説明

流体圧機器の接続具

【課題】複数の流体圧機器が接続装置を介して相互に連結される流体圧ユニットにおいて、簡素な構成で、前記接続装置を介して流体圧機器同士を簡便且つ確実に連結させる。
【解決手段】一組の結合部48a、48bを有するベース体38と、該ベース体38の孔部36に挿通され、二方弁14のポート28aに螺合される連結プラグ42とを備え、該連結プラグ42の螺合作用下にベース体38が共に前記二方弁14の取付面34に対して装着される。また、ベース体38の端面には、シール部材40が装着され、このシール部材40が二方弁14の取付面34に当接することによってシールされる。そして、アダプタ20の結合部48a、48bに対して接続装置16の第1及び第2接続フランジ98b、116bが係合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流体圧機器を接続装置を介して連結することにより、該流体圧機器間の流体通路を連通させる際に用いられる流体圧機器の接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、空気圧回路において使用されるフィルタ、レギュレータ及びルブリケータ、電磁弁等の同種あるいは異種の複数の流体圧機器を直列に連結させ、複数の流体圧機器間の流体通路を連通させることが可能な流体圧機器の接続装置を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
この接続装置は、孔部を有するボディと、該ボディの一端面に連結され、一方及び他方の流体圧機器にそれぞれ設けられた突部に係合する第1係合部を有する保持ブラケットと、前記ボディの他端面に装着され、前記一方及び他方の流体圧機器にそれぞれ設けられた突部に係合する第2係合部を有する係止部材とを備えている。この係止部材は、ボディに対して傾動自在に設けられ、該係止部材を傾動させ、保持ブラケット及び係止部材における第1及び第2係合部に前記突部をそれぞれ係合させることにより、前記保持ブラケット及び係止部材を介して接続装置によって流体圧機器同士を一体的に連結している。
【0004】
【特許文献1】特許第3851119号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に係る従来技術においては、流体圧機器の突部に接続装置の第1及び第2係合部を係合させることによって相互に連結させる構成としているため、このような突部を備えていない流体圧機器を前記接続装置によって連結することができず、前記突部の有無に関わらず前記流体圧機器同士を接続装置を用いて簡便且つ確実に連結させたいという要請がある。
【0006】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、簡素な構成で、接続装置を介して流体圧機器同士を簡便且つ確実に連結させることが可能な流体圧機器の接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、一方及び他方の流体圧機器の間に接続装置が配設され、前記流体圧機器側に臨んだ前記接続装置の係合部を介して流体圧機器同士を互いに連結し、前記流体圧機器における流体通路を相互に連通させる際に用いられる流体圧機器の接続具であって、
前記接続装置の係合部が係合される突部を有するボディと、
前記ボディに挿通され、圧力流体の流通する孔部と、前記圧力流体の供給・排出される前記流体圧機器のポートに螺合されるねじ部とを有する連結部材と、
を備え、
前記連結部材が前記ポートに螺合されることにより、前記ボディと共に前記連結部材が前記流体圧機器に装着されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、突部を有するボディと、該ボディに挿通され、ねじ部を介して圧力流体が供給・排出される流体圧機器のポートに螺合される連結部材とを備え、前記連結部材を前記ポートに螺合させることによって該連結部材と共に前記ボディを前記流体圧機器に対して装着している。そして、一方及び他方の流体圧機器の間に配設された接続装置の係合部を、該流体圧機器に装着された接続具の突部に係合させることにより、前記接続装置と接続具とが接続され、それに伴って、該接続装置を介して一方の流体圧機器と他方の流体圧機器とを連結することができる。
【0009】
従って、接続装置が係合される接続具を、突部を有するボディと、該ボディに挿通されて流体圧機器のポートに螺合される連結部材との簡素な構成とすることができると共に、前記接続具を前記流体圧機器に装着することによって該突部が予め設けられていない流体圧機器でも前記接続装置を介して簡便且つ確実に連結することが可能となる。
【0010】
また、ボディに、ポートが開口した流体圧機器の端面に当接自在なシール部材を設けることにより、前記ボディを含む接続具が前記流体圧機器に装着された際、前記ボディと流体圧機器の端面との間から圧力流体が漏出することがなく、前記シール部材によって前記接続具を介して流体圧機器に流通する圧力流体の気密が確実に保持される。
【0011】
さらに、ボディには、ポートが開口した流体圧機器の端面に当接自在な第1シール部材を設けると共に、連結部材との間に第2シール部材を設けるとよい。これにより、前記ボディを含む接続具が前記流体圧機器に装着された際、前記ボディと流体圧機器の端面との間から圧力流体が漏出することがなく、しかも、前記ボディと連結部材との間からの圧力流体の漏出も防止される。その結果、第1及び第2シール部材によって前記接続具を介して流体圧機器を流通する圧力流体の気密を確実に保持することが可能となる。
【0012】
さらにまた、連結部材の孔部に、該連結部材を前記ポートに螺合させる際に工具を挿入させる工具孔を備えることにより、圧力流体が流通する孔部と、連結部材を流体圧機器に対して装着する際の工具孔とを兼ね備えることができるため、前記連結部材を含む接続具の小型化を図ることができる。
【0013】
またさらに、突部は、ボディの中央部に貫通した孔部を中心として所定間隔離間して一組設けるとよく、しかも、前記ボディが、その中央部に形成された孔部を介して連結部材によって流体圧機器に固定されることにより、該流体圧機器に対する接続具の取付角度を、該連結部材を中心として自在に変更することができ、該接続具を介して互いに接続される一方及び他方の流体圧機器の取付角度を任意に調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
すなわち、一方及び他方の流体圧機器の間に配設された接続装置の係合部を、該流体圧機器に装着された接続具の突部に係合させることにより、前記接続装置と接続具とが接続され、それに伴って、該接続装置を介して一方の流体圧機器と他方の流体圧機器とを連結することができる。そのため、接続装置の係合される接続具を簡素な構成とすることができ、且つ、前記流体圧機器に突部を備えていない場合でも、該流体圧機器に接続具を装着することによって前記接続装置を介して流体圧機器同士を簡便且つ確実に接続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る流体圧機器の接続具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る流体圧機器の接続具が装着され、該接続具を介して接続装置によって互いに接続された流体圧ユニットを示す。ここでは、供給された圧力流体を減圧させるレギュレータ(流体圧機器)と、前記圧力流体の流通状態を切換自在な二方弁(流体圧機器)とを接続する場合について説明する。
【0018】
この流体圧ユニット10は、図1〜図3に示されるように、圧力流体を減圧させるレギュレータ12と、該レギュレータ12に隣設し、前記圧力流体の流通状態を切換自在な二方弁14と、前記レギュレータ12と二方弁14との間に挟持され、相互を連結する接続装置16とから構成される。なお、上述したレギュレータ12には、接続装置16の係合される一組の結合部(突部)18a、18bが予め設けられ、二方弁14には、前記結合部18a、18bが設けられずに一方のポート28aにアダプタ(接続具)20が装着され、該アダプタ20を介して接続装置16でレギュレータ12及び二方弁14が互いに連結される場合について説明する。
【0019】
レギュレータ12は、外部から供給される圧力流体の圧力を所望圧力まで減圧し、外部へと出力自在な流体圧機器として機能する。このレギュレータ12は、圧力流体の供給・排出される一組のポート22a、22bを有する本体部24と、該本体部24の端部に連結されるケーシング26と、前記ポート22a、22bが設けられた本体部24の端面の外縁部に相互に対向して形成される一組の結合部18a、18b(図3参照)とを含む。なお、ポート22a、22bの内周面には、雌ねじが刻設されている。
【0020】
二方弁14は、外部から供給される圧力流体の流通状態を切換可能な流体圧機器として機能する。この二方弁14は、圧力流体が出入する一組のポート28a、28bを有する弁ボディ30と、該弁ボディ30の上部に連結され、通電作用下に励磁して弁体(図示せず)を変位させるソレノイド部32とから構成される。この弁ボディ30は、上述したポート28a、28bが開口し、他の流体圧機器に接続される取付面(端面)34を有し、該取付面34は平面状に形成される。なお、ポート28a、28bの内周面には、雌ねじが刻設されている。
【0021】
アダプタ20は、図4〜図6に示されるように、中央部に孔部36を有するベース体(ボディ)38と、該孔部36の外周部位に装着されるシール部材40(図3参照)と、前記孔部36に挿入され、流体圧機器である二方弁14のポート28aに螺合される連結プラグ(連結部材)42とを含む。
【0022】
ベース体38は、例えば、アルミニウム等の金属製材料から形成され、その孔部36が二方弁14のポート28aに臨むように配設される。このベース体38は、その内部に孔部36が貫通した円筒部44と、該円筒部44の一端部に形成され、該円筒部44に対して幅方向に略矩形状に拡幅したフランジ部46とを有する。なお、ベース体38は、上述した金属製材料から形成される場合に限定されるものではなく、例えば、樹脂製材料から形成するようにしてもよい。
【0023】
円筒部44は、ベース体38の略中央部に設けられ、該円筒部44の他端部には、孔部36に対して半径外方向に拡径した環状溝が設けられて弾性材料からなるシール部材40が装着される。なお、シール部材40は、円筒部44における他端部の端面に対して若干だけ外部に突出するように装着される。
【0024】
フランジ部46は、円筒部44の軸線方向に沿って所定厚さで形成されると共に、該円筒部44を中心として四方に拡幅して形成される。
【0025】
このフランジ部46は、円筒部44の孔部36を挟んで対峙する一組の結合部(突部)48a、48bを備え、該結合部48a、48bは、円筒部44側となる側面が先端に向かって徐々に薄くなるようにテーパ状に形成される。換言すれば、フランジ部46は、円筒部44が接合される側面とは反対側の側面が略同一平面状に形成される。さらに、フランジ部46の結合部48a、48bは、連結されるレギュレータ12の結合部18a、18bと略同一形状となるように形成される。
【0026】
孔部36は、円筒部44の内部に設けられ、略一定直径で形成される第1孔部50と、フランジ部46の内部に設けられ、該第1孔部50に対して半径方向に拡径した第2孔部52とを含む。この第1及び第2孔部50、52は同軸上に形成され、該第1孔部50と第2孔部52との境界部位には、前記第1及び第2孔部50、52の軸線と直交した段差部54が形成される。
【0027】
連結プラグ42は、例えば、真鍮等の金属製材料から形成され、第2孔部52側から孔部36に挿入される。この連結プラグ42は、一端部に形成され、孔部36において第1孔部50に挿入される小径部56と、他端部側に形成され、前記孔部36において第2孔部52に挿入される大径部58と、前記小径部56及び大径部58の中心を貫通するポート孔(孔部)60とを有する。なお、連結プラグ42は、上述した金属製材料から形成される場合に限定されるものではなく、例えば、樹脂製材料から形成するようにしてもよい。
【0028】
小径部56の端部近傍には、外周面に沿ってねじ(ねじ部)62が刻設され、前記ねじ62が二方弁14のポート28aに対して螺合されることにより、連結プラグ42が前記ポート28aに対して連結されることとなる。すなわち、小径部56の直径は、連結プラグ42の螺合される流体圧機器におけるポート28aの内周径と略同等若しくは若干大きく設定される。
【0029】
また、小径部56は、第1孔部50に挿入されることにより、連結プラグ42の中心軸とベース体38の中心軸とを一致させることができる。
【0030】
大径部58には、ポート孔60の内周面に内六角形状の工具孔64を有し、該工具孔64に六角レンチ等の工具(図示せず)を挿入して回転させることにより、連結プラグ42を二方弁14のポート28aに対して強固に螺合させることができる。なお、工具孔64を含むポート孔60は、略同一直径で形成されている。
【0031】
また、連結プラグ42が孔部36に挿入された際、小径部56が第1孔部50に挿通され、ねじ62が刻設された端部が外部に露呈すると共に、小径部56側となる大径部58の一端面が段差部54に係合されて係止される。すなわち、ベース体38に対する連結プラグ42の軸線方向に沿った変位が規制されて相対的な位置決めがなされる。また、大径部58が第2孔部52の内部に収納され、該大径部58がベース体38におけるフランジ部46の側面から突出することがなく、該大径部58の端面とフランジ部46の側面とが略同一平面状となる。
【0032】
接続装置16は、図7〜図11に示されるように、略中央部に装着孔65を有する略正方形のボディ66と、該ボディ66の一側面及び他側面に装着される第1及び第2保持部材68、70と、該第1及び第2保持部材68、70とボディ66とを連結するボルト72と、流体圧機器同士を連結する際に第2保持部材70を係止するピン部材74とを含む。
【0033】
ボディ66は、第1保持部材68と連結される一端面側の略中央部より突出する軸状の支持用ピン76と、前記ボディ66の一側面に形成され、前記ボルト72が挿入される貫通孔78と、前記ボディ66の他側面に形成され、前記貫通孔78と略平行なガイド溝80と、第2保持部材70が装着される他端面側に所定深さで窪んだ凹部82とからなる。支持用ピン76には、その先端部からボディ66側となる位置に第1切欠部84が形成される。
【0034】
ボディ66の装着孔65には、弾性材料からなるシール部材86が装着される。この装着孔65の直径は、シール部材86の外周径より若干小さく形成され、接続装置16の両側にアダプタ20の装着された二方弁14及びレギュレータ12を連結した際に、装着孔65を介してポート22a、28a間に連通する圧力流体がシール部材86の外周面と装着孔65との接触面から外部に漏出することが防止される。
【0035】
また、ガイド溝80は、ボディ66に対してピン部材74が装着される際に、該ピン部材74を前記ボディ66の他側面に沿って案内する。
【0036】
凹部82は、第2保持部材70が装着されるボディ66の他端面に形成され、該凹部82の貫通孔78側には、該凹部82に対してさらに窪んだ溝部88が形成される。そして、ボディ66の凹部82と第2保持部材70との間に板ばね90が挟持される。この板ばね90は、断面略V字状に折曲された板材からなり、その一端部には前記板材を湾曲させた突起部92が形成され、該突起部92を凹部82の溝部88に係合させることにより、前記板ばね90がボディ66に対して位置決めされる。一方、板ばね90の他端部には、略直角に折り曲げられた折曲部94が形成される。
【0037】
第1保持部材68は、ボディ66に連結される平面状の連結部96と、該連結部96の略中央部に対して両側部に所定角度傾斜して突出した一組の第1接続フランジ98a、98bとを含む。この連結部96には、略中央部に形成され、支持用ピン76が係合される第1係合孔100と、該第1係合孔100と所定間隔離間して形成され、ピン部材74が係合される第2係合孔102と、前記第1係合孔100と所定間隔離間し、第2係合孔102と反対方向に形成されるボルト孔104とが形成される。
【0038】
第1係合孔100は、略円形と略長方形とが組み合わされた略鍵穴状に形成され、一方側に略円形状の第1挿入孔106が形成され、他方側に第1挿入孔106の直径より幅狭な略長方形状の第1係合溝108が形成される。
【0039】
また、第2係合孔102は、略鍵穴状に形成され、一方側に略円形状の第2挿入孔110が形成され、他方側に第2挿入孔110の直径に対して幅狭状の第2係合溝112が形成される。
【0040】
ピン部材74は、その先端部から所定間隔離間した第2切欠部114を有し、該第2切欠部114は、前記ピン部材74における軸部に対して窪んで環状に形成される。
【0041】
そして、ボディ66の一端面を、第1保持部材68の連結部96に当接させ、第1挿入孔106に支持用ピン76の先端部を挿入させると共に、該支持用ピン76の第1切欠部84と第1係合溝108とを係合させることにより、前記ボディ66が第1保持部材68に対して接続される。
【0042】
また、第2係合孔102の第2挿入孔110にピン部材74の先端を挿入し、該ピン部材74の第2切欠部114を第2係合溝112に対して係合させることにより、前記ピン部材74を介してボディ66が第1保持部材68に保持される。
【0043】
さらに、ボルト孔104には、第2保持部材70、ボディ66の貫通孔78を介してボルト72が挿入されて螺合されることにより、第1保持部材68、第2保持部材70及びボディ66が一体的に固定される。
【0044】
第1接続フランジ98a、98bは、連結部96の略中央部の両側部から互いに離間する方向に所定角度傾斜して形成され、レギュレータ12の結合部18a、18b又はアダプタ20の結合部48aに係合される。なお、第1接続フランジ98a、98bの傾斜角度は、一側面側がテーパ状に形成されたレギュレータ12の結合部18a及びアダプタ20の結合部48aの傾斜角度に対応した角度で設定される。
【0045】
一方、第2保持部材70は、略中央部の両側に所定角度傾斜して略長方形状に形成される一組の第2接続フランジ116a、116bと、その一端部側に形成され、ボルト72の軸部が係合される第1切欠溝118と、他端部側に形成され、ピン部材74の軸部が係合される第2切欠溝120とから構成される。
【0046】
第2接続フランジ116a、116bは、第2保持部材70の略中央部の両側部から互いに離間する方向に所定角度傾斜して形成されると共に、板ばね90のばね力に抗して該第2保持部材70を略水平になるように押圧することにより、レギュレータ12の結合部18b及びアダプタ20の結合部48bに係合される。なお、第2接続フランジ116a、116bの傾斜角度は、一側面側がテーパ状に形成されたレギュレータ12の結合部18b及びアダプタ20の結合部48bの傾斜角度に対応した角度で設定される。
【0047】
また、第2保持部材70が板ばね90の弾発作用下に所定角度傾斜するように付勢された際に、該板ばね90の折曲部94が当接する位置に係合凹部122(図9参照)が形成される。すなわち、折曲部94が上方に押圧された状態において、前記折曲部94が係合凹部122に係合されることにより、第2保持部材70の係合されているボルト72から脱抜することが防止される。さらに、レギュレータ12とアダプタ20の装着された二方弁14とを接続する際、第1保持部材68を上方からボディ66側に向かって押圧すると、折曲部94が係合凹部122から第1切欠溝118の方向へと離脱する。
【0048】
本発明の第1の実施の形態に係るアダプタ20を介して互いに接続された流体圧ユニット10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、流体圧機器である二方弁14における一方のポート28aに対してアダプタ20を装着する場合について説明する。
【0049】
先ず、アダプタ20を構成するベース体38を把持し、その円筒部44の端面をポート28aが開口した二方弁14の取付面34に当接させると共に、一組の結合部48a、48bが水平方向に延在するように配置する。そして、ベース体38が二方弁14の取付面34に当接した状態で、該ベース体38の孔部36に予め挿通された連結プラグ42の小径部56を前記ポート28aに対して螺合させる。この際、円筒部44の端面に設けられたシール部材40が、二方弁14の取付面34に対して当接してシール機能が営まれる。
【0050】
次に、連結プラグ42の工具孔64に六角レンチを挿入して回転させることにより、該連結プラグ42が螺合された状態で二方弁14側に向かって徐々に変位し、大径部58がベース体38の段差部54によって係止されることにより、前記大径部58と二方弁14の取付面34との間にベース体38の円筒部44が挟持された状態となる。これにより、連結プラグ42によってベース体38を含むアダプタ20がポート28aに臨む二方弁14の取付面34に対して装着される。この場合、アダプタ20の孔部36とポート28aとが同軸上に配置されて互いに連通すると共に、連結プラグ42における大径部58の端面とベース体38におけるフランジ部46の端面とが略同一平面状となる。
【0051】
このように、接続装置16を接続可能な結合部18a、18bを備えていない二方弁14に対して連結プラグ42をポート28aに対して螺合させるという簡単な作業でアダプタ20を簡便に装着することができる。
【0052】
また、アダプタ20は、孔部36を有するベース体38と、該ベース体38の円筒部44に装着されるシール部材40と、前記孔部36に挿通されて流体圧機器のポート28a、28bに螺合される連結プラグ42とから簡素な構成とすることでき、製造コストの低減を図ることができる。
【0053】
さらに、二方弁14等の流体圧機器において圧力流体の供給・排出されるポート28aを利用してアダプタ20を装着することができるため、予め結合部18a、18bを備えていない流体圧機器にアダプタ20を装着するための追加工等を行う必要がなく好適である。
【0054】
さらにまた、ベース体38の円筒部44に設けられたシール部材40が、二方弁14の取付面34に対して当接して押圧されるため、前記ベース体38を含むアダプタ20と二方弁14との間の気密が確実に保持され、該アダプタ20の内部を流通する圧力流体が外部に漏出することが阻止される。
【0055】
次に、上述したアダプタ20が装着された二方弁14と、予め結合部18a、18bを備えたレギュレータ12とを接続装置16によって接続する場合について簡単に説明する。なお、二方弁14とレギュレータ12との組み付け順序は、本説明の順序に限定されるものではない。
【0056】
最初に、二方弁14に装着されたアダプタ20と、該二方弁14に接続するレギュレータ12の結合部18a、18bとが向かい合うように予め配置しておく。
【0057】
次に、接続装置16においてピン部材74を第1保持部材68に支持された部位を支点として第2保持部材70の第2切欠溝120から離間させるように所定角度だけ傾動させることにより、板ばね90の弾発力によって前記第2保持部材70がボルト72に支持された第1係合溝108の部分を支点として上方に所定角度傾斜して押し上げられた状態となる。
【0058】
この状態で、二方弁14とレギュレータ12とを所定間隔離間させた状態まで互いに接近させ、一方の流体圧機器であるレギュレータ12の結合部18a、18bに対して第1保持部材68の第1接続フランジ98aを係合させると共に、反対側に設けられた該第1接続フランジ98bを二方弁14に装着されたアダプタ20の結合部48aに対して係合させる。これにより、レギュレータ12の取付面12aが接続装置16におけるボディ66の一側面に当接し、アダプタ20のフランジ部46が前記ボディ66における他側面に当接する。換言すれば、接続装置16のボディ66を挟んでアダプタ20とレギュレータ12の取付面12aとが対峙した状態となる。
【0059】
次に、ボディ66から離間する方向に傾動した第2保持部材70を押圧し、板ばね90の弾発力に抗して前記ボディ66側へと傾動変位させて該ボディ66に平行な状態へと復帰させる。これにより、第2保持部材70の第2接続フランジ116a、116bが、レギュレータ12の結合部18bとアダプタ20の結合部48bに対してそれぞれ係合される。また、接続装置16を構成するボディ66の装着孔65が、レギュレータ12のポート22a及びアダプタ20の孔部36と同軸上に配置されて連通するため、前記接続装置16及びアダプタ20を通じて二方弁14とレギュレータ12とが互いに連通した状態となる。
【0060】
最後に、ピン部材74を第1保持部材68に支持された部位を支点としてボディ66側に接近させるように傾動変位させ、前記ピン部材74の軸部を第2切欠溝120に係合させる。これにより、第2保持部材70がボディ66に対して平行な状態で保持される。その結果、接続装置16の両側に配設された流体圧機器であるレギュレータ12及び二方弁14がアダプタ20を介して前記接続装置16によって一体的に連結されると共に、前記レギュレータ12のポート22aと二方弁14のポート28aとがアダプタ20の孔部36及び接続装置16の装着孔65を通じて連通した状態となる。
【0061】
この際、接続装置16に設けられたシール部材86が、レギュレータ12の取付面12a及びアダプタ20の端面に当接しているため、前記接続装置16、レギュレータ12及びアダプタ20の間の気密が保持され、前記レギュレータ12と二方弁14との間を流通する圧力流体の漏出が阻止される。
【0062】
このように、ベース体38と、該ベース体38の孔部36に挿通されて流体圧機器のポート28aに螺合される連結プラグ42とからアダプタ20を簡素な構成とすることができ、前記アダプタ20を前記流体圧機器に装着することによって結合部18a、18bを予め備えていない流体圧機器でも、前記接続装置16を介して互いに簡便且つ確実に連結させることができる。
【0063】
また、連結プラグ42を締結する際に工具(図示せず)が挿入される工具孔64と、圧力流体が流通するポート孔60とを兼用しているため、該ポート孔60と工具孔64とをそれぞれ別個に設けた場合と比較し、前記連結プラグ42を含むアダプタ20の小型化を図ることができる。
【0064】
上述した説明では、結合部48a、48bが、二方弁14のソレノイド部32に対して略直交方向に延在するようにアダプタ20が接続され、且つ、該アダプタ20が、前記ソレノイド部32の軸線とレギュレータ12の軸線とが平行となるように流体圧ユニット10が接続される場合について説明しているが、これに限定されるものではない。
【0065】
例えば、図12Bに示されるように、アダプタ20における一組の結合部48a、48bに対して二方弁14を所定角度(例えば、45°)だけ回転させ、図12Aに示されるように、前記アダプタ20を介して前記二方弁14をレギュレータ12の結合部18a、18bに接続することにより、前記ソレノイド部32の軸線とレギュレータ12の軸線とが所定角度で交差するように回転させた状態で連結して流体圧ユニット10を構成することが可能となる。
【0066】
詳細には、アダプタ20を二方弁14に対して装着する際、その結合部48a、48bを接続装置16における第1及び第2接続フランジ98a、98b、116a、116bに臨むように水平方向に配置し、二方弁14をレギュレータ12に対する所望の取付角度に回転させた状態として該二方弁14のポート28aに前記アダプタ20を接続する。これにより、アダプタ20における一組の結合部48a、48bと、二方弁14のソレノイド部32とがなす相対角度が所定角度(例えば、45°)に設定された状態で前記アダプタ20と二方弁14とが接続される。そして、このアダプタ20を介して二方弁14をレギュレータ12に接続することにより、前記レギュレータ12の軸線に対して二方弁14におけるソレノイド部32の軸線が所定角度だけ回転した状態で連結される。
【0067】
また、図13A及び図13Bに示されるように、レギュレータ12の軸線に対して二方弁14におけるソレノイド部32の軸線が略直交するように回転させた状態で連結させることも可能である。
【0068】
すなわち、アダプタ20と、該アダプタ20が装着される流体圧機器である二方弁14との相対的な連結角度を変更することにより、該アダプタ20及び接続装置16を介して前記二方弁14と連結されるレギュレータ12とを任意の取付角度に変更して連結することが可能となる。
【0069】
また、アダプタ20を二方弁14のポート28aに固定している連結プラグ42を螺回させることにより、前記アダプタ20の簡便に脱着作業を行うことができるため、上述した流体圧機器同士の相対的な取付角度の変更を容易に行うことができる。
【0070】
さらに、上述した説明では、一方の流体圧機器が結合部18a、18bを備えたレギュレータ12であり、他方の流体圧機器が前記結合部18a、18bを備えていない二方弁14であり、前記二方弁14にアダプタ20を装着して互いに連結する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図14A及び図14Bに示されるように、いずれも結合部18a、18bを備えていない一方の二方弁14と他方の二方弁14aに対してそれぞれアダプタ20、20aを装着し、該アダプタ20、20aを介して接続装置16によって流体圧機器である一方の二方弁14と他方の二方弁14aとを連結するようにしてもよい(図14B参照)。
【0071】
これにより、アダプタ20、20aを用いることによってポート28a、28bを有する流体圧機器同士を簡便且つ確実に連結することが可能となる。
【0072】
またさらに、上述した説明において、例えば、レギュレータ12のみを接続装置16から取り外した場合でも、図15A〜図15Bに示されるように、前記レギュレータ12が装着されていた接続装置16の一側面側に対してカバー部材130を装着することにより、該接続装置16に接続されたままの二方弁14のポート28aを閉塞することができる。
【0073】
このカバー部材130は、例えば、金属製材料から形成され、アダプタ20におけるベース体38と略同一形状で形成される。なお、カバー部材130は、中央部に貫通した孔部36を備えていない点で前記アダプタ20のベース体38と相違している。なお、このカバー部材130は、上述した金属製材料に限定されるものではなく、例えば、樹脂製材料から形成するようにしてもよい。
【0074】
このように、接続装置16に装着された流体圧機器の一方を取り外した場合でも、カバー部材130を前記接続装置16に装着することによって、他方の流体圧機器における開口したポート28aを簡便且つ確実に閉塞することができる。
【0075】
次に、第2の実施の形態に係るアダプタ150を図16〜図18に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る流体圧機器のアダプタ20と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0076】
この第2の実施の形態に係るアダプタ150では、ベース体(ボディ)152を構成する孔部36の段差部54に環状溝を介してシール部材154が装着され、該段差部54に係止される連結プラグ42との間の気密を保持可能としている点で、第1の実施の形態に係る流体圧機器のアダプタ20と相違している。
【0077】
このような構成とすることにより、アダプタ20を二方弁14等の流体圧機器のポート28aに接続した際、連結プラグ42の大径部58とベース体38の孔部36との間に設けられたシール部材154によって前記連結プラグ42とベース体152との間を通じた圧力流体の漏出が阻止される。
【0078】
すなわち、図18に示されるように、アダプタ150に接続される接続装置のシール部材86が、連結プラグ42の端面に当接し、ベース体152の端面に当接していない場合でも、シール部材154によって前記連結プラグ42とベース体152との間を通じた圧力流体の漏出が阻止されて好適である。
【0079】
次に、第3の実施の形態に係るアダプタ200を図19及び図20に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係る流体圧機器のアダプタ20、150と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0080】
この第3の実施の形態に係るアダプタ200では、ベース体(ボディ)202を構成するフランジ部204が略長方形状に形成され、該フランジ部204において接続装置16に接続される一組の結合部48a、48bが円筒部44に対して所定間隔離間し、該結合部48a、48bと直交する部位が前記円筒部44の外周径より小さな幅寸法で形成されている点で、第2の実施の形態に係る流体圧機器のアダプタ150と相違している。
【0081】
このような構成とすることにより、アダプタ200の高さ寸法を抑制することができるため、該アダプタ200の接続される流体圧機器の設置条件に制約等がある場合に好適であり、該流体圧機器を含めた流体圧ユニットを高さ方向に小型化することができる。
【0082】
また、上述した実施の形態では、アダプタ20、20a、150、200が、二方弁14、14aに対して装着される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記二方弁14、14aの代わりに、圧力流体の流量を制御可能な絞り弁や手動弁等に装着するようにしてもよい。すなわち、アダプタ20、20a、150、200を構成する連結プラグ42が螺合可能なポートを有する流体圧機器であればよい。
【0083】
さらに、アダプタ20、20a、150、200に対して接続される接続装置は、上述した実施の形態の構成を備えるものに限定されるものではなく、該アダプタ20、20a、150、200の結合部18a、18b、48a、48bに係合可能な接続フランジを有する接続装置であればよい。
【0084】
本発明に係る流体圧機器の接続具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る流体圧機器のアダプタが適用された流体圧ユニットの分解斜視図である。
【図2】図1に示す流体圧ユニットが組み付けられた状態を示す外観斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った拡大縦断面図である。
【図4】図1に示すアダプタの外観斜視図である。
【図5】図4のアダプタの分解斜視図である。
【図6】図4のアダプタが接続される二方弁との組み付け関係を示す分解斜視図である。
【図7】図1に示す接続装置の外観斜視図である。
【図8】図7に示す接続装置の分解斜視図である。
【図9】図7の接続装置によってレギュレータ及び二方弁を接続する際、ピン部材が傾動して第2保持部材が板ばねによって押し上げられた状態を示す縦断面図である。
【図10】図8の接続装置において第2保持部材が板ばねの弾発力に抗してボディ側に押圧された状態を示す縦断面図である。
【図11】図10の接続装置においてピン部材が再びボディ側へと傾動して第2保持部材に係合されてロックされた状態を示す縦断面図である。
【図12】図12Aは、図2のレギュレータに対して二方弁を45°だけ回動させて接続した状態を示す斜視図を示し、図12Bは、図12Aのレギュレータに対して二方弁を離脱させた分解斜視図を示す。
【図13】図13Aは、図12のレギュレータに対して二方弁をさらに45°だけ回動させて接続した状態を示す斜視図を示し、図13Bは、図13Aのレギュレータに対して二方弁を離脱させた分解斜視図を示す。
【図14】図14Aは、結合部を備えていない二方弁に対してそれぞれアダプタを装着し、該二方弁同士を接続する場合の分解斜視図を示し、図14Bは、図14Aの二方弁同士が接続装置を介して一体的に接続された状態を示す外観斜視図を示す。
【図15】図15Aは、接続装置を介して二方弁に装着されたアダプタを閉塞するカバー部材を装着する場合を示す分解斜視図を示し、図15Bは、図15Aのカバー部材が接続装置を介して組み付けられた状態を示す外観斜視図を示す。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るアダプタを示す外観斜視図である。
【図17】図16に示すアダプタの分解斜視図である。
【図18】図16のアダプタが二方弁に装着され、該二方弁が接続装置を介してレギュレータに接続された状態を示す拡大断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係るアダプタを示す外観斜視図である。
【図20】図19に示すアダプタの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10…流体圧ユニット 12…レギュレータ
14、14a…二方弁 16…接続装置
18a、18b、48a、48b…結合部
20、20a、150、200…アダプタ
22a、22b、28a、28b…ポート
34…取付面 36…孔部
38、152、202…ベース体 40、86、154…シール部材
42…連結プラグ 44…円筒部
46、204…フランジ部 50…第1孔部
52…第2孔部 56…小径部
58…大径部 60…ポート孔
62…ねじ 66…ボディ
68…第1保持部材 70…第2保持部材
72…ボルト 74…ピン部材
76…支持用ピン 90…板ばね
98a、98b…第1接続フランジ 116a、116b…第2接続フランジ
130…カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方及び他方の流体圧機器の間に接続装置が配設され、前記流体圧機器側に臨んだ前記接続装置の係合部を介して流体圧機器同士を互いに連結し、前記流体圧機器における流体通路を相互に連通させる際に用いられる流体圧機器の接続具であって、
前記接続装置の係合部が係合される突部を有するボディと、
前記ボディに挿通され、圧力流体の流通する孔部と、前記圧力流体の供給・排出される前記流体圧機器のポートに螺合されるねじ部とを有する連結部材と、
を備え、
前記連結部材が前記ポートに螺合されることにより、前記ボディと共に前記連結部材が前記流体圧機器に装着されることを特徴とする流体圧機器の接続具。
【請求項2】
請求項1記載の接続具において、
前記ボディには、前記ポートが開口した前記流体圧機器の端面に当接自在なシール部材が設けられることを特徴とする流体圧機器の接続具。
【請求項3】
請求項1記載の接続具において、
前記ボディには、前記ポートが開口した前記流体圧機器の端面に当接自在な第1シール部材が設けられると共に、前記連結部材との間に第2シール部材が設けられることを特徴とする流体圧機器の接続具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続具において、
前記連結部材の孔部には、該連結部材を前記ポートに螺合させる際に工具が挿入される工具孔を備えることを特徴とする流体圧機器の接続具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続具において、
前記突部は、前記ボディの中央部に貫通した孔部を中心として所定間隔離間して一組設けられることを特徴とする流体圧機器の接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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