説明

流量計及び該流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出するための装置及び方法

【課題】流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出する。
【解決手段】駆動装置204と、第1ピックオフセンサ201aと、第2ピックオフセンサ201bとを備え、ケーブル205が第1ピックオフセンサ201aと第2ピックオフセンサ201bと駆動装置とに結合された計器電子装置20は、ケーブル205に結合され、駆動信号を生成して該駆動信号をケーブル205と駆動装置204へ伝える駆動回路220、及び、ケーブル205に結合され、駆動信号に応答して第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から少なくとも1つの応答信号を受け取り、ケーブル205の1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害と駆動装置接続方向障害とのうちの少なくとも一方を決定する信号調整回路202を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計及び該流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、コリオリ質量流量計のような振動管センサは、流動材料を含む振動管の運動を検出することによって動作する。管路における材料に関連する特性、例えば質量流量、密度等は、管路に関連する運動トランスデューサから受信される測定信号を処理することによって決定される。一般に、振動材料で満たされたシステムの振動モードは、収容する管路とそこに収容された材料との組み合わされた質量、剛性及び減衰特性によって影響される。
【0003】
典型的なコリオリ質量流量計は、パイプライン又は他の運送系と接続された1つ以上の管路を備えていて、流体やスラリー等の材料を運送系において運ぶ。それぞれの管路は、例えば、単純曲げモード、捻れモード、放射モード及び結合モードを含む固有振動モードの組を持つものとみなされる。典型的なコリオリ質量流量測定分野では、材料が管路を流れるときに管路は1つ以上の振動モードで励振され、管路に沿って離れた点において管路の運動が測定される。典型的には、励振は、管路を周期的に振動させるボイスコイル型駆動装置のような電子機械的な装置等のアクチュエータによって行われる。質量流量は、トランスデューサの場所における運動間の時間遅延又は位相差を測定することによって決定される。典型的には、2つのこうしたトランスデューサ(又はピックオフセンサ)が流れ管路の振動応答を測定するために採用され、典型的には、アクチュエータの上流側及び下流側の位置に配置される。2つのピックオフセンサは、独立の2対のワイヤのようなケーブルによって電子機器に接続される。電子機器は2つのピックオフセンサから信号を受け取り、該信号を処理して質量流量測定値を導出する。
【0004】
コリオリ流量計の流れ管路が空のとき、2つのピックオフセンサ間の位相差は理想的にはゼロである。これに対して、正常動作期間には、流量計を通る流れは、コリオリ効果に起因して2つのピックオフ信号間に位相シフトを生じる。この位相シフトは管路を流れる材料の流量に正比例する。したがって、信号差の正確な測定を行うことにより、流量計は質量流量を正確に測定することができる。
【0005】
典型的には、コリオリ流量計は、流れ管路を駆動するため、及びその結果の流れ管路の振動を測定するためにコイルを使用する。多くの場合、流量センサ装置(即ち、流れ管路、ピックオフセンサ及び駆動装置)は、送信機電子装置と一体に取り付けられている訳ではない。典型的なコリオリ流量計は、送信機/計器電子装置と流量センサ装置との間にケーブルにまとめられた9本のワイヤを有する。典型的には、ケーブルは抵抗温度検出器(RTD)のために3本の、第1ピックオフセンサのために2本の、第2ピックオフセンサのために2本の、駆動装置のために2本のワイヤを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
典型的には、ケーブルは現場で顧客によって接続される。これにより、ケーブル敷設の問題が生じ得る。ワイヤ対は交換され得る。ワイヤは混ざり合わされ得る。端子接続の誤りや故障したコイルの使用は開回路を生じ得る。例えば、第1ピックオフセンサが第1の方向で接続され、第2ピックオフセンサが逆方向の第2の方向で接続されると、出力ゼロ化動作期間において測定される位相シフトは過大に大きい。同様に、駆動装置に接続されるワイヤが切り換えられると、期待した位相特性が観測されず、駆動回路のフィードバックループは、基本周波数に対する応答を駆動する代わりに、ゼロへ向かう応答を駆動することになる。
【0007】
生じ得る他の問題は、コンポーネント間の断線した又は接続されていないワイヤである。断線した又は接続されていないワイヤは、ユニットが動作状態にはいるまで検出されない。顧客の場所での問題の修理にはコストと時間を要する。更に、顧客は不稼働時間と出費とフラストレーションを経験することになる。
【0008】
センサが誤って配線されているかどうかを送信機が自動的に決定し、誤配線されている場合には、直面する問題を修正することが望ましい。加えて、これをプロセス変動とは独立に決定することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための計器電子装置が提供される。計器電子装置は、第1ピックオフセンサと、第2ピックオフセンサと、第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとに結合されたケーブルとを備えている。前記ケーブルは1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとを備えている。また、計器電子装置は、ケーブルに結合された信号注入装置を備える。信号注入装置は注入信号を発生させ、該注入信号をケーブル、第1ピックオフセンサ及び第2ピックオフセンサへ伝えるよう構成されている。また、計器電子装置は、ケーブルと結合された信号調整回路を備える。信号調整回路は、注入信号に応答して第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から少なくとも1つの応答信号を受け取り、ケーブルの1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとのうちの少なくとも一方におけるピックオフ断線障害及びピックオフ接続方向障害を決定するよう構成される。
【0010】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための計器電子装置が提供される。計器電子装置は、駆動装置と、第1ピックオフセンサと、第2ピックオフセンサと、第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとに結合されたケーブルとを備える。また、計器電子装置は、ケーブルに結合され、駆動信号を生成して該駆動信号をケーブル及び駆動装置へ伝えるよう構成された駆動回路を備えている。また、計器電子装置は、ケーブルと結合された信号調整回路を備える。信号調整回路は、駆動信号に応答して第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から少なくとも1つの応答信号を受け取り、ケーブルの1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害及び駆動装置接続方向障害を決定するよう構成される。
【0011】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られた応答信号の注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾値と比較するステップと、注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、対応の1つ以上の第1ピックオフワイヤ又は対応の1つ以上の第2ピックオフワイヤにおけるピックオフ断線障害を決定するステップとを備える。
【0012】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、第1ピックオフ応答信号の第1ピックオフ応答位相と第2ピックオフ応答信号の第2ピックオフ応答位相との間の位相差を所定のピックオフ位相差閾値と比較するステップを備える。第1ピックオフ応答信号と第2ピックオフ応答信号とは、ケーブルを介して第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとから受け取られる。また、方法は、位相差が所定のピックオフ位相差閾値を超える場合にピックオフ接続方向障害を決定するステップを具備する。
【0013】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較するステップと、駆動抵抗電圧が所定の電圧閾値を超えない場合に、1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するステップと
を具備する。
【0014】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較するステップを備える。応答信号位相差は応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含む。応答信号位相は第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られる。また、方法は、応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に、1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するステップを具備する。
【0015】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、振動応答の振動応答振幅を決定するステップと、
振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していない場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するステップを備える。
【0016】
本発明の実施の形態にしたがって、流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法が提供される。この方法は、ケーブルの1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとをピックオフ断線障害に対して試験するステップを備える。1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフセンサとはケーブルに含まれており、それぞれ第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとに接続されている。また、この方法は、1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとにピックオフ断線障害がないと決定された場合に、1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとをピックオフ接続方向障害に対して試験するステップを備えている。また、方法は、ケーブルの1つ以上の駆動ワイヤを駆動装置断線傷害に対して試験するステップを更に備える。1つ以上の駆動ワイヤは駆動装置に接続される。また、方法は、1つ以上の駆動ワイヤに駆動装置断線障害がないと決定される場合に、駆動装置接続方向傷害に対して1つ以上の駆動ワイヤを試験するステップを備える。
【0017】
態様
計器電子装置の1つの態様において、信号調整回路は、少なくとも1つの応答信号の注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾と比較し、注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、対応の1つ以上の第1ピックオフワイヤ又は対応の1つ以上の第2ピックオフワイヤにおけるピックオフ断線障害を決定するよう構成される。
【0018】
計器電子装置の他の態様においては、信号調整回路は第1ピックオフ応答信号及び第2ピックオフ応答信号を受け取り、信号調整回路は、第1ピックオフ応答位相と第2ピックオフ応答位相との間の位相差を所定のピックオフ位相差閾値と比較し、位相差が所定のピックオフ位相差閾値を超える場合に、対応の1つ以上の第1ピックオフワイヤ又は対応の1つ以上の第2ピックオフワイヤにおけるピックオフ接続方向障害を決定するよう構成される。
【0019】
計器電子装置の更に他の態様においては、信号注入装置は、デジタル周波数コマンドを受け取って周波数入力を出力するデジタル−アナログ(D/A)コンバータと、D/Aコンバータから周波数入力を受け取り、周波数入力によって特定された周波数の注入信号を出力する注入信号発生器と、注入信号をケーブルへ伝える変成器とを備える。
【0020】
計器電子装置の他の態様においては、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に、信号調整回路は、ピックオフセンサの一方から受け取った応答信号を反転させるよう構成される。
【0021】
計器電子装置の他の態様においては、信号調整回路は、駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較し、駆動抵抗電圧が所定の電圧閾値を超えない場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するよう構成される。
【0022】
計器電子装置の他の態様においては、信号調整回路は、応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較し、応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に、1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するよう構成される。応答信号位相差は応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含み、応答信号位相は1つ以上の第1ピックオフセンサと1つ以上の第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られる。
【0023】
計器電子装置の他の態様においては、計器電子装置は、振動応答の振動応答振幅を決定し、振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾しない場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するよう更に構成される。
【0024】
計器電子装置の他の態様においては、駆動回路は、駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に駆動信号を反転させるよう更に構成される。
方法の1つの実施の形態においては、方法は、ピックオフ断線障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
【0025】
方法の他の実施の形態においては、比較して決定するステップは、
第1ピックオフセンサからの第1応答信号の第1注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾値と比較するステップと、
第1注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、1つ以上の第1ピックオフワイヤにおける第1ピックオフ断線障害を決定するステップと、
第2ピックオフセンサからの第2応答信号の第2注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾値と比較するステップと、
第2注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、1つ以上の第2ピックオフワイヤにおける第2ピックオフ断線障害を決定するステップと、
を更に備える。
【0026】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、決定の後に、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に、1つの前記ピックオフセンサから受け取られる応答信号を反転させるステップを更に備える。
【0027】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、駆動装置断線障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
【0028】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、決定の後に、駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に、駆動回路からの駆動信号を反転させるステップを更に備える。
【0029】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、決定の後に、駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に、駆動回路からの駆動信号を反転させるステップを更に備える。
【0030】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、断線障害が1つ以上の第1ピックオフワイヤ、1つ以上の第2ピックオフワイヤ又は1つ以上の駆動ワイヤに存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
【0031】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、接続方向障害が1つ以上の第1ピックオフワイヤ、1つ以上の第2ピックオフワイヤ又は1つ以上の駆動ワイヤに存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える。
【0032】
方法の更に他の実施の形態においては、1つ以上の第1ピックオフワイヤ及び1つ以上の第2ピックオフワイヤをピックオフ接続方向障害に対して試験するステップが、
第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られた応答信号の注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾値と比較するステップと、
注入信号成分が前記所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、対応の1つ以上の第1ピックオフワイヤ又は対応の1つ以上の第2ピックオフワイヤにおけるピックオフ断線障害を決定するステップと、
を具備する。
【0033】
方法の更に他の実施の形態においては、1つ以上の第1ピックオフワイヤ及び1つ以上の第2ピックオフワイヤをピックオフ接続方向障害に対して試験するステップが、
第1ピックオフ応答信号の第1ピックオフ応答位相と第2ピックオフ応答信号の第2ピックオフ位相との間の位相差を所定のピックオフ位相差閾と比較するステップであって、第1ピックオフ応答信号と第2ピックオフ応答信号とが、前記ケーブルを介して第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとから受け取られるステップと、
位相差が所定のピックオフ位相差閾値を超える場合にピックオフ接続方向障害を決定するステップと、
を備える。
【0034】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、ピックオフ接続方向障害に対して試験した後に、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に、1つのピックオフセンサからの応答信号を反転させるステップを更に備える。
【0035】
方法の更に他の実施の形態においては、断線に対して駆動装置を試験するステップは、駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較するステップと、駆動抵抗電圧が前記所定の電圧閾値を超えない場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するステップとを備える。
【0036】
方法の更に他の実施の形態においては、駆動装置接続方向障害に対して前記1つ以上の駆動ワイヤを試験するステップは、
応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較するステップであって、応答信号位相差が応答信号位相と駆動装置位相との間の差を含み、応答信号位相が第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも1つから受け取られるステップと、
応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向傷害を決定するステップと、
を備える。
【0037】
方法の更に他の実施の形態においては、駆動装置接続方向傷害に対して1つ以上の駆動ワイヤを試験するステップは、振動応答の振動応答振幅を決定するステップと、振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していない場合に1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向傷害を決定するステップとを備える。
【0038】
方法の更に他の実施の形態においては、方法は、駆動装置接続方向傷害に対して1つ以上の駆動ワイヤを試験した後に、駆動装置接続方向傷害が存在すると決定された場合に駆動装置からの駆動信号を反転させるステップを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】流量計組立体と計器電子装置を備えるコリオリ流量計を示す図である。
【図2】発明の実施の形態に係る流量計の一部の図である。
【図3】発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法の流れ図である。
【図4】発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法の流れ図である。
【図5】発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法の流れ図である。
【図6】発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法の流れ図である。
【図7】発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法の流れ図である。
【図8】発明の実施の形態に係る流量計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1〜図8及び以下の記述は、本発明の最良の実施の形態を製作し、使用する方法を当業者に教示するための特定の例を示している。発明原理を教示するために、幾つかの慣用の構成は簡単化され又は省略されている。当業者は理解するように、これらの例からの変形は発明の範囲内に入る。当業者は理解するように、以下に記述される特徴は種々の方法で組み合わされて発明の多くの変形を形成することができる。その結果、発明は以下に記述する特定の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲とその均等物によってのみ限定される。
【0041】
図1は、流量計組立体10と計器電子装置20とを有するコリオリ流量計5を示している。計器電子装置20はリード線100を介して計器組立体10と接続され、密度、質量流量、体積流量、全流量、温度及び他の情報を経路26を介して提供する。当業者には明らかなように、本発明は、駆動装置、ピックオフセンサ及び流れ管路の数や振動の動作モードとは無関係に、任意のタイプのコリオリ流量計によって使用され得る。コリオリ流量計構造が記述されるけれども、当業者には明らかなように、本発明は、コリオリ質量流量計によって与えられる測定能力に追加することなく振動管密度計として実施することができる。
【0042】
流量計組立体10は一対のフランジ101、101’、マニホールド102、102’、駆動装置104、ピックオフセンサ105、105’、流れ管路103A、103Bを備える。駆動装置104とピックオフセンサ105、105’は流れ管路103A、103Bに接続される。
【0043】
フランジ101、101’はマニホールド102、102’に固定される。マニホールド102、102’はスペーサ106の両端に固定される。スペーサ106は流れ管路103A、103Bにおける不要な振動を防止するためにマニホールド102、102’間のスペースを維持する。流量計組立体10が被測定材料を運ぶパイプライン系(図示せず)に挿入されると、材料はフランジ101を介して流量計組立体10に入って流入マニホールド102を通過し、そこで全量の材料が流れ管路103A、103Bに入るように方向付けられ、流れ管路103A、103Bを通って流れて流出マニホールド102’へ戻り、フランジ101’を通って流量計組立体10から出る。
【0044】
流れ管路103A、103Bは、曲げ軸W−W、W7−W’に関して実質的に同一の質量分布、慣性モーメント及び弾性率を持つように選択され且つ流入マニホールド102及び流出マニホールド102’にそれぞれ取り付けられる。流れ管路は本質的に平行にマニホールドから外へ向かって延びる。
【0045】
駆動装置104によって、流れ管路103A、103Bは、それぞれの曲げ軸W、W’に関して、いわゆる流量計の第1位相はずれ曲げモードで逆方向に駆動される。駆動装置104は、管路103Aに取り付けられた磁石と管路103A’に取り付けられた対向コイルのような、多くの周知の装置のうちの1つを備える。交流が対向コイルを通過すると、両方の管路が振動させられる。駆動装置104により、適切な駆動信号が計器電子装置20によってリード線100を介して印加される。
【0046】
計器電子装置20はそれぞれリード線111、111’を介してセンサ信号を受け取る。計器電子装置20は、駆動装置104をして流れ管路103A、103Bを振動させる駆動信号をリード線110上に生成する。計器電子装置20は、ピックオフセンサ105、105’からの左右の速度信号を処理して質量流量を計算する。経路26は計器電子装置20がオペレータと会話するのを許容する入出力手段を提供する。図1の記述は流量計の動作の例としてのみ提供されるのであり、本発明の教示を限定するものではない。
【0047】
図2は、本発明の実施の形態に係る流量計5の一部分の図である。流量計5は第1ピックオフセンサ201a、第2ピックオフセンサ201b、駆動装置204及び計器電子装置20を備える。計器電子装置20は、コリオリ流量計として動作することを含む、質量流量計として動作することができ又は密度計として動作することができる。計器電子装置20は、とりわけ、駆動回路220、信号注入装置203及び信号調整回路202を備えている。計器電子装置20はケーブル205を介してピックオフセンサ201及び駆動装置204に接続される。ケーブル205は第1ピックオフセンサ201a及び第2ピックオフセンサ201bを信号調整回路202及び信号注入装置203に接続する。ケーブル205は駆動装置204を駆動回路220に接続する。1つの実施の形態においては、信号調整回路202と信号注入装置203はリンク210によって相互接続される。
【0048】
ケーブル205は第1ピックオフセンサ201a及び第2ピックオフセンサ201bを信号調整回路202に接続するケーブル、ファイバ等の任意の種類のケーブルを含むことができる。1つの実施の形態でのケーブル205は図1のリード線100の少なくとも一部を含む。
【0049】
典型的な流量計は送信機/計器電子装置20と流量計組立体10との間のケーブル205において束にされた9本のワイヤを備える。典型的には、ケーブル205は抵抗温度検出器(RTD)のための3本のワイヤと、第1ピックオフセンサのための2本のワイヤと、第2ピックオフセンサのための2本のワイヤと、駆動装置のための2本のワイヤとを含む。
【0050】
1つの実施の形態での計器電子装置20は、計器電子装置20とピックオフセンサ201a、201bとの間のケーブル205に対するケーブル傷害決定を実行することができる。1つの実施の形態における計器電子装置20は計器電子装置20と駆動装置204との間のケーブル205に対するケーブル傷害決定を実行することができる。
【0051】
駆動回路220は駆動信号を生成し、該駆動信号を駆動装置204へ伝える。駆動装置204は駆動信号にしたがって流れ管路103A、103Bを振動させる。したがって、駆動信号は振幅特性と周波数特性とを有する。計器電子装置20が閉ループ駆動を実施する場合、駆動信号と応答信号との間の差が、駆動信号を修正するためのフィードバックとして用いられる。例えば、駆動信号と応答信号との間の位相差は該フィードバックを含むことができる。理想的には、流れがゼロの条件下では、流量計が正確に校正されていれば、位相差は実質的にゼロである。
【0052】
駆動回路220は駆動信号を生成することができる。1つの実施の形態での駆動信号は駆動回路220によって生成される動作駆動信号を含み、駆動信号は流れ管路103を振動させる。駆動信号に対する結果として生じる応答信号は信号調整回路202において受信される。代わりに、発明に係る傷害試験のために特に駆動信号を生成してもよい。
【0053】
信号注入装置203は注入信号を生成することができ、注入信号を第1ピックオフセンサ201a及び第2ピックオフセンサ201bの両方又は片方に伝えることができる。信号注入装置203は、リンク210を介して信号調整回路202から受け取ることができる注入信号コマンドにしたがって注入信号を生成することができる。注入信号は任意の所望の周波数を含むことができる。注入信号は駆動信号と同じの、或いは駆動信号より高い又は低い周波数を含むことができる。
【0054】
信号調整回路202はピックオフセンサ201a、201bから応答信号を受け取る。信号調整回路202は応答信号を検出及び/又は処理することができる。信号調整回路202は応答信号を処理して適切な流量測定値を生成することができる。更に、信号調整回路202は応答信号を処理して、本発明の実施の形態にしたがってケーブル205での傷害を検出することができる。
【0055】
応答信号は流量計5の正常な動作によりピックオフセンサ201によって生成される。代わりに流れ管路203の任意の試験振動に応答してピックオフセンサ201によって、応答信号を生成することができる。更に、応答信号を、信号注入装置203からの注入信号に応答してピックオフセンサ201によって生成し得る。
【0056】
信号調整回路202は各ピックオフセンサに対する応答信号振幅を決定することができる。信号調整回路202は第1ピックオフセンサ201aと第2ピックオフセンサ201bとから受け取る応答信号間の位相差を決定することができる。振幅及び位相差はケーブル205における接続方向傷害を決定するのに使用される。
【0057】
1つの実施の形態においては、計器電子装置20はプロセッサ(図示せず)とケーブル検査ソフトウェアルーチンとを有することができる。プロセッサはケーブル検査ソフトウェアルーチンを実行することができ、ケーブル205に対する断線及び接続方向の傷害決定を開始し管理することができる。プロセッサとケーブル検査ソフトウェアルーチンとはピックオフセンサ201a、201bへの信号を開始することができる。プロセッサとケーブル検査ソフトウェアルーチンとは、断線及び接続方向の傷害試験から測定値/データを受け取り、適宜の傷害決定を実施することができる。プロセッサとケーブル検査ソフトウェアルーチンは、不適切な配線方向を補償するために信号又は信号応答を反転させることを含む補償技術を実行することができる。代わりに、信号調整回路202、信号注入装置203、駆動装置204及びプロセッサは、上記の動作を行う等価の回路及び/又は専用の回路コンポーネントを備えることができる。
【0058】
図3は、本発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法のフロー図300である。この方法において、ピックオフ断線傷害決定が実施される。ピックオフ断線傷害試験は、ケーブル205の対応ピックオフワイヤにおけるワイヤの切断又は接続されていないワイヤのような断線傷害を検出することができる。
【0059】
ステップ301において、注入信号がケーブル205の1つ以上のピックオフワイヤに伝えられる。その結果、注入信号は第1ピックオフセンサ201aと第2ピックオフセンサ201bとのうちの少なくとも一方に伝えられる。注入信号は例えば信号注入装置203によって生成される。信号注入装置203が注入信号を生成すると、信号調整回路202はピックオフセンサ201a、201bから応答信号を実質的に同時に受け取る。
【0060】
ステップ302において、応答信号は所定のピックオフ振幅閾値と比較される。ピックオフセンサ201に送られた注入信号は、ピックオフワイヤが開の状態でない場合にのみ、信号調整回路202へ2つの異なる戻り信号を生成する。第1信号即ち注入信号成分は注入信号の写しであり、注入信号と実質的に同一の周波数を持つ。ピックオフワイヤが開状態でないならば、この注入信号成分は注入信号と振幅が同じであり、したがって閾値と比較される。第2信号は応答信号成分であり、流れ管路103の振動の影響に起因して、及び、流れ管路103内の流れ材料の影響に起因して、元の注入信号とは周波数が相違する。しかし、この応答信号成分は振幅が変動し、場合によっては検出されない。したがって、1つの実施の形態では、応答信号の注入信号成分が比較のために使用される。
【0061】
ステップ303において、注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超えないならば、方法はステップ304へ進む。ここで、応答信号が受信されなかったこと、及び、対応ピックオフセンサのワイヤが切断されている又は接続されていないことが決定される。或いは、注入信号成分が所定のピックオフ振幅閾値を超える場合には、方法はステップ304を迂回する。したがって、応答信号が受信されたこと、及び、対応ピックオフワイヤが切断も切り離しもされていないことが決定される。
【0062】
ステップ304において、注入信号成分は所定のピックオフ振幅閾値を超えなかったので、対応ピックオフワイヤは断線傷害を持つと決定される。それに続いて、計器電子装置20は、断線傷害を示す警報の発生を含む他の動作を行うことができる。
【0063】
上記のステップは、単一のピックオフセンサと単一の応答信号振幅という文脈で検討されている。しかし、理解されるように、ステップ302〜304は両方のピックオフセンサ201a、201bからの応答信号に対して行われることができる。
【0064】
図4は、本発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル傷害を検出する方法のフロー図400である。この方法において、ピックオフセンサ接続方向傷害決定が実施される。
【0065】
ステップ401において、駆動装置204によって印加された駆動信号に応答して、片方又は両方のピックオフセンサからの応答信号がケーブル205を介して受信される。流量計5に流れのない状態下では、左右の(又は第1及び第2)ピックオフ信号間の位相差は実質的にゼロである。流れ状態においては、流量計5を流れる材料の質量流量により、相対的に小さな値だけ、第1ピックオフ信号の位相は第2ピックオフセンサの位相とは相違する。しかし、ピックオフ信号間の位相差が大きすぎる場合には、接続方向傷害が存在する。
【0066】
ステップ402において、位相差が所定のピックオフ位相差閾値と比較される。位相差は応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含む。ステップ403において、位相差が所定のピックオフ位相差閾値を超えるならば、方法はステップ404へ進む。位相差が所定のピックオフ位相差閾値を超えない場合には、方法はステップ404を迂回する。
【0067】
ステップ404において、位相差は所定のピックオフ位相差閾値を超えたので、対応ピックオフワイヤに接続方向障害が存在すると決定される。例えば、2つの応答信号は、ほぼ180度に、流れ管路103における流れ材料に対する応答によって生じる相対的に小さい位相差部分をプラス又はマイナスした量だけ位相ずれしている。前のとおり、接続方向障害が存在すると決定されると、警報状態が発生される。更に、計器電子装置20は、影響されたピックオフセンサから受信された全部のその後の応答信号を反転させることができる。このようにして、不適切な接続方向を修正することができる。
【0068】
上記のステップは単一のピックオフセンサと単一の位相差という文脈において検討されている。しかし、理解されるように、ステップ402〜404は両方のピックオフセンサ201a、201bからの応答信号に対しても実施され得る。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係る流量計のケーブル205におけるケーブル障害を検出する方法のフロー図500である。この方法において、駆動装置断線障害決定が行われる。駆動装置断線障害試験はワイヤの切断又は接続されていないワイヤのような断線障害を検出することができる。
【0070】
ステップ501において、駆動信号がケーブル205の1つ以上の駆動ワイヤ及び駆動装置204に伝えられる。駆動信号は前述のとおり駆動回路220によって生成され得る。駆動信号は正常動作駆動信号を含むことができ、又は、断線障害試験に適した任意の生成信号を含むことができる。
【0071】
図2に戻ると、駆動回路220は出力に駆動抵抗Rを備える。オペアンプ221が駆動抵抗Rの両端間に接続される。1つの実施の形態において、オペアンプ221は駆動抵抗Rの両端間の電圧を増幅し、駆動抵抗電圧を出力する。駆動抵抗電圧は、所定の電圧閾値と比較されるアナログ電圧信号を含むことができる。
【0072】
再び図5を参照すると、ステップ502において、駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧は所定の電圧閾値と比較される。オペアンプ221の出力における駆動抵抗電圧が所定の電圧閾値を超えるならば、期待されたレベルの電流がケーブル205を通って駆動装置204へ流れていることになる。ステップ503において、駆動抵抗電圧が所定の電圧閾値を超えない場合には、方法はステップ504へ進む。駆動抵抗電圧が所定の電圧閾値を超えるならば、断線障害が存在せず、したがって方法はステップ504を迂回する。
【0073】
ステップ504において、駆動抵抗電圧は所定の電圧閾値を超えなかったので、ケーブル205から駆動装置204までに駆動装置断線障害状態が存在すると決定することができる。このステップは前述のとおり警報状態の発生を含むことができる。
【0074】
代わりに、オペアンプ221は、駆動抵抗Rのケーブル側の電圧を電圧(即ち、所定の電圧閾値)と比較して真又は偽のデジタル出力を生成するコンパレータ装置を含むことができる。したがって、このデジタル出力は、駆動抵抗電圧が所定の電圧を超える場合の第1デジタル出力レベルと、駆動抵抗電圧が所定の電圧を超えない場合の第2デジタル出力レベルとを含む。したがって、ステップ502での比較はコンパレータ装置に対して内部での比較を含むことができ、その場合、所定の電圧閾値はコンパレータ装置へ入力される電圧を含む。
【0075】
図6は、本発明の実施の形態に係る流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出する方法のフロー図600である。この方法において、駆動装置接続方向障害決定が行われる。ステップ601において、前述のとおり、駆動回路220は駆動信号を生成し、該駆動信号をケーブル205を介して駆動装置204へ伝える。その結果、駆動装置204は駆動信号を用いて流れ管路103A、103Bに物理的な励振を発生させる。したがって、信号調整回路202は、駆動装置204による流れ管路の振動に応答してケーブル205を介して、第1ピックオフセンサ201aから第1応答信号を、第2ピックオフセンサ201bから第2応答信号を受信する。
【0076】
ステップ602において、応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値と比較される。応答信号位相差は応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含む。駆動信号位相は駆動回路220に提供される位相特性である。即ち、駆動信号位相は駆動回路220と駆動装置204とが達成すべき駆動位相である。応答の実際の位相は駆動信号位相に近い値であるはずであり、典型的には、流れ管路103での流れ材料の質量流量との関係で相違することになる。
【0077】
ステップ603において、応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超える場合、駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害が決定され、方法はステップ504へ進む。応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超えないならば、駆動装置接続方向が正しいと決定され、方法はステップ604を迂回する。
【0078】
ステップ604においては、応答信号位相差が所定の駆動装置位相差閾値を超えたので、駆動ワイヤに駆動装置接続方向障害が存在すると決定される。例えば、位相差は、ほぼ180度に流れ管路103における流れ材料に対する応答によって生じる相対的に小さい位相差部分をプラス又はマイナスした量であり得る。前記のとおり、接続方向障害が存在すると決定されたならば、警報状態を発生させることができる。更に、計器電子装置20は駆動信号を反転させることができる。例えば、駆動信号は反転されてから駆動装置204へ送られる。こうして、不適切な駆動装置接続方向を修正することができる。
【0079】
理解されるとおり、図6又は図7の方法は、駆動装置接続方向障害決定を行うのに用いることができる。
図7は、本発明の実施の形態に係る流量計のケーブル障害を検出する方法のフロー図700である。この方法において、駆動装置接続方向障害決定が行われる。ステップ701において、振動応答振幅が決定される。振動応答振幅はいずれかのピックオフからの応答信号の振幅を含む。
【0080】
ステップ702において、振動応答振幅が駆動信号振幅と比較される。この比較は1つ以上の瞬時の時間点での2つの振幅の比較である。代わりに、比較では、平均値やフィルタ処理済みの値等を比較することができる。ステップ703において、振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾しているならば、方法は終わる。振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していない場合には、方法はステップ704へ進む。
【0081】
ステップ704においては、振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していないので、駆動ワイヤにおいて駆動装置接続方向障害が存在すると決定される。前記のように、駆動装置接続方向障害が存在すると決定される場合に警報状態を発生させることができる。更に、計器電子装置20は駆動信号を反転させることができる。例えば、駆動信号を反転させてから駆動装置204へ送出することができる。こうして、不適切な駆動装置接続方向を修正することができる。
【0082】
図8は、本発明の実施の形態に係る流量計5を示している。図2と共通のコンポーネントには同じ参照数字が付けられている。この実施の形態においては、信号注入装置203はデジタル−アナログ(D/A)コンバータ808、注入信号発生器806及び変成器807を備える。D/Aコンバータ808は信号調整回路202及び注入信号発生器806に接続される。また、注入信号発生器806は変成器807に接続される。
【0083】
D/Aコンバータ808は信号調整回路202からデジタル周波数コマンドを受信し、該デジタル周波数コマンドを注入信号発生器806への周波数入力へ変換する。この場合、周波数入力は、発生されるべき(単一の)注入信号の周波数を特定する。注入信号発生器806は注入信号を発生し、該注入信号を変成器807の一次巻線810へ送る。
【0084】
変成器807は分巻の二次巻線を用いることによって第1注入信号及び第2注入信号を生成する。変成器807の二次巻線811は実質的に等しい二次巻線対を備える。こうして、変成器807の一次巻線810における注入信号は二次巻線811において第1注入信号及び第2注入信号へ変換される。2つの二次巻線811はケーブル205、第1ピックオフセンサ201a及び第2ピックオフセンサ201bに接続され、信号をピックオフセンサに注入することができる。前記のように、信号調整回路202は、第1注入信号及び第2注入信号の注入の結果として生成される第1応答信号及び第2応答信号を受信する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計5のケーブル205におけるケーブル障害を検出するための計器電子装置20であって、
駆動装置204と、第1ピックオフセンサ201aと、第2ピックオフセンサ201bとを備え、前記ケーブル205が前記第1ピックオフセンサ201aと前記第2ピックオフセンサ201bと前記駆動装置とに結合されてなる計器電子装置において、
前記ケーブル205に結合され、駆動信号を生成して該駆動信号を前記ケーブル205及び前記駆動装置204へ伝えるよう構成された駆動回路220と、
ケーブル205と結合され、前記駆動信号に応答して前記第1ピックオフセンサと前記第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から少なくとも1つの応答信号を受け取り、前記ケーブル205の1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害と駆動装置接続方向障害とのうちの少なくとも一方を決定するよう構成された信号調整回路202と、
を具備する計器電子装置。
【請求項2】
前記信号調整回路202が、前記駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較し、前記駆動抵抗電圧が前記所定の電圧閾値を超えない場合に前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するよう構成される、請求項1に記載の計器電子装置。
【請求項3】
前記信号調整回路202が、応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較し、前記応答信号位相差が前記所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に、前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するよう構成され、
前記応答信号位相差が、応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含み、
前記応答信号位相が、1つ以上の前記第1ピックオフセンサ201aと1つ以上の前記第2ピックオフセンサ201bとのうちの少なくとも一方から受け取られる、
請求項1に記載の計器電子装置。
【請求項4】
前記計器電子装置20が、振動応答の振動応答振幅を決定し、前記振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾しない場合に前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するよう更に構成される、請求項1に記載の計器電子装置。
【請求項5】
前記駆動回路220が、前記駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に、駆動信号を反転させるよう更に構成される、請求項1に記載の計器電子装置。
【請求項6】
流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法であって、
第1ピックオフ応答信号の第1ピックオフ応答位相と第2ピックオフ応答信号の第2ピックオフ応答位相との間の位相差を所定のピックオフ位相差閾値と比較するステップであって、前記第1ピックオフ応答信号と前記第2ピックオフ応答信号とが前記ケーブルを介して前記第1ピックオフセンサと前記第2ピックオフセンサとから受け取られるステップと、
前記位相差が前記所定のピックオフ位相差閾値を超える場合にピックオフ接続方向障害を決定するステップと、
を具備する方法。
【請求項7】
前記ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
決定する前記ステップの後に、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に、1つの前記ピックオフセンサから受け取られる応答信号を反転させるステップを更に備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法であって、
前記駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較するステップと、
前記駆動抵抗電圧が前記所定の電圧閾値を超えない場合に、前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するステップと、
を具備する方法。
【請求項10】
前記駆動装置断線障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法であって、
応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較するステップであって、前記応答信号位相差が応答信号位相と駆動信号位相との間の差を含み、前記応答信号位相が第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られるステップと、
前記応答信号位相差が前記所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に、前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するステップと、
を具備する方法。
【請求項12】
前記駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に前記駆動回路からの駆動信号を反転させるステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法であって、
振動応答の振動応答振幅を決定するステップと、
前記振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していない場合に前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向障害を決定するステップと、
を備える方法。
【請求項15】
前記駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
決定する前記ステップの後に、前記駆動装置接続方向障害が存在すると決定された場合に、前記駆動回路からの駆動信号を反転させるステップを更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
流量計のケーブルにおけるケーブル障害を検出するための方法であって、
1つ以上の第1ピックオフワイヤと1つ以上の第2ピックオフワイヤとをピックオフ断線障害に対して試験するステップであって、前記第1ピックオフワイヤと前記第2ピックオフセンサとが前記ケーブルに含まれ、それぞれ第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとに接続されているステップと、
前記1つ以上の第1ピックオフワイヤと前記1つ以上の第2ピックオフワイヤとに前記ピックオフ断線障害がないと決定される場合に、前記1つ以上の第1ピックオフワイヤと前記1つ以上の第2ピックオフワイヤとをピックオフ接続方向障害に対して試験するステップと、
駆動装置に接続された、前記ケーブルの1つ以上の駆動ワイヤを駆動装置断線障害に対して試験するステップと、
前記1つ以上の駆動ワイヤに駆動装置断線傷害がないと決定される場合に、前記1つ以上の駆動ワイヤを駆動装置接続方向傷害に対して試験するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
断線障害が前記1つ以上の第1ピックオフワイヤ、前記1つ以上の第2ピックオフワイヤ又は前記1つ以上の駆動ワイヤに存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
接続方向障害が前記1つ以上の第1ピックオフワイヤ、前記1つ以上の第2ピックオフワイヤ又は前記1つ以上の駆動ワイヤに存在すると決定された場合に警報を発生させるステップを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のピックオフセンサをピックオフ断線障害に対して試験するステップが、
前記第1ピックオフセンサと前記第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも一方から受け取られる応答信号の注入信号成分を所定のピックオフ振幅閾値と比較するステップと、
前記注入信号成分が前記所定のピックオフ振幅閾値を超えない場合に、対応の1つ以上の第1ピックオフワイヤ又は対応の1つ以上の第2ピックオフワイヤにおけるピックオフ断線障害を決定するステップと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の第1ピックオフワイヤ及び前記1つ以上の第2ピックオフワイヤをピックオフ接続方向障害に対して試験するステップが、
第1ピックオフ応答信号の第1ピックオフ応答位相と第2ピックオフ応答信号の第2ピックオフ位相との間の位相差を所定のピックオフ位相差閾と比較するステップであって、前記第1ピックオフ応答信号と前記第2ピックオフ応答信号とが、前記ケーブルを介して前記第1ピックオフセンサと前記第2ピックオフセンサとから受け取られるステップと、
前記位相差が前記所定のピックオフ位相差閾値を超える場合にピックオフ接続方向障害を決定するステップと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
ピックオフ接続方向障害に対して試験した後に、ピックオフ接続方向障害が存在すると決定された場合に、1つのピックオフセンサからの応答信号を反転させるステップを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
断線に対して前記駆動装置を試験するステップが、
前記駆動回路の出力における駆動抵抗Rの両端間の駆動抵抗電圧を所定の電圧閾値と比較するステップと、
前記駆動抵抗電圧が前記所定の電圧閾値を超えない場合に前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置断線障害を決定するステップと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
駆動装置接続方向障害に対して前記1つ以上の駆動ワイヤを試験するステップが、
応答信号位相差を所定の駆動装置位相差閾値と比較するステップであって、前記応答信号位相差が応答信号位相と駆動装置位相との間の差を含み、前記応答信号位相が前記第1ピックオフセンサと第2ピックオフセンサとのうちの少なくとも1つから受け取られるステップと、
前記応答信号位相差が前記所定の駆動装置位相差閾値を超える場合に、前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向傷害を決定するステップと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
駆動装置接続方向傷害に対して前記1つ以上の駆動ワイヤを試験するステップが、
振動応答の振動応答振幅を決定するステップと、
前記振動応答振幅が駆動信号振幅を実質的に追尾していない場合に前記1つ以上の駆動ワイヤにおける駆動装置接続方向傷害を決定するステップと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記駆動装置接続方向傷害に対して前記1つ以上の駆動ワイヤを試験した後に、前記駆動装置接続方向傷害が存在すると決定された場合に、前記駆動装置からの前記駆動信号を反転させるステップを更に備える、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−154943(P2012−154943A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88289(P2012−88289)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2008−557242(P2008−557242)の分割
【原出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(592225504)マイクロ・モーション・インコーポレーテッド (95)
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
【Fターム(参考)】