説明

流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の製造方法およびその方法で製造された容器のプラスチック製頂部

流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部(1)を製造する方法が記載されており、この方法は、ガス遮断材料層を有するプラスチック・シート材料から開始されるのであって、環状基部(2,12)と、基部(2,12)から突出して基部と共に容器の注ぎ口(5)を形成し、基部(2,12)と反対の側がディスク形状部材(15)で閉じられているネック部分(3,13)とを有する外囲部体(11)を形成する段階と、ネック部分(3,13)にキャップ(8)を取付ける段階と、ディスク形状部材(15)の周辺に沿って、注ぎ口(5)に面する側部で切断部(16)を形成する段階と、ディスク形状部材(15)をそのディスク形状部材に重なるキャップ(8)の部分(10)に接着剤で結合して、ディスク形状部材(15)でキャップ(8)のガス遮断材料層を形成する段階とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の製造方法およびその方法で製造された容器のプラスチック製頂部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、フルーツ・ジュース、ミルク、トマト・ソースおよび一般飲料のような多くの流動食品は、例えば複層構造のプラスチックおよび(または)紙を主体とした積層材料、すなわちいわゆる複層板紙材料で作られた平行六面体形状のパッケージ、ビーカー形状のプラスチック・パッケージ、ブロー・モールド成形したボトル、またはガラス、シート金属またはアルミニュウム製の容器のようなさまざまな形式および寸法の各種容器に入れて販売されている。
【0003】
それらの全ての容器には、消費者が飲用器に食品を注ぐか容器から直接に飲用できるようにする開口装置が取付けられている。
【0004】
ボトル式容器にはねじキャップ式開口装置が一般に使用されているのに対して、複層板紙材料で作られた容器はしばしば、切取りマーカーが簡単に備えられるか、容器に注ぎ口を形成してプル・タブで覆うようになされる。
【0005】
複層板紙材料で作られた容器は、包装材料を貫通して形成された開口の周囲の容器本体に対して熱シール可能なプラスチック製の開口装置を直接に射出モールド成形して取付けて、開口の完全な密閉および密封を可能にすることもまた知られている。この種の開口装置は、通常、例えばねじ式またはスナップ式のキャップを取付けることのできる容器注ぎ口を形成する。
【0006】
勿論、射出モールド成形された開口装置はさまざまな寸法にできるうえ、特許出願EP−A−095531に頂部が図示されている「テトラ・トップ」(登録商標)として公知の容器の場合のように、容器の頂部全体を形成することもできる。
【0007】
正確で高品質な成形は可能となるが、射出モールド成形する容器頂部では、例えばビタミン含有フルーツ・ジュースを包装するときに要求されるように頂部にガス遮断および光遮断の材料層を一体形成することはできない。
【0008】
例えば、特許EP−B−1197438および特許出願WO03/061940に記載されているように、プラスチック製のチューブ形状の予備形成体をブロー成形することで容器のプラスチック製頂部を製造できることも公知であり、この頂部はガス遮断および光遮断の材料層を含むことができる。
【0009】
「テトラ・アプティバ」(登録商標)として公知の容器は、この技術を使用して製造された容器、すなわち複層板紙材料で作られた主底部分と、容器内の液体または流動製品を注ぐためのプラスチック製のチューブ形状の予備成形体をブロー成形して製造された頂部とを有する容器の一例である。
【0010】
この技術は、特に注ぎ口に関して高度に正確な成形を提供するが、非常に遅く、特殊器具の使用を必要とするという欠点を有する。
【0011】
複層板紙材料の容器部分に対して適用されるプラスチック製頂部を製造するために、熱成形および射出モールド成形を含むがブロー成形は含まない方法が近年装置化されてきた。
【0012】
この方法の一例は特許出願WO2005/044538に記載されており、その方法はガス遮断材料、例えばEVOHの層を有する複層プラスチック材料のシート本体を熱成形する段階を含む。本体は、最終的に容器の板紙底部に取付けられる環状の基部により、また、基部内縁から突出して基部と共に食品を注ぎ出すための注ぎ口を形成する円筒形のネック部分によって、一体的に形成される。熱成形はプラスチック材料シートから開始されるので、ネック部分は基部が延在している側と反対の側が閉じている。このように形成されたシート本体の上に、キャップに螺合する横方向ねじを備えたプラスチック材料の保護外層が射出モールド成形される。
【0013】
上述した作業後で、キャップを取付ける前に、注ぎ口を閉じているプラスチック材料を除去する。
【0014】
公知のように、上述したさまざまな形式の容器を閉じるために使用されるキャップは、通常、キャップを容器に対して容易に着脱できるようにする、またキャップの封印を解除したときに容易に不正防止リングから切離せるようにするプラスチック材料で作られており、キャップは通常は破断用連結部材で連結されている。
【0015】
しかしながら、上述した特徴を有する一般に使用されている材料、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンは、有効なガス遮断性を備えることができず、使用時に注ぎ口の内方に面するキャップ側面に「ライナー」として知られたガス遮断材料で作られる追加のディスク形状部材を嵌め込まねばならない。
【0016】
したがって板紙−プラスチック材組合せ容器のためのプラスチック製頂部を製造する上述した方法は、かなりの時間、作業量、および材料の無駄を避けられない。
【0017】
事実、熱成形作業の後で、キャップを取付ける前に除去される注ぎ口を閉じている材料部分は、通常、開始材料の約15〜20%の量を占める。
【0018】
さらに、キャップ内側に挿入されるライナーは付加部材となり、キャップを容器に取付ける前に製造してキャップに嵌込まねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、上述の欠点を簡単で安価な方法により解消するように設計された、流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部を製造する方法であって、前記方法は、
環状基部と、前記基部から突出して基部と共に前記容器の注ぎ口を形成し、前記基部と反対の側がディスク形状部材で閉じられているネック部分とを有する外囲部体をガス遮断材料層を有するプラスチック・シート材料から、形成する段階と、
前記ネック部分にキャップを取付ける段階を含み、さらに、
前記ディスク形状部材の周辺に沿って、前記注ぎ口に面する側部で切断部を形成する段階と、
前記ディスク形状部材をそのディスク形状部材に重なる前記キャップの部分に接着剤で結合して、前記ディスク形状部材でキャップのガス遮断材料層を形成する段階とを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明はまた流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部に関するものであり、前記頂部は、
環状の基部と、
前記基部から突出して基部と共に前記容器の注ぎ口を形成し、前記基部と反対の側がディスク形状部材で閉じられているネック部分と、
前記ネック部分に取付けられるキャップとを含み、
前記ディスク形状部材がその外周に沿って、前記注ぎ口に面する側部に切断部を形成されること、および前記ディスク形状部材はそのディスク形状部材に重なる前記キャップの部分に接着剤で結合されて、前記ディスク形状部材がキャップのガス遮断材料層を形成することを特徴とする。
【0022】
本発明の好ましいが限定する意図のない実施例が添付図面を参照して例を挙げて説明される。
【実施例1】
【0023】
図5および図7の符号1は、以下の説明で単純に例として参照する板紙−プラスチックの組合わされた液体または流動食品の容器(図示せず)またはプラスチック製ボトルのためのプラスチック製頂部を全体として示している。
【0024】
頂部1は長手方向軸線Aを有し、また、図示実施例では容器の内方へ向かって凹形の環状基部2と、基部2の半径方向の内縁4から突出して基部2と共に容器の食品を注ぎ出す注ぎ口5を形成する実質的に円筒形のチューブ形状ネック部分3とを含んでなる。
【0025】
さらに詳しくは、ネック部分3は外側面に沿って円筒形キャップ8の補完形のねじ7と係合するねじ6を有する。
【0026】
キャップ8は内面にねじ7を有する円筒形の側壁9と、使用において注ぎ口5の最上部を閉じるためのディスク形状頂壁10とで実質的に形成されている。
【0027】
頂部1は以下に説明する方法によって製造される。
【0028】
最初に、ガス遮断材料、例えばEVOHの層を含む複層プラスチック・シート材料に対して成形作業、好ましくは熱成形または高温成形の作業が実施される。
【0029】
この成形作業は中空で、最終的に取付けられる容器に向いた側が開口するがその反対側は閉じられている実質的に帽子(ハット)形状の部体11(図1)を製造する。
【0030】
さらに詳しくは、部体11は、一体的に基部2を形成している環状底部分12と、底部分12の半径方向内縁から軸線方向に突出している円筒形の逆カップ形状の上方部分13とを含んでなる。上方部分13は、ネック部分3の内側を形成する、したがって注ぎ口5を横方向に境界する側壁14と、注ぎ口5を閉じるディスク形状頂壁15とを有している。
【0031】
次に(図2)、プラスチック材料がねじ6を形成するように部体11の上方部分13の側壁14の外面上に射出モールド成形される。
【0032】
射出された材料は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリオレフィンによって成形される。
【0033】
この時点で(図3)、このように形成された部体にキャップ8が取付けられ、ねじ6,7は相互に係合し、キャップ8の頂壁10は部体11の頂壁15に隣接するか、むしろ重ねられて位置される。
【0034】
キャップ8の頂壁10および部体11の頂壁15が、例えば超音波溶着によって少なくともその外周部分に沿って結合されること、および環状切断部16が部体11の頂壁15、および注ぎ口5に面する側部に形成されることが有利である(図4および図6)。
【0035】
したがって、部体11の頂壁15はキャップ8のガス遮断材料層17、すなわち、この層は流動食品の包装において一般に称されるような「ライナー」を形成する。
【0036】
図4および図6に示されるように、超音波溶着作業および切断部16の形成は装置18で同時に行われ、この装置は、部体11の頂壁15と協働する環状加工面、および超音波作動ユニット(図示せず)を有する実質的に円筒形のチューブ形状圧力部材19と、圧力部材19の反対側でキャップ8の頂壁10と協働する裏当て部材21と、超音波発生時に所望の圧縮力を得るために圧力部材19を裏当て部材21に対して接近/離反方向に移動させるためのガイド手段(図示せず)とを実質的に含んでなる。
【0037】
圧力部材19の外周は、切断部16の形成のために頂壁15に作用する切断部材22と嵌め合わされる。
【0038】
容器(図7)を開封するとき、キャップ8のねじを緩めることで、切断部16により頂壁15を部体11から切離し、また、廃棄されるのではなく、頂壁15は溶着によってキャップ8の頂壁10に取付いたまま残される。
【0039】
この方法の利点、および本発明の技術による頂部1の利点は、前述の説明から明白となるであろう。
【0040】
特に、キャップ8のライナーはもはや別個に製造する必要は無く、また、成形作業により製造される部体11の頂壁15から簡単に得られる。一方、このことは材料の無駄を省くことに作用するのであり、他方、容器頂部1の製造方法を非常に高速で簡単なものにする。
【0041】
しかしながら、特許請求の範囲に記載した範囲から逸脱せずに、本明細書に説明し図解したようなこの方法および頂部1に対して多くの変更をなし得ることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による方法の1つの段階における流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【図2】本発明による方法の他の段階における流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【図3】本発明による方法の他の段階における流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【図4】本発明による方法の他の段階における流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【図5】本発明による方法の他の段階における流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【図6】図4の細部の拡大垂直断面図を示す。
【図7】容器が開封後の図1〜図5に示したプラスチック製頂部の垂直断面図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 頂部
2 基部
3 ネック部分
4 内縁
5 注ぎ口
6,7 ねじ
8 キャップ
9 側壁
10 頂壁
11 部体
12 環状底部分
13 上方部分
14 側壁
15 頂壁
16 切断部
17 ガス遮断材料層すなわちライナー
18 装置
19 圧力部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部(1)を製造する方法であって、
環状基部(2,12)と、前記基部(2,12)から突出して基部(2,12)と共に前記容器の注ぎ口(5)を形成し、前記基部(2,12)と反対の側がディスク形状部材(15)で閉じられているネック部分(3,13)とを有する外囲部体(11)をガス遮断材料層を有するプラスチック・シート材料から、形成する段階と、
前記ネック部分(3,13)にキャップ(8)を取付ける段階とを含み、さらに、
前記ディスク形状部材(15)の周辺に沿って、前記注ぎ口(5)に面する側部で切断部(16)を形成する段階と、
前記ディスク形状部材(15)をそのディスク形状部材に重なる前記キャップ(8)の部分(10)に接着剤で結合して、前記ディスク形状部材(15)でキャップ(8)のガス遮断材料層を形成する段階とを含むことを特徴とする製造する方法。
【請求項2】
前記成形段階が高温成形段階であることを特徴とする請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記注ぎ口(5)を境界している側の反対側において前記外囲部体(11)の前記ネック部分(3,13)上にねじ(6)を射出モールド成形する段階を含み、前記キャップ(8)が前記ネック部分(3,13)の前記ねじ(6)と係合する内ねじ(7)を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
【請求項4】
接着剤で結合する前記段階が誘導溶着段階であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項5】
接着剤で結合する前記段階が前記ディスク形状部材(15)の周縁付近に対して行われることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項6】
流動食品の密閉容器用のプラスチック製頂部(1)であって、
環状の基部(2,12)と、
前記基部(2,12)から突出して基部(2,12)共に前記容器の注ぎ口(5)を形成し、前記基部(2,12)と反対の側がディスク形状部材(15)で閉じられているネック部分(3,13)と、
前記ネック部分(2,12)に取付けられるキャップ(8)とを含み、
前記ディスク形状部材(15)がその外周に沿って、前記注ぎ口(5)に面する側部で切断部(16)を形成されること、および前記ディスク形状部材(15)はそのディスク形状部材に重なる前記キャップ(8)の部分(10)に接着剤で結合されて、前記ディスク形状部材(15)がキャップ(8)のガス遮断材料層を形成することを特徴とする頂部。
【請求項7】
前記ネック部分(3,13)およびキャップ(8)がそれぞれ外ねじ(6)および内ねじ(7)を有し、両ねじはキャップ(8)を閉じた位置で係合されることを特徴とする請求項6に記載された頂部。
【請求項8】
前記キャップ(8)が関係する前記ねじ(7)を内面に有する円筒形の側壁と、使用時に前記注ぎ口(5)の最上部を閉じ、前記ディスク形状部材(15)に結合されている頂壁(10)とを含んでなることを特徴とする請求項6または請求項7に記載された頂部。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−517296(P2009−517296A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542773(P2008−542773)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069177
【国際公開番号】WO2007/063120
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】