説明

流量計

【課題】筐体の取り付けの向きが上下逆になる場合でも、文字表示部に表示されたデータの誤認識を防ぎ、操作キーの誤操作を防ぐに好適な機能を備えた流量計を提供する。
【解決手段】筐体の取り付けの向きを標準または反転として択一的に指定する向き指定手段と、前記筐体の取り付けの向きが反転として指定されたとき、予め設定された前記文字表示部による文字列の表示パターンを180°回転させる表示切り替え手段、および前記複数の操作キー中の矢印が付された操作キーに対して予め設定された役割を上下に対応するキー間および/または左右に対応するキー間で入れ替えるキー割り当て変更手段と、前記表示切り替え手段に連動して前記文字表示部による文字表示の向きを示す表示補助手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前面部に複数の操作キーと複数桁の文字表示部とを備え、流体の通流方向に応じて配管に対する取り付けの向きが決定される流量計に関する。
尚、ここでは前記配管における流体の流量を計測する機能を備えた流量計のみならず、更に流量制御弁を備えて前記配管を通流する流体の流量を制御する機能を備えた流量制御装置についても、この発明が指す流量計であるとして説明する。
【背景技術】
【0002】
配管を通流する流体の流量を計測する流量計、更には流量制御弁を備えてその流量を制御する機能を備えた流量制御装置(流量計)は、通常、前記配管における流体の通流方向に応じて前記配管に取り付けられる。特に流体の入口と出口とが定められている流量計(流量制御装置を含む)を配管に取り付ける場合、その取り付けの向きを正しく合わせることが重要である。
【0003】
またこの種の流量計(流量制御装置)には、その箱形の筐体の前面部に複数の操作キーと複数桁の文字表示部とが設けられることも多い。ちなみに複数の操作キーは該流量計における計測レンジの設定や前記文字表示部による表示情報の切り替え等に用いられものであって、矢印等の向きを示す情報が付された情報選択の為の操作キー(いわゆるカーソルキー)も含む。また前記文字表示部は計測した瞬時流量や積算流量等の表示に用いられるものである(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら配管の仕様によっては流量計(流量制御装置)を上下逆向きにして取り付けなければならないことが多々ある。この場合、前記文字表示部による文字表示が逆向きとなるので、瞬時流量や積算流量等の表示データを目視する際、誤認識を生じ易い。特に前記文字表示部が7セグメント型(8の字型)の表示パターンを複数桁に亘って配列して構成されている場合、各文字が疑似化されているので読み取り誤りが生じ易い。
【0005】
このような不具合に対処するべく表示部自体を着脱自在、または回転可能に設けたり、ディスプレイに対する文字表示を天地反転制御することが提唱されている(例えば特許文献2,3,4を参照)。
【特許文献1】特開2005−24081号公報
【特許文献2】特開平10−38620号公報
【特許文献3】特開平9−33365号公報
【特許文献4】特開平9−46745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら流量計における文字表示部自体を着脱自在、または回転可能に設けた場合には、その構成が大掛かりで複雑なものとなり、コスト高の要因となる。また流量計の取り付けの向きに応じて文字表示を天地反転制御しても、文字表示部と共に筐体の前面部に設けられる複数の操作キー自体はそのままなので、操作キーの誤操作の要因となり易い。特に操作キーが、そのキートップに三角印や矢印等を付す等して項目選択機能や、表示部に表示した値のアップ・ダウン機能等を割り当てたカーソルキーである場合、その操作キー(カーソルキー)に割り当てた機能と該操作キー(カーソルキー)に対する視覚的イメージとが逆になるので誤操作を招来し易い。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、筐体の前面部に複数の操作キーと複数桁の文字表示部とを備え、流体の通流方向に応じて配管への上記筐体の取り付けの向きが上下逆になる場合であっても、上記筐体の前面部に設けられた複数桁の文字表示部による表示データの誤認識を防ぐに好適であり、しかも上記筐体の前面部に設けられた複数の操作キーの誤操作を防ぐに好適な機能を備えた簡易な構成の流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本発明に係る流量計(流量制御装置を含む)は、筐体の前面部に複数の操作キーと複数桁の文字表示部とを備え、流体の通流方向に応じて配管に対する上記筐体の取り付けの向き(取り付け姿勢)が決定されるものであって、
<a> 前記筐体の取り付けの向きを標準または反転として択一的に指定する向き指定手段と、
<b> この向き指定手段により前記筐体の取り付けの向きが反転として指定されたとき、予め設定された前記文字表示部による文字列の表示パターンを180°回転させる表示切り替え手段、および前記複数の操作キー中の矢印が付された操作キーに対して予め設定された役割を上下に対応するキー間および/または左右に対応するキー間で入れ替えるキー割り当て変更手段と
<c> 前記表示切り替え手段に連動して前記文字表示部による文字表示の向きを示す表示補助手段と
を備えたことを特徴としている。
【0009】
好ましくは前記表示切り替え手段は、前記筐体の取り付けの向きが反転として指定されたとき、前記文字表示部における表示桁の順序を逆転させると共に、各表示桁をよる文字表示パターンをそれぞれ180°回転させ、且つ各表示桁の下部に設けた小数点表示用のセグメントに代えて、各表示桁の上部に設けた小数点表示用のセグメントを選択的に駆動することで、前記文字表示部による文字列の表示パターンを180°回転させるように構成される。
【0010】
また好ましくは前記表示補助手段は、前記文字表示部において最上位桁として位置付けられた表示桁の前記小数点表示に用いることのない小数点表示用のセグメントを点滅表示させて文字表示の向きを特定することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
上述した表示切り替え手段およびキー割り当て変更手段を備えた流量計(流量制御装置を含む)によれば、配管に対する筐体の取り付けの向きがその操作者から見て上下逆になるような場合、例えばその初期設定時に前記向き指定手段を介して前記筐体の取り付けの向きを[反転]として指示するだけで前記表示切り替え手段による反転制御により前記文字表示部での文字表示が、文字列の向きを上下に180°回転させた状態で行われると共に、前記表示補助手段により前記文字表示部による文字表示の向きを示す情報が表示される。具体的には前記向き指定手段をにより前記筐体の取り付けの向きが反転(標準の向きに対して上下に180°回転)として指定された場合、文字表示部による文字表示の向きが反転されると共に、その文字表示の向きが示される。また同時に前記キー割り当て変更手段により、三角印や矢印等が付されてその向きに応じた機能が割り当てられた操作キー(カーソルキー)に対する役割が、上下に対応するキー間および/または左右に対応するキー間で入れ替えられる。
【0012】
従って文字表示部により表示される文字列(計測データ等)を、誤りなく容易に認識することが可能となる。特に前記文字表示部が7セグメント型(8の字型)の表示パターンを複数桁に亘って配列して構成されている場合、各文字がそれぞれ上下左右に略対称な文字パターンとして疑似化されているのでその効果が大きい。具体的には文字の表示の向きが上下逆であると、上述した7セグメント表示の場合には、例えば[6]と[9]とを誤認識する虞があり、また表示データ[2508]を逆向きに読み取って[8052]と誤認識する虞があった。しかし前述した表示の切り替え(反転制御)によれば、このような不具合を確実に防ぐことが可能となる。
【0013】
また前述した操作キーに対する機能割り当ての変更制御によれば、操作キーが持つ方向性とその操作キーに割り当てた役割とを感覚的に一致させることが可能となり、その誤操作を効果的に防ぐことが可能となる。具体的には上向き矢印が付された操作キーを[アップ;UP]、下向き矢印が付された操作キーを[ダウン;DOWN]として、視覚的イメージとその操作感覚とを常に一致させることができる。従って操作感覚が混乱することがなくなるので、そのキー操作を的確に行うことが可能となる。尚、そのキートップ等に機能名等が付された操作キーについては、仮に上記機能名等の文字パターンの向きが天地逆となっていても、その操作キーが担う役割が一目瞭然なので、上述したように操作キーに対する役割を変更する必要はない。
【0014】
換言すれば三角印や矢印等を用いた方向付けにより、その操作キーに割り当てた役割が間接的に示されるような場合、上述したように操作キー(カーソルキー)に対する役割を変更すれば、筐体の取り付け姿勢に拘わることなく三角印や矢印等により直接示される方向(操作感覚)と、予め方向毎に定めた役割(視覚的イメージ)との対応関係が崩れることがないので、その操作ミスを防止する上での効果が非常に大きい。
【0015】
また小数点表示用のセグメントも文字表示の向きに応じて変更するので、その表示に違和感が生じることがなく、また小数点表示に用いない小数点表示用のセグメントを利用して、その最上位桁と表示の向きとを明示することで、表示データの読み取り誤りを効果的に防止することが可能となる等の効果が奏せられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る流量計(流量制御装置を含む)について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る流量計の概略的な外観構成を示すもので、1は箱形の筐体、2は上記筐体1の前面部に設けられた文字表示部、3はこの文字表示部2に並べて前記筐体1の前面部に設けられた複数の操作キーである。前記筐体1は、例えば図2に示すように構成された流量制御装置本体10をその内部に組み込んだもので、該流量制御装置本体10における流体の入口部11と出口部12とを該筐体11の両側部に設けた構造を有する。尚、これらの入口部11および出口部12には、計測(制御)対象である流体を通流する配管(図示せず)が図示しない継手部材を介してそれぞれ接続される。
【0017】
尚、筐体1の内部に組み込まれる流量制御装置本体10は、その主体部をなして流路を形成した管路(メータボディ)13に、上記流路に面して流量センサ14を取り付けると共に、ソレノイドバルブ15により弁開度が調整される流量制御弁16を上記流路の途中に設けたものである。そして流量センサ14にて検出される流体流量に応じて、例えばマイクロコンピュータにより構成される流量制御部17の制御の下でバルブ駆動回路17aを駆動し、前記流量制御弁16の弁開度を制御することで上記流体流量を設定値に一定化制御するように構成される。
【0018】
また流量計測部18は、前述した流量センサ14の出力から流体の瞬時流量を検出すると共に、上記瞬時流量を累積加算することでその積算流量を求める機能を備える。更に表示操作部19は、前述した文字表示部2を用いて上述した瞬時流量や積算流量、更には前記流量制御部17等に設定する設定情報等を表示する機能、および前述した複数の操作キー3を介して指示入力された操作情報を前記流量制御部17に取り込む機能を有する。
【0019】
このような流量制御装置本体10が有する基本的な機能については、従来より良く知られている通りであり、その詳細な説明については省略する。また流体流量を計測する機能だけを備えた流量計は、上述した流量制御装置本体10から流量制御弁16や流量制御部17等の流量制御機能を省き、前記流量センサ14の出力から流体の瞬時流量を検出すると共に、上記瞬時流量を累積加算することでその積算流量を求めるように構成されることは言うまでもない。
【0020】
さて基本的には上述した如く構成される流量計(流量制御装置)において本発明が特徴とするところは、前記表示操作部19が前記筐体1の取り付けの向きを[標準]または[反転]として択一的に指定する向き指定手段と、この向き指定手段により前記筐体1の取り付けの向きが[反転]として指定されたとき、予め設定された前記文字表示部2による文字列の表示パターンを180°回転させる表示切り替え手段、および前記複数の操作キー3中の向きを示す情報が付された操作キーに対して予め設定された役割を上下に対応するキー間および/または左右に対応するキー間で入れ替えるキー割り当て変更手段と、更に上記表示切り替え手段に連動して前記文字表示部による文字表示の向きを特定する表示補助手段とを備える点にある。
【0021】
上述した向き指定手段、表示切り替え手段、キー割り当て変更手段、および表示補助手段、は、前述した表示操作部19の作動を司る制御プログラムの一部(サブルーチン)として組み込まれるものであって、例えば図3に示す処理手順の表示方向設定プログラム(ソフトウェア)として実現される。この表示方向設定プログラムは、先ず前述した操作キー3の選択的な操作により前記表示操作部19を初期設定モードに設定し〈ステップS1〉、この初期設定モードにおいて前述した文字列表示部3に[表示方向設定]を示すコード、例えば[C−39]が表示されるまで後述する操作キー(カーソルキー)3を操作した後、[決定]の操作キー3を操作することによって起動される。
【0022】
そしてこの初期設定状態において前記操作キー(カーソルキー)3を操作して、標準表示の場合には文字列表示部3に[0]が表示され、反転表示の場合には文字列表示部3に[1]が表示されるようにし、[決定]の操作キー3を操作することによって前記表示操作部19に対して[標準/反転]の指示入力が行われる〈ステップS2〉。つまり向き指定手段は、上記初期設定モードにおける[表示方向設定]の項目において、標準表示の場合には[0]の情報入力を、また反転表示の場合には[1]の情報入力を促し、その入力情報を判定するプログラムとして実現される。尚、情報入力がない場合には、標準表示がそのデフォルトとして設定される。
【0023】
そして上述した如くして標準表示が指定された場合には、前述した複数の操作キー3の中の、例えば[実行],[入力],[表示]なる固有機能がそれぞれ固定的に割り当てられたキーを除いて、つまり三角印や矢印等が付されたカーソルキーに対して予めデフォルトとして定められた機能(役割)を割り当てる〈ステップS3〉。更に文字列表示部2に表示する文字列を制御する文字パターン発生部(図示せず)に対しては、予めデフォルトとして定められた向きの表示パターンとして文字列を形成するように、その表示モードを設定する〈ステップS4〉。
【0024】
これに対して反転表示が指定された場合には、前述したカーソルキーに対して予め設定された役割を上下に対応するキー間および左右に対応するキー間で入れ替える〈ステップS5〉。つまり複数のカーソルキーに対する役割を、予め標準設定された状態から上下左右にそれぞれ入れ替える(キー割り当て変更手段)。同時に前記文字列表示部2に表示する文字列を制御する文字パターン発生部(図示せず)に対しては、予めデフォルトとして定められた向きの文字列の表示パターンを180°回転して表示するようにその表示モードを設定する〈ステップS6〉。つまり文字列表示部2による文字列の表示の向きを180°回転させる(表示切り替え手段)。
【0025】
より具体的には説明すると三角印や矢印等の向きを示すマーク(情報)が付された、左シフトキー、右シフトキー、上シフトキー、および下シフトキーからなる4つの操作キー(カーソルキー)3は、標準的にはその方向性の視覚的イメージに即して、例えば次表の標準の項目に示すようにその機能(役割)が設定される。尚、左シフトキーおよび右シフトキーに設定される[逆送り],[順送り]は、例えば初期設定時における複数の設定項目の選択に用いられるものであり、また上シフトキーおよび下シフトキーに設定される[カウントアップ],[カウントダウン]は、例えば文字表示部2に表示される数字データやコード情報の増減に用いられるものである。
【0026】
【表1】

【0027】
前述したキー割り当て変更手段は、上述した如く複数の操作キー(シフトキー)に対して標準的に設定された機能(役割)を、反転指示に従って上記表1において反転の項目にそれぞれ示すように、左右に対をなすキー(左シフトキーと右シフトキー)間で入れ替えると共に、上下に対をなすキー(上シフトキーと下シフトキー)間で入れ替える役割を担う。このようなキー割り当ての変更によって、配管に対して筐体1が上下逆向きに取り付けられ、例えば左シフトキーが右側を指すようになった場合には、その機能が[逆送り]から[順送り]に変更される。
【0028】
この結果、筐体1の取り付けの向きによって変化する標準状態および反転状態に拘わらず、これらのシフトキーに付された三角印や矢印等の向きを示すマーク(情報)の方向性から直感的に受ける視覚的イメージを常に一定に揃えることが可能となる。従ってこれらのシフトキーに設定された役割(機能)を筐体1の取り付けの向きに応じて読み替える必要がなくなり、これらのシフトキーがそれぞれ示す向きに従って適切に操作することが可能となる。故に、その誤操作を防ぐ上での効果が絶大である。
【0029】
一方、前述した表示切り替え手段は、次のように実現される。例えば前記文字表示部2が図4に示すように7セグメント型(8の字型)の表示パターンを5桁に亘って配列して構成されている場合、一般的に小数点表示用のセグメントが各桁の右下にセグメント列Aとして設けられる。このようなセグメント列Aに加えて本発明に係る、文字表示部2には反転表示時における小数点表示用のセグメントが各桁の左上にセグメント列Bとして設けられる。
【0030】
尚、各桁の文字パターンは、7つの棒状の表示セグメントa,b,c,d,e,f,gを8の字型に配列することによって構成される。このような5桁の7セグメント型(8の字型)の表示パターン#1,#2,〜#5からなる文字表示部2は、7セグメント型表示素子として市販されているLEDを並べて実現しても良いが、前述した特許文献1に開示されるように1枚のプリント基板上に複数の表示セグメント(LEDとその透光部)を図4に示すように配列して、小数点表示用のセグメント列A,Bを備えた複数桁の文字表示列として一括して形成することが好ましい。
【0031】
このような文字表示部2を用いた文字列の表示は、標準状態においては図5に示すようにその左側の桁を最上位桁として[#1,#2,〜#5]の順序で桁順位を定め、各桁に表示すべき文字パターンに応じて前述した表示セグメントa,b,c,d,e,f,gを選択的に点灯駆動することによって行われる。この際、小数点の表示は、小数点表示用のセグメント列Aを用いて、各桁の表示文字パターンの右下のセグメントを点灯することによって行われる。また小数点表示に用いることのない小数点表示用のセグメント列Bについては、例えばその最上位桁のセグメントを点滅駆動することによって、その最上位桁の表示(明示)に利用される。
【0032】
このような文字表示部2に対する標準表示用の制御パターン(表示セグメントの割り当て)に対して反転表示する場合には、図5に対比して示すように文字表示部2における表示桁の順序を逆転させると共に、各表示桁をよる文字表示パターンをそれぞれ180°回転させることによって行われる。具体的には右側の桁を最上位桁として[#5,#4,〜#1]の順序としてその桁順位を定め、各表示桁における文字パターンに対して、前述した表示セグメントg,f,e,d,c,b,aなる逆向きの順序で割り付ける。このようなセグメントの割り付け変更により、文字表示部2にて表示される文字列のパターンが180°回転される。またこれに伴って小数点の表示を前述した小数点表示用のセグメント列Bを用いて行うように変更し、また最上位桁の表示(明示)については小数点表示用のセグメント列Aの最下位桁のセグメントを点滅駆動して行うように変更する。
【0033】
尚、流量計(流量制御装置)の筐体の取り付け向きが標準である場合には、上記のような小数点表示に用いることのない小数点表示用のセグメント列Bについて、例えばその最上位桁のセグメントを点滅駆動させる必要はない。そして前記筐体の取り付け向きが反転である場合のみ、上記のとおり小数点表示に用いることのない小数点表示用のセグメント列Aについて、例えばその最下位桁のセグメントを点滅駆動させるようにする。この場合には、最上位桁のセグメントが点滅しているか否かにより、その文字表示が反転しているか否かを判断することが可能となる。
【0034】
かくしてこのように構成された流量計(流量制御装置)によれば、流体の通流方向に応じてその筐体1を上下逆向きにして配管に取り付ける場合であっても、文字列表示部2による文字列の表示パターンが180°回転して、つまり反転して表示されるので、図6および図7にそれぞれ示すように、その表示データを読み誤ることがなくなる。尚、図7は文字列表示部2として市販の7セグメント型表示素子を用いた場合を示している。この図7は、市販の各表示素子には小数点表示用のセグメントが1つしか設けられていないので、小数点表示用の表示素子(LED)を外付けした例を示している。
【0035】
しかし前記文字列表示部2としては、市販の7セグメント型表示素子以外にも、例えば1枚のプリント基板上に、個別に発光させるか否かを制御できるLEDを複数個配置して形成した複数の表示セグメント(LEDとその透光部)を図4に示すように配列して、小数点表示用のセグメント列A,Bを備えた複数桁の文字表示列として一括して形成したものを用いても良いことは言うまでもない。
【0036】
ちなみに図6および図7においては文字列表示部2に数値[125.08]を表示した例を示している。この場合、文字列の反転表示を行わないと、その表示値を[80.521]と読み誤る虞がある。この点、本装置によれば文字列の表示パターンを180°回転させており、しかもその先頭桁を示すべく最上位桁における小数点表示に用いない小数点表示用のセグメントを点滅駆動しているので、その表示文字データを簡易にして正しく認識することができる。
【0037】
また前述したように操作キー(シフトキー)3についても、筐体1の標準取り付けまたは反転取り付けに応じて役割(機能)変更しているので、各操作キー(シフトキー)3がそれぞれ示す向きに応じてその役割(機能)を認識し、操作することが可能となる。つまり筐体1が上下逆に取り付けられているからと言って、上向きを示すシフトキーを[カウントダウン]、下向きを示すシフトキーを[カウントアップ]として読み替える必要がない。故に操作キー(シフトキー)3の機能を視覚的イメージに即して直感的に捉えることができるので、その誤操作を防ぐ上での効果が非常に大きい。
【0038】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば文字列表示部2の桁数は、その仕様に応じて定めれば良いものであり、操作キー3の数も仕様に応じて定めれば十分である。また各文字に対する反転表示については、ハードウェア的には文字パターンメモリから読み出す文字パターンデータの順序を逆向きとし、また文字パターンメモリから読み出した各セグメントのオン/オフ情報の出力ラインを、ゲート(デマルチプレクサ)を介して入れ替えるようにすれば良い。また標準表示用の文字パターンメモリと、反転表示用の文字パターンメモリとを個別に準備し、これらの文字パターンメモリを選択的に使用することも勿論可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る流量計の外観構成を示す図。
【図2】筐体内部に組み込まれる流量制御装置本体の構成例を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係る文字表示の反転処理とキー割り当ての入れ替え手順を示す図。
【図4】文字列表示部の構成例を示す図。
【図5】文字列表示部に対する反転制御の例を示す図。
【図6】本発明の一実施形態に係る流量計における、筐体の取り付けの向きによって変化する文字列表示部での表示例と操作キーの機能を示す図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る流量計における、筐体の取り付けの向きによって変化する文字列表示部での表示例と操作キーの機能を示す図。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 文字列表示部
3 操作キー
14 流量センサ
16 流量調整弁
17 流量制御装置
18 流量計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面部に複数の操作キーと複数桁の文字表示部とを備え、流体の通流方向に応じて配管に対する上記筐体の取り付けの向きが決定される流量計であって、
前記筐体の取り付けの向きを標準または反転として択一的に指定する向き指定手段と、
この向き指定手段により前記筐体の取り付けの向きが反転として指定されたとき、予め設定された前記文字表示部による文字列の表示パターンを180°回転させる表示切り替え手段、および前記複数の操作キー中の向きを示す情報が付された操作キーに対して予め設定された役割を上下に対応するキー間および/または左右に対応するキー間で入れ替えるキー割り当て変更手段と、
前記表示切り替え手段に連動して前記文字表示部による文字表示の向きを示す表示補助手段と
を具備したことを特徴とする流量計。
【請求項2】
前記表示切り替え手段は、前記筐体の取り付けの向きが反転として指定されたとき、前記文字表示部における表示桁の順序を逆転させると共に、各表示桁による文字表示パターンをそれぞれ180°回転させ、且つ各表示桁の下部に設けた小数点表示用のセグメントに代えて、各表示桁の上部に設けた小数点表示用のセグメントを選択的に駆動して文字列を表示するものである請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記表示補助手段は、前記文字表示部において最上位桁として位置付けられた表示桁の前記小数点表示に用いることのない小数点表示用のセグメントを点滅表示させて文字表示の向きを特定するものである請求項2に記載の流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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