流体噴射装置、及び、流体噴射方法
【課題】モードに関係なく主画像の品質を向上させること。
【解決手段】第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第2ノズル列と、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体の相対位置を所定方向と交差する移動方向に相対移動させながらノズルから流体を噴射させる動作と第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体の相対位置を所定方向の一方向に相対移動させる移動動作とを繰り返させる、第1の流体による主画像を媒体に形成する第1モードと主画像と第2の流体による背景画像とを重ねて媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードにて媒体に画像を形成させ、第1モードにて主画像を形成させる場合には第1ノズル列のうちの或るノズル群を用い、第2モードにて主画像を形成させる場合にも同じノズル群を用いる制御部を有する流体噴射装置。
【解決手段】第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第2ノズル列と、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体の相対位置を所定方向と交差する移動方向に相対移動させながらノズルから流体を噴射させる動作と第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体の相対位置を所定方向の一方向に相対移動させる移動動作とを繰り返させる、第1の流体による主画像を媒体に形成する第1モードと主画像と第2の流体による背景画像とを重ねて媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードにて媒体に画像を形成させ、第1モードにて主画像を形成させる場合には第1ノズル列のうちの或るノズル群を用い、第2モードにて主画像を形成させる場合にも同じノズル群を用いる制御部を有する流体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、媒体に対してインク(流体)を噴射するノズルが所定方向に並んだノズル列を備えるインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターとして、ノズル列を所定方向と交差する移動方向に移動させながらノズルからインクを噴射させる動作と、媒体を所定方向に搬送する動作を繰り返すプリンターなどが知られている。
【0003】
また、シアン、マゼンタ、イエローといったカラーインクの他に、白色のインクを用いて印刷を行う印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプリンターでは、例えば、白インクによる背景画像とカラー画像を重ねて印刷することで、媒体の地色に影響されずに、発色性の良いカラー画像を印刷することができる。そのため、背景画像とカラー画像(主画像)を重ねて印刷する「白使用モード」とカラー画像だけを印刷する「カラーモード」のうちの何れか一方のモードを選択して印刷を実施するプリンターがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−38063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
白使用モードとカラーモードにおいてカラー画像を印刷するために使用するノズルが異なる場合、ノズルの特性差や最適な印刷パターンの違いにより、一方のモードのカラー画像(主画像)に比べて他方のカラー画像の画質が低下してしまう虞がある。
そこで、本発明は、モードに関係なく主画像の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】プリンターの斜視図である。
【図3】ヘッドの下面に設けられるノズルの配列を示す図である。
【図4】プリンターが有する印刷モードを説明する図である。
【図5】表刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図6】裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図7】印刷パターン1〜5の評価結果を示す図である。
【図8】印刷パターン1を説明する図である。
【図9】印刷パターン2を説明する図である。
【図10】印刷パターン3を説明する図である。
【図11】印刷パターン4を説明する図である。
【図12】印刷パターン5を説明する図である。
【図13】メモリーに記憶する印刷パターンテーブルである。
【図14】実施例1の印刷パターンの設定フローを説明する図である。
【図15】実施例2の印刷パターンの設定フローを説明する図である。
【図16】表刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図17】裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、モードに関係なく主画像の品質を向上させることができ、第1モードと第2モードにおいて、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、画像形成側から視認する画像を前記媒体に形成する第1の方法と、前記画像形成側の反対側から視認する画像を前記媒体に形成する第2の方法のうちの、何れか一方の方法にて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1の方法にて画像を形成させる場合には、前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の他方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させ、前記第2の方法にて画像を形成させる場合には、前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記他方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の前記一方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させること。
このような流体噴射装置によれば、第1モードの各方法(第1の方法・第2の方法)と第2モードの各方法において、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであり、前記第1モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであること。
このような流体噴射装置によれば、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、前記第1の方法が選択された場合に前記第1モードにて前記媒体に画像を形成させるか、又は、前記第1モードが選択された場合に前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、画像を形成するモードや方法を容易に判断することができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であり、前記制御部は、前記媒体が不透明媒体である場合に、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させること。
このような流体噴射装置によれば、画像を形成するモードや方法を容易に判断することができる。
【0014】
かかる流体噴射装置であり、前記第1の方法にて所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合と、前記第2の方法にて前記所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合とにおいて、ドット形成方法が異なること。
このような流体噴射装置によれば、画質を保ちつつ、各方法に応じて画像形成時間を短縮できる。
【0015】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードにて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードにて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであること。
このような流体噴射装置によれば、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0016】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像を形成する前記第2ノズル列のノズル群と前記所定方向の位置が同じである前記第1ノズル列のノズルも使用して、前記背景画像を形成すること。
このような流体噴射装置によれば、所望の色の背景画像を形成することができる。
【0017】
また、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列及び第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返す流体噴射装置の流体噴射方法であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードを設定し、設定したモードに応じて前記媒体に画像を形成し、前記第1モードにて前記主画像を形成する場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成し、前記第2モードにて前記主画像を形成する場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成することを、特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、第1モードと第2モードにおいて、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0018】
===印刷システムについて===
以下、流体噴射装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0019】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の斜視図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0020】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0021】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向)に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ31を有する。
【0022】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41はキャリッジ31によって移動方向に移動する。ヘッド41の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室(不図示)が設けられている。
【0023】
図3は、ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。なお、図はヘッド41の上面から仮想的にノズルを見た図である。ヘッド41の下面には、180個のノズルが搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)で並んだノズル列が5列形成されている。図示するように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列K・シアンインクを噴射するシアンノズル列C・マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列M・イエローインクを噴射するイエローノズル列Y・白インクを噴射するホワイトノズル列Wが、移動方向に並んでいる。なお、各ノズル列が有する180個のノズルに対して、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0024】
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴射させて媒体上にドットを形成するドット形成処理と、媒体をヘッド41に対して搬送方向に搬送する搬送処理(移動動作に相当)とが繰り返される。そうすることで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後のドット形成処理にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を噴射しながら移動方向に1回移動する動作(1回のドット形成処理・噴射動作に相当)を「パス」と呼ぶ。
【0025】
===印刷モードについて===
図4は、本実施形態のプリンター1が有する印刷モードを説明する図である。プリンター1は、4色のインク(YMCK)によって印刷するカラー画像(モノクロ画像も含む)だけを媒体上に印刷する「カラーモード(第1モードに相当)」と、白インクによる背景画像とカラー画像を重ねて媒体上に印刷する「白使用モード(第2モードに相当)」のうちの、何れか一方のモードにて媒体上に画像を形成する。白使用モードのようにカラー画像(主画像に相当)の背景に白色の背景画像を設けることで、特に媒体が白色でない場合に、発色性の良い画像を印刷することができる。また、媒体が透明である場合には、カラー画像と背景画像を重ねて印刷することで、印刷物の反対側が透けてしまうことを防止できる。
【0026】
更に、プリンター1は、カラー画像を印刷面側から見るように印刷する「表刷りモード(第1の方法)」と、カラー画像を媒体側(画像形成側の反対側)から見るように印刷する「裏刷りモード(第2の方法)」のうちの、何れか一方のモードにて媒体上に画像を形成する。即ち、プリンター1は、図4に示すように、表刷り・カラーモードと、裏刷り・カラーモードと、表刷り・白使用モードと、裏刷り・白使用モードの4通りの印刷モードを有する。
【0027】
カラーモードでは媒体上にカラー画像だけを印刷するため、表刷りモードであっても裏刷りモードであっても、媒体上に直接カラー画像が印刷される。一方、白使用モードではカラー画像と背景画像を重ねて印刷するため、表刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その背景画像上にカラー画像を印刷することになる。逆に、裏刷りモードでは媒体の所定領域に対して先にカラー画像を印刷し、そのカラー画像上に背景画像を印刷することになる。
【0028】
図5は、表刷り・白使用モードの印刷例を示す図であり、図6は、裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。図では説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数を14個に減らして描く。また、4色インク(YMCK)を各々噴射するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co(第1ノズル列に相当)」と示す。図5および図6はバンド印刷を示す。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。
【0029】
ところで、白インクのみを使用して背景画像を印刷すると、背景画像を印刷する白インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、同じように白インクと呼ばれるインクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用する白インクによってユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてしまう場合がある。また、印刷物によっては、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。また、白い媒体を用いる場合、白い媒体においても、媒体の種類によって白色の色味が若干異なる。そのため、白い媒体に背景画像を印刷する際に、背景画像の白色と媒体の白色とが異なると、背景画像が目立ってしまう。
【0030】
そこで、本実施形態では、白インクと共に、少量のカラーインク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷する。即ち、背景画像を印刷する際に、プリンター1が噴射可能なカラーインクの中の少なくとも1色のカラーインクを使用すればよく、例えば、4色のカラーインクを全て使用してもよいし、2色のカラーインクを使用してもよい。このように、白インクとカラーインクで背景画像を印刷することで、白インクが若干の色彩を有する場合に、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷することで、背景画像を無彩色に近づけることもできる。
【0031】
なお、所望の白色の背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンター1が予め記憶するようにしても良いし、プリンタードライバーが作成するようにしても良い。プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして、所望の背景画像の色の選択を行う場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データが生成されるようにするとよい。
【0032】
図5の表刷り・白使用モードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その上にカラー画像を印刷する。そのため、ホワイトノズル列W(第2ノズル列に相当)の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・△)、及び、カラーノズル列の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・○)を、背景画像を印刷するための使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・●)を、カラー画像を印刷するための使用ノズルとする。なお、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)からはインクが噴射されない。また、図5はバンド印刷であるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される画像の搬送方向の幅長さに相当する。白使用モードでは1回のパスで2種類の画像が形成されるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される背景画像またはカラー画像の搬送方向の幅長さに相当する。よって、図5では1回の媒体搬送量がノズル列の半分の長さ(7個のノズル分長さ)「7D」となる。
【0033】
つまり、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズル及びカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズルとカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズルとで画像を形成する動作と、媒体を搬送量7Dだけ搬送する動作と、を繰り返す。その結果、媒体の所定領域はまずホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域には背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域の背景画像上にカラー画像が印刷される。
【0034】
逆に、裏刷り・白使用モードでは、図6に示すように、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・△)及びカラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・○)を、背景画像を印刷する使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・●)を、カラー画像を印刷する使用ノズルとする。なお、1回の媒体搬送量はノズル列の半分の長さ7Dである。その結果、媒体の所定領域はまずカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域にはカラー画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域のカラー画像上に背景画像が印刷される。
【0035】
このように、背景画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズル(△)の搬送方向の位置と、同じく背景画像を印刷するカラーノズル列Coのノズル(○)の搬送方向の位置を、等しくする。そうすると、背景画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスで白インクとカラーインクが噴射される。その結果、白インクとカラーインクが混ざり、背景画像の粒状感を低減することができる。
【0036】
また、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さい。ただし、背景画像におけるカラーインクの粒状感を低減するため、カラーインクのドットをなるべく均一に分散することが好ましい。即ち、背景画像の単位領域あたりの白インク密度(ドット密度)に対して背景画像の単位領域あたりのカラーインク密度(ドット密度)を小さくする。そのため、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さいものの、本実施形態では、背景画像を印刷するために使用するホワイトノズル列Wのノズル数とカラーノズル列Coのノズル数を等しくする。即ち、カラーノズル列Coに属する半分のノズルを用いて背景画像を印刷する。ただし、これに限らず、背景画像を印刷するために使用可能なカラーノズル列Coの半分のノズルのうち、数個置きのノズルを使用して背景画像を印刷してもよい。
【0037】
このように白使用モードでは、カラー画像と背景画像のうちの先に印刷する画像の使用ノズルを、後に印刷する画像の使用ノズルよりも、搬送方向上流側のノズルに設定する。そうすることで、表刷りまたは裏刷りモードに応じた順に画像を印刷することができる。また、媒体の所定領域に対して背景画像を印刷するパスとカラー画像を印刷するパスを異ならせることができる。そうすると、先の画像を印刷してから後の画像を印刷するまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを抑制することができる。
【0038】
===画質レベルごとの適正な印刷パターンについて===
図7は、画質レベル2の採用候補の印刷パターン1〜5の評価結果を示す図である。図8から図12は、画質レベル2の採用候補の印刷パターン1〜5を説明する図である。本実施形態のプリンター1では、ユーザーが、用途に応じて、3種類の印刷モード(画質レベル)、「きれいモード」「普通モード」「はやいモード」の何れかを選択することができる。きれいモード(画質レベル1)、普通モード(画質レベル2)、はやいモード(画質レベル3)の順に、高画質に画像を印刷することができる。一方、はやいモード、普通モード、きれいモードの順に、高速に画像を印刷することができる。そのため、各画質レベル1〜3によって印刷パターン(印刷方法・ドット形成方法に相当)が異なる。
【0039】
プリンター1は多数の印刷パターンを実施可能とし、同程度の画質レベルで画像を印刷する場合であっても、複数種類の印刷パターンを実施することができる。例えば、プリンター1は、図7に示すように、画質レベル2の画像を印刷する印刷パターンとして、5種類の印刷パターン1〜5を実施することができる。同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5では、ヘッド41(ノズル)の特性や媒体の搬送特性など、プリンター1の種々の部品の特性によって画質が(微小に)変化する。ゆえに、異なる機種のプリンターはもちろんのこと、同じ機種のプリンターであっても、同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5の中で、最も良い画質で印刷できる印刷パターンが異なる場合がある。例えば、画質レベル2の画像を印刷する印刷パターン1〜5のうち、あるプリンター1では印刷パターン2で印刷された画像の画質が最も良く、別のプリンターでは他の印刷パターン4で印刷された画像の画質が最も良くなることがある。
【0040】
そこで、本実施形態では、プリンター1の製造工程においてプリンター1ごとに、各画質レベル1〜3における最適な印刷パターンを決定する。ここでは、最適な印刷パターンを決定する評価項目として、図7に示すように印刷画像の画質と印刷速度を挙げる。なお、製造工程は、設計工程と量産工程の少なくとも何れかを含む。ここでは、プリンター1の個体ごとの画質特性の違いに応じて最適な印刷パターンを決定する。即ち、量産工程にて最適な印刷パターンを決定する。ただし、これに限らず、プリンター1の機種ごとの画質特性の違いに応じて、即ち、設計工程において、最適な印刷パターンを決定してもよい。
【0041】
以下、画質レベル2における最適な印刷パターンの決定方法を例に挙げて説明する。前述のように、画質レベル2の候補の印刷パターンは5種類の印刷パターン1〜5である。まず、印刷パターン1〜5を具体的に説明する。
【0042】
図8は、印刷パターン1を説明する図である。図では各パスのカラーノズル列Coの位置関係を示し、カラーノズル列Coに属するノズル数を14個とする。また、以下では、表刷り・白使用モードの印刷を例に挙げて説明する。表刷り・白使用モードでは前述の図5に示すように、カラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#7を使用ノズルとする。よって、図8では、カラーノズル#1〜#7による印刷の様子を示す(図中の丸の中の数字がノズル番号である)。なお、カラーノズル列Coの上流側半分の不使用ノズル#8〜#14およびホワイトノズル列Wは不図示とする。また、カラーノズルによる印刷パターンと白ノズルによる印刷パターンは同じとする。
【0043】
印刷パターン1では、1つのラスターラインを1つのノズルで形成する。そのため、図8に示すように移動方向に複数のノズルが並ぶことはない。また、搬送方向の印刷解像度を、カラーノズル列CoのノズルピッチD(例:180dpi)の3倍の解像度(例:540dpi)とする。即ち、1回のパスで形成されるラスターライン間に2個のラスターラインが印刷される。このように印刷するために、1回の媒体搬送量が「8D/3,8D/3,5D/3の繰り返し」となる。図中では1ノズル列に属するノズル数を少なくしているため1回の媒体搬送量が短くなるが、1ノズル列に属する実際のノズルは多いため、それに応じた媒体搬送量となる。
【0044】
なお、表刷り・白使用モードと裏刷り・白使用モードではカラーノズル列Coの中で使用するノズル(の位置)が異なるだけであり、印刷パターンが同じであれば使用するノズルの数や媒体搬送量は等しい。そのため、図8に示すように、表刷りモードのカラーノズル#1が裏刷りモードのカラーノズル#8に対応し、表刷りモードのカラーノズル#2が裏刷りモードのカラーノズル#9に対応する。ゆえに、裏刷りモードの説明は省略する。
【0045】
図9は、印刷パターン2を説明する図である。印刷パターン2では、一部のラスターラインを2つのノズルで印刷する(所謂、部分オーバーラップ印刷)。カラーノズル列Coの使用ノズル#1〜#7のうち、下流側端部の2個のノズル#1,#2と上流側端部の2個のノズル#6,#7では、1つのラスターラインを2つのノズルで印刷する。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1と同じである。そのため、印刷パターン2では、1回の媒体搬送量を「5D/3」とする。
【0046】
その結果、例えば、あるラスターラインが形成される媒体上の列領域Aには2個のノズル#6,#1が割り当てられ、別のラスターラインが形成される列領域Bには1個のノズル#3が割り当てられる。1つの列領域に2個のノズルが割り当てられる領域では、一方のノズルが、噴射量や噴射方向などの噴射特性が設計値と異なる不良ノズルであったとしても、他方のノズルでドットを形成することができるため、画像上に白いスジが生じてしまうことを緩和抑制できる。
【0047】
図10は、印刷パターン3を説明する図である。印刷パターン3では、印刷パターン2よりも、2個のノズルで形成するラスターラインの数を増やす。カラーノズル列Coの使用ノズル#1〜#7のうち、下流側端部の3個のノズル#1〜#3と上流側端部の3個のノズル#5〜#7では、1つのラスターラインを2つのノズルで印刷する。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1〜2と同じとし、印刷パターン3では1回の媒体搬送量が「4D/3」となる。
【0048】
図11は、印刷パターン4を説明する図である。印刷パターン4では、全てのラスターラインを複数のノズルで形成する。そうすることで、カラーノズル列Coのどのノズルが不良ノズルであっても、画像上に白スジが生じてしまうことを抑制できる。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1〜3と同じとし、印刷パターン4では1回の媒体搬送量が「2D/3」となる。印刷パターン4では全てのラスターラインを複数のノズルで形成するため、1回の媒体搬送量が比較的に短く、カラーノズル列Coの半分のノズル#1〜#7のうち、使用する必要のないノズルが生じる。例えば、図11ではノズル#7を不使用ノズルとする。
【0049】
なお、媒体搬送量やオーバーラップ数(1つのラスターラインを形成するノズル数)によって、不使用ノズルが生じる場合、カラーノズル列Coの使用ノズルとホワイトノズル列Wの使用ノズルの間を不使用ノズルにするとよい。また、不使用ノズルが属する領域の搬送方向の長さは、媒体搬送量の整数倍とする。そうすることで、画像全域において、カラー画像と背景画像の間に印刷をしないパス(一定の乾燥時間)を設けることができ、画像の濃度むらを抑制できる。
【0050】
図12は、印刷パターン5を説明する図である。印刷パターン1〜4では搬送方向の印刷解像度が等しく、カラーノズル列CoのノズルピッチDの3倍の解像度である。これに対して印刷パターン5では、搬送方向の印刷解像度を更に高め、カラーノズル列CoのノズルピッチDの4倍の解像度とする。即ち、1回のパスで形成されるラスターライン間に3個のラスターラインが印刷される。また、印刷パターン5でも印刷パターン2と同様に部分オーバーラップ印刷を実施する。カラーノズル列Coの使用ノズルのうちの下流側端部の2個のノズル#1,#2と上流側端部の2個のノズル#6,#7では、1つのラスターラインを2個のノズルで印刷する。そのため、印刷パターン5では、1回の媒体搬送量が5D/4となる。
【0051】
通常、複数のノズルで形成するラスターラインの数を増やしたり、印刷解像度を高くしたりすることで、印刷速度は遅くなるが、画質が良くなる。ただし、プリンター1ごとに不良ノズルの発生位置が異なる。そのため、一部のラスターラインを複数のノズルでオーバーラップさせて印刷する印刷パターン2,3であっても、不良ノズルがたまたまオーバーラップさせない列領域に割り当てられた場合、部分オーバーラップする印刷パターン2,3の方が印刷パターン1よりも印刷速度が遅くなるにも拘らず、印刷パターン1〜3は同程度の画質となる。また、不良ノズルの発生し無いプリンター1であれば、1つのラスターラインを複数のノズルで印刷する印刷パターンや印刷解像度の高い印刷パターンを選択してしまうと、不必要に印刷速度を遅くしてしまう。また、プリンター1ごとの搬送ユニット20の特性により、媒体の搬送特性(例えば搬送誤差の生じ方)が異なる。そうすると、プリンター1ごとに、各印刷パターンの画像の繋がり等が異なり、最適な印刷パターンも異なってくる。
【0052】
つまり、プリンター1(ヘッド41や搬送ユニット20など)の特性によって、同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5の中でも最適な印刷パターン(出来る限り画質が良く、且つ、出来る限り印刷速度の速い印刷パターン)が異なる。なお、印刷パターン(ドット形成方法)が異なるということは、媒体搬送量や画像を印刷するノズル(数や位置)、印刷解像度、複数のノズルで形成するラスターライン数、1つのラスターラインを形成するノズル数などのうちの少なくとも1つが異なるということである。
【0053】
そこで、本実施形態では、この5種類の印刷パターン1〜5の中から最適な印刷パターンを決定するために、製造工程(検査工程)において、検査者が、検査対象のプリンター1に、表刷り・白使用モードにより5種類の印刷パターン1〜5でテストパターン(不図示)を印刷させる。即ち、背景画像の上にカラー画像が印刷されたテストパターンが5個形成される。検査者は、5個のテストパターンのカラー画像を印刷面側から視認し、画質を評価する。なお、白使用モードでテストパターンを印刷するため、テストパターンとして背景画像も印刷されるが、カラー画像で画質を評価する。
【0054】
図7に示すように、3段階の画質評価とし、画質が非常に良い場合は「◎」とし、画質が良い場合は「○」とし、画質が普通の場合は「△」とする。表刷り・白使用モードにおける図7の評価結果では、印刷パターン1と2の評価が普通(△)であり、印刷パターン3と4の評価が良い(○)であり、印刷パターン5の結果が非常に良い(◎)である。なお、印刷速度は、各印刷パターン1〜5の1回の媒体搬送量より、印刷パターン1、印刷パターン2、印刷パターン3、印刷パターン5、印刷パターン4の順に速い。
【0055】
同様に、検査者は、検査対象のプリンター1に、裏刷り・白使用モードにより5種類の印刷パターン1〜5でテストパターンを印刷させる。即ち、透明媒体にカラー画像が印刷され、そのカラー画像上に背景画像が印刷されたテストパターンが、5個形成される。検査者は、5個のテストパターンのカラー画像を媒体側から視認し、画質を評価する。裏刷り・白使用モードにおける図7の評価結果では、印刷パターン1の評価が普通(△)であり、印刷パターン2の評価が良い(○)であり、印刷パターン3〜5の結果が非常に良い(◎)である。なお、印刷速度は、表刷り・白使用モードでも、裏刷り・白使用モードでも同じである。
【0056】
図7の評価結果が得られた場合、例えば、表刷り・白使用モードでは、画質評価が最も良く、印刷速度が4番目である印刷パターン5を最適な印刷パターンに決定するとよい。また、裏刷り・白使用モードでは、画質評価の良い印刷パターン3〜5のうちの印刷速度が速い印刷パターン3を最適な印刷パターンに決定するとよい。なお、他の画質レベル1,3においても候補となる印刷パターンでプリンター1にテストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定する。
【0057】
このように、本実施形態では、白使用モードに関して、表刷りモードと裏刷りモードでそれぞれプリンター1にテストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定している。これは、本実施形態のプリンター1では、表刷りモードではカラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向下流側の半分のノズルを使用し(例:図5)、裏刷りモードではカラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向上流側の半分のノズルを使用する(例:図6)からである。即ち、同じ白使用モードであっても、表刷りモードと裏刷りモードでは、カラー画像を印刷するノズルが異なり、不良ノズルの発生の仕方が異なってくるため、最適な印刷パターンが異なる場合があるからである。
【0058】
更に、表刷りモードでは直接にカラー画像を視認するのに対して、裏刷りモードでは媒体を介してカラー画像を視認する。そのため、通常、表刷りモードに比べて裏刷りモードの方が画質の悪さが目立ち難い。図7に示す評価結果例においても、同じ印刷パターンの表刷りモードと裏刷りモードを比べると、表刷りモードの画質評価よりも裏刷りモードの画質評価の方が良い。そのため、本実施形態では、同じ画質レベルで同じ白使用モードで印刷する場合であっても、表刷りモードの最適な印刷パターンと裏刷りモードの最適な印刷パターンを個別に設定する。つまり、表刷りモードでカラー画像を印刷する印刷パターン(ドット形成方法)と、裏刷りモードでカラー画像を印刷する印刷パターンが異なる(媒体搬送量、画像を印刷するノズル、印刷解像度、オーバーラップ方法などのうちの少なくとも1つが異なる)。
【0059】
ところで、本実施形態のプリンター1は、図4に示すように、白使用モードの他にカラーモードを有する。カラーモードではカラー画像だけを印刷するため、カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用してカラー画像を印刷することが可能である。ここで、仮に、カラーモードでは、カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用したとする。この場合、白使用モードではカラーノズル列Coの半分のノズルを使用するため、白使用モードにてカラー画像を印刷するために使用するカラーノズルと、カラーモードにてカラー画像を印刷するために使用するカラーノズルが異なる(ノズルの種類・数が異なる)。よって、不良ノズルの発生位置や媒体搬送量などが異なってくるため、白使用モードとカラーモードでは最適な印刷パターンが異なる場合がある。よって、カラーモードについても、白使用モードと同様に、テストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定しなければならない。具体的には、画質レベル2の候補の印刷パターン1〜5の中から最適な印刷パターンを設定するために、検査者が、表刷り・カラーモードにて(カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用して)印刷パターン1〜5ごとにテストパターンをプリンター1に印刷させ、画質評価を行い、また、裏刷り・カラーモードにて印刷パターン1〜5ごとにテストパターンをプリンター1に印刷させ、画質評価を行う。検査者は、その画質評価に基づいて、表刷り・カラーモードの最適な印刷パターンと裏刷り・カラーモードの最適な印刷パターンを決定する。そうすると、プリンター1の製造工程の処理が煩雑となり、最適な印刷パターンを決定するための検査時間に長い時間を要することになる。
【0060】
そこで、本実施形態のプリンター1では、カラーモードでカラー画像を印刷するための使用ノズル(ノズルの位置・数)と、白使用モードでカラー画像を印刷するための使用ノズル(ノズルの位置・数)を同じにする。更に、「表刷り・カラーモード」でカラー画像を印刷するための使用ノズルと、「表刷り・白使用モード」でカラー画像を印刷するための使用ノズル(#1〜#7)を等しくし、「裏刷り・カラーモード」でカラー画像を印刷するための使用ノズルと、「裏刷り・白使用モード」でカラー画像を印刷するための使用ノズル(#8〜#14)を等しくする。
【0061】
そうすることで、「表刷り・カラーモード」におけるカラー画像の印刷パターンと、「表刷り・白使用モード」におけるカラー画像の印刷パターン(使用ノズルや媒体搬送量、1つのラスターラインを形成するノズル数)を同じにすることができ(違いは背景画像の有無だけとなり)、また、「裏刷り・カラーモード」におけるカラー画像の印刷パターンと、「裏刷り・白使用モード」におけるカラー画像の印刷パターンを同じにすることができる。よって、「表刷り・白使用モード」のテストパターン結果により決定した最適な印刷パターンを、「表刷り・カラーモード」における最適な印刷パターンとして採用することができ、「裏刷り・白使用モード」のテストパターン結果により決定した最適な印刷パターンを、「裏刷り・カラーモード」における最適な印刷パターンとして採用することができる。
【0062】
つまり、本実施形態のプリンター1では、「表刷り・カラーモード」の印刷パターンと「表刷り・白使用モード」の印刷パターンを同じにし、また、「裏刷り・カラーモード」の印刷パターンと「裏刷り・白使用モード」の印刷パターンを同じにする。その結果、製造工程において、プリンター1にカラーモードで印刷パターン1〜5ごとにテストパターンを印刷させる必要がなくなり、また、テストパターン結果を評価する必要が無くなるので、製造工程の処理を簡略化することができる。
【0063】
図13は、プリンター1のメモリー13に記憶する印刷パターンテーブルである。プリンター1の製造工程において、各画質レベル1〜3に対して、表刷り・白使用モードの最適な印刷パターンが決定し(図7の結果によれば画質レベル2に対して印刷パターン5が採用され)、裏刷り・白使用モードの最適な印刷パターンが決定する(印刷パターン3が採用される)。なお、印刷パターンテーブルには、各モードに対して設定された印刷パターンを実施するために必要な情報(使用ノズル、媒体搬送量、1つのラスターラインを複数のノズルで印刷する際の画素の分配方法など)が記憶されている。
【0064】
本実施形態では、「表刷り・カラーモード」と「表刷り・白使用モード」にて同じ印刷パターンを採用するため、表刷り・カラーモードおよび表刷り・白使用モードに対して共通な情報が記憶される。同様に、「裏刷り・カラーモード」と「裏刷り・白使用モード」にて同じ印刷パターンを採用するため、裏刷り・カラーモードおよび裏刷り・白使用モードに対して共通な情報が記憶される。なお、白使用モードでは背景画像を印刷するのに対してカラーモードでは背景画像を印刷しないため、白使用モードでは白ノズルも使用ノズルとするが、カラーモードでは白ノズルを使用ノズルとしないことも記憶されている。
【0065】
このように、表刷り・カラーモード、及び、表刷り・白使用モードを同じ印刷パターンとし、その印刷パターンを実施するための情報を共通の情報として記憶し、また、裏刷り・カラーモード、及び、裏刷り・白使用モードを同じ印刷パターンとし、その印刷パターンを実施するための情報を共通の情報として記憶することで、メモリー13の記憶容量も抑えることができる。
【0066】
また、白使用モードでカラー画像を印刷するノズルおよび印刷パターンと、カラーモードでカラー画像を印刷するノズルおよび印刷パターンを同じにすることで、白使用モードによる本番の印刷前に、カラーモードにてカラー画像を印刷し、カラー画像の画質を確認することができる。白使用モードとカラーモードで同じカラーノズルを使用するため、例えば、カラーモードで印刷した結果、吐出不良を発生するカラーノズルが確認された場合には、そのカラーノズルをクリーニングしてから本番の印刷を実施することができ、また、カラー画像の色味なども調整できる。白インクはカラーインクに比べて価格が高い傾向にあるため、本番前にカラーモードでカラー画像の画質を確認することで白インクの消費を抑えることができる。また、その際に、本番の白使用モードでは透明媒体を使用するところを、白色の媒体にカラーモードでカラー画像を印刷してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、カラーモードと白使用モードの印刷パターンを共通化するために、カラーモードにおいても白使用モードと同様に、カラーノズル列Coの半分のノズルを使用ノズルとしている。ところで、プリンター1では、ヘッド41に対して搬送方向上流側に搬送ローラーが設けられ、搬送方向下流側に排紙ローラーが設けられる(不図示)。媒体の中央部に対して印刷が実施される際には、この2つのローラーに媒体が挟持された状態で印刷が実施される。この時、媒体を下から支えるプラテンから媒体が浮いてしまうことが抑制される。しかし、上端印刷時には媒体が搬送ローラーにしか挟持されず、下端印刷時には媒体が排紙ローラーにしか挟持されない状態となる。この時、媒体はプラテンから浮き易く、ヘッド41のノズル面から媒体まで距離(プラテンギャップ)がノズル列方向で変動する虞があり、そうするとドット着弾位置がずれてしまう。このとき、ノズル列を長く使用するほどプラテンギャップの変動量が大きくなる。ゆえに、本実施形態のように、カラーモードにおいても白使用モードと同様に、カラーノズル列Coの半分のノズルを使用ノズルとすることで、上端・下端印刷時におけるプラテンギャップの変動量を小さくすることができ、ドット着弾位置のずれも抑制できる。また、媒体が一方のローラーだけで挟持される時のプラテンギャップの変動に対するドット着弾位置ずれを補正する調整値を有するプリンター1であったとする。この場合、カラーモードおよび白使用モードで使用するカラーノズルを同じにすることで、プラテンギャップの変動に対するドット着弾位置ずれの調整値を共通化することができる。
【0068】
また、本実施形態では、各画質レベル1〜3の最適な印刷パターンを決定するために、白使用モードでテストパターンを印刷し、背景画像と重ねられたカラー画像の画質評価を行っている。即ち、白使用モードで最適な印刷パターンをカラーモードで採用する。ただし、これに限らず、カラーモードで印刷されたカラー画像を評価し、カラーモードで最適な印刷パターンを白使用モードで採用してもよい。白インクはカラーインクに比べて値段が高い傾向にあるため、カラーモードでテストパターンを印刷し最適な印刷パターンを決定することで、製造工程の処理を低コスト化できる。また、例えば、カラーモードよりも白色モードの方が、使用頻度が高い傾向がある場合には、白色モードでテストパターンを印刷して最適な印刷パターンを決定するというように、使用頻度の多いモードの方で最適な印刷パターンを決定してもよい。
【0069】
また、本実施形態のプリンター1は、白使用モードおよびカラーモードにおいて、それぞれ表刷りモードと裏刷りモードを有しているが、これに限らない。表刷りモードと裏刷りモードのうちのいずれか一方のモードだけを有していてもよい。例えば、表刷りモードだけを有する場合には、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と表刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通にするとよい。
【0070】
また、カラーモードでは使用ノズルの位置規制がないため、カラーモードの印刷パターンを、表刷り・白使用モードの印刷パターンにしてもよく、裏刷り・白使用モードの印刷パターンにしてもよい。よって、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を、裏刷りおよび表刷りの両カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)に採用することもでき、逆に、裏刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を、裏刷りおよび表刷りの両カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)に採用することもできる。ただし、前述のように、表刷りと裏刷りでは、画素が異なるため、カラーモード(表刷り・裏刷りの両モード)で使用するカラーノズルを、搬送方向上流側半分のノズル(裏刷り・白使用モードのノズル)か、又は、搬送方向下流側半分のノズル(表刷り・白使用モードのノズル)の何れかに設定してしまうと、カラーモードの表刷り・裏刷りのうちの一方が他方に比べて画質が下がってしまう可能性がある。また、カラーノズルの使用頻度に偏りが生じ、カラーノズル列Coの寿命を短くする虞がある。そのため、本実施形態では、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と表刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通化し、裏刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と裏刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通化する。
【0071】
また、本実施形態のプリンターでは、図13に示すように3つの画質レベル1〜3にて印刷を可能としているが、これに限らず、1つの画質レベルだけで印刷するプリンターでもよい。また、白使用モードにおいて、例えば、図5や図6に示すように、背景画像を印刷する白ノズル数とカラー画像を印刷するカラーノズル数を同数とし印刷パターンも同じとしているが、これに限らない。背景画像を印刷する白ノズル数よりもカラー画像を印刷するカラーノズル数を多くしてもよい。背景画像はカラー画像に比べて高画質に印刷する必要がないため、背景画像用のノズル数が少なくなった分だけ搬送方向の印刷解像度を低くするとよい。また、カラーノズル列Coのカラー画像用の使用ノズルとホワイトノズル列Wの背景画像用の使用ノズルの間に不使用ノズルを設けても良い。そうすることで、媒体の所定領域に対して2つの画像を印刷する間に、インクが吐出されないパスを設けることができ、乾燥時間をより長く確保できる。その結果、インクの滲みを抑制できる。更に、搬送方向の長さが搬送量の整数倍の長さである領域に属するノズル数分だけ不使用ノズルにすることで、画像全域において乾燥時間を一定にすることができる(媒体の位置によらずに不使用ノズルと対向するパス数が一定となる)ため、画像の濃度むらを抑制できる。
【0072】
本実施形態では、画質レベル2の印刷候補として5種類の印刷パターン1〜5を示している。印刷パターン1〜4(図8〜図11)は搬送方向の印刷解像度が一定であるが、印刷パターン5は印刷パターン1〜4に比べて搬送方向の印刷解像度が高い。即ち、本実施形態では、印刷解像度が異なっても印刷パターン1〜4と印刷パターン5は同程度の画質レベルで印刷されるため、同じ画質レベル2における候補の印刷パターンとして印刷パターン5も含んでいる。ただし、印刷解像度が異なると大きく画質が変わる場合があり、また、プリンタードライバーにおいて印刷モード(きれいモード・はやいモード)に応じて(即ち、同じ画質レベルにて)印刷解像度を固定している場合がある。このような場合には、同じ画質レベルにおける候補の印刷パターンの中に印刷解像度の異なる印刷パターン(ここでは印刷パターン5)を含まないようにするとよい。
【0073】
===印刷実施例===
プリンタードライバーは、ユーザーから印刷指令を受信すると、「白使用モード」で印刷するのか、それとも「カラーモード」で印刷するのかを判断し、また、「表刷りモード」で印刷するのか、それとも「裏刷りモード」で印刷するのかを判断する。その後、プリンタードライバーは、判断した印刷モードに応じて、プリンター1が画像を印刷するための印刷データを作成する。その後、プリンタードライバーは、作成した印刷データと共に、コマンドデータ(印刷モードや媒体の種類など)をプリンター1に送信する。プリンター1のコントローラー10内の印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの情報をもとに、メモリー13に記憶されている印刷パターンテーブル(図13)を参照し、印刷モードに応じた印刷パターンを設定する。そうして、コントローラー10は、設定された印刷パターンに応じた搬送量や使用ノズルにて印刷が実施されるように、各ユニット(搬送ユニット20やヘッドユニット40など)を制御する。よって、プリンター1のコントローラー10が制御部に相当し、プリンター1が流体噴射装置に相当する。以下、印刷パターン設定部141が印刷モードに応じて画質レベル2における印刷パターンを設定する流れを説明する。
【0074】
<実施例1>
図14は、実施例1の印刷パターンの設定フローを説明する図である。印刷パターン設定部141は、まず、画質レベルを判断する(不図示)。次に、印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの印刷モードの情報(コマンドデータ)に基づき、白使用モードで印刷するか否かを判断する(S001)。白使用モードである場合(S001→Y)、印刷パターン設定部141は表刷りモードか否かを判断する(S002)。表刷りモードである場合(S002→Y)、印刷パターン設定部141は、図13の印刷パターンテーブル(画質レベル2のデータ)を参照し、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定する(S003)。表刷りモードでない場合(S002→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定する(S004)。なお、白使用モードの場合には、カラーの使用ノズルおよび白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。
【0075】
一方、最初に、白使用モードでないと判断した場合(S001→N)、印刷パターン設定部141は次に表刷りモードか否かを判断する(S005)。表刷りモードである場合(S005→Y)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定する(S007)。ただし、白の使用ノズル(W:#8〜#14)からはインク滴を噴射させない。表刷りモードでない場合(S005→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定する(S006)。ただし、白の使用ノズル(W:#1〜#7)からはインク滴を噴射させない。
【0076】
こうすることで、プリンター1は各印刷モードに適した印刷パターン(使用ノズル)にて印刷を実施する事ができる。即ち、表刷りモードでは、搬送方向下流側のカラーノズル(#1〜#7)を使用するのに適した印刷パターンが設定され、裏刷りモードでは、搬送方向上流側のカラーノズル(#8〜#14)を使用するのに適した印刷パターンが設定される。その結果、画質が良く、且つ、印刷速度の速い印刷パターンにて印刷を実施することができる。
【0077】
なお、プリンタードライバーが、ユーザーから印刷指令を受信した際に、ユーザーに、その都度、印刷モードを選択させるに限らない。例えば、印刷モードはデフォルト設定されており、ユーザーが必要に応じて印刷モードを変更可能にしてもよい。また、プリンタードライバーが印刷データを受信した時に印刷パターン設定部141が印刷モードを設定し、プリンタードライバーは印刷パターン設定部141が設定した印刷モードに応じて印刷データを作成してもよいし、プリンター1のコントローラー10が印刷モードを設定し印刷データを作成してもよい。また、図14のフローに従いデフォルトとして設定された印刷パターン(使用ノズル)を、ユーザーが変更可能にしてもよい(例えば、図14のS007で表刷り・白使用モードの印刷パターンが設定された後に、ユーザーが裏刷り・白使用モードの印刷パターンに変更可能としてもよい)。
【0078】
また、プリンタードライバーが、印刷モードに応じて、プリンター1のメモリー13に記憶されている印刷パターンテーブル(図13)を参照し、印刷パターンを設定してもよい。この場合、プリンタードライバーがインストールされたコンピューター60が制御部に相当し、コンピューター60とプリンター1が接続された印刷システムが流体噴射装置に相当する。
【0079】
また、図14のフローに限らない。例えば、印刷パターン設定部141が白使用モードか否かの判断をした結果、カラーモードである場合(S001→N)、印刷パターン設定部141は表刷りモードと判断してもよい。裏刷りモードで印刷する場合、媒体は透明となり、カラー画像と共に背景画像を印刷しないと反対側が透けてしまう。そのため、印刷パターン設定部141は、カラーモードである場合には(背景画像を印刷しない場合には)、透明媒体でないため表刷りモードで印刷すると判断し、自動的に印刷パターン5に設定してもよい。この場合、プリンタードライバーにも、ユーザーに白使用モード又はカラーモードを選択させた後、カラーモードが選択された場合には優先的に表刷りモードで印刷すると判断させるようにするとよい。
【0080】
また、図14のフローでは、印刷パターン設定部141が先に白使用モードであるか否かを判断しているが、これに限らず、表刷りモードか否かを先に判断させてもよい。更に、この場合に、印刷パターン設定部141が、先に裏刷りモードであると判断した場合には、媒体が透明であり反対側が透けてしまう虞があるため、白使用モードであると判断してもよい。逆に、印刷パターン設定部141が、先に表刷りモードであると判断した場合には、透明媒体である可能性が低く、背景画像を印刷する必要がないため、カラーモードであると判断してもよい。また、印刷パターン設定部141が、先に表刷りモードであると判断した場合に、印刷媒体が透明メディアであれば白使用モードであると判断し、印刷媒体が不透明メディアであればカラーモードであると判断してもよい。更に、印刷パターン設定部141が、表刷りモードの不透明媒体への印刷であると判断した場合に、印刷媒体が白色であればカラーモードであると判断し、印刷媒体が白色でなければ白使用モードであると判断してもよい。これらの場合にも、プリンタードライバーに、印刷パターン設定部141と同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0081】
<実施例2>
図15は、実施例2の印刷パターンの設定フローを説明する図である。印刷パターン設定部141は、まず、画質レベルを判断する(不図示)。次に、印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの情報に基づき、印刷媒体が不透明媒体であるか否かを判断する(S101)。不透明媒体である場合(S101→Y)、裏刷りモードで印刷することは出来ないため表刷りモードに決定し、印刷パターン設定部141は白使用モードか否かを判断する(S102)。白使用モードである場合(S102→Y)、印刷パターン設定部141は、図13の印刷パターンテーブル(画質レベル2のデータ)を参照し、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S103)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。白使用モードでない場合(S102→N)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S104)、カラーの使用ノズルのみからインク滴を噴射させ、白の使用ノズルからはインク滴を噴射させない。なお、プリンター1にセンサーを設け、センサーによって印刷媒体の種類を判別してもよい。
【0082】
一方、最初に、印刷媒体が不透明媒体でないと判断した場合(S101→N)、印刷パターン設定部141は、反対側が透けてしまわないように白使用モードに決定し、表刷りモードか否かを判断する(S105)。表刷りモードである場合(S105→Y)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S107)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。裏刷りモードである場合(S105→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定し(S106)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。
【0083】
こうすることで、プリンター1は各印刷モードに適した印刷パターンにて印刷を実施する事ができ、画質が良く、且つ、印刷速度の速い印刷パターンにて印刷を実施することができる。また、媒体の種類に応じて印刷モードを判断するため印刷モードの判断の仕方が容易となり、透明媒体の場合には必ず白使用モードが選択されるため、カラー画像の反対側が透けてしまうことを防止できる。なお、プリンタードライバーが印刷モードを判断する場合にも、図15のフローと同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0084】
ただし、図15のフローに限らない。例えば、不透明媒体の場合(S101→Y)、反対側が透けないため、印刷パターン設定部141はカラーモードに決定してもよい。また、不透明媒体の場合(S101→Y)、不透明媒体が白色か否かを判断し、印刷パターン設定部141は、媒体が白色の場合には背景画像を印刷する必要がないためカラーモードに決定し、媒体が白色でない場合には背景画像を印刷する方がカラー画像の発色性が良くなるため白使用モードに決定してもよい。また、不透明媒体でなく透明媒体である場合(S101→N)、印刷パターン設定部141は裏刷りモードに決定してもよい。これらの場合にも、プリンタードライバーに、印刷パターン設定部141と同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0085】
===画像の変形例について===
ここまで、白インクとカラーインクを使用して白色の色味を調整した背景画像を例に挙げているが、これに限らない。白インクだけを用いて印刷した背景画像であっても良い。しかし、この場合、白インクの色そのものの色である背景画像しか印刷することが出来ない。そのため、所望の色の背景画像を印刷することが出来なかったり、背景画像の色と媒体の地色の差が目立ってしまったりする。よって、高品質の背景画像を印刷することが出来ない。以下、白インクだけで背景画像を印刷する場合の印刷例を示す。
【0086】
図16は、表刷り・白使用モードの印刷例を示す図であり、図17は、裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。図では説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数を14個に減らして描く。また、4色インク(YMCK)を各々噴射するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co(第1ノズル列に相当)」と示す。図16および図17はバンド印刷を示す。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。
【0087】
図16の表刷り・白使用モードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その上にカラー画像を印刷する。そのため、ホワイトノズル列W(第2ノズル列に相当)の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・△)を、背景画像を印刷するための使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・●)を、カラー画像を印刷するための使用ノズルとする。なお、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)、及び、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14)からはインクが噴射されない。また、図16はバンド印刷であるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される画像の搬送方向の幅長さに相当する。白使用モードでは1回のパスで2種類の画像が形成されるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される背景画像またはカラー画像の搬送方向の幅長さに相当する。よって、図16では1回の媒体搬送量がノズル列の半分の長さ(7個のノズル分長さ)「7D」となる。
【0088】
つまり、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズルとカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズルで画像を形成する動作と、媒体を搬送量7Dだけ搬送する動作と、を繰り返す。その結果、媒体の所定領域はまずホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域には背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域の背景画像上にカラー画像が印刷される。
【0089】
逆に、裏刷り・白使用モードでは、図17に示すように、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・△)を、背景画像を印刷する使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・●)を、カラー画像を印刷する使用ノズルとする。なお、1回の媒体搬送量はノズル列の半分の長さ7Dである。その結果、媒体の所定領域はまずカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域にはカラー画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域のカラー画像上に背景画像が印刷される。
【0090】
また、前述の実施形態では、4色のカラーインク(YMCK)だけでカラー画像を印刷しているが、これに限らない。例えば、4色のカラーインクと共に白インクを用いてカラー画像を印刷するとよい。この場合、前述の図5に示す表刷り・白使用モードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)を用いてカラー画像を印刷する。一方、前述の図6に示す裏刷り・白使用モードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14)を用いてカラー画像を印刷する。このように、カラー画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置とカラー画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルの搬送方向の位置とを揃える。そうすると、カラー画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスでカラーインクと白インクが噴射される。このように、カラーインクに白インクを加えてカラー画像を印刷することで、高明度、且つ、高彩度の色を再現した画像を印刷することができる。
【0091】
なお、カラーインクに白インクを加えたカラー画像を印刷する場合にも、カラーモードと白使用モードにおいて、そのカラー画像を印刷するために使用するノズル(カラーノズル及び白ノズル)を同じにするとよい。そして、カラーモード又は白使用モードの一方のモードにおいて、そのカラー画像を印刷するために最適な印刷パターンを決定し、他方のモードにおいても、その決定した印刷パターンにてカラー画像を印刷するとよい。
【0092】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷パターンの設定等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0093】
<印刷パターンの設定について>
前述の実施形態では、白使用モードで使用するカラーノズルとカラーモードで使用するカラーノズルを等しくし、白使用モードで決定した最適な印刷パターンをカラーモードの印刷時にも適用し、プリンター1の製造工程の処理を簡略化しているが、これに限らない。例えば、プリンター1が1種類の印刷パターン(例:図5や図6のバンド印刷)を実施すると決定している場合であっても、白使用モードで使用するカラーノズルとカラーモードで使用するカラーノズルを等しくするとよい。仮に、白使用モードではカラーノズル列Coの半分のノズルを使用し、カラーモードではカラーノズル列Coの全ノズルを使用するとした場合、バンド印刷では、白使用モードの搬送量はカラーノズル列Coの半分の長さに相当し、カラーモードの搬送量はカラーノズル列Coの全域の長さに相当する。このように、1回の媒体搬送量が異なると、搬送特性も異なる(例えば、搬送誤差の生じ方が異なる)。そのため、プリンター1の製造工程において、カラーモードに応じた搬送制御(例えば搬送量補正値)と白使用モードに応じた搬送制御を決定する必要があり、製造工程の処理が煩雑化する。更に、カラーモードに応じて決定した搬送制御と白使用モードに応じて決定した搬送制御を、プリンター1のメモリー13に記憶しなければならず、メモリー容量が増加してしまう。そのため、印刷パターンが固定されているプリンターであっても、白使用モードとカラーモードとで使用するノズルを共通化するとよい。
【0094】
また、複数の印刷パターンの中から各プリンター1に最適な印刷パターンを選択する工程を行わなくてもよく、予め1つの印刷パターンのみが設定されていてもよい。また、白使用モードの印刷パターンとカラーモードの印刷パターンを異ならせてもよい。この場合でも、白使用モードとカラーモードでカラー画像を印刷するノズルを共通にすることで、カラー画像を印刷するノズルの特性が同じになるため、両モードのカラー画像の画質を同等にすることができる。例えば、カラー画像を印刷するノズルの中に不良ノズルを含めないことで、両モードのカラー画像の品質を向上させることができる。また、特に、両モードの印刷パターンを共通化することで、両モードのカラー画像の画質を同等にすることができる。
【0095】
<背景画像について>
前述の実施形態では、白インクによって背景画像を印刷するとしているがこれに限らず、白以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、背景画像を白インクのみによって印刷するに限らず、白インクと他のカラーインクを混ぜて、白色の色味を調整した背景画像を印刷してもよい。また、4色インク(YMCK)に白インクを加えてカラー画像を印刷してもよい。この場合においても、カラーモードでカラー画像を印刷するノズルと、白使用モードでカラー画像を印刷するノズルを等しくするとよい。
【0096】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41を移動方向に移動しながら単票紙に画像を形成する動作と、ヘッドに対して単票紙を移動方向と交差する搬送方向に搬送する動作と、を繰り返すプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、(複数の)ヘッド41を有するヘッドユニット40を媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドユニット40を紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0097】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンター(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、ノズルからの流体噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて圧力室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
また、ヘッド41から噴射するインクは、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化型インクであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 プリンター、10 コントローラー、
11 インターフェース部、12 CPU、13 メモリー、
14 ユニット制御回路、141 印刷パターン設定部、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、
31 キャリッジ、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピューター
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、媒体に対してインク(流体)を噴射するノズルが所定方向に並んだノズル列を備えるインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターとして、ノズル列を所定方向と交差する移動方向に移動させながらノズルからインクを噴射させる動作と、媒体を所定方向に搬送する動作を繰り返すプリンターなどが知られている。
【0003】
また、シアン、マゼンタ、イエローといったカラーインクの他に、白色のインクを用いて印刷を行う印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプリンターでは、例えば、白インクによる背景画像とカラー画像を重ねて印刷することで、媒体の地色に影響されずに、発色性の良いカラー画像を印刷することができる。そのため、背景画像とカラー画像(主画像)を重ねて印刷する「白使用モード」とカラー画像だけを印刷する「カラーモード」のうちの何れか一方のモードを選択して印刷を実施するプリンターがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−38063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
白使用モードとカラーモードにおいてカラー画像を印刷するために使用するノズルが異なる場合、ノズルの特性差や最適な印刷パターンの違いにより、一方のモードのカラー画像(主画像)に比べて他方のカラー画像の画質が低下してしまう虞がある。
そこで、本発明は、モードに関係なく主画像の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】プリンターの斜視図である。
【図3】ヘッドの下面に設けられるノズルの配列を示す図である。
【図4】プリンターが有する印刷モードを説明する図である。
【図5】表刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図6】裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図7】印刷パターン1〜5の評価結果を示す図である。
【図8】印刷パターン1を説明する図である。
【図9】印刷パターン2を説明する図である。
【図10】印刷パターン3を説明する図である。
【図11】印刷パターン4を説明する図である。
【図12】印刷パターン5を説明する図である。
【図13】メモリーに記憶する印刷パターンテーブルである。
【図14】実施例1の印刷パターンの設定フローを説明する図である。
【図15】実施例2の印刷パターンの設定フローを説明する図である。
【図16】表刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【図17】裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、モードに関係なく主画像の品質を向上させることができ、第1モードと第2モードにおいて、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、画像形成側から視認する画像を前記媒体に形成する第1の方法と、前記画像形成側の反対側から視認する画像を前記媒体に形成する第2の方法のうちの、何れか一方の方法にて、前記媒体に画像を形成させ、前記第1の方法にて画像を形成させる場合には、前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の他方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させ、前記第2の方法にて画像を形成させる場合には、前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記他方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の前記一方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させること。
このような流体噴射装置によれば、第1モードの各方法(第1の方法・第2の方法)と第2モードの各方法において、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであり、前記第1モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであること。
このような流体噴射装置によれば、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、前記第1の方法が選択された場合に前記第1モードにて前記媒体に画像を形成させるか、又は、前記第1モードが選択された場合に前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、画像を形成するモードや方法を容易に判断することができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であり、前記制御部は、前記媒体が不透明媒体である場合に、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させること。
このような流体噴射装置によれば、画像を形成するモードや方法を容易に判断することができる。
【0014】
かかる流体噴射装置であり、前記第1の方法にて所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合と、前記第2の方法にて前記所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合とにおいて、ドット形成方法が異なること。
このような流体噴射装置によれば、画質を保ちつつ、各方法に応じて画像形成時間を短縮できる。
【0015】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードにて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードにて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであること。
このような流体噴射装置によれば、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0016】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像を形成する前記第2ノズル列のノズル群と前記所定方向の位置が同じである前記第1ノズル列のノズルも使用して、前記背景画像を形成すること。
このような流体噴射装置によれば、所望の色の背景画像を形成することができる。
【0017】
また、第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列及び第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返す流体噴射装置の流体噴射方法であり、前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードを設定し、設定したモードに応じて前記媒体に画像を形成し、前記第1モードにて前記主画像を形成する場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成し、前記第2モードにて前記主画像を形成する場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成することを、特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、第1モードと第2モードにおいて、ドット形成方法や媒体搬送制御方法などを共通化することができ、流体噴射装置の製造工程を簡略化することができる。
【0018】
===印刷システムについて===
以下、流体噴射装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0019】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の斜視図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0020】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0021】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向)に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ31を有する。
【0022】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41はキャリッジ31によって移動方向に移動する。ヘッド41の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室(不図示)が設けられている。
【0023】
図3は、ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。なお、図はヘッド41の上面から仮想的にノズルを見た図である。ヘッド41の下面には、180個のノズルが搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)で並んだノズル列が5列形成されている。図示するように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列K・シアンインクを噴射するシアンノズル列C・マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列M・イエローインクを噴射するイエローノズル列Y・白インクを噴射するホワイトノズル列Wが、移動方向に並んでいる。なお、各ノズル列が有する180個のノズルに対して、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0024】
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴射させて媒体上にドットを形成するドット形成処理と、媒体をヘッド41に対して搬送方向に搬送する搬送処理(移動動作に相当)とが繰り返される。そうすることで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後のドット形成処理にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を噴射しながら移動方向に1回移動する動作(1回のドット形成処理・噴射動作に相当)を「パス」と呼ぶ。
【0025】
===印刷モードについて===
図4は、本実施形態のプリンター1が有する印刷モードを説明する図である。プリンター1は、4色のインク(YMCK)によって印刷するカラー画像(モノクロ画像も含む)だけを媒体上に印刷する「カラーモード(第1モードに相当)」と、白インクによる背景画像とカラー画像を重ねて媒体上に印刷する「白使用モード(第2モードに相当)」のうちの、何れか一方のモードにて媒体上に画像を形成する。白使用モードのようにカラー画像(主画像に相当)の背景に白色の背景画像を設けることで、特に媒体が白色でない場合に、発色性の良い画像を印刷することができる。また、媒体が透明である場合には、カラー画像と背景画像を重ねて印刷することで、印刷物の反対側が透けてしまうことを防止できる。
【0026】
更に、プリンター1は、カラー画像を印刷面側から見るように印刷する「表刷りモード(第1の方法)」と、カラー画像を媒体側(画像形成側の反対側)から見るように印刷する「裏刷りモード(第2の方法)」のうちの、何れか一方のモードにて媒体上に画像を形成する。即ち、プリンター1は、図4に示すように、表刷り・カラーモードと、裏刷り・カラーモードと、表刷り・白使用モードと、裏刷り・白使用モードの4通りの印刷モードを有する。
【0027】
カラーモードでは媒体上にカラー画像だけを印刷するため、表刷りモードであっても裏刷りモードであっても、媒体上に直接カラー画像が印刷される。一方、白使用モードではカラー画像と背景画像を重ねて印刷するため、表刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その背景画像上にカラー画像を印刷することになる。逆に、裏刷りモードでは媒体の所定領域に対して先にカラー画像を印刷し、そのカラー画像上に背景画像を印刷することになる。
【0028】
図5は、表刷り・白使用モードの印刷例を示す図であり、図6は、裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。図では説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数を14個に減らして描く。また、4色インク(YMCK)を各々噴射するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co(第1ノズル列に相当)」と示す。図5および図6はバンド印刷を示す。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。
【0029】
ところで、白インクのみを使用して背景画像を印刷すると、背景画像を印刷する白インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、同じように白インクと呼ばれるインクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用する白インクによってユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてしまう場合がある。また、印刷物によっては、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。また、白い媒体を用いる場合、白い媒体においても、媒体の種類によって白色の色味が若干異なる。そのため、白い媒体に背景画像を印刷する際に、背景画像の白色と媒体の白色とが異なると、背景画像が目立ってしまう。
【0030】
そこで、本実施形態では、白インクと共に、少量のカラーインク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷する。即ち、背景画像を印刷する際に、プリンター1が噴射可能なカラーインクの中の少なくとも1色のカラーインクを使用すればよく、例えば、4色のカラーインクを全て使用してもよいし、2色のカラーインクを使用してもよい。このように、白インクとカラーインクで背景画像を印刷することで、白インクが若干の色彩を有する場合に、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷することで、背景画像を無彩色に近づけることもできる。
【0031】
なお、所望の白色の背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンター1が予め記憶するようにしても良いし、プリンタードライバーが作成するようにしても良い。プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして、所望の背景画像の色の選択を行う場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データが生成されるようにするとよい。
【0032】
図5の表刷り・白使用モードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その上にカラー画像を印刷する。そのため、ホワイトノズル列W(第2ノズル列に相当)の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・△)、及び、カラーノズル列の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・○)を、背景画像を印刷するための使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・●)を、カラー画像を印刷するための使用ノズルとする。なお、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)からはインクが噴射されない。また、図5はバンド印刷であるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される画像の搬送方向の幅長さに相当する。白使用モードでは1回のパスで2種類の画像が形成されるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される背景画像またはカラー画像の搬送方向の幅長さに相当する。よって、図5では1回の媒体搬送量がノズル列の半分の長さ(7個のノズル分長さ)「7D」となる。
【0033】
つまり、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズル及びカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズルとカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズルとで画像を形成する動作と、媒体を搬送量7Dだけ搬送する動作と、を繰り返す。その結果、媒体の所定領域はまずホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域には背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域の背景画像上にカラー画像が印刷される。
【0034】
逆に、裏刷り・白使用モードでは、図6に示すように、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・△)及びカラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・○)を、背景画像を印刷する使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・●)を、カラー画像を印刷する使用ノズルとする。なお、1回の媒体搬送量はノズル列の半分の長さ7Dである。その結果、媒体の所定領域はまずカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域にはカラー画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域のカラー画像上に背景画像が印刷される。
【0035】
このように、背景画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズル(△)の搬送方向の位置と、同じく背景画像を印刷するカラーノズル列Coのノズル(○)の搬送方向の位置を、等しくする。そうすると、背景画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスで白インクとカラーインクが噴射される。その結果、白インクとカラーインクが混ざり、背景画像の粒状感を低減することができる。
【0036】
また、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さい。ただし、背景画像におけるカラーインクの粒状感を低減するため、カラーインクのドットをなるべく均一に分散することが好ましい。即ち、背景画像の単位領域あたりの白インク密度(ドット密度)に対して背景画像の単位領域あたりのカラーインク密度(ドット密度)を小さくする。そのため、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さいものの、本実施形態では、背景画像を印刷するために使用するホワイトノズル列Wのノズル数とカラーノズル列Coのノズル数を等しくする。即ち、カラーノズル列Coに属する半分のノズルを用いて背景画像を印刷する。ただし、これに限らず、背景画像を印刷するために使用可能なカラーノズル列Coの半分のノズルのうち、数個置きのノズルを使用して背景画像を印刷してもよい。
【0037】
このように白使用モードでは、カラー画像と背景画像のうちの先に印刷する画像の使用ノズルを、後に印刷する画像の使用ノズルよりも、搬送方向上流側のノズルに設定する。そうすることで、表刷りまたは裏刷りモードに応じた順に画像を印刷することができる。また、媒体の所定領域に対して背景画像を印刷するパスとカラー画像を印刷するパスを異ならせることができる。そうすると、先の画像を印刷してから後の画像を印刷するまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを抑制することができる。
【0038】
===画質レベルごとの適正な印刷パターンについて===
図7は、画質レベル2の採用候補の印刷パターン1〜5の評価結果を示す図である。図8から図12は、画質レベル2の採用候補の印刷パターン1〜5を説明する図である。本実施形態のプリンター1では、ユーザーが、用途に応じて、3種類の印刷モード(画質レベル)、「きれいモード」「普通モード」「はやいモード」の何れかを選択することができる。きれいモード(画質レベル1)、普通モード(画質レベル2)、はやいモード(画質レベル3)の順に、高画質に画像を印刷することができる。一方、はやいモード、普通モード、きれいモードの順に、高速に画像を印刷することができる。そのため、各画質レベル1〜3によって印刷パターン(印刷方法・ドット形成方法に相当)が異なる。
【0039】
プリンター1は多数の印刷パターンを実施可能とし、同程度の画質レベルで画像を印刷する場合であっても、複数種類の印刷パターンを実施することができる。例えば、プリンター1は、図7に示すように、画質レベル2の画像を印刷する印刷パターンとして、5種類の印刷パターン1〜5を実施することができる。同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5では、ヘッド41(ノズル)の特性や媒体の搬送特性など、プリンター1の種々の部品の特性によって画質が(微小に)変化する。ゆえに、異なる機種のプリンターはもちろんのこと、同じ機種のプリンターであっても、同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5の中で、最も良い画質で印刷できる印刷パターンが異なる場合がある。例えば、画質レベル2の画像を印刷する印刷パターン1〜5のうち、あるプリンター1では印刷パターン2で印刷された画像の画質が最も良く、別のプリンターでは他の印刷パターン4で印刷された画像の画質が最も良くなることがある。
【0040】
そこで、本実施形態では、プリンター1の製造工程においてプリンター1ごとに、各画質レベル1〜3における最適な印刷パターンを決定する。ここでは、最適な印刷パターンを決定する評価項目として、図7に示すように印刷画像の画質と印刷速度を挙げる。なお、製造工程は、設計工程と量産工程の少なくとも何れかを含む。ここでは、プリンター1の個体ごとの画質特性の違いに応じて最適な印刷パターンを決定する。即ち、量産工程にて最適な印刷パターンを決定する。ただし、これに限らず、プリンター1の機種ごとの画質特性の違いに応じて、即ち、設計工程において、最適な印刷パターンを決定してもよい。
【0041】
以下、画質レベル2における最適な印刷パターンの決定方法を例に挙げて説明する。前述のように、画質レベル2の候補の印刷パターンは5種類の印刷パターン1〜5である。まず、印刷パターン1〜5を具体的に説明する。
【0042】
図8は、印刷パターン1を説明する図である。図では各パスのカラーノズル列Coの位置関係を示し、カラーノズル列Coに属するノズル数を14個とする。また、以下では、表刷り・白使用モードの印刷を例に挙げて説明する。表刷り・白使用モードでは前述の図5に示すように、カラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#7を使用ノズルとする。よって、図8では、カラーノズル#1〜#7による印刷の様子を示す(図中の丸の中の数字がノズル番号である)。なお、カラーノズル列Coの上流側半分の不使用ノズル#8〜#14およびホワイトノズル列Wは不図示とする。また、カラーノズルによる印刷パターンと白ノズルによる印刷パターンは同じとする。
【0043】
印刷パターン1では、1つのラスターラインを1つのノズルで形成する。そのため、図8に示すように移動方向に複数のノズルが並ぶことはない。また、搬送方向の印刷解像度を、カラーノズル列CoのノズルピッチD(例:180dpi)の3倍の解像度(例:540dpi)とする。即ち、1回のパスで形成されるラスターライン間に2個のラスターラインが印刷される。このように印刷するために、1回の媒体搬送量が「8D/3,8D/3,5D/3の繰り返し」となる。図中では1ノズル列に属するノズル数を少なくしているため1回の媒体搬送量が短くなるが、1ノズル列に属する実際のノズルは多いため、それに応じた媒体搬送量となる。
【0044】
なお、表刷り・白使用モードと裏刷り・白使用モードではカラーノズル列Coの中で使用するノズル(の位置)が異なるだけであり、印刷パターンが同じであれば使用するノズルの数や媒体搬送量は等しい。そのため、図8に示すように、表刷りモードのカラーノズル#1が裏刷りモードのカラーノズル#8に対応し、表刷りモードのカラーノズル#2が裏刷りモードのカラーノズル#9に対応する。ゆえに、裏刷りモードの説明は省略する。
【0045】
図9は、印刷パターン2を説明する図である。印刷パターン2では、一部のラスターラインを2つのノズルで印刷する(所謂、部分オーバーラップ印刷)。カラーノズル列Coの使用ノズル#1〜#7のうち、下流側端部の2個のノズル#1,#2と上流側端部の2個のノズル#6,#7では、1つのラスターラインを2つのノズルで印刷する。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1と同じである。そのため、印刷パターン2では、1回の媒体搬送量を「5D/3」とする。
【0046】
その結果、例えば、あるラスターラインが形成される媒体上の列領域Aには2個のノズル#6,#1が割り当てられ、別のラスターラインが形成される列領域Bには1個のノズル#3が割り当てられる。1つの列領域に2個のノズルが割り当てられる領域では、一方のノズルが、噴射量や噴射方向などの噴射特性が設計値と異なる不良ノズルであったとしても、他方のノズルでドットを形成することができるため、画像上に白いスジが生じてしまうことを緩和抑制できる。
【0047】
図10は、印刷パターン3を説明する図である。印刷パターン3では、印刷パターン2よりも、2個のノズルで形成するラスターラインの数を増やす。カラーノズル列Coの使用ノズル#1〜#7のうち、下流側端部の3個のノズル#1〜#3と上流側端部の3個のノズル#5〜#7では、1つのラスターラインを2つのノズルで印刷する。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1〜2と同じとし、印刷パターン3では1回の媒体搬送量が「4D/3」となる。
【0048】
図11は、印刷パターン4を説明する図である。印刷パターン4では、全てのラスターラインを複数のノズルで形成する。そうすることで、カラーノズル列Coのどのノズルが不良ノズルであっても、画像上に白スジが生じてしまうことを抑制できる。また、搬送方向の印刷解像度は印刷パターン1〜3と同じとし、印刷パターン4では1回の媒体搬送量が「2D/3」となる。印刷パターン4では全てのラスターラインを複数のノズルで形成するため、1回の媒体搬送量が比較的に短く、カラーノズル列Coの半分のノズル#1〜#7のうち、使用する必要のないノズルが生じる。例えば、図11ではノズル#7を不使用ノズルとする。
【0049】
なお、媒体搬送量やオーバーラップ数(1つのラスターラインを形成するノズル数)によって、不使用ノズルが生じる場合、カラーノズル列Coの使用ノズルとホワイトノズル列Wの使用ノズルの間を不使用ノズルにするとよい。また、不使用ノズルが属する領域の搬送方向の長さは、媒体搬送量の整数倍とする。そうすることで、画像全域において、カラー画像と背景画像の間に印刷をしないパス(一定の乾燥時間)を設けることができ、画像の濃度むらを抑制できる。
【0050】
図12は、印刷パターン5を説明する図である。印刷パターン1〜4では搬送方向の印刷解像度が等しく、カラーノズル列CoのノズルピッチDの3倍の解像度である。これに対して印刷パターン5では、搬送方向の印刷解像度を更に高め、カラーノズル列CoのノズルピッチDの4倍の解像度とする。即ち、1回のパスで形成されるラスターライン間に3個のラスターラインが印刷される。また、印刷パターン5でも印刷パターン2と同様に部分オーバーラップ印刷を実施する。カラーノズル列Coの使用ノズルのうちの下流側端部の2個のノズル#1,#2と上流側端部の2個のノズル#6,#7では、1つのラスターラインを2個のノズルで印刷する。そのため、印刷パターン5では、1回の媒体搬送量が5D/4となる。
【0051】
通常、複数のノズルで形成するラスターラインの数を増やしたり、印刷解像度を高くしたりすることで、印刷速度は遅くなるが、画質が良くなる。ただし、プリンター1ごとに不良ノズルの発生位置が異なる。そのため、一部のラスターラインを複数のノズルでオーバーラップさせて印刷する印刷パターン2,3であっても、不良ノズルがたまたまオーバーラップさせない列領域に割り当てられた場合、部分オーバーラップする印刷パターン2,3の方が印刷パターン1よりも印刷速度が遅くなるにも拘らず、印刷パターン1〜3は同程度の画質となる。また、不良ノズルの発生し無いプリンター1であれば、1つのラスターラインを複数のノズルで印刷する印刷パターンや印刷解像度の高い印刷パターンを選択してしまうと、不必要に印刷速度を遅くしてしまう。また、プリンター1ごとの搬送ユニット20の特性により、媒体の搬送特性(例えば搬送誤差の生じ方)が異なる。そうすると、プリンター1ごとに、各印刷パターンの画像の繋がり等が異なり、最適な印刷パターンも異なってくる。
【0052】
つまり、プリンター1(ヘッド41や搬送ユニット20など)の特性によって、同程度の画質を印刷する印刷パターン1〜5の中でも最適な印刷パターン(出来る限り画質が良く、且つ、出来る限り印刷速度の速い印刷パターン)が異なる。なお、印刷パターン(ドット形成方法)が異なるということは、媒体搬送量や画像を印刷するノズル(数や位置)、印刷解像度、複数のノズルで形成するラスターライン数、1つのラスターラインを形成するノズル数などのうちの少なくとも1つが異なるということである。
【0053】
そこで、本実施形態では、この5種類の印刷パターン1〜5の中から最適な印刷パターンを決定するために、製造工程(検査工程)において、検査者が、検査対象のプリンター1に、表刷り・白使用モードにより5種類の印刷パターン1〜5でテストパターン(不図示)を印刷させる。即ち、背景画像の上にカラー画像が印刷されたテストパターンが5個形成される。検査者は、5個のテストパターンのカラー画像を印刷面側から視認し、画質を評価する。なお、白使用モードでテストパターンを印刷するため、テストパターンとして背景画像も印刷されるが、カラー画像で画質を評価する。
【0054】
図7に示すように、3段階の画質評価とし、画質が非常に良い場合は「◎」とし、画質が良い場合は「○」とし、画質が普通の場合は「△」とする。表刷り・白使用モードにおける図7の評価結果では、印刷パターン1と2の評価が普通(△)であり、印刷パターン3と4の評価が良い(○)であり、印刷パターン5の結果が非常に良い(◎)である。なお、印刷速度は、各印刷パターン1〜5の1回の媒体搬送量より、印刷パターン1、印刷パターン2、印刷パターン3、印刷パターン5、印刷パターン4の順に速い。
【0055】
同様に、検査者は、検査対象のプリンター1に、裏刷り・白使用モードにより5種類の印刷パターン1〜5でテストパターンを印刷させる。即ち、透明媒体にカラー画像が印刷され、そのカラー画像上に背景画像が印刷されたテストパターンが、5個形成される。検査者は、5個のテストパターンのカラー画像を媒体側から視認し、画質を評価する。裏刷り・白使用モードにおける図7の評価結果では、印刷パターン1の評価が普通(△)であり、印刷パターン2の評価が良い(○)であり、印刷パターン3〜5の結果が非常に良い(◎)である。なお、印刷速度は、表刷り・白使用モードでも、裏刷り・白使用モードでも同じである。
【0056】
図7の評価結果が得られた場合、例えば、表刷り・白使用モードでは、画質評価が最も良く、印刷速度が4番目である印刷パターン5を最適な印刷パターンに決定するとよい。また、裏刷り・白使用モードでは、画質評価の良い印刷パターン3〜5のうちの印刷速度が速い印刷パターン3を最適な印刷パターンに決定するとよい。なお、他の画質レベル1,3においても候補となる印刷パターンでプリンター1にテストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定する。
【0057】
このように、本実施形態では、白使用モードに関して、表刷りモードと裏刷りモードでそれぞれプリンター1にテストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定している。これは、本実施形態のプリンター1では、表刷りモードではカラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向下流側の半分のノズルを使用し(例:図5)、裏刷りモードではカラーノズル列Coに属するノズルのうちの搬送方向上流側の半分のノズルを使用する(例:図6)からである。即ち、同じ白使用モードであっても、表刷りモードと裏刷りモードでは、カラー画像を印刷するノズルが異なり、不良ノズルの発生の仕方が異なってくるため、最適な印刷パターンが異なる場合があるからである。
【0058】
更に、表刷りモードでは直接にカラー画像を視認するのに対して、裏刷りモードでは媒体を介してカラー画像を視認する。そのため、通常、表刷りモードに比べて裏刷りモードの方が画質の悪さが目立ち難い。図7に示す評価結果例においても、同じ印刷パターンの表刷りモードと裏刷りモードを比べると、表刷りモードの画質評価よりも裏刷りモードの画質評価の方が良い。そのため、本実施形態では、同じ画質レベルで同じ白使用モードで印刷する場合であっても、表刷りモードの最適な印刷パターンと裏刷りモードの最適な印刷パターンを個別に設定する。つまり、表刷りモードでカラー画像を印刷する印刷パターン(ドット形成方法)と、裏刷りモードでカラー画像を印刷する印刷パターンが異なる(媒体搬送量、画像を印刷するノズル、印刷解像度、オーバーラップ方法などのうちの少なくとも1つが異なる)。
【0059】
ところで、本実施形態のプリンター1は、図4に示すように、白使用モードの他にカラーモードを有する。カラーモードではカラー画像だけを印刷するため、カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用してカラー画像を印刷することが可能である。ここで、仮に、カラーモードでは、カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用したとする。この場合、白使用モードではカラーノズル列Coの半分のノズルを使用するため、白使用モードにてカラー画像を印刷するために使用するカラーノズルと、カラーモードにてカラー画像を印刷するために使用するカラーノズルが異なる(ノズルの種類・数が異なる)。よって、不良ノズルの発生位置や媒体搬送量などが異なってくるため、白使用モードとカラーモードでは最適な印刷パターンが異なる場合がある。よって、カラーモードについても、白使用モードと同様に、テストパターンを印刷させ、最適な印刷パターンを決定しなければならない。具体的には、画質レベル2の候補の印刷パターン1〜5の中から最適な印刷パターンを設定するために、検査者が、表刷り・カラーモードにて(カラーノズル列Coに属する全ノズルを使用して)印刷パターン1〜5ごとにテストパターンをプリンター1に印刷させ、画質評価を行い、また、裏刷り・カラーモードにて印刷パターン1〜5ごとにテストパターンをプリンター1に印刷させ、画質評価を行う。検査者は、その画質評価に基づいて、表刷り・カラーモードの最適な印刷パターンと裏刷り・カラーモードの最適な印刷パターンを決定する。そうすると、プリンター1の製造工程の処理が煩雑となり、最適な印刷パターンを決定するための検査時間に長い時間を要することになる。
【0060】
そこで、本実施形態のプリンター1では、カラーモードでカラー画像を印刷するための使用ノズル(ノズルの位置・数)と、白使用モードでカラー画像を印刷するための使用ノズル(ノズルの位置・数)を同じにする。更に、「表刷り・カラーモード」でカラー画像を印刷するための使用ノズルと、「表刷り・白使用モード」でカラー画像を印刷するための使用ノズル(#1〜#7)を等しくし、「裏刷り・カラーモード」でカラー画像を印刷するための使用ノズルと、「裏刷り・白使用モード」でカラー画像を印刷するための使用ノズル(#8〜#14)を等しくする。
【0061】
そうすることで、「表刷り・カラーモード」におけるカラー画像の印刷パターンと、「表刷り・白使用モード」におけるカラー画像の印刷パターン(使用ノズルや媒体搬送量、1つのラスターラインを形成するノズル数)を同じにすることができ(違いは背景画像の有無だけとなり)、また、「裏刷り・カラーモード」におけるカラー画像の印刷パターンと、「裏刷り・白使用モード」におけるカラー画像の印刷パターンを同じにすることができる。よって、「表刷り・白使用モード」のテストパターン結果により決定した最適な印刷パターンを、「表刷り・カラーモード」における最適な印刷パターンとして採用することができ、「裏刷り・白使用モード」のテストパターン結果により決定した最適な印刷パターンを、「裏刷り・カラーモード」における最適な印刷パターンとして採用することができる。
【0062】
つまり、本実施形態のプリンター1では、「表刷り・カラーモード」の印刷パターンと「表刷り・白使用モード」の印刷パターンを同じにし、また、「裏刷り・カラーモード」の印刷パターンと「裏刷り・白使用モード」の印刷パターンを同じにする。その結果、製造工程において、プリンター1にカラーモードで印刷パターン1〜5ごとにテストパターンを印刷させる必要がなくなり、また、テストパターン結果を評価する必要が無くなるので、製造工程の処理を簡略化することができる。
【0063】
図13は、プリンター1のメモリー13に記憶する印刷パターンテーブルである。プリンター1の製造工程において、各画質レベル1〜3に対して、表刷り・白使用モードの最適な印刷パターンが決定し(図7の結果によれば画質レベル2に対して印刷パターン5が採用され)、裏刷り・白使用モードの最適な印刷パターンが決定する(印刷パターン3が採用される)。なお、印刷パターンテーブルには、各モードに対して設定された印刷パターンを実施するために必要な情報(使用ノズル、媒体搬送量、1つのラスターラインを複数のノズルで印刷する際の画素の分配方法など)が記憶されている。
【0064】
本実施形態では、「表刷り・カラーモード」と「表刷り・白使用モード」にて同じ印刷パターンを採用するため、表刷り・カラーモードおよび表刷り・白使用モードに対して共通な情報が記憶される。同様に、「裏刷り・カラーモード」と「裏刷り・白使用モード」にて同じ印刷パターンを採用するため、裏刷り・カラーモードおよび裏刷り・白使用モードに対して共通な情報が記憶される。なお、白使用モードでは背景画像を印刷するのに対してカラーモードでは背景画像を印刷しないため、白使用モードでは白ノズルも使用ノズルとするが、カラーモードでは白ノズルを使用ノズルとしないことも記憶されている。
【0065】
このように、表刷り・カラーモード、及び、表刷り・白使用モードを同じ印刷パターンとし、その印刷パターンを実施するための情報を共通の情報として記憶し、また、裏刷り・カラーモード、及び、裏刷り・白使用モードを同じ印刷パターンとし、その印刷パターンを実施するための情報を共通の情報として記憶することで、メモリー13の記憶容量も抑えることができる。
【0066】
また、白使用モードでカラー画像を印刷するノズルおよび印刷パターンと、カラーモードでカラー画像を印刷するノズルおよび印刷パターンを同じにすることで、白使用モードによる本番の印刷前に、カラーモードにてカラー画像を印刷し、カラー画像の画質を確認することができる。白使用モードとカラーモードで同じカラーノズルを使用するため、例えば、カラーモードで印刷した結果、吐出不良を発生するカラーノズルが確認された場合には、そのカラーノズルをクリーニングしてから本番の印刷を実施することができ、また、カラー画像の色味なども調整できる。白インクはカラーインクに比べて価格が高い傾向にあるため、本番前にカラーモードでカラー画像の画質を確認することで白インクの消費を抑えることができる。また、その際に、本番の白使用モードでは透明媒体を使用するところを、白色の媒体にカラーモードでカラー画像を印刷してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、カラーモードと白使用モードの印刷パターンを共通化するために、カラーモードにおいても白使用モードと同様に、カラーノズル列Coの半分のノズルを使用ノズルとしている。ところで、プリンター1では、ヘッド41に対して搬送方向上流側に搬送ローラーが設けられ、搬送方向下流側に排紙ローラーが設けられる(不図示)。媒体の中央部に対して印刷が実施される際には、この2つのローラーに媒体が挟持された状態で印刷が実施される。この時、媒体を下から支えるプラテンから媒体が浮いてしまうことが抑制される。しかし、上端印刷時には媒体が搬送ローラーにしか挟持されず、下端印刷時には媒体が排紙ローラーにしか挟持されない状態となる。この時、媒体はプラテンから浮き易く、ヘッド41のノズル面から媒体まで距離(プラテンギャップ)がノズル列方向で変動する虞があり、そうするとドット着弾位置がずれてしまう。このとき、ノズル列を長く使用するほどプラテンギャップの変動量が大きくなる。ゆえに、本実施形態のように、カラーモードにおいても白使用モードと同様に、カラーノズル列Coの半分のノズルを使用ノズルとすることで、上端・下端印刷時におけるプラテンギャップの変動量を小さくすることができ、ドット着弾位置のずれも抑制できる。また、媒体が一方のローラーだけで挟持される時のプラテンギャップの変動に対するドット着弾位置ずれを補正する調整値を有するプリンター1であったとする。この場合、カラーモードおよび白使用モードで使用するカラーノズルを同じにすることで、プラテンギャップの変動に対するドット着弾位置ずれの調整値を共通化することができる。
【0068】
また、本実施形態では、各画質レベル1〜3の最適な印刷パターンを決定するために、白使用モードでテストパターンを印刷し、背景画像と重ねられたカラー画像の画質評価を行っている。即ち、白使用モードで最適な印刷パターンをカラーモードで採用する。ただし、これに限らず、カラーモードで印刷されたカラー画像を評価し、カラーモードで最適な印刷パターンを白使用モードで採用してもよい。白インクはカラーインクに比べて値段が高い傾向にあるため、カラーモードでテストパターンを印刷し最適な印刷パターンを決定することで、製造工程の処理を低コスト化できる。また、例えば、カラーモードよりも白色モードの方が、使用頻度が高い傾向がある場合には、白色モードでテストパターンを印刷して最適な印刷パターンを決定するというように、使用頻度の多いモードの方で最適な印刷パターンを決定してもよい。
【0069】
また、本実施形態のプリンター1は、白使用モードおよびカラーモードにおいて、それぞれ表刷りモードと裏刷りモードを有しているが、これに限らない。表刷りモードと裏刷りモードのうちのいずれか一方のモードだけを有していてもよい。例えば、表刷りモードだけを有する場合には、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と表刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通にするとよい。
【0070】
また、カラーモードでは使用ノズルの位置規制がないため、カラーモードの印刷パターンを、表刷り・白使用モードの印刷パターンにしてもよく、裏刷り・白使用モードの印刷パターンにしてもよい。よって、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を、裏刷りおよび表刷りの両カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)に採用することもでき、逆に、裏刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を、裏刷りおよび表刷りの両カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)に採用することもできる。ただし、前述のように、表刷りと裏刷りでは、画素が異なるため、カラーモード(表刷り・裏刷りの両モード)で使用するカラーノズルを、搬送方向上流側半分のノズル(裏刷り・白使用モードのノズル)か、又は、搬送方向下流側半分のノズル(表刷り・白使用モードのノズル)の何れかに設定してしまうと、カラーモードの表刷り・裏刷りのうちの一方が他方に比べて画質が下がってしまう可能性がある。また、カラーノズルの使用頻度に偏りが生じ、カラーノズル列Coの寿命を短くする虞がある。そのため、本実施形態では、表刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と表刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通化し、裏刷り・白使用モードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)と裏刷り・カラーモードの印刷パターン(カラーの使用ノズル)を共通化する。
【0071】
また、本実施形態のプリンターでは、図13に示すように3つの画質レベル1〜3にて印刷を可能としているが、これに限らず、1つの画質レベルだけで印刷するプリンターでもよい。また、白使用モードにおいて、例えば、図5や図6に示すように、背景画像を印刷する白ノズル数とカラー画像を印刷するカラーノズル数を同数とし印刷パターンも同じとしているが、これに限らない。背景画像を印刷する白ノズル数よりもカラー画像を印刷するカラーノズル数を多くしてもよい。背景画像はカラー画像に比べて高画質に印刷する必要がないため、背景画像用のノズル数が少なくなった分だけ搬送方向の印刷解像度を低くするとよい。また、カラーノズル列Coのカラー画像用の使用ノズルとホワイトノズル列Wの背景画像用の使用ノズルの間に不使用ノズルを設けても良い。そうすることで、媒体の所定領域に対して2つの画像を印刷する間に、インクが吐出されないパスを設けることができ、乾燥時間をより長く確保できる。その結果、インクの滲みを抑制できる。更に、搬送方向の長さが搬送量の整数倍の長さである領域に属するノズル数分だけ不使用ノズルにすることで、画像全域において乾燥時間を一定にすることができる(媒体の位置によらずに不使用ノズルと対向するパス数が一定となる)ため、画像の濃度むらを抑制できる。
【0072】
本実施形態では、画質レベル2の印刷候補として5種類の印刷パターン1〜5を示している。印刷パターン1〜4(図8〜図11)は搬送方向の印刷解像度が一定であるが、印刷パターン5は印刷パターン1〜4に比べて搬送方向の印刷解像度が高い。即ち、本実施形態では、印刷解像度が異なっても印刷パターン1〜4と印刷パターン5は同程度の画質レベルで印刷されるため、同じ画質レベル2における候補の印刷パターンとして印刷パターン5も含んでいる。ただし、印刷解像度が異なると大きく画質が変わる場合があり、また、プリンタードライバーにおいて印刷モード(きれいモード・はやいモード)に応じて(即ち、同じ画質レベルにて)印刷解像度を固定している場合がある。このような場合には、同じ画質レベルにおける候補の印刷パターンの中に印刷解像度の異なる印刷パターン(ここでは印刷パターン5)を含まないようにするとよい。
【0073】
===印刷実施例===
プリンタードライバーは、ユーザーから印刷指令を受信すると、「白使用モード」で印刷するのか、それとも「カラーモード」で印刷するのかを判断し、また、「表刷りモード」で印刷するのか、それとも「裏刷りモード」で印刷するのかを判断する。その後、プリンタードライバーは、判断した印刷モードに応じて、プリンター1が画像を印刷するための印刷データを作成する。その後、プリンタードライバーは、作成した印刷データと共に、コマンドデータ(印刷モードや媒体の種類など)をプリンター1に送信する。プリンター1のコントローラー10内の印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの情報をもとに、メモリー13に記憶されている印刷パターンテーブル(図13)を参照し、印刷モードに応じた印刷パターンを設定する。そうして、コントローラー10は、設定された印刷パターンに応じた搬送量や使用ノズルにて印刷が実施されるように、各ユニット(搬送ユニット20やヘッドユニット40など)を制御する。よって、プリンター1のコントローラー10が制御部に相当し、プリンター1が流体噴射装置に相当する。以下、印刷パターン設定部141が印刷モードに応じて画質レベル2における印刷パターンを設定する流れを説明する。
【0074】
<実施例1>
図14は、実施例1の印刷パターンの設定フローを説明する図である。印刷パターン設定部141は、まず、画質レベルを判断する(不図示)。次に、印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの印刷モードの情報(コマンドデータ)に基づき、白使用モードで印刷するか否かを判断する(S001)。白使用モードである場合(S001→Y)、印刷パターン設定部141は表刷りモードか否かを判断する(S002)。表刷りモードである場合(S002→Y)、印刷パターン設定部141は、図13の印刷パターンテーブル(画質レベル2のデータ)を参照し、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定する(S003)。表刷りモードでない場合(S002→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定する(S004)。なお、白使用モードの場合には、カラーの使用ノズルおよび白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。
【0075】
一方、最初に、白使用モードでないと判断した場合(S001→N)、印刷パターン設定部141は次に表刷りモードか否かを判断する(S005)。表刷りモードである場合(S005→Y)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定する(S007)。ただし、白の使用ノズル(W:#8〜#14)からはインク滴を噴射させない。表刷りモードでない場合(S005→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定する(S006)。ただし、白の使用ノズル(W:#1〜#7)からはインク滴を噴射させない。
【0076】
こうすることで、プリンター1は各印刷モードに適した印刷パターン(使用ノズル)にて印刷を実施する事ができる。即ち、表刷りモードでは、搬送方向下流側のカラーノズル(#1〜#7)を使用するのに適した印刷パターンが設定され、裏刷りモードでは、搬送方向上流側のカラーノズル(#8〜#14)を使用するのに適した印刷パターンが設定される。その結果、画質が良く、且つ、印刷速度の速い印刷パターンにて印刷を実施することができる。
【0077】
なお、プリンタードライバーが、ユーザーから印刷指令を受信した際に、ユーザーに、その都度、印刷モードを選択させるに限らない。例えば、印刷モードはデフォルト設定されており、ユーザーが必要に応じて印刷モードを変更可能にしてもよい。また、プリンタードライバーが印刷データを受信した時に印刷パターン設定部141が印刷モードを設定し、プリンタードライバーは印刷パターン設定部141が設定した印刷モードに応じて印刷データを作成してもよいし、プリンター1のコントローラー10が印刷モードを設定し印刷データを作成してもよい。また、図14のフローに従いデフォルトとして設定された印刷パターン(使用ノズル)を、ユーザーが変更可能にしてもよい(例えば、図14のS007で表刷り・白使用モードの印刷パターンが設定された後に、ユーザーが裏刷り・白使用モードの印刷パターンに変更可能としてもよい)。
【0078】
また、プリンタードライバーが、印刷モードに応じて、プリンター1のメモリー13に記憶されている印刷パターンテーブル(図13)を参照し、印刷パターンを設定してもよい。この場合、プリンタードライバーがインストールされたコンピューター60が制御部に相当し、コンピューター60とプリンター1が接続された印刷システムが流体噴射装置に相当する。
【0079】
また、図14のフローに限らない。例えば、印刷パターン設定部141が白使用モードか否かの判断をした結果、カラーモードである場合(S001→N)、印刷パターン設定部141は表刷りモードと判断してもよい。裏刷りモードで印刷する場合、媒体は透明となり、カラー画像と共に背景画像を印刷しないと反対側が透けてしまう。そのため、印刷パターン設定部141は、カラーモードである場合には(背景画像を印刷しない場合には)、透明媒体でないため表刷りモードで印刷すると判断し、自動的に印刷パターン5に設定してもよい。この場合、プリンタードライバーにも、ユーザーに白使用モード又はカラーモードを選択させた後、カラーモードが選択された場合には優先的に表刷りモードで印刷すると判断させるようにするとよい。
【0080】
また、図14のフローでは、印刷パターン設定部141が先に白使用モードであるか否かを判断しているが、これに限らず、表刷りモードか否かを先に判断させてもよい。更に、この場合に、印刷パターン設定部141が、先に裏刷りモードであると判断した場合には、媒体が透明であり反対側が透けてしまう虞があるため、白使用モードであると判断してもよい。逆に、印刷パターン設定部141が、先に表刷りモードであると判断した場合には、透明媒体である可能性が低く、背景画像を印刷する必要がないため、カラーモードであると判断してもよい。また、印刷パターン設定部141が、先に表刷りモードであると判断した場合に、印刷媒体が透明メディアであれば白使用モードであると判断し、印刷媒体が不透明メディアであればカラーモードであると判断してもよい。更に、印刷パターン設定部141が、表刷りモードの不透明媒体への印刷であると判断した場合に、印刷媒体が白色であればカラーモードであると判断し、印刷媒体が白色でなければ白使用モードであると判断してもよい。これらの場合にも、プリンタードライバーに、印刷パターン設定部141と同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0081】
<実施例2>
図15は、実施例2の印刷パターンの設定フローを説明する図である。印刷パターン設定部141は、まず、画質レベルを判断する(不図示)。次に、印刷パターン設定部141は、プリンタードライバーからの情報に基づき、印刷媒体が不透明媒体であるか否かを判断する(S101)。不透明媒体である場合(S101→Y)、裏刷りモードで印刷することは出来ないため表刷りモードに決定し、印刷パターン設定部141は白使用モードか否かを判断する(S102)。白使用モードである場合(S102→Y)、印刷パターン設定部141は、図13の印刷パターンテーブル(画質レベル2のデータ)を参照し、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S103)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。白使用モードでない場合(S102→N)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S104)、カラーの使用ノズルのみからインク滴を噴射させ、白の使用ノズルからはインク滴を噴射させない。なお、プリンター1にセンサーを設け、センサーによって印刷媒体の種類を判別してもよい。
【0082】
一方、最初に、印刷媒体が不透明媒体でないと判断した場合(S101→N)、印刷パターン設定部141は、反対側が透けてしまわないように白使用モードに決定し、表刷りモードか否かを判断する(S105)。表刷りモードである場合(S105→Y)、印刷パターン設定部141は、表刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン5に設定し(S107)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。裏刷りモードである場合(S105→N)、印刷パターン設定部141は、裏刷り・白使用モードのテストパターン結果により決定した印刷パターン3に設定し(S106)、カラーの使用ノズル及び白の使用ノズルの両方からインク滴を噴射させる。
【0083】
こうすることで、プリンター1は各印刷モードに適した印刷パターンにて印刷を実施する事ができ、画質が良く、且つ、印刷速度の速い印刷パターンにて印刷を実施することができる。また、媒体の種類に応じて印刷モードを判断するため印刷モードの判断の仕方が容易となり、透明媒体の場合には必ず白使用モードが選択されるため、カラー画像の反対側が透けてしまうことを防止できる。なお、プリンタードライバーが印刷モードを判断する場合にも、図15のフローと同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0084】
ただし、図15のフローに限らない。例えば、不透明媒体の場合(S101→Y)、反対側が透けないため、印刷パターン設定部141はカラーモードに決定してもよい。また、不透明媒体の場合(S101→Y)、不透明媒体が白色か否かを判断し、印刷パターン設定部141は、媒体が白色の場合には背景画像を印刷する必要がないためカラーモードに決定し、媒体が白色でない場合には背景画像を印刷する方がカラー画像の発色性が良くなるため白使用モードに決定してもよい。また、不透明媒体でなく透明媒体である場合(S101→N)、印刷パターン設定部141は裏刷りモードに決定してもよい。これらの場合にも、プリンタードライバーに、印刷パターン設定部141と同様の印刷モードの判断の仕方をさせるとよい。
【0085】
===画像の変形例について===
ここまで、白インクとカラーインクを使用して白色の色味を調整した背景画像を例に挙げているが、これに限らない。白インクだけを用いて印刷した背景画像であっても良い。しかし、この場合、白インクの色そのものの色である背景画像しか印刷することが出来ない。そのため、所望の色の背景画像を印刷することが出来なかったり、背景画像の色と媒体の地色の差が目立ってしまったりする。よって、高品質の背景画像を印刷することが出来ない。以下、白インクだけで背景画像を印刷する場合の印刷例を示す。
【0086】
図16は、表刷り・白使用モードの印刷例を示す図であり、図17は、裏刷り・白使用モードの印刷例を示す図である。図では説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数を14個に減らして描く。また、4色インク(YMCK)を各々噴射するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co(第1ノズル列に相当)」と示す。図16および図17はバンド印刷を示す。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。
【0087】
図16の表刷り・白使用モードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その上にカラー画像を印刷する。そのため、ホワイトノズル列W(第2ノズル列に相当)の搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・△)を、背景画像を印刷するための使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・●)を、カラー画像を印刷するための使用ノズルとする。なお、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)、及び、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14)からはインクが噴射されない。また、図16はバンド印刷であるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される画像の搬送方向の幅長さに相当する。白使用モードでは1回のパスで2種類の画像が形成されるため、1回の媒体搬送量は、1回のパスで形成される背景画像またはカラー画像の搬送方向の幅長さに相当する。よって、図16では1回の媒体搬送量がノズル列の半分の長さ(7個のノズル分長さ)「7D」となる。
【0088】
つまり、表刷り・白使用モードでは、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズルとカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズルで画像を形成する動作と、媒体を搬送量7Dだけ搬送する動作と、を繰り返す。その結果、媒体の所定領域はまずホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域には背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はカラーノズル列Coの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域の背景画像上にカラー画像が印刷される。
【0089】
逆に、裏刷り・白使用モードでは、図17に示すように、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7・△)を、背景画像を印刷する使用ノズルとし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14・●)を、カラー画像を印刷する使用ノズルとする。なお、1回の媒体搬送量はノズル列の半分の長さ7Dである。その結果、媒体の所定領域はまずカラーノズル列Coの搬送方向上流側の使用ノズル(#8〜#14)と対向し、媒体の所定領域にはカラー画像が印刷される。その後、媒体が搬送方向下流側に搬送されることによって、媒体の所定領域はホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の使用ノズル(#1〜#7)と対向し、媒体の所定領域のカラー画像上に背景画像が印刷される。
【0090】
また、前述の実施形態では、4色のカラーインク(YMCK)だけでカラー画像を印刷しているが、これに限らない。例えば、4色のカラーインクと共に白インクを用いてカラー画像を印刷するとよい。この場合、前述の図5に示す表刷り・白使用モードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#7)を用いてカラー画像を印刷する。一方、前述の図6に示す裏刷り・白使用モードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#8〜#14)を用いてカラー画像を印刷する。このように、カラー画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置とカラー画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルの搬送方向の位置とを揃える。そうすると、カラー画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスでカラーインクと白インクが噴射される。このように、カラーインクに白インクを加えてカラー画像を印刷することで、高明度、且つ、高彩度の色を再現した画像を印刷することができる。
【0091】
なお、カラーインクに白インクを加えたカラー画像を印刷する場合にも、カラーモードと白使用モードにおいて、そのカラー画像を印刷するために使用するノズル(カラーノズル及び白ノズル)を同じにするとよい。そして、カラーモード又は白使用モードの一方のモードにおいて、そのカラー画像を印刷するために最適な印刷パターンを決定し、他方のモードにおいても、その決定した印刷パターンにてカラー画像を印刷するとよい。
【0092】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷パターンの設定等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0093】
<印刷パターンの設定について>
前述の実施形態では、白使用モードで使用するカラーノズルとカラーモードで使用するカラーノズルを等しくし、白使用モードで決定した最適な印刷パターンをカラーモードの印刷時にも適用し、プリンター1の製造工程の処理を簡略化しているが、これに限らない。例えば、プリンター1が1種類の印刷パターン(例:図5や図6のバンド印刷)を実施すると決定している場合であっても、白使用モードで使用するカラーノズルとカラーモードで使用するカラーノズルを等しくするとよい。仮に、白使用モードではカラーノズル列Coの半分のノズルを使用し、カラーモードではカラーノズル列Coの全ノズルを使用するとした場合、バンド印刷では、白使用モードの搬送量はカラーノズル列Coの半分の長さに相当し、カラーモードの搬送量はカラーノズル列Coの全域の長さに相当する。このように、1回の媒体搬送量が異なると、搬送特性も異なる(例えば、搬送誤差の生じ方が異なる)。そのため、プリンター1の製造工程において、カラーモードに応じた搬送制御(例えば搬送量補正値)と白使用モードに応じた搬送制御を決定する必要があり、製造工程の処理が煩雑化する。更に、カラーモードに応じて決定した搬送制御と白使用モードに応じて決定した搬送制御を、プリンター1のメモリー13に記憶しなければならず、メモリー容量が増加してしまう。そのため、印刷パターンが固定されているプリンターであっても、白使用モードとカラーモードとで使用するノズルを共通化するとよい。
【0094】
また、複数の印刷パターンの中から各プリンター1に最適な印刷パターンを選択する工程を行わなくてもよく、予め1つの印刷パターンのみが設定されていてもよい。また、白使用モードの印刷パターンとカラーモードの印刷パターンを異ならせてもよい。この場合でも、白使用モードとカラーモードでカラー画像を印刷するノズルを共通にすることで、カラー画像を印刷するノズルの特性が同じになるため、両モードのカラー画像の画質を同等にすることができる。例えば、カラー画像を印刷するノズルの中に不良ノズルを含めないことで、両モードのカラー画像の品質を向上させることができる。また、特に、両モードの印刷パターンを共通化することで、両モードのカラー画像の画質を同等にすることができる。
【0095】
<背景画像について>
前述の実施形態では、白インクによって背景画像を印刷するとしているがこれに限らず、白以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、背景画像を白インクのみによって印刷するに限らず、白インクと他のカラーインクを混ぜて、白色の色味を調整した背景画像を印刷してもよい。また、4色インク(YMCK)に白インクを加えてカラー画像を印刷してもよい。この場合においても、カラーモードでカラー画像を印刷するノズルと、白使用モードでカラー画像を印刷するノズルを等しくするとよい。
【0096】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41を移動方向に移動しながら単票紙に画像を形成する動作と、ヘッドに対して単票紙を移動方向と交差する搬送方向に搬送する動作と、を繰り返すプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、(複数の)ヘッド41を有するヘッドユニット40を媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドユニット40を紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0097】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンター(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、ノズルからの流体噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて圧力室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
また、ヘッド41から噴射するインクは、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化型インクであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 プリンター、10 コントローラー、
11 インターフェース部、12 CPU、13 メモリー、
14 ユニット制御回路、141 印刷パターン設定部、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、
31 キャリッジ、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピューター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、
第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、
前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、
前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、
前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、
を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、
画像形成側から視認する画像を前記媒体に形成する第1の方法と、前記画像形成側の反対側から視認する画像を前記媒体に形成する第2の方法のうちの、何れか一方の方法にて、前記媒体に画像を形成させ、
前記第1の方法にて画像を形成させる場合には、
前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の他方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、
前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させ、
前記第2の方法にて画像を形成させる場合には、
前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記他方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の前記一方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、
前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであり、
前記第1モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じである、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項2から請求項3の何れか一項に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、
前記第1の方法が選択された場合に前記第1モードにて前記媒体に画像を形成させるか、又は、
前記第1モードが選択された場合に前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の流体噴射装置であり、
前記制御部は、前記媒体が不透明媒体である場合に、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れか一項に記載の流体噴射装置であり、
前記第1の方法にて所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合と、前記第2の方法にて前記所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合とにおいて、ドット形成方法が異なる、
流体噴射装置。
【請求項7】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードにて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードにて前記主画像を形成するドット形成方法が同じである、
流体噴射装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像を形成する前記第2ノズル列のノズル群と前記所定方向の位置が同じである前記第1ノズル列のノズルも使用して、前記背景画像を形成する、
流体噴射装置。
【請求項9】
第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列及び第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返す流体噴射装置の流体噴射方法であり、
前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードを設定し、設定したモードに応じて前記媒体に画像を形成し、
前記第1モードにて前記主画像を形成する場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成し、
前記第2モードにて前記主画像を形成する場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成することを、
特徴とする流体噴射方法。
【請求項1】
第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、
第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返させる制御部であり、
前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの、何れか一方のモードにて、前記媒体に画像を形成させ、
前記第1モードにて前記主画像を形成させる場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成させ、
前記第2モードにて前記主画像を形成させる場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成させる制御部と、
を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、
画像形成側から視認する画像を前記媒体に形成する第1の方法と、前記画像形成側の反対側から視認する画像を前記媒体に形成する第2の方法のうちの、何れか一方の方法にて、前記媒体に画像を形成させ、
前記第1の方法にて画像を形成させる場合には、
前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の他方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、
前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させ、
前記第2の方法にて画像を形成させる場合には、
前記第2モードにて、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記他方向側に位置する一部のノズル群により前記主画像を形成させ、当該主画像を形成させるノズル群よりも前記所定方向の前記一方向側に位置する前記第2ノズル列の一部のノズル群により前記背景画像を形成させ、
前記第1モードにて、前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成させる前記第1ノズル列のノズル群と同じノズル群を用いて、前記主画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第1の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じであり、
前記第1モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードであり前記第2の方法にて前記主画像を形成するドット形成方法が同じである、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項2から請求項3の何れか一項に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、
前記第1の方法が選択された場合に前記第1モードにて前記媒体に画像を形成させるか、又は、
前記第1モードが選択された場合に前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の流体噴射装置であり、
前記制御部は、前記媒体が不透明媒体である場合に、前記第1モードであり前記第1の方法にて前記媒体に画像を形成させる、
流体噴射装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れか一項に記載の流体噴射装置であり、
前記第1の方法にて所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合と、前記第2の方法にて前記所定の画質レベルである画像を前記媒体に形成する場合とにおいて、ドット形成方法が異なる、
流体噴射装置。
【請求項7】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードにて前記主画像を形成するドット形成方法と前記第2モードにて前記主画像を形成するドット形成方法が同じである、
流体噴射装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像を形成する前記第2ノズル列のノズル群と前記所定方向の位置が同じである前記第1ノズル列のノズルも使用して、前記背景画像を形成する、
流体噴射装置。
【請求項9】
第1の流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列及び第2の流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列と媒体の相対位置を前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる噴射動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方向に相対移動させる移動動作と、を繰り返す流体噴射装置の流体噴射方法であり、
前記第1の流体による主画像を前記媒体に形成する第1モードと、前記主画像と前記第2の流体による背景画像とを重ねて前記媒体に形成する第2モードのうちの何れか一方のモードを設定し、設定したモードに応じて前記媒体に画像を形成し、
前記第1モードにて前記主画像を形成する場合には前記第1ノズル列のうちの或るノズル群を用いて前記主画像を形成し、
前記第2モードにて前記主画像を形成する場合には前記或るノズル群と同じノズル群を用いて前記主画像を形成することを、
特徴とする流体噴射方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−143704(P2011−143704A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86402(P2010−86402)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]