説明

流体送達デバイス

流体送達デバイスは、流体貯蔵部を有する筐体を備える。針は、係合位置において流体貯蔵部と流体連通しており、作動可能位置および格納位置において流体貯蔵部と流体連通していない。付勢部材の近位端は、筐体に連結され、付勢部材の遠位端は、流体貯蔵部に力を伝達するように構成される。ピストン部材は、付勢部材を通って延在し、付勢部材の遠位端に連結される。ピストン部材は、付勢部材が流体貯蔵部に力を伝達しないように係止位置において筐体に対して固定され、付勢部材が流体貯蔵部に力を伝達するように解放位置において筐体に対して可動である。針を格納位置から作動可能位置まで移行させることによってピストンを係止位置から解放位置まで移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/251,236号(名称「Fluid Delivery Device」、2009年10月13日出願)、および米国仮特許出願第61/325,136号(名称「Fluid Delivery Device」、2010年4月16日出願)の利益を主張し、これらの出願の両方は、その全体が本明細書に参照することによって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、流体送達デバイスに関し、より具体的には、患者に薬物を送達するための携帯型デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯型ポンプシステムを使用してインスリン等の薬剤および他の流体の投与を提供するために、多くの試みがなされてきた。連続送達のための幾つかのシステムはかなり良好に作動するが、これらのシステムを使用する個人は、特に連続投与モードにおいて、温度および気圧等の可変環境条件下において投与の連続性および正確性を確保するために、デバイスを密接に監視する必要がある。さらに、薬物の投与量を迅速かつ正確に変化させる能力を必要とする個人にはいくつかの選択肢があるが、利用可能な選択肢のほとんどは、面倒で、操作が困難であり、煩わしく、および/または高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、患者の制御下における流体の投与、ならびに多様な環境条件にわたって計量されたおよび/または連続投与に安全性および一貫性を提供することができる、単純で直感的であり、安価な携帯型デバイスを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、流体貯蔵部を有する筐体を備える流体送達デバイスが存在する。針は、格納位置、作動可能位置、および係合位置を有する。針は、係合位置で流体貯蔵部と流体連通し、作動可能位置および格納位置では流体貯蔵部と流体連通しない。付勢部材は、近位端および遠位端を有する。付勢部材の近位端は、筐体に連結され、付勢部材の遠位端は、流体貯蔵部に力を伝達するように構成される。ピストン部材は、付勢部材を通って延在し、付勢部材の遠位端に連結される。ピストン部材は、付勢部材が流体貯蔵部に力を伝達しないように係止位置で筐体に対して固定され、付勢部材が流体貯蔵部に力を伝達するように解放位置で筐体に対して可動である。針を格納位置から作動可能位置まで移行させることにより、ピストンを係止位置から解放位置に移行させる。
【0006】
さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、付勢部材と流体貯蔵部との間に連結される油圧式基礎チャンバを備える。さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、油圧式ポンプチャンバと、油圧式ポンプチャンバおよび油圧式基礎チャンバを流体的に連結する流量制限器とを備える。一実施形態において、ピストンは、油圧式基礎チャンバに連結されるプランジャ先端部を含む。一実施形態において、ピストンは、筐体を通って延在するピンによって筐体に解放可能に連結され、キャップが、格納位置で針の上に延在し、キャップを除去することによってピストンが解放されるようにピンに連結される。一実施形態において、付勢部材は、少なくとも1つの重複する同軸ばねを備える。
【0007】
別の実施形態において、流体送達デバイスは、流体貯蔵部を有する筐体を備える。第1の付勢部材は、筐体に連結される。第2の付勢部材は、第1の付勢部材に直列に連結され、第1の付勢部材と少なくとも部分的に重複する。第1および第2の付勢部材は、流体貯蔵部に力を送達するように構成される。さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、第1および第2の付勢部材を通って延在するプランジャを備える。一実施形態において、プランジャは、遠位端で第2の付勢部材に連結され、近位端で筐体に解放可能に連結される。一実施形態において、プランジャは、筐体およびプランジャを通って延在するピンにより筐体に解放可能に連結される。一実施形態において、プランジャは、筐体を通って延在するピンによって筐体と解放可能に連結され、ピンに連結される針カバーをさらに備える。
【0008】
さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、第1および第2の付勢部材と油圧式基礎チャンバとの間に連結されたる油圧式ポンプチャンバと、油圧式基礎チャンバおよび油圧式ポンプチャンバを流体的に連結する流量制限器とを備える。一実施形態において、油圧式ポンプチャンバは、油圧式基礎チャンバの断面積よりも小さい断面積を有する。さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、第1の付勢部材を第2の付勢部材と連結するスリーブを備える。スリーブは、第1と第2の付勢部材との重複部の長さに略等しい長さを有する。一実施形態において、スリーブは、本体と、第1のフランジ端部と、第2のフランジ端部とを有し、第1のフランジ端部は、スリーブの本体から半径方向外側に延在し、第1の付勢部材の端部と連結するように構成され、第2のフランジ端部は、本体から半径方向内側に延在し、第2の付勢部材の端部と連結するように構成される。
【0009】
別の実施形態において、流体送達デバイスは、皮膚表面と係合するように構成され、第1の熱伝導率を有する取付け面と、油圧式ポンプチャンバとを備える。油圧式基礎チャンバは、取付け面に近接する外壁の一部を有し、第2の熱伝導率を有する。第2の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも高い。流量制限器は、油圧式基礎チャンバおよび油圧式ポンプチャンバを流体的に連結する。流体貯蔵部は、油圧式ポンプチャンバに連結される。流体貯蔵部は、患者に送達可能な流体を収容するように構成される。アクチュエータは、油圧式基礎チャンバに連結される。アクチュエータは、持続的基礎速度で流体を送達するために、油圧式基礎チャンバおよび油圧式ポンプチャンバを通って流体貯蔵部にエネルギーを伝達するように油圧式ポンプチャンバを加圧するように構成される。一実施形態において、取付け面は絶縁部材を含む。
【0010】
一実施形態において、絶縁部材は、取付け面に近接する油圧式基礎チャンバの外壁の一部を少なくとも部分的に露出するように、少なくとも部分的に解放される。一実施形態において、流体貯蔵部は、筐体から少なくとも部分的に離間される。さらなる実施形態において、流体送達デバイスは、底面を有する筐体を備える。油圧式基礎チャンバの外壁部分は、筐体の底面から外側に延在する。一実施形態において、油圧式基礎チャンバの外壁の一部は、取付け面と略整列した想像上の接線を有する。一実施形態において、油圧式基礎チャンバの外壁の一部は、皮膚表面と直接接触するように構成される。一実施形態において、油圧式基礎チャンバの外壁の残りの部分は、第3の熱伝導率を有する。第3の熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
前述の概要および以下の流体送達デバイスの実施形態の詳細な説明は、例示的な実施形態の添付図面とともに読まれるとよりよく理解されるであろう。しかしながら、本発明は、図示される正確な配置および手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【0012】
図面において、以下のようである。
【図1】図1は、本発明の例示的な実施例による流体送達デバイスの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す流体送達デバイスの分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施例による流体送達デバイスの概略的な頂部断面図である。
【図4】図4Aは、図1の線4A−4Aに沿った、図1に示す流体送達デバイスの頂部断面図である。図4Bは、流量制限器の長さに沿った、図1に示す流体送達デバイスの頂部部分断面図である。
【図5】図5は、図1の線5−5に沿った、図1に示す流体送達デバイスの正面断面図である。
【図6A】図6Aは、初期位置に示された図1の線6A−6Aに沿った流体送達デバイスの基本油圧式チャンバおよび付勢部材の側面断面図である。
【図6B】図6Bは、係合位置に示される図6Aの側面断面図である。
【図6C】図6Cは、長時間使用後に係合位置に示される図6Aの側面断面図である。
【図7】図7は、従来の単一付勢部材の側面断面図と比較した、図1に示す流体送達デバイスの第1および第2の付勢部材の側面断面図を含む。
【図8】図8は、図1の線8−8に沿った、図1に示す流体送達デバイスのボーラスボタンおよびボーラス油圧式チャンバの側面断面図である。
【図9】図9Aは、ユーザ上で係合位置にあり、ユーザにボーラスボタンの解除を示す、図1に示す流体送達デバイスの例示的斜視図である。図9Bは、ユーザ上で係合位置にあり、ユーザにボーラスボタンの押圧を示す、図1に示す流体送達デバイスの例示的斜視図である。
【図10】図10Aは、ボーラスボタンが初期係止位置にある、線4A−4Aに沿った図1に示す流体送達デバイスの部分的な頂部断面図である。図10Bは、線10B−10Bに沿った、図10Aに示す流体送達デバイスの部分的な正面断面図である。
【図11】図11Aは、ボーラスボタンが解放位置にある、線4A−4Aに沿った図1に示す流体送達デバイスの部分的な頂部断面図である。図11Bは、線11B−11Bに沿った、図11Aに示す流体送達デバイスの部分的な正面断面図である。
【図12】図12Aは、ボーラス用量送達後にボーラスボタンが係止位置にある、線4A−4Aに沿った図1に示す流体送達デバイスの部分的な頂部断面図である。図12Bは、線12B−12Bに沿った、図12Aに示す流体送達デバイスの部分的な正面断面図である。
【図13】図13Aは、ボーラスボタンが係止位置にあり、解放ボタンが係止位置にあり、ボーラスボタンが完全に展開されたことを示す、線4A−4Aに沿った図1に示す流体送達デバイスの部分的な頂部断面図である。図13Bは、線13B−13Bに沿った、図13Aに示す流体送達デバイスの部分的な正面断面図である。
【図14】図14は、線14−14に沿った、図1に示す流体送達デバイスのポンプチャンバ、薬物ピストン、および流体貯蔵部の側面断面図である。
【図15】図15は、図14に示す薬物ピストンの拡大側面断面図である。
【図16】図16Aは、初期または格納位置にある、図1に示す流体送達デバイスの斜視図である。図16Bは、ボタンキャップが除去され、付勢部材が係合した、図1に示す流体送達デバイスの斜視図である。図16Cは、係合位置にある図1に示す流体送達デバイスの斜視図である。
【図17】図17は、線17−17に沿った、図16Aに示す流体送達デバイスの正面断面図である。
【図18】図18は、線18−18に沿った、図16Cに示す流体送達デバイスの正面断面図である。
【図19】図19は、図18に示す針キャップを有する針の一部分の拡大正面断面図である。
【図20】図20は、図1の流体送達デバイスのロックアウトアセンブリの部分的な分解破断図である。
【図21】図21は、初期または係合準備位置にある、図1の流体送達デバイスのロックアウトアセンブリの頂部の部分的破断図である。
【図22】図22は、ロックアウト位置にある、図1の流体送達デバイスのロックアウトアセンブリの頂部の部分的破断図である。
【図23A】図23Aは、接着パッチが除去され、初期位置にある係止ボタンを示す、図1の流体送達デバイスの部分的な底面図である。
【図23B】図23Bは、係止ボタンが第1の方向に移動された、図23Aに示す流体送達デバイスの部分的な底面図である。
【図23C】図23Cは、係止ボタンが第1および第2の方向に移動された、図23Aに示す流体送達デバイスの部分的な底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細に図面を参照すると、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を示し、図1〜23Cに、本発明の例示的な実施例にしたがって一般的に設計される流体送達デバイス110が示される。流体送達デバイス110は、流体の正確な送達およびユーザもしくは患者による使い易さを促進するかまたは向上する本明細書に記載される1つ以上の特徴を含んでもよい。これらの特徴によって提供される利益は、患者コンプライアンスの改善および治療成績の向上に容易につながる。
【0014】
一実施形態において、流体送達デバイス110は、個別の携帯型インスリン送達ポンプである。流体送達デバイス110は、単回使用、使い捨て、および再利用不可能であってもよい。好ましい実施形態において、流体送達デバイス110は、完全に機械的および油圧式であり、電気的な構成要素または側面を有さない。流体送達デバイス110は、小型、単回使用の使い捨てパッケージにおいて優秀な治療能力を提供し得、大量生産による製造(例えば、射出成形)および組み立て工程を用いて生産することができ、低い商品コストを可能にする。本発明のデバイスは、臨床用途(薬物の投与等)および生物医学研究(例えば、細胞内へのマイクロインジェクション、核または細胞小器官の移植、単一細胞またはハイブリドーマの単離等)を含むが、これらに限定されない幅広い用途に使用することができる。
【0015】
一実施形態において、流体送達デバイス110は、ユーザまたは患者に流体または薬剤を分注、送達、または投与するためのデバイスである。流体は、いずれの治療剤であってもよい。一実施形態において、流体は低粘性ゲル剤である。一実施形態において、流体は鎮痛剤である。一実施形態において、流体はインスリンである。一実施形態において、流体はU100インスリンである。別の実施形態において、流体はU200インスリンである。別の実施形態において、流体はU300インスリンである。別の実施形態において、流体はU500インスリンである。別の実施形態において、流体は、U100〜U500の間のいずれかのインスリンである。他の実施形態において、流体は、アヘン剤および/または他の苦痛緩和剤もしくは鎮痛剤、ホルモン、向精神性治療組成物、あるいは、その連続投与が患者の治療において望ましいかまたは有効である任意の他の薬剤または化学物質であってもよいが、これらに限定されない。単一流体および2つ以上の流体の組み合わせ(混合または同時投与される)が、流体送達デバイス110を使用して送達されてもよい。本明細書で使用される場合、「患者」または「ユーザ」は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る:流体送達デバイス110の使用は、人間医学に限定されるものではなく、獣医学にも等しく適用することができる。
【0016】
流体送達デバイス110は、持続期間にわたって流体を分注することができる(すなわち、基本送達)。一実施形態において、流体送達速度は、持続期間にわたって連続的にまたはほぼ連続的にユーザに送達される。流体送達デバイス110はまた、要求に応じて患者の制御下において、基本量に加えて追加量の流体を分注することもできるかもしれない(すなわち、ボーラス送達)。一実施形態において、後にさらに論じるように、単一の選択可能な投与で送達されるボーラス量は、予め決定される。好ましい実施形態において、流体送達デバイス110は、油圧作動式であり、後にさらに論じるように、1つ以上のアクチュエータから流体に力を伝達して送達速度を制御するために好適な粘性の油圧液を収容する1つ以上の貯蔵部またはチャンバを備える。
【0017】
特定の構成要素およびそれらの関係を示す、流体送達デバイス110の例示的な一実施例を図3の概略図に示す。流体送達デバイス110は、注入セットまたは針312を通して連続的または持続的な基本投与量で流体を分注または送達するための第1の操作可能な状態と、針312を通してボーラス投与量で流体を送達するための第2の操作可能な状態とを有することができる。いくつかの実施形態において、流体送達デバイスは、同時に第1および第2の両方の操作可能な状態にあり得る、すなわち、基本用量の流体に加えてボーラス用量を送達する。一実施形態において、ボーラス投与量は、一定の増分投与量である。別の実施形態において、ボーラス機能は、ユーザによって作動されると、複数の個別のボーラス増分を送達することができる。特定の実施形態において、基本送達速度は予め決定され、予め設定される。
【0018】
一実施形態において、流体送達デバイス110は、油圧式基礎チャンバ314、油圧式ボーラスチャンバ316、および油圧式ポンプチャンバ318の3つの油圧式貯蔵部またはチャンバを包含する。いくつかの実施形態において、油圧式ボーラスチャンバ314は、油圧式ポンプチャンバ318と共通のチャンバを共有し、および/または、油圧式ボーラスチャンバ316と油圧式ポンプチャンバ318との間の流量は、本明細書において詳述するように無制限である。好ましい実施形態において、油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316は、別個の独立した基本およびボーラスアクチュエータ320、322によって別個におよび独立して作動される。
【0019】
図3を参照すると、一実施形態において、油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316は、油圧式ポンプチャンバ318に作用し、一方で、流体を収容する流体貯蔵部または送達チャンバ324に作用する。他の実施形態において、油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316は、それぞれ、異なるポンプチャンバに作用し、それぞれのポンプチャンバは、別個の流体貯蔵部(図示せず)に機能的に接続される。
【0020】
図2を参照すると、油圧式の基本、ボーラス、およびポンプチャンバ314、316、318は、マニホールド226によって確定されてもよい。一実施形態において、マニホールド226は、統合された一続きの構成要素226である。一実施形態において、マニホールド226は、ポリマーから構成される。一実施形態において、マニホールド226は、ポリ塩化ビニル(PVC)から構成される。一実施形態において、流体貯蔵部324と、油圧式ポンプチャンバ318の一部は、流体カートリッジ228によって画定される。一実施形態において、流体カートリッジ228は、ポリマーから構成される。一実施形態において、流体カートリッジ228は、Topas6017S−04から構成される。油圧式の基本、ボーラス、およびポンプチャンバ314、316、318および流体貯蔵部324は、円筒状であってもよい。他の実施形態において、油圧式ポンプチャンバ314、316、318および流体貯蔵部324は、正方形、長方形、または三角形等の任意の断面形状を有する。一実施形態において、第1の可動障壁230は、基本アクチュエータ320と油圧式基礎チャンバ314とを分離する。一実施形態において、第2の可動障壁232は、ボーラスアクチュエータ322と油圧式ボーラスチャンバ316とを分離する。一実施形態において、第3の可動障壁234は、油圧式ポンプチャンバ318と流体貯蔵部324とを分離する。第1、第2、および第3の可動障壁230、232、234は、後に詳述するようにピストンであってもよい。他の実施形態において、第1、第2、および第3の可動障壁230、232、234は、膜または拡張可能な壁等の、2つのチャンバ間で運動を伝達することができる任意の障壁である。
【0021】
油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316は、より小型の構成を提供するために、図示するように、平行であってもよく、油圧式ポンプチャンバ318および流体貯蔵部324のいずれかの側に離間され、それと略整列し得る。一実施形態において、油圧式ポンプチャンバ318は、流体送達デバイス110の片側に向かって提供される。他の実施形態において、油圧式の基本、ボーラス、およびポンプチャンバ314、316、318は、流体連通を可能にし、三角形の構成で積み重ねられる等の流体送達デバイス110の所望の外形を達成する任意の構成に配置される。
【0022】
基本アクチュエータ320は、油圧式基礎チャンバ314を加圧するために、油圧液を収容する油圧式基礎チャンバ314に作用し、流量制限器336を通して油圧式ポンプチャンバ318内に油圧液を付勢することができる。必ずではないが一般的に、油圧式ポンプチャンバ318内の油圧液は、油圧式基礎チャンバ314内の油圧液と組成において同一または同様であってもよい。基本アクチュエータ320の作動は、流量制限器336が提供されなかった場合と比較して減少された速度で、油圧式基本貯蔵部320から油圧式ポンプチャンバ318内へと油圧液を流れ込ませ得る。油圧式ポンプチャンバ318内の油圧液の体積が増加するにつれて第3の可動障壁234が変位されると、流体貯蔵部324の体積を圧縮するかまたは減少させ、その中に収容された流体を出力口または針312を通って持続的な基本速度で放出させる。一実施形態において、基本速度は実質的に一定である。
【0023】
いくつかの実施形態において、ボーラスアクチュエータ322は、独立して油圧式ボーラスチャンバ316に作用する。一実施形態において、ボーラスアクチュエータ322は、油圧式ポンプチャンバ318に直接作用する。しかしながら、本発明は、基本能力およびボーラス能力の両方を備えるデバイスに限定されるものではないことを理解されたい。本明細書に記載される1つ以上の特徴を有する本発明のデバイスは、基本能力、ボーラス能力、または基本能力およびボーラス能力の両方を備えてもよい。
【0024】
油圧式ボーラスチャンバ316および油圧式ポンプチャンバ318の両方が、適当な粘性の油圧液を収容してもよい。必ずではないが一般的に、油圧式ポンプチャンバ318内の油圧液の組成は、油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316内の油圧液の組成と同一または同様である。ボーラスアクチュエータ322の作動または変位は、第3の可動障壁234を独立して変位させ、流体貯蔵部324の体積を圧縮するかまたは減少させて、その中に収容された流体を針312等の出力口を通して放出させる。基本およびボーラスアクチュエータ320、322の両方を同時に操作すると、いずれかのアクチュエータ単独の操作よりも大きい量だけ流体貯蔵部324を圧縮させる。
【0025】
存在する場合、基本およびボーラスアクチュエータ320、322の両方が、各特徴が共通の可動障壁234に対して独立した変位力をもたらすことができる様式で油圧作動式システム内に統合されてもよく、一方で、デバイスから流体を分注するように共通の流体貯蔵部324内の流体を変位させる。他の実施形態において、基本およびボーラスアクチュエータ320、322は、各特徴が別個の可動障壁(図示せず)に対して独立した変位力をもたらすことができる様式で油圧作動式システム内に統合されてもよく、一方で、別個の流体貯蔵部(図示せず)内の流体を分注する。本明細書に提示される本発明とともに使用するための複数カートリッジ流体送達デバイスの例は、米国特許出願公開第2009/0240232号に開示され、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
一実施形態において、流体送達デバイス110は、流体を連続的または持続的に送達するために、力と、高粘性、非常に高粘性、または超高粘性の流体と、流量制限との組み合わせを利用する。流量制限器336は、他の側面の中でも、油圧式基礎チャンバ314と油圧式ポンプチャンバ318との間に大きな圧力差または圧力低下を生み出すことよって、基本速度での流体の連続送達を促進することができ、システムが、流体カートリッジ228内での第3の可動障壁234の移動等のシステムにおける幅広い範囲の摩擦変動を許容し、流れに対する抵抗における小さな変化を許容し、流路の潜在的な閉塞を克服できるようにする。一実施形態において、使用中の油圧式基礎チャンバ314と油圧式ポンプチャンバ318との間の圧力差は、約10:1である。一実施形態において、使用中の油圧式基礎チャンバ314と油圧式ポンプチャンバ318との間の圧力差は、約46:1である。一実施形態において、油圧式基礎チャンバ314は、約20psi〜70psiの間の圧力で動作する。一実施形態において、油圧式基礎チャンバ314は、約46.8psiの圧力で動作する。一実施形態において、油圧式ポンプチャンバ318は、約0.5psi〜約5psiの圧力で動作する。一実施形態において、油圧式ポンプチャンバ318は、約1.2psiの圧力で動作する。
【0027】
流量制限器336は、そこを通る流体の流速を制御するように寸法的に適合される。一実施形態において、流量制限器336は、約1〜1000μmの直径を有する。本明細書に提供される全ての範囲は、その範囲の始点および終点の両方(例えば、約1〜約1000μmの範囲には、1および1000μmが含まれる)、ならびにその間の全ての値を包含することを理解されたい。流量制限器336の形状が何であれ、開口部の断面積および長さは、所望の流速を達成するようにサイズ決定される。例えば、流量制限器336は、1インチの約1/10,000(または2〜3μm)の直径であってもよい。使用に応じて、流量制限器336のサイズは、限定されないが、200nm〜500nm、または500nm〜1000nm、または1〜2μm、または5〜10μm、または10〜1000μmの直径を含むいずれかであってもよい。一実施形態において、流量制限器336の外径は、約0.026インチであり、流量制限器336の内径は、約0.00758インチ、0.00708インチ、および0.00638インチのうちの1つである。一実施形態において、流量制限器336の長さおよび外径は、マニホールド226のサイズに基づいてデバイスごとに一定であり、流量制限器336の内径は、所望の流速を達成するために変更されてもよい。流量制限器336の他のサイズおよび寸法が選択されてもよく、選択されたサイズおよび寸法は、当面の用途と、特に、油圧液の粘性および基本アクチュエータ320から印加される力とに依存する。一実施形態において、流量制限器336は、トパーズから構成される。トパーズから構成される流量制限器336を有することは、流量制限器336が、実質的に正確かつ一定の断面サイズおよび形状を有することを確実にするのに役立ち得る。当業者は、任意の好適の流量制限器336が利用されてもよく、温度および周囲圧力を含む予想される条件下でもたらされる流体の所望の流速を達成するために、流量制限器336のサイズおよび形状が異なってもよいことを理解するであろう。流量制限器336は、円形断面形状である必要は無く、楕円形、正方形、長方形、三角形、多角形、または不規則な形状であってもよい。流量制限器336のサイズおよび形状は、該当する条件で選択された流体の流量を調べることによって経験的に決定されてもよい。
【0028】
図4Bを参照すると、一実施形態において、流量制限器336は、流体送達デバイス110の側面410aを通って延在する。一実施形態において、流量制限器336は、油圧式ボーラスチャンバ316が、流量制限器336を介して油圧式基礎チャンバ314と流体連通し、油圧式の基本およびボーラスチャンバ314、316の両方が、非制限的な流体経路438を通って油圧式ポンプチャンバ318と流体連通するように、油圧式ボーラスチャンバ316を通って延在する。代替の実施形態において、流体経路438は、ボーラスアクチュエータ322の運動速度とほぼ等しい送達速度を有するのではなく、ボーラス用量の送達速度を遅延させるために制限される。
【0029】
続けて図4Bを参照すると、一実施形態において、流量制限器336は、ガイドプラグ440を含む。一実施形態において、ガイドプラグ440は、マニホールド226によって密封され、流量制限器336を流体経路438内に位置決める。一実施形態において、ガイドプラグ440は、流量制限器336および油圧式ボーラスチャンバ316を流体的に連結するための開口部440aを含む。流量制限器336は、エポキシによってマニホールド226に固定されてもよい。一実施形態において、流量制限器336およびガイドプラグ440をマニホールド226内に挿入した後に、流量制限器336が紫外線硬化性樹脂によってマニホールド226に固定され得るように、ガイドプラグ440および流量制限器336は、略透明な材料から構成される。
【0030】
流体送達デバイス110を作動させると、基本アクチュエータ320が油圧液に作用し、油圧式基礎チャンバ314内の圧力を増加させる。この圧力増加の結果として、油圧式基礎チャンバ314内の油圧液が、流量制限器336を通って油圧式ボーラスチャンバ316内に流入し始める。一実施形態において、ボーラスアクチュエータ320は、油圧式ボーラスチャンバ316の拡張を防止し、油圧式基礎チャンバ314からの油圧液が、流体経路438を通って油圧式ポンプチャンバ318内に流入し、油圧液が第3の可動障壁234を変位させ、流体貯蔵部324内の流体を持続的な基本速度で流体送達デバイス110から流出させる。一実施形態において、基本速度は、製造者によって予め決定されるかまたは予め設定される。流体送達デバイス110の実施形態は、限定されないが、1分、1時間、6時間、12時間、1日、3日、5日、10日、1ヶ月等の時間の範囲にわたって流体を連続的に送達するために使用されてもよい。特定の実施形態において、流体は、限定されないが、1時間当たり約0.1μl〜約10μl、1時間当たり約10〜約100μl、1時間当たり約100μl〜約1ml、1時間当たり約1ml〜約100ml、または1時間当たり約100ml〜約200mlから選択される基本速度で流体送達デバイス110から放出される。一実施形態において、基本速度は、約100ユニット/日であり、それは42μl/時間または1000μl/24時間である。選択される速度および送達期間は、当面の用途に依存し、当業者は、所与の用途のための適切な投与速度を決定することができるであろう。
【0031】
図3を参照すると、流体送達デバイス110の実施形態は、流体貯蔵部324の遠位端324aの接続点によって注入セットまたは針312に接続されてもよい。代替の実施形態において、針312は、流体貯蔵部324の側壁に位置してもよい。針312は、ルーメン、針セット、カテーテル−カニューレセット、または1つ以上のルーメンによって取り付けられたマイクロニードルもしくはマイクロニードルアレイ等のいずれの送達デバイスで置き換えられてもよい。
【0032】
一実施形態において、基本流速は、流量制限器336の選択とともに、油圧液の粘性および油圧式基礎チャンバ314に供給される力に基づいて、製造時に予め設定される。代替として、流量制限器336の長さおよび/直径は、基本流速を変更するための要求に基づいて調整することができる。他の実施形態において、流量制限器336は、調整可能な虹彩型アパーチャまたは伸縮型制限器経路用ミニチュアバルブまたは一対の開閉スリット(図示せず)を用いることによって、サイズを調整することができる。代替の実施形態において、アパーチャを開閉するために電気モータまたは圧電デバイス(図示せず)が使用されてもよく、そうすることで、油圧液がポンプチャンバ内に流れ込む速度に影響を与え、第3の可動障壁234を変位させる。
【0033】
油圧液は、ゲル、または小型固形ビーズの集合体等のいずれの非圧縮性の流動性材料であってもよい。一実施形態において、油圧液は、超高純度の生物学的に不活性な材料である。一実施形態において、油圧液はシリコン油である。油圧液の有用な粘性は、流量制限器336のサイズによって上限が限定される。幅広い範囲の環境条件下、特に、低気圧および/または高周囲温度の存在下(粘性が低下する傾向がある)において、基本アクチュエータ320からの圧力および流量制限器336のサイズの組み合わせによって油圧液の流れが高度に制御された状態を維持できるよう、油圧液は、その下限において十分に粘性が高くなければならない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「高粘性」とは、作動油圧液が、少なくとも約ISO VG 20、もしくは少なくとも約ISO VG 32、もしくは少なくとも約ISO VG 50、もしくは少なくとも約ISO VG 150、もしくは少なくとも約ISO VG 450、もしくは少なくとも約ISO VG 1000、もしくは少なくとも約ISO VG 1500、またはそれ以上の粘性グレードを有することを意味する。一実施形態において、油圧液は非常に高粘性の流体である。本明細書で使用される場合、「非常に高粘性」とは、作動油圧液が、約80,000〜約180,000cPsの粘性を有することを意味する。一実施形態において、油圧液は、超高粘性の流体(例えば、約180,000〜約200cPs)である。一実施形態において、油圧液は、100,000センチストークの粘性を有する。
【0035】
一実施形態において、粘性は温度に反比例して変化するため、油圧液を略一定の温度に維持することが重要である。流体送達デバイス110は、流体の投与中、ユーザの身体に装着される。流体送達デバイス110は、後に詳述するように、接着パッチ542を介してユーザの身体に付着されるように寸法的に適合されてもよい(図5を参照)。したがって、流体送達デバイス110は、患者の生活習慣に相応する幅広い環境条件に曝露される。油圧液の温度の変動を適切に制御しないと、高い環境温度によって粘性の低下が引き起こされ得、その結果、流量の減少をもたらす粘性の増加を引き起こし得る流量の増加および低い環境温度がもたらされる。一実施形態において、油圧液は、ユーザの皮膚の温度に応じて、略一定の温度にされる。したがって、いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110の構成は、環境温度がデバイス内の油圧液の温度に与える影響を低減する。一実施形態において、ユーザの皮膚の温度は、油圧液の保存温度よりも高い可能性が高いので、初期の流体送達速度が、持続的な基本送達速度まで増加される。
【0036】
図5を参照すると、流体送達デバイス110は、流体送達デバイス内の油圧液と装着者の身体との間に導電性の熱電対を備えてもよい。熱電対は、身体の一定温度を利用して、ともすれば環境温度の変化の結果として幅広い変動を受ける可能性がある油圧液の温度を制御または加減する。この調節により、油圧液の粘性の変動を減少させ、それによって、周囲温度の変化によって引き起こされる流体の流れまたは送達における望ましくない変動を減少させる。
【0037】
一実施形態において、油圧式基礎チャンバ314と皮膚との間に熱伝導性の経路が提供される。流体送達デバイスは、皮膚表面544と係合するように構成される第1の熱伝導率を有する取付け面542aを有してもよい。一実施形態において、油圧式基礎チャンバ314を内蔵するマニホールド226は、外壁226aを有する。一実施形態において、外壁226aは、第2の熱伝導率を有する取付け面542aに近接する部分226bを有し、第2の熱伝導率は、取付け面542aの第1の熱伝導率よりも高い。取付け面542aに近接するマニホールドの部分226bは、油圧式基礎チャンバ内の油圧液を皮膚表面544の温度に応じて実質的に一定の温度に維持することができるように、皮膚表面544と直接接触してもよい。一実施形態において、取付け面542aは、外側の筐体546に統合される。一実施形態において、取付け面542aは、筐体546に取り付けられた基部548に統合される(図2を参照)。本明細書で使用される場合、基部548は、筐体546の一部であると見なされてもよい。
【0038】
別の実施形態において、例えば筐体546を介して、直接的にまたは間接的に外部環境に曝露される油圧式基礎チャンバ314の残りの表面の周囲に、断熱材が提供される。断熱材は、いずれの熱伝導性材料および/または図示されるような空間であってもよい。好ましい実施形態において、熱伝導性の経路が、外部環境に対する断熱材に連結される(図5)。油圧式基礎チャンバ314は、身体の皮膚表面544と油圧液との間の導電性結合を最適化するために、装着者の身体と直接接触して位置決めさられてもよい。流体送達デバイス110はまた、周囲温度における変化の影響をさらに低減させる補助となるように、ユーザの腹部に装着され、衣服で覆われてもよい。
【0039】
図5に示すように、油圧式基礎チャンバ314を内蔵するマニホールド226の部分226bは、基部548の周囲面から隆起してもよい。一実施形態において、基部548から延在するマニホールド226の部分226bは、流体送達デバイス110の底面110b全体が実質的に平面であるように、接着パッチ542の取付け面542aと略接線である。存在する場合、流体送達デバイス110を皮膚表面544に付着する接着パッチまたはパッド542は、外側の貯蔵部壁と皮膚との間の接触をさらに確実にするために、好ましくはこの領域(解放領域542a)において解放される(図2も参照)。流体送達デバイス110から外側に延在する接着パッチが移動したときに、マニホールドの側面が解放領域542aを通って延在しないように、接着パッチ542は、マニホールド226の下または上に部分的に延在してもよい。一実施形態において、身体と油圧液との間の導電性結合を増加させるように油圧液とユーザとを隔てる材料の質量を減少させるために、油圧式基礎チャンバ314に近接する皮膚表面544に接触する領域において、マニホールド226の外壁が(図示するように)薄くてもよいか、または筐体もしくは他の材料が解放されてもよい。
【0040】
外部環境温度が油圧液の温度に与える影響をさらに低減するために、油圧液を外部環境から絶縁および隔離するための1つ以上の追加の特徴がデバイスに組み込まれてもよい。油圧式基礎チャンバ314は、マニホールドの残りの部分とは別個のまたは隔離された構成要素であり得る(図示せず)。一実施形態において、マニホールド226と筐体546とは、外部環境に面した領域内の開放空隙によって分離されてもよい。油圧液をさらに隔離するために、油圧式基礎チャンバと筐体546との間の空隙を別個の空洞部分に分割してこの空隙内の空気をさらに分断するかまたは孤立させることができる。一実施形態において、流体貯蔵部324は、皮膚表面544から熱隔離される。一実施形態において、筐体546内の空隙は、流体を皮膚表面544よりも低い温度に維持するために、流体貯蔵部324を実質的に取り囲む。
【0041】
一実施形態において、上記構成の1つ以上は、流体送達デバイス110が40°F(5℃)〜104°F(40℃)の温度範囲内で動作することを可能にする。導電性結合の非存在下において、動作中に油圧液がこの全温度範囲に曝露された場合、油圧液の粘性における変化の結果としてもたらされる流量変動量(典型的には、温度が1°F推移するごとに粘性が約1%推移する)は、流量制限器336を通る油圧液の流れに過度の変動を導入し、許容できない薬剤送達能を生じる可能性がある。一実施形態において、流体送達デバイス110の温度制御機能の改良により、周囲温度が1°F推移するごとに粘性に1%未満の推移がもたらされる。例えば、この機能は、温度が1°F推移するごとに、粘性において約0.15%、0.10%、または0.05%の推移といった変化をもたらし得る。一実施形態において、低温限界では皮膚表面544と油圧液との間にわずか6°Fの差が存在するのみであり、高温限界では2つの測定値の間にわずかな差が存在するかまたは全く差がない。皮膚表面544と油圧液との間のこの効果的な連結の結果として、周囲(環境)温度が65°F変化する間に、油圧液には10°F未満の温度変化が観察され得る。
【0042】
図6A〜6Cを参照すると、一実施形態において、基本アクチュエータ320は、油圧液を加圧するように油圧式基礎チャンバ314に力を及ぼす。基本アクチュエータ320は、限定されないが、油圧式基礎チャンバ314に力を印加する任意のデバイス、例えば、蠕動アクチュエータ、小型ベローズクランク、または油圧式基礎チャンバ314を圧迫する一対のローラ、油圧式基礎チャンバ314を圧迫する板もしくは他の構造を圧縮するラチェットもしくはステッピングモータ駆動ユニット、電動もしくは圧電機構、拡張する気体の体積、熱エネルギー等、あるいは送達される流体に直接的または間接的に圧力を印加することができる任意の他のデバイスまたはプロセスであってもよい。一実施形態において、基本アクチュエータ320は、電力を必要としないように開ループであり、流体送達デバイス110は、純粋に機械的であってもよい。
【0043】
一実施形態において、基本アクチュエータ320は、第1の付勢部材650および第2の付勢部材652等の1つ以上の付勢部材から構成される。一実施形態において、ある第1および第2の付勢部材650、652は、ばねである。一実施形態において、第1および第2の付勢部材650、652は、螺旋状の圧縮ばねである。移動の最初に圧縮された状態でばねによって及ぼされる力は、移動の最後にかけてあまり圧縮されていない状態でばねによって及ぼされる力よりも大きい。結果として生じる力の差は、流体送達デバイス110内の油圧液の流れに影響を与え、したがって、送達される流体の流れに影響を与え得る。
【0044】
一実施形態において、初期の圧縮された状態とあまり圧縮されていない状態との間で、第1および第2の付勢部材650、652によって及ぼされる力の差が減少され、したがって、持続的な流体送達速度を達成するデバイスの能力において予想される変動量が減少される。一実施形態において、圧縮された状態とあまり圧縮されていない状態との間の力の差は、ばねのばね定数(力/たわみ)を減少させることによって最小限に抑えられる。ばね定数は、ばねの長さを増加させることによって減少されてもよい。一実施形態において、流体送達デバイス110のサイズをできるだけ小型に維持し、基本アクチュエータ320が始めから終りまで力を減少させるのを防止するために、複数の同軸上に積み重ねられた付勢部材が使用される。代替の実施形態において、第2の付勢部材652は、第1の付勢部材650と平行に連結される。しかしながら、第1および第2の付勢部材650、652を重複させることによって、流体送達デバイス110のサイズがさらに縮小される。一実施形態において、第1の可動障壁230によって移動される軸方向の距離よりも長い軸方向の距離だけ第3の可動障壁234を移動させるために、油圧式基礎チャンバ314の断面積は、流体貯蔵部324の断面積よりも大きい(例えば図4Aを参照)。ばねが完全に移動する(ストローク)間に起こるばね力の減衰量を減少させ、油圧液に対してより一定のばね力を維持することにより、デバイスからより一定の流体の流れがもたらされる。
【0045】
図6Aを参照すると、一実施形態において、第2の付勢部材652は、第1の付勢部材650と直列に連結され、少なくとも部分的に第1の付勢部材650と重複する。一実施形態において、第1の付勢部材650は、第2の付勢部材652と同軸上にある。第1の付勢部材650および第2の付勢部材652の同軸上の配置は、平行な配置よりも好ましいかもしれない。一実施形態において、第1の付勢部材650の近位端650aは、筐体546に連結される。一実施形態において、近位端650aは、基部548から延在する停止部654で終端する(図2も参照)。一実施形態において、スリーブ656は、第1の付勢部材の遠位端650bを第2の付勢部材652の近位端652aと連結し、スリーブ656は、第1と第2の付勢部材650、652との間の重複部の長さに略等しい長さを有する。一実施形態において、スリーブ656は、本体656aと、第1のフランジ端部656cと、第2のフランジ端部656bとを有する。第1のフランジ端部656cは、第1の付勢部材650の遠位端650bと係合するように、スリーブ656の本体656aから半径方向外側に延在してもよい。スリーブ656の第2のフランジ端部656bは、第2の付勢部材652の近位端652aと係合するように、スリーブ656の本体656aから半径方向内側に延在してもよい。スリーブ656の本体656aは、第2の付勢部材652がスリーブ656を通って第2のフランジ端部656bと係合できるように略中空であってもよい。一実施形態において、第1および第2の付勢部材650、652は、第1および第2の付勢部材650、652の両方が拡張したときに、スリーブ656がそれらの間で「浮かぶ」ように、実質的に等しいばね定数を有する。一方の付勢部材が他方よりも強力である場合、より強力な付勢部材が優勢となり得、他方の付勢部材が拡張しないようにし、複数の付勢部材を有する構成の利益を無効にする。一実施形態において、第1と第2の付勢部材650、652との間のばね定数の差は、約10%未満である。一実施形態において、第1と第2の付勢部材650、652との間のばね定数の差は、約3%未満である。
【0046】
基本アクチュエータ320は、第1および第2の付勢部材650、652を通って延在するプランジャ658を含んでもよい。一実施形態において、プランジャ658の遠位端658aは、半径方向外側に延在するフランジ658bを有する。プランジャ658のフランジ658bは、第1の可動障壁230と付勢部材652の遠位端652bとを係合させる。プランジャ658の近位端658cは、停止部654に解放可能に連結されてもよい。プランジャ658は、停止部654を通って延在し、ピン660によって筐体に解放可能に連結されてもよい。一実施形態において、ピン660は、第1および第2の付勢部材650、652の力によってプランジャ658が油圧式基礎チャンバ314内にさらに延在されないように、そして筐体546の外側から除去できるように、ピン660は、筐体546を通って、またプランジャ658の少なくとも一部を通って延在し、停止部654で終端する。一実施形態において、ピン660は、ピン660の除去をより容易にするように先細りである。ピン660は、後にさらに詳述するように、ボタンカバー662を除去することにより、ユーザによる1ステップでプランジャ658を開放するようにボタンカバー662に連結されてもよい。図6A〜6Cは、基本アクチュエータ320を作動または開始させるためにピン660を除去した直後(図6B)の初期位置にある基本アクチュエータ320(図6A)、および流体送達期間の後に使用中の基本アクチュエータ320(図6C)を示す。
【0047】
図7を参照すると、一実施形態において、第1および第2の付勢部材650、652の構成は、第1および第2の付勢部材650、652の拡張によって油圧式基礎チャンバ314に印加される力の低下を減少させる。例えば、0.75インチの高さに圧縮された単一圧縮ばねS1は、5.7ポンドの力を印加する。この単一ばねS1が0.935インチの高さに伸長するとき、印加される力は5.34ポンドまで低下する。力におけるこの6.3%の低下は、油圧液の流速、および一方で、流体送達デバイス110からの流体の基本送達速度の比例的な低下をもたらす。力の低下を増加させずに、流体送達デバイス110によって変位される流体の体積を増加させるために、必要とされる体積増加に比例して基本アクチュエータ320を長くする必要がある。例示的な一実施形態において、0.945インチの高さに圧縮された二重の重複ばね構成S2は、5.7ポンドの力を印加する。二重ばねS2が1.283インチの高さまで伸長すると、力は5.34ポンドまで低下する。力におけるこの6.3%の低下は、流速の低下に比例するが、単一ばねS1とは異なり、変位体積が83%多いのに対し、ばねアセンブリの長さは、わずか25%長いだけである。二重ばねアセンブリS2は、ばね力における所与の損失0.36ポンドのために、ばねの伸長においてさらに83%の増加を提供する。これによって、ばねの伸長による損失を増加させることなく、さらなる基本能力を提供する。反対に、二重ばねS2を使用して、同等の伸長長さにわたるばねの伸長に起因して、はるかに少ない損失(同等の伸長長さにわたって力の低下が約45%減少)で、(単一ばねの実施形態S1と比較して)同等の体積を送達するためにすることができる。図示されるような二重ばねの配置は一実施形態に過ぎず、3つ以上のばねが利用されてもよいことを理解されたい。
【0048】
一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が10%未満低下する。一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が8%未満低下する。一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が6%未満低下する。一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が5%未満低下する。一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が4%未満低下する。一実施形態において、基本アクチュエータ320によって、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が3%未満低下する。
【0049】
一実施形態において、基本アクチュエータ320は、上述のように、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が所定の低下量より少なく、約2インチ未満の長さを有する。一実施形態において、基本アクチュエータ320は、上述のように、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が所定の低下量より少なく、約1.5インチ未満の長さを有する。一実施形態において、基本アクチュエータ320は、上述のように、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が所定の低下量より少なく、約1インチ未満の長さを有する。一実施形態において、基本アクチュエータ320は、上述のように、送達開始から送達終了までに油圧式基礎チャンバ314に印加される力が所定の低下量より少なく、約0.8インチ未満の長さを有する。
【0050】
図4Aを参照すると、一実施形態において、第3の可動障壁234を変位させるために必要な力における変動量を減少させることによって、流体の送達一貫性が向上される。好ましい実施形態において、接触面積、可動障壁230、232、234とそれらのチャンバ壁との間の接触力および摩擦係数、ならびに油圧液および第1の可動障壁230の圧縮力のうちの1つ以上を制限または制御することによって、第3の可動障壁234を変位させるために必要な力が減少または制御される。
【0051】
図6Aを参照すると、第1の可動障壁230は、密封を形成するための最小肉厚である厚さtを有してもよい。一実施形態において、第1の可動障壁は、約0.05インチの厚さtを有する。一実施形態において、第1の可動障壁230は、プランジャ658の遠位端658a内に延在する突出部230aを有する。一実施形態において、第1の可動障壁230は、マニホールド226の内面に接触するための丸みを帯びた外周部230bを含む。一実施形態において、第1の可動障壁230の外周部230bは、第1の可動障壁230の残りの部分に統合される。一実施形態において、第1の可動障壁230は、ブロモブチルゴムから構成される。一実施形態において、第1の可動障壁230は、40ショアAのデュロメータ硬度を有する。
【0052】
図8〜9Bを参照すると、一実施形態において、流体送達デバイス110は、基本速度で連続的にまたはほぼ連続的に流体を分注することができ、要求に応じてまたは患者の制御下で、追加量の流体またはボーラスを分注することができる。流体送達デバイス110は、ユーザが、ユーザのシャツ(図示せず)の下でおよびシャツを通して流体送達デバイス110を確認し、または送達のためのボーラス量を設定する必要なく、複数の個別のボーラス量を送達することを可能にし得る。各ボーラス用量は、ボーラス用量を送達するために2つの異なる動作を必要とし得る。一実施形態において、計画的および正確なボーラス投与を向上させるために、ユーザによって複数のボタンシーケンスが行われる。好ましい実施形態において、ボーラス送達は、周期的(すなわち、共通、一定、ルーティン)な機械システムによって操作され、ユーザは、1周期当たりに1つまたは複数のボーラス用量を達成するために、1回または複数回同じ動作を実行する。
【0053】
ボーラス増分の回数、およびボーラス増分当たりの体積または用量は、後に詳述するように、構成要素のパラメータの選択に基づいて、製造時に予め設定されてもよい。流体送達デバイス110は、様々な治療上の必要性を促進するように、数多くの方式(速い/遅い基本速度、大きい/小さいボーラス体積、多い/少ないボーラス増分)で予め構成することができる。
【0054】
図9Aおよび9Bを参照すると、一実施形態において、各ボーラス送達は、ユーザによって独立しておよび計画的に作動される。例えば、一実施形態において、各ボーラス送達は、各ボーラス増分(用量)が、偶発的に、不適切に、または不注意で送達されるのではなく、計画的および意図的な手段によって送達されることを確実にするために、ボタンの作動(ボーラス解除ボタン964およびボーラスボタン966による)等のユーザによる複数(2つ以上)の独立した動作を必要とする。ボーラスボタン966およびボーラス解除ボタン964は、流体送達デバイス110の異なる側面上に位置してもよい。ユーザは、ボーラス解除ボタン964が押下されるまで流体送達デバイス110の第1の側面に沿って指を摺動させ、ボーラスボタン966が押下されるまで流体送達デバイス110の第2の側面で上方に指を摺動させ続けることができる。ユーザは、ボーラスおよびボーラス解除ボタン964、966を探すために流体送達デバイス110の側面に沿って指を摺動させることができ、ユーザの指の移動方向もしくは流体送達デバイス110の側面の配向、ならびに/またはボーラスおよびボーラス解除ボタン964、966の構成は、流体送達デバイス110を見る必要なく、どのボタンが押下されているかをユーザに知らせるのに役立つ。一実施形態において、ボーラスボタン966およびボーラス解除ボタン964は、流体送達デバイス110の2つの異なる側面上にある。一実施形態において、流体送達デバイス110の異なる側面は、ボーラス用量を投与したときの触知性フィードバックを促進するために異なる長さを有し、直視しないで操作すること(例えば、流体送達デバイス110を1枚以上の衣服の下で操作する)を可能にする。一実施形態において、ボーラスボタン966およびボーラス解除ボタン964は、流体送達デバイス110の同じ側面上に位置する。また、いずれかのボタン964、966の押下によって提供される可聴「クリック」フィードバックが、予測可能な操作をさらに容易にし得る。一実施形態において、ボーラスおよびボーラス解除ボタン964、966は、それぞれ異なる音を有する。
【0055】
図9Aおよび9Bに示すように、ボーラスボタン966を押下する前に(図9B)、ボーラス解除ボタン964が押下される(図9A)。一実施形態において、ボーラス解除ボタン964は、ボーラス解除ボタン964による有効化がない場合はボーラスボタン966を作動することができないように、ボーラスボタン966による作動のためにボーラスアクチュエータ322を有効化する。ユーザは、ボーラス用量の流体を送達する準備ができたとき、ボーラス解除ボタン964を押下する。押下されると、ボーラス解除ボタン964は、ボーラスボタン966を有効化し、ボーラスボタン966を押下した後に、ボーラスアクチュエータ322に1ボーラス増分だけ進めさせる。
【0056】
いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110は、作動ごとに個別の投与単位を送達し、適切な投与単位は、送達される流体に応じて異なる。特定の実施形態において、例えば、インスリンの送達のために、流体送達デバイス110は、ボーラス増分当たり(「クリック」ごとに)1〜4単位のインスリン(例えば0.01〜0.04mL)を送達する。特定の実施形態において、流体送達デバイス110は、2単位の増分で(例えばインスリンの)36ボーラス単位を送達することができる、すなわち、18回「クリック」する間に36単位が送達される。同時に、流体送達デバイス110は、全送達期間にわたって、基本速度で追加の量(例えば、20、30、40単位等)を送達してもよい。流体送達デバイス110の合計流体容量は、基本容量とボーラス容量の和である。いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110は、56、66、または76単位の合計流体容量を有する。他の実施形態において、流体送達デバイスは、約1200、1500、または2000単位の合計流体容量を有する。
【0057】
図10Aを参照すると、ボーラスアクチュエータ322は、ボーラスボタン966および第2の可動障壁232を連結する位置ロックまたはラック1068を含んでもよい。一実施形態において、ラック1068は、ラック1068および第2の可動障壁232がボーラスボタン966に向かって外側に移動するのを防止するマニホールド226に対して固定された筐体歯止め1170(図11Aおよび2を参照)と係合する。一実施形態において、ボーラスボタン966は、第2の可動障壁232から離れて付勢され、1つ以上の所定の一方向性ラチェットまたは歯を有するラック1068を前進させるようにラック1068と係合し、一旦許容されるとリセットする歯止め966aを含む。
【0058】
図10Bを参照すると、ボーラス解除ボタン964は、ボーラスボタン966がリセットされたときに制御するようにボーラスボタン966と係合してもよい。一実施形態において、ボーラス解除ボタン964は、ボーラスボタン966のアパーチャ966bを通って選択的に摺動し、その中に位置決めさられることによってボーラスボタン966と係合する突出部964aを含む(図2に最もよく示される)。一実施形態において、ボーラス解除ボタン964の突出部964aが(図10B、12B、および13Bに示すように)アパーチャ966b内にあるとき、アパーチャ966bのいずれかの端部上にあるボーラスボタン966は、突出部964aで終端し、ボーラスボタン966がいずれかの方向に移動するのを防止する。一実施形態において、ボーラスボタン966を押下することにより突出部964aをアパーチャ966bの外に移動させ、(図11Bに示すように)ばね付勢によってボーラスボタン966がリセットされることを可能にする。一実施形態において、ボーラス解除ボタン966を押下した後でボーラス解除ボタン966を解放することによって、アパーチャ966bに隣接するボーラス解除ボタン964の側面に対して突出部964aが付勢され、ボーラスボタン966を押下したときに一旦アパーチャが突出部964aと整列すると、突出部964aがすぐにアパーチャ966bと接合するように、ボーラス解除ボタン966がばね付勢される。一実施形態において、ボーラスボタン966は、ねじりばね1072によってばね付勢される。一実施形態において、ボーラスボタン966を付勢する同じねじりばね1072が、ボーラス解除ボタン964をばね付勢する。
【0059】
図10A〜13Bは、ボーラス投与における事象の例示的な順序を示す。図10Aおよび10Bは、ボーラス投与前のボーラスボタン966およびボーラス解除ボタン964の位置を示している:ボーラス解除ボタン964は有効位置にあり、ボーラスボタン966は押下位置に係止されている。図11A〜11Bは、有効化ステップを示す:ユーザは、ボーラス解除ボタン964をその停止位置まで押下し、ボーラスボタン966を延在位置まで移動させる。これで、ボーラスボタン966は、1増分の用量だけ有効化される。図12A〜12Bは、ボーラス用量の送達を示す:ユーザは、ボーラスボタン966を停止位置まで押下し、ボーラスアクチュエータ322を1増分だけ進めさせ、第2の可動障壁232を変位させて1ボーラス用量を分注する。ボーラス解除ボタン964は、有効位置に戻される。図13A〜13Bは、デバイスの最後のボーラス用量の送達を示す:ユーザは、ボーラスボタン966をその停止位置まで押下し、ボーラスアクチュエータ322を1増分だけ進めさせ、第2の可動障壁232を変位させて最後のボーラス用量を分注する。これにより流体送達デバイス110のロックアウト機能を作動させ、ボーラス解除ボタン964をラック1068内のアパーチャ1068a(図8を参照)を通ってロックアウト位置に摺動させる。一実施形態において、一旦、ボーラス解除ボタン964がアパーチャ1068aを通って外側に延在すると、ねじりばね1072が筐体546のレッジ部546bを摺動し、ボーラス解除ボタン964をロックアウト位置に維持するようにボーラス解除ボタン964とレッジ部546bとの間に延在する(図13Bを参照)。ボーラス解除ボタン964は、後続の動作を防止し、全てのボーラス用量が送達されたことをユーザに知らせるように所定の位置に係止されてもよい。
【0060】
一実施形態において、ボーラスボタン966は、筐体546の外側デバイス面から若干隆起した(すなわち、そこから高くなった、突出した、または延在した)押下位置に留まる。ユーザがボーラス解除ボタン964を押圧した結果として、ボーラスボタン966が筐体546からさらに延在すると、ボーラスアクチュエータ322が1ボーラス増分を開始してもよい。次いで、ユーザが、ボーラスボタン966を押下してその元の位置(すなわち、筐体546から若干隆起している)に戻すと、ボーラスアクチュエータ322は、一定量または増分だけ第2の可動障壁232を前進させる。その結果としての第2の可動障壁232の移動が、油圧液を変位させ、一方で、本質的に同じ体積の増分だけ第3の可動障壁234を変位させ、流体送達デバイス110からボーラス用量の流体を分注する。
【0061】
第2の可動障壁232は、油圧式ボーラスチャンバ316内で平行移動するにつれて密封を維持することが可能であってもよい。一実施形態において、第2の可動障壁232は、ボーラスボタン966の作動ごとに、1ラチェットの空間に等しい距離だけラック1068によって変位される。
【0062】
図14を参照すると、一実施形態において、流体貯蔵部324には、最初、ユーザに送達される流体の量が充填されている。別の実施形態において、流体貯蔵部324は、ユーザによって使用前に充填されてもよい。一実施形態において、流体貯蔵部324の流体カートリッジ228は、剛性材料から構成される。一実施形態において、流体カートリッジは、Topas6017S−04から構成される。いくつかの実施形態において、流体カートリッジ228は、流体カートリッジ228に流体が曝露される時間の長さが短いこと(例えば、ユーザが流体カートリッジ228を充填してそれを使用してから24時間後)に起因して、ポリマーから構成されてもよい:以前の流体カートリッジは、長時間にわたる保存のために、ガラスまたはより低い浸出特性および抽出特性を有する他の材料で構成されなければならなかった。さらに、既知の送達デバイスは電子機器を含むため、そのようなデバイスは、本明細書の流体送達デバイス110の特定の実施形態に開示されるような純粋に機械的なデバイスほどは、1日で使い捨てる使用には実用的ではない。
【0063】
薬物の場合、所定の期間にわたって必要な投与を提供するために、医療従事者によって流体の量が予め決定されてもよい。流体貯蔵部324の体積は、約100μl、500μl、1ml、3ml、5ml、10ml、30ml、50ml、100mlまたはそれ以上であってもよい。流体カートリッジ228は、流体カートリッジ228の遠位端内に隔壁1474を含んでもよい。一実施形態において、隔壁1474は、ストッパーとしての役割を果たす。他の実施形態において、隔壁1474は、側壁(図示せず)の少なくとも一部であってもよい。一実施形態において、スペーサ1476のサイズを変更することによって流体カートリッジ228のサイズが幅広い流体の体積に適応できるように、流体カートリッジ228は、第3の可動障壁234の油圧液側にスペーサ1476を含む。一実施形態において、空間1476は、流体カートリッジ228内の流体レベルを示す補助となるように、明るい色であってもよい。流体カートリッジ228は、シール1478が流体カートリッジ228をマニホールド226に密封する一方で、油圧液がスペーサ1476および/または第3の可動障壁234のいずれかを通過できるように、開口部1478a(図2を参照)有するシール1478を含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、隔壁1474は、ゴム等の可撓性材料から構成され、流体カートリッジ228内に適合し、第3の可動障壁234の反対側の端部上に密封を形成する。隔壁1474は、流体カートリッジ228内に設置される、端部でのみ開放する中空のシリンダであってもよい。隔壁は、静止したままであってもよく、針312と整列するように位置決めさられる。針312が隔壁1474の側面を穿刺すると、流体送達デバイス110と外部環境との間の流体経路が開放され、流体送達デバイス110から流体が流れることを可能にする。一実施形態において、隔壁1474は、ユーザが流体貯蔵部324を充填できるように、筐体546の側面を通って露出される。隔壁1474は、後にさらに詳述するように、針312を流体送達デバイス110の残りの部分に対して移動させるのに十分な硬度を有してもよい。一実施形態において、隔壁1474は、50ショアAの硬度を有する。
【0065】
図15を参照すると、第3の可動障壁234は、流体カートリッジ228内で摺動するプランジャであってもよい。典型的には、送達速度に与える影響は決定的な意味を持たないため、ピストンは、不正確なサイズおよび圧縮率を有し得る。しかしながら、一実施形態において、流体送達デバイス110の第3の可動障壁234は、流体送達速度に与えるいずれの影響をも最小限に抑えるように構成される。一実施形態において、第3の可動障壁234は、油圧液とユーザに送達される流体との間に密封を形成するための可撓性材料から構成される。一実施形態において、第3の可動障壁234は、第2の可動障壁232と類似する構成を有する。一実施形態において、軸圧縮率が最小限に抑えられる。実施形態において、第2および第3の可動障壁232、234に作用する圧力の差がより低いため、第2および第3の可動障壁232、234の軸圧縮率は、第1の可動障壁230の軸圧縮率よりも大きい。そのような実施形態において、より低い軸圧縮率は、第1の可動障壁230の厚さよりも大きな厚さまたは長さLを可能にし、2つの接触点を許容する。一実施形態において、第3の可動障壁234は、約35〜約65ショアAのデュロメータ硬度を有する単一材料から構成される。一実施形態において、ポリマーから構成される流体カートリッジ228の場合、第3の可動障壁234のデュロメータ硬度は、約35〜約65ショアAである。別の実施形態において、ガラスから構成される流体カートリッジ228の場合、第3の可動障壁234のデュロメータ硬度は、約35〜約45ショアAである。一実施形態において、ポリマーから構成される流体カートリッジ228を用いると、第3の可動障壁234のデュロメータ硬度は、55ショアAである。一実施形態において、第3の可動障壁234は、ブチルゴムから構成される。一実施形態において、第3の可動障壁234は、0.0001インチのパリレン「C」で被覆される。一実施形態において、第3の可動障壁234は、約0.2425インチの内径および約0.2615インチ±0.002インチの外径を有する。
【0066】
一実施形態において、第3の動障壁234は、第1の端部234bおよび第2の端部234cを有する本体234aを含む。第3の可動障壁234は、第1のフランジ234dおよび第2のフランジ234eを含んでもよい。一実施形態において、第1および第2のフランジ234d、234eは、本体234aに統合され、非圧縮状態において、それぞれ、第1の端部および第2の端部234b、234cの近くに本体234aから半径方向外側に延在する。第1および第2のフランジ234d、234eは、流体カートリッジ228との接触が最小限に抑えられるように構成されてもよい。本体234aに統合された第1および第2のフランジ234d、234eを有することにより、別個のOリングの使用によって生じる反転およびばりを防止することができる。一実施形態において、第1および第2のフランジ234d、234eは、非圧縮状態において湾曲した断面周縁部を有する。一実施形態において、湾曲部は、非圧縮状態において実質的に一定の半径rを有する。一実施形態において、第1および第2のフランジ234d、234eは、第1および第2のフランジ234d、234eに適切な支持を提供するために、それぞれ、第1および第2の端部234b、234cから離間される。
【0067】
一実施形態において、第3の可動障壁234の流体カートリッジ228の内壁との接触面積の制御は、第1および第2のフランジ234d、234eの構造設計によって対応される。一実施形態において、第1および第2のフランジ234d、234eは、円形の側部断面形状を有する。この実施形態において、エラストマー材料から構築されるプランジャの外面の円形形状は、最小限の力の変化で変形させることができる小さな接触面積を意味する。個々のピストンおよびシリンダは、製造上の許容差のためにサイズが異なるが、本明細書に開示される構成によって接触面積の変動が減少される。2つのフランジを提供することにより、油圧液からの流体の隔離を確実にするための冗長密封を提供する。
【0068】
さらなる実施形態において、第3の可動障壁234と流体貯蔵部324との間の摩擦係数は、接触材料の適切な選択によって制御される。この実施形態において、摩擦係数およびデバイスごとの摩擦係数の変動を最小限に抑えるために、1つ以上の好適な被覆剤が、第3の可動障壁234の外面および/または流体貯蔵部324の内面に適用される。また、パリレン「C」材料を使用した被覆プロセスが使用されてもよい。約0.0001インチ(2.5ミクロン)を超えるパリレン「C」材料を使用した被覆が、第3の可動障壁234の移動を制御するのに寄与することが証明されている。パリレン被覆は、好ましくは一致した均一の厚さであり、実質的にいずれのボイドまたはピンホールも存在しない。パリレンは、周囲温度で、真空蒸着プロセスにより分子レベルで適用されてもよい。単一操作で約0.100〜76ミクロンのフィルム被覆が可能である。一実施形態において、触媒または溶媒は必要とされず、被覆表面を劣化させる可能性がある外来性物質は導入されない。パリレン「C」は、低湿気透過性および低気体透過性を含む電気的および物理的特性のより良好な組み合わせを提供し得るパリレンの改良版である。
【0069】
図16A〜16Cを参照すると、一実施形態において、流体送達デバイス110は、複数の操作可能な状態を有する。第1の操作可能な状態または格納位置(図16A)において、針312は、流体貯蔵部324と係合しないかまたは分離され、筐体546から延在しない(すなわち、身体に挿入されない)。第2の操作可能な状態または係合可能位置(図16B)において、針312は、流体貯蔵部324と係合可能である。第3の操作可能な状態または係合もしくは作動位置(図16C)において、針312は、送達される流体と流体連通し、身体に挿入されるかまたは身体に挿入するために使用可能である。第4の操作可能な状態または離脱もしくは使い捨て位置(図示せず)において、針312は、再び送達される流体から分離され、身体に挿入されず、筐体546に固定して維持(係止)される。
【0070】
一実施形態において、ボタンカバー662が針312を覆い、流体送達デバイス110の取扱いおよび輸送中の針312の偶発的な押下を防止する。一実施形態において、ボタンカバー662は、ユーザによるボタンカバー662の把持および除去を容易にするためにフランジ662aを含む。一実施形態において、ボタンカバー662は、ピン660と連結するための突出部662bを有する。ボタンカバー662は、ボタンカバー662についてユーザが何をすべきかを示すために、「除去」という語句等の指示662cを含んでもよい(図2を参照)。一実施形態において、ボタンカバー662は、ボタンカバー662の反対側のフランジ662aを保持することによってボタンカバー662を除去したときに、筐体546に対してこの作用を提供するためのタブ662dを含む。一実施形態において、ボタンカバー662が除去されると、針312に連結された針ボタン1680が露出される(図16B)。
【0071】
一実施形態において、針312は、針ボタン1680に固定される。一実施形態において、針312は、図19に示すように、ポイント1680aで針ボタン1680に熱かしめされる。他の実施形態において、針312は、針ボタン1680に対して可動である。一実施形態において、ボタンカバー662を除去することにより、同時に基本アクチュエータ320からピン660が除去され、油圧液に作用するように基本アクチュエータ320が開放または作動される。したがって、好ましい実施形態において、ボタンカバー662は、針312の不意の作動を防止し、また同時に基本アクチュエータ320の作動を制御するように、針ボタン1680の覆いおよび保護の二重の機能を果たす。
【0072】
図17および18を参照すると、一実施形態において、針ボタン1680は、押下されると針312を展開する(図18)。針ボタン1680は、隔壁1474から離れてばね付勢されてもよい。一実施形態において、針ボタン1680は、後に詳述するように、圧縮ばね1784によってばね付勢される。針ボタン1680を初期位置から移動させるために第1の力が必要であるかもしれない。一実施形態において、皮膚表面544に針312を押下するというユーザの恐怖心を克服するのに役立つように、第1の力は、残りの行程において針ボタン1680を係合位置まで移動させるために必要とされる第2の力よりも大きい(すなわち、ばね1784からの力よりは少なくとも大きい)。一実施形態において、タブ1682が針ボタン1680を開放した後に、ユーザが針312の展開または挿入を迅速かつ完全に完了し、挿入または係合の試みが失敗または途中となることを防止するように、1つ以上の破壊タブ1682が、第1の方向に第1の力を提供したときにタブ1682が破壊するように筐体546から延在する。展開位置において、適切な係合を確実にするのに役立つよう、横方向への移動が皆無からほとんどない状態で針312が隔壁およびユーザに進入するように、針312は、ほぼ限定的に係合方向にのみ(すなわち、隔壁1474に向かって)可動であり得る。一旦、針312が係合位置にくると、次いで、針312は、後に記載するように、ユーザに対する針312の移動によって引き起こされる疼痛を減少させるために、流体送達デバイス110の残りの部分に対して移動してもよい。一実施形態において、針312は可撓性であり、係合中に針312の移動を拘束することは、針312の適切な係合に役立つ。
【0073】
一実施形態において、針312は、接続点1474aで穿刺可能部材または隔壁1474を通って流体貯蔵部324から延在し、筐体546から出る。針312が係合位置で皮膚表面544内に延在するときに流体送達デバイス110によって引き起こされるユーザに対する針312の移動が減少されるように、針312は、隔壁1474に対して可動であってもよいか、または流体送達デバイス110が、針312に対して移動してもよい。ユーザに対する針312の移動を最小限に抑えることは、針312によって引き起こされる疼痛または「締め付け」を減少させるのに役立ち得る。
【0074】
一実施形態において、針312は、隔壁1474に対して垂直な方向(例えば図18の方向)に平行移動し、接続点1474aの周囲で全方向に枢動するように構成される。一実施形態において、接続点1474aの周囲における針312の枢動は、隔壁1474に近接する想像上の砂時計形経路(図示せず)の境界内である。一実施形態において、針312全体が、隔壁1474の可撓性のために接続点1474aの周囲を枢動するように構成され、針ボタン1680と筐体546との間の接続によって制限される。一実施形態において、針312は、完全に筐体546の中にあるか、または少なくとも覆われ、初期位置において流体貯蔵部324から離脱され(図17)、係合位置において、流体貯蔵部324と流体的に連結され、かつ筐体546から延在するように構成される(図18)。一実施形態において、針312は、流体が皮膚表面544上に流出して接着パッチ542の接着に干渉しないように、針312を初期位置から係合位置に移動させたときに、筐体546から延在した後で穿刺可能部材1474を穿刺するように構成される。一実施形態において、針312は、針312が穿刺可能部材1474を穿刺するときとほぼ同時に針312が皮膚表面544を穿刺するように構成される。
【0075】
一実施形態において、その2つの端部が同じ方向に向いているが、互いから軸方向および横方向に離間されるように、針312は略J字形である。一実施形態において、針312は、略垂直な屈曲部を含み、針312の一方の端部は他方よりも短い。一実施形態において、隔壁1474または少なくとも接続点1474aに対する表面接線は、係合位置でそこから針312が延在する筐体の底面110bに略平行である。一実施形態において、針312は、マイクロニードルである。一実施形態において、針312は、ゲージの細い針である。一実施形態において、針312は、30ゲージ針である。一実施形態において、針312の両端は、隔壁1474および皮膚表面544の穿刺を容易にするのに役立つように傾斜がついている。一実施形態において、針312の端部が、弓形経路内を移動しながらユーザ内に延在することなく、またはそれを少なくとも減少させるように軸Aの周囲で回転できるように、針312は、図18に示すように、隔壁1474に対して垂直な接続点1474aを通って延在する想像上の軸Aの周囲で回転するように構成される。
【0076】
一実施形態において、一旦、針312が係合位置にくると、針ボタン1680が所定の位置に係止され、流体貯蔵部内の流体が針312によって外部環境(例えば身体)と流体連通する。係止部材2088は、針312の第1および第2の端部をユーザおよび流体貯蔵部324から離脱された状態に維持し、係合位置(図18)から係止位置(図23)に針を移動させたときに係止位置で筐体546内に収容されるように構成されてもよい。係止位置では、筐体546が、その独自の形状の容器として機能するように、針312は、再展開または係合されなくてもよい。一実施形態において、針312は、針開放または係止ボタン1886の使用によって係止位置に移動される。
【0077】
図20を参照すると、特定の実施形態において、ばね1784は、針ボタン1680と基部548との間に位置し、針312を覆って部分的に延在する針ボタン1680のボスまたはスリーブ1680aを取り囲む。一実施形態において、ばね1784は、針ボタン1680が押下、係合、または挿入位置に係止されたときに(図18)、針ボタン1680を付勢して隔壁1474から離すように圧縮される。後に詳述するように、針ボタン1680は、係止部材によって挿入位置に維持されてもよい。係止部材2088は、ユーザが流体送達デバイス110を使用し終わったときに解放されてもよい。一実施形態において、流体送達デバイス110を身体から除去する前に、ユーザは、針312をユーザから筐体546内に後退させるように係止ボタン1886を作動させる。他の実施形態において、針312は、流体貯蔵部324が実質的に空になった後で自動的に後退するか、または流体送達デバイス110を皮膚表面544から除去すると自動的に後退する。
【0078】
一実施形態において、係止部材2088は、ばねである。一実施形態において、係止部材2088は、螺旋ねじりばねから構成される。一実施形態において、係止部材2088は、針312を押下または挿入位置に解放可能に維持し(図18)、ロックアウト位置に非解放的に係止されるように(図22)、係止ボタン1886を付勢し、針ボタン1680および基部548の特徴と相互作用する。
【0079】
一実施形態において、係止部材2088は、係止ボタン1886に連結されるか、または係合可能である。一実施形態において、係止ボタン1886は、筐体546を通って露出される表面1886aを有する。一実施形態において、ユーザが、ボーラス解除ボタン964を係合させている間に、係止ボタン1886を作動させるために親指と指の間に係止ボタン1886および筐体546を把持することができ、ボーラスアクチュエータ322を使用するときに係止ボタン1886の偶発的な作動を防止するように、係止ボタン1886の表面1886aは、筐体546の第1の側面上にある筐体546のアパーチャを通って露出され、筐体546は、筐体の第1の側面に対向する筐体546の第2の側面上にあり、係止ボタン1886と略整列する表面を有する。係止ボタン1886は、ユーザの手による把持を容易にするのに役立つように、表面から延在する少なくとも1つの突出部1886bを含んでもよい。一実施形態において、少なくとも1つの突出部1886bは、把持をさらに容易にし、どちらの方向に係止ボタン1886が付勢されるべきかを感覚によってユーザに知らせるのに役立つように傾斜している(図23Aを参照)。
【0080】
図20を参照すると、一実施形態において、スリーブ1680aは、針312を取り囲み、係止部材2088は、スリーブ1680aに向かってばね付勢される。一実施形態において、スリーブ1680aは、針312の係合および離脱のうちの少なくとも1つを防止するために、係止部材2088と係合するように構成される少なくとも1つの当接面を有する。一実施形態において、少なくとも1つの当接面は、第1の当接面1680bおよび第2の当接面1680bを含む。
【0081】
一実施形態において、第1の当接面1680bは、針312に沿って第2の当接面1680cから軸方向に離間される。一実施形態において、第1の当接面1680bは、半径方向内側に延在する溝である。一実施形態において、第2の当接面1680cは、スリーブ1680の遠位端である。他の実施形態において、第1および第2の当接面1680b、1680cは、係止部材2088と軸方向に係合する突出部または溝等の任意の表面である。一実施形態において、基部548は、スリーブ1680aを受容および誘導し、係止部材2088と係合するための上向きに延在するボスまたはガイド2090を含む。一実施形態において、ガイド2090は、上述のように針312を枢動させるために、基部2090に対する針ボタン1680の非軸上の運動または枢動を可能にするようにスリーブ1680aの上に緩やかに適合する。ガイド2090は、係止部材2088を受容するように構成される溝2090aを含んでもよい。一実施形態において、溝2090aは、係合位置で第1の当接面1680aと整列し(図18)、ロックアウト位置で第2の当接面1680bと整列する(図22)。一実施形態において、係止部材2088は、針312を解放可能に係合位置に維持するために第1の当接面1680bと係合し(図18)、係止部材2088は、針312を解放可能に係止位置に維持するために第2の当接面1680cと係合する(図22)。一実施形態において、係止ボタン1886は、針312をユーザから離脱させたときに、係止部材2088を係止位置に位置決めされるように構成される。
【0082】
図20を参照すると、一実施形態において、係止部材2088は、ユーザが、針312が完全に展開されて係合位置にあることを確信するように、針312を係合位置に維持したときに可聴フィードバックを提供するように構成される。一実施形態において、ガイド2090は、溝2090aの上および中、そして第1の当接面1680aに係止部材2088を摺動させることによって、可聴「クリック」を出しやすくする突出部2090bを含む。一実施形態において、突出部2090bは、係止部材2088と選択可能に係合可能な隆起面1886cである。一実施形態において、係止部材2088は、溝2090aの上方でガイド2090に対して付勢され(図21を参照)、針ボタン1680を押下することにより表面1680dを係止部材2088と係合させ、ガイド2090に沿って、突出部2090bの上、整列する溝2090aの中、および第1の当接面1680aに係止部材2088を摺動させる。一実施形態において、針ボタン1680は、隔壁1474の上に適合するように切り欠き1680eを含む。一実施形態において、切り欠き1680eは、筐体546に対して針312を支持するが、上述の針312の移動を可能にするように、隔壁1474の輪郭に対して緩めにサイズ決定される。
【0083】
一実施形態において、ユーザが針ボタン1680を押下すると、係止部材2088の自由端部または第1のアーム2088aが、ガイド2090に対するその最初に組み込まれた位置から、整列する溝2090aの中、そして第1の当接面1680aへと移動される。係止ボタン1886が押下されると、隆起面1886cが係止部材2088の第1のアーム2088aを第1の当接面1680aから一瞬付勢することができ、ばね1784からの力の結果として、針ボタン1680を直立または初期位置に後退させることができる。ユーザが係止ボタン1886を押圧し続けると、第1のアーム2088aの端部が筐体546内の表面に当接し得、さらなる回転を防止する(図21に示す位置決めと同様)。次いで、第1のアームの中間部が、係止ボタン1886の隆起面1886c上で偏向し得、第1のアーム2088aが溝2090a内に跳ね返ることができるようにする(図22)。次いで、針ボタン1680の第2の当接面1680cが、ガイド2090を横切って延在する第1のアーム2088aの軸方向に上方となり得、針ボタン1680および針312のさらなる平行移動または再押下/再展開を防止する(図22)。
【0084】
図23A〜23Cを参照すると、一実施形態において、係止ボタン1886は、係止部材2088の偶発的な解放を防止するために、2つの異なる動作を完了した後にのみ係止部材2088を解放するように構成される。一実施形態において、係止ボタン1886は、第1の方向l1に移動し、第1の方向に所定の距離だけ移動した後にのみ、第2の方向l2に移動するように構成される。一実施形態において、係止ボタン1886は、少なくとも1つの突出部1886dを含み、筐体または基部548は、少なくとも1つの孔548aを含み、それぞれが、少なくとも1つの突出部1886dのうちの1つを受容するように構成される。一実施形態において、それぞれの少なくとも1つの孔548aは、初期位置では少なくとも1つの突出部1886dのうちの1つと非整合し(図23A)、係止ボタン1886を第1の方向l1に所定の距離だけ移動させた後に、少なくとも1つの突出部1886dのうちの1つと整列し(図23B)、それぞれの少なくとも1つの孔548aは、係止ボタン1886を第2の方向12に所定の距離だけ移動させた後に、少なくとも1つの突出部1886dのうちの1つを受容する。一実施形態において、第1および第2の方向l1およびl2は、線形変換である。一実施形態において、第1の方向は、図23A〜23Cに示すように、第2の方向に垂直である。他の実施形態において、第1および第2の方向は、湾曲および/または回転等の任意の方向である。一実施形態において、係止ボタン1886は、第1の方向とは反対の方向にばね付勢される。一実施形態において、係止ボタン1886は、1つ以上の破壊タブ(図示せず)によって第1の方向に維持される。他の実施形態において、係止ボタン1886は、1つより多くのボタンから構成される。
【0085】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110は、1つ以上の視認窓を含んでもよい。視認窓は、例えば、流体送達デバイス110の上側および/または下側にあってもよい。これらの視認窓は、ポイントオブケアでの流体貯蔵部324の充填を容易にし、流体のレベルおよび有効性を決定するための視認性を増加し、送達および/または充填の間に、ユーザが第3の可動障壁234の相対的な位置を観察できるようにすることによって観察を可能にすることにより、ユーザの自信を増強するように、光の透過を可能にする。一実施形態において、筐体546は、流体カートリッジ228と略整列するウィンドウ546aを含む。一実施形態において、接着パッチ542は、ウィンドウ542bを含む。ウィンドウ542bは、透明な領域または材料における単なる間隙であってもよい。一実施形態において、ウィンドウ542aおよび542bは、略整列する。一実施形態において、筐体546を通して流体カートリッジ228のみが見えるように、露出された筐体546の残りの部分は不透明である。
【0086】
いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110は、流体送達デバイス110のユーザの皮膚表面544への付着を容易にするために接着剤を含む(例えば図9Aを参照)。接着強度は、好ましくは、薬剤を充填した流体送達デバイス110を用いた治療期間の間、流体送達デバイス110をユーザの皮膚表面544に接着するのに十分であるべきである。したがって、接着強度は、治療期間に応じて変化し得る(例えば、72時間、48時間、24時間、18時間、12時間等)。さらに、接着剤は、使用が終了したときに、過度の不快感または疼痛または困難なく流体送達デバイス110が容易に除去可能であるべきである。いくつかの実施形態において、流体送達デバイス110とユーザの皮膚表面544との接触を容易にするために、接着剤は、例えば、油圧式基礎チャンバ314(例えば、図2の領域542aを参照)、流体貯蔵部324(例えば、図2の領域542bを参照)および/または針312の近く(例えば、図2の領域542cを参照)等の特定の領域で解放されてもよい。
【0087】
接着剤は、接着パッチ542を形成するようにパッドと組み合わせられてもよい。一実施形態において、接着パッチ542は、不織発泡体パッドである。一実施形態において、接着パッチ542は、3M(登録商標)によって製造される医療用発泡接着剤から構成される。一実施形態において、接着パッチ542は、3M(登録商標)9776材料から構成される。一実施形態において、ユーザの身体形状に合うように、より大きな接着表面積および/または接着パッチ546のより高い可撓性を可能にするために、接着パッチ542の外法寸法は、筐体546の外法寸法を超えて延在する。特定の実施形態において、延在する領域は、例えば、筐体546から約0.010インチ、0.100インチ、0.250インチ、0.500インチ、またはそれ以上である。接着パッチ542は、装着しやすさを向上し、締め付けもしくはきつさ、または装着者の締め付けもしくはきつさの知覚を減少させるために、複数の配向に移動可能(例えば、屈曲、伸張)であってもよい。一実施形態において、接着剤は、最初は除去可能なフィルム292によって覆われている(図2を参照)。一実施形態において、フィルム292は、流体送達デバイス110を皮膚表面544に適用する直前に接着パッチ542から除去しやすいように、接着パッチ542から外側に延在するタブ292aを含む。
【0088】
図16A〜16Bを参照すると、例示的な使用において、ユーザは、保存パッケージ(図示せず)から流体送達デバイス110を取り出す。次いで、ユーザは、流体カートリッジ228を流体で充填することができる。一実施形態において、流体カートリッジ228は、予め充填されている。一旦、流体カートリッジ228が充填されると、ユーザは、ボタンカバー662を除去して針ボタン1680を露出させ、同時に基本アクチュエータ320を作動させることができる。図9Aを参照すると、次いで、ユーザは、接着パッチ542からフィルム292を除去し、流体送達デバイス110を皮膚表面544上に配置することができる。他の実施形態において、流体送達デバイス110は、ボタンカバー662を除去する前に皮膚表面544上に配置される。一旦、流体送達デバイス110が皮膚表面544に配置され、ボタンカバー662が除去されると、次いで、ユーザは、針ボタン1680を押下して針312を係合させ(図18を参照)、ユーザおよび流体貯蔵部324を流体的に連結させることができる。一旦、針312が係合され、適当である場合は、次いで、ユーザは、ボーラス解除ボタン964(図9A)を作動させ、次いで、ボーラスボタン966を作動させて(図9B)、ボーラス投与量を送達することができる。一旦、送達期間(例えば24時間)が終了すると、またはさもなければ、ユーザが流体送達デバイス110を除去することを望む場合、ユーザは、係止ボタン1886(図23A〜23Cを参照)を押下して針312を筐体546内に後退させる(図22)。一旦、針312が筐体546によって覆われると、次いで、ユーザは、皮膚表面544から流体送達デバイス110を除去し、流体送達デバイス110を破棄し、新しい流体送達デバイス110を設置するために上記ステップを繰り返すことができる。
【0089】
当業者は、これまで図示および説明した例示的な実施形態に対して、その広い発明の概念から逸脱することなく変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、この発明は、図示および説明した例示的な実施形態に限定されるのではなく、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の主旨および範囲内での修正も網羅することが意図されることを理解されたい。例えば、例示的な実施形態の特定の特徴は、請求される発明の一部であってもよいか、またはそうでなくでもよく、開示される実施形態の特徴が組み合わされてもよい。「内側に」および「外側に」という語句は、それぞれ、流体送達デバイスの幾何学的中心に向かったおよび離れた方向を指す。本明細書において特に記載のない限り、「a」、「an」、および「the」という用語は、1つの要素に限定されるものではなく、その代わりに「少なくとも1つ」を意味すると読み取られるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達デバイスであって、
流体貯蔵部を有する筐体と、
格納位置、作動可能位置、および係合位置を有する針であって、該針は、該係合位置において該流体貯蔵部と流体連通しており、該作動可能位置および格納位置において該流体貯蔵部と流体連通していない、針と、
近位端および遠位端を有する付勢部材であって、該付勢部材の該近位端は、該筐体に連結され、該付勢部材の該遠位端は、該流体貯蔵部に力を伝達するように構成される、付勢部材と、
該付勢部材を通って延在し、該付勢部材の該遠位端に連結されるピストン部材であって、該ピストン部材は、該付勢部材が該流体貯蔵部に該力を伝達しないように係止位置において該筐体に対して固定され、該付勢部材が該流体貯蔵部に該力を伝達するように解放位置において該筐体に対して可動である、ピストン部材と
を備え、該針を該格納位置から該作動可能位置まで移行させることは、該ピストンを該係止位置から該解放位置まで移行させる、デバイス。
【請求項2】
前記付勢部材と前記流体貯蔵部との間に連結される油圧式基礎チャンバをさらに備える、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項3】
油圧式ポンプチャンバ、および該油圧式ポンプチャンバと前記油圧式基礎チャンバとを流体的に連結する流量制限器をさらに備える、請求項2に記載の流体送達デバイス。
【請求項4】
前記ピストンは、前記油圧式基礎チャンバに連結されるプランジャ先端部を含む、請求項2に記載の流体送達デバイス。
【請求項5】
前記ピストンは、前記筐体を通って延在するピンによって該筐体に解放可能に連結され、キャップは、前記格納位置において前記針の上に延在し、該キャップは、該キャップを除去することによって該ピストンを解放するように該ピンに連結される、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項6】
前記付勢部材は、少なくとも2つの重複する同軸ばねを備える、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項7】
流体送達デバイスであって、
流体貯蔵部を有する筐体と、
該筐体に連結される第1の付勢部材と、
該第1の付勢部材に直列に連結され、該第1の付勢部材と少なくとも部分的に重複する第2の付勢部材であって、該第1および第2の付勢部材は、該流体貯蔵部に力を伝達するように構成される、第2の付勢部材と
を備える、デバイス。
【請求項8】
前記第1および第2の付勢部材を通って延在するプランジャをさらに備える、請求項7に記載の流体送達デバイス。
【請求項9】
前記プランジャは、遠位端において前記第2の付勢部材に連結され、近位端において前記筐体に解放可能に連結される、請求項8に記載の流体送達デバイス。
【請求項10】
前記プランジャは、前記筐体および前記プランジャを通って延在するピンによって該筐体に解放可能に連結される、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項11】
前記プランジャは、前記筐体を通って延在するピンによって該筐体に解放可能に連結され、該ピンに連結される針カバーをさらに備える、請求項10に記載の流体送達デバイス。
【請求項12】
前記第1および第2の付勢部材と前記油圧式ポンプチャンバとの間に連結される油圧式基礎チャンバ、および該油圧式基礎チャンバと該油圧式ポンプチャンバとを流体的に連結する流量制限器をさらに備える、請求項7に記載の流体送達デバイス。
【請求項13】
前記油圧式ポンプチャンバは、前記油圧式基礎チャンバの断面積よりも小さい断面積を有する、請求項12に記載の流体送達デバイス。
【請求項14】
前記第1の付勢部材を前記第2の付勢部材と連結するスリーブをさらに備え、該スリーブは、該第1の付勢部材と第2の付勢部材との間の重複部の長さに略等しい長さを有する、請求項7に記載の流体送達デバイス。
【請求項15】
前記スリーブは、本体と、第1のフランジ端部と、第2のフランジ端部とを有し、該第1のフランジ端部は、該スリーブの該本体から半径方向外側に延在し、前記第1の付勢部材の端部と連結するように構成され、該第2のフランジ端部は、該本体から半径方向内側に延在し、前記第2の付勢部材の端部と連結するように構成される、請求項14に記載の流体送達デバイス。
【請求項16】
流体送達デバイスであって、
皮膚表面と係合するように構成され、第1の熱伝導率を有する取付け面と、
油圧式ポンプチャンバと、
該取付け面に近接する外壁の一部を有し、第2の熱伝導率を有する油圧式基礎チャンバであって、該第2の熱伝導率は、該第1の熱伝導率よりも高い、油圧式基礎チャンバと、
該油圧式基礎チャンバと該油圧式ポンプチャンバとを流体的に連結する流量制限器と、
該油圧式ポンプチャンバに連結される流体貯蔵部であって、患者に送達可能な流体を収容するように構成される流体貯蔵部と、
該油圧式基礎チャンバに連結されるアクチュエータであって、該アクチュエータは、該油圧式基礎チャンバおよび該油圧式ポンプチャンバを通って該流体貯蔵部にエネルギーを伝達するように該油圧式ポンプチャンバを加圧するように構成されることにより、持続的な基礎速度で該流体を送達する、アクチュエータと
を備える、デバイス。
【請求項17】
前記取付け面は、絶縁部材を含む、請求項16に記載の流体送達デバイス。
【請求項18】
前記絶縁部材は、少なくとも部分的に解放されることにより、前記取付け面に近接する前記油圧式基礎チャンバの前記外壁の前記一部を少なくとも部分的に露出する、請求項17に記載の流体送達デバイス。
【請求項19】
前記流体貯蔵部は、前記筐体から少なくとも部分的に離間される、請求項16に記載の流体送達デバイス。
【請求項20】
底面を有する筐体をさらに備え、前記油圧式基礎チャンバの前記外壁部分は、該筐体の該底面から外側に延在する、請求項16に記載の流体送達デバイス。
【請求項21】
前記油圧式基礎チャンバの前記外壁の前記一部は、前記取付け面と略整列した想像上の接線を有する、請求項16に記載の流体送達デバイス。
【請求項22】
前記油圧式基礎チャンバの前記外壁の前記一部は、前記皮膚表面と直接接触するように構成される、請求項16に記載の流体送達デバイス。
【請求項23】
前記油圧式基礎チャンバの前記外壁の残りの部分は、第3の熱伝導率を有し、該第3の熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも低い、請求項16に記載の流体送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【公表番号】特表2013−507230(P2013−507230A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534285(P2012−534285)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052352
【国際公開番号】WO2011/046950
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(510188919)バレリタス, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】