説明

流体容器用の継手

【課題】液出しチューブが確実に装着でき、ディスペンサに設けられる流体排出用の通路が液出しチューブに容易にかつ確実に接続可能な複式格納型の流体容器用の継手を提供する。
【解決手段】液体を注入可能に開口するネック部11を有する可撓性のバッグ12と、ネック部11を口部13aで支持してバッグ12を収容する外側容器13と、を備える流体容器用の継手であって、鍔部15aを有する液出しチューブ15がプラグ14を介して外側容器13の口部13aに装着できる構造とし、更に、ディスペンサ2に備わる流路21aが液出しチューブ15の流体通路15bに直結できる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子工業用薬品などの流体を貯蔵し、運搬し、かつ分配する容器の継手に関する。特に、流体を排出するための容器の継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ホトレジストなどの電子工業用薬品は、運搬用の薬品容器に貯蔵されて製造工場に納入される。このような薬品容器は、同じ容器を繰返し使用するリンク方式と、毎回新しい容器を使用するワンウェイ方式がある。特に、高純度薬品の純度に影響を与えぬためには、ワンウェイ方式の容器を使用することが好ましいが、経済的ではないという欠点がある。近年では、前記両方式を複合した複式格納型の容器が普及している。
【0003】
一般に、複式格納型の容器は、予め洗浄された可撓性フィルムからなるバッグ(袋体)を有している。このフィルム・バッグは、不活性材料から形成され、外側容器の中に設けられている。フィルム・バッグから薬品を排出した後に、このフィルム・バッグは廃棄され、新たなフィルム・バッグに薬品が充填される。そして、継手などを含む外側容器は繰返し使用される。
【0004】
このような複式格納型の容器として、安全、確実に液体薬品を排出できる液体薬品用容器が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−100087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5は、特許文献1による容器の頂端部の断面図であり、キャップが装着された状態図である。本願の図5は、特許文献1の図3に相当している。又、図6は、特許文献1による容器の上端の断面図であり、容器及びディスペンサが組み立てられた状態を示している。本願の図6は特許文献1の図6に相当している。
【0006】
図5及び図6において、特許文献1による容器は、容器7及びディスペンサ8を備えている。容器7は、ポート718を有する外側容器716、流体通路780を有する汲出しチューブ722、及びカップリング724を備えている。カップリング724は、ポート(以下、取付体という)718に挿入されるようにチューブ794の上端に設けられると共に、その上端に設けられる空所776、及び空所776をチューブ794の流体通路780に接続する流体通路を有している。
【0007】
容器7は更に、外側容器716の内側と空所776との間の気体に気体を流通させる通気通路782と、取付体718の頂端部上に設けられる破断可能なシール727と、を備えている。ディスペンサ8は、シール727を介して空所790の中に挿入可能であると共に、流体通路844を有するプローブ846を備えている。又、プローブ846に接続され、チューブ794、カップリング724、及びプローブ846の流体通路844を介して外側容器716から排出される液体薬品を収容する圧縮流体通路を備えている。
【0008】
図5及び図6において、外側容器716は、雄ネジが形成された口部730を有しており、口部730の中には、リテーナ719及び取付体718が取り付けられている。容器7は、可撓性フィルムからなるバッグ720を外側容器716の内部に設けている。バッグ720が装着された取付体718を外側容器716の口部730に取り付けた後に、バッグ720に液体薬品が充填される前に、好ましくは窒素又は圧縮空気によって膨張される。その後、バッグ720は取付体718を介して液体薬品で充填される。次に、汲出しチューブ722及び汲出しチューブ722のカップリング724を取付体718に挿入する。蓋726は、破断可能なシール727を取付体718の頂端部上に置き、空所776を封止する。又、容器7の口部730にキャップ728を設けて破断可能なシール727を覆うことができる。
【0009】
容器7を運搬及びハンドリングの間に、可撓性のバッグ720の中に発生した気体は総て、汲出しチューブ722のカップリング724によって形成された気体通路を通って流れ、汲出しチューブ722のカップリング724の上端に設けられた空所776に溜まることができる。
【0010】
特許文献1による容器7は、破断可能なシール727を備えており、ディスペンサ8に設けられるプローブ846がシール727を突き破ることにより、プローブ846は空所790の中に挿入することができる(図6参照)。しかし、このとき、シール727の破断片が、空所790を介してバッグ720内に混入してしまうという問題がある(図5参照)。又、作業者によっては、シール727を上手に突き破れず、プローブ846が詰まって接続できないという問題もあった。破断可能なシールを用いることなく、ディスペンサを容器に接続する継手構造とすることにより、前記のような問題を解消することができる。更に、ディスペンサを螺合することなく、ワンタッチで容器に接続できれば、なお好ましい。
【0011】
又、特許文献1による容器7は、汲出しチューブ722とカップリング724が別体で構成され、汲出しチューブ722の一端がカップリング724に圧入された組立品となっている(図5参照)。このカップリング724付き汲出しチューブ722は、洗浄後に再使用されるが、圧入個所の隙間に浸透した薬品を除去するためには、一度分解して洗浄後に再度、組み立てる(圧入する)という手間が必要であった。カップリングと汲出しチューブを一体とすることにより、このような手間を省くことができる。
【0012】
更に、図5及び図6において、カップリング724の上端に形成されている縁部787は、カップリング724の外径より僅かに拡径しているだけであり、作業者の力加減では、取付体718の空所776に設けられた段差を乗り越えて、カップリング724付き汲出しチューブ722をバッグ720内に落下させてしまうというリスクがあった。作業者の力加減に依存することなく、汲出しチューブを容器に容易に装着可能な継手構造が求められる。そして、これらのことが、本発明の課題といってよい。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、可撓性フィルムからなるバッグを外側容器の内部に設けている複式格納型の流体容器用の継手であって、汲出しチューブが確実に装着でき、ディスペンサに設けられる流体排出用の通路がこの汲出しチューブに容易にかつ確実に接続可能な流体容器用の継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、流体容器用の継手を、鍔部を有する液出しチューブがプラグを介して外側容器の口部に装着できる構造とし、更に、ディスペンサに備わる流路が液出しチューブの流体通路に直結できる構造とした。これに基づいて、以下のような新たな流体容器用の継手を発明するに至った。
【0015】
(1) 液体を注入可能に開口するネック部を有する可撓性のバッグと、このネック部を口部で支持して当該バッグを収容する外側容器と、を備える流体容器にディスペンサが接続される流体容器用の継手であって、前記流体容器は、前記口部に保持される円筒状のプラグであって、一端側に円筒状底内から隆起する略筒状のヘッダ部、及び他端側に前記ネック部の開口に嵌合する筒部、及び一端側から他端側に貫通する貫通穴を有するプラグと、一端側は前記ヘッダ部の頂面に密着される鍔部を有し、他端側は前記貫通穴に挿入される液出しチューブであって、一端から他端まで延びる流体通路を有し、前記バッグ内の液体がこの流体通路を通って排出される液出しチューブと、前記外側容器の内部から前記口部に気体を通気可能な第1通気手段であって、前記ネック部の底部に設けられ、前記外側容器の内部と当該ネック部の内部とを連通する複数の第1開口、及び前記筒部の周囲から前記ヘッダ部の頂面に連通する複数の第2開口を有する第1通気手段と、前記バッグの内部から前記口部に気体を通気可能な第2通気手段であって、前記鍔部に設けられ、前記口部と前記貫通穴内部とを連通する複数の第3開口を有する第2通気手段と、を備え、前記ディスペンサは、円筒状の外筒を有するソケット本体と、このソケット本体の内部に構成され、軸方向に貫通する流路を断続するバルブ機構と、このソケット本体の開口側の外周に保持されるスリーブであって、前記ヘッダ部を覆うように着脱自在に係止可能なロック機構を有するスリーブと、前記バルブ機構が前記液出しチューブの一端側に付勢されて密着し、当該液出しチューブの流体通路及び当該バルブ機構の流路を介して前記バッグから分配された液体を受け入れる手段と、を備える流体容器用の継手。
【0016】
(1)の発明による流体容器用の継手は、流体容器にディスペンサが接続される流体容器用の継手であって、流体容器が、可撓性のバッグと外側容器を備えている。バッグは、液体を注入可能に開口するネック部を有している。外側容器は、ネック部を口部で支持してバッグを収容することができる。
【0017】
例えば、バッグは、不活性材料で形成される可撓性フィルムの袋体と、比較的硬質の合成樹脂からなるネック部で構成され、袋体の端部にネック部が溶着されている。このバッグは、予め洗浄されており、外側容器に収容される。バッグから液体を排出した後に、ネック部付きバッグを廃棄し、新たなネック部付きバッグが外側容器に収容される。この流体容器は、外側容器が繰返し使用され、毎回新しいバッグが使用される複式格納型の容器となっている。
【0018】
外側容器は、繰返しの使用を可能とするために、強度のある材料で構成されることが好ましい。このような外側容器としては、ステンレス鋼を成形し、かつ溶接した金属製のドラム缶があるが、金属製のドラム缶に限定されることなく、合成樹脂を含む他の材料を使用してもよい。ここで、外側容器は、底板と、輪帯を有する側壁と、中央が隆起した天板とで構成されたスチール製のドラム缶が好ましく用いられる。外側容器は、口部(口栓とも呼ばれる)に雄ねじが形成され、成形された一対のハンドルを設けることにより運搬を容易としてもよい。
【0019】
ここで、ネック部の開口側にはフランジが形成され、一方、口部の内壁には段差が設けられており、このフランジが段差に係止することにより、ネック部が口部に支持されている。バッグを外側容器に収容し、バッグに装着されたネック部を外側容器の口部に支持した後に、バッグは好ましくは窒素又は圧縮空気によって膨張される。その後、バッグはネック部の開口から液体が注入される。
【0020】
又、(1)の発明による流体容器用の継手は、流体容器が、円筒状のプラグと液出しチューブを備えている。プラグは口部に保持される。又、プラグは、略筒状のヘッダ部を一端側に有し、筒部を他端側に有している。更に、プラグは、一端側から他端側に貫通する貫通穴とを有している。ヘッダ部は、プラグの円筒状底内から隆起している。筒部は、ネック部の開口に嵌合する。液出しチューブは、ヘッダ部の頂面に密着される鍔部を一端側に有している。又、液出しチューブの他端側は、プラグの貫通穴に挿入される。液出しチューブは、一端から他端まで延びる流体通路を有し、バッグ内の液体がこの流体通路を通って排出される。
【0021】
プラグの外径はネック部の内径より僅かに小さく、口部に支持されたネック部にプラグが嵌合する。プラグの一端側には、口部の内径より僅かに小さい外径を有するフランジが設けられ、このフランジにオーリングを担持し、口部を密封してもよい。このプラグは、後述する蓋が口部に締結されることにより、ネック部と共に口部に保持される。プラグの底部外壁と、口部の底部内壁との間に所定の間隙が設けられ、ネック部の底部に設けられる後述する第1開口と、プラグに設けられる後述する第2開口との間に気体を通気できる。
【0022】
筒部は、プラグの底部から突出するように設けられ、この筒部がネック部の開口に嵌合する。例えば、ネック部の開口内部にはオーリングが担持され、このオーリングが筒部の外周に密着することにより、バッグ内の気体を封止することができる。貫通穴はプラグの一端側から他端側に貫通するとは、ヘッダ部の上端から筒部の下端に貫通穴が貫通していること意味しており、この貫通穴に液出しチューブが挿入される。バッグ内の気体が後述する第3開口に通気できるように、貫通穴と液出しチューブの外周に間隙が設けられることが好ましい。
【0023】
更に、(1)の発明による流体容器用の継手は、流体容器が、外側容器の内部から口部に気体を通気可能な第1通気手段と、バッグの内部から口部に気体を通気可能な第2通気手段と、を備えている。第1通気手段は、複数の第1開口と、複数の第2開口と、を有している。複数の第1開口は、ネック部の底部に設けられ、外側容器の内部とネック部の内部とを連通している。複数の第2開口は、筒部の周囲からヘッダ部の頂面に連通している。第2通気手段は、複数の第3開口を有している。これらの第3開口は、液出しチューブの鍔部に設けられ、口部とプラグの貫通穴内部とを連通している。
【0024】
例えば、流体容器は、封止手段を備え、この封止手段を取り付けたときは、口部から液体と気体のいずれも流出することを防止する。又、封止手段を取り除いたときは、液出しチューブ内の液体が口部に排出される前に、外側容器内の気体、及びバッグ内の気体がそれぞれ第1及び第2通気手段を通って口部外に逃げるようになっている。
【0025】
第1開口は、ネック部の底部に形成される貫通穴であってよく、筒部が挿入されるネック部の開口の周囲に設けられる。この第1開口は、外側容器の内部空間と、プラグと口部との間に設けられる間隙とを実質的に連通している。第2開口は、筒部の周囲からヘッダ部の頂面に貫通するスリットであってよく、筒部とヘッダ部との間に設けられる。この第2開口は、プラグとネック部との間に設けられる間隙と大気とを実質的に連通している。
【0026】
第3開口は、液出しチューブの鍔部に形成される貫通穴であってよく、鍔部の上面からチューブの周囲に貫通している。例えば、鍔部の下面にはオーリングが担持され、このオーリングがヘッダ部の頂面に密着することにより、貫通穴を封止する。そして、第3開口は、貫通穴の内壁と液出しチューブの外壁に設けられた間隙と、大気とを実質的に連通している。なお、前述したように、この間隙はバッグの内部空間に通気可能となっている。
【0027】
封止手段は、後述するようにキャップであって、このキャップは、蓋に螺合するキャップ本体と、このキャップ本体の内部に突出するブッシュからなり、このブッシュは、鍔部の表面に密着して前記流体通路からの通気を封止するオーリングを備える。そして、このオーリングを含む封止手段によって、口部から液体と気体のいずれも流出することを防止できる。
【0028】
又、封止手段を取り除いたときは、液出しチューブ内の液体が口部に排出される前に、外側容器内の気体、及びバッグ内の気体がそれぞれ第1及び第2通気手段を通って口部外に逃げるようになっているので、液出しチューブ内の液体が口部外へ排出されることを防止できる。
【0029】
この流体容器は、特許文献1による従来の構造と全く異なっている。(1)の発明による流体容器は、特許文献1における「汲出しチューブ772」の上端における「カップリング724」に相当するものと、「汲出しチューブ772の流体通路780に連結されている空所776」であって、「カップリング724」の上端に有する「空所776」に相当するものと、を備えてはいない(図5及び図6参照)。
【0030】
特許文献1による従来の流体容器は、液出しチューブ内の気体と、バッグ内部の気体とが、空所を介して連通しているので、外側容器の内部が加圧されてバッグが収縮されても、液出しチューブ内の圧力とバッグ内部の圧力とが一致していた。したがって、封止手段を取り除いたときは、液出しチューブ内の液体が口部に排出される前に、外側容器内の気体、及びバッグ内の気体が空所を通って口部外に逃げるようになっていた。
【0031】
一方、流体容器は、液出しチューブ内の気体と外側容器内の気体、及びバッグ内の気体とが封止手段で個別に封止している。封止手段を取り除いたときは、液出しチューブ内の圧力と、外側容器内の圧力、及びバッグ内の圧力は、直ちに大気圧と一致するので、液出しチューブ内の液体が口部外へ排出されることを防止できる。
【0032】
一方、(1)の発明による流体容器用の継手は、ディスペンサが、ソケット本体と、バルブ機構と、スリーブと、を備えている。ソケット本体は、円筒状の外筒を有している。バルブ機構は、ソケット本体の内部に構成され、軸方向に貫通する流路を断続する。スリーブは、ソケット本体の開口側の外周に保持されている。又、スリーブは、ヘッダ部を覆うように着脱自在に係止可能なロック機構を有している。更に、ディスペンサが、バルブ機構が液出しチューブの一端側に付勢されて密着し、液出しチューブの流体通路及びバルブ機構の流路を介してバッグから分配された液体を受け入れる手段を備えている。
【0033】
例えば、バルブ機構は、後述するように、流路内に配置される弁体と、インナースリーブと、圧縮コイルばねと、連結座と、を含んで構成されてもよい。ここで、弁体は、流路内に配置され、先端側に弁を有し、基端側がソケット本体に固定されている。インナースリーブは、内部が流路の一部を形成し、胴部が伸縮自在なベローズを形成している。そして、インナースリーブの一端側は、弁に断続されるシート部を有し、インナースリーブの他端側がソケット本体に固定されている。圧縮コイルばねは、インナースリーブが伸長するように力を付勢している。連結座は、インナースリーブのシート部側に結合し、液出しチューブの一端側に付勢されて密着する。ロック機構は、後述するように、施錠子としてボールを用いたいわゆる、ボールキャッチであってよく、スリーブは、プラグのヘッダ部を覆うように着脱自在に係止する。
【0034】
通常は、ディスペンサは、シート部が弁に当接してバルブ機構内部の流路が遮断されている。プラグに対してソケット本体を挿入すると、バルブ機構が液出しチューブの一端側に付勢されて液出しチューブの頂面に密着する。更に、ソケット本体を挿入すると、シート部が弁から離間して、バルブ機構内部の流路が流通可能となる。スリーブがヘッダ部に係止された状態では、液出しチューブの流体通路とバルブ機構の流路が直結し、バッグから分配された液体を受け入れることが可能となる。
【0035】
(1)の発明による流体容器用の継手は、特許文献1に示された破断可能なシールを用いてはいない。したがって、ディスペンサに設けられるプローブがシールを突き破ることにより、シール破断片が、バッグ内に混入することを回避できる。又、作業者によっては、シールを上手に突き破れず、プローブが詰まって接続できないという懸念も払拭される。このように、(1)の発明による流体容器用の継手は、破断可能なシールを用いることなく、ディスペンサを容器に接続する継手構造とすることができた。
【0036】
(2) (1)記載の流体容器用の継手において、前記液出しチューブは、前記鍔部を有する一端側から他端側に至る途中でチューブが接合している流体容器用の継手。
【0037】
例えば、液出しチューブは、鍔部を有する一端側から他端側に至る途中でチューブを超音波振動で熱溶着できる。(2)の発明による流体容器用の継手は、液出しチューブを一体構造としたことにより、従来のように別体からなる汲出しチューブの圧入個所の隙間に浸透した薬品を除去する手間を省くことができる。
【0038】
(3) (1)又は(2)記載の流体容器用の継手において、前記口部に螺合する円環状の蓋を更に備え、この蓋は、前記ネック部及び前記プラグを当該口部に保持する流体容器用の継手。
【0039】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の流体容器用の継手において、前記ディスペンサは、前記第1通気手段の第2開口に連通し、加圧流体が供給される気体通路を前記ソケット本体と前記バルブ機構との間に設けている流体容器用の継手。
【0040】
この気体通路は、ソケット本体の外筒内壁に形成された複数のスリットであってよく、これらのスリットは、ロック状態において、一端側が第1通気手段の第2開口に連通し、他端側がディスペンサに設けられる供給ポートに接続されている。
【0041】
(5) (4)記載の流体容器用の継手において、前記バッグと前記外側容器との間に前記気体通路を介して加圧流体が供給されると、前記バッグが収縮され、前記液出しチューブの流体通路及び前記バルブ機構の流路を介して前記バッグから液体が分配される流体容器用の継手。
【0042】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の流体容器用の継手において、前記バルブ機構は、前記流路内に配置される弁体であって、先端側に弁を有し、基端側が前記ソケット本体に固定される弁体と、内部は前記流路の一部を形成し、胴部は伸縮自在なベローズを形成し、一端側は前記弁に断続されるシート部を有し、他端側が前記ソケット本体に固定されるインナースリーブと、前記インナースリーブ内部に配置され、当該インナースリーブが伸長するように力を付勢する圧縮コイルばねと、前記インナースリーブのシート部側に結合し、前記液出しチューブの一端側に付勢されて密着する連結座と、を含んでいる流体容器用の継手。
【0043】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の流体容器用の継手において、前記ロック機構は、前記スリーブの開口側の内周に配置される複数のボールと、前記複数のボールを保持するボールリテーナであって、これらのボールが軸方向に移動する動き及び外周方向に拡縮する動きのみを許容する複数の嵌合穴を設けているボールリテーナと、前記ソケット本体と前記スリーブとの間にスライド可能に配置され、前記複数のボールを前記スリーブの開口側に付勢することにより前記複数のボールが縮径する方向に押圧するスライドリングと、を含み、前記プラグのヘッダ部に前記複数のボールが係止される環状の係止溝を設けることにより、前記流体容器に当該ディスペンサが着脱自在に接続される流体容器用の継手。
【0044】
(7)の発明による流体容器用の継手は、ロック機構が、複数のボールと、ボールリテーナと、スライドリングと、を含んでいる。複数のボールは、スリーブの開口側の内周に配置されている。ボールリテーナは、複数のボールを保持している。又、ボールリテーナは、複数のボールが軸方向に移動する動き及び外周方向に拡縮する動きのみを許容する複数の嵌合穴を設けている。スライドリングは、ソケット本体とスリーブとの間に配置されている。スライドリングは、複数のボールをスリーブの開口側に付勢することにより、複数のボールが縮径する方向に押圧している。そして、(7)の発明による流体容器用の継手は、プラグのヘッダ部に複数のボールが係止される環状の係止溝を設けることにより、流体容器にディスペンサが着脱自在に接続される。
【0045】
例えば、ボールリテーナは、ソケット本体の一部で構成されている。そして、このボールリテーナとスリーブの間に複数のボールが保持されている。ボールリテーナとスリーブが離間しないように、クリップリングで相互に結合してもよい。又、ソケット本体の外壁に段差が設けられ、この段差がスリーブで囲われることにより、段差内にスライドリング及びスライドリングを付勢する圧縮コイルばねを収容することができる。
【0046】
通常は、複数のボールの一部が各嵌合穴から突出している。プラグに対してソケット本体を挿入すると、複数のボールは各嵌合穴に案内されて後退する。複数のボールの後退運動に連動して、スライドリングも後退する。スライドリングが一定距離後退すると、スライドリングが退避した空間に複数のボールが移動する。すなわち、複数のボールは拡径する方向に移動し、複数のボールの一部が各嵌合穴から退避する。複数のボールが環状の係止溝に到達すると、スライドリングに付勢されて、係止溝に嵌合してロック状態となる。複数のボールが係止溝を乗り越える強い力で、ディスペンサを引き抜くことにより、容器からディスペンサを分離することができる。
【0047】
このように、(7)の発明による流体容器用の継手は、従来のようにディスペンサを螺合することなく、ワンタッチで容器に接続できる。(7)の発明による流体容器用の継手は、クイックコネクタを実現していると言ってもよい。
【発明の効果】
【0048】
本発明による流体容器用の継手は、鍔部を有する液出しチューブがプラグを介して外側容器の口部に装着できる構造としたので、作業者の力加減に依存することなく、液出しチューブを容器に容易に装着できる。又、ディスペンサに備わる流路が液出しチューブの流体通路に直結できる構造としたので、ディスペンサを容器に容易に接続できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0050】
図1は、本発明による流体容器(以下、容器と略称する)用の継手の一実施形態を示す縦断面図であり、容器の頂端部とディスペンサを示している。図2は、前記実施形態による容器の継手の頂端部の断面分解組立図である。図3は、前記実施形態による容器の継手の断面分解組立図であり、容器の頂端部とディスペンサを示している。図4は、前記実施形態による容器の継手の縦断面図であり、組み立てられた容器及びディスペンサを示している。
【0051】
最初に、本発明に用いられる容器の構成を説明する。図1において、容器1は、可撓性のバッグ12と外側容器13を備えている。バッグ12は、液体を注入可能に開口するネック部11を有している。外側容器13は、ネック部11を口部13aで支持して、バッグ12を収容することができる。
【0052】
図1又は図2において、バッグ12は、不活性材料で形成される可撓性フィルムの袋体と、比較的硬質の合成樹脂からなるネック部11で構成され、可撓性フィルムの袋体の端部にネック部11が溶着されている。バッグ12は、予め洗浄されており、外側容器13に収容される。バッグ12から液体を排出した後に、ネック部11付きバッグ12を廃棄し、新たなネック部11付きバッグ12が外側容器13に収容される。本発明による流体容器は、外側容器が繰返し使用され、毎回新しいバッグが使用される複式格納型の容器となっている。
【0053】
図1又は図2において、外側容器13は、底板と、輪帯を有する側壁と、中央が隆起した天板と(いずれも図示せず)で構成されたスチール製のドラム缶が好ましく用いられる。外側容器13は、口部13aに雄ねじ131が形成され、成形された一対のハンドル(図示せず)を設けることにより運搬を容易としてもよい。
【0054】
図2に示されるように、ネック部11の開口側にはフランジが形成され、一方、口部13aの内壁には段差が設けられており、このフランジが段差に係止することにより、ネック部11が口部13aに支持されている。バッグ12を外側容器13に収容し、バッグ12に装着されたネック部11を外側容器13の口部13aに支持した後に、バッグ12は好ましくは窒素又は圧縮空気によって膨張される。その後、バッグ12はネック部11の開口11aから液体が注入される(図2参照)。
【0055】
本発明による容器の継手は、円筒状のプラグ14と液出しチューブ15を備えている(図2参照)。図2において、プラグ14は口部13aに保持されている。又、プラグ14は、略筒状のヘッダ部14aを一端側に有し、筒部14bを他端側に有している。更に、プラグ14は、一端側から他端側に貫通する貫通穴14cを有している。ヘッダ部14aは、プラグ14の円筒状底内から隆起している。筒部14bは、ネック部11の開口に嵌合する(図3参照)。
【0056】
図2において、液出しチューブ15は、ヘッダ部14aの頂面141に密着される鍔部15aを一端側に有している。又、液出しチューブ15の他端側は、プラグ14の貫通穴14cに挿入される。液出しチューブ15は、一端から他端まで延びる流体通路15bを有し、バッグ12内の液体が流体通路15bを通って排出される(図1参照)。
【0057】
図2において、プラグ14の外径はネック部11の内径より僅かに小さく、口部13aに支持されたネック部11にプラグ14が嵌合する(図3参照)。プラグ14の一端側には、口部13aの内径より僅かに小さい外径を有するフランジが設けられ、このフランジにオーリングが担持され、口部13aが密封されている(図3参照)。
【0058】
プラグ14は、蓋16が口部13aに締結されることにより、ネック部11と共に口部13aに保持される(図1参照)。プラグ14の底部外壁と、口部13aの底部内壁との間に所定の間隙が設けられ、ネック部11の底部に設けられる複数の第1開口11bと、プラグ14に設けられる複数の第2開口14dとの間に気体を通気できる(図2参照)。
【0059】
図2において、筒部14bは、プラグ14の底部から突出するように設けられ、筒部14bがネック部11の開口11aに嵌合する。ネック部11の開口11a内部にはオーリングが担持され、このオーリングが筒部14bの外周に密着することにより、バッグ12内の気体を封止することができる(図3参照)。ヘッダ部14aの上端から筒部14bの下端に貫通穴14cが貫通しており、貫通穴14cに液出しチューブ15が挿入される(図3参照)。バッグ12内の気体が複数の第3開口15cに通気できるように、貫通穴14cと液出しチューブ15の外周に間隙が設けられている(図3参照)。
【0060】
本発明による容器の継手は、外側容器13の内部から口部13aに気体を通気可能な第1通気手段と、バッグ12の内部から口部13aに気体を通気可能な第2通気手段と、口部13aを封止する封止手段と、を備えている。図2において、第1通気手段は、複数の第1開口11bと、複数の第2開口14dと、を有している。複数の第1開口11bは、ネック部11の底部に設けられ、外側容器13の内部とネック部11の内部とを連通している。複数の第2開口14dは、筒部14bの周囲からヘッダ部14aの頂面141に連通している。第2通気手段は、複数の第3開口15cを有している。複数の第3開口15cは、液出しチューブ15の鍔部15aに設けられ、口部13aとプラグ14の貫通穴14c内部とを連通している(図3参照)。
【0061】
そして、本発明による容器の継手は、封止手段を取り付けたときは、口部13aから液体と気体のいずれも流出することを防止する。又、封止手段を取り除いたときは、液出しチューブ15内の液体が口部13aに排出される前に、外側容器13内の気体、及びバッグ12内の気体がそれぞれ第1及び第2通気手段を通って口部13a外に逃げるようになっている。
【0062】
図2に示されるように、第1開口11bは、ネック部11の底部に形成される貫通穴であって、筒部14bが挿入されるネック部11の開口11aの周囲に設けられる。第1開口11bは、外側容器13の内部空間と、プラグ14と口部13aとの間に設けられる間隙とを実質的に連通している(図3参照)。第2開口14dは、筒部14bの周囲からヘッダ部14aの頂面141に貫通するスリットであってよく、筒部14bとヘッダ部14aとの間に設けられる。第2開口14dは、プラグ14とネック部11との間に設けられる間隙と、大気とを実質的に連通している(図3参照)。
【0063】
図2に示されるように、第3開口15cは、液出しチューブ15の鍔部15aに形成される貫通穴であって、鍔部15aの上面からチューブの周囲に貫通している。図2において、鍔部15aの下面にはオーリングが担持され、このオーリングがヘッダ部14aの頂面141に密着することにより、貫通穴14cを封止する。そして、第3開口15cは、貫通穴14cの内壁と液出しチューブ15の外壁に設けられた間隙と、大気とを実質的に連通している(図3参照)。前述したように、この間隙はバッグ12の内部空間に通気可能となっている。
【0064】
図1及び図3において、封止手段は、口部13aに備わる蓋16に螺合するキャップ17であって、キャップ17は、蓋16に螺合する遮光性を有するキャップ本体17aと、キャップ本体17aの内部に突出する耐食性を有するブッシュ17bで構成されている。ブッシュ17bは、鍔部15aの表面に密着して流体通路15bからの通気を封止するオーリング171を備えている。
【0065】
図1において、キャップ本体17aは、金属体からなり、キャップ本体17aの内周には、蓋16に螺合する雌ねじが設けられている。キャップ17を締めたときに、キャップ本体17aの内壁は、プラグ14の頂面に当接している。キャップ本体17aは、バッグ12に収容される薬品が化学変化しないように、遮光性を有している。ブッシュ17bは、バッグ12に収容される薬品に触れる可能性が多いので、耐食性を有する合成樹脂からなることが好ましい。ブッシュ17bの一端側は、キャップ本体17aに圧入されて、ブッシュ17bとキャップ本体17aを一体化している(図3参照)。ブッシュ17bの他端側は、キャップ本体17aの内部に突出し、先端面にオーリング171を担持している。オーリング171は、鍔部15aの表面に密着して流体通路15bからの液体と気体のいずれも流出することを防止できる。
【0066】
又、キャップ本体17aの側周には、蓋16との螺合を解除すると、液出しチューブ15内の液体が口部13aに排出される前に、外側容器13内の気体、及びバッグ12内の気体がそれぞれ第1及び第2通気手段を通って口部13a外に逃げる一つ以上の通気穴172が設けられている(図1又は図3参照)。このように、キャップ本体17aの側周に通気穴172を設けることにより、キャップ17を緩めたときに、オーリング171と鍔部15aの表面との密着が解除され、少なくとも複数の第3開口15c内の気体が通気穴172から外部に排出される。そして、液出しチューブ15内の液体が噴出することを防止できる。
【0067】
図1において、キャップ17を取り除いたときは、液出しチューブ15内の液体が口部13aに排出される前に、外側容器13内の気体、及びバッグ12内の気体がそれぞれ第1及び第2通気手段を通って口部13a外に逃げるようになっているので、液出しチューブ15内の液体が口部13a外へ排出されることを防止できる。
【0068】
本発明による容器の継手は、液出しチューブ15内の気体と外側容器13内の気体、及びバッグ12内の気体とがキャップ17で個別に封止している。キャップ17を取り除いたときは、液出しチューブ15内の圧力と、外側容器13内の圧力、及びバッグ12内の圧力は、直ちに大気圧と一致するので、液出しチューブ15内の液体が口部13a外へ排出されることを防止できる。
【0069】
又、図2に示されるように、液出しチューブ15は、鍔部15aを有する一端側から他端側に至る途中でチューブ151を接合している。液出しチューブ15は、鍔部15aを有する一端側から他端側に至る途中でチューブ151を超音波振動で熱溶着できる。本発明による容器の継手は、液出しチューブ15を一体構造としたことにより、従来のように別体からなる汲出しチューブの圧入個所の隙間に浸透した薬品を除去する手間を省くことができる。
【0070】
本発明による容器の継手は、キャップを取り除いて、ディスペンサを接続することにより、容器内の液体を分配できる。図1において、ディスペンサ2は、ソケット本体21と、バルブ機構V1と、スリーブ22と、を備えている。ソケット本体21は、円筒状の外筒を有している。バルブ機構V1は、ソケット本体21の内部に構成され、軸方向に貫通する流路21aを断続する。スリーブ22は、ソケット本体21の開口側の外周に保持されている。又、スリーブは、ヘッダ部14aを覆うように着脱自在に係止可能なロック機構2rを有している。更に、ディスペンサ2は、バルブ機構V1が液出しチューブ15の一端側に付勢されて密着し、液出しチューブ15の流体通路15b及びバルブ機構V1の流路21aを介してバッグ12から分配された液体を受け入れる手段を備えている(図4参照)。
【0071】
図1において、バルブ機構V1は、流路21a内に配置される弁体23と、インナースリーブ24と、圧縮コイルばね25と、連結座26と、を含んで構成されている。弁体23は、流路21a内に配置され、先端側に弁23aを有し、基端側がソケット本体21に固定されている。インナースリーブ24は、内部が流路21aの一部を形成し、胴部24aが伸縮自在なベローズを形成している。インナースリーブ24の一端側は、弁23aに断続されるシート部24bを有し、インナースリーブ24の他端側がソケット本体21に固定されている。圧縮コイルばね25は、インナースリーブ24が伸長するように力を付勢している。連結座26は、インナースリーブ24のシート部24b側に結合し、液出しチューブ15の一端側に付勢されて密着する。ロック機構2rは、後述するように、施錠子としてボール2bを用いたいわゆる、ボールキャッチであってよく、スリーブ22は、プラグ14のヘッダ部14aを覆うように着脱自在に係止する(図4参照)。
【0072】
図1に示されるように、通常は、ディスペンサ2は、シート部24bが弁23aに当接してバルブ機構V1内部の流路21aが遮断されている。プラグ14に対してソケット本体21を挿入すると、バルブ機構V1が液出しチューブ15の一端側に付勢されて液出しチューブ15の頂面に密着する。更に、ソケット本体21を挿入すると、シート部24bが弁23aから離間して、バルブ機構V1内部の流路21aが流通可能となる(図4参照)。スリーブ22がヘッダ部14aに係止された状態では、液出しチューブ15の流体通路15bとバルブ機構V1の流路21aが直結し、バッグ12から分配された液体を受け入れることが可能となる。
【0073】
本発明による流体容器用の継手は、特許文献1に示された破断可能なシールを用いてはいない。したがって、ディスペンサに設けられるプローブがシールを突き破ることにより、シール破断片が、バッグ内に混入することを回避できる。又、作業者によっては、シールを上手に突き破れず、プローブが詰まって接続できないという懸念も払拭される。このように、本発明による容器の継手は、破断可能なシールを用いることなく、ディスペンサを容器に接続する継手構造とすることができた。
【0074】
図1において、ディスペンサ2は、第1通気手段の第2開口14dに連通し(図4参照)、加圧流体が供給される気体通路211をソケット本体21とバルブ機構V1との間に設けている。気体通路211は、ソケット本体21の外筒内壁に形成された複数のスリットであって、これらのスリットは、ロック状態において、一端側が第1通気手段の第2開口14dに連通し、他端側がディスペンサ2に設けられる供給ポートP1に接続されている。そして、バッグ12と外側容器13との間に、気体通路211を介して加圧流体が供給されると、バッグ12が収縮され、液出しチューブ15の流体通路15b及びバルブ機構V1の流路21aを介してバッグ12から液体が排出ポートP2に分配される。
【0075】
図1において、ロック機構2rは、複数のボール2bと、ボールリテーナ27と、スライドリング28と、を含んでいる。複数のボール2bは、スリーブ22の開口側の内周に配置されている。ボールリテーナ27は、複数のボール2bを保持している。又、ボールリテーナ27は、複数のボール2bが軸方向に移動する動き及び外周方向に拡縮する動きのみを許容する複数の嵌合穴27aを設けている。スライドリング28は、ソケット本体21とスリーブ22との間に配置されている。スライドリング28は、複数のボール2bをスリーブ22の開口側に付勢することにより、複数のボール2bが縮径する方向に押圧している。そして、プラグ14のヘッダ部14aに複数のボール2bが係止される環状の係止溝14eが設けられているので、容器1にディスペンサ2が着脱自在に接続される。
【0076】
図1において、ボールリテーナ27は、ソケット本体21の一部で構成されている。そして、ボールリテーナ27とスリーブ22の間に複数のボール2bが保持されている。ボールリテーナ27とスリーブ22が離間しないように、クリップリング27bで相互に結合されている。又、ソケット本体21の外壁に段差が設けられ、この段差がスリーブ22で囲われることにより、段差内にスライドリング28及びスライドリング28を付勢する圧縮コイルばね29を収容することができる。
【0077】
図1に示されるように、通常は、複数のボール2bの一部が各嵌合穴27aから突出している。プラグ14に対してソケット本体21を挿入すると、複数のボール2bは各嵌合穴27aに案内されて後退する。複数のボール2bの後退運動に連動して、スライドリング28も後退する。スライドリング28が一定距離後退すると、スライドリング28が退避した空間に複数のボール2bが移動する。すなわち、複数のボール2bは拡径する方向に移動し、複数のボール2bの一部が各嵌合穴27aから退避する。複数のボール2bが環状の係止溝14eに到達すると、スライドリング28に付勢されて、係止溝14eに嵌合してロック状態となる(図4参照)。複数のボール2bが係止溝14eを乗り越える強い力で、ディスペンサ2を引き抜くことにより、容器1からディスペンサ2を分離することができる。
【0078】
このように、本発明による流体容器用の継手は、従来のようにディスペンサを螺合することなく、ワンタッチで容器に接続できる。本発明による流体容器用の継手は、クイックコネクタを実現していると言ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明による流体容器用の継手の一実施形態を示す縦断面図であり、容器の頂端部とディスペンサを示している。
【図2】前記実施形態による流体容器用の継手の頂端部の断面分解組立図である。
【図3】前記実施形態による流体容器用の継手の断面分解組立図であり、流体容器の頂端部とディスペンサを示している。
【図4】前記実施形態による流体容器用の継手の縦断面図であり、組み立てられた流体容器及びディスペンサを示している。
【図5】従来技術による容器の頂端部の断面図であり、キャップが装着された状態図である。
【図6】従来技術による容器の上端の断面図であり、容器及びディスペンサが組み立てられた状態を示している。
【符号の説明】
【0080】
1 容器(流体容器)
2 ディスペンサ
11 ネック部
11b 第1開口(第1通気手段)
12 バッグ
13 外側容器
13a 口部
14 プラグ
14a ヘッダ部
14b 筒部
14c 貫通穴
14d 第2開口(第1通気手段)
15 液出しチューブ
15a 鍔部
15b 流体通路
15c 第3開口(第2通気手段)
17 キャップ(封止主段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を注入可能に開口するネック部を有する可撓性のバッグと、このネック部を口部で支持して当該バッグを収容する外側容器と、を備える流体容器にディスペンサが接続される流体容器用の継手であって、
前記流体容器は、
前記口部に保持される円筒状のプラグであって、一端側に円筒状底内から隆起する略筒状のヘッダ部、及び他端側に前記ネック部の開口に嵌合する筒部、及び一端側から他端側に貫通する貫通穴を有するプラグと、
一端側は前記ヘッダ部の頂面に密着される鍔部を有し、他端側は前記貫通穴に挿入される液出しチューブであって、一端から他端まで延びる流体通路を有し、前記バッグ内の液体がこの流体通路を通って排出される液出しチューブと、
前記外側容器の内部から前記口部に気体を通気可能な第1通気手段であって、前記ネック部の底部に設けられ、前記外側容器の内部と当該ネック部の内部とを連通する複数の第1開口、及び前記筒部の周囲から前記ヘッダ部の頂面に連通する複数の第2開口を有する第1通気手段と、
前記バッグの内部から前記口部に気体を通気可能な第2通気手段であって、前記鍔部に設けられ、前記口部と前記貫通穴内部とを連通する複数の第3開口を有する第2通気手段と、を備え、
前記ディスペンサは、
円筒状の外筒を有するソケット本体と、
このソケット本体の内部に構成され、軸方向に貫通する流路を断続するバルブ機構と、
このソケット本体の開口側の外周に保持されるスリーブであって、前記ヘッダ部を覆うように着脱自在に係止可能なロック機構を有するスリーブと、
前記バルブ機構が前記液出しチューブの一端側に付勢されて密着し、当該液出しチューブの流体通路及び当該バルブ機構の流路を介して前記バッグから分配された液体を受け入れる手段と、を備える流体容器用の継手。
【請求項2】
請求項1記載の流体容器用の継手において、
前記液出しチューブは、前記鍔部を有する一端側から他端側に至る途中でチューブが接合している流体容器用の継手。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流体容器用の継手において、
前記口部に螺合する円環状の蓋を更に備え、この蓋は、前記ネック部及び前記プラグを当該口部に保持する流体容器用の継手。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の流体容器用の継手において、
前記ディスペンサは、前記第1通気手段の第2開口に連通し、加圧流体が供給される気体通路を前記ソケット本体と前記バルブ機構との間に設けている流体容器用の継手。
【請求項5】
請求項4記載の流体容器用の継手において、
前記バッグと前記外側容器との間に前記気体通路を介して加圧流体が供給されると、前記バッグが収縮され、前記液出しチューブの流体通路及び前記バルブ機構の流路を介して前記バッグから液体が分配される流体容器用の継手。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の流体容器用の継手において、
前記バルブ機構は、
前記流路内に配置される弁体であって、先端側に弁を有し、基端側が前記ソケット本体に固定される弁体と、
内部は前記流路の一部を形成し、胴部は伸縮自在なベローズを形成し、一端側は前記弁に断続されるシート部を有し、他端側が前記ソケット本体に固定されるインナースリーブと、
前記インナースリーブ内部に配置され、当該インナースリーブが伸長するように力を付勢する圧縮コイルばねと、
前記インナースリーブのシート部側に結合し、前記液出しチューブの一端側に付勢されて密着する連結座と、を含んでいる流体容器用の継手。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の流体容器用の継手において、
前記ロック機構は、
前記スリーブの開口側の内周に配置される複数のボールと、
前記複数のボールを保持するボールリテーナであって、これらのボールが軸方向に移動する動き及び外周方向に拡縮する動きのみを許容する複数の嵌合穴を設けているボールリテーナと、
前記ソケット本体と前記スリーブとの間にスライド可能に配置され、前記複数のボールを前記スリーブの開口側に付勢することにより前記複数のボールが縮径する方向に押圧するスライドリングと、を含み、
前記プラグのヘッダ部に前記複数のボールが係止される環状の係止溝を設けることにより、前記流体用容器に当該ディスペンサが着脱自在に接続される流体容器用の継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−204102(P2007−204102A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23763(P2006−23763)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【特許番号】特許第3914560号(P3914560)
【特許公報発行日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】