説明

流量計測装置

【課題】流量計測装置において、流量計測作業を簡素化することで作業者にかかる負担を軽減すると共に高精度な計測を可能とする。
【解決手段】配管11内に径方向に沿って配置されるサポート部材12に沿って移動部材22を移動自在に支持し、配管11の外部に配置された巻上モータ23により作業開口部14を通して移動部材22を移動可能とし、この移動部材22にピトー管31を装着し、ピトー管31にこのピトー管31に作用する圧力を計測する圧力計32を連結し、この圧力計32の計測結果に基づいて流量を算出する制御装置35を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、配管内を流れるボイラ排ガスの流量を計測するための流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な流量計測装置として、ピトー管式流量計などがある。例えば、下記特許文献1に記載された流量計測システムでは、流量計測処理部が配管の内部に配置したピトー管により圧力データを取得し、また、配管の内部に配置した温度センサにより温度データを取得し、流量計測処理部がLONネットワークを介して温度データを取得し、この温度データ及び圧力データを用いて正確な流量データを算出し、流量計測システムが流量計測処理部から出力される流量データに基づいて各種の処理を行っている。
【0003】
また、下記特許文献2に記載された排ガス流量計測システムでは、煙道ガス圧力監視用の圧力伝送器から伝送される排ガス圧力信号と、排ガス(ボイラ排ガスA等)の動圧と静圧との差圧に関する差圧信号とが演算要素として供給される制御装置を設け、この制御装置により、排ガスの動圧と静圧との差圧を計測する主計器(ピトー管)がパージ中ではない場合は、差圧信号に基づいて排ガス流量を演算し、主計器がパージ中である場合は、排ガス圧力信号及び差圧信号に基づいて排ガス流量を演算するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−240616号公報
【特許文献2】特開平11−351923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管内にピトー管式流量計を配置して流量計測を行う場合、配管内の上部から中心部を通って下部まで移動する必要があり、この配管の内径が大きいときには、その移動距離も長いものとなる。そのため、作業者がこのピトー管を移動するためには、配管にピトー管を支持するサポートを設置しなければならず、作業時間が長くなるばかりでなく、作業者に掛かる負担も大きくなってしまう。また、作業者がピトー管を移動することから、圧力計測にばらつきが生じやすくなり、高精度な流量計測を行うことが困難となる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、流量計測作業を簡素化することで作業者にかかる負担を軽減すると共に高精度な計測を可能とする流量計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の流量計測装置は、配管内に径方向に沿って配置されるサポート部材と、該サポート部材に沿って移動自在に支持される移動部材と、前記配管の外部に配置されて該配管の作業開口部を通して前記移動部材を移動可能とする駆動装置と、前記移動部材に装着されるピトー管と、該ピトー管に作用する圧力を計測する圧力計と、該圧力計の計測結果に基づいて流量を算出する制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、駆動装置により移動部材を移動することで、ピトー管を配管内で径方向に沿って移動することができ、このピトー管により配管内におけるいずれの径方向位置の圧力を計測することができ、流量計測作業を簡素化することで作業者にかかる負担を軽減することができると共に、高精度な計測を可能とすることができる。
【0009】
本発明の流量計測装置では、前記移動部材の移動位置を検出する位置検出センサを設け、該位置検出センサは検出結果を前記制御装置に出力することを特徴としている。
【0010】
従って、制御装置は、位置検出センサの検出結果に基づいてピトー管による圧力計測位置を把握することができ、高精度な流量計測を行うことができる。
【0011】
本発明の流量計測装置では、前記圧力計側から前記ピトー管の先端部に向けてパージエアを供給するパージエア供給装置が設けられることを特徴としている。
【0012】
従って、パージエア供給装置により圧力計側からピトー管の先端部に向けてパージエアを供給することで、ピトー管の閉塞を防止することができる。
【0013】
本発明の流量計測装置では、前記作業開口部を閉塞するように囲繞する作業室が設けられ、該作業室内に前記駆動装置が配置されることを特徴としている。
【0014】
従って、作業室により作業開口部が閉塞されることで、配管内を流れる流体が作業開口部から外部に漏洩することを防止することができ、また、作業室内に駆動装置を配置することで、駆動装置により容易に移動部材を移動することができ、作業性を向上することができる。
【0015】
本発明の流量計測装置では、前記作業室から前記配管内を流れる流体の漏洩を防止する流体漏洩装置が設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、流体漏洩装置により配管から作業室に侵入する流体が外部に漏洩することを防止することができ、ピトー管及び圧力計による計測精度を向上することができる。
【0017】
本発明の流量計測装置では、前記流体漏洩装置は、前記作業室内に外部空気を供給して加圧する空気供給装置を有することを特徴としている。
【0018】
従って、空気供給装置により作業室内を加圧することで、配管の流体が作業室に侵入することを阻止し、外部への流体の漏洩を容易に防止することができる。
【0019】
本発明の流量計測装置では、前記流体漏洩装置は、前記作業室内と前記配管内における前記ピトー管より流体の流れ方向における上流側とを連通する連通部材を有することを特徴としている。
【0020】
従って、連通部材により作業室内と配管内における上流部とを連通して同圧とすることで、配管の流体が作業室に侵入することを阻止し、外部への流体の漏洩を容易に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の流量計測装置によれば、移動部材を配管内に径方向に沿って配置されるサポート部材に移動自在に支持し、駆動装置により移動可能とし、この移動部材にピトー管を装着するので、流量計測作業を簡素化することで作業者にかかる負担を軽減することができると共に、高精度な計測を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向に直交する方向における配管断面図である。
【図2】図2は、実施例1の流量計測装置を表す排ガスの流れ方向における配管断面図である。
【図3】図3は、移動部材の水平断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向に直交する方向における配管断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例3に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向における配管断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る流量計測装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向に直交する方向における配管断面図、図2は、実施例1の流量計測装置を表す排ガスの流れ方向における配管断面図、図3は、移動部材の水平断面図である。
【0025】
実施例1の流量計測装置において、図1乃至図3に示すように、配管11は、例えば、ボイラ排ガスが流れる通路を形成するものであり、円形断面形状をなし、長手方向(流体の流れ方向)に所定間隔をもってサポート部材12,13が固定されている。このサポート部材12,13は、配管11内に径方向に沿って配置されると共に、互いに交差(直交)する方向に配置されている。そして、サポート部材12,13は、端部が配管11の内壁面に溶接などにより固定されると共に、互いに一体となるように連結されている。
【0026】
サポート部材12は、配管11の上下方向(鉛直方向)に沿って配設され、C字断面形状をなしている。そして、配管11は、このサポート部材12の一端部(上端部)が連結される位置に円形をなす作業開口部14が形成されている。また、配管11は、上部に作業開口部14を閉塞するように囲繞する作業室15が設けられている。
【0027】
サポート部材12は、径方向における一方側、具体的には、配管11内を流れる排ガスの流れ方向上流側に長手方向に沿う開口16が形成されている。また、サポート部材12は、径方向における他方側、具体的には、配管11内を流れる排ガスの流れ方向下流側であって、その内側に長手方向に沿うガイドレール21が固定されている。移動部材22は、サポート部材12の内部に配置され、一側部がこのガイドレール21に移動自在に支持されている。
【0028】
駆動装置としての巻上モータ23は、配管11の上面部であって、作業室15内に配置されており、駆動軸24に駆動プーリ25が固定されている。また、従動プーリ26は、配管11の内面部であって、サポート部材12の下部にブラケット27により回転自在に支持されており、駆動プーリ25との間に無端のワイヤ28が掛け回されている。そして、このワイヤ28は、連結部材29により移動部材22に連結されている。
【0029】
ピトー管31は、移動部材22に装着されており、基端部がサポート部材12内で上方を向き、先端部がほぼ90度に屈曲されて開口16から突出し、配管11内を流れる排ガスの流れ方向上流側を向いている。作業室15の外部であって、図示しない管理室内に圧力計32が設けられ、この圧力計32は、連結配管33を介してピトー管31の基端部と連結されており、ピトー管31に作用する圧力を計測することができる。
【0030】
従って、巻上モータ23を駆動することで、ワイヤ28を移動し、移動部材22をガイドレール21を介してサポート部材12に沿って移動することができる。そのため、この移動部材22に装着されたピトー管31は、配管11内を上部から中心部を通って下部まで移動することができ、圧力計32は、ピトー管31が移動する各位置での圧力を計測することができる。
【0031】
なお、連結配管33は、ピトー管31の上下移動に伴ってサポート部材12内でその長さを調整する必要があるが、この場合、連結配管33を軟質のチューブとしてピトー管31の上下移動に伴って撓むように構成すればよい。
【0032】
操作装置34及び制御装置35は、圧力計32と同様に、上述した管理室内に配置されており、圧力計32に接続されて計測結果が入力されるようになっている。また、この制御装置35は、巻上モータ23を制御し、駆動及び停止だけでなく、回転数も調整可能となっている。更に、この巻上モータ23には、位置検出センサとしてのロータリエンコーダ36が装着されており、制御装置35は、このロータリエンコーダ36に接続されて計測結果が入力されるようになっている。従って、制御装置35は、ロータリエンコーダ36の計測結果に基づいて、移動部材22の移動位置、つまり、ピトー管31により計測位置を検出することができる。
【0033】
ここで、実施例1の流量計測装置による流量計測方法について説明する。作業者は、管理室で操作装置34を操作し、計測操作指令を制御装置35に送る。制御装置35は、この計測操作指令に基づいて巻上モータ23を制御し、移動部材22を移動することで、ピトー管31を配管11内で移動する。このとき、ピトー管31は、先端部に作用する流体の圧力が連結配管33を通して圧力計32に伝達され、圧力計32は計測した圧力を制御装置35に出力する。また、ロータリエンコーダ36は、計測結果を制御装置35に出力する。
【0034】
制御装置35は、ロータリエンコーダ36の計測結果に基づいてピトー管31により計測位置を検出し、また、各計測位置で圧力計32からの圧力に基づいて流量を算出する。この場合,制御装置35は、予め配管11内で排ガスの流れがないとき(流速V=0)の配管11内における静圧を計測しておき、この静圧と圧力計32が計測した圧力(総圧または全圧)との差圧に基づいて配管11内の流量(流速)を求める。そして、制御装置35は、配管11内における径方向の流量分布(流速分布)を求める。
【0035】
このように実施例1の流量計測装置にあっては、配管11内に径方向に沿って配置されるサポート部材12に沿って移動部材22を移動自在に支持し、配管11の外部に配置された巻上モータ23により作業開口部14を通して移動部材22を移動可能とし、この移動部材22にピトー管31を装着し、ピトー管31にこのピトー管31に作用する圧力を計測する圧力計32を連結し、この圧力計32の計測結果に基づいて流量を算出する制御装置35を設けている。
【0036】
従って、巻上モータ23により移動部材22を移動することで、ピトー管31を配管11内で径方向に沿って移動することができ、このピトー管31と圧力計32により配管11内におけるいずれの径方向位置の圧力を計測することができ、制御装置35が計測した圧力により容易に流量を算出することができる。その結果、配管11内での流量計測作業を簡素化することで作業者にかかる負担を軽減することができると共に、高精度な計測を可能とすることができる。
【0037】
この場合、移動部材22を、配管11を補強するためのサポート部材12に移動自在に支持したことで、ピトー管31の移動を安定して行うことができ、ピトー管31及び圧力計32による圧力計測を高精度に行うことができる。
【0038】
また、実施例1の流量計測装置では、移動部材22のロータリエンコーダ36を設け、検出結果を制御装置35に出力している。従って、制御装置35は、ロータリエンコーダ36の検出結果に基づいて移動部材22の移動位置、つまり、ピトー管31による圧力計測位置を把握することができ、高精度な流量計測を行うことができる。
【0039】
また、実施例1の流量計測装置では、作業開口部14を閉塞するように囲繞する作業室15を設け、この作業室15内に巻上モータ23を配置している。従って、作業室15により作業開口部14が閉塞されることで、配管11内を流れる排ガスが作業開口部14から外部に漏洩することを防止することができ、また、作業室15内に巻上モータ23を配置することで、巻上モータ23により容易に移動部材22を移動することができ、作業性を向上することができる。
【0040】
また、実施例1の流量計測装置では、移動部材22、巻上モータ23、ピトー管31などの計測に必要な部材をほとんど作業室15により閉塞された配管11内に設けている。従って、流量計測を行わないときには、移動部材22やピトー管31などを排ガスの流れ抵抗となりにくい配管11の内壁面に接近した位置に配置すればよく、一方、流量計測を行うときには、操作装置34や制御装置35などを用いて簡単に作業を行うことができる。
【実施例2】
【0041】
図4は、本発明の実施例2に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向に直交する方向における配管断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
実施例2の流量計測装置において、図4に示すように、配管11は、内部にサポート部材12,13が固定されている。このサポート部材12は、配管11の上下方向に沿って配設され、配管11は、このサポート部材12の上端部が連結される位置に作業開口部14が形成され、この作業開口部14を閉塞するように囲繞する作業室15が設けられている。
【0043】
サポート部材12は、ガイドレール21が固定され、移動部材22はこのガイドレール21に移動自在に支持されている。巻上モータ23は、配管11の上面部であって、作業室15内に配置されており、駆動軸24に駆動プーリ25が固定されている。また、従動プーリ26は、配管11の内面部であって、サポート部材12の下部にブラケット27により回転自在に支持されており、駆動プーリ25との間に無端のワイヤ28が掛け回されている。そして、このワイヤ28は、連結部材29により移動部材22に連結されている。
【0044】
ピトー管31は、移動部材22に装着されており、基端部がサポート部材12内で上方を向き、先端部がほぼ90度に屈曲されて開口16から突出し、配管11内を流れる排ガスの流れ方向上流側を向いている。ピトー管31は、基端部が連結配管33を介して圧力計32に連結されている。
【0045】
作業室15の外部には、ピトー管31と圧力計32とを連結する連結配管33は、中途部に三方弁41が装着され、パージエア供給配管42を介してエア供給源43が連結されている。このエア供給源43は、例えば、工場エアである。また、エア供給源43は、加圧エア配管44の基端部が連結され、この加圧エア配管44の先端部が作業室15内に挿通されており、中途部に開閉弁45が設けられている。そして、制御装置35は、三方弁41、エア供給源43、開閉弁45を制御可能となっている。
【0046】
従って、制御装置35は、三方弁41により連結配管33とパージエア供給配管42とを連通し、エア供給源43を作動することで、パージエアをパージエア供給配管42及び連結配管33を介してピトー管31に供給し、先端部から排出することで、ピトー管31内にある異物を除去することができる。
【0047】
また、制御装置35は、エア供給源43を作動すると共に、開閉弁45を開放することで、エアを加圧エア配管44から作業室15に供給し、この作業室15を配管11内の圧力よりも高い圧力まで加圧することで、配管11内の排ガスが作業室15内に侵入するのを防止できる。
【0048】
従って、作業者は、管理室で操作装置34を操作し、計測操作指令を制御装置35に送る。制御装置35は、この計測操作指令に基づいて巻上モータ23を制御し、移動部材22を移動することで、ピトー管31を配管11内で移動する。このとき、ピトー管31は、先端部に作用する流体の圧力が連結配管33を通して圧力計32に伝達され、圧力計32は計測した圧力を制御装置35に出力する。また、ロータリエンコーダ36は、計測結果を制御装置35に出力する。制御装置35は、ロータリエンコーダ36の計測結果に基づいてピトー管31により計測位置を検出し、また、各計測位置で圧力計32からの圧力に基づいて流量を算出し、配管11内における径方向の流量分布(流速分布)を求める。
【0049】
このとき、制御装置35は、エア供給源43を作動すると共に、開閉弁45を開放することで、加圧エア配管44から作業室15にエアを供給し、この作業室15を加圧しており、配管11内の排ガスが作業室15内に侵入するのを防止し、作業室15からの排ガスの漏洩が防止される。
【0050】
このように実施例2の流量計測装置にあっては、圧力計32側からピトー管31の先端部に向けてパージエアを供給するパージエア供給配管42を設けている。従って、パージエア供給配管42によりピトー管31の先端部に向けてパージエアを供給することで、このピトー管31内の堆積物などの異物を定期的に除去することが可能となり、このピトー管31の閉塞を防止することができる。
【0051】
また、実施例2の流量計測装置では、作業室15から配管11内を流れる流体の漏洩を防止する流体漏洩装置として、作業室15内に外部の空気を供給して加圧する加圧エア配管44を設けている。従って、加圧エア配管44を通して作業室15内にエアを供給して加圧することで、配管11の流体が作業室15に侵入することを阻止し、外部への排ガスの漏洩を容易に防止することができる。その結果、作業室15からの排ガスのリークをなくして、ピトー管31及び圧力計32による計測精度を向上することができる。
【実施例3】
【0052】
図5は、本発明の実施例3に係る流量計測装置を表す排ガスの流れ方向における配管断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
実施例3の流量計測装置において、図5に示すように、配管11は、内部にサポート部材12,13が固定されている。このサポート部材12は、配管11の上下方向に沿って配設され、配管11は、このサポート部材12の上端部が連結される位置に作業開口部14が形成され、この作業開口部14を閉塞するように囲繞する作業室15が設けられている。
【0054】
移動部材22はサポート部材12の長手方向に沿って移動自在に支持されている。巻上モータ23は、配管11の上面部であって、作業室15内に配置されており、駆動軸24に駆動プーリ25が固定されている。また、従動プーリ26は、配管11の内面部であって、サポート部材12の下部にブラケット27により回転自在に支持されており、駆動プーリ25との間に無端のワイヤ28が掛け回されている。そして、このワイヤ28は、連結部材29により移動部材22に連結されている。
【0055】
ピトー管31は、移動部材22に装着されており、基端部がサポート部材12内で上方を向き、先端部がほぼ90度に屈曲されて開口16から突出し、配管11内を流れる排ガスの流れ方向上流側を向いている。ピトー管31は、基端部が連結配管33を介して圧力計32に連結されている。
【0056】
連通配管(連通部材)51は、一端部が作業室15内に連通し、他端部が配管11内におけるピトー管31より排ガスの流れ方向における上流側に連通している。従って、作業室15は、連通配管51により配管11内におけるピトー管31より排ガスの流れ方向における上流側に連通することで、この作業室15内の圧力と配管15内の圧力が同等となり、作業室15からの排ガスの漏洩を防止できる。
【0057】
従って、作業者は、管理室で操作装置34を操作し、計測操作指令を制御装置35に送る。制御装置35は、この計測操作指令に基づいて巻上モータ23を制御し、移動部材22を移動することで、ピトー管31を配管11内で移動する。このとき、ピトー管31は、先端部に作用する流体の圧力が連結配管33を通して圧力計32に伝達され、圧力計32は計測した圧力を制御装置35に出力する。また、ロータリエンコーダ36は、計測結果を制御装置35に出力する。制御装置35は、ロータリエンコーダ36の計測結果に基づいてピトー管31により計測位置を検出し、また、各計測位置で圧力計32からの圧力に基づいて流量を算出し、配管11内における径方向の流量分布(流速分布)を求める。
【0058】
このとき、作業室15は、連通配管51により配管11内におけるピトー管31より排ガスの流れ方向における上流側に連通することで、この作業室15内の圧力と配管11内の圧力が同等となっている。そのため、作業室15からの排ガスの漏洩を防止できる。
【0059】
このように実施例3の流量計測装置にあっては、作業室15内と配管11内におけるピトー管31より排ガスの流れ方向における上流側とを連通する連通配管51を設けている。従って、連通配管51により作業室15内と配管11内における上流部とを連通して同圧とすることで、配管11の排ガスが作業室15に侵入することを阻止し、外部への排ガスの漏洩を容易に防止することができる。その結果、作業室15からの排ガスのリークをなくして、ピトー管31及び圧力計32による計測精度を向上することができる。
【0060】
なお、上述した各実施例にて、ピトー管31が装着された移動部材22をガイドレール21に沿って移動自在とし、巻上モータ23やワイヤ28により移動可能としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、ラックとピニオン機構、ねじ機構、流体シリンダ機構などにより移動部材を移動するように構成してもよい。
【0061】
また、本発明の流量計測装置をボイラ配管を流れる排ガスを計測するものとしたが、これに限定されるものではなく、流体は、ガスに限らず、液体であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
11 配管
12,13 サポート部材
14 作業開口部
15 作業室
22 移動部材
23 巻上モータ(駆動装置)
28 ワイヤ
31 ピトー管
32 圧力計
34 操作装置
35 制御装置
36 ロータリエンコーダ(位置検出センサ)
41 三方弁
42 パージエア供給配管(パージエア供給装置)
43 エア供給源
44 加圧エア配管(流体漏洩装置、空気供給装置)
51 連通配管(流体漏洩装置、連通部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内に径方向に沿って配置されるサポート部材と、
該サポート部材に沿って移動自在に支持される移動部材と、
前記配管の外部に配置されて該配管の作業開口部を通して前記移動部材を移動可能とする駆動装置と、
前記移動部材に装着されるピトー管と、
該ピトー管に作用する圧力を計測する圧力計と、
該圧力計の計測結果に基づいて流量を算出する制御装置と、
を備えることを特徴とする流量計測装置。
【請求項2】
前記移動部材の移動位置を検出する位置検出センサを設け、該位置検出センサは検出結果を前記制御装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の流量計測装置。
【請求項3】
前記圧力計側から前記ピトー管の先端部に向けてパージエアを供給するパージエア供給装置が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の流量計測装置。
【請求項4】
前記作業開口部を閉塞するように囲繞する作業室が設けられ、該作業室内に前記駆動装置が配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の流量計測装置。
【請求項5】
前記作業室から前記配管内を流れる流体の漏洩を防止する流体漏洩装置が設けられることを特徴とする請求項4に記載の流量計測装置。
【請求項6】
前記流体漏洩装置は、前記作業室内に外部空気を供給して加圧する空気供給装置を有することを特徴とする請求項5に記載の流量計測装置。
【請求項7】
前記流体漏洩装置は、前記作業室内と前記配管内における前記ピトー管より流体の流れ方向における上流側とを連通する連通部材を有することを特徴とする請求項5に記載の流量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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