説明

流動物を適用する装置

提案されているのは、流動物を適用する装置であって、
外周壁部(14)および外側底部(16)を有する外殻部(12)と、
内周壁部(20)および内側底部(22)を有し、気密に外殻部(12)に誘導され、閉鎖位置と開放位置との間を伸縮移動できる内殻部(18)とを備え、
内殻部(18)の内側底部(22)は、少なくとも1つの開口部(32)を備え、開口部は、内殻部(18)の閉鎖位置では、閉鎖手段(34)によって完全に閉鎖され、内殻部(18)の開放位置では、流動物が少なくとも部分的に通過し、
内殻部(18)を閉鎖位置から開放位置への伸縮移動においては、内殻部(18)の内部空間は、外殻部(12)と内殻部(18)との間の貯留部(38)に収納された流動物の移動によって充填されることを特徴とする流動物を適用する装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動物を適用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外殻部および内殻部から形成されたピペット装置形式のアプリケータが例えば欧州特許出願公開EP1 743 700A1から公知である。内殻部はポット形状に形成されており、数個の開口部を備えた閉鎖された底部および外周壁部からなっている。更に、内殻部は、外殻部の周壁部に気密に内部に誘導され、閉鎖位置と開放位置の間で、伸縮移動する。閉鎖位置では、内殻部は流動物を貯留している。内殻部を開放位置にすると、内殻部に貯留された物質が、周壁部の開口部を通って外殻部に流れて、そこから適用される。
【0003】
この発明は、コンパクトで操作が容易なアプリケータを提供する目的に基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明によると、この目的は請求項1の特徴を有する装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に従って、流動物を適用する装置が提供される。適用装置(以下、アプリケータとも言う)は、外周壁部および外側底部を有する外殻部と、内周壁部および内側底部を有し、気密に外殻部に誘導され、閉鎖位置と開放位置との間を伸縮移動できる内殻部とを備え、内殻部の内側底部は、少なくとも1つの開口部を備え、開口部は、内殻部の閉鎖位置では、閉鎖手段によって完全に閉鎖され、内殻部の開放位置では、流動物が少なくとも部分的に通過し、内殻部を閉鎖位置から開放位置への伸縮移動においては、内殻部の内部空間は、外殻部と内殻部(18)との間の貯留部(38)に収納された流動物の移動によって充填されることを特徴とする流動物を適用する装置である。
【0006】
従って、この発明の要点は、アプリケータを提供することにあり、内殻部はプランジャーとして機能し、その結果、内殻部を外殻部内で収縮移動させると、貯留部に収納された物質が内殻部の底部に形成された開口部を通って、内殻部の中に流れ込む。閉鎖位置、即ち、内殻部を外殻部から離れるように延伸移動させると、内殻部の底部にある開口部が閉鎖されて、貯留部から内殻部の内部に液体が流れることはない。装置が使用状態になると、開口部が開放される。
【0007】
この発明の装置の他の好ましい態様においては、アプリケータ部材が備えられて内殻部と部分的に係合する。内殻部を閉鎖位置から開放位置に収縮移動させると、閉鎖位置において、外殻部と内殻部との間にある貯留部に保持されていた流動物が内殻部に移動してアプリケータ部材が濡れる。
【0008】
この発明の装置の他の好ましい態様においては、外殻部に対して軸方向に向いたピンが外殻部の底部に形成されている。ピンまたはスパイクは、好ましくは、内殻部の閉鎖位置において内殻部の底部における開口部を封止する機能を果たす。この場合には、このように、ピンは、開口部を閉鎖する手段を形成する。アプリケータを使用する際には、ピンで内殻部の開口部を貫通させて、貯留部に保持された物質を内殻部の内部に流入させる。
【0009】
内殻部の底部における開口部を効果的に封止および開放するために、外殻部の外側底部に近い端部に拡径部分を備えており、拡径部分の断面積は、実質的に開口部の断面積と対応(一致)している。内殻部の閉鎖位置においては、拡径部分は開口部を閉塞する。拡大部分または拡径部分は、勿論、ピンの中央部分であっても良い。この場合には、ピンは、閉鎖位置では、開口部を通って内殻部内に十分に延伸する。
【0010】
閉鎖位置においては、ピンは、開口部に対応する部分、即ち、拡径部分に、封止リップまたは他の封止手段が形成されていてもよい。封止リップは、その形状が拡大部分または拡径部分であって、ピンの環状溝部内に配置することができ、内殻部の開口部の周壁部に設けられた内殻部の底部の環状溝部と協働することができ、内殻部の閉鎖位置における封止リップと係合する。他の代替案として、内殻部の底部に形成された封止リップは、閉鎖位置において、拡大部分、即ち、拡径部分と接触し、そこには、閉鎖位置において、封止リップによって係合される対応する環状溝部が形成されている。
【0011】
この発明の装置の他の好ましい態様においては、閉鎖手段は、内殻部の壊れやすいノックアウトとして形成された、内側底部のある部分によって形成されている。内殻部が閉鎖位置から開放位置に伸縮移動すると、壊れやすいノックアウトがピンによって穿孔されて開口部が少なくとも部分的に開放される。その結果、この発明の装置を使用すると、流動物が貯留部から内殻部の内部に流れ込むことが出来る。
【0012】
好ましくは、壊れやすいノックアウトが、材料を弱くすることによって、または、内殻部の内側底部に対応する内殻部の厚さを減少することによって形成されている。
【0013】
この発明のアプリケータの使用を容易にするために、内殻部に、指グリップを備えている。
【0014】
指グリップは、例えば、少なくとも部分的に開放位置で、外殻部の外周壁部の外表面を少なくとも部分的に握る覆い部として構成されている。更に、覆い部は、その外表面に、指グリップとしての凹面状のカラー部を備えている。従って、例えば、内殻部を人差し指と中指の間で挟んで、外殻部の外側底部を押して、アプリケータを使用することが出来る。
【0015】
流動物が不用意に送られるのを防止するために、閉鎖位置において、封止手段が内殻部と外殻部との間に配置されている。前記封止手段は、例えば、少なくとも1つの環状溝部と協働する封止リップからなっている。封止リップは、例えば、外殻部の内壁部に設けられ、環状溝部は内殻部の外壁部に設けられている。
【0016】
この発明の装置の閉鎖位置および/または開放位置を、使用者が手で触れて解るように、閉塞位置および/または開放位置を規定する戻り止め手段を備えてもよい。戻り止め手段は、上述したように封止リップと環状溝部の組み合わせによって形成することができる。
【0017】
この発明のアプリケータは、薬剤および/または化粧品を適用するのに適している。例えば、貯留部は皮膚疾患の治療用の薬剤、例えば、にきび治療用の液体を収納することができる。流動物質は、歯科業で使用する物質、例えば漂泊ペーストまたはゲルであってもよい。
【0018】
アプリケータ部材は、特にスポンジ、ブラシ等で構成することができる。アプリケータ部材は、ピペットとして構成されてもよく、その場合には、この発明のアプリケータの内殻部と一体的に形成することができる。
【0019】
アプリケータ部材がスポンジ、またはブラシとして構成されているときには、閉鎖位置では、アプリケータ部材が内殻部内に完全に収納され、開放位置では少なくとも一部が突出するので、特に有効である。この設計によって、輸送間に、この発明の装置が閉鎖位置にあるとき、アプリケータ部材が汚染されたり、損傷されたりすることがない。
【0020】
アプリケータを使用するときに、アプリケータ部材を内殻部に対して移動するために、アプリケータ部材は、ピンまたはスパイクに係合された底面部を備えている。しかしながら、アプリケータ部材は、外殻部の外側底部に形成されたピンと直接接続されて、内殻部の内側底部の開口部と協働する。
【0021】
閉塞位置において、内殻部および外殻部が不用意に収縮移動するのを防止するために、テアータブとして形成された予防手段が、外殻部の環状カラー部と、内殻部の環状カラー部または覆い部との間に配置されている。
【0022】
更に、内殻部はキャップ部を備え、閉鎖位置において、内殻部に収納されたアプリケータ部材を覆い、保護する。キャップ部は、好ましくは、内殻部と一体的に形成され、フィルムヒンジ等によって内殻部にヒンジされている。キャップ部は好ましくは、2つの位置で安定になるような部材として構成されて、閉める方向・開ける方向の何れも所定の角度になるように設計されて、開けるときに、所望の角度に達すると自動的に所定の位置にパチンと収まる。
【0023】
この発明のサブジェクトマターのその他の効果および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲に示されている。
【0024】
この発明による2つの例示的な態様の詳細を、簡単な形で図示して、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
この発明による2つの例示的な態様の詳細を、簡単な形で図示して、説明する。
図1は、液体を適用するアプリケータの斜視図である。
図2は、図1に示すアプリケータの長軸に沿った断面図である。
図3は、第2の態様のアプリケータの長軸に沿った断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および図2に、鉛筆形状で、にきび薬等の液状物質を患者の皮膚に適用するアプリケータ(適用装置)10を示す。
【0027】
アプリケータ10は、外周壁部14を有する実質的にポット(円筒形容器)形状のプラスチック製外殻部12と、外側底部16とを備えている。円筒状の外殻部12は、外側底部16の反対側の端部で開放されている。
【0028】
アプリケータ10は、同様に、外殻部12の開放された端部に、摺動して導かれて、挿入される実質的にポット形状のプラスチック製内殻部18を更に備えている。
【0029】
アプリケータ10の内殻部18は、内周壁部20および内側底部22を備えている。
【0030】
内殻部18には、覆い部24が内側底部22の反対側の端部に接合され、外殻部12の外周壁部14を部分的に覆っている。覆い部24および内殻部18の内周壁部20は、環状空間を形成し、外殻部12の外周壁部14の端部が収容される。覆い部24には、環状カラー部26が外殻部12に対して凹状に形成されて、指グリップとして機能する。
【0031】
更に、内周壁部20に囲まれた内殻部18の内部28は、スポンジのアプリケータ部材30が充填され、それによって、対応する液体を皮膚に適用することができる。
【0032】
アプリケータ10の内側底部22は、円形の開口部32を備えており、外殻部12の外側底部16から突き出ているピン34と協働し、ピン34の拡径した端部36が、図2に示すように、閉鎖位置で、開口部を閉塞する。内殻部18が、閉鎖位置よりも更に外殻部12内へ装入される開放位置では、ピン34は、開口部32を通って十分延伸し、内側底部22とピン34の間において、環状表面領域が開放され、そこを通って、流動物が流れる。
【0033】
図2に示す閉鎖位置では、流動物、または、にきび薬が、内側底部22、外側底部16および外周壁部14によって規定される貯留部38内に収納されている。内殻部18を開放位置に装入するとき、内殻部18はプランジャーとして機能して、貯留部38に収納されている流動物を、開口部32を通ってアプリケータ部材30内に搬送して、流動物が、処置が必要な皮膚部分に適用される。
【0034】
開放位置にするために、スポンジ30の端部がピンによって加圧されて、内殻部18から突出し、流動物の適用を容易にする。
【0035】
図3に、流動物を適用するためのアプリケータの他の実施態様を示す。アプリケータ40は、次の点を除いて図1および2に示すアプリケータと対応している。即ち、開口部32を閉塞する手段として機能するピン34に代わって、開口部32は、内殻部18の内側底部22の厚さの薄い部分によって、打撃によって壊れやすい部分として形成されている。アプリケータを開放位置に移動するとき、拡径を伴わない、鉛筆形状の、円筒状ピン34が、打撃によって壊れやすい部分、または、壁の厚さが薄い部分を貫通し、開口部32が部分的に開放され、貯留部38に収納された液体が、押されて、スポンジ内に流れ込むことができる。
【0036】
外殻部12の外周壁部14は、更に、内表面に、環状カラー部としての封止リップ42を備え、封止リップ42は、内殻部18の外周壁部20の外表面における2つの環状溝部44、46と係合する。環状溝部44は、アプリケータ40の閉鎖位置を構成し、環状溝部46は、アプリケータ40の開放位置を構成する。環状溝部44、46は、封止機能に加えて、戻り止め機能を有している。従って、この発明によるアプリケータの使用者は、開放位置に達した触覚を得ることができる。
【0037】
符号番号のリスト
10 アプリケータ
12 外殻部
14 外周壁部
16 底部
18 内殻部
20 外周壁部
22 底部
24 覆い部
26 環状カラー部
28 内部
30 アプリケータ部材
32 開口部
34 ピン
36 端部
48 貯留部
40 アプリケータ
41 壁の厚さが薄い部分
42 封止リップ
44 環状溝部
46 環状溝部

【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動物を適用する装置であって、
外周壁部(14)および外側底部(16)を有する外殻部(12)と、
内周壁部(20)および内側底部(22)を有し、気密に外殻部(12)に誘導され、閉鎖位置と開放位置との間を伸縮移動できる内殻部(18)とを備え、
内殻部(18)の内側底部(22)は、少なくとも1つの開口部(32)を備え、開口部は、内殻部(18)の閉鎖位置では、閉鎖手段(34)によって完全に閉鎖され、内殻部(18)の開放位置では、流動物が少なくとも部分的に通過し、
内殻部(18)を閉鎖位置から開放位置への伸縮移動においては、内殻部(18)の内部空間は、外殻部(12)と内殻部(18)との間の貯留部(38)に収納された流動物の移動によって充填されることを特徴とする流動物を適用する装置。
【請求項2】
アプリケータ部材(30)が、少なくとも部分的に前記内殻部と係合することを特徴とする請求項1に記載の流動物を適用する装置。
【請求項3】
外殻部(12)の外側底部(16)には、外殻部(12)に対して軸方向に向かうピン(34)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の流動物を適用する装置。
【請求項4】
内殻部(18)の閉鎖位置においては、前記ピン(34)は、内殻部(18)の内側底部(22)における開口部(32)を密閉することを特徴とする、請求項3に記載の流動物を適用する装置。
【請求項5】
ピン(34)の遠端部、即ち、外殻部(12)の外側底部(16)と反対側の端部に拡大部分(36)を備え、その断面積は実質的に開口部(32)の断面積と対応していることを特徴とする、請求項3または4に記載の流動物を適用する装置。
【請求項6】
閉鎖手段(34)は、内殻部(18)の壊れやすいノックアウトとして形成された、内側底部(22)のある部分によって形成され、内殻部(18)が閉鎖位置から開放位置に伸縮移動して開口部(32)を少なくとも部分的に開放するとき、前記壊れやすいノックアウトがピン(34)によって穿孔されることを特徴とする、請求項3に記載の流動物を適用する装置。
【請求項7】
壊れやすいノックアウトが材料を弱くすることによって形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の流動物を適用する装置。
【請求項8】
前記内殻部(18)に、指グリップ(24)を備えていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項9】
前記指グリップ(24)は、少なくとも部分的に開放位置で、外殻部(12)の外周壁部(14)の外表面を少なくとも部分的に覆う覆い部として構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の流動物を適用する装置。
【請求項10】
封止手段(42、44、46)が内殻部(18)と外殻部(12)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項11】
前記封止手段は、少なくとも1つの環状溝部(44、46)と協働する封止リップ(42)からなっていることを特徴とする、請求項10に記載の流動物を適用する装置。
【請求項12】
戻り止め手段が、閉塞位置および/または開放位置を規定することを特徴とする、請求項1から11の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項13】
前記アプリケータ部材(30)は、スポンジからなっていることを特徴とする、請求項1から12の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項14】
前記アプリケータ部材(30)は、ブラシからなっていることを特徴とする、請求項1から13の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項15】
前記アプリケータ部材(30)は、ピペットとして構成されていることを特徴とする、請求項1から14の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項16】
前記アプリケータ部材(30)は、閉鎖位置において、内殻部(18)によって十分に囲まれ、開放位置において、内殻部(18)の面を超えて少なくとも部分的に突出することを特徴とする、請求項1から15の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項17】
前記アプリケータ部材(30)は、外殻部(12)の外側底部(16)に形成されたピン(34)と接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の流動物を適用する装置。
【請求項18】
テアータブとして好ましくは構成された予防手段が、内殻部(18)と外殻部(12)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1から17の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。
【請求項19】
フィルムヒンジによって内殻部に好ましくはヒンジされたアプリケータを特徴とする、請求項1から18の何れか1項に記載の流動物を適用する装置。

【公表番号】特表2010−536442(P2010−536442A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521294(P2010−521294)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001287
【国際公開番号】WO2009/024117
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(505269722)デンタコ デンタールインドゥストリー ウント−マルケティング ゲーエムベーハー (11)
【Fターム(参考)】