に絞り、流体噴出部へ続く構造とすると、花形にしたり王冠型、優勝カップ型にする等、視覚的、デザイン的に優れたものとした第2種基本構成とすることができる。この場合には上述のような第1種基本構成の多段接続の接続リングに替り、漏斗部分を支持するリングを多段に接続する接続具を用い、接続具の最下段は上述のようなアダプター構造とする。
【0026】
また、上記支持具は、最下段のアダプターによって自立支持するごとくなされているが、各基本構成の支持リングを別のスタンドから支持するがごとく構成しても良い。
【0027】
更に、流体噴出部の先端を嵌合あるいは螺合として交換可能とした構造にすることにより、流体の種類によって、噴出孔の数や口径を変化させることができる。
【0028】
第3種基本構成は、上部は第2種基本構成とほぼ同様であるが、スタンドを必要とせず多段に構成することを目的とするものであり、上方に広がった漏斗状であり上方から注ぎこむ流体を受ける流体受け部と、前記流体受け部から流体が下方へと流れ込む接続口と、前記流体受け部より下降する流体が通過し、かつ複数の流体噴出孔を有する筒部と、前記筒部に連設され、1つまたは複数の前記流体下降装置と縦方向に連結し、かつ着脱可能な接続部とを具備して構成される。
【0029】
該流体受け部は、上方に十分な口径を有し、なだらかに下方へと流体を導くように口径が小さくなる、ほぼ漏斗型を有していれば、その形は特に限定されるものではない。たとえば花の形、王冠型、優勝カップ型など、視覚的効果をさらに高めるような、美しい装飾が施された形状をしていてもよい。
【0030】
接続口は、流体受け部の下方に設けられ、流体受け部に注がれたワインを含む流体が、筒部へと流れ込む開口部分であり、かつ1つまたは複数の第3種基本構成の接続部を嵌入するための連結部分である。この接続口は、該流体受け部に注がれた流体を滞りなく下方に流下させ、かつ筒部下方に連設される接続部を嵌入して該第3種基本構成を縦方向に安定して連結させるに十分な開口径を有することが好ましい。
【0031】
さらに、第3種基本構成を多段に連結する場合、第1の第3種基本構成の流体受け部で受けた流体は、筒部内部を通過して流体噴出部より噴出して第2の第3種基本構成における流体受け部によって補足される。該流体受け部によって補足された流体は、該流体受け部下方に設けられた接続口に向って移動する。該接続口には、第1の第3種基本構成の接続部が挿入されているが、該接続口に向って流下する流体は第3の第3種基本構成における筒部内部に流入して下方へ移動できるよう、接続する接続口と筒部との間に間隙を有する。
【0032】
筒部は、該流体受け部の接続口に当接し、ワインを含む流体が流体受け部から接続口を通って流下する通路となる。該流体受け部からの流体を滞りなく下方に流下させる形状であれば、その形は特に限定されるものではなく、たとえば真っすぐでなくても装飾として湾曲し、該筒部内を流下する流体の動きを視覚的に楽しめるものであっても良い。材質としては、流体が流下するに耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持するものであれば、特に限定はなく、たとえばガラス、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属であってもよい。
【0033】
さらに該筒部は、下方に複数の貫通孔から成る流体噴出部を有する。これによって、流体受け部から流下する流体は筒部を通り、該流体噴出部から外部へと噴出する。流体噴出部を構成する貫通孔は、流体が噴出するのに十分な口径を有しつつ細かく複数設けられることによって、この貫通孔から噴出する際に流体はその流体表面のみでなく、全体的にまんべんなく空気と触れ、適度に酸化させて味と香りを増長させることが可能となり、かつ噴水のように細い流体の線が弧を描きつつ落下するという視覚的な演出効果も伴う。
【0034】
また、該筒部は、該流体受け部との当接部分から流下する流体がこぼれることなく、水密性が保持されれば、該流体受け部と一体型であっても、または嵌合、螺合によって着脱可能に連結されるものであっても良い。筒部が該流体受け部と着脱可能に連結される場合には、その材質として、流体を滞りなく流下させ、かつ流体を一定時間保持するに耐えうるものであれば、該流体受け部と同一の素材であっても異なる素材であっても良い。また、一定の長さを有する筒部であれば、筒部そのものを複数のパーツに分割し、かつ着脱可能な組立式にしても良い。これによって、本発明が長い筒部を有するデザインであったとしても、流体受け部及び筒部は細部にわたって容易に清掃することが可能となる。
【0035】
さらに接続部は、該筒部より連設して配置され、1つまたは複数の該流体下降装置の接続口に、嵌合または螺合を含む接続方法によって着脱可能な多段式に構成することが可能となる。これによって、該流体下降装置は、上方からワインを含む流体が注がれると、第一の第3種基本構成の流体受け部で流体が保持されて筒部に流下し、筒部に配置される流体噴出部から流体が筒部外部に向かって噴出する。噴出される流体は第二の第3種基本構成の流体受け部が受け止め、さらに第二の第3種基本構成の筒部に流下して同様に流体噴出部から噴出する。
【0036】
上記の構成によれば、接続部で1つまたは複数の第3種基本構成が着脱可能な多段式に構成することによって、ワインを含む流体は流下する際、空気と接する流体表面のみが酸化するのではなく、注ぐ流体全体がまんべんなく空気と触れることで味や香りが十分に増長する。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る発明によれば、ワインを含む流体を、ワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際に、筒部に複数の貫通孔から構成される流体噴出部を有する多段式かつ着脱可能な流体下降装置を使用してサーブすることによって、高価なワインでなくても全体的にまんべんなく十分空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させることが可能となる。従来は流下する流体表面のみが主に空気と触れるに留まるものであったが、本発明における流体下降装置の着脱可能な多段式とする構成によれば、一段式に比べて流体をより多くの空気に触れさせて酸化促進を高める効果だけでなく、流体そのものが多段に構成された流体下降装置を、上方から下方へと噴水のように孤を描きつつ移動するという視覚的に美しい演出効果も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成接続部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成接続部空気流通口を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成を接続する接続リングの一実施例の断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成を接続する接続リングの別の実施例の断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、2つの第1種基本構成を接続リングを介して重ねて接続した場合の図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る流体下降装置を多段に重ねて構成し、ワイングラス上に設置した場合の全体概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、多段に接続した第1種基本構成の最下部に接続するアダプターの一実施例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、多段に接続した第1種基本構成の最下部に接続するアダプターの一実施例を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成を接続リングを介して多段に重ねて構成し、ワイングラス上に設置した場合の全体概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成を接続リングを介して多段に重ねて構成し、最上部と最下部の基本構成を変形させワイングラス上に設置した場合の全体概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第1種基本構成を流体収束部と流体噴出部からなるラッパ状の第2種基本構成とした場合の概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、図13の第2種基本構成を多段に重ねて支持する場合の支持具の全体概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、図14の支持具の一構成例を示す概略図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第2種基本構成をラッパ状とし、図14の支持具を使って多段階に構成し、ワイングラス上に設置した場合の全体概略図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る基本構成において、第2種基本構成を花びら型にし、各第2種基本構成を支持する支持リングを別の支持スタンドから支持する如くし、独特の視覚的効果を有するインテリアとして使用する態様を示した全体概略図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る第2種基本構成を用いた流体下降装置を、視覚的効果を十分に持たせた態様で実施する場合の実施例、製作例を示した図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る第2種基本構成を用いた流体下降装置を視覚的効果を十分に持たせた態様で実施する場合の実施例、製作例を示した図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る第1種基本構成を用いた流体下降装置が複数分を同時にサーブできる場合の全体概要を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る第2種基本構成を用いた流体下降装置が循環ポンプを有する受け容器に設置された場合の全体概要を示す概略図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る第1種あるいは第2種基本構成を用いた流体下降装置において、流体受け部と流体噴出部が嵌合または螺合によって接続される場合の概略図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る第1種あるいは第2種基本構成を用いた流体下降装置において、流体収束部と流体噴出部が差し込み式あるいはねじ込み式として着脱交換可能である場合の流体受け部を収納する場合の概略図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を示す斜視図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を多段式に構成した際の全体概要を示す斜視図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成の接続部の断面図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を多段に構成させ、ワイングラスおよびデキャンタに設置した際の全体概要を示す斜視図である。
【図28】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を花びら型とした場合の全体概要を示す概略図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成によって複数分を一度にサーブできる場合の全体概要を示す概略図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成が循環ポンプを有する受け容器に設置された場合の全体概要を示す概略図である。
【図31】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第3種基本構成の流体噴出部を構成する貫通孔に中空パイプが連設された場合の全体概略図である。
【図32】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を構成受け具によって流体受け容器に設置される場合の全体概略図である。
【図33】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成の正面図である。
【図34】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を2段重ねた場合の正面図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第3種基本構成の筒部と接続部が一体した中空を成す場合の断面図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第3種基本構成の流体受け部と筒部が螺合または嵌合によって接続される場合の全体概要を示す概略図である。
【図37】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第3種基本構成の流体受け部と筒部が差し込み式、またはねじ込み式として着脱可能である場合の流体受け部を収納する場合の概略図である。
【図38】本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第3種基本構成の流体噴出部が配置箇所より下方の筒部が閉じられたソリッドとなる場合の全体概要を示す断面図である。
【図39】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を花びら型にして多段階に構成し、これにワインを注ぐような態様を示す概念的斜視図である。
【図40】本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成を花びらにして多段階に構成したものをデキャンタに入れて、卓上で眺めて楽しむ対象たるインテリアとして用いる態様を示す概念的斜視図である。
【図41】本発明の一実施形態に係る花びら型の第3種基本構成を一つごとにアームで吊下げ、これを多段階構成とすることによって独特の視覚的効果を有するインテリアとして使用する態様を示す概念的斜視図である。
【図42】本発明に係る第3種基本構成を視覚的効果を十分に持たせた態様で実施する場合の実施例、製作例を示した図である。
【図43】本発明に係る第3種基本構成を視覚的効果を十分に持たせた態様で実施する場合の実施例、製作例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0040】
図1は本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1の概要を示す斜視図であり、図2は本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1の断面図である。同図に示すように、本発明の流体下降装置の第1種基本構成1は、ワイン等の流体を注げるよう上部が開いた流体受け部2と、該流体受け部2の底部はなだらかに流体を下方に導くよう口径が小さくなるほぼ漏斗型の流体収束部3とその下部の底が閉じられた筒状部の横に複数細い流体噴出孔5とを備えた流体噴出部4にて構成されている。
【0041】
ボトル、デキャンタ等から注がれたワインを含む流体は、まず流体受け部2で受けられる。上記流体は上部から下部に行くに従って口径が小さくなる漏斗状の流体収束部3を経由して流体噴出部4に導かれる。流体噴出部4に流下された流体は流体噴出孔5より外部に向かってシャワー状に噴出する。
【0042】
第1種基本構成1は、流体受け部2から流体噴出部4まで中空状であり、該流体噴出部4より下方は塞がれていて、流体受け部2より流下された流体の全量が、流体噴出孔5から噴出されるように構成される。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1を上下に重ねて構成した概要を示す断面図である。第1種基本構成1の流体受け部2の下部には、流体受け部2の内径に等しいリム6が突出しているため、別の第1種基本構成1と重ねた場合、水密に嵌合して接続するようなされている。
【0044】
図4は、第1種基本構成1を多段に重ねた場合、流体受け部2が気密になるのを防ぐため空気流通口7をその上部に設けたことを示す断面図である。かくの如くすることにより流体はスムースに下降することができる。
【0045】
図5は、第1種基本構成1を多段に重ねる場合、上下の第1種基本構成1を接続するための接続リング8の断面図である。接続リング8の上/下部は、基本構成1の流体受け部2の上/下部と同一構造であるので上下の第1種基本構成1を水密に嵌合して接続することができる。また、このリング壁に空気流通口7を設けても良い。この場合は、第1種基本構成1の流体受け部2の空気流通口7を省略することができる。
【0046】
図6は、上記接続リング8の別の実施例を示す断面図である。この例では、リングの上/下の内径は第1種基本構成1の流体受け部2の外径に等しく、リング内側には帯状の突起を設けてある。このため、上下の第1種基本構成1の流体受け部2はそれ以上は陥入せずに固定され、安定した多段構成が可能となり、図5の接続リングと同様、第1種基本構成1を上下に嵌合接続することができる。なお、接続リング8の形状は、第1種基本構成1を多段に組み合わせる際に、確実に固定でき、かつ安全に着脱可能であれば、図5、図6の接続リングに限定されるものではない。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1を、図5に示す接続リング8を用いて上下に構成した場合の概要を示す断面図であり、これによって、流体下降装置の第1種基本構成1を流下するワインを含む流体Wは、第1種基本構成1内に残留することがないため、流体下降装置の第1種基本構成1を流下する流体Wは、常に新しく注がれて、かつその時に最も良い状態でサーブされることが可能となる。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1を多段式に構成してワイングラス9上に設置した概要図である。図8に示すように、該第1種基本構成1は、1つまたは複数の第1種基本構成1を多段に組み合わせて流体下降装置として構成することが可能である。このような多段構成によって、該流体下降装置は、長い経路にわたって流体を流下させることによってより多くの空気と馴染ませ触れさせることによって味と香りを増長させ、かつ最上段から下段へと流体がシャワー状に噴出しつつ移動する様は食事やパーティの雰囲気を盛り上げる高い視覚的効果を実現する。本発明における流体下降装置は、ワイングラスやデキャンタの上に乗せる程度の大きさに限定されず、構成受け具を設置して様々な形の受け容器に配置可能としても良い。
【0049】
図9は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置をワイングラス9上に設置する場合、より安定に設置するためのアダプター10の斜視図、図10は該アダプターの10の断面図である。アダプター10の上部は、第1種基本構成1の流体受け部2の上部と同構造のリング状であり、リング底面には第1種基本構成1の流体噴出部4が突出できる口径の開口部11が開けられている。
【0050】
図11は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第1種基本構成1を接続リング8を用いて多段に接続し、上記アダプター10を最下段に付加してワイングラス9上に設置した概要図である。
【0051】
図12は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置を構成する場合、全体デザインを重視して、最上段の第1種基本構成1は、第1種基本構成1の流体受け部2の上部をワイングラス上部のように縮形した形(上部基本構成21)とし、最下段の第1種基本構成1は第1種基本構成1の下方を絞った形(下部基本構成22)とする構成をとった場合の模式的断面図である。この場合、さらに、ワイングラス上に設置するアダプター10は最下段の第1種基本構成1に適合した形状23とする。このようなデザイン的に優れた多段構成によって、該流体下降装置は、長い経路にわたって流体を流下させることによってより多くの空気と馴染ませ触れさせることによって味と香りを増長させる一方、最上段から下段へと流体がシャワー状に噴出しつつ移動する様は、食事やパーティの雰囲気をさらに一段と盛り上げる高い視覚的効果を実現する。
【0052】
図13は、無機的なデザイン感を演出するため、幾何学的断面を有する形態(上部に開いたラッパ状)の第2種基本構成30の概略図である。このように基本構成をラッパ状の第2種基本構成30にすると、第1種基本構成1を重ねて接続した場合の接続リング8の形状を変更しなければならない。
【0053】
図14は、上記第2種基本構成30を多段に接続する場合の接続具31の概要図である。接続具31は、基本構成2の中間を支持する支持リング32と支持リング32に設けられた接続パイプ34と、支持リング32同士を接続する金属線等より構成される支持柱33及びワイングラスやデキャンタ上に設置するためのアダプター35から構成されている。支持柱33の下部は花びら状第2種基本構成30(花びら状の形状については後述する)の上部に妨害とならないよう屈曲してある。また、アダプター35は、ワイングラスの口径より大きな円盤状で中心部には第2種基本構成30の流体噴出部が突出できるような口径の開口がある。該アダプターの上部には支持リング32と同位置に支持柱を受ける複数の接続パイプ34が設置されている。最下段の支持柱36は直線で良い。
【0054】
図15は、接続具31を構成する支持リング32と支持柱33の接続部の詳細図である。支持柱33は支持リング32の外周120度ごとに取り付けられた接続パイプ34に差し込まれる。このように支持リング32と支持柱33によって多段の接続具31を構成することができる。接続リング32と支持柱33を接続パイプ34によって接続したが、確実に固定でき、且つ安全に着脱可能であれば、これらに限定されるものではない。
【0055】
図16は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第2種基本構成30を接続具31を用いて多段に接続し、アダプター35を最下段に付加してワイングラス上に設置した概要図である。このように多段に構成することによって、最上段の第2種基本構成30で受けたワイン等の流体は流体噴出部4から噴出され、流体噴出部4から噴出した流体は、次段の第2種基本構成30で受けられ、同様にその流体噴出部4から更に次段の第2種基本構成30で受けられ、最終的にワイングラスやカップ、またはデキャンタなどを含む容器にサーブされる。本発明における流体下降装置は、ワイングラスやデキャンタの上に乗せる程度の大きさに限定されず、構成受け具を設置して様々な形の受け容器に配置可能としても良い。
【0056】
図17,18,19は、第2種基本構成30を支える支持リングを外部のスタンドによって支持した場合の本発明の一実施形態における流体下降装置における接続部を示す図である。これらの場合には、更にデザイン性を考慮して第2種基本構成30の流体受け部2と流体収束部3を一体化して花びら状にし、その下部に流体噴出部4を設けた花びら状第2種基本構成30として実現される。このように第2種基本構成30を花びら状とすることで、各図に示すように、独特の視覚的効果を有するインテリアとして使用することも可能である。
【0057】
図20は、本発明の一実施形態に係る第1種基本構成1を用いた流体下降装置が、複数人数分を一度にサーブできる場合の全体概要を示す概略図である。多くの人が参加するイベントでは、複数の人に同時にサーブできるよう、該流体下降装置を大きな容器に設置し、個々の人が自分でサーブする行為そのものをイベントの楽しい演出としてもよい。
【0058】
図21は、本発明の一実施形態に係る第2種基本構成30を用いた流体下降装置が循環ポンプを有する受け容器に設置された場合の全体概要を示す概略図である。かかる構成により、最上段に設置された第2種基本構成30を用いた流体下降装置に注がれる流体は、さらに下段の第2種基本構成30を用いた流体下降装置へ、各流体噴出部より噴出しつつ流下するが、最下段の第2種基本構成30を用いた流体下降装置より噴出された流体は、図示されるように受け容器67によって一旦保持され、受け容器67の側面に設置された循環ポンプより上方へ流体が移動されてポンプ排出口69より再び最上段の第2種基本構成30を用いた流体下降装置へと注がれる。
【0059】
図22、23は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置において、第1種基本構成1及び第2種基本構成30の流体収束部3と流体噴出部4が差し込み式、またはねじ込み式として着脱可能である場合の流体受け部を収納する場合の概略図である。これによって、流体受け部2を重ねて保管して置くことができるので保管スペースを少なくすることができ、かつ使用後の洗浄にも便利である。
【0060】
ここで、図18及び図19の説明に戻る。両図は、本発明に係る流体下降装置を視覚的効果を十分に持たせた態様で実施する場合の実施例、製作例を示した図である。両図に示されるように、寸法のとり方によって、独特の視覚的効果を生み出すことができるため、飲料を飲む用途のみならず、宣伝的用途においても、十分本発明を利用することができる。
【0061】
図24は本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成の全体概要を示す斜視図であり、図33は本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成の正面図である。同図に示すように、本発明の流体下降装置の第3種基本構成51は、上部が広く開いた漏斗状の流体受け部52と、該流体受け部の下部に配置される接続口53と、該接続口に連設され、該流体受け部より流下される流体が通る筒部54と、該筒部に設けられる複数の細い流体噴出孔501によって構成される流体噴出部55と、および該筒部に連設される筒状の接続部56とを備えて構成される。
【0062】
ボトル、デキャンタ等から注がれたワインを含む流体は、まず流体受け部52で受けられる。流体受け部52は上部から下部に行くに従って口径が小さくなる漏斗状になっており、ここで受けた流体は該流体受け部52の下方に配置された接続口53より筒部54に向かって流下される。
【0063】
接続口53は、流体受け部52で受けた流体を滞ることなく筒部54へと導くのに充分な口径を有する。該接続口53から連設された筒部54には、複数の細い流体噴出孔501からなる流体噴出部55が設けられ、流体受け部52から接続口53を経由して筒部54に流下された流体は該流体噴出部55の流体噴出孔501より筒部54外部に向かってシャワー状に噴出する。
【0064】
筒部54は、流体を噴出する複数の細い流体噴出孔501よりなる流体噴出部55までは中空状であり、該流体噴出部55より下方は塞がれていて、流体受け部52より流下された流体の全量が、流体噴出部55から噴出されるように構成される。これによって、流体下降装置の第3種基本構成51を流下するワインを含む流体は、筒部54内下方に残留することがないため、流体下降装置の第3種基本構成51を流下する流体は、常に新しく注がれて、かつその時に最も良い状態でサーブされることが可能となる。
【0065】
筒部54に連設される接続部56は、中空またはソリッドの筒型で、下方に行くに従って先端が細くなっており、流体噴出部55の内径より小さくなっているとともにその筒外形は流体受け部52の内形とは異なっている。
【0066】
図25は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成51を多段式に構成した際の全体概要を示す斜視図である。また、図27は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置の第3種基本構成51を多段に組み合わせてワイングラス、またはデキャンタに設置した図である。図25に示すように、該流体下降装置の第3種基本構成51は、1つまたは複数を多段式に組み合わせて構成することが可能である。流体下降装置の第3種基本構成51を2段に重ねた場合その接続部56は、下段の流体下降装置の第3種基本構成51の接続口53に嵌合されて接続される。接続部56は筒型をなすが、その口径は接続口53に無理なく嵌合されるものの接続部56に連設する筒部54の口径より小さく、そのため接続口53に挿入されるのは接続部56のみで、接続口53の口径より筒部54の口径が大きいため、それ以上は陥入せずに固定され、安定した多段構成が可能となる。
【0067】
このように多段に構成することによって、上段の流体下降装置の第3種基本構成51の流体受け部52で受けた流体は筒部54を通って流体噴出部55から噴出される。噴出された流体は下段の流体下降装置の第3種基本構成51の流体受け部52で受けられ、同様に筒部54を流下して流体噴出部55から外部に向かって噴出されて、最後にワイングラスやカップ、またはデキャンタなどを含む容器にサーブされる。
【0068】
上記のような構成は、図27に示すように複数の流体下降装置の第3種基本構成51を縦方向へ同様に接続し組み合わせることによって、さらに多段に重ねて構成することが可能となる。このような多段構成によって、該流体下降装置は、長い経路にわたって流体を流下させることによってより多くの空気と馴染ませ触れさせることによって味と香りを増長させ、かつ最上段から下段へと流体がシャワー状に噴出しつつ移動する様は食事やパーティの雰囲気を盛り上げる高い視覚的効果を実現する。
【0069】
さらに図26は、本発明の一実施形態における流体下降装置の第3種基本構成における接続部の断面図である。図26は、筒状をなす流体噴出部55の外形が円形で、接続部56が円柱の4方向に窪みを有する形状をなす場合と、三角柱状を成す場合を示す。接続部56の形状は、該流体下降装置の第3種基本構成51を、接続口53に接続部56を嵌合して接続して多段に組み合わせる際に、確実に固定でき、かつ安全に着脱可能であれば、これらに限定されるものではない。
【0070】
また図33は、流体噴出部55の内形と接続部56の外形が円形であり、かつ接続部56の外形に流体が流れるように窪みが設けられた例である。このような形状では、複数の第3種基本構成51を重ねた場合、上段の流体下降装置の第3種基本構成51の流体受け部52と流体噴出部55の接続部56に下段の流体下降装置の第3種基本構成51の接続口53がしっかり嵌合する。
【0071】
かかる構成によれば、上段の流体下降装置の第3種基本構成51の流体受け部52にワインのような流体を注いだ場合、流体は流体受け部52から接続口53を経由して筒部54に導かれ、細い流体噴出孔501より構成される流体噴出部55から図示のように周囲にシャワー状に噴出し、噴出された流体は下段の流体下降装置の第3種基本構成51の流体受け部52に捕捉されて筒部54より流下して接続口53に導かれるが、上段の流体下降装置の第3種基本構成51の筒部54が接続するこの部分は、筒部54の形状が図26の如く構成されているため、流体は円形と三角形または窪みの隙間を通って流体噴出部55下部に流れ込み、下段の流体下降装置の第3種基本構成51の筒部54に設けられた流体噴出部55の流体噴出孔501から周囲に噴出する。
【0072】
筒部54の内形と接続部56の外形は、上記のような形状に限定されず、流体噴出部を有する筒部54及び接続部56を接続した際に、さらに下段の流体下降装置における筒部54と接続部56との間に流体が通過できる間隙ができれば良い。
【0073】
図29は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置が、複数分を一度にサーブできる場合の全体概要を示す概略図である。多くの人が参加するイベントでは、複数の人に同時にサーブできるよう、該流体下降装置を大きな容器に設置し、個々の人が自分でサーブする行為そのものをイベントの楽しい演出としてもよい。
【0074】
図30は、本発明の一実施形態に係る流体下降装置が循環ポンプを有する受け容器に設置された場合の全体概要を示す概略図である。かかる構成により、最上段に設置された流体下降装置に注がれる流体は、さらに下段の流体下降装置へ、各流体噴出部より噴出しつつ流下するが、最下段の流体下降装置より噴出された流体は、図示されるように受け容器67によって一旦保持され、受け容器67の側面に設置された循環ポンプより上方へ流体が移動されてポンプ排出口69より再び最上段の流体下降装置における流体受け部へと注がれる。
【0075】
かかる構成により、ワインを含む流体は、常に循環して流体下降装置を移動するため、多くの空気に触れることが可能となり、また常に流体のシャワーを見て楽しむ視覚的効果も実現できる。また、ワインを含む流体の香りをより広範囲で楽しむことが可能となる。このようにすればジュースのような流体宣伝の店頭ディスプレイとしても応用できる。
【0076】
また、流体の例として主にワインを挙げて説明したが、ウイスキーや日本酒、焼酎等の酒類、ジュースや清涼飲料水、さらには溶解チョコレートのような流体にも使用可能である。
【0077】
さらに、基本構成の材質としては、ガラスやプラスチック、アクリルやスチレン、エポキシ、またはポリカーボネートのような樹脂や金属、または陶磁器、セラミックなどでもよい。また、上記樹脂材料として温度によって本体の色が変化する素材を使用すれば、例えば冷却された流体が下降するにつれて本体の色が変化し、より視覚的な装飾効果を高めることができる。
【0078】
このように本発明によれば、多人数が参加する大きなイベントでも、少人数による日常の食事でも、ワインを含む流体をサーブする際、何ら熟練や経験を必要とせず手軽に、本発明に係る流体下降装置を縦方向に多段に構成することによって、流体を空気とまんべんなく触れさせて馴染ませてさらに美味しく、さらに香りを向上させることを可能にし、かつ、多段にわたって流体がシャワー状に噴出することで高い視覚的な演出効果も簡単に実現できる。
【0079】
上述した実施例は、本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。たとえば、上記においては、本発明に係る技術的思想をワインやジュース等の飲料をサーブする用途を主に説明したが、本発明に係る技術的思想はこれ以外にも、空気と混在させることで一定の効果がある分野において用いることができる。たとえば、工業上、一定の液体を多段階にわたって空気に触れさせた後に別の化合物と混合する場合などに用いることが可能である。さらに、本下降装置を流下する媒体としては液体に限られることなく、粒体でもよく、一定の流動性を備えた材質であればよい。
【0080】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
上述したように、本発明に係る発明によれば、ワインを含む流体を、ワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際に、多段式かつ着脱可能な流体下降装置を使用してサーブすることによって、流体全体をまんべんなく十分な空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させることが可能となる。
【0082】
したがって、本発明は、ワインなどの飲料を含む流体を上方から下方へと下降させる装置として、飲食業、イベント業、観光業、広告業など、味覚だけでなく視覚による効果を有効とする各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0083】
1…流体下降装置第1種基本構成、2…流体受け部、3…流体収束部、4…流体噴出部、5…流体噴出孔、6…リム、7…空気流通口、8…接続リング、9…ワイングラス、10…アダプター、11…開口部、21…上部基本構成、22…下部基本構成、23…別形状のアダプター、30…流体下降装置第2種基本構成、31…接続具、32…支持リング、33…支持柱、34…接続パイプ、35…更に別形状のアダプター、36…直線状支持柱、37…支持スタンド、51…流体下降装置第3種基本構成、52…流体受け部、53…接続口、54…筒部、55…流体噴出部、56…接続部、501…流体噴出孔、67…受け容器、68…循環ポンプ、69…ポンプ排出口、70…構成受け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注ぎこまれた流体を受ける流体受け部と、前記流体受け部の下方に連設された漏斗状の流体収束部と、前記流体収束部の下部に連設され、かつ前記流体を噴出するための複数の流体噴出孔を有する流体噴出部を備えた流体下降装置、もしくは
注ぎこまれた流体を受ける漏斗状の流体収束部と、前記流体収束部の下部に連設され、かつ前記流体を噴出するための複数の流体噴出孔を有する流体噴出部を備えた流体下降装置、もしくは
前記流体噴出部において、中空状でかつ下端を塞ぐ底部を有し、前記複数の流体噴出孔が前記底部に連設した前記流体噴出部の周面に穿設されて、前記流体収束部から流下した前記流体の全量を噴出することができる流体下降装置
のいずれかの流体下降装置が有する流体収束部を支持することができる1または複数の支持部を有し、
これら支持部を支持する支持柱と、
前記支持部及び前記支持柱を支える基部を有して、
前記流体下降装置を1または複数支持することができ、
複数の前記流体下降装置を支持する場合には、
上方に位置する前記流体下降装置の前記複数の流体噴出孔から噴出された前記流体が下方に位置する前記流体下降装置に流下することを特徴とする流体下降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−161596(P2012−161596A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5815(P2012−5815)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2011−527142(P2011−527142)の分割
【原出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(510203784)株式会社薬膳壷焼本舗五行 (3)
【Fターム(参考)】