説明

流体投与ヘッド

流体容器(1)に設置するための流体投与ヘッドであって、容器(1)に対し静止した形で設置される本体(20)と、軸方向の上下移動が可能な弁ロッド(21)と、を有するポンプまたは弁といった投与部材(2)と、軸方向の上下運動が可能で、それにより弁ロッド(21)を動かす押しボタン(5、7)と、弁ロッドに接続された投与開口部(60)と、を有し、特徴となるのは、
押しボタンを弁ロッド(21)に対する軸方向移動の形で動かす駆動手段(4)をさらに有することである、
という投与ヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体容器に連結または設置するための流体投与ヘッドに関する。「投与ヘッド」という語は、本明細書では、流体ディスペンサを構成するため容器に設置されるユニット全体を指す。ヘッドを駆動すれば、容器から流体が取り出され、投与開口部から投与される。こうした投与ヘッドは、香水、化粧品、さらには医薬品の分野においてしばしば利用される。
【背景技術】
【0002】
従来の形において、投与ヘッドは、ポンプまたは弁といった流体投与部材を有する。一般的に、投与部材は、容器に対し静止した形で設置される本体と、本体に対し軸方向に上下移動可能な弁ロッドとを有する。投与ヘッドはさらに、軸方向に上下移動可能で、それにより弁ロッドを動かす押しボタンを有する。投与ヘッドは、流体を放出するための投与開口部をさらに有し、当該投与開口部は弁ロッドに接続されている。こうした構成では、1本または複数の指で押しボタンを押せば、弁ロッドは投与部材の本体の中に押し込まれ、それにより、流体が容器から(場合によっては定量化された形で)投与される。
【0003】
そうした従来の投与ヘッドにおいて、押しボタンの唯一可能な移動は、軸方向の上下移動であり、こうした移動は、ユーザが1本または複数の指を用いて押しボタンに形成されたスラスト面を押せば生じる。押しボタンは、弁ロッドに直接連結されているため、押しボタンが移動すれば弁ロッドも直接移動される。言い換えれば、押しボタンと弁ロッドとは一緒に、そして同時に移動する。
【0004】
従来技術においては、押しボタンのロック機能を実現するため、移動軸を中心として回転する形で移動可能な押しボタンを備えている、という投与ヘッドも公知である。すなわち、押しボタンは、ロック位置と駆動可能位置との間で回転することができ、ロック位置では軸方向に移動できず、駆動可能位置ではロックが解除されて、ユーザが押しボタンを押し、軸方向に上下移動させて流体を投与させることができる。しかし、押しボタンは常に、弁ロッドに直接連結されたままの状態で保たれており、結果として、それらは一緒に、そして同時に軸方向に移動することを強いられる。
【0005】
従来技術においては、また、投与ヘッドと容器との両方が収容されたケースを有するディスペンサも公知である。ケースには駆動手段が設けられている。当該駆動手段は、投与ヘッドと容器とをケースの内部で移動させ、それによって押しボタンを駆動のためにケースから突出させることができる。この場合もやはり、押しボタンは弁ロッドに直接連結されており、したがって、それらは一緒に、そして同時に移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許公報第01/53157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、押しボタンが一時的または選択的に弁ロッドから分離される、という別の種類の投与ヘッドを形作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的ため、本発明は、流体容器に設置するための流体投与ヘッドであって、容器に対し静止した形で設置される本体と、軸方向の上下移動が可能な弁ロッドと、を有するポンプまたは弁といった投与部材と、軸方向の上下運動が可能で、それにより弁ロッドを動かす押しボタンと、弁ロッドに接続された投与開口部と、を有し、特徴となるのは、押しボタンを弁ロッドに対する軸方向移動の形で動かす駆動手段をさらに有することである、という投与ヘッドを提供する。この構成では、押しボタンは弁ロッドと関わりなく移動することができ、投与部材を容器に対し静止した形で保持できる。当然のことながら、駆動手段は、ユーザの指でなく、投与ヘッドの構成部品であると理解されるべきである。
【発明の効果】
【0009】
効果的な構成として、押しボタンは、駆動手段により回転され、当該押しボタンは角度的に1ストローク分の回転をすると同時に、軸方向の低位置と軸方向の高位置との間を軸方向に移動される。
実際的な実施の形態において、投与ヘッドは、押しボタンの回転移動を、押しボタンの弁ロッドに対する軸方向の移動に変化させるためのカム手段を有する。本発明の別の側面において、駆動手段は、本体に対し軸方向に移動することなく回転し、カム手段は、押しボタンと本体に対し静止した形で設置された部品との間に設けられている。また、押しボタンは、弁ロッドに対し回転方向と軸(並進)方向との両方に移動される。この連結的な移動はらせん状タイプのものとなる。ユーザは、軸方向に移動させるのでなく軸を中心として回転させる形で、駆動手段を操作するが、それにより、押しボタンは回転と軸方向並進との両方の形で動く。
【0010】
実際的な実施の形態において、投与ヘッドは、投与部材を容器に固定するための固定手段を有し、当該固定手段は、投与部材と容器との両方と係合するリングと、リングを容器上でブロックするためのブロック用フープと、フープに回転可能な形で設置された駆動手段と、押しボタンとフープとの間に形成されたカム手段とを有する。効果的な構成として、押しボタンは駆動手段の内部に収容され、押しボタンと駆動手段とは、多角形で、効果的な構成としては正方形の断面を呈している。押しボタンは、その多角形の形状により、駆動手段により直接動かされ、押しボタンと円筒形の駆動手段との場合に必要とされるような特別な構成を設けなくてもよい。しかし、そうした円筒形の形状も本発明の範囲から除外されるわけではない。
【0011】
本発明の別の特徴において、投与開口部は押しボタンに設置され、可撓性ホースを介して弁ロッドに接続されている。可撓性ホースにより、押しボタンを弁ロッドに対し回転と並進との両方の形で移動させることができる。結果として、可撓性ホースは、押しボタンが駆動ロッドに対し移動させられている間は変形されるが、反対に、流体投与の段階の間は静止した状態のままである。これは、その段階では、押しボタンが弁ロッドに直接連結されているためである。
【0012】
本発明のもう1つの側面において、投与開口部は、軸方向の低位置にある際は、駆動手段により隠されている。つまり、駆動手段は、軸方向の低位置にある押しボタンを保護するための保護シースの役割を果たすことができる。
また、もう1つの側面において、弁ロッドには力伝達部材が設けられ、押しボタンは、軸方向の高位置において前記部材と係合し、軸方向の低位置において前記部材から外れる。効果的な構成として、押しボタンは2つのスラストフランジを有し、これらは、軸方向の高位置において、弁ロッドの両側で、部材の上の位置に置かれる。結果として、軸方向の低位置において、押しボタンは完全に弁ロッドから分離される。軸方向の低位置において押しボタンを駆動しても効果はない。なぜなら、押しボタンが弁ロッドを動かすことがないからである。反対に、軸方向の高位置においては、押しボタンは力伝達手段を介して弁ロッドに連結されている。
【0013】
本発明のもう1つの特徴において、部材は、フープにより軸方向に誘導される。これは、力伝達手段が押しボタンにより回転させられることはなく、それどころか逆に、回転を妨げられることを意味する。フープは本体および容器に対し静止しているからである。
本発明の投与ヘッドでは、押しボタンは軸方向に移動可能で、軸方向の高位置においてのみ弁ロッドを動かす。軸方向の低位置において、押しボタンは弁ロッドから分離されている。流体が投与されるたびに、ユーザは駆動手段を操作して、押しボタンを軸方向の低位置に戻すことができ、これにより、休止、輸送、または貯蔵のための位置を規定できる。
【0014】
本発明の主旨は、流体投与の段階ではない操作段階において、押しボタンを弁ロッドと関わりなく軸方向に移動させることができる点にある。操作段階は、投与段階の前または後である。効果的な構成として、押しボタンの並進移動に合わせて、押しボタンが同時に回転するが、これは、効果的な構成として、弁ロッドを押しボタンに形成された投与開口部に接続する可撓性ホースを用いることで可能となる。
【0015】
本発明の実施の形態を非限定的な例として示す添付図面を参照しながら、以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の投与ヘッドを流体容器に設置できる状態で示す分解斜視図である。
【図2】図1の投与ヘッドを設置状態、かつ軸方向の低/休止位置において示す図である。
【図3】図2に対応する図であって、ヘッドの内部構造を示すため、いくつかの構成部品を省略した形で示す図である。
【図4】図2の切断線A-Aにおける縦断面図である。
【図5】図2の切断線B-Bにおける別の断面図である。
【図6】図2と同様の図であって、ヘッドを軸方向の高位置において示す図である。
【図7】図3と同様の図であって、軸方向の高位置における図である。
【図8】図6の切断線C-Cにおける縦断面図である。
【図9】図6の切断線D-Dにおける縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1を参照しながら、本発明の非限定的な実施の形態を構成する投与ヘッドのさまざまな構成部品の構造を詳しく説明する。
投与ヘッドは流体容器1に連結するためのもので、当該容器1には本体10とネック11とが形作られている。本体10は、容器の容積にあたる動作容積を規定する。ネック11には開口部12が形作られ、当該開口部12により本体10の内部は外部と通じている。ネック11には、突出する外縁リムが形成されており、当該リムには、下向きに方向付けられたショルダー13が形作られている。ショルダー13は、投与ヘッドを容器に固定する働きをする。この特定の実施の形態において、容器の本体10には、多角形(効果的な構成として四角形)の部分が形作られている。
【0018】
この特定の実施の形態において、投与ヘッドは6つの別個の構成部品(すなわち、投与部材2、フープ3、駆動手段4、押しボタンコア5、流路連絡/スラスト伝達システム6、そして押しボタンカバー7)を有する。これら全ての構成部品は、適当なプラスチック素材を射出成形して作ることができる。駆動手段4や押しボタンカバー7のような特定の構成部品は、たとえば金属で作ることもできる。
【0019】
投与部材2は、本体20を有するポンプまたは弁とすることができ、本体20には、下側入口が形作られており、下側入口には、必須ではないがディップチューブを設けてある。また、ポンプまたは弁は、弁ロッド21をさらに有し、当該弁ロッド21は、本体20の内部で軸方向の上下移動が可能である。従来の形において、弁ロッド21には流体用の内側流路ダクトが形作られており、当該内側流路ダクトは、出口弁により選択的に本体20の内部と連絡される。ポンプまたは弁には、固定リング22を装着することもでき、固定リング22には、固定タブ23が、ネック12のショルダー13の下に係合する形で設けられている。この実施の形態において、固定リング22は、投与部材の構成部品として示されている。しかし、固定リングは、投与部材とは別個の部品で、投与部材に固定されている、という形にすることもできる。ただし、この実施の形態において、固定リングは投与部材の一体化部分を形成していると見なす。これは、香水、化粧品、さらには医薬品の分野におけるポンプまたは弁では極めて従来型のデザインである。弁ロッド21を押せば出口弁(図示せず)は開き、本体20に貯蔵された流体をロッド21から流出させることができる。
【0020】
フープ3は複数の機能を果たす。その第1の機能は、固定リング22を容器のネック11上でブロックまたはロックすることである。この目的のため、フープ3にはロック用ブッシング32が形作られており、当該ブッシング32は、図4、5、8、そして9から見て取れるように、リング22の周囲にクランプ接触する内壁を有する。そのため、リング22のタブ23がショルダー13の下方から外れる事態はフープ3により防止される。また、ロック用ブッシング32も他の機能を果たす。観察すべき点として、図1において、ブッシング32には、2つの軸方向スロット34により隔てられた2つの半円筒部分を形作る形で隙間が空けられている。スロット34は、ロック用ブッシング32の高さ全体にわたって延びているわけではない。ブッシング32の下側部分は、その周縁全体にわたって切れ目がなく、ショルダー13のタブ23の周囲にクランプ接触する。スロット34は、後述するヘッドの別の構成部品を軸方向に誘導するための軸方向誘導スロットである。加えて、ロック用ブッシング32の外側には、カム手段が2つのカムパス33の形で形作られ、当該カムパス33は、ブッシング32の外壁に溝を形成している。カムパス33はそれぞれ、らせん状部分331と軸方向に垂直な部分332とを有する。軸方向部分332の上端はらせん状部分331に接続している。カムパス33はそれぞれ、実質的に90度を超えて広がっている。さらに厳密に言えば、らせん状部分331は実質的に90度を超えて広がり、一方、軸方向に垂直な部分332は実際的な角度的な広がりを持たない。2つのカムパス33は、後述するヘッドの別の構成部品に形成された2つのカムラグと協働するためのものである。容易に理解できるように、ラグをらせん状部分331の中で移動させると、後述する構成部品が軸方向に移動される。当然のことながら、この軸方向の移動には、回転移動が伴う。というのも、らせん状部分331は実質的に90度を超えて広がっているためである。逆に、軸方向に垂直な部分332において、カムラグは垂直方向および軸方向に移動することができ、回転要素はない。フープ3にはベース31がさらに形作られており、当該ベース31は、ネック11のうち厚みのより大きな底部の周囲を囲む形となる。ベース31の外壁には2つの細長い溝311が形成され、当該溝311は実質的に90度を超えて広がっている。各溝は、ラグと協働するためのものであり、ラグはそれぞれの溝の内部で自由に移動する。容易に理解できるように、溝は水平方向に方向付けられているため、ラグの移動には水平方向の回転要素のみあって、垂直方向または軸方向の要素はない。溝311の両端は、回転におけるストップ位置を規定している。以下、フープ3の溝311と協働する構成部品について説明する。
【0021】
フープ3のベース31と協働するのは、特に駆動手段4である。この目的のため、駆動手段4には内側シリンダ43がフープ3のベース31を囲む形で形作られている。シリンダは、図1では見えないが、図4および5においては見て取れる。シリンダ43の内壁には2つの誘導ラグ431が形作られ、当該誘導ラグ431は、図5から見て取れるように、フープ3のベース31に形成された誘導溝311の中に係合する。したがって、シリンダ43をベース31を中心として回転させると、ラグ431をそれぞれの溝311の中で移動させることができる。シリンダのベースに対する回転移動は、ラグ431が溝311の端部に受け接触することで制限される。シリンダのベースに対する回転移動は、たとえば90度に限定できる。溝311は完全に水平方向に方向付けられているため、シリンダ43は、ベース31を中心として軸方向または垂直方向の要素なしに回転する。シリンダ43をフープ3のベース31を中心として回転させるため、駆動手段4には外側フェアリング40が形作られ、当該外側フェアリング40の断面は、本実施の形態において、多角形(効果的な構成として正方形)になっている。フェアリング40は環状フランジ41を介してシリンダに接続されて、当該フェアリングがシリンダを囲み、これらは共に単一部品として働く、という形になっている。図2および6から見て取れるように、フェアリング40を容器の本体10とつながる形で置くことができるよう、フェアリングの寸法は、好ましい構成として、容器の本体10の寸法と実質的に同一となっている。効果的な構成として、フェアリング40の下側エッジは、容器に近接しているか、または容器に接するように位置付けられている。フェアリング40は、内側シリンダ43を駆動するためのハンドル手段を有する。フェアリング40を90度回転させると、当該フェアリング40は容器1と一直線になる状態に戻る。図2および6は、フェアリング40の投与ヘッドが2つの極限位置(共に、容器と一直線になる位置)まで回転された状態を示している。この実施の形態において、フェアリング40は、断面が正方形の筒形をしている。しかし、フェアリング40を、他の何らかの形状(たとえば、六角形、八角形、さらには円形)にすることもできる。フェアリング40の形状は、容器の本体10の形状によって決まる。しかし、見て取れるように、フェアリング40の形状は、円筒形状よりむしろ多角形状に作る方が効果的である。
【0022】
押しボタンコア5は外側ケース51を有し、その全体形状は多角形で、効果的な構成として丸みの付けられた角を有する四角形である。コア5には中央開口部52が形作られ、当該中央開口部52はコア全体を通じて延びている。中央開口部52は、内側スリーブ53によって形作られ、当該内側スリーブ53は、フープ3のブッシング32を囲む形で係合する。スリーブ53の内壁には、2つのカムラグ531が形作られており、当該カムラグ531は、フープ3のブッシング32に形成された2つのカムパス33に収容される。したがって、2つのカムラグ531を2つの曲線形のカムパス33に沿って移動させれば、コア5をフープ3に対して移動させることができる。らせん状部分331において、コア5は回転方向と並進方向との両方にらせん形を描いて移動され、一方、軸方向に垂直な部分332において、コア5は回転要素なしに軸方向にのみ移動される。コア5のブッシング32への係合は、ブッシング32にある程度の弾性変形性を与える誘導スロット34の存在により容易になる。加えて、内側スリーブ53にも力伝達フランジ56が形作られている(これは、図7においてよりよく見て取れる)。その機能については、相互作用する構成部品を参照しながら、後で説明する。コア5にはハウジング55がさらに形作られており、当該ハウジング55には、後で見て取れるように、投与開口部が形成されたノズルが収容されている。コア5は、少なくとも部分的に駆動部材4のフェアリング40の内部に係合している。コア5は、フープ3のカムパス33と協働することにより、フェアリング40の内部で、当該フェアリングより上向きに突出することが可能な形で軸方向に移動できる。
【0023】
図3および7はそれぞれ、押しボタンコア5を軸方向の低位置と軸方向の高受け位置とにおいて示している。見て取れるように、コア5は、カムパス33をたどって、フープ3および容器1に対し軸方向に移動される。図3および7において、コアは静止した状態で示されており、4分の1回転し終えた状態で示されているのはフープ3と容器1とである。この実施の形態においては、明瞭化を目的に駆動手段は省略されており、それにより、フープ3に対するコア5の移動が観察できる。
【0024】
流路連絡/力伝達システム6は複雑なシステムで、以下から成る。すなわち、投与開口部60が形作られたノズル61、可撓性ホース62、連絡エンドピース63、そして力伝達部材64である。ノズル61は、図3および7から極めてはっきりと見て取れるように、コア5に形成されたハウジング55の中に収容される。連絡エンドピース63は、投与部材2の駆動ロッド21の自由端に相互装着される。このことは、図4、5、8、そして9において見て取れる。このようにして、可撓性ホース62により、ノズル61をロッド21に対し移動できると同時に、弁ロッド21を投与開口部60に接続することができる。理解すべき点として、可撓性ホース62は、コア5が軸方向の低位置(図3)から軸方向の高位置(図7)に移動される際に変形可能でなければならない。ノズル61は、ロッド21に対し軸方向に移動されるだけでなく、ロッド21を中心として回転もする。これにより、可撓性ホース62には、図1に見られる位置と図8に見られる別の位置との間で複雑な変形が生じる。図1において、可撓性ホース62のノズル61に達する手前の位置には、湾曲、それから輪が形成されている。図8において、可撓性ホースには、同一平面上に位置する湾曲のみが形成されている。可撓性ホースは、本発明の特に効果的な部品である。なぜなら、これによって、押しボタンコア5が回転と並進との両方の形で移動される間に、弁ロッド21とノズル61との間に連絡流路を作ることができるからである。
【0025】
この実施の形態において、スラスト力伝達部材64は、効果的な構成として接続エンドピース63と一体化された形で作られている。可撓性ホース62を接続エンドピース63と一体化した形で作ることさえできる。スラスト力伝達部材は2つのアーム64で構成され、これらアーム64は、接続エンドピース63に関して正反対となる方向に延びている。図7において極めて明らかに見て取れるように、2つのアーム64はそれぞれ、フープ3のブッシング32に形成された2つのスロット34の中に係合する。よって、2つのアーム64は軸方向の並進移動が可能であるが、スロット34の向きが完全に軸方向であるため、全く回転できない。2つのアーム64の機能とは、コア5により弁ロッド21に加えられたスラスト力を伝達することである。この目的のため、図7から見て取れるように、コア5は、それぞれのスロット34から突出したアーム64の端部のすぐ上方に2つのスラストフランジ56が来るような位置に置かれる。この位置において、容易に理解できるように、コア5に下向きに力が加わると、2つの力伝達アーム64はそれぞれのスロット34の中で軸方向に移動される。スラストフランジ56は、コア5の軸方向の高位置においてのみ、図7に示すようにアーム64と係合する。図3に示す軸方向の低位置において、コア5はアーム64と係合しないし、コア5と弁ロッド21との間は連結されない。さらに、軸方向の低位置においては、カムパス33の形状が原因となって、コア5は軸方向の並進移動ができない。
【0026】
最後に、押しボタンカバー7は、コア5を少なくとも部分的に囲む形で当該コア5を覆う。コア5とカバー7とは共にヘッドの押しボタンを形成している。カバー7はスラスト面71を有し、ユーザは1本または複数の指を用いて当該スラスト面71に力を加えることができる。さらに、カバー7は周縁スカート72を有し、当該周縁スカート72は、この実施の形態において、多角形の筒状断面の形をしている。スカート72は、スナップ留めシステム74、75によりコア5のケース51を囲む形で係合する。スカート72は、当該スカート72が駆動手段40のフェアリング4の内部に滑りばめされるように寸法付けられる。これは図2および6において見て取れる。したがって、コア5は、カバー7の内部に静止した状態で設置され、カバー7自体はフェアリング40の内部にはめ込まれる。カバー7とフェアリング40とは多角形の形状であるため、フェアリング40を回転すればカバー7、したがってコア5も回転される。しかし、コア5は、カムパス33においてフープ3と係合する。結果として、フェアリング40を回転すれば、コア5のカムラグ531は、フープ3のそれぞれのカムパス33に沿って移動させられる。結果、コア5とカバー7とは、弁ロッド21に対し回転と軸方向並進との両方の形で移動され、当該弁ロッド21は、本体20および容器1に対し静止した状態のまま保たれる。駆動手段4に関しては、フープ3を中心として回転するのみで、並進移動はしない。留意すべき点として、フープ3は、投与部材および容器1に対し完全に静止した状態で設置されている。コア5とカバー7との移動は、第1に溝311の範囲によって、第2にカムパス33の範囲によって限定されている。変形例においては、カムパス33のみによって軸方向の高/低受け位置が規定される、という形も可能であろう。その場合、溝311はベース31の周縁全体にわたって延び、駆動手段のシリンダの固定手段としてのみ働く。
【0027】
本発明の主旨は、フェアリング40といったヘッドカバー部品を、押しボタンを移動させるための駆動手段(この実施の形態においては、弁ロッド21に対し、コア5とカバー7とで構成される手段)として用いる点にある。従来なら、フェアリング40は、容器10に対し静止した状態で設置される部品である。
また、留意すべき点として、押しボタンは軸方向の高位置(すなわち、投与位置)においてのみ駆動ロッド21に連結される。軸方向の低位置においては、カムパスにより軸方向の自由が許されないため、押しボタンはロックされている。
【0028】
カバー7は、フェアリング40に対する軸方向の移動において、図2および6にそれぞれ示された2つの極限位置の間を移動する。軸方向の低位置において、カバー7のスラスト面71は、フェアリング40の上側エッジと実質的に一直線上に位置付けられる。反対に、図6に示す軸方向の高位置において、カバー7は、フェアリング40の上側エッジより上に突出する。注目すべき点として、投与開口部60は、カバー7のスカート72に形成された穴70に位置付けられる。軸方向の低位置において、穴70はフェアリング40により隠されている。軸方向の高位置において、穴70は露わになり、流体投与が可能となる。
【0029】
ヘッドが確実に容器に対し適切に方向付けられるよう、容器およびフープ3に表示手段を設けることで、フープ3を容器に対し正確に方向付けることができる。駆動手段4、したがって押しボタン5、7の角度方向を決定するのはフープ3である。たとえば、表示手段は、フープ3に形成された突起部分35の形とすることができ、当該突起部分35は、容器1の対応するプロフィールに受け止められる。
【0030】
また、駆動手段4および押しボタン5、6を円筒形の形にすることも可能だが、その際は、駆動手段と押しボタンとを共に回転させるための手段を設けなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器(1)に設置するための流体投与ヘッドであって、
容器(1)に対し静止した形で設置される本体(20)と、軸方向の上下移動が可能な弁ロッド(21)と、を有するポンプまたは弁といった投与部材(2)と、
軸方向の上下運動が可能で、それにより弁ロッド(21)を動かす押しボタン(5、7)と、
弁ロッドに接続された投与開口部(60)と、
押しボタンを弁ロッド(21)に対する軸方向移動の形で動かす駆動手段(4)と、を有し、
特徴となるのは、
押しボタン(5、7)は、駆動手段(4)により回転され、当該押しボタンは角度的に1ストローク分の回転をすると同時に、軸方向の低位置と軸方向の高位置との間を軸方向に移動されることである、
というヘッド。
【請求項2】
押しボタン(5、7)の回転移動を、押しボタンの弁ロッド(21)に対する軸方向の移動に変化させるためのカム手段(33、53)を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の投与ヘッド。
【請求項3】
駆動手段(4)は、本体(20)に対し軸方向に移動することなく回転し、カム手段(33、53)は、押しボタン(5、6、7)と本体(20)に対し静止した形で設置された部品(3)との間に設けられていること、
を特徴とする請求項2に記載の投与ヘッド。
【請求項4】
投与部材(2)を容器(1)に固定するための固定手段(22)を有し、当該固定手段は、投与部材と容器との両方と係合するリング(22)と、リング(22)を容器(1)上でブロックするためのブロック用フープ(3)と、フープ(3)に回転可能な形で設置された駆動手段(4)と、押しボタン(5、7)とフープ(3)との間に形成されたカム手段(33、53)とを有すること、
を特徴とする請求項3に記載の投与ヘッド。
【請求項5】
押しボタン(5、7)は駆動手段(4)の内部に収容され、押しボタンと駆動手段とは、多角形で、効果的な構成としては正方形の断面を呈していること、
を特徴とする請求項4に記載の投与ヘッド。
【請求項6】
投与開口部(60)は押しボタンに設置され、可撓性ホース(62)を介して弁ロッド(21)に接続されていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の投与ヘッド。
【請求項7】
投与開口部(60)は、軸方向の低位置にある際は、駆動手段(4)により隠されていること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の投与ヘッド。
【請求項8】
弁ロッド(21)には力伝達部材(64)が設けられ、押しボタンは、軸方向の高位置において前記部材(64)と係合し、軸方向の低位置において前記部材(64)から外れること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の投与ヘッド。
【請求項9】
押しボタンは2つのスラストフランジを有し、これらは、軸方向の高位置において、弁ロッドの両側で、部材(64)の上の位置に置かれること、
を特徴とする請求項8に記載の投与ヘッド。
【請求項10】
部材(64)は、フープ(3)により軸方向に誘導されること、
を特徴とする請求項4および8に記載の投与ヘッド。
【請求項11】
押しボタン(5、7)は軸方向に移動可能で、軸方向の高位置においてのみ弁ロッド(21)を動かすこと、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の投与ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−544541(P2009−544541A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521304(P2009−521304)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051663
【国際公開番号】WO2008/012455
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】