説明

流体混合消火装置

【課題】消火用流動体の揮発又は蒸発の有無を点検する等の流体混合消火装置の管理と、流体混合消火装置の更新、新設、及び設置位置の変更等とを容易に行うことができ、かつ消火用ガスのガス圧により消火用流動体の噴出が可能な流体混合消火装置を提供すること。
【解決手段】消火用流動体が流通する消火用流動体配管の先端部に形成されると共に消火用流動体を噴出可能に形成される内側ノズル、及び、消火用ガスが流通する消火用ガス配管の先端部に形成されると共に消火用ガスを噴出可能に形成される外側ノズルから成る二重管ノズルと、前記消火用流動体を貯留する貯留槽とを有して、防護区画内に配置され、かつ、前記消火用ガス配管内を流通する消火用ガスのガス圧により前記貯留槽に貯留される前記消火用流動体を押圧し、前記消火用ガスにより前記内側ノズル内の前記消火用流動体を吸引することで、前記消火用流動体と前記消火用ガスとの混合物を前記二重管ノズルより噴出可能にしたことを特徴とする流体混合消火装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体混合消火装置に関し、特に、消火用流動体が噴出する内側ノズルと消火用ガスが噴出する外側ノズルとを有する二重管ノズル及び貯留槽を備えて成る流体混合消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防護区画内に消火用ガスを噴出して消火を行うガス系消火装置、消火用ガスの代わりに水を噴出して消火を行う水系消火装置、又は、消火用ガスと水との複合流体を噴出して消火を行うガス・水系消火装置を選択して設置していた。
【0003】
ガス系消火装置は、防護区画内に消火用ガス、例えば二酸化炭素等を消炎濃度以上になるまで多量に噴出するので、防護区画内に人間が存在した場合は消火ガスが人体に危険を及ぼす恐れがあった。
【0004】
水系消火装置は、消火時に多量の水を噴出することにより電子機器の絶縁性が損失する等の水損を伴うことがあった。
【0005】
特許文献1に記載のガス・水複合消火設備は、高圧ガスを用いている(特許文献1の段落番号0018参照)ので、該設備を防護区画に設置するときにガス配管を強固に固定しなければならない。ガス配管を一度固定してしまうと、設備の更新、新設、及び設置位置の変更等を行うときに大規模な解体作業等の大掛かりの作業を行わなければならないという問題点があった。
【0006】
また、高圧ガスを扱うために、例えば高圧ガス製造保安責任者、又は高圧ガス販売主任者等の特殊な資格を保有した人員が必要であるので、特許文献1に記載のガス・水複合消火設備はその保守点検を簡易に行うことができず、また高圧ガスを取り扱うために装置を耐圧製にする必要があるという問題点があった。
【0007】
さらに、特許文献1に記載のガス・水複合消火設備は、水を貯留している「水タンク」(特許文献1の符号の説明の9参照)に水を封蓋する部材が取り付けられていない(特許文献1の図1(B)、図2(B)、及び図3(B)参照)ので、以下のような問題を生じると考えられる。
(1)点検から次の点検までの期間が長い場合には、その期間中に、貯留していたはずの水の一部又は全部が蒸発してしまい、実際に火災等が生じたときに消火に必要な量の水を常時確保しておくことができない。したがって、点検時から次の点検時までの期間中に有効な消火機能が実現されないことがある。
(2)水が蒸発した水蒸気がガス・水複合消火設備の内部に拡散することにより、該設備を構成する金属部材に錆びを発生させてしまうことがある。消火設備を構成する金属部材の錆びは、設備の更新、新設、及び設置位置の変更等をし難くすることがある。
(3)水に、例えばゴミ又は埃等の不純物が混入することがあり、その場合に火災等が発生して水が必要となったときに、「水噴射ノズル」(特許文献1の符号の説明の10参照)が不純物により閉塞されて水が噴出不可能な状態が生じる。
【0008】
【特許文献1】特公3535752
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、消火用流動体の揮発又は蒸発の有無を点検する等の流体混合消火装置の管理と、流体混合消火装置の更新、新設、及び設置位置の変更等とを容易に行うことができ、かつ消火用ガスのガス圧により消火用流動体の噴出が可能な流体混合消火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、
消火用流動体が流通する消火用流動体配管の先端部に形成されると共に消火用流動体を噴出可能に形成される内側ノズル、及び、消火用ガスが流通する消火用ガス配管の先端部に形成されると共に消火用ガスを噴出可能に形成される外側ノズルから成る二重管ノズルと、
前記消火用流動体を貯留する貯留槽とを有して、防護区画内に配置され、
かつ、
前記消火用ガス配管内を流通する消火用ガスのガス圧により前記貯留槽に貯留される前記消火用流動体を押圧し、前記消火用ガスにより前記内側ノズル内の前記消火用流動体を吸引することで、前記消火用流動体と前記消火用ガスとの混合物を前記二重管ノズルより噴出可能にしたことを特徴とする流体混合消火装置であり、
請求項2は、
前記消火用ガス配管と前記貯留槽とは、連結部を介して結合されて成ることを特徴とする請求項1に記載の流体混合消火装置であり、
請求項3は、
前記貯留槽は、その内部に消火用ガスのガス圧で連通可能な封止部材を有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合消火装置であり、
請求項4は、
請求項2に記載の前記連結部は、その内部に消火用ガスのガス圧で連通可能な封止部材を有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合消火装置であり、
請求項5は、
前記貯留槽は、その内部に消火用ガスのガス圧で可動な消火用流動体押圧部材を有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合消火装置であり、
請求項6は、
前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルは、消火用ガスのガス圧で開封可能な封鎖部材により閉鎖されて成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体混合消火装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していない場合は、消火用ガス配管中に消火用ガスが流通せず、貯留槽内に消火用ガスのガス圧が生じないので、消火用ガス及び消火用流動体の噴出は起こらない。防護区画内で火災等が発生した場合は、消火用ガス配管中に消火用ガスが流通し、消火用ガスのガス圧により貯留槽内の消火用流動体が消火用流動体配管に流入して、内側ノズルから消火用流動体が噴出する。
【0012】
この発明の流体混合消火装置は、連結部を介して二重管ノズルの近傍に貯留槽が取り付けられることにより、消火用ガス及び消火用流動体を効率よく混合して噴出することができ、またこの発明の流体混合消火装置において重要な部材である二重管ノズル及び貯留槽の点検又は部材交換を余分な解体作業を必要とせずに行うことができる。
【0013】
この発明の流体混合消火装置が、貯留槽又は連結部の内部に封止部材を有する場合には、消火用流動体の揮発又は蒸発を防ぐことができ、また、防護区画で火災等が発生したときには、消火用ガス配管中に流通した消火用ガスのガス圧により封止部材が破断又は破壊されて連通状態となるので、消火用ガスのガス圧が貯留槽内の消火用流動体に加わり、消火用流動体が消火用流動体配管の内部に流入し、内側ノズルから噴出可能となる。内側ノズルから噴出した消火用流動体は、外側ノズルから噴出する消火ガスと混ざることにより生じる流体混合物のミストとなって噴出する。この流体混合物の噴射により消火が行われる。
【0014】
この発明の流体混合消火装置が、貯留槽の内部に消火用流動体押圧部材を有する場合には、防護区画で火災等が発生したときには、消火用ガス配管中に流通した消火用ガスのガス圧が流動体押圧部材に加わり、前記圧力により前記流動体押圧部材が貯留槽内の消火用流動体を押圧する。そうすると、貯留槽内で加圧された消火用流動体が消火用流動体配管中に流入し、消火用流動体が消火用流動体配管を通って内側ノズルから噴出する。内側ノズルから噴出した消火用流動体は、外側ノズルから噴出する消火ガスと混ざることにより生じる流体混合物のミストとなって噴出する。この流体混合物の噴射により消火が行われる。
【0015】
この発明の流体混合消火装置の前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルに封鎖部材を設けることにより、消火用流動体の揮発又は蒸発を防ぐことができ、また、消火用ガスのガス圧で開封可能に形成されて成るので流体混合物の噴出を妨げることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(一般的説明)
以下にこの発明の流体混合消火装置の基本的な構成を示す。
【0017】
この発明の流体混合消火装置は、二重管ノズルと貯留槽とを有する。
【0018】
前記貯留槽は、前記二重管ノズルの開口部近傍かつ前記二重管ノズルの周側面に連結部を介して着脱自在に装着されて成る。
【0019】
前記二重管ノズルは、防護区画内に配置された消火用ガス配管の先端部に形成される外側ノズルとその内部に消火用流動体配管の先端部に形成される内側ノズルとを備えて成り、防護区画に臨んで配置される。なお、防護区画内に配置された消火用ガス配管は、消火ガスボンベ、消火ガスタンク又はコンプレッサ等に結合された消火ガス本管の、防護区画内に引き出された末端部と着脱自在に、結合されることが好ましい。消火用ガス配管が消火用ガス本管と着脱自在であると、この二重管ノズルの交換を容易に行うことができる。
【0020】
前記消火用ガス配管は、その先端部に消火用ガスを噴出する外側ノズルを有する。
【0021】
前記消火用流動体配管は、その先端部に消火用流動体を噴出する内側ノズルを有する。
【0022】
前記貯留槽は、消火用流動体を貯留して成る。
【0023】
前記貯留槽には、流入開口部がその内部に配置され、消火用ガスのガス圧により消火用流動体を消火用流動体配管中に流入させることができる。前記流入開口部は、前記貯留槽に貯留される前記消火用流動体を前記消火用流動体配管内に流入可能なように、前記貯留槽の底部近傍に配置されるのが好ましい。前記貯留槽の形状は、この発明の目的を達成できる限り特に限定されず、例えば円筒形又は四角柱型等、適宜に変更が可能である。
【0024】
この発明の流体混合消火装置はいずれも、消火用ガスと消火用流動体との混合物である流体混合物を、二重管ノズル又はこの二重管ノズルの先端部に装着したノズルヘッドから噴出可能なように形成されてなる。流体混合物が噴出する仕組みは、例えば以下のようである。例えば、防護区画内で火災等が発生して、消火用ガスが消火用ガス配管を流通し、消火用ガスのガス圧が貯留槽又は連結部に設けられる封止部材を連通状態にすることにより貯留槽に貯留される消火用流動体を直接的に押圧又は流動体押圧部材を介して押圧するとともに、二重管ノズルを流通する消火用ガスがベルヌーイの原理により消火用流動体配管内を減圧することで、消火用流動体が流入開口部から消火用流動体配管内に流入し、かつ内側ノズルから噴出するので、二重管ノズルで流体混合物が形成されてこの二重管ノズル又は前記ノズルヘッドから噴出することができる。また、消火時以外は、前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルには消火用ガスのガス圧で開封可能な封鎖部材が取り付けることができ、消火用流動体の揮発又は蒸発を防ぎ、さらに、消火用ガスのガス圧で開封可能であるので流体混合物の噴出を妨げることはない。
【0025】
消火用ガスは、防護区画以外の領域に設置された消火用ガスボンベ又は消火用ガスタンクに貯蔵されることもあり、また、コンプレッサにより送出される空気であってもよい。この消火用ガスボンベ、消火用ガスタンク又はコンプレッサは、防護区画内で消火用ガス配管と着脱自在に結合された消火用ガス本管に接続される。前記消火用ガスボンベ、消火用ガスタンク又はコンプレッサは、防護区画内で発生する火災を検知する例えば火災検知器等から出力される検知信号を入力して火災を確認する制御部からの出力により起動するように、形成される。
【0026】
前記消火用ガスとしては、公知の消火装置に用いられる消火用ガス、例えば空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、又はハロンガス等を挙げることができる。また、この発明の目的を達成できる限り消火用ガスの噴出圧力は限定されないが、通常の場合、0.1MPa以上、10.8MPa以下の範囲で消火用ガスの圧力が決定される。また、消火用ガスとして、好ましくは、経済的かつ安全に消火用ガスの噴出を行うために、例えば0.1MPa以上、0.3MPa以下程度の低圧ガスを用いることができる。この発明の流体混合消火装置に低圧ガスを用いると、この発明の流体混合消火装置を設計するときには耐圧条件を考慮に入れる必要がなくなり、またこの流体混合消火装置を設置するときに消火用ガス配管を強固に固定する必要がなく、この発明の流体混合消火装置の更新、新設、及び設置位置の変更等を容易に行うことができ、また何よりも高圧ガス取扱い主任等の資格を有する人材を必要とせずに通常のメンテナンス要員により作業を行うことができる。
【0027】
前記消火用流動体は、公知の消火装置に用いられる消火用流動体、例えば水、消防法に記載の消火液、又は消防法に記載の粉末消火剤等を挙げることができる。また、この発明の目的を達成できる限り、前記貯留槽に貯留される前記消火用流動体の量は限定されない。前記消火用流動体の量は、例えば0.1L以上、500L以下程度の範囲内で、消火対象物に応じて、また防護区画の規模に応じて任意に決定することができる。
【0028】
この発明の流体混合消火装置の二重管ノズルにノズルヘッドを装着、又は二重管ノズルの先端部の形状を適宜に変更することにより、消火用流動体を広範囲に噴出することが可能となり、また、例えば防護区画内の温度をより少量の消火用流動体で下げることができるので、効率的にかつ迅速に消火することができる。したがって、この発明に係る流体混合消火装置によると、少量の消火用流動体で消火できるので防護区画内の電子機器の絶縁性が損なわれる等の損害発生を抑制することができる。
【0029】
この発明の流体混合消火装置に消火用流動体を液密に封止する封止部材、封止材又は封鎖部材を取り付けることより、前記消火用流動体の漏出、前記消火用流動体の揮発又は蒸発、及び/又は前記消火用流動体への例えばゴミ等の不純物混入等を防ぐことができる。これにより、この発明の流体混合消火装置が作動したときに、前記消火用流動体の一部が揮発又は蒸発して消火に必要な消火用流動体が不足する状態、又は貯留槽内の前記消火用流動体が全て揮発又は蒸発してしまった状態、となるのを防ぐことができる。また、消火用流動体を封止する封鎖部材、封止部材又は封止材を取り付けることにより、前記消火用流動体が揮発し又は蒸発して生じる揮発物又は蒸発物、例えば水蒸気等が、この発明の流体混合消火装置内に拡散するのを防ぐので、この発明の流体混合消火装置の構成部材に錆びが生じる等を防ぐことができ、構成部材の点検及び交換の頻度を減少させることができる。
【0030】
(具体的説明)
以下に、それぞれの図に示したこの発明の一実施例を説明する。
【0031】
この発明における貯留槽には、消火用流動体を貯留し、消火用流動体配管の流入開口部がその内部に配置され、かつ、前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルには、消火用ガスのガス圧で開封可能な封鎖部材を有して成る。
【0032】
この発明の流体混合消火装置は、前記消火用流動体が消火用ガスのガス圧により消火用流動体配管中に流入可能なように前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルに封鎖部材を装着して成ることができ、この発明の目的を達成できる限り、図1、図2、図3、及び図4に示すように種々の変更が可能である。
【0033】
図1に示される流体混合消火装置Aは、二重管ノズル1と貯留槽2と有する。前記貯留槽2は、消火用ガス配管3の先端に形成されている外側ノズル4の近傍であって前記消火用ガス配管3の周側面下部に下方に向かって分岐する連結部3Aに、着脱自在に結合されて成る。図1に示される貯留槽2においては、貯留槽2の開口部が、前記連結部3Aの開口部に、結合リング50の螺合により液密に結合される。この流体混合消火装置Aは、図1に示されるように、消火用流動体配管5を有する。この消火用流動体配管5は、その一端にある流入開口部7が前記貯留槽2の底部に位置する一方、その他端にある内側ノズル6が前記消火用ガス配管3の外側ノズル4の内部に設けられる。なお、図1において、51で示すのは連結部3Aの内部に装着され、前記消火用流動体配管5を保持するホルダーである。
【0034】
図1に示されるように、この発明の流体混合消火装置Aは、前記封鎖部材として、消火用ガスのガス圧により開封可能な封鎖部材10を有する。
【0035】
前記封鎖部材10は、外側ノズル4を封止する傘状部材11と、内側ノズル6を封止する柄状部材12とを有して成り、柄状部材12が傘状部材11の凹部の中心部に装着される。また、前記二重管ノズル1の先端開口部に前記傘状部材11が着脱自在に冠着され、かつ前記内側ノズル6内に前記柄状部材12が着脱自在、かつ液密に挿入される。
【0036】
以上構成の図1に示される流体混合消火装置Aは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通していないので、前記消火用流動体9に加圧力が加わらず、したがって二重管ノズル1の先端開口部から前記消火用流動体9が噴出することはない。
【0037】
防護区画内で火災等が発生したときは、図示しない消火用ガスボンベ又は消火用ガスタンクが起動することにより前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、前記傘状部材11の凹部に消火用ガスのガス圧がかかるので、前記封鎖部材10が前記二重管ノズル1から離脱する。それと同時に、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧することにより前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通することとなるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。
【0038】
二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1の先端開口部から前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0039】
図2に示される流体混合消火装置Bは、この発明の流体混合消火装置の一例であるが、図1に示される流体混合消火装置Aと異なる点は、封鎖部材及びノズルヘッド8であり、その他の構造は図1に示される流体混合消火装置Aと同様である。
【0040】
図2に示されるように、この流体混合消火装置Bは封鎖部材として覆蓋部材15を有して成る。この覆蓋部材15は、前記消火用流動体配管5の内側ノズル6に、この内側ノズル6の縁辺部において回動可能に装着されて成る。この覆蓋部材15は、常時は前記内側ノズル6を閉鎖するように装着され、消火ガスが消火用ガス配管3内を流通すると、駆動手段13Aにより前記内側ノズル6を開放するように回動する。前記駆動手段13Aは、消火用ガスのガス圧を受けて前記覆蓋部材15による前記内側ノズル6の閉鎖状態を開放状態にすることができる構造を有し、例えば圧力を受けることができる被圧板13と、前記覆蓋部材15を押開可能な蓋開封部材14と、前記被圧板13と前記蓋開封部材14とを連結する連結部材13Bとを有して成る。前記被圧板13は、消火用ガスのガス圧を受けることができるように前記消火用ガス配管3を閉塞しない程度の径を有する板状部材として形成されるのが好ましく、その板状部材は前記消火用ガス配管3の軸線に直交する断面に平行に配置される。前記蓋開封部材14は、前記蓋開封部材14が前記覆蓋部材15を押し開いた後、消火用ガス及び前記消火用流動体9の流通を妨げないように形成されることが好ましく、例えば針金等で環状に形成された環状体、覆蓋部材15の表面を押して覆蓋部材15を回動させる適宜の形状に形成されることができる。前記蓋開封部材14は前記内側ノズル6内に配置され、前記被圧板13は前記消火用ガス配管3内の前記消火用流動体配管5よりガス上流側に配置され、前記消火用流動体配管5を貫通する連結部材13B例えば鋼線の一端に前記蓋開封部材14を結合し、前記連結部材13例えば鋼線の他端に前記被圧板13を結合する。また、前記蓋開封部材14は、前記消火用ガス配管3の中心線に沿って移動可能に形成される。前記覆蓋部材15は、前記蓋開封部材14に隣接して前記内側ノズル6に液密又は気密に装着される。
【0041】
図2に示されるこの発明の流体混合消火装置においては、例えば前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐために、消火用ガスのガス圧で破断可能な封止部材(図示せず)を前記貯留槽2内の前記消火用流動体9の上部に液密に配置することができる。
【0042】
図2に示される流動体混合消火装置Bは、前記二重管ノズル1の先端にノズルヘッド8が装着される。このノズルヘッド8は、これを装着した二重管ノズル1の軸線方向前方から見ると、複数の噴出孔8Aが放射状に形成して成る。
【0043】
以上構成の図2に示されるこの発明の流体混合消火装置Bは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらないので、消火用ガスが前記消火用流動体9を押圧せず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0044】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記被圧板13が前記消火用ガス配管3の中心線に沿って消火ガスの流通方向前方に移動するので、前記被圧板13に連結部材13で連結される前記蓋開封部材14が前記消火用ガス配管3の中心線に沿って移動する。これにより、前記蓋開封部材14が前記覆蓋部材15を押し開いて、前記消火用流動体配管5を開状態にすることができる。また、封止部材(図示せず。)を貯留槽2内の消火用流動体9の液面上方に設けたときは、消火用ガスのガス圧により封止部材が破断する。したがって、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0045】
図3に示される流体混合消火装置Cはこの発明の一例であり、図2に示される流体混合消火装置Bと相違するところは、封鎖部材及び消火用流動体配管である。
【0046】
前記消火用流動体配管5は、消火用ガス配管3の中心線に一致する管5A(以下、「短管部5A」と称することがある)と、消火用ガス配管3の中心線に直交する管5B(以下、「長管部5B」と称することがある)とを備え、一端の流入開口部7を貯留槽2の底部に配置した長管部5Bの他端に前記短管5Aを連通状態となるように結合して成る。短管部5Aの各端部は開口部を有する。短管部5Aのガス下流側に位置する開口部は前記内側ノズル6であり、その内側ノズル6は内側に張り出したフランジ6Aを有して成る。
【0047】
前記短管部5A内には、前記短管部5Aよりも軸線長さが短い有底円筒体16が、封鎖部材として内装されて成る。前記有底円筒体16は、一端が閉塞した閉塞部と、他端が開口した開口部と、その周側面に前記長管部5Bと同程度の内径を有する流通孔17とを有して成る。また、前記有底円筒体16は、前記消火用ガス配管3の中心線に沿って摺動可能に前記短管部5A内に装備される。前記有底円筒体16が前記短管部5A内に装備されるとき、前記有底円筒体16の閉塞部がガス上流側に配置され、かつ前記有底円筒体16の開口部がガス下流側に配置される。前記有底円筒体16の周側面に前記流通孔17が設けられる位置は、前記有底円筒体16の他端開口部が前記短管部5Aの前記フランジ6Aに係止されたときに、前記流通孔17を通じて前記短管部5Aの内部と前記長管5Aの内部とが連通状態となるように、設計される。消火用ガスの流通がないときは、前記有底円筒体16はその閉塞部が前記短管部5A内のガス上流側に位置していて、短管部5Aと長管部5Bとが不通状態となっている。
【0048】
図3に示されるこの発明の流体混合消火装置Cにおいては、例えば前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐために、消火用ガスのガス圧で破断可能な封止部材(図示せず)を前記貯留槽2内の前記消火用流動体9の上部に液密に配置することができる。
【0049】
以上構成の図3に示されるこの発明の流体混合消火装置Cは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらないので、消火用ガスが前記消火用流動体9を押圧せず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。また、何らかの原因で前記消火用流動体9の液面に圧力が加わっても消火用流動体配管5においては封鎖部材である有底円筒体16により閉鎖されているので、消火用流動体配管5の内側ノズル6から消火用流動体9が噴出することがなく、つまり誤動作の虞がない。
【0050】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記有底円筒体16が前記消火用ガス配管3の中心線に沿ってガス下流方向に摺動し、前記有底円筒体16の他端開口部が前記短管部5Aの前記フランジ6Aに係止されて、前記流通孔17が前記短管部5Aの内部と前記長管部5Bの内部とを連通させる。これにより、前記消火用流動体配管5中に前記消火用流動体9の流路が形成される。また、封止部材を設けたときは、消火用ガスのガス圧により封止部材が破断する。したがって、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0051】
図4に示される流体混合消火装置Dは、図1に示される流体混合消火装置Aと相違するところは、封鎖部材である。
【0052】
図4に示されるように、この流体混合消火装置Dは、封鎖部材として前記消火用ガス導入部材18を有する。この消火用ガス導入部材18は、ノズルヘッド8、前記内側ノズル6を閉鎖する蓋部材19、及び前記消火用流動体配管3の配設位置よりもガス上流側の位置から前記ノズルヘッド8に到るように形成される管状部材20、から成り、前記消火用ガス配管3の中心線に沿って移動可能に装着される。前記内側ノズル6の開口部内に前記蓋部材19の先端部が着脱自在に挿入される。この蓋部材19の後端部は前記ノズルヘッド8の裏側中央部に結合されて成る。管状部材20は消火用ガス配管3の先端開口部の内周面に気密に摺動可能な外周面を有する円筒本体部20Aを備え、その円筒本体部20Aの一端は前記ノズルヘッド8の後端部に一体的に形成されて成り、前記円筒本体部20Aの他端は消火用流動体配管5よりも上流側に位置するとともに円筒本体部20Aの軸線に直交する方向に張り出したフランジ20Bを備える。また、この円筒本体部20Aの周側面であって貯留槽2に向かう周側面には、消火用流動体配管5を挿通する切欠き部21が開設される。この切欠き部21があることにより、管状部材20は消火用ガス配管3内を前記消火用流動体配管5に妨げられずに移動することができ、つまり、前記消火用ガス導入部材18は、前記ノズルヘッド8の内側に消火用ガスのガス圧が加わることにより消火ガスの流通方向の前方に移動することができる。
【0053】
以上構成の図4に示される流体混合消火装置Dは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通しないので、前記消火用ガス導入部材18は移動せず、したがって、内側ノズル6は蓋部材19で閉塞されたままの状態となっている。
【0054】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記消火用ガス導入部材18が作動する。消火用ガスのガス圧により前記消火用ガス導入部材18が前記消火用ガス配管3の中心線に沿って前進する。すると、蓋部材19も前進して内側ノズル6から離脱して、内側ノズル6が開放状態となる。消火用ガスのガス圧が貯留槽2の内部に貯留されている消火用流動体にも加わるので、消火用流動体は、流入開口部7から消火用流動体配管5内に流入し、内側ノズル6から二重管ノズル1内に噴出する。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0055】
図5に示す流体混合消火装置Eはこの発明の一例である。この流体混合消火装置Eが図2に示す流体混合消火装置Bと相違するところは、封鎖部材を備えず、前記貯留槽2内にかかる消火用ガスのガス圧が前記消火用流動体9を押圧するように流動体押圧部材23を前記貯留槽2内に装着して成ることである。
【0056】
前記流動体押圧部材23は、前記貯留槽2内にかかる消火用ガスのガス圧が前記流動体押圧部材23を介して前記消火用流動体9を押圧するように、前記貯留槽2の中心線に沿って液密に、且つ貯留槽2の内周面に摺動可能に、前記貯留槽2の内部に装着される。
【0057】
前記流動体押圧部材23は、前記貯留槽2の内部に液密に装着されているので、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができる。
【0058】
以上構成の図5に示されるこの発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらないので、前記消火用流動体9は押圧されず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0059】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通し、消火用ガスのガス圧により前記流動体押圧部材23を介して前記消火用流動体9が押圧される。この流動体押圧部材23はピストンの作用を行う。したがって、前記消火用流動体9が流入開口部7から前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0060】
この流動体押圧部材23は、図1〜4に示される流体混合消火装置A〜Dに装着してもよい。図1〜4に示される流体混合消火装置A〜D及び図6以下に示される流体混合消火装置にこの流動体押圧部材23を装着すると、消火用流動体9の揮発又は蒸発を確実に防止することができる。
【0061】
消火用流動体を液密又は気密に封止し、消火用ガスのガス圧により開封可能な封止部材を前記貯留槽内又は前記連結部内に装着して成る構造としては、例えば図6、図7(A)、図7(B)、図8(A)、図8(B)、図9、図10、図11、図12、及び図13に示す構造を挙げることができる。
【0062】
図6に示される流体混合消火装置Fはこの発明の一例である。図6に示される流体混合消火装置Fが、図2に示される流体混合消火装置Bと相違するところは、封鎖部材を有さずに前記封止部材として開封可能な膜部材24を備えて成ることである。
【0063】
前記膜部材24は第1膜部材24Aと第2膜部材24Bとを有する。第1膜部材24Aは、消火用ガス配管3が分岐する連結部3Aに、連結部3Aを封鎖し、且つ後述する破膜部材25により破断可能に形成されてなる。第2膜部材24Bは、前記第1膜部材24Aと同じ材質で形成され、前記連結部3Aの末端開口部と貯留槽2の頚部開口部とで挟まれた状態で配設されて成る。これらの第1膜部材24A及び第2膜部材24Bを尾破断する破膜部材25は、消火ガスの圧力により容易に動作して前記膜部材24を破断することのできる部材であれば特に制限がなく種々の構造を採用することができる。
【0064】
図6に示される前記破膜部材25の構造としては、前述したようにこの発明の目的が達成でき、かつ消火用ガスのガス圧により作動可能な限り、適宜の部材の変更が可能であり、例えば、消火用ガスのガス圧を効率的に受けることができるような略扇形の板部材にカッター刃又は針状部材等の開封手段を取り付けて成る破膜部材を採用することができる。なお、前記「破膜」なる用語は、前記膜部材24に、消火ガスが流通することのできる状態を形成する事ができる状態を言い、例えば、貫通孔、切り裂き等を形成することを破膜の例として挙げることができる。破膜手段の具体例としては、例えば消火ガスの圧力により回動可能な回動部材とこの回動部材に装着され、前記膜部材を破断する破断刃とを備えて形成することができる。
【0065】
一方、前記膜部材24は、この発明の目的が達成でき、かつ前記破膜部材25により刃膜可能な限り、適宜の部材で形成することができる。例えば、膜部材24の材料としてゴム膜等の弾性材料、アルミニウム等の金属箔等を用いることができる。図6に示されるように、前記膜部材24及び前記破膜部材25をそれぞれ2個づつ装着しているが、この発明の目的が達成でき、かつ液密に消火用流動体を封止することができる限り、前記膜部材24及び前記破膜部材25の個数は特に限定されず、それぞれ一個以上づつ配置されればよい。換言すると、この膜部材24は消火用流動体9の蒸発又は揮発を防止する機能を有する。
【0066】
以上構成の図6に示されるこの発明の流体混合消火装置Fは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらないので、前記破膜部材25が作動せず、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入しない。したがって、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0067】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記破膜部材25が作動して前記膜部材24を破膜開封する。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0068】
この膜部材24及び破膜部材25は、図1〜4に示される流体混合消火装置A〜Dに装着してもよい。図1〜4に示される流体混合消火装置A〜Dにこの膜部材24及び破膜部材25を装着すると、消火用流動体9の揮発又は蒸発を確実に防止することができる。
【0069】
図7(A)及び図7(B)に示される流体混合消火装置Gはこの発明の一実施例である。この図7に示される流体混合消火装置Gが図6に示される流体混合消火装置Fと異なるところは、封止部材として前記膜部材24の代わりに可撓性膜部材26を採用し、破膜部材25の代わりにホルダー51に破膜部材25を設けたことである。
【0070】
図7(A)及び図7(B)に示されるように、前記破膜部材25は、例えば前記ホルダー51に設けられる鋭利な切断刃である。この切断刃はホルダー51の上面部に立設して形成される。この破膜部材25及び可撓性膜部材26は、消火ガスの圧力により変形した可撓性部材26を前記破膜部材25が破断することができるような相互に近しい位置にそれぞれが配置される。また、図7(A)及び図7(B)に示される前記破膜部材25は、この発明の目的が達成できる限り、適宜の部材の変更が可能であり、例えば、針状体、鋭利な刃状体等とすることができる。
【0071】
前記可撓性膜部材26は、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができるように、前記消火用流動体9に液密に、前記消火用流動体9の上方の適宜の部位に取り付けることができる。
【0072】
前記可撓性膜部材26は、この発明の目的が達成でき、かつ前記破膜部材25により開封可能な限り特に限定されず、適宜の消火用ガスのガス圧で可撓な部材を採用できる。例えば、ゴム膜等の弾性部材を前記可撓性膜部材26として採用することができる。
【0073】
図7(B)は、図7(A)に示される前記可撓性膜部材26及び前記破膜部材25が取り付けられて成る流体混合消火装置の部分拡大図である。
【0074】
以上構成の図7(A)及び図7(B)に示されるこの発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していないときは、消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらないので、前記破膜部材25が作動せず、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入しない。したがって、消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0075】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記可撓性膜部材26が消火用流動体9に向かってその上流方向に撓むので、前記破膜部材25が前記可撓性膜部材26を破膜する。これにより、消火用ガスが貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧することとなり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0076】
図8(A)及び図8(B)に示される流体混合消火装置Hは、この発明の一例である。この流体混合消火装置Hは前記流体混合消火装置Gの変形例でもあり、前記流体混合消火装置Gと相違するところは、前記封止部材及び破膜部材である。
【0077】
この流体混合消火装置Hでは封止部材として前記膜部材24と破膜部材として可撓性破膜部材27とが設けられる。膜部材24と可撓性破膜部材27とは、可撓性破膜部材27により前記膜部材24が破膜させるように、相互に近接した位置に設置される。膜部材24は連結部3Aの内部であって前記ホルダー51の上流側に連結部3Aを封止するように張設されてなり、前記可撓性破膜部材7は連結部3Aの内部であって前記膜部材24の上流側の、前記膜部材24に近接して配置される。
【0078】
前記可撓性破膜部材27は、この発明の目的を達成でき、かつ消火用ガスのガス圧により作動可能な限り特に限定されず、適宜の部材の変更が可能である。例えば、消火用ガスのガス圧で可撓な網目状のゴム膜にカッター刃又は針状部材等の開封手段を弾性部材に取り付けて成る構造とすることができる。
【0079】
図8(B)は、図8(A)に示される前記膜部材24及び前記可撓性破膜部材27が取り付けられて成る流体混合消火装置の部分拡大図である。
【0080】
以上構成の図8(A)及び図8(B)に示されるこの発明の流体混合消火装置Hは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通しないので、前記可撓性破膜部材27が作動せず、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入しない。したがって、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0081】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記可撓性破膜部材27が消火用流動体の下流方向に押されて撓むので、前記可撓性破膜部材27が前記膜部材24を破膜する。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0082】
図9に示される流体混合消火装置Iはこの発明の一例である。この流体混合消火装置Iは、流体混合消火装置Hと相違するところは、封止部材とは独立した破膜部材が設けられずに、破膜の機能と封止の機能とを併せ持つ自己破断型封止部材28が設けられていることである。この自己破断型封止部材28は封止部材の一例である。
【0083】
自己破断型封止部材28は、連結部3Aの内部であって連結部3Aの消火用ガス配管の分岐部近傍に液密に張設されたシート部材28Aとこのシート部材28Aに設けられるとともに消火用ガス配管3内に消火用ガス配管3内を流通する消火ガスの圧力を直接に受けるように立設されたガス圧受け部29とを備えて成る。また、前記シート部材28Aは、前記ガス圧受け部29がガス圧によりその立設位置を変更することにより、例えば図9に示されるようにそのガス圧受け部29がシート部材28Aから立ち上がるように変位することにより、前記シート部材28Aが容易に破断することができるように形成されている。このように形成されるシート部材28Aの例として、例えばシート部材28Aが連結部3Aの内周面に接する部位が前記ガス圧受け部29の変位により連結部3Aの内壁から分離するように、シート部材28Aと連結部3Aの内壁との接合強度を調節することができるように形成することができ、また、シート部材28Aの消火ガスの圧力を受ける受圧面すなわち消火用ガス配管3側に向かう面に、貫通してはいないが前記ガス圧受け部29が変位することにより容易に破断することができるように形成されたところの、シート部材28Aの受圧面から反対側の面へと貫通してはいない破断線(図示せず。)を有するように形成すること等を挙げることができる。
【0084】
なお、前記ガス圧受け部29と前記自己破断型封止部材28とは同じ素材又は異なる素材で一体的に形成されてもよく、又は前記ガス圧受け部材29と自己破断型封止部材28とが分離独立していて、前記ガス圧受け部材29の変位に連動して前記自己破談型封止部材28を破断する中間連動部材(図示せず。)がさらに組み込まれる構成であってもよい。
【0085】
前記自己破断型封止部材28は、この発明の目的が達成され、かつ消火用ガスのガス圧を受けた前記封止部材開封手段29により開封可能である限り限定されず、例えば金属膜、又は樹脂等を用いることができる。
【0086】
以上構成の図9に示されるこの発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらず、前記自己破断型封止部材28が前記消火用流動体9を封止して前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができる。また、前記封止部材開封手段29が作動していないので前記貯留槽2内への消火用ガスが流入せず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0087】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こり、消火用ガスのガス圧により前記ガス圧受け部29が起立変位して前記自己破断型封止部材28を開封する。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧し、これによって前記消火用流動体9が流入開口部7から前記消火用流動体配管5内に流通可能し、前記消火用流動体9が前記内側ノズル6から噴出する。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0088】
図10に示される流体混合消火装置はこの発明の一例である。図10に示される流体混合消火装置Jが、前記流体混合消火装置Iと相違するところは、前記封止部材として、自己破断型封止部材28が設けられずに、流動体封蓋部材30が設けられて成ることである。
【0089】
前記流動体封蓋部材30は、隔絶部材30Aと、この隔絶部材30Aに貫通形成された一個以上の通気孔31とし、通気孔31内に消火用ガスのガス圧により開封可能な封孔部材33とを有して成る。
【0090】
前記隔絶部材30Aは、貯留槽2の内部に貯留されている消火用流動体9と消火ガス配管3の内部空間とを隔絶することができる部位に設置することができる限り、その配設位置に特に制限がない。図10に示される流体混合消火装置Jにあっては、この隔絶部材30Aは、連結部3Aの先端開口部と貯留槽2の頚部開口部とに挟まれた状態で、連結部3Aの先端開口部に設置される。この隔絶部材30Aは、前記封孔部材33を設置することができ、貯留槽2に貯留されている消火用流動体9を液密に封止することができる限りその材質に特に制限がなく、金属、合成樹脂、木材等により形成することができる。この隔絶部材30Aは、少なくとも1個、通常は2〜6個の通気孔31を有する。この通気孔31は、前記隔絶部材30Aを貫通して形成される。
【0091】
前記通気孔31内には、例えばコイルバネ等の前記通気孔31内に装着可能な付勢部材32と、前記通気孔31を封止する封孔部材33と、が装着される。前記付勢部材32は、一端が前記通気孔31の内側に固定的に装着され、他端が前記封孔部材33に取り付けられる。前記封孔部材33は、前記通気孔31を封鎖可能な大きさを有するヘッドとこのヘッドに結合されると共に前記通気孔31内に挿入される軸体とを備える。前記付勢部材32は前記通気孔31内に装着され、その一端をヘッドに結合し、前記ヘッドで通気孔31を閉鎖するように前記ヘッドを付勢する。この付勢部材32における付勢力は、消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通する以前、つまり常態においては、前記ヘッドが前記通気孔31を閉鎖し、消火用ガスが消火用ガス配管3中に流通するとその消火用ガスのガス圧によりヘッドによる通気孔31の閉鎖状態を開放状態にすることができる程度に設計される。
【0092】
以上構成の図10に示されるこの発明の流体混合消火装置Jは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらず、前記流動体封蓋部材30の前記通気孔31が前記付勢部材32の付勢力により前記封孔部材33で封止されているので、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができ、前記貯留槽2内への消火用ガスの流入が起こらず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0093】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通し、消火用ガスのガス圧により前記封孔部材33が押圧され、前記付勢部材32の付勢力に抗して前記付勢部材32が伸長し、前記封孔部材33が消火用流動体上流方向へ移動する。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0094】
図11に示される流体混合消火装置Kは、この発明の一例である。この流体混合消火装置Kが、前記流体混合消火装置Jと相違するところは、封止部材として、流動体覆蓋封止部材30を有していずに、逆止弁付き封止部材34を有することである。
【0095】
前記逆止弁付き封止部材34は、貯留槽2の内部空間と前記消火用ガス配管3の内部空間とを隔絶することができる限り、その設置位置に特に制限がなく、この例においては、貯留槽2の頚部開口部の内周面に取り付けられて成る。この逆止弁付き封止部材34は連結部3Aの内部に設けることも可能である。この逆止弁付き封止部材34は、貯留槽2の頚部開口部の縁辺内周面に取り付けられた環状基部35Aとこの環状基部35Aに取り付けられた逆止弁35とを有してなる。この逆止弁35は、消火用ガス配管3内に消火用ガスが流通していないときには前記消火用ガス配管3の内部空間と貯留槽2の内部空間とが隔絶されており、消火用ガス配管3内に消火用ガスが流通するとその消火用ガスのガス圧により消火用ガス配管2の内部空間と貯留槽2の内部空間とが開放又は連通状態となる弁構造を有する限り特に制限がない。この逆止弁付き封止部材34は、貯留槽2内の消火用流動体の蒸気圧が消火用ガス配管3内の気圧よりも大きくなる場合には、この逆止弁付き封止部材34により貯留槽2内の消火用流動体の圧力が漏洩しない構造になっているに対し、前記図10に示される流体混合消火装置Jにおける流動体封蓋部材30が付勢部材32により封孔部材33のヘッドが通気孔31を閉塞している点において、この逆止弁付き封止部材34は前記流動体封蓋部材30と相違する。この流体混合消火装置Kは、前記流体混合消火装置Jと同様に、この逆止弁付き封止部材34を有するので、貯留槽2内の消火用流動体9が揮発し、又は蒸発することが防止される。
【0096】
前記逆止弁35は弾性部材例えばゴム弾性体で、消火用流動体配管5の外周面に密着する密着部を有し、消火用ガス配管3内に消火用ガスが流通するとその消火用ガスのガス圧により前記逆止弁35における密着部と消火用流動体配管5の外周面との間に間隙が生じるようになっている。
【0097】
以上構成の図11に示されるこの発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通せず、前記逆止弁35が消火用ガスのガス圧を受けず、むしろ貯留槽2内の消火用流動体9の蒸気圧を受けて逆止弁35における密着部は消火用流動体配管5の外周面に密着している。これにより、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができ、前記貯留槽2内への消火用ガスの流入が起こらないので、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0098】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通し、消火用ガスのガス圧により前記逆止弁35が作動して開状態となる。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能し、前記消火用流動体9が流入開口部7を通じて前記消火用流動体配管5内に流通し、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0099】
図12に示される流体混合消火装置Lは、は、前記封止部材として、封板36を有する。
【0100】
前記封板36は、前記貯留槽2の内部空間と前記消火用ガス配管3の内部空間とを隔絶することのできる限り、その設置部位に制限がなく、連結部3A内に設置してもく、図12に示す例では貯留槽2内であって前記消火用流動体9の上方に設置される。この封板36は、封板本体37、貫通孔用穴38、及び破断部材39で構成されることができる。詳しくは、前記封板36は、封板本体37と、前記封板本体37に一個以上設けられる前記貫通孔用穴38と、その貫通孔用穴38の底部として形成された、消火用ガスのガス圧で破断可能な前記破断部材39とにより封止してなる。前記破断部材39は、消火用ガスのガス圧により破断可能な部材で形成されるのであれば特に限定されず、例えばアルミ箔、薄紙等で形成されることができる。
【0101】
以上構成の図12に示されるこの発明の流体混合消火装置は、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通がなく、したがって前記破断部材39が破断せず、前記封板36により前記貯留槽2の封止状態が保たれているので、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができる。また、前記貯留槽2内への消火用ガスの流入が起こらないので、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。つまり誤動作の虞がない。
【0102】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通し、消火用ガスのガス圧により前記破断部材39が破断する。したがって、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記流入開口部7を通じて前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0103】
図13に示される流体混合消火装置Mはこの発明の一例である。この流体混合消火装置Mが流体混合消火装置Lと相違するところは封板36が設けられずに、前記封止部材として図6に示される第2の膜部材24Bが設けられ、この第2の膜部材を破断する破断手段41を具備することである。
【0104】
前記第2の膜部材24Bは、図6に示される流体混合消火装置Fにおける第2の膜部材24と同様であるので、その詳細な説明を略する。前記破断手段41は、消火用ガス配管3中を流通する消火用ガスによって回転駆動して前記第2の膜部材24を破断することができる限りその構造に特に制限がない。図13に示される前記破断手段41は、消火用流動体配管5を内部に挿通し、回転可能に前記消火用流動体配管5に装着された円筒状の回転軸40Aと、この回転軸40Aの上端に設けられ、消火用ガス配管3中を流通する消火用ガスにより回転可能に羽根を有して形成された風力回転部材40と、前記風力回転軸40Aの下端に設けられ、前記第2の膜部材24Bを回転しつつ破断する破断刃41とを備えて成る。前記破断刃41は、回転しつつ前記第2の膜部材24Bを破断することができる限りその構造に制限がなく、例えば回転方向に向かって形成された鋭利な刃等を挙げることができる。前記風力回転部材40は、その羽根の取り付け角度を調整することができる。風力回転部材40における羽根に、流通する消火用ガスが当たると、前記羽根が回転するとともに羽根、回転軸40A及び破断刃41が下降し、下降しつつ前記破断刃41が第2の膜部材24Bを破断するように、前記風力回Tね部材40における羽根の取り付け角度を調整するのも好適である。
【0105】
以上構成の図13に示されるこの発明の流体混合消火装置Mは、防護区画内で火災等が発生していないときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスの流通が起こらず、前記膜部材24により前記貯留槽2が封止された状態を保っているので、前記消火用流動体9の揮発又は蒸発等を防ぐことができ、前記貯留槽2内への消火用ガスの流入が起こらず、前記消火用流動体9の噴出は起こらない。
【0106】
防護区画内で火災等が発生したときは、前記消火用ガス配管3中に消火用ガスが流通し、消火用ガスの流通により前記風力回転部材40が回動し、前記風力回転部材40の回転が前記回転軸40Aを介して前記破断刃41に伝送されて前記破断刃41が回転するので、前記破断刃41が前記第2の膜部材24を破断してこれを開封することができる。これにより、消火用ガスが前記貯留槽2内に流入して前記消火用流動体9を押圧可能となり、かつ前記消火用流動体9が前記流入開口部7を通じて前記消火用流動体配管5内に流通可能となるので、前記消火用流動体9を前記内側ノズル6から噴出させることができる。二重管ノズル1においては、内側ノズル6から噴出する消火用流動体9と流通して来る消火用ガスとが混合され、流体混合物が形成される。二重管ノズル1のノズルヘッド8の噴出開口部8Aから前記流体混合物が噴出して消火が行われる。
【0107】
図5〜図13に示されるこの発明の流体混合消火装置E〜Mには、消火時以外の流動体噴出を防ぎ、かつ消火用流動体の揮発又は蒸発等を防ぐために、消火用ガスのガス圧又は消火用流動体の噴出圧力により開封可能な封止部材(図示せず)、例えば適宜の栓若しくは弁、又は図1における封鎖部材10、図2における覆蓋部材15及び駆動手段13Aの組み合わせ、図3における封鎖部材及び消火用流動体配管の組み合わせ、図4における封止部材等を消火用流動体配管に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、この発明の一実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図2】図2は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図3】図3は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図4】図4は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図5】図5は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図6】図6は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図7】図7(A)は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図であり、図7(B)は、図7(A)の部分拡大図である。
【図8】図8(A)は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図であり、図8(B)は、図8(A)の部分拡大図である。
【図9】図9は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図10】図10は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図11】図11は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図12】図12は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【図13】図13は、この発明の他の実施例である流体混合消火装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 二重管ノズル
2 貯留槽
3 消火用ガス配管
3A 連結部
4 外側ノズル
5 消火用流動体配管
5A 短管部
5B 長管部
6 内側ノズル
6A フランジ
7 流入開口部
8 ノズルヘッド
9 消火用流動体
10 封鎖部材
11 傘状部材
12 柄状部材
13 被圧板
14 蓋開封部材
15 覆蓋部材
16 有底円筒体
17 流通孔
18 消火用ガス導入部材
19 蓋部材
20 管状部材
21 貯留槽覆蓋部材
22 連通孔
23 流動体押圧部材
24 膜部材
25 破膜部材
26 可撓性膜部材
27 可撓性破膜部材
28 自己破断型封止部材
29 封止部材開封手段
30 流動体封蓋部材
31 通気孔
32 付勢部材
33 封孔部材
34 逆止弁付き封止部材
35 逆止弁
36 封板
37 封板本体
38 貫通孔用穴
39 破断部材
40 切開部材
41 封止板
50 結合リング
51 ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火用流動体が流通する消火用流動体配管の先端部に形成されると共に消火用流動体を噴出可能に形成される内側ノズル、及び、消火用ガスが流通する消火用ガス配管の先端部に形成されると共に消火用ガスを噴出可能に形成される外側ノズルから成る二重管ノズルと、
前記消火用流動体を貯留する貯留槽とを有して、防護区画内に配置され、
かつ、
前記消火用ガス配管内を流通する消火用ガスのガス圧により前記貯留槽に貯留される前記消火用流動体を押圧し、前記消火用ガスにより前記内側ノズル内の前記消火用流動体を吸引することで、前記消火用流動体と前記消火用ガスとの混合物を前記二重管ノズルより噴出可能にしたことを特徴とする流体混合消火装置。
【請求項2】
前記消火用ガス配管と前記貯留槽とは、連結部を介して結合されて成ることを特徴とする請求項1に記載の流体混合消火装置。
【請求項3】
前記貯留槽は、その内部に消火用ガスのガス圧で連通可能な封止部材を有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合消火装置。
【請求項4】
請求項2に記載の前記連結部は、その内部に消火用ガスのガス圧で連通可能な封止部材を有して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体混合消火装置。
【請求項5】
前記貯留槽は、その内部に消火用ガスのガス圧で消火用流動体を押圧する消火用流動体押圧部材を有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合消火装置。
【請求項6】
前記内側ノズル及び/又は前記外側ノズルは、消火用ガスのガス圧で開封可能な封鎖部材により閉鎖されて成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体混合消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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