説明

流体収容ドラム缶用識別タグ

RFIDタグを有する流体収容および分配システム。この流体収容および分配システムは、開口部を有する流体収容ドラム缶を含む。流体収容および分配システムは、開口部に動作可能に結合された分配機構をさらに備え、この分配機構は流体収容ドラム缶の内容物を分配するように構成されている。識別タグは、分配機構に結合可能であり、かつ、第1の積層体と、第1の積層体に積層された第2の積層体と、第1と第2の積層体との間に配置されたRFID部材とを含んでおり、また、RFID部材は流体収容および分配システムに関する情報を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に流体分配システムに関する。より詳細には、本発明は、連動する無線周波数識別(「RFID」)タグを有する流体収容および分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスおよび化学薬品製造などの産業においては、高純度かつ高腐食性の液体が使用されることが多い。品質および安全性の問題により、これらの液体は、一般に高保全性流体収容ドラム缶に収容され、かつ、高信頼性分配システムを使用して分配されなければならない。このような分配システムは、流体収容ドラム缶内に挿入可能なドラム缶挿入部、およびドラム缶の内容物を分配するための分配ヘッドを含むことができる。
【0003】
これらの液体を取り扱うための容器は、従来、特許文献1に説明されているものなどの高純度ポリエチレンで形成された収容ドラム缶である。流体収容ドラム缶との使用に適した分配ヘッドの例は、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に説明されている。流体収容ドラム缶との使用に適したドラム缶挿入部の例は、特許文献1および特許文献6に説明されている。
【0004】
流体収容ドラム缶と装置との間の接続具、管類および継手は、様々なフッ化ポリマーなどの不活性物質から形成されることが多い。例えば、管類は過フルオロ化アルコキシ樹脂(PFA)から形成することができる一方、継手およびバルブ部品はPFA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および他の様々なフッ化ポリマーなどの成分から形成することができる。
【0005】
液体を取り扱う際には、一般に、特定の化学物質または流体を必要とする装置を、適合しない化学物質または流体を収容している流体収容ドラム缶に接続しないように予防措置が取られなければならない。
【0006】
このために使用されている1つの機構は、分配ヘッドおよびドラム缶挿入部に含まれるコード付リングであり、各種類の化学物質または流体は独特のコードによるキーイングを有している。ドラム缶挿入部および分配ヘッド上のコード・リングのコードが適合しない場合、分配ヘッドはドラム缶挿入部に接続できず、したがって、不適切な化学物質や流体の混合または分配を禁止する。
【0007】
しかしながら、コード付リングが、適合しない収容ドラム缶と装置との接続を禁止するための第1のレベルの安全性に相当するものの、1種類のコード付リングを多種の化学物質および多種の装置とともに使用することにより、このような化学物質および装置が適合するか否かに関係なく、一部の使用者がこの安全性機能を回避しようとすることもある。
【0008】
また、高純度、高腐食性および高苛性アルカリの液体の取り扱いにおいても、メンテナンスおよび追跡のために、収容ドラム缶、ドラム缶挿入部、分配ヘッド、および収容ドラム缶の内容物に関する識別能力が求められる場合がある。現在、収容ドラム缶の頂部または側面にバー・コード・ラベルが貼付されている。しかしながら、バー・コードを使用する際には、スキャナを一般に使用しなければならない。このスキャナは、ドラム缶上のバー・コード・ラベルをスキャンする/読み取るため、および、ドラム缶にどのような物質が収容されているかを知るために、目視可能な見通し線を必要とすることがある。このことにより、収容ドラム缶に到達し難い、すなわち収容ドラム缶が他の装置および収容ドラム缶に取り囲まれている状況において問題が生じ得る。また、バー・コード付けはラベルへのデータの書き込みができないため、ラベルに含まれている情報の順序設定および項目の変更、または、ラベル自体から収容ドラム缶、ドラム缶挿入部、分配ヘッド、および収容ドラム缶の内容物についての統計データおよび情報の決定ができない。むしろ、いずれの情報も別の場所で保存、利用および処理されなければならない。
【0009】
さらに、一部の使用者は、バー・コードを有するラベルやタグを収容ドラム缶のキャップに単に紐で結び付けているだけである。収容ドラム缶のキャップに結び付けられたラベルを使用する場合は、収容ドラム缶に洗浄ステーション内を通過させる、または、収容ドラム缶を組み立てるなどの、収容ドラム缶を使用するためにキャップを外した時に、そのドラム缶の識別表示を失うことがある。一旦収容ドラム缶および挿入部がそれらの識別表示を失えば、使用者は、収容ドラム缶、ドラム缶挿入部、分配ヘッド、構成部品、およびドラム缶内容物についての全ての履歴および追跡情報を失うことになり得る。
【0010】
上記した一般的な問題が解決されていないため、従来の設計に内在する短所に対処できる改善された流体収容および分配システムが求められている。
【特許文献1】米国特許第6045000号明細書
【特許文献2】米国特許第4699298号明細書
【特許文献3】米国特許第5108015号明細書
【特許文献4】米国特許第5957328号明細書
【特許文献5】米国特許第5526956号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0010387号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のRFIDタグを有する流体収容および分配システムは、分配機構または流体収容ドラム缶の少なくとも一方と選択的かつ取外し可能に接続できるRFID識別タグを提供することにより、従来の流体収容の設計に内在する短所を解決する。この識別タグは、低密度ポリエチレン積層体などの積層体の間に配置されたRFID部材を含み、このRFID部材が流体収容および分配システムに関連した情報を含む。
【0013】
一態様において、本発明は流体収容ドラム缶にタグ付けする方法に関し、この方法は、流体収容ドラム缶と、上部および該上部から延びるチューブを有するドラム缶挿入部とを提供する工程と、カード状に形成された識別タグをドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着する工程と、識別タグは少なくとも1つの積層体およびこの積層体上に配置されたRFID部材からなり、RFID部材は流体収容ドラム缶および同ドラム缶の内容物の少なくとも一方に関する情報を含むことと、装着された識別タグを有するドラム缶挿入部の上部を、チューブが流体収容ドラム缶の内部へ延びて流体収容ドラム缶の内容物に到達するように、流体収容ドラム缶上にある開口部に対して動作可能に結合する工程とを含み、ドラム缶挿入部が開口部に結合されていない場合は、識別タグをドラム缶挿入部から取外すことができ、ドラム缶挿入部が開口部に結合されている場合は、識別タグを破損せずにドラム缶挿入部から取外すことができない。カード状に形成された識別タグをドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着する工程は、チューブを開口に挿入する工程と、識別タグが上部に近接しかつ識別タグの開口が凹部に動作可能に装着できるまで、ドラム缶挿入部に対して識別タグを移動させる工程とを含むことができる。
【0014】
凹部は、識別タグをドラム缶挿入部に動作可能に装着するために、ドラム缶挿入部の上部に含まれたフランジに近接して設けることができ、凹部およびフランジは、ドラム缶挿入部が流体収容ドラム缶に動作可能に結合されている時に、流体収容ドラム缶の外部にある。加えて、開口を識別タグ上に設けることができ、この開口は、凹部においてドラム缶挿入部に対して動作可能に装着できるように、凹部よりも大きく、かつ、フランジよりも小さな寸法を有する。
【0015】
別の態様において、本発明は、高純度かつ/または高苛性流体のための収容システムに関し、このシステムは、栓と、上部および該上部から延びるチューブを有するドラム缶挿入部とを備えたポリマー製流体収容ドラム缶、およびドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着されたカード状の識別タグを含み、識別タグは少なくとも1つの低密度ポリエチレン積層体および該積層体上にあるRFID部材からなり、RFID部材は流体収容ドラム缶と同ドラム缶の内容物の少なくとも一方に関する情報を含み、装着された識別タグを有するドラム缶挿入部の上部は、チューブが流体収容ドラム缶の内部に延びて流体収容ドラム缶の内容物に到達するように、流体収容ドラム缶上にある栓に対して動作可能に結合されており、ドラム缶挿入部が開口部に結合されていない場合は、識別タグをドラム缶挿入部から取外すことができ、ドラム缶挿入部が開口部に結合されている場合は、識別タグを破損せずにドラム缶挿入部から取外すことができない。RFID部材は第1のフィルム層、第2のフィルム層、およびこれらの層の間に封入されたRFIDタグを含むことができる。
【0016】
他の態様において、本発明は、流体収容ドラム缶に収容されている内容物をその内容物に適合しないプロセスへ分配することを禁止する方法に関し、この方法は、第1のRFID部材を有する流体収容ドラム缶を提供する工程と、流体収容ドラム缶は、そこに形成された開口部と、開口部に動作可能に結合され、かつ、その内容物を分配するように構成された分配機構とを有し、第1のRFID部材は流体収容ドラム缶に収容されている内容物に関する情報を含むことと、第2のRFID部材を有する装置を提供する工程と、装置は分配機構と動作可能に結合するために構成され、第2のRFID部材は装置に関する情報を含むことと、内容物が流体収容ドラム缶から装置へ分配される前に、装置が流体収容ドラム缶に収容されている内容物と適合することを検証するために、第1および第2のRFID部材から情報を読み取る工程とを含む。この方法は、RFIDタグを読み取り、かつ、RFIDタグのデータが使用時に選択された用途に適合する場合のみに、流体の分配を自動的に可能にする工程をさらに含むことができる。
【0017】
さらに他の態様において、本発明は、ポリマー製流体収容ドラム缶の高純度内容物を充填および該内容物の使用を制御する方法に関し、この方法は、栓を有するポリマー・ドラム缶を充填位置において高純度の処理流体で充填する工程と、充填位置において栓に第1のRFID部材を有するタグを含むドラム缶挿入部を着座させる工程と、この工程によりドラム缶挿入部が栓内に着座している間は、タグを破損せずにドラム缶挿入部から取外すことができないことと、RFID部材にドラム缶の内容物に関するデータを提供する工程と、ドラム缶挿入部に閉鎖部を動作可能に結合する工程と、ドラム缶挿入部、タグおよび閉鎖部を備える充填済みポリマー・ドラム缶を使用場所へ出荷する工程とを含む。この方法は、使用場所においてRFIDを読み取り、RFIDタグのデータが使用場所において選択された用途に適合する場合のみ、流体の分配を自動的に可能にする工程をさらに含むことができる。加えて、この方法は、内容物が流体収容ドラム缶から装置に分配される前に、装置が流体収容ドラム缶に収容されている内容物と適合することを検証するために、第1および第2のRFID部材から情報を読み取る工程をさらに含むことができる。
【0018】
他の態様において、本発明は、流体収容および分配システムに関し、このシステムは、開口部および内容物を収容する内部を有する流体収容ドラム缶と、該ドラム缶に形成された開口部に対して動作可能に結合されたドラム缶挿入部と、ドラム缶挿入部は上部および該上部から流体収容ドラム缶の内部へ延びるチューブを有することと、開口を有しドラム缶挿入部に動作可能に装着され、かつ、少なくとも1つの積層体および該積層対上に位置するRFID部材を含む識別タグと、RFID部材は流体収容ドラム缶またはその内容物の少なくとも一方に関する第1の情報を含むことと、流体収容ドラム缶またはドラム缶挿入部の少なくとも一方に対して動作可能に装着され、かつ、流体収容ドラム缶またはその内容物の少なくとも一方に関する第2の情報を含む第2の識別部材とを含む。
【0019】
他の態様において、本発明は、ドラム缶挿入部および該挿入部に対して動作可能に結合された分配ヘッドを含む分配機構に関し、ドラム缶挿入部は、開口部に動作可能に結合可能な上部および該上部から流体収容ドラム缶の内部へ延びるダウン・チューブを有し、識別タグはドラム缶挿入部の上部に対して選択的に取外し可能に結合できることを特徴とする。識別タグは、第1および第2の積層体を貫通する開口を含むことも可能であり、この開口は流体収容ドラム缶の上部、または分配ヘッドに形成された凹部に対して選択的かつ取外し可能に結合されてもよい。
【0020】
一態様において、本発明は、流体収容ドラム缶のロット番号、ドラム缶挿入部のロット番号、分配ヘッドのロット番号、流体収容ドラム缶の製造番号、ドラム缶挿入部の製造番号、分配ヘッドの製造番号、およびこれらの任意の組合せなどの情報を選択的に保存することができるRFID部材に関する。このRFID部材は、収容ドラム缶に収容されている内容物の分析結果、収容ドラム缶に収容されている内容物の材齢、収容ドラム缶に収容されている内容物と適合する1つまたは複数種類の装置、およびこれらの任意の組合せなどの情報を選択的に保存することもできる。加えて、RFID部材は、流体収容ドラム缶の運転サイクル、ドラム缶挿入部の運転サイクル、分配ヘッドの運転サイクル、流体収容ドラム缶やドラム缶挿入部や分配ヘッドの1つまたは複数に関する支持部品の運転サイクル、およびこれらの任意の組合せなどの情報を選択的に保存することも可能である。RFID部材または積層体には、日付、バー・コード、製造番号、分配機構に組み込まれるコード・リングに関連するコード付け情報、およびこれらの任意の組合せなどの表示を含むことができる。
【0021】
さらなる態様において、流体収容ドラム缶は、第1のRFID部材を備え、装置は第2のRFID部材を備え、この装置は分配機構に対して動作可能に結合するように構成されている。RFID読取器は、内容物が流体収容ドラム缶から装置へ分配される前に、装置が流体収容ドラム缶に収容されている内容物と適合することを検証すべく、第1および第2のRFID部材から情報を読み取るために使用することができる。流体収容ドラム缶に対応する第1のRFID部材は、分配機構に対して選択的かつ取外し可能に結合できる識別タグ内に積層することができる。これに代えて、流体収容ドラム缶に対応する第1のRFID部材は、フィルムインサート成形により流体収容ドラム缶の表面に一体に成形することができ、RFIDフィルム部材は第1のフィルム層、第2のフィルム層およびこれらの間に封入されたRFIDタグを含み、第1のフィルム層は、フィルムインサート成形中に、RFIDタグと包囲部分との間に障壁層を構成する。
【0022】
さらに他の態様において、本発明は、分配機構を有する流体収容および分配システム用の識別タグに関する。この識別タグは、第1の積層体および該積層体に積層された第2の積層体を有するRFID部材ホルダを含み、第1および第2の積層体はこれらの積層体を貫通して形成された開口を有することができる。識別タグは、第1のフィルム層、第2のフィルム層およびこれらのフィルム層の間に封入されたRFIDタグを含むことができる、第1および第2の積層体の間に配置されたRFID部材をさらに含み、開口は、流体収容および分配システムに含まれる分配機構に対して、RFIDホルダを選択的かつ取外し可能に結合するように形成されている。第1および第2の積層体は、積層される際に、第2の積層体の少なくとも一部を第1の積層体で積層しないように、異なる寸法および形状からなるようにすることも可能であり、この部分は流体収容および分配システムに関連する情報をレーザ・マーキングすることができる。
【0023】
さらに他の態様において、本発明は、第1の寸法を有する第1の積層体、第2の寸法を有する第2の積層体、および第1のフィルム層と第2のフィルム層とこれらのフィルム層の間に封入されたRFIDタグとを有するRFID部材を提供することにより、RFIDタグ・ホルダを形成する方法に関する。RFID部材が第1と第2の積層体の間に封入され、かつ、第2の積層体の少なくとも一部が第1の積層体に積層されないように、第1の積層体は第2の積層体に対して積層される。第1の積層体に対して積層されていない第2の積層体の一部は、日付、バー・コード、製造番号、分配機構に含まれるコード・リングに関するコード付け情報、およびこれらの任意の組合せなどの識別情報をレーザ・マーキングすることができる。
【0024】
別の態様において、本発明は、流体収容ドラム缶に収容されている内容物をその内容物に適合しない装置へ分配することを禁止するための流体分配システムに関する。このシステムは、第1のRFID部材を有する流体収容ドラム缶を含むことができ、流体収容ドラム缶は、開口部と、開口部に対して動作可能に結合され、かつ、流体収容ドラム缶の内容物に到達するように構成されたドラム缶挿入部とを備える。このシステムは、動作可能に結合された分配ヘッドを有する装置をさらに含むことができ、分配ヘッドは第2のRFID部材を有し、分配ヘッドはドラム缶挿入部に動作可能に結合するために構成されている。RFID読取器は、流体収容ドラム缶内の内容物が装置へ分配され得る前に、分配ヘッドが流体収容ドラム缶に収容されている内容物と適合することを検証すべく、第1および第2のRFID部材から情報を読み取るために使用することも可能である。第1および第2のRFID部材の少なくとも一方は、分配機構(例えば、ドラム缶挿入部もしくは分配ヘッド)または収容ドラム缶と選択的に結合可能かつ分離可能な識別タグ内に積層することができ、識別タグは第1の積層体および第2の積層体を含み、RFIDタグは第1および第2の積層体の間に配置されている。これに代えて、第1のRFID部材は、フィルムインサート成形により流体収容ドラム缶の表面に一体に成形することができ、RFIDフィルム部材は第1のフィルム層、第2のフィルム層、およびこれらのフィルム層の間に封入されたRFIDタグを含み、第1のフィルム層はフィルムインサート成形中にRFIDタグと包囲部分との間に障壁層を形成する。
【0025】
また、本発明は、流体収容および分配システムを識別する方法にも関する。この方法は、壁、頂部構造、および底部構造を有する流体収容ドラム缶を提供する工程を含み、頂部構造または底部構造の少なくとも一方は、ドラム缶挿入部に対して動作可能に結合するように形成かつ構成された開口部を含む。識別タグはドラム缶挿入部と選択的に結合することができ、識別タグは第1の積層体、第1の積層体に積層された第2の積層体、およびこれらの積層体の間に配置されたRFID部材を有し、RFID部材は流体収容および分配システムに関する情報を含んでいる。流体収容および分配システムに関連する情報が流体収容ドラム缶において利用できるように、ドラム缶挿入部は開口部に対して動作可能に結合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および2において、本発明の流体収容および分配システム10は、流体収容ドラム缶20、分配ヘッドと、流体収容ドラム缶20に対して動作可能に結合され、かつ、流体収容ドラム缶20の内容物を分配するように構成されたドラム缶挿入部36とを有する分配機構、および、流体収容ドラム缶20もしくはその内容物や分配機構や流体収容ドラム缶20もしくは分配機構に関連する任意の構成部品や装置に関する情報を含み選択的に結合された識別タグ24を広義に含む。分配機構のドラム缶挿入部36の上部38が図1に示されており、分配機構の分配ヘッド部分については、図3において詳細に説明されている。
【0027】
流体収容ドラム缶20は、ほぼ円筒形の壁部分26、頂部構造28および底部構造30からなり、頂部構造28は、分配機構22を選択的に結合するために形成された少なくとも1つの到達用開口部、すなわち栓開口部32を含む。分配機構22に結合されたドラム缶挿入部36などの分配機構22の一部を有していない到達用開口部、すなわち栓開口部22は、出荷用プラグ、すなわちカバー34により選択的に覆うことができる。流体収容ドラム缶20は、流体収容ドラム缶20に装着された、または、流体収容ドラム缶20に成形されたラベルに製造業者ロゴ27や製造業者または化学物質の情報29などの表示をさらに含むことができる。
【0028】
流体収容ドラム缶20は、吹き込み成形工程で形成されたポリマー層などの単一層または多層から構築することができる。加えて、流体収容ドラム缶20は、PFAまたはPTFAなどのフッ化ポリマーから形成することができるが、当業者には、他の材料が使用できることが認識されよう。流体収容および分配システム10に使用できる流体収容ドラム缶20の例は、米国特許第6045000号明細書(特許文献1)および米国特許公報第2002/0050494号明細書に開示かつ記載されており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0029】
図3に関して、分配機構22は、ねじ山を切ることができる上部38と、流体収容ドラム缶20の内部の内容物、すなわち流体に到達するために上部38から流体収容ドラム缶20の内部へ延びる下部ダウン・チューブ部分40を有するドラム缶挿入部36とを含むことも可能である。加えて、ドラム缶挿入部36は、識別タグ24を動作可能に結合するために、フランジ43に近接するドラム缶挿入部36の上部38に形成された逃げ溝、すなわち凹部41を含むことができる。図1および2に関して、ドラム缶挿入部36は、流体収容ドラム缶20を輸送または保管する際に使用できるキャップ組立体、すなわち閉鎖部37をさらに含むことができる。
【0030】
さらに図3に関しては、分配機構22は、ドラム缶挿入部36の上部38に選択的に結合可能な分配ヘッド42をさらに含むことができる。分配ヘッド42は、上部本体部分44、上部本体部分44に結合された下部本体部分46、複数の継手48、およびドラム缶挿入部36と分配ヘッド42を動作可能に結合するための結合組立体50を含むことができる。
【0031】
流体分配システム10とともに使用できるドラム缶挿入部36の例は、米国特許第6045000号明細書(特許文献1)および米国特許公報第2003/0010387号明細書(特許文献6)に説明されており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。流体分配システム10とともに使用できる分配ヘッド42の例は、米国特許第4699298号明細書(特許文献2)、同第5108015号明細書(特許文献3)、同第5957328号明細書(特許文献4)、および同第5526956号明細書(特許文献5)に説明されており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。流体収容および分配システム10に使用できるドラム缶挿入部36および分配ヘッド42の他の例は、2005年4月8日付けで出願された仮特許出願第60/669945号明細書(発明の名称「高容量液体分配システム(High Volume Fluid Dispense System)」)に開示かつ説明されており、同特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0032】
図1、2、4および5に関して、また、本明細書に詳細に説明されるように、識別タグ24は、フランジ43に近接したドラム缶挿入部36の上部38に形成された凹部41などのドラム缶挿入部36に対して、懸架または動作可能に結合することができる。
【0033】
図6および7に関して、識別タグ24は、第1の積層体52、第2の積層体54、および第1の積層体52と第2の積層体54との間に配置されたRFID部材56を含む。他の実施形態においては、RFID部材56は、単一の積層体上に配置され、さらに、この単一の積層体の反対側においてエチレンビニルアセテート(EVA)などの保護層で保護されてもよい。
【0034】
識別タグ24は、積層体52,54上もしくはそれらの内部、および/または、RFID部材56上のバー・コード58および/またはロゴ60などの他の表示を有することもできる。加えて、図6および7に示されるように、第1の積層体52は、識別タグ24を分配機構22または他の構造に動作可能に結合するための第1の開口62と、ワイヤ結束具などの結束具を選択的に結合するための第2の開口64とを含むことができる。
【0035】
第2の積層体54は、識別タグ24を分配機構22または他の構造に動作可能に結合するための対応する第1の開口66と、結束具を選択的に結合するための対応する第2の開口68とを同様に含むことができる。第2の積層体54は、例えば、分配機構22の一部に含まれているコード付けに対応した日付72、製造番号74、または、コード付けコード76を含む、第1の積層体52に結合されていない第2の積層体54の部分70などにレーザ・マーキングされた表示を含むこともできる。以下に述べるように、第1の開口62,66は、ドラム缶挿入部36に含まれる凹部41よりも若干大きくすることにより、識別タグ24がドラム缶挿入部36上に緩く、しかし、識別タグ24が通常の使用においてドラム缶挿入部36に留まることができるように十分堅固に懸架される。
【0036】
第1および第2の積層体52,54は、低密度または高密度のポリエチレンで構築することができるが、当業者には他の材料も使用できることが認識されよう。加えて、積層体52、54は透明、半透明、または、不透明であってもよい。バー・コード58、ロゴ60およびRFID部材56を覆うポリエチレンなどの耐化学性材料の積層板を有することにより、識別タグ24上に流出した化学物質や領域内の煙霧から、表示およびRFID構成部品を保護することができる。
【0037】
図8に関して、一実施形態においては、RFID部材56は、2枚の薄い柔軟な熱可塑性ポリマー・フィルム78,80、およびこれらの間に配置されたRFIDタグ80を含むことも可能である。フィルム78,80は各々が、制限された厚さに少なくとも部分的に形成された1つまたは複数のフィルム層を含む。例えば、フィルム78,80の各々は、約0.1cm(約0.040インチ)以下の厚さを有してもよい。他の実施形態において、フィルム78,80の各々は、約0.05cm(約0.020(1000分の20)インチ)以下の厚さからなってもよい。さらに他の実施形態において、フィルム78,80のいずれか、または、両方は、多層フィルム積層体から構築または形成することも可能である。
【0038】
図9に関して、他の実施形態においては、RFID部材56は1枚の薄い柔軟な熱可塑性ポリマー・フィルム84およびその上に配置されたRFIDタグ86を含んでもよい。この実施形態において、RFIDタグ86は、この1枚の薄い柔軟な熱可塑性ポリマー・フィルム84の反対側において、エチレンビニルアセテート(EVA)などの保護材料88からなる層で封入または覆われてもよい。
【0039】
任意の適合性材料を図8および9のフィルム78,80,84に使用してもよい。いくつかの例には、ポリエステル、PE、PC、PP、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、PEEK、PFA、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が含まれ、さらに、当業者に周知の他の適合性ポリマーを使用することもできる。一実施形態において、フィルム78,80,84の少なくとも1つに使用される材料はPCである。他の実施形態においては、フィルム78,80,84にPP、PEEKおよびPEI、または、これらの任意の組合せを使用することも可能である。
【0040】
RFID部材82,86のいずれの実施形態も、アクティブ型またはパッシブ型のRFIDタグからなってもよく、さらに、光起電力電池および/または薄膜電池を含んでもよい。このようなアクティブ型またはパッシブ型のRFIDタグは、当業者に周知のタグであってもよい。例えば、RFIDタグ82には、TI社のTag−it HF−I、RI−103−112Aという製品名のもとで製造および販売されているものなどのフレキシブル回路および回路構成部品が含まれる。このようなRFIDタグ82は、−25℃から+70℃の動作温度、基本的なPET基板材料、0.3555mmのチップ厚さ、およびISO 15693−2、−3規格に対するサポートを有してもよい。上記したように、当業者に周知である他の適合性RFIDタグ82も使用することができる。
【0041】
RFIDタグ82は、適合性接着剤、または、当業者に周知の積層体構築または接着に関する他の技術を用いてフィルム78,80間に、または、フィルム84上に接着されてもよい。さらに、一実施形態において、フィルム78,80,84の少なくとも1つは、内部にRFIDタグ82,86を収容するような寸法および形状になった凹部、すなわち熱形成された陥入部を含むことができる。フィルム78,80,84の少なくとも1つは、製品名、会社のロゴ、文字による指示、1つまたは複数のバー・コード、1つまたは複数の製造番号、日付などの視覚的な表示を含むことができる。
【0042】
フィルム78,80,84は、一般に、接着用途の特定のニーズによって、所定の形状および寸法に切り出すことができる。図8に示された実施形態においては、フィルム78,80は実質的に同一の寸法からなる。他の様々な実施形態では、異なる形状および寸法のフィルム78,80を使用しており、フィルム78,80は、封入されたRFIDタグ82の繊細な構成部品を保護して覆うことができるような大きさであることが望ましい。
【0043】
本明細書において、フィルム78,80の各々は、個々のフィルムに対してフィルム積層体をさらに形成するために、様々なフィルム層から構築することができる。フィルムに対するこのようなフィルム積層体は、フィルム積層体を成形可能に収容する取扱いデバイスの一部または表面に、耐磨耗性、耐化学性、耐温度性、吸収障壁、ガス放出障壁および同様の特性を追加すると理解される特性などのフィルム積層体における他の好ましい特性を提供するために、採用することが可能である。当業者に周知の他のフィルム積層技術も、本発明とともに使用することも可能である。例えば、米国特許第3660200号明細書、同第4605591号明細書、同第5194327号明細書、同第5344703号明細書および同第5811197号明細書は、様々な熱可塑性積層技術を開示しており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。本発明による識別タグ24に使用することができるRFID部材56のいくつかの例は、米国特許第5973600号明細書、同第6147662号明細書、同第6100804号明細書および同第6451154号明細書、ならびにヨーロッパ特許出願第0855675A2号明細書に開示されており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0044】
さらに、図4および5において、識別タグ24は流体分配システム10上に配置することができる。識別タグ24上の第1の開口62,66は、フランジ43に近接したドラム缶挿入部36の上部38に形成された逃げ溝、すなわち凹部41に懸架または他の方法で配置することも可能である。識別タグ24の第1の開口62,66は、逃げ溝、すなわち凹部41よりも若干大きくすることにより、識別タグ24がドラム缶挿入部36上に緩く、しかし、識別タグ24が通常の使用においてドラム缶挿入部36に留まることができるように十分堅固に懸架される。
【0045】
他の実施形態において、識別タグ24は、ドラム缶挿入部36、収容ドラム缶20、分配ヘッド42、あるいは、ドラム缶挿入部36や収容ドラム缶20や分配ヘッド42に連動または接続された他の構成部分に対して接着または他の方法で成形することができる。例えば、識別タグ24は、米国特許公報2004/0238623号明細書に開示された工程などを用いて、壁26、頂部構造28または底部構造30などの収容ドラム缶20に対してフィルムインサート成形(FIM)することができ、同特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。この実施形態においては、図8および9の実施形態によるRFID部材56,58は、フィルムインサート成形工程が完了すると、RFID部材56または58が収容ドラム缶20の少なくとも一部に対して一体的に接着されるように、成形可能な溶融樹脂材料の所望の目標表面と整合するように型穴の成形面に沿って選択的に配置されてもよい。これに代えて、タグ24は、ドラム缶挿入部36や分配ヘッド42、あるいは、収容ドラム缶20やドラム缶挿入部36や分配ヘッド42に連動または接続された他の部品に埋め込み、または、他の方法でフィルムインサート成形(FIM)することも可能である。
【0046】
識別タグ24は、ドラム缶挿入部36、収容ドラム缶20、分配ヘッド42、またはこれらに連動もしくは接続された部品に結合もしくは形成されると、以下に説明するような、識別、追跡、および安全性/冗長度(redundancy)の検証のために使用することができる。
【0047】
識別タグ24は、収容ドラム缶20およびその内容物が移送された往復数、すなわちサイクル数を追跡および保存するために使用することができる。状況によっては、特定の化学物質が一定期間、例えば、6ヶ月にわたり輸送されるだけであることが望ましい。これ以降の期間は、化学物質が収容ドラム缶を劣化させる可能性があり、その際に収容ドラム缶20は運用から外され、廃棄されなければならないという問題が生じる。
【0048】
識別タグ24は、特定の収容ドラム缶20、ドラム缶挿入部36、または分配ヘッド42がメンテナンスのために移送された往復数、すなわちサイクル数を追跡および保存するために使用することもできる。例えば、ドラム缶挿入部36または分配ヘッド42に組み込まれたOリングは、点検または交換が必要な場合もある。1年後に、Oリングを交換する必要があったり、あるいは、圧力もしくは漏れの試験を行なう必要が生じる場合がある。メンテナンスのデータおよび/または任意の試験の結果は、RFID部材56内に記録しておくことができ、これは、RFID部材56が読取タグではなく読取書込タグとすることができるためである。
【0049】
RFID部材56には、読取書込が可能であることとともに利用可能な他の用途がある。例えば、RFID部材56は、収容ドラム缶20に収容されている流体のロット番号、収容ドラム缶20のロット番号、収容ドラム缶20やドラム缶挿入部36や分配ヘッド42の製造番号、あるいは、収容ドラム缶20やドラム缶挿入部36や分配ヘッド42に連動または接続された他の構成部品の製造番号などの様々な情報を保存するために使用することができる。
【0050】
また、安全手順、化学物質に関する情報、および収容ドラム缶20やドラム缶挿入部36や分配ヘッド42に関する任意の情報または全ての情報、または収容ドラム缶20やドラム缶挿入部36や分配ヘッド42に連動もしくは接続された他の構成部品に関する任意の情報または全ての情報も、RFID部材56を単に書き換え、または、プログラミングすることにより修正かつ異なる方法で関連付けすることができる。
【0051】
RFID部材56に書き込みができるため、使用者は、収容ドラム缶20または分配装置を手作業で除去、または物理的に変更することなく、タグ24に対して「緊急な(on the fly)」修正を行なうことができる。これは、収容ドラム缶20の使用中にも行なうことができるため、修正のために装置を止めたり、収容ドラム缶20を取外す必要がない。
【0052】
RFID部材56は、収容ドラム缶20の内容物を製造した化学会社を保存および記録するために使用することもできる。RFID部材56は、収容ドラム缶20を受け取る最終使用顧客を保存するために使用することができる。これを行なうことにより、収容ドラム缶20を化学会社と特定の最終使用顧客との間の直接かつ特定の輪の中に含めることができる。このことは、顧客が多くの収容ドラム缶を購入するが、それらの一部を特定の製造用とし、他の部分を異なった製造用とする大きな輪を有することが多いため重要である。異なった輪を分離することが厄介な作業となり得るため、RFID部材56はこの分離作業自体を支援でき、使用者は多くの時間と経費を節約できる。
【0053】
加えて、図10に関して、装置94上のRFID部材92を読み取るために、無線周波数(RF)読取器90を使用することにより、RFID部材92は、硫酸または硝酸など、どのような種類の流体が装置94に必要であるか、または、適合するかを使用者に知らせることができる。次に、使用者は、読取器90を用いて流体収容ドラム缶20と対応する識別タグ24を読み取り、流体収容ドラム缶20が装置94に分配するように設計された製品と一致することを確認する。RF読取器90は、携帯用ユニットであっても、あるいは、収容ドラム缶20または装置94などの構造体に組み込んでもよい。
【0054】
装置94上のRFID部材92および収容ドラム缶20上のタグ24が、安全性の観点から適合しない場合、収容ドラム缶20の内容物を収容ドラム缶20から装置94へ分配できないため、操作者は、収容ドラム缶20を除外しなければならない。操作者には、タグ24を有する収容ドラム缶20、および特定の装置94に適合する内容物を見つけて回収することが必要となる。
【0055】
収容ドラム缶20の内容物が装置94と適合することを読取器90が検証する時にのみ、装置94を操作しているポンプ96が作動するように、ソフトウェアを装置94に組み込むことができる。収容ドラム缶20と装置94との間に適合性がない場合、ポンプ96は作動せず、したがって、不適合な化学物質が、収容ドラム缶20からライン98を介して装置94によりポンプ搬送されることを回避する。適合すれば、ポンプ96は動作可能となる。
【0056】
RFID部材56は、収容ドラム缶20に収容されている製品の化学的分析結果または製品の化学的組成を把握かつ保存するために使用することができる。現在では、いくつかの分析結果がファイルを介して電子的に転送されている。使用者は、分析結果を転送する必要なしに、RFIDタグ24において製品の化学分析結果を把握することができる。顧客は、収容ドラム缶20を受け取ると、タグ24を読み取り、どの製品が収容ドラム缶20内に収容されているかを知るだけでよい。
【0057】
安全性の観点から、識別タグ24は、不適切な装置や分配構成部品を収容ドラム缶20に連結しないためのキー・コード、バー・コード、レーザ・エッチングおよびカラー調整を含むが、これらに限定されない多くの検証機能のいずれかと組み合わせて使用することができる。したがって、流体分配システム10は複数階層からなる安全性工程を含むことができ、2つ以上の安全性予防策は、タグ24を備えた収容ドラム缶20、結合組立体に内蔵されたキー・コード付け、バー・コード、文字表示、カラー・コード付け、またはこれらの任意の組合せから選択される。安全性予防策のいずれかが機能しないか、または、使用者により回避された場合、1台の装置が適合しない収容ドラム缶から分配することを禁止する1つまたは複数の他の安全性予防策がある。
【0058】
さらなる実施形態において、ドラム缶挿入部36および分配ヘッド42は各々が、それ自体の結合された、埋め込まれた、または接着されたタグ24を含むことができる。この実施形態では、ドラム缶挿入部36および分配ヘッド42が係合していることを、使用者が確認したいと希望している状況において使用することができる。操作時に使用者は、ドラム缶挿入部36および分配ヘッド42の両方に対してタグ24をスキャンする。収容ドラム缶20および分配ヘッド42に対するRFIDの表示が適合しない場合、装置により収容ドラム缶20の内容物が収容ドラム缶20から分配できないようにする。
【0059】
本発明について、いくつかの実施形態を参照して説明してきた。当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態において変更できることが明らかであろう。したがって、本発明の範囲は本明細書に説明された実施形態により限定されることはなく、特許請求の範囲の文言およびそれらの均等物により限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態による流体収容ドラム缶を示す斜視図であって、ドラム缶挿入部に対して動作可能に結合された識別タグを示す。
【図2】図1の識別タグの拡大図。
【図3】流体収容ドラム缶の内容物を分配するための分配機構を示す部分正面断面図。
【図4】ドラム缶挿入部を示す斜視図であって、ドラム缶挿入部の上部に動作可能に結合された識別タグを示す。
【図5】図4の識別タグの拡大図。
【図6】図4の識別タグの分解図。
【図7】図4の識別タグを示す斜視図であって、破線でRFIDの縁部を示し、また、識別タグの第2の積層体の一部にマーキングされた表示を示す。
【図8】図7の識別タグの第1の実施形態によるRFID部材を示す断面図。
【図9】図7の識別タグの第2の実施形態によるRFID部材を示す断面図。
【図10】図1の流体収容ドラム缶の該略図であって、装置に対して動作可能に結合された流体収容ドラム缶を示す。
【図11】充填位置におけるタグの装着および使用場所への出荷を示す該略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体収容ドラム缶にタグ付けする方法であって、
流体収容ドラム缶と、上部および該上部から延びるチューブを有するドラム缶挿入部とを提供する工程と、
カード状に形成された識別タグを該ドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着する工程と、該識別タグは少なくとも1つの積層体および該積層体上に配置されたRFID部材を含み、該RFID部材は該流体収容ドラム缶および該ドラム缶の内容物の少なくとも一方に関連する情報を含むことと、
該チューブが該流体収容ドラム缶の内部に延びて該内容物に到達するように、装着された該識別タグを有する該ドラム缶挿入部の上部を該流体収容ドラム缶上に配置された開口部に対して動作可能に結合する工程とを含み、該ドラム缶挿入部が該開口部に結合されていない場合には、該識別タグを該ドラム缶挿入部の上部から取外すことができ、該ドラム缶挿入部が該開口部に結合されている場合には、該識別タグを破損せずに該ドラム缶挿入部の上部から取外すことができないこととを特徴とする工程。
【請求項2】
前記識別タグを前記ドラム缶挿入部に動作可能に装着するために、該ドラム缶挿入部の上部に含まれるフランジに近接した凹部をさらに設け、該凹部およびフランジは、該ドラム缶挿入部が前記開口部に結合されている時は、前記流体収容ドラム缶の外部にある請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別タグに開口をさらに設け、該開口は、該開口が前記凹部において前記ドラム缶挿入部に動作可能に装着され、かつ、前記フランジにより少なくとも部分的に該ドラム缶挿入部に保持されるように、該凹部の直径より大きく、かつ、該フランジの直径より小さい開口直径を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別タグをドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着する工程は、前記チューブを該開口に挿入する工程と、該識別タグの開口が前記凹部に動作可能に装着されるように該識別タグが該上部に近接するまで、前記ドラム缶挿入部に対して該識別タグを移動させる工程とを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
高純度流体用の容器であって、
流体収容ドラム缶と、上部および該上部から延びるチューブを有するドラム缶挿入部と、
カード状に形成され、該ドラム缶挿入部の上部に動作可能に装着され、さらに、少なくとも1つの積層体および該積層体上に配置されたRFID部材を含む識別タグと、該RFID部材は該流体収容ドラム缶に収容されている流体の少なくとも1種類に関する情報を含み、装着された該識別タグを有する該ドラム缶挿入部の上部は、該チューブが該流体収容ドラム缶の内部に延びて該流体に到達するように、該流体収容ドラム缶上に配置された開口部に対して動作可能に結合されることと、該ドラム缶挿入部が該開口部と結合されていない場合には、該識別タグを該ドラム缶挿入部から取外すことができ、該ドラム缶挿入部が該開口部と結合されている場合には、該識別タグを破損せずに該ドラム缶挿入部から取外すことができないこととを特徴とする容器。
【請求項6】
前記RFID部材は、第1のフィルム層、第2のフィルム層およびこれらのフィルム層の間に封入されたRFIDタグを含む請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記識別タグは前記少なくとも1つの積層体を貫通して延びる開口を含み、前記ドラム缶挿入部は近接した凹部および該ドラム缶挿入部の上部のフランジを含み、該開口は該フランジに近接した該凹部に結合可能である請求項5に記載の容器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの積層体は低密度ポリエチレンを含む請求項5に記載の容器。
【請求項9】
前記RFID部材は、
前記流体収容ドラム缶のロット番号と、
前記ドラム缶挿入部のロット番号と、
該流体収容ドラム缶の製造番号と、
該ドラム缶挿入部の製造番号と、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択された情報を選択的に保存する請求項5に記載の容器。
【請求項10】
前記RFID部材は、
前記ドラム缶に収容されている内容物の分析結果と、
該ドラム缶に収容されている内容物の材齢と、
該ドラム缶に収容されている内容物と適合する1つまたは複数種類の装置と、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択された情報を選択的に保存する請求項5に記載の容器。
【請求項11】
前記RFID部材は、
前記流体収容ドラム缶の運転サイクルと、
前記ドラム缶挿入部の運転サイクルと、
該流体収容ドラム缶およびドラム缶挿入部の1つまたは複数に対応する支持構成部品の運転サイクルと、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択された情報を選択的に保存する請求項5に記載の容器。
【請求項12】
前記RFID部材は、
バー・コードと、
製造番号と、
前記分配機構に含まれるコード・リングに関するコード付け情報と、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択された表示をさらに含む請求項5に記載の容器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの積層体は、
バー・コードと、
日付と、
製造番号と、
前記分配機構に含まれるコード・リングに関するコード付け情報と、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択された表示をさらに含む請求項5に記載の容器。
【請求項14】
流体収容ドラム缶に収容されている内容物を該内容物に適合しないプロセスへ分配することを禁止する方法であって、
第1のRFID部材を有する流体収容ドラム缶を提供する工程と、該流体収容ドラム缶は、開口部と、該開口部に動作可能に結合され、かつ、該流体収容ドラム缶の内容物を分配するように構成された分配機構とを有し、該第1のRFID部材は該内容物に関連する第1の組の情報を含むことと、
第2のRFID部材を有する装置を提供する工程と、該装置は該分配機構と動作可能に結合するように構成され、該第2のRFID部材は該装置に関連する第2の組の情報を含むことと、
該内容物が該流体収容ドラム缶から該装置へ分配される前に、該装置が該内容物に適合することを検証するために該第1および該第2の組の情報を読み取る工程とを含む方法。
【請求項15】
前記RFID部材を読み取り、かつ、前記第1の組の情報が使用場所において選択された用途に適合する場合においてのみ、前記流体の分配を自動的に可能にする工程をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリマー製流体収容ドラム缶の高純度内容物を充填かつ使用を制御する方法であって、
栓を有するポリマー・ドラム缶を充填位置において高純度の流体で充填する工程と、
該栓にRFID部材を有するタグを含むドラム缶挿入部を該充填位置において着座させる工程と、該工程により該ドラム缶挿入部が該栓内に着座している間は、該タグを破損せずに該ドラム缶挿入部から取外すことができないことと、
該RFID部材に該高純度流体に関するデータを供給する工程と、
該ドラム缶挿入部に閉鎖部を動作可能に結合する工程と、
該ドラム缶挿入部、該タグおよび該閉鎖部を有する該充填済みポリマー・ドラム缶を使用場所へ出荷する工程とを含む方法。
【請求項17】
前記使用場所において前記RFID部材を読み取る工程と、該RFID部材のデータが該使用場所において選択された用途に適合する場合においてのみ、前記流体の分配を自動的に可能にする工程とをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体収容ドラム缶を前記装置に動作可能に結合する工程と、前記高純度流体が該流体収容ドラム缶から該装置に分配される前に、該装置が該流体収容ドラム缶に収容されている該高純度流体に適合することを検証するために、前記RFID部材から前記データを読み取る工程とをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
開口部および高純度流体を収容するための内部を有する流体収容ドラム缶と、
該開口部に動作可能に結合されたドラム缶挿入部と、該ドラム缶挿入部は、上部および該上部から該流体収容ドラム缶の内部へ延びるチューブを有することと、
開口を有し該ドラム缶挿入部に動作可能に装着され、かつ、少なくとも1つの積層体およびRFID部材を含む識別タグと、該RFID部材は該流体収容ドラム缶または該高純度流体の少なくとも一方に関連する第1の情報を含むことと、
該流体収容ドラム缶または該ドラム缶挿入部の少なくとも一方に動作可能に装着され、かつ、該流体収容ドラム缶またはその内容物の少なくとも一方に関連する第2の情報を含む第2の識別部材と、該第1および第2の情報は該内容物に適合しないプロセスへ該高純度流体を分配することを禁止するための重複機構として使用されることとを特徴とする流体収容および分配システム。
【請求項20】
前記第2の識別部材は、
バー・コードと、
前記ドラム缶挿入部に含まれるコード・リングと、
これらの任意の組合せとからなる一群から選択される請求項19に記載の流体収容および分配システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−537924(P2008−537924A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505636(P2008−505636)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/013425
【国際公開番号】WO2006/110714
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】