説明

流水検出システム

【課題】
より簡易かつ正確に管等を通過する少量の流水を検出することができる流水検出システ
ムを提供する。
【解決手段】
液体を通す管と、前記管の内部に設置され、前記液体の流れの存否を振動により検出す
る流水検出部と、前記流水検出装置により検出した振動を電気信号にて検出し、前記液体
の流れに関する情報を送出する制御部と、前記制御装置から送られてきた液体の流れの存
否に関する情報を表示する表示部と、を備える流水検出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流水検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から配管等の管を通る液体の流れや流量を検出する装置として超音波流量計や電磁
流量計、音響流量計がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−278747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの流量計では、反射波等の外乱ノイズが多く、正確な流水量の検出が難しい。
【0005】
よって、従来の流量計では少量の水の流れを検出することが難しかった。
【0006】
上記の事情に鑑み、より簡易かつ正確に管等を通過する少量の流水を検出することがで
きる流水検出システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本流水検出システムは
液体を通す管と、
前記管の内部に設置され、前記液体の流れの存否を振動により検出する流水検出部と、
前記流水検出装置により検出した振動を電気信号にて検出し、前記液体の流れに関する
情報を送出する制御部と、
前記制御装置から送られてきた液体の流れの存否に関する情報を表示する表示部と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る流水検出システムの形態を示す構成図。
【図2】第1の実施形態に係る流水検出装置の形態を示す構成図。
【図3】第1の実施形態に係る流水検出システムのフローチャート。。
【図4】第2の実施形態に係る流水検出システムのフローチャート。
【図5】第3の実施形態に係る流水検出システムの形態を示す構成図。
【図6】第3の実施形態に係る流水検出システムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る流水検出システムの形態を示す構成図である。
【0011】
本流水検出システムは、図1に示すように流水検出装置1と、制御装置20と、表示装
置30と、管100とを含む構成である。
【0012】
流水検出装置1は、図2に示すように振動検出素子11と、判定回路12と、データベ
ース13と、電池14とを含む構成である。
【0013】
振動検出素子11は、流水を受けた場合の振動を検出する。例えば、圧電セラミックセ
ンサである。この圧電セラミックセンサは流れてくる水との衝突により発生した振動を電
気信号として取り出し、判定回路12へ送出する。本実施形態では、管100の底部に設
置されているかのごとく記載しているが、目的によって、管側面部や管上部に取り付けて
もよい。例えば、正確に検出したい流水量が、管を通過することができる流量の100%
に近ければ上部に設置し、50%程度であれば側面につける。
【0014】
判定回路12は、送られてきた電気信号がデータベース13に記憶された閾値以上か否
かを判定する。例えば、上記電気信号を直流電圧に変換して検出する。判定回路12は、
この直流電圧の電圧波形の振幅とデータベース13に記憶された電圧波形の振幅(閾値)
とを比較し、振幅が小さいか大きいかにより、水の流れがあるか否かを検出する。振動検
出素子11から送られ変換された直流電圧の振幅がデータベース13に記憶された振幅よ
りも大きかった場合、水の流れを検出したとして、電気信号を制御装置20へ送出する。
水の流れを検出しなかった場合は電気信号を送らない。
【0015】
データベース13は、判定回路12の判定に用いるデータを記憶する。例えば、出直流
電圧を使用する場合は、閾値とする直流電圧の基準となる基準振幅(波形)を記憶する。
少ない水の流れを検出したい場合は閾値の値を低くすることが好適である。
【0016】
電池14は、流水検出装置1の各構成要素である振動検出素子11、判定回路12、デ
ータベース13へ電力を供給する。なお、本実施形態では電池により電力が供給されてい
るが、有線または無線による電力給電により各構成要素へ電力供給が行われてもよい。
【0017】
制御装置20は、流水検出装置1内の判定回路12から送られてきた電気信号を受信し
、文字情報や記号情報を表示装置30へ表示させる。例えば、演算処理機能をもつ計算機
などのパーソナルコンピュータである。流水検出装置1を危険とする流水量を検出する目
的で設置していた場合は、表示装置30へ警報情報を表示させてもよい。
【0018】
表示装置30は、監視員が流水の変化を認識できる態様で、制御装置20から送られて
きた各種情報を表示する表示装置である。例えば液晶ディスプレイ等の表示機器である。
本実施形態では、表示装置としているが、音声出力機能により各種情報を出力してもよい

【0019】
管100は、水を通す管である。例えば、空調の排水管等である。本実施形態では水と
しているがその他油等の各種液体に代えてもよい。
【0020】
次に第1の実施形態の動作について図3を参照しながら説明する。
【0021】
振動検出素子11は、管100に流れてきた水を受けた場合の振動を検出する(ステッ
プS101)。
【0022】
振動を検出しなかった場合はそのまま処理を終了する(ステップS101−NO)
振動を検出した場合(ステップS101−YES)、判定回路12は、送られてきた電
気信号がデータベース13に記憶された閾値以上か否かを判定する。振動検出素子11か
ら送られ変換された直流電圧の振幅がデータベース13に記憶された基準とする一定の振
幅よりも小さかった場合は、電気信号を送らない(ステップS102−NO)。
【0023】
振動検出素子11から送られ変換された直流電圧の振幅がデータベース13に記憶され
た上記基準振幅よりも大きかった場合、水の流れを検出したとして、電気信号を制御装置
20へ送出する。制御装置20は、流水検出装置1内の判定回路12から送られてきた電
気信号を受信し、表示装置30へ表示させる(ステップS102−YES、ステップS1
03)。
【0024】
このように、流水検出装置を水が通る管の中に設置することにより、より少ない水の流
れによる振動を検出することができ、より少量の流水量の変化を検出することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は第1の実施形態の変形例である。
【0026】
第1の実施形態との違いは、制御装置20が一定時間流水を検出した旨の電気信号を受
信しなかった場合、表示装置30に警報情報を表示または発報させる点である。
【0027】
その他の構成要素については第1の実施形態と同様であるので省略する。
【0028】
第2の実施形態の動作について図4を参照しながら説明する。
【0029】
振動検出素子11は、管100に流れてきた水を受けた場合の振動を検出する(ステッ
プS201)。
【0030】
制御装置20が一定時間以上電気信号を検出しなかった場合は警報情報を表示装置30
へ表示させる(ステップS201−NO)。
【0031】
振動を検出した場合(ステップS201−YES)、判定回路12は、送られてきた電
気信号がデータベース13に記憶された閾値以上か否かを判定する。振動検出素子11か
ら送られ変換された直流電圧の振幅がデータベース13に記憶された基準振幅よりも小さ
い状態が一定時間以上続いた場合、警報情報を表示装置30へ表示させる(ステップS2
02−NO)。
【0032】
振動検出素子11から送られ変換された直流電圧の振幅がデータベース13に記憶され
た振幅よりも大きかった場合、水の流れを検出したとして、電気信号を制御装置20へ送
出する。制御装置20は、流水検出装置1内の判定回路12から送られてきた電気信号を
受信し、正常である旨を表示装置30へ表示させる(ステップS202−YES、ステッ
プS203)。
【0033】
このように、流水検出装置を水が通る管の中に設置することにより、より少ない水の流
れによる振動を検出することができ、少ない流水量の変化を検出することができる。また
、少ない流水量の変化を検出することにより、通常少量の水の流れがあり、その少量の水
の流れがなくなったことを検出した場合になんらかの異常があったとして、監視者等に知
らせることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図5、図6を参照しながら説明する。
【0035】
本実施形態の流水検出システムと第1の実施形態との違いは、図5に示すように流水検
出装置1、2、3の3つの流水検出装置を含む点である。また、各流水検出装置からの情
報を取得した制御装置20が、管100内の異常を検出する点が異なる。本実施形態では
三台としているが二台以上の複数であってもよい。
【0036】
流水検出装置1、2、3は、図2に示すように振動検出素子11と、判定回路12と、
データベース13と、電池14とを含む構成である点は第1の実施形態と同様である。
【0037】
制御装置20は、流水検出装置1、2、3からの情報を取得し、流水検出装置1と2の
間に水漏れ等の異常があるか否か、流水検出装置2−3の間に水漏れ等の異常があるか否
かを検出する。
【0038】
具体的には、流水検出装置1で流水が検出されなかった場合は処理を終了する。また、
流水検出装置1、2、3で流水が検出された場合も処理を終了する。
【0039】
流水検出装置1で流水(振動)が検出されたにも関わらず流水検出装置2で流水(振動
)が検出されなかった場合は、管100内における流水検出装置1と流水検出装置2の間
に亀裂が入り水漏れが生じている等の何らかの異常があったとして、表示装置30に警報
情報を表示させる。
【0040】
流水検出装置1、2で流水(振動)が検出されたにも関わらず流水検出装置3で流水(
振動)が検出されなかった場合は、管100内における流水検出装置2と流水検出装置3
の間に何らかの異常があったとして、表示装置30に警報情報を表示させる。
【0041】
第3の実施形態の動作について図6を参照しながら説明する。
【0042】
流水検出装置1、2、3は、管100に流れてきた水を受けた場合の流水を検出する(
ステップS301)。
【0043】
流水検出装置1で流水が検出されなかった場合は処理を終了する。また、流水検出装置
1、2、3で流水が検出された場合も処理を終了する(ステップS301−NO)。
【0044】
流水検出装置1で流水が検出されたにも関わらず流水検出装置2で流水が検出されなか
った場合(ステップS301−YES)は、管100内における流水検出装置1と流水検
出装置2の間に管に亀裂が入るなどの何らかの異常があったとして、表示装置30に警報
情報を表示させる(ステップS302−NO、ステップS303)。
【0045】
流水検出装置1、2で流水が検出されたにも関わらず流水検出装置3で流水が検出され
なかった場合(ステップS302−YES)は、管100内における流水検出装置2と流
水検出装置3の間に何らかの異常があったとして、表示装置30に警報情報を表示させる
(ステップS304−NO、ステップS305)。
【0046】
このように、流水検出装置を水が通る管の中に複数設置し、各流水検出装置からの情報
を統計処理することにより、管の異常を検出することができ、さらには異常個所を特定・
検出することができる。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示
したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は
、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、
種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の
範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含
まれる。
【符号の説明】
【0048】
1、2,3 … 流水検出装置
20 … 制御装置
30 … 表示装置
100 … 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を通す管と、
前記管の内部に設置され、前記液体の流れの存否を振動により検出する流水検出部と、
前記流水検出装置により検出した振動を電気信号にて検出し、前記液体の流れに関する
情報を送出する制御部と、
前記制御装置から送られてきた液体の流れの存否に関する情報を表示する表示部と、
を備える流水検出システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記液体の流れがないことを一定時間以上検出した場合に警報情報を前記表示部に表示
させる
請求項1に記載する流水検出システム。
【請求項3】
液体を通す管と、
前記管の内部に設置され、前記液体の流れの存否を振動により検出する流水検出部と、
前記流水検出装置により検出した振動を電気信号にて検出し、前記複数の流水検出装置
により検出した液体の流れに関する情報から、前記管の異常を検出する制御部と、
前記制御装置から送られてきた前記管の異常に関する情報を表示する表示部と、
を備える流水検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78188(P2012−78188A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223197(P2010−223197)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】