説明

流体圧力センサ

【課題】測定対象である流体が滞留せず、コンタミの発生も抑制され、かつ、その内部を測定対象の流体が流れる管の径を自由に選択することができる流体圧力センサを提供する。
【解決手段】内部を流体が流通可能な管と板状の圧電素子を有する感圧部とを備え、前記管の内部を流れる流体の圧力を感知する圧力センサであって、前記管は、弾性変形可能な材料からなり、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部を有しており、前記感圧部は、前記圧電素子がその先端の側周面から前記流体の圧力を受けるように、その先端部が前記凹部の近傍において前記管の外表面と接しているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、測定対象である流体が滞留せず、コンタミの発生も抑制され、かつ、その内部を測定対象の流体が流れる管の径を自由に選択することができる流体圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管内を流れる気体や液体等の流体の圧力を測定するために使用される圧力センサとしては、半導体ダイヤフラム型、静電容量型、弾性体ダイヤフラム型、圧電型等が一般的に用いられる。これら従来の圧力センサには、通常、導圧部と称される測定対象の流体をセンサ内に導き入れるための導入孔又は導入管が設けられている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながら、測定対象の流体が粘性を有する液体である場合、これらの導入孔等が詰まりやすく、また、これらの導入孔等で液体が滞留して残渣等に由来する付着物が発生し、当該付着物が剥がれおちて管内を下流に流れ、この付着物により下流が汚染(コンタミ)されることがある。また、ダイヤフラム型の圧力センサの場合、ダイヤフラムの保持機構の凹凸に起因して、センサ内に滞留が発生することもある。
【0004】
更に、従来の圧力センサは細管に取り付けることが困難であるという共通した欠点を有する。例えば、チューブ径1/4インチや3/8インチ程度の細いチューブが使用された場合は、別途、接続用の管を用いずに従来の圧力センサを設置することは困難であり、異なる径の管同士を接続する必要が生じる。しかしながら、異なる径の管同士を接続すると必ずデッドスペースが生じ、このデッドスペースにおいても滞留が発生しコンタミの原因となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−74767
【特許文献2】特開2001−116638
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、測定対象である流体が滞留せず、コンタミの発生も抑制され、かつ、その内部を測定対象の流体が流れる管の径を自由に選択することができる流体圧力センサを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る流体圧力センサは、内部を流体が流通可能な管と板状の圧電素子を有する感圧部とを備え、前記管の内部を流れる流体の圧力を感知する圧力センサであって、前記管は、弾性変形可能な材料からなり、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部を有しており、前記感圧部は、前記圧電素子がその先端の側周面から前記流体の圧力を受けるように、その先端部が前記凹部の近傍において前記管の外表面と接していることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、その内部を測定対象である流体が流れる管は、弾性変形可能な材料からなり、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部を有しているので、前記凹部は内部を流れる流体の圧力を受けて伸縮し、その近傍が弾性変形する。そして、前記凹部の近傍において前記管の外表面と接している前記感圧部の先端部には当該圧力が伝わり、前記感圧部に備わった前記圧電素子がその先端の側周面から当該圧力を受けて、前記流体の圧力を感知することができる。このため、管2内の流体を感圧部3内に導入する導入穴や導入管は不要であり、測定対象である流体が流れる管の内表面は平坦であって凹凸がないので、デッドスペースが生じない。しかして、測定対象である流体は前記管内で滞留せず、流体の残渣等に由来するコンタミも発生しない。加えて、前記管内の洗浄も容易となる。
【0009】
また、前記感圧部は、その先端部と前記管の外表面とが接することにより、前記圧電素子の先端の側周面から圧力を受けるものであるので、圧電素子の振動面から圧力を受ける従来の圧力センサに比べて、取り付けに要するスペースが少なくて済み、前記管が細管であってもよく、その径を自由に設定することができるため、接続対象の管に適合する径の管を適宜選択することができる。
【0010】
そして、圧電素子の輪郭方向に未知の圧力をかけた場合、動作周波数変動量を計測すれば、圧電素子の輪郭方向に加えられた圧力を導き出すことができる。しかも、圧電素子が水晶振動子である場合、7桁程度の周波数が容易に計測できるので、これに作用する圧力の計測精度を10−7以上とすることも可能である。
【0011】
また、従来からある天秤に比し、高分解能であることはもちろんのこと、更に高安定度と高精度化が容易に得られる。
【0012】
更に、本発明では、圧力を受けるために圧電素子の振動面を使用していないので、振動特性に影響を与えずに生じた応力を測定することができる。また、圧電素子の振動面は機械的強度が弱いのに対して、輪郭方向の機械的強度は非常に強いので、圧電素子の振動面から圧力を受ける従来の圧力センサに比べて、前記感圧部の耐加重が大幅に増加し、極めて優れた耐圧性を有するものとなる。
【0013】
前記圧電素子は、精度の高い発振周波数が安定して得られることより、水晶振動子であるのが好ましい。
【0014】
前記感圧部としては、その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能であり、前記圧電素子の先端の側周面に対向する頭部が薄膜状である筐体を備えているものが好適に用いられる。
【0015】
前記圧電素子の先端の側周面に圧力が加わった際に、前記圧電素子が移動してしまうと圧力が充分に伝わらない。このため、前記圧電素子が移動することを防ぐために、前記圧電素子は、その基端にオリエンテーションフラット(以下、オリフラという。)が形成されている円盤状のものであって、当該基端が保持台に保持されていることが好ましい。
【0016】
前記筐体としては、例えば、前記圧電素子の先端の側周面に対向して設けられた薄膜状のシール部材と、前記シール部材とともに、その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能な容器を構成する筐体本体と、から構成され、前記筐体本体には、スリットが設けられていて、前記スリットから前記圧電素子の先端が突出しており、前記スリットを覆うように前記シール部材が取り付けられているものが挙げられる。このようなものであれば、前記シール部材を介して前記圧電素子の先端の側周面に圧力が加わった際に、前記圧電素子が移動することを、前記スリットが前記保持台とともに防ぐことができ、かつ、前記筐体の内部空間を気密に保つことが容易である。
【0017】
前記シール部材は、容易に変形可能で圧力が損失せずに伝わり易く、前記圧電素子の鋭利な端縁と接触しても破損しにくい強度を有し、筐体内部を気密に維持することが容易であることより、金属薄膜であるのが好ましい。
【0018】
上述の構成の感圧部は、圧電素子が筐体内に密閉してあり、外部環境の変化による影響を直接受けないので、長期にわたり信頼性を確保することができるが、短期間使用できればよい場合、前記感圧部はより簡易な構成であってもよく、このような感圧部としては、前記圧電素子の先端に嵌合されたキャップ部材を備えているものが挙げられる。
【0019】
前記感圧部を長期にわたる使用にも耐えうる耐候性に優れたものとするためには、その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能な筐体を備えており、前記筐体の頭部には、その先端に押圧部を有し、内部が筐体の内部空間と連通している管が設けてあり、前記管内にはその基端が前記キャップ部材に固定されている棒状体が挿入されているようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明によれば、測定対象である流体は管内で滞留せず、コンタミの発生も抑制される。また、前記管は細管であってもよく、その径を自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体圧力センサの正面図(a)及び側面図(b)(管部分は断面図)。
【図2】同実施形態における管の平面図(a)及び断面図(c)。
【図3】同実施形態における感圧部の正面図(a)、平面図(b)及び側面図(c)。
【図4】同実施形態に係る流体圧力センサの性能を評価するための装置の構成図。
【図5】流体圧力と発振周波数との関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態における感圧部の正面図(a)及びキャップ部材の側面図(b)。
【図7】本発明の第3の実施形態における感圧部の正面図(a)及び押圧部近傍の断面図(b)。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る流体圧力センサの正面図(a)(管部分は断面図)及び斜視図(b)。
【図9】他の実施形態に係る流体圧力センサの模式的平面図(a)及び側面図(b)。
【図10】第1の実施形態におけるシール部材がケース状のものである場合を示す斜視図(取り付け前(a)及び取り付け後(b))。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る流体圧力センサ1は、図1、図2及び図3に示すように、内部を流体が流通可能な管2と、板状の圧電素子31を有する感圧部3と、を備えており、管2の内部を流れる流体の圧力を感知するものである。
【0024】
以下に各部を説明する。管2は、その内部を流体が流通可能なものであって、弾性変形可能な材料からなり、図2に示すように、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部21を有するものである。本実施形態において凹部21は環状をなしており、凹部21に囲まれた凸部22に感圧部3の先端3aが接するように構成してある。凹部21の大きさは、例えば、管2が内径4.35mm、外径6.35mm、管厚1mmであり、W1が12mmである場合は、W2が16〜18mmであり、H1が2mmである場合は、H2が6〜8mmである。また、管2が内径7.53mm、外径9.53mm、管厚1mmであり、W1が12mmである場合は、W2が16〜20mmであり、H1が4mmである場合は、H2が8〜12mmである。管2の内表面及び凸部22の頭頂は平坦であり凹凸は形成されていない。
【0025】
なお、感圧部3の先端3aが、管厚が厚い凸部22に接するように構成してあることにより、圧電素子31の堅硬で鋭利な先端31aにより押圧されても管2が損傷を受けにくい。
【0026】
管2を構成する弾性変形可能な材料としては、耐薬品性の高い材料が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂が好適に用いられる。
【0027】
感圧部3は、図3に示すように、板状の圧電素子31と、その内部空間に圧電素子31を気密状態で収容可能であり、圧電素子31の先端31aの側周面に対向する頭部がシール部材32からなる筐体33と、を備えている。
【0028】
板状の圧電素子31は、例えば、オリフラが形成された円盤状の水晶片311が2枚の電極板312a、bで挟まれてなるATカット9MHzコンベックス形状水晶振動子であって、オリフラを基端31bとし、その両側端がスリット付き弾性支持体313a、bのスリット3131に挿入されることにより支持され、その基端が保持台314に接着剤等を用いて固着されており、先端31aの側周面に圧力を受けた場合には、縦方向には圧力がそのまま伝わり圧縮変形して撓むが、横方向や前後方向には移動しないように設置されている。
【0029】
ATカット振動子等の厚みすべり振動子は、高い周波数帯に適合し、高い周波数帯において、外部環境の変化に対する発振周波数安定度及び信頼性が高い。
【0030】
なお、保持台314はベース331bに接着剤等を用いて固着されている。また、スリット付き弾性支持体313a、bは金属等の導電性材料からなり、電極板312a、bと接するように圧電素子31を支持しており、リード線を兼ねている。
【0031】
筐体33は、シール部材32と、その内部空間に圧電素子31を気密状態で収容可能な容器を構成する筐体本体331と、から構成されるものである。
【0032】
シール部材32は、圧力変化に応じて変形する薄膜状のものであって、例えば、10〜30μm程度の厚さを有するSUS等の金属薄膜からなるものである。初期状態において、シール部材32と水晶振動子31の先端31aの側周面とは0.1〜0.3mm程度のストロークを有するが、一旦使用した後は、シール部材32が水晶振動子31の先端31aの側周面に接し、水晶振動子31の先端31aの側周面に僅かな圧力がかかった状態となる。
【0033】
筐体本体331は、例えば、金属等からなり、その頭部にはスリット332が設けられていて、スリット332からは圧電素子31の先端31aが0.1〜0.2mm程度突出しており、スリット332を覆うようにシール部材32が固着してある。シール部材32を筐体本体331に固着して封止するには、乾燥雰囲気下において、接着剤を使用したり、抵抗溶接したりする。なお、筐体本体331は、スリット332が設けられた上部と、リード線333が設けられたベース331bとに分けられるが、これらも同様にして封止される。
【0034】
筐体33の内部空間には、Nガス等の不活性ガスが乾燥した状態で封入されており、基材に金蒸着が施されてなる電極板312a、b等が腐食しないように構成されている。
【0035】
本実施形態における筐体33は、金属等の導電性材料からなり、その底部に筐体本体と一体成形されたリード線333a、bを備えている。リード線333a、bはスリット付き弾性支持体313a、bと電気的に連絡しており、圧電素子31で発生した電圧を出力信号として外部に発信することができる。
【0036】
本実施形態に係る流体圧力センサ1は、接続対象の管に管2を接続し、管2内を測定対象の流体が流れると、その圧力に応じて凹部21及び凸部22が弾性変形し、シール部材32を介して圧電素子31の先端31aの側周面に圧力が加わる。そして、圧電素子31が圧縮変形し撓み、応力が生じると、その発振周波数が変化して、当該発振周波数に応じた電圧が生じ、その電気信号をスリット付き弾性支持体313a、b及びリード線333a、bを介して出力信号として外部に発信する。
【0037】
そして、保持台314、オリフラの方向と寸法、スリット付き弾性支持体313a、bの寸法の適正化により、水晶振動子31の先端31aの側周面から受ける圧力の許容範囲を定めることができる。
【0038】
本実施形態に係る流体圧力センサ1の性能を評価するために、図4に示すような構成の装置を組み立てて、外径8mm×内径6mmのPFAチユーブからなる管2内に流体を流し、感圧部3の発振周波数の変化を測定し、圧力校正器における設定値と周波数カウンタにおける測定値とを比較した。結果は図5に示した。
【0039】
図5に示すように、流体圧力センサ1では、管2内を流れる流体の圧力と感圧部3の発振周波数とは一次関数の関係にあり、流体の圧力は正確に感知されていることが確認された。
【0040】
したがって、このように構成した本実施形態に係る流体圧力センサ1によれば、その内部を測定対象である流体が流れる管2は、弾性変形可能な材料からなり、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部21を有しているので、凹部21は内部を流れる流体の圧力を受けて伸縮し、凹部21及び凸部22が弾性変形する。そして、凸部22において管2の外表面と接している感圧部3の先端部3aに当該圧力が伝わり、感圧部3に備わった圧電素子31がその先端31aの側周面から当該圧力を受けて、流体の圧力を感知することができる。このため、管2内の流体を感圧部3内に導入する導入穴や導入管は不要であり、測定対象である流体が流れる管2の内表面は平坦であって凹凸がないので、デッドスペースが生じない。しかして、前記流体は管2内で滞留せず、流体の残渣等に由来するコンタミも発生しない。加えて、管2内の洗浄も容易となる。
【0041】
また、感圧部3は、その先端部3aと管2の外表面に形成された凸部22とが接することにより、圧電素子31の先端31aの側周面から圧力を受けるものであるので、圧電素子31の振動面から圧力を受ける従来の圧力センサに比べて、取り付けに要するスペースが少なくて済み、管2が細管であってもよく、その径を自由に設定することができため、流体圧力センサ1の接続対象である管に適合する径の管2を適宜選択することができる。
【0042】
また、圧電素子31の先端31aの側周面からシール部材32を介して圧力を受けることにより、圧力を受けるために圧電素子の振動面を使用していないので、振動特性に影響を与えずに生じた応力を測定することができる。更に、圧電素子の振動面は機械的強度が弱いのに対して、輪郭方向の機械的強度は非常に強いので、圧電素子の振動面から圧力を受ける従来の圧力センサに比べて、感圧部3の耐加重が大幅に増加し、極めて優れた耐圧性を有するものとなる。そして、予め周波数変化と圧力との関係を予め調べておけば、周波数変化から圧力を導き出すことができる。
【0043】
更に、本実施形態では管2に感圧部3から流体の導入管等が挿入されていないので、管2をフッ素樹脂から構成した場合はフッ素樹脂の耐薬品性を充分に発揮することができる。
【0044】
また、圧電素子31としてATカット9MHzコンベックス形状水晶振動子を用いることにより、精度の高い発振周波数を安定して得ることができる。
【0045】
更に、筐体本体331の頭部には、スリット332が設けられていて、スリット332から圧電素子31の先端31aが突出しており、スリット332を覆うようにシール部材32が固着してあるので、圧電素子31にその先端31aの側周面から圧力が加わった際に、圧電素子31が移動するのを保持台314とともに防ぐことができ、かつ、筐体33の内部空間を気密に保つことが容易である。
【0046】
更に、シール部材32としてSUS等からなる金属薄膜を用いることより、当該金属薄膜は容易に変形可能であるので圧力が損失せずに圧電素子31の先端31aの側周面に伝わり易く、また、強度が高いので圧電素子31の鋭利な先端31aと接触しても破損しにくく、更に、筐体33内部を気密に維持することが容易である。
【0047】
更に、圧電素子31が筐体44内に密閉してあり、外部環境の変化による影響を直接受けないので、流体圧力センサ1の長期にわたる信頼性を確保することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
以下に、本発明の第2の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下においては第1の実施形態と異なる構成を採る部分を中心に説明し、第1の実施形態と同じ構成を採る部分については説明を省略する。
【0049】
第1の実施形態における感圧部3は長期間にわたる使用が可能なものであるが、短期間使用できればよい場合は、図6に示すように、水晶振動子31が筐体44に気密状態で収容されていなくてもよい。そして、本実施形態では、水晶振動子31の先端31aには、金属製又はプラスチック製のキャップ部材5が嵌合しあり、キャップ部材5を介して水晶振動子31の先端31aの側周面に圧力が加わるように構成してある。
【0050】
キャップ部材5には、水晶振動子31の先端31aに嵌合するための溝51が設けられてあり、また、頭部には孔52が設けてある。
【0051】
<第3の実施形態>
第2の実施形態における感圧部3には、圧力作用部としてキャップ部材5が設けられているが、第3の実施形態においては、このような第2の実施形態に係る感圧部3を、長期にわたる使用にも耐えられるようにするために、図7に示すように、その内部空間に圧電素子31を気密状態で収容可能な筐体44を備えており、筐体44の頭部には、その先端に押圧部61を有し、内部が筐体44の内部空間と連通している管62が設けてあり、管62内にはその基端がキャップ部材5に固定されている棒状体63が挿入されている。棒状体63は管62内を摺動可能である。
【0052】
管62と筐体44とは抵抗溶接され、押圧部61と管62との間にはOリング64が設けられていることにより、筐体44の内部空間は気密状態に保たれている。
【0053】
キャップ部材5には、頭部に孔52が設けてあるが、棒状体63の基端が孔52にネジ込み固定されている。そして、押圧部61に圧力が加わった場合、当該圧力は、棒状体63を介してキャップ部材5に伝達され、更にキャップ部材5を介して圧電素子31の先端31aの側周面に加わる。
【0054】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、図8に示すように、凹部21が管2の外側周面を取り囲むように形成され、凹部21を覆うように管2と嵌合する管状の枠体23が設けられている。そして、枠体23には感圧部3の筐体33を挿入可能な孔231が形成されており、当該孔231に挿入した感圧部3はそのシール部材32が当たり板24を介して管2と接するように構成してある。このような管2内を測定対象の流体が流れると、その圧力に応じて凹部21が弾性変形し、当たり板24及びシール部材32を介して圧電素子31の先端31aの側周面に当該圧力が加わる。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0056】
例えば、本発明に係る流体圧力センサは、感圧部3が、図9に示すように、入力手段34、ディスプレイ35に加えて、発振回路、CPUやメモリ、A/D変換器、D/A変換器等からなる演算処理部(図示しない。)を一体的に備えていてもよい。
【0057】
また、圧電素子31は受ける圧力により発振振動数が変化するものであればいずれのものであってもよく、水晶振動子に限定されず、圧電体としてセラミックス等の水晶以外の材料が用いられたものであってもよい。
【0058】
更に、シール部材32は圧力の変化に応じて弾性変形するものであればいずれのものであってもよく、金属薄膜に限定されず、カーボン等の他の材料からなるものや、又は、ダイヤフラム、ベローズが用いられてもよい。
【0059】
更に、図10に示すように、シール部材32が1面が開口したケース状のものであって、筐体本体331の頭部からかぶせるように取り付けられるものであってもよい。
【0060】
また、保持台314には水晶振動子31の基端31bに嵌合するための溝が形成されていてもよく、また、筐体本体331と一体成形されていてもよい。
【0061】
更に、水晶振動子は温度による影響を受けるので、感圧部3は温度による影響を補正するために温度センサを備えていてもよい。
【0062】
本発明における感圧部3は、水晶振動子31の輪郭方向の圧力対動作周波数変動特性による大変優れた特性を持つが、動作の誤差要因としては、(1)大気中で計測する場合は、気候による変化、(2)筐体44の頭部の初期歪みの影響、(3)水晶振動子31の劣化による周波数変化等の影響、(4)圧力作用方向が異なるための感度誤差、が考えられる。
【0063】
(1)については、過去の周波数基準としての気候による水晶振動子周波数安定度を把握しておくことにより、大気中の条件を設定して計測誤差の限界値を設定することができ、簡易計測に容易に使用することができる。
【0064】
(2)については、もし、バラツキが発生したとしても、輪郭方向の圧力対動作周波数変動特性の直線性が優れているために直線性のある範囲内での感度は不変で、計測時の周波数−圧力換算プログラムの選択のみで対応できる。
【0065】
(3)については、5〜10MHz帯の周波数帯を選ぶことにより高い安定性・精度も得られるし、水晶振動子31を気密状態下に置くことにより、更に安定度、精度向上を図ることができる。更に、ある一定の期間使用後の校正により、更に精度向上を図ることが可能である。
【0066】
(4)については、圧力を加える方向を変えると、圧力と周波数変化量との関係は僅かに変化するが、このような圧力作用方向による感度の差異は、周波数を圧力に換算するプログラムを修正することにより調整することができる。また、シール部材32が水晶振動子31の先端31aの側周面に接することにより加わる僅かな圧力は同様に周波数調整により修正することができる。
【0067】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1・・・流体圧力センサ
2・・・管
21・・・凹部
3・・・感圧部
31・・・圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流体が流通可能な管と板状の圧電素子を有する感圧部とを備え、前記管の内部を流れる流体の圧力を感知する圧力センサであって、
前記管は、弾性変形可能な材料からなり、その外表面に管厚が薄くなるよう形成された凹部を有しており、
前記感圧部は、前記圧電素子がその先端の側周面から前記流体の圧力を受けるように、その先端部が前記凹部の近傍において前記管の外表面と接していることを特徴とする流体圧力センサ。
【請求項2】
前記圧電素子は、水晶振動子である請求項1記載の流体圧力センサ。
【請求項3】
前記感圧部は、その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能であり、前記圧電素子の先端の側周面に対向する頭部が薄膜状である筐体を備えている請求項1又は2記載の流体圧力センサ。
【請求項4】
前記感圧部は、前記圧電素子の先端に嵌合されたキャップ部材を備えている請求項1又は2記載の流体圧力センサ。
【請求項5】
前記圧電素子は、その基端にオリエンテーションフラットが形成されている円盤状のものであって、当該基端が保持台に保持されている請求項3又は4記載の流体圧力センサ。
【請求項6】
前記筐体が、
前記圧電素子の先端の側周面に対向して設けられた薄膜状のシール部材と、
前記シール部材とともに、その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能な容器を構成する筐体本体と、から構成され、
前記筐体本体には、スリットが設けられていて、前記スリットから前記圧電素子の先端が突出しており、前記スリットを覆うように前記シール部材が取り付けられている請求項3記載の流体圧力センサ。
【請求項7】
その内部空間に前記圧電素子を気密状態で収容可能な筐体を備えており、
前記筐体の頭部には、その先端に押圧部を有し、内部が筐体の内部空間と連通している管が設けてあり、前記管内にはその基端が前記キャップ部材に固定されている棒状体が挿入されている請求項4記載の流体圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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