説明

流体供給体

【課題】本発明は、バルーンカテーテルのバルーンの膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体を提供することである。
【解決手段】カテーテル1の先端部にバルーン3が配設されたバルーンカテーテル1と組み合わせて使用され、シリンダ12の内部に基端部側から摺動自在に挿入されるプランジャ13の摺動動作にともないバルーンカテーテル1の内部管路を通してバルーン3内に流体が供給される流体供給体11において、シリンダ12の管壁に、シリンダ12の内部と外部を連通させる3つの流体流出孔15,16,17を、前記プランジャ13の摺動方向に沿って設け、前記3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して、前記シリンダ12から前記バルーン3内に供給される流体供給量を制御する流体供給量の制御手段22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療分野において利用され、内視鏡を介して体腔内に挿入されるバルーンカテーテルに流体を供給する流体供給体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療分野においては、導尿留置用カテーテル等のバルーン付きの医療用泌尿器用カテーテルや、気管内チューブ、消化器用カテーテル、心臓ポンピングバルーンカテーテル等のカテーテル先端部付近にバルーンを有するバルーンカテーテルが多く使用されている。
【0003】
こうしたバルーンカテーテルとして、カテーテルを形成する可撓管の外周に管状のバルーンを被せ、その両端を、例えば糸などの線状部材で可撓管の外周に円周方向に巻き付けて縛ることにより固定した固定部を設けた構成が示されている。さらに、可撓管の内部にはバルーンルーメンが形成されている。また、可撓管の管壁にはバルーンルーメンからバルーン内に流体、例えば空気、造影剤、あるいは生理食塩水を供給する開口部である側孔が形成されている。
【0004】
可撓管の基端部に設けられた手元側の口金には、例えば医療用注射筒などの流体供給体が取付けられる。この流体供給体は、シリンダと、このシリンダの内部に摺動自在に挿入されるプランジャとを有する。そして、バルーンカテーテルのバルーンを膨張させる場合、流体供給体のプランジャを押し込み操作することにより、バルーンと流体接続した可撓管の内部のバルーンルーメンを通して必要量の流体をバルーンに注入してバルーンを膨張させるのが一般的である。このとき、バルーンカテーテルが挿入される対象管腔の内径に合わせて膨張させるバルーンの膨張径の大きさを調整する必要がある。
【0005】
その手段として特許文献1には、バルーンの膨張径の大きさ(流体供給量)を変更する複数の注射器を準備し、必要なバルーンの膨張径の大きさの注射器を選択的に使用する構成が開示されている。また、特許文献2には、プランジャの押し込み操作方向に沿ってシリンダに複数個所の穴、例えば3つの穴を開け、その穴を指で押さえることで必要なバルーンの膨張径の大きさになるように注射器からの流体の供給量(押し出し量)を調整する構成が開示されている。ここで、例えば3つの穴を開状態で保持した場合にはバルーンの膨張径の大きさが最小径となり、先端側の1つの穴を塞いだ場合にはバルーンの膨張径の大きさが2番目の大きさに調整され、先端側の2つの穴を同時に塞いだ場合にはバルーンの膨張径の大きさが最大径の大きさに調整される。また、特許文献3には、1本の注射器を用い、必要なバルーンの膨張径の大きさになるように注射器からの流体の供給量(押し出し量)を操作者が手操作で調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−323740号公報
【特許文献2】特開2005−319069号公報
【特許文献3】特開2008−49199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置では、バルーンの膨張径の大きさごとに異なる複数の大きさの注射器を準備する必要があるため、コストがかかる。特許文献2の装置では、バルーンの膨張径の大きさを最大径の大きさに調整する場合には、シリンダの外周面の先端側の2つの穴を同時に完全に塞ぐ必要がある。そのため、両手の操作が必要な上、作業の確実性が低い。特許文献3の装置では、流体の供給量を示す目盛が注射器のシリンダの外周面に書かれている為、操作者は手元のシリンダの外周面の目盛を見る時にX線モニタから目を離す必要がある。
【0008】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、バルーンカテーテルのバルーンの膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面の態様は、カテーテルの先端部にバルーンが配設されたバルーンカテーテルと組み合わせて使用され、シリンダの先端部に前記バルーンカテーテルの内部管路の基端部に接続される接続部が設けられ、前記シリンダの内部に基端部側から摺動自在に挿入されるプランジャの摺動動作にともない前記バルーンカテーテルの前記内部管路を通して前記バルーン内に流体が供給される流体供給体において、前記シリンダの管壁に、前記シリンダの内部と外部を連通させる流体流出孔を、前記プランジャの摺動方向に沿って複数設け、前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記シリンダから前記バルーン内に供給される流体供給量を制御する流体供給量の制御手段を設けたことを特徴とする流体供給体である。
そして、上記構成では、流体供給量の制御手段によってシリンダの管壁の複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記シリンダから前記バルーン内に供給される流体供給量を制御するようにしたものである。
【0010】
好ましくは、前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔のそれぞれを塞ぐシール部材を前記シリンダに対して引き剥がし可能に設け、前記シール部材を引き剥がすことで前記流体供給量を制御する。
そして、上記構成では、前記流体供給量の制御手段の動作時には、シリンダの外周面の管壁の複数の流体流出孔のうち、バルーン内に供給される所望の流体供給量に対応するいずれか1つの流体流出孔のシール部材を選択的に前記シリンダに対して引き剥がすことで、流体供給量を制御する。これにより、バルーンカテーテルのバルーンの膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記シール部材は、前記孔の両側に延出された2つの延出端部の少なくともいずれか一方に手がかり用の耳部を有する。
そして、上記構成では、前記シール部材の手がかり用の耳部を把持してシール部材を前記シリンダに対して引き剥がす。これにより、シール部材を前記シリンダに対して引き剥がしやすいようにしたものである。
【0012】
好ましくは、前記シール部材は、前記流体流出孔の周縁部位と接触する接触部に粘着材を付着させない非粘着部を有する。
そして、上記構成では、流体流出孔の周縁部位と接触する接触部に粘着材を付着させない前記シール部材の非粘着部を設けることにより、シリンダ内部の流体と粘着材とが接しないようにしたものである。
【0013】
好ましくは、前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御するリング状のシール部材を前記シリンダに対して前記プランジャの摺動方向に沿ってスライド可能に設け、前記シール部材を前記プランジャの摺動方向に沿ってスライドさせることで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する。
そして、上記構成では、リング状のシール部材をプランジャの摺動方向に沿ってスライドさせることで、シリンダの外周面の複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御するようにしたものである。
【0014】
好ましくは、前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御するリング状のシール部材を前記シリンダの外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けるとともに、前記シール部材に前記流体流出孔に連通する連通孔を設け、前記シール部材の回転にともない前記連通孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する。
そして、上記構成では、リング状のシール部材を前記シリンダの外周面に対して周方向に沿って回転させることにより、シール部材の連通孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御するようにしたものである。
【0015】
好ましくは、前記シリンダは、外周面における前記複数の流体流出孔のそれぞれの周囲に前記シール部材の位置ずれを防止するリング状溝を設けた。
そして、上記構成では、シリンダの外周面における前記複数の流体流出孔のそれぞれの周囲のリング状溝によって前記シール部材の位置ずれを防止するようにしたものである。
【0016】
好ましくは、前記シリンダは、複数の前記流体流出孔が前記シリンダの周方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置され、前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御する円筒状のシール部材を前記シリンダの外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けるとともに、前記シール部材に前記シリンダの軸方向に沿って延出された長孔状の孔位置切り替え孔を設け、前記シール部材の回転にともない前記孔位置切り替え孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する。
そして、上記構成では、シール部材の回転にともない前記孔位置切り替え孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する。
【0017】
好ましくは、前記流体供給量の制御手段は、前記複数の流体流出孔の位置を位置決めする位置決め手段を有し、前記位置決め手段は、前記シリンダと前記シール部材のいずれか一方に、前記複数の流体流出孔の周方向の位置と対応させた嵌合穴、他方に前記嵌合穴に係脱可能に嵌合する突起部を設け、前記嵌合穴と前記突起部との嵌合により前記各流体流出孔の周方向の位置を規制する。
そして、上記構成では、前記流体供給量の制御手段の位置決め手段は、前記シリンダと前記シール部材のいずれか一方の嵌合穴と、他方の突起部との嵌合により前記各流体流出孔の周方向の位置を規制する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、バルーンカテーテルのバルーンの膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】バルーンカテーテルの全体構成を示す側面図。
【図2】バルーンカテーテルを胆管内に挿入する動作を説明するための説明図。
【図3】バルーンカテーテルに流体を供給する本発明の第1の実施の形態の流体供給体の全体の概略構成を示す斜視図。
【図4】第1の実施の形態の流体供給体の本体部分を示す斜視図。
【図5】第1の実施の形態の流体供給体の側面図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】第1の実施の形態の流体供給体の1つのシール部材を引き剥がした状態を示す側面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態の流体供給体の全体の概略構成を示す斜視図。
【図9】第2の実施の形態の流体供給体の側面図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【図11】本発明の第3の実施の形態の流体供給体の全体の概略構成を示す斜視図。
【図12】第3の実施の形態を示し、(A)は流体供給体のリング状のシール部材を示す斜視図、(B)はリング状のシール部材を示す縦断面図。
【図13】第3の実施の形態の流体供給体を示し、(A)は流体供給体の1つのシール部材をスライド移動させた状態を示す縦断面図、(B)は図13(A)の13B−13B線断面図。
【図14】本発明の第4の実施の形態の流体供給体の全体の概略構成を示す縦断面図。
【図15】第4の実施の形態の流体供給体を示し、(A)は図14の15A−15A線断面図、(B)は図14の15B−15B線断面図。
【図16】第4の実施の形態の流体供給体の本体部分の一部を断面にして示す側面図。
【図17】第4の実施の形態の流体供給体のリング状のシール部材を示す斜視図。
【図18】本発明の第5の実施の形態の流体供給体の全体の概略構成を示す斜視図。
【図19】第5の実施の形態の流体供給体を示し、(A)は流体供給体の本体部分を示す斜視図、(B)はリング状のシール部材の斜視図。
【図20】第5の実施の形態の流体供給体の縦断面図。
【図21】(A)は図20の21A−21A線断面図、(B)は図20の21B−21B線断面図。
【図22】図20の22−22線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1〜図7は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は、バルーンカテーテル1の全体構成を示す側面図、図2は、バルーンカテーテル1を内視鏡100のチャンネル内を通して胆管内に挿入した状態を説明するための説明図である。このバルーンカテーテル1には体腔内に挿入される可撓性を有する細長いシース2が設けられている。このシース2は、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエチレン或いはポリアミド系エラストマー等の樹脂材料によって形成されている。
【0021】
シース2の先端部にはこのシース2の外表面に被せた状態で配置される管状のバルーン3が設けられている。このバルーン3は例えば天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、ポリアミド系エラストマー、シリコン等の材料からなる。さらに、シース2の基端側には手元側の操作部4が設けられている。そして、この操作部4によってバルーンカテーテル1を操作するようになっている。
【0022】
また、シース2の内部には、複数、本実施の形態では図示しない3つのルーメンが形成されている。ここで、断面積が最も大きいルーメンによってバルーンカテーテル1を目的部位に案内するために用いる図示しないガイドワイヤを挿通するガイドワイヤルーメンが形成されている。さらに、他の1つのルーメンによってバルーン3内に流体、例えば空気、造影剤、あるいは生理食塩水を供給するためのバルーンルーメン、他の1つのルーメンによってバルーンカテーテル1の先端付近から体腔内に流体、例えば造影剤や生理食塩水を送液するための送液ルーメンがそれぞれ形成されている。
【0023】
また、操作部4には、分岐部5が設けられている。この分岐部5にはシース2と同じく、可撓性を有する、例えば、テフロン、ポリエチレン或いはポリアミド系エラストマー等の材料から成る3つのガイドシース6,7,8が3方向に分岐して伸びている。ここで、分岐部5とシース2及び各ガイドシース6,7,8との間の連結部はインサート成形、あるいは例えばシリコン、シアノアクリレートやエポキシ系等の接着剤を用いて固着される。
【0024】
1つのガイドシース6は、バルーンカテーテル1のバルーンルーメンに連通されている。そして、このガイドシース6によってバルーンシースが形成されている。さらに、他の1つのガイドシース7はガイドワイヤルーメンに連通され、ガイドワイヤシースが形成されている。さらに、他の1つのガイドシース8は送液ルーメンに連通され、送液シースが形成されている。
【0025】
なお、シース2の最先端にはガイドワイヤルーメンの先端開口部が形成されている。このガイドワイヤルーメンの基端側にはガイドワイヤシース7が連通されている。このガイドワイヤシース7の基端部にはルアー形状の開口部を有するガイドワイヤ口金7aが設けられている。
【0026】
そして、ガイドワイヤ口金7aの開口部を通じてガイドワイヤシース7およびガイドワイヤルーメンに順次、図示しないガイドワイヤを挿通できるようになっている。これにより、ガイドワイヤを通じてバルーンカテーテル1が目的部位まで案内されるようになっている。
【0027】
また、送液ルーメンは、シース2の先端部で閉塞されている。さらに、シース2の先端部にはバルーン3よりも先端側に送液ルーメンと連通する少なくとも1個以上の図示しない送液開口部が形成されている。さらに、送液ルーメンの基端側は送液シース8に連通されている。この送液シース8の基端にはルアー形状の開口部を有する送液口金8aが設けられている。この送液口金8aには図示しない流体供給体が着脱自在に取り付け可能であり、この流体供給体によって体腔内に流体を送液することができるようになっている。
【0028】
また、バルーンルーメンはシース2の先端部で閉塞されている。さらに、シース2の先端部にはバルーンルーメンに連通する側孔が開口されている。そして、バルーンルーメンはこの側孔を通じてバルーン3内に連通されている。
また、バルーン3はいわゆるゴム弾性体であり、シース2のバルーン膨縮用の側孔を覆うようにシース2の先端近傍の外周面に膨縮変形可能に被嵌されている。シース2の外周面には、バルーン3の前後の両端部分3a,3bに、線状部材、例えば糸をシース2の周方向に巻き付けてバルーン3の両端部分3a,3bをシース2に固定させるバルーン巻き付け部が設けられている。
【0029】
また、図1に示すようにバルーンシース6の基端部にはルアー形状の開口部を有するバルーン口金9が設けられている。このバルーン口金9には流体の流出・封止を制御可能な弁10が設けられている。
また、バルーン口金9には弁10を介して図3に示す本実施の形態のバルーン用流体供給体11が着脱可能に接続される。このバルーン用流体供給体11は、図4に示すようにシリンダ12と、このシリンダ12の内部にシリンダ12の中心軸方向に摺動自在に挿入されるプランジャ13とを有する。
【0030】
ここで、シリンダ12の先端部には先端部が開口した細径部14が突設されている。この細径部14は、バルーンカテーテル1の基端部のバルーンシース6に接続される接続部である。さらに、プランジャ13の先端部にはシリンダ12の内腔に密着し、かつ摺動可能な図示しない弾性部材が装着されている。
【0031】
そして、このバルーン用流体供給体11のプランジャ13を押し込み操作してバルーンシース6およびバルーンルーメンを順次介してバルーン3内に膨張用の流体を供給できるようになっている。
また、バルーン3内に流体を供給し、バルーン3を膨張させた後は、弁10を閉じて流体の逆流を阻止することにより、バルーン3を膨張した形状に維持できるようになっている。
【0032】
本実施の形態の流体供給体11は、シリンダ12の管壁に、シリンダ12の内部と外部を連通させる複数、本実施の形態では3つの流体流出孔15,16,17が前記プランジャ13の摺動方向に沿って並設されている。なお、シリンダ12の基端側から順に第1の流体流出孔15、第2の流体流出孔16、第3の流体流出孔17と称する。
【0033】
さらに、図5に示すようにシリンダ12の外周面には、3つの流体流出孔15,16,17のそれぞれを塞ぐ3つのテープ状のシール部材18,19,20が前記シリンダ12に対して引き剥がし可能に貼着されている。これらのシール部材18,19,20は同一構成である。
【0034】
図6に示すようにこれらのシール部材18,19,20の内面には、粘着材21が塗布されている。各シール部材18,19,20は、内面の粘着材21がシリンダ12の外周面の3つの流体流出孔15,16,17の周囲壁面部分にそれぞれ貼着されている。そして、3つのシール部材18,19,20のいずれか1つを選択的に引き剥がすことで、3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放する。これにより、シリンダ12からバルーン3内に供給される流体の供給量を制御する流体供給量の制御手段22が形成されている。ここで、第1の流体流出孔15が開放された場合には流体の供給量が最も大きくなり、バルーン3の膨張径が最も大きくなる。さらに、第2の流体流出孔16が開放された場合には流体の供給量が中間状態、バルーン3の膨張径が中間状態となり、第3の流体流出孔17が開放された場合には流体の供給量が最も小さくなり、バルーン3の膨張径が最も小さくなる。
【0035】
また、各シール部材18,19,20には、3つの流体流出孔15,16,17のそれぞれの両側に延出された2つの延出端部の少なくともいずれか一方に手がかり用の耳部18a、19a、20aが形成されている。各耳部18a、19a、20aには、粘着材21が塗布されていない。そのため、3つのシール部材18,19,20のいずれかの1つの耳部18a、19a、20aを手指で把持して3つのシール部材18,19,20のいずれか1つをシリンダ12に対して引き剥がす際に、最初に耳部18a、19a、20aの部分をシリンダ12の外周面から引き剥がして手がかりとして使用できる。このとき、いずれか1つのシール部材、例えば第1の流体流出孔15のシール部材18の場合は、そのシール部材18の耳部18aを把持した状態で、シール部材18の全体をシリンダ12の外周壁面から引き剥がす方向に持ち上げることにより、シール部材18をシリンダ12に対して引き剥がしやすいようにしたものである。これにより、図7に示すようにシリンダ12の第1の流体流出孔15のみが開放される。なお、他のシール部材19、20の場合も同様である。さらに、各シール部材18,19,20のそれぞれの両側に耳部18a、19a、20aをそれぞれ設けてもよい。
【0036】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の流体供給体1の使用時には、操作者は、予め、バルーン3を膨張させる大きさに合わせてシリンダ12の外周面の流体流出孔15,16,17の位置を選択する。そして、選択された位置の流体流出孔、例えば第1の流体流出孔15の位置を選択した場合には第1の流体流出孔15の位置のシール部材18をシリンダ12の外周面から引き剥がす。
【0037】
その後、バルーン用流体供給体11のシリンダ12内のプランジャ13を押し込み操作する。このとき、引き剥がした流体流出孔15の位置よりプランジャ13が手元側にあるときはその孔15から流体が放出されることになるため、バルーンルーメン内には流体は送り込まれない。また、プランジャ13が引き剥がした流体流出孔15の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン内に流体が送り込まれる。
【0038】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の流体供給体11では、1本の注射器のシリンダ12の管壁に、3つの流体流出孔15,16,17をプランジャ13の摺動方向に沿って並設し、3つのシール部材18,19,20で各流体流出孔15,16,17を塞いだ流体供給体11を設けている。そして、予め、3つのシール部材18,19,20のいずれか1つをシリンダ12の外周面から引き剥がすことで、シリンダ12からバルーン3内に供給される流体の供給量を制御することができる。このときシール部材を引き剥がすいずれか1つの流体流出孔15,16,17の位置を選択することにより、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替えることができ、バルーン3を所望の大きさに膨張させることができる。
【0039】
したがって、本実施の形態では、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替える操作を市販の1本の注射器で実現することができる。そのため、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体11を提供することができる。さらに、3つのシール部材18,19,20のいずれか1つをシリンダ12の外周面から引き剥がす簡単な操作でバルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替えることができるので、操作者が手元の目盛を見る必要がなく、操作者の使い勝手を高めることができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
(構成)
図8〜図10は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1〜図7参照)の流体供給体11の構成を次の通り変更したものである。なお、図8〜図10中で、図1〜図7と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
本実施の形態の流体供給体31は、シリンダ12の外周面に貼着された3つのシール部材18,19,20にそれぞれ流体流出孔15,16,17の周縁部位と接触する接触部に粘着材21を付着させない非粘着部18b,19b,20bを設けたものである。この非粘着部18b,19b,20bは、例えば、シール部材18,19,20に粘着材21を塗布する際に、予め、シール部材18,19,20の粘着材塗布面に非粘着部18b,19b,20bと対応する形状のマスキングをして粘着材21が付かないようにしたものである。
【0042】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では、バルーンカテーテル1のバルーン3を膨張させる作業時に、バルーン用流体供給体11のシリンダ12内のプランジャ13を押し込み操作したとき、シリンダ12内の流体がいずれの流体流出孔15,16,17を通る場合でも剥がれていないシール部材18,19,20の部分では非粘着部18b,19b,20bにシリンダ12内の流体を接触させることができる。そのため、シリンダ12内の流体がシール部材18,19,20の粘着材21と直接的に接しないようにすることができる。
【0043】
(効果)
そこで、本実施の形態では第1実施形態の効果に加え、流体流出孔15,16,17の周縁部位と接触する接触部に粘着材21を付着させないシール部材18,19,20の非粘着部18b,19b,20bを設けることにより、シリンダ12の内部の流体に粘着材21の影響が及ぶことを防止できる。
【0044】
なお、シリンダ12の外周面の3つの流体流出孔15,16,17を閉塞する手段は、ゴム膨張圧力より粘着力が強い粘着力テープや、ゴムバンドなど気密性のある筒状部材の位置をずらして所望の位置の流体流出孔15,16,17の開放状態を切替える構成にしてもよい。この場合は、1回開放した流体流出孔を再度塞ぐことも可能である。
【0045】
[第3の実施の形態]
(構成)
図11〜図13(A),(B)は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1〜図7参照)の流体供給体11の流体供給量の制御手段の構成を次の通り変更したものである。なお、図11〜図13(A),(B)中で、図1〜図7と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施の形態の流体供給体41は、シリンダ12の外周面に3つの流体流出孔15,16,17の開閉を制御する流体供給量の制御手段として2つの弾力性のある、リング状のシール部材42、43をシリンダ12に対してプランジャ13の摺動方向に沿ってスライド可能に設けたものである。2つのシール部材42、43は、同一構成である。
【0047】
図12(B)に示すように2つのシール部材42、43は、プラスチックのリング状の外枠44の内周面にゴムリング45をインサート成型して形成されている。そして、リング状のシール部材42、43をシリンダ12の軸方向に進退させて、流体流出孔15,16,17の開閉を行うようになっている。
【0048】
なお、流体供給体41の使用時には、シリンダ12の外周面の3つの流体流出孔15,16,17のうちの1つは必ず開放して使うので、シリンダ12の外周面に装着するシール部材42、43の数は流体流出孔の数(n)と同数、もしくは流体流出孔の数(n)−1であればよい。さらに、シリンダ12とリング状のシール部材42、43との間にグリースのような液状シール材を付与して、さらに気密性を上げてもよい。
【0049】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の流体供給体41の使用時には、予め、バルーン3を膨張させる大きさに合わせてシリンダ12の外周面の流体流出孔15,16,17の位置を選択する。そして、選択された位置の流体流出孔、例えば第1の流体流出孔15の位置を選択した場合には図11、13に示すように第1の流体流出孔15以外の流体流出孔16,17を閉塞する位置にシール部材42、43を移動させる。
【0050】
その後、バルーン用流体供給体41のシリンダ12内のプランジャ13を押し込み操作する。このとき、シール部材42、43で閉塞されていない流体流出孔15の位置よりプランジャ13が手元側にあるときはその孔15から流体が放出されることになるため、バルーンルーメン内には流体は送り込まれない。また、プランジャ13が流体流出孔15の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン内に流体が送り込まれる。
【0051】
また、第1の流体流出孔15の位置以外の流体流出孔16,17のいずれか一方を開放する場合には、図13(A)中に矢印で示すように一方のシール部材42をシリンダ12の軸方向にスライドさせて、シール部材42によって第1の流体流出孔15を閉塞する。その後、他方のシール部材43を2つの流体流出孔16,17のうち閉塞する方の流体流出孔、例えば第2の流体流出孔16を閉塞する場合には第2の流体流出孔16の位置までスライドさせて、シール部材43によって第2の流体流出孔16を閉塞する。
【0052】
(効果)
そこで、本実施の形態の流体供給体41では、リング状のシール部材42、43をプランジャ13の摺動方向に沿ってスライドさせることで、シリンダ12の外周面の3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して、流体供給量を制御する流体供給量の制御手段が形成されている。そのため、第1実施形態と同様に、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替えることができ、バルーン3を所望の大きさに膨張させることができる。これにより、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体41を提供することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の効果に加え、シール部材42、43をプランジャ13の摺動方向に沿ってスライドさせることで3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して流体供給量を制御することができるので、本実施の形態の流体供給体41を使用後、繰り返し利用可能となる。
【0054】
[第4の実施の形態]
(構成)
図14〜図17は、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1〜図7参照)の流体供給体11の流体供給量の制御手段の構成を次の通り変更したものである。なお、図14〜図17中で、図1〜図7と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
本実施の形態の流体供給体51は、シリンダ12の外周面に3つの流体流出孔15,16,17の開閉を制御する流体供給量の制御手段として3つのリング状のシール部材52、53、54をシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けている。3つのシール部材52、53、54は、同一構成である。
【0056】
図15(A)、(B)に示すように3つのシール部材52、53、54は、プラスチックのリング状の外枠55の内周面にゴムリング56をインサート成型して形成されている。図17に示すように3つのシール部材52、53、54には、それぞれ流体流出孔15,16,17に連通可能な1つの連通孔57を設けている。
【0057】
また、図16に示すようにシリンダ12の外周面には、3つの流体流出孔15,16,17のそれぞれの周囲にシール部材52、53、54の位置ずれを防止するリング状溝58、59、60を設けている。3つのシール部材52、53、54は、これらのリング状溝58、59、60に嵌合される状態で装着されている。これにより、3つのシール部材52、53、54がシリンダ12の軸方向に位置ズレすることを防止している。そして、3つのシール部材52、53、54は、各リング状溝58、59、60に沿ってそれぞれ周方向に回転可能に保持されている。
【0058】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の流体供給体51の使用時には、予め、バルーン3を膨張させる大きさに合わせてシリンダ12の外周面の流体流出孔15,16,17の位置を選択する。そして、選択された位置の流体流出孔、例えば第3の流体流出孔17の位置を選択した場合には、第3の流体流出孔17の位置のシール部材54をシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させる。このとき、図14、図15(B)に示すように回転させたシール部材54の連通孔57を第3の流体流出孔17に連通させる。これにより、第3の流体流出孔17の開放を行うようになっている。
【0059】
その後、バルーン用流体供給体51のシリンダ12内のプランジャ13を押し込み操作する。このとき、シール部材54で閉塞されていない第3の流体流出孔17の位置よりプランジャ13が手元側にあるときはその孔17から流体が放出されることになるため、バルーンルーメン内には流体は送り込まれない。また、プランジャ13が流体流出孔17の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン内に流体が送り込まれる。
【0060】
なお、第3の流体流出孔17以外の位置の流体流出孔15,16のいずれか一方を開放する場合には、シール部材52、53のいずれか一方を同様に回転させて、回転させたシール部材52、または53の連通孔57を第1の流体流出孔16、または第2の流体流出孔17に連通させる。これにより、第1の流体流出孔16、または第2の流体流出孔17の開放を行うようになっている。このように3つのシール部材52、53、54のいずれか1つをシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることで、3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つの開閉を制御する。
【0061】
(効果)
そこで、本実施の形態の流体供給体51では、3つのリング状のシール部材52、53、54のいずれか1つをシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることにより、回転させたシール部材52、53または54のいずれかの連通孔57とシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17との連通状態を切り替え操作することで3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して、流体供給量を制御することができる。そのため、第1実施形態と同様に、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替えることができ、バルーン3を所望の大きさに膨張させることができる。これにより、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体51を提供することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の効果に加え、3つのリング状のシール部材52、53、54のいずれか1つをシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることで3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して流体供給量を制御することができるので、本実施の形態の流体供給体51を使用後、繰り返し利用可能となる。
【0063】
[第5の実施の形態]
(構成)
図18〜図22は、本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1〜図7参照)の流体供給体11の流体供給量の制御手段の構成を次の通り変更したものである。なお、図18〜図22中で、図1〜図7と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
本実施の形態の流体供給体71は、図19(A)に示すようにシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17の位置がシリンダ12の周方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置されている。
また、シリンダ12の外周面には、3つの流体流出孔15,16,17の開閉を制御する1つの円筒状のシール部材72がシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けられている。図19(B)に示すようにシール部材72には、シリンダ12の軸方向に沿って延出された長孔状の孔位置切り替え孔73が設けられている。そして、シール部材72をシリンダ12の外周面に対して周方向に回転させることで、シール部材72の孔位置切り替え孔73とシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つと選択的に連通させるようになっている。これにより、シリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17の穴の開閉を切り替え制御するようになっている。
【0065】
また、本実施の形態の流体供給体71には、3つの流体流出孔15,16,17の位置を位置決めする位置決め手段74が設けられている。この位置決め手段74には、図19(A)、図22に示すようにシリンダ12の一端部外周面に周方向に沿って並設された状態で配置され、3つの嵌合穴75,76,77が凹穴加工されている。さらに、シール部材72の内周面には、3つの嵌合穴75,76,77のいずれか1つに係脱可能に嵌合する突起部78が設けられている。3つの嵌合穴75,76,77の周方向の位置は、3つの流体流出孔15,16,17の周方向の位置と対応させた状態で配置されている。これにより、シール部材72の突起部78をシリンダ12の3つの嵌合穴75,76,77のいずれか1つに選択的に嵌合させることにより、シール部材72の孔位置切り替え孔73とシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つとの連通状態を選択的に切替えた状態で3つの流体流出孔15,16,17の位置を位置決めするようになっている。このとき、シール部材72の突起部78とシリンダ12の3つの嵌合穴75,76,77のいずれか1つとの嵌合部によって3つの流体流出孔15,16,17の周方向の位置を規制するとともに、シール部材72の抜け止めを行うようになっている。
【0066】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の流体供給体71の使用時には、予め、バルーン3を膨張させる大きさに合わせてシリンダ12の外周面の流体流出孔15,16,17の位置を選択する。そして、シール部材72をシリンダ12の外周面に対して周方向に回転させることで、図18、図20、図21(B)に示すようにシール部材72の孔位置切り替え孔73と選択された位置の流体流出孔、例えば第2の流体流出孔16の位置を選択した場合には、第2の流体流出孔16とを選択的に連通させる。これにより、第2の流体流出孔16の開放を行うようになっている。
【0067】
その後、バルーン用流体供給体71のシリンダ12内のプランジャ13を押し込み操作する。このとき、第2の流体流出孔16の位置よりプランジャ13が手元側にあるときはその孔16から流体が放出されることになるため、バルーンルーメン内には流体は送り込まれない。また、プランジャ13が流体流出孔16の位置よりも先端側に移動して初めてバルーンルーメン内に流体が送り込まれる。
【0068】
なお、第2の流体流出孔16以外の位置の流体流出孔15,17のいずれか一方を開放する場合には、シール部材72を回転させて、シール部材72の孔位置切り替え孔73を第1の流体流出孔15、または第3の流体流出孔17に連通させる。これにより、第1の流体流出孔15、または第3の流体流出孔17の開放を行うようになっている。このようにシール部材72をシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることで、3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つの開閉を制御する。
【0069】
(効果)
そこで、本実施の形態の流体供給体71では、シール部材72をシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることにより、シール部材72の孔位置切り替え孔73とシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17との連通状態を切り替え操作することで3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して、流体供給量を制御することができる。そのため、第1実施形態と同様に、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを3段階に切替えることができ、バルーン3を所望の大きさに膨張させることができる。これにより、バルーンカテーテル1のバルーン3の膨張径の大きさを切替える操作を安価な構造で行うことができる流体供給体71を提供することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の効果に加え、シール部材72をシリンダ12の外周面に対して周方向に沿って回転させることでシール部材72の孔位置切り替え孔73とシリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17のいずれか1つを選択的に開放して流体供給量を制御することができるので、本実施の形態の流体供給体71を使用後、繰り返し利用可能となる。また、本実施の形態では特に、1つのシール部材72を使用しているので、シリンダ12の3つの流体流出孔15,16,17のいずれか2つの流体流出孔を同時に開放することが防止できる効果がある。
【0071】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態ではシリンダ12の管壁に、3つの流体流出孔15,16,17を設けた構成を示したが、流体流出孔の数は、3以外の複数であってもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) バルーンカテーテルと組み合わせて使用され、シリンダの先端部にバルーンカテーテルに接続される接続部が設けられ、前記シリンダの基端部側からプランジャが摺動自在に挿入される流体供給体において、前記シリンダの前記先端部から前記基端部に至る間に、前記シリンダの内部と外部を連通させる孔を、前記シリンダの軸線方向に複数設け、前記孔を塞ぐシール部材を選択的に開閉して、流体供給量を制御することを特徴とする流体供給体。
【0072】
(付記項2) バルーンカテーテルと組み合わせて使用され、遠位端および近位端開口部を有する筒状部材と、前記筒状部材の内腔に対して摺動可能なピストンと、前記筒状部材に密着しかつ摺動可能な弾性部材とからなる流体供給体において、前記筒状部材と前記ピストン間に少なくとも1つ以上の穴を設け、前記穴はバルーンの各膨張径に応じた流量を供給する位置に開けられており、前記穴の開閉を選択可能な部材を具備したことを特徴とする流体供給体。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば医療分野において利用され、内視鏡を介して体腔内に挿入されるバルーンカテーテルに流体を供給する流体供給体を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0074】
1…バルーンカテーテル、3…バルーン、11…流体供給体、12…シリンダ、13…プランジャ、14…細径部(接続部)、15,16,17…流体流出孔、18,19,20…シール部材、22…制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの先端部にバルーンが配設されたバルーンカテーテルと組み合わせて使用され、
シリンダの先端部に前記バルーンカテーテルの内部管路の基端部に接続される接続部が設けられ、
前記シリンダの内部に基端部側から摺動自在に挿入されるプランジャの摺動動作にともない前記バルーンカテーテルの前記内部管路を通して前記バルーン内に流体が供給される流体供給体において、
前記シリンダの管壁に、前記シリンダの内部と外部を連通させる流体流出孔を、前記プランジャの摺動方向に沿って複数設け、
前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記シリンダから前記バルーン内に供給される流体供給量を制御する流体供給量の制御手段を設けた
ことを特徴とする流体供給体。
【請求項2】
前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔のそれぞれを塞ぐシール部材を前記シリンダに対して引き剥がし可能に設け、
前記シール部材を引き剥がすことで前記流体供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体供給体。
【請求項3】
前記シール部材は、前記孔の両側に延出された2つの延出端部の少なくともいずれか一方に手がかり用の耳部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の流体供給体。
【請求項4】
前記シール部材は、前記流体流出孔の周縁部位と接触する接触部に粘着材を付着させない非粘着部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の流体供給体。
【請求項5】
前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御するリング状のシール部材を前記シリンダに対して前記プランジャの摺動方向に沿ってスライド可能に設け、
前記シール部材を前記プランジャの摺動方向に沿ってスライドさせることで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体供給体。
【請求項6】
前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御するリング状のシール部材を前記シリンダの外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けるとともに、
前記シール部材に前記流体流出孔に連通する連通孔を設け、
前記シール部材の回転にともない前記連通孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体供給体。
【請求項7】
前記シリンダは、外周面における前記複数の流体流出孔のそれぞれの周囲に前記シール部材の位置ずれを防止するリング状溝を設けた
ことを特徴とする請求項6に記載の流体供給体。
【請求項8】
前記シリンダは、複数の前記流体流出孔が前記シリンダの周方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置され、
前記流体供給量の制御手段は、前記シリンダの外周面に前記複数の流体流出孔の開閉を制御する円筒状のシール部材を前記シリンダの外周面に対して周方向に沿って回転可能に設けるとともに、
前記シール部材に前記シリンダの軸方向に沿って延出された長孔状の孔位置切り替え孔を設け、
前記シール部材の回転にともない前記孔位置切り替え孔と前記シリンダの前記流体流出孔との連通状態を切り替え操作することで前記複数の流体流出孔のいずれか1つを選択的に開放して、前記流体供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体供給体。
【請求項9】
前記流体供給量の制御手段は、前記複数の流体流出孔の位置を位置決めする位置決め手段を有し、
前記位置決め手段は、前記シリンダと前記シール部材のいずれか一方に、前記複数の流体流出孔の周方向の位置と対応させた嵌合穴、他方に前記嵌合穴に係脱可能に嵌合する突起部を設け、前記嵌合穴と前記突起部との嵌合により前記各流体流出孔の周方向の位置を規制する
ことを特徴とする請求項8に記載の流体供給体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−249761(P2012−249761A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123657(P2011−123657)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】