説明

浄化井戸及び汚染土壌の浄化方法。

【課題】効率的に汚染土壌を浄化する。
【解決手段】汚染物質の移動を促進させる薬剤を汚染土壌16に浸透させ、更に、注入井戸110と揚水井戸120との間に揚水作業と注入作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸130を設けることで、注入井戸110と揚水井戸120との間が広くても、すなわち、浄化する領域が広くても、汚染物質が効率的に汚染土壌から除去される。つまり、汚染土壌が効率的に浄化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化井戸及び汚染土壌の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオスティミュレーション用薬剤や過酸化水素に代表される酸化剤を汚染土壌に注入し、原位置で無害化することで、汚染土壌を浄化する浄化方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、地下水圧より高い圧力で空気を溶存させた空気−水系を、地下水面下の地下水と置換させる汚染土壌の浄化方法が提案されている。特許文献2には、浄化すべき土壌の斜め上方から構造物と干渉しないように配置された直線状の浄化機能層を備える汚染土壌の浄化システムが提案されている。
【0004】
或いは、特許文献3には、注入井戸と吸引井戸とを間隔をあけて設け、注入井戸から加熱流体を注入する一方で、吸引井戸から汚染物質を吸引して回収する浄化方法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−193048号公報
【特許文献2】特開2005−185981号公報
【特許文献3】特開2004−243229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、薬剤が汚染土壌全域に拡散するまでに時間がかかり、この結果、薬剤と汚染物質とが反応して無害化されるまでに時間がかかることがある。更に、薬剤の拡散が不均一となり、汚染物質が十分に浄化されない可能性がある。これらの解決方法の一例として、井戸の間隔を詰めて複数設ける構成が考えられる。しかし、このような構成は、浄化コストが高くなる。よって、効率的に汚染土壌を浄化することが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく成されたもので、効率的に汚染土壌を浄化することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、薬剤を汚染土壌に浸透させ、薬剤によって移動が促進した汚染物質を含む地下水を揚水する浄化井戸であって、汚染物質の移動を促進させる薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる注入作業と、薬剤によって移動が促進された汚染物質を含む地下水を揚水する揚水作業と、の両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸を一つ又は複数、備える。
【0008】
請求項1に記載の発明では、汚染物質の移動を促進させる薬剤を注入して汚染土壌に浸透させると共に、薬剤によって移動が促進された汚染物質を含む地下水を揚水することで、汚染物質が除去される。
【0009】
そして、揚水兼注入井戸を備えることで、一つの井戸で注入作業と揚水作業との両方を行なうことが可能となり、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0010】
例えば、揚水兼注入井戸を二つ設けた場合、一方から薬剤を注入し他方から揚水した後に、今度は、一方側から薬剤を注入し他方から揚水した後に、今度は、他方から薬剤を注入し一方から揚水することで、汚染物質の除去をより確実に、しかも、複数の井戸を設ける構成と比較し、効率的に浄化される。
【0011】
或いは、例えば、一方側から他方側に向かって揚水兼注入井戸を掘削して形成していき、一つの井戸で注入作業と揚水作業を順番に行なうことで、広範囲に渡る汚染物質の除去が可能である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浄化井戸において、少なくとも前記注入作業を行なうことが可能な注入井戸と、前記注入井戸と離れて設けられ、少なくとも前記揚水作業を行なうことが可能な揚水井戸と、前記注入井戸と前記揚水井戸との間に一つ又は複数配置された前記揚水兼注入井戸と、を備える。
【0013】
請求項2に記載の発明では、汚染物質の移動を促進させる薬剤を注入して汚染土壌に浸透させると共に、薬剤によって移動が促進された汚染物質を含む地下水を揚水することで、汚染物質が除去される。
【0014】
ここで、揚水兼注入井戸が一つの場合は、注入井戸から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させて隣接する揚水兼注入井戸から揚水すると共に、この揚水兼注入井戸から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させて揚水井戸から揚水することで、注入井戸と揚水井戸との間の汚染土壌から汚染物質が除去される。
【0015】
揚水兼注入井戸が複数の場合は、注入井戸から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させて、注入井戸に隣接する揚水兼注入井戸から揚水すると共に、この揚水兼注入井戸から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる。更に、この揚水兼注入井戸に隣接する揚水兼注入井戸から揚水すると共に、薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる。そして、最終的に揚水井戸から揚水することで、注入井戸と揚水井戸との間の汚染土壌から汚染物質が除去される。
【0016】
言い換えると、一方側に配置された注入井戸又は揚水兼注入井戸から注入して汚染土壌に浸透させた薬剤によって移動が促進した汚染物質を含む地下水を、他方側に配置された揚水兼注入井戸又は揚水井戸から揚水することで、注入井戸と揚水井戸との間の汚染土壌から汚染物質が除去される。
【0017】
このように、汚染物質の移動を促進させる薬剤を汚染土壌に浸透させ、更に、注入井戸と揚水井戸との間に揚水作業と注入作業との両方が行なうことが可能な揚水兼注入井戸を設けることで、注入井戸と揚水井戸との間が広くても、すなわち、浄化する領域が広くても、汚染物質が効率的に汚染土壌から除去される。つまり、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の浄化井戸において、前記揚水兼注入井戸は、汚染土壌中に斜めに形成された斜め井戸である。
【0019】
請求項3に記載の発明では、例えば、揚水兼注入井戸を垂直井戸とする場合と比較し、水平方向の広範囲に亘って浄化が可能となる。よって、更に効率的に汚染土壌から汚染物質が除去される。つまり、汚染土壌が更に効率的に浄化される。
【0020】
また、既存建物の直下にも揚水兼注入井戸(斜め井戸)を設けることができるので、汚染土壌(汚染物質)が既存建物の直下であっても、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の浄化井戸において、前記揚水兼注入井戸は、収縮した状態で前記揚水兼注入井戸に挿入されたのち、気体又は液体を注入して膨張させることで前記揚水兼注入井戸の内壁面に密着して閉塞する前記パッカーを備える複数のパッカー部によって、前記揚水作業を行なう揚水区間と、前記揚水区間の下方側に設けられ前記注入作業を行なう注入区間と、に仕切られ、前記パッカー部には、内壁面に当接し、前記パッカー部の少なくとも軸方向の移動抵抗を低減させる移動抵抗低減手段が備えられている。
【0022】
請求項4に記載の発明では、揚水区間よりも深い位置の注入区間から薬剤が注入され、且つ、注入区間よりも浅い位置の揚水区間から揚水することで、水よりも比重が軽い、例えば、鉱物油等の汚染物質の移動が効果的に促進され、その結果、更に効率的に汚染土壌から汚染物質が除去される。つまり、更に効果的に汚染土壌が浄化される。
【0023】
更に、移動抵抗低減手段によって、パッカー部が揚水兼注入井戸にスムーズに挿入され、且つ浄化作業が終了後、パッカー部が揚水兼注入井戸からスムーズに引き抜かれる。
【0024】
なお、揚水兼注入井戸が斜め井戸の場合は、移動抵抗低減手段がないと挿入・引抜きが困難となる場合があるので、特に、揚水兼注入井戸が斜め井戸の場合には、移動抵抗低減手段を設けることが好適である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の浄化井戸において、前記揚水兼注入井戸に挿入され、周壁が透液可能なストレーナ管と、前記ストレーナ管に挿入され、前記パッカー部の前記パッカーに接続され、該パッカーに液体又は気体を注入するパッカー管と、前記ストレーナ管に挿入され、前記揚水区間に揚水孔が開口した揚水管と、前記ストレーナ管に挿入され、前記注入区間に注入孔が開口した注入管と、を有する。
【0026】
請求項5に記載の発明では、薬剤は注入管を介して注入区間に注入され汚染土壌に浸透すると共に揚水管を介して揚水区間の地下水が揚水される。これにより、注入作業と揚水作業とを同時に行なうことも可能とされる。
【0027】
また、移動抵抗低減手段はストレーナ管に当接するので、パッカー部の移動が更にスムーズに行なわれる。また、注入管と揚水管が揚水兼注入井戸にスムーズに挿入される。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の浄化井戸において、前記揚水区間を仕切っている前記パッカー部の前記パッカーが収縮されて、前記パッカー部が軸方向に移動され、地下水位に合わせて前記揚水区間の深度が調整される。
【0029】
請求項6に記載の発明では、揚水作業において、水よりも比重が軽い鉱物油等の汚染物質が効果的に除去され、汚染染土壌が浄化される。
【0030】
なお、移動低減手段によって、パッカー部が軸方向にスムーズに移動するので、揚水区間の深度がスムーズに調整される。
【0031】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の浄化井戸において、前記揚水管は、先端部に揚水ポンプが設けられると共に、地下水位に合わせて前記揚水ポンプの深度が調整される。
【0032】
請求項7に記載の発明では、揚水作業において、水よりも比重が軽い鉱物油等の汚染物質が効果的に除去され、汚染土壌が浄化される。
【0033】
請求項8に記載の発明は、請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の浄化井戸において、前記注入区間を仕切っている前記パッカー部の前記パッカーが収縮されて、前記パッカー部が軸方向に移動され、前記注入区間の深度が調整される。
【0034】
請求項8に記載の発明では、汚染物質の濃度の高い深度を狙って薬剤を注入することで、効果的に汚染物質の移動が促進される。なお、移動低減手段によって、パッカー部が軸方向にスムーズに移動するので、注水区間の深度がスムーズに調整される。
【0035】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の浄化井戸において、前記薬剤は、発泡性薬剤及び界面活性剤の少なくとも一方を含む。
【0036】
請求項9に記載の発明では、発泡性薬剤及び界面活性剤の少なくとも一方が、鉱物油等の汚染物質を土粒子から剥離し、汚染物質(鉱物油等)を地下水に混合させる。この結果、汚染物質(鉱物油等)の移動が効果的に促進され、汚染土壌から汚染物質(鉱物油等)効率的に除去される。つまり、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0037】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の浄化井戸を用いて汚染土壌を浄化する。
【0038】
請求項10に記載の発明では、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の浄化井戸を用いて、薬剤を汚染土壌に浸透させると共に薬剤によって移動が促進した汚染物質を含む地下水を揚水して汚染土壌を浄化するので、請求項1〜請求項9のいずれか1項と同様の作用が果たされる。
【発明の効果】
【0039】
請求項1に記載の浄化井戸によれば、少ない本数の井戸で広範囲に渡る汚染物質の除去が可能とされ、その結果、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0040】
請求項2に記載の浄化井戸によれば、注入井戸と揚水井戸との間に揚水作業と注入作業との両方が行なわれる揚水兼注入井戸を設けることで、汚染土壌の分布状態に則して揚水作業、又は注入作業を適宜に最適な作業を選択して浄化できるので、汚染土壌を効率的に浄化することができる。
【0041】
請求項3に記載の浄化井戸によれば、揚水兼注入井戸を斜め井戸とすることで、例えば、揚水兼注入井戸を垂直井戸とする場合と比較し、広範囲に浄化が可能となり、その結果、更に効率的に汚染土壌を浄化することができる。
【0042】
請求項4に記載の浄化井戸よれば、パッカー部を揚水兼注入井戸にスムーズに挿入することができると共に、浄化作業が終了後、パッカー部を揚水兼注入井戸からスムーズに引き抜くことができる。
【0043】
請求項5に記載の浄化井戸によれば、薬剤は注入管を介して注入区間に注入され汚染土壌に浸透すると共に揚水管を介して揚水区間の地下水が揚水される。
【0044】
請求項6に記載の浄化井戸によれば、地下水位に合わせて揚水区間の深度がスムーズに調整されることで、水よりも比重が軽い鉱物油等の汚染物質が効果的に除去され、汚染土壌を浄化することができる。
【0045】
請求項7に記載の浄化井戸によれば、地下水位に合わせて揚水ポンプの深度が調整されることで、水よりも比重が軽い鉱物油等の汚染物質が効果的に除去され、汚染土壌を効率的に浄化することができる。
【0046】
請求項8に記載の浄化井戸によれば、汚染物質の濃度の高い深度を狙って薬剤を注入することで、効果的に汚染物質の移動を促進することができる。
【0047】
請求項9に記載の浄化井戸によれば、発泡性薬剤及び界面活性剤の少なくとも一方が汚染土壌中の鉱物油等を土粒子から剥離することで鉱物油等を地下水に混合させ、その結果、鉱物油等の移動を効果的に促進させると共に、効率的に汚染物質を除去し汚染土壌を浄化することができる。
【0048】
請求項10に記載の汚染土壌の浄化方法によれば、特定の箇所に存在する高濃度の汚染物質の除去あるいは広範囲に拡散した汚染物質の除去の両方が可能とされ、その結果、汚染土壌を効率的に浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
図1〜図10を用いて本発明の第一実施形態の浄化井戸を備える浄化装置について説明する。
【0050】
図1は、第一実施形態の浄化井戸100を備える浄化装置10の構成を模式的に示す斜視図である。この図1に示すように、浄化装置10は、既存建物12の直下を含む汚染土壌16から汚染物質(詳細は後述する)を除去し浄化する。なお、汚染土壌16とは、浄化井戸100を設置する土壌と言う意味で使用し、汚染土壌の全域に亘って汚染物質が存在しているわけではない。また、便宜上、本説明では、図1における既存建物12の左側斜め下側の面を正面12Aとし、反対側を後面12B、左斜め上側の面を側面12C、反対側を側面12Dとする。
【0051】
本実施形態の浄化井戸100は、注入井戸110、揚水井戸120、揚水兼注入井戸(斜め井戸)130の三つの井戸で構成されている。
【0052】
既存建物12の正面12A側の汚染土壌16には垂直方向に掘削して形成された注入井戸110が設けられている。また、既存建物12の後面12B側の汚染土壌16には垂直方向に掘削して形成された揚水井戸120が設けられている。更に、既存建物12の側面12C側の汚染土壌16から、既存建物12の直下の汚染土壌16に向けて、斜め下方に掘削して形成された揚水兼注入井戸130が設けられている。つまり、注入井戸110と揚水井戸120は垂直井戸とされ、揚水兼注入井戸130は斜め井戸とされている。
【0053】
なお、以降の説明において、「軸方向」とは各井戸の軸方向をさす。つまり、注入井戸110と揚水井戸120は鉛直方向が軸方向であり、揚水兼注入井戸130は斜め方向が軸方となる。
【0054】
既存建物12の側面12C側(揚水兼注入井戸130の開口部付近)には、薬剤を貯蔵すると共に薬剤を注入するための注入ポンプ等を有する薬剤設備20と、汚染物質を含む地下水を揚水すると共に汚染物質と地下水とを分離する分離槽32や分離された地下水を貯蔵する地下水貯留槽34等を備える排水処理設備30と、が設けられている。なお、薬剤についての詳細は後述する。
【0055】
薬剤設備20には、注入井戸110の注入管118(図2参照、詳細は後述する)と揚水兼注入井戸130の注入管360(図2参照、詳細は後述する)とが接続されている。排水処理設備30の分離槽32には、揚水井戸120の揚水管128(図2参照、詳細は後述する)と揚水兼注入井戸130の揚水管330(図2参照、詳細は後述する)とが接続されている。
【0056】
また、排水処理設備30の地下水槽32と薬剤設備20とは接続されており、汚染物質が除去された地下水が薬剤と混合される構成となっている。
【0057】
図2は、汚染土壌中における浄化井戸100、すなわち、注入井戸110、揚水兼注入井戸130、揚水井戸120を模式的に示す垂直断面図である。なお、揚水兼注入井戸130は、前述したように斜め井戸とされているが、図2では判りやすくするため、垂直に図示している。また、他の図においても垂直に図示している。
【0058】
つぎに、揚水兼注入井戸130について、図3〜図6を用いて説明する。
【0059】
図3は、揚水兼注入井戸130の概略構成を示す垂直断面図である。図4は、揚水兼注入井戸に挿入するパッカー装置200を示す正面図である。なお、図3においては、パッカー装置200は、断面図でなく、図4の正面図と同様に図示している。
【0060】
図3と図4とに示すように、揚水兼注入井戸130には、ボーリングなどによって掘削された掘削穴131に、掘削穴131よりも小径のストレーナ管250が挿入されている。ストレーナ管250は、周囲地盤からの土砂の侵入を防ぐ目的などで挿入され、例えば、塩ビ管に、透液可能なように周壁にスリット状や円形などの孔を多数穿設した構成とされている。
【0061】
ストレーナ管250の外側(掘削穴131とストレーナ管250との隙間)には、止水層50とフィルター層52とが交互に形成されている。止水層50は、ベントナイト、モルタル等で構成され、薬剤や地下水などの液体の透過を防止する。一方、フィルター層52は、礫石、豆砂利、珪砂、砂等で構成され、薬剤や汚染物質を含む地下水を透過させる。なお、このストレーナ管250の内壁面250Aが、揚水兼注入井戸130の内壁面とされる。
【0062】
なお、図3と図4以外の図(例えば、図2)では、ストレーナ管250、止水層50、フィルター層52の図示を省略している。
【0063】
また、止水層50の間隔は、後述するパッカー部210、220、230、240の間隔に対応している。また、止水層50の軸方向の長さは、パッカー部210、220、230、240の軸方向の長さよりも、短くなるように形成されている。
【0064】
図4に示すように、揚水兼注入井戸130(ストレーナ管250)には、パッカー装置200が挿入されている。パッカー装置200は、パッカー部210、220、230、240、パッカー管310、320、揚水管330、注入管360が主要な構成部品とされ、これらが一体となって構成されている。
【0065】
パッカー部210、220、230、240は、それぞれ軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0066】
揚水管330は、パッカー部210を貫通すると共に、パッカー部210を構成する筐体部(図示略)及び後述する円板部214、216に溶接等によって接合されている(図5も参照)。揚水管330の先端部332は、パッカー部210とパッカー部220との間に位置するように設けられている。また、先端部332には複数の揚水孔334が形成さている。
【0067】
注入管360は、パッカー部210、220、230を貫通すると共に、パッカー部210、220、230を構成する筐体部(図示略)及び後述する円板部214、216、224、226、234、236に溶接等によって接合されている。注入管360の先端部362は、パッカー部230とパッカー部240との間に位置するように設けられている。また、先端部362には複数の注入孔364が形成さている。
【0068】
円筒状の各パッカー部210、220、230、240の周面は、膨張・収縮するゴム等の弾性素材からなるパッカー212、222、232、242で構成されている。そして、パッカー212、222、232、242には、パッカー212、222、232、242を膨張させるための液体又は気体を送るパッカー管310、320が接続されている。
【0069】
パッカー管310は、上部パッカー管310Aがパッカー部210のパッカー212に接続され、下部パッカー管310Bがパッカー部210のパッカー212とパッカー部220のパッカー222とに接続されている。よって、パッカー管310(上部パッカー管310A)から液体又は気体を送り圧力をかけることで、パッカー部210のパッカー212とパッカー部220のパッカー222とが膨張(図3参照)し、液体又は気体を抜くことで圧力が下がりパッカー212とパッカー222とが収縮する(図4参照、図6(A)と図6(B)も参照)。
【0070】
パッカー管320は、上部パッカー管320Aが、パッカー部210、220を貫通したのち、パッカー部230のパッカー232に接続され、下部パッカー管310Bがパッカー部230のパッカー232とパッカー部240のパッカー242とに接続されている。そして、パッカー管320(上部パッカー管320A)から液体又は気体を送り圧力をかけることで、パッカー部230のパッカー232とパッカー部240のパッカー242とが膨張し(図3参照)、液体又は気体を抜くことで圧力が下がりのパッカー232とパッカー242)とが収縮する(図4参照、図6(A)と図6(B)も参照)。
【0071】
なお、パッカー部210、220、230、240のパッカー212、222、232、242毎にそれぞれ専用のパッカー管が接続された構成とし、パッカー212、222、232、242を個別に膨張と収縮とを行なうことができる構成としてもよい。このような構成とすることで、パッカー212、222、232、242をより確実に膨張及び収縮させることができる。
【0072】
また、図示は省略するが、パッカー部210、220、230、240は、内部(具体的にはパッカー部の周面を構成するパッカー212、222、232、242の内側)に、軸方向を長手方方向として配置された中空管を有する構成、言い換えると、上下の円板部214を中空管で連結すると共に中空管に対応する部位が開口した構成とされ、この中空筒の中を揚水管330や注入管360等が通る構成としてもよい。
【0073】
なお、図2等は、判りやすくするため、パッカー管310、320を省略している。また、パッカー部210、220、230、240は、揚水管330、注入管360、パッカー管310、320など接合され固定(保持)された構成となっている。
【0074】
つぎにパッカー部210、220、230、240について、図5〜図7を用いて説明する。なお、各パッカー部210、220、230、240の基本的な構成は同じであるので、代表してパッカー部210を説明する。
【0075】
図5は、パッカー部210を模式的に示す斜視図である。図6(A)はパッカー部210のパッカー212が膨張した状態の正面図であり、(B)は収縮した状態の正面図である。図7(A)は、図6(A)のA部(パッカー部210の円板部214(詳細は後述するの要部)を拡大した部分拡大図であり、(B)は、(A)のB−B線(軸方向と直交する方向)に沿った断面図である。
【0076】
図5と図6とに示すようにパッカー部210は、上端部と下端部に円板部214、216が設けられている。これら円板部214と円板部216との間に、前述したパッカー212が設けられている。前述したように、パッカー管310(上部パッカー管310A)から液体又は気体を送り圧力をかけることで、パッカー部210のパッカー212が膨張し(図6(A)参照)、液体又は気体を抜くことで圧力が下がりパッカー212が収縮する(図6(B)参照)。
【0077】
円板部214、216の周壁214A,216Aから、周方向に所定の間隔をあけて複数の回転体としてのボール(玉)260が露出している。なお、この回転体としてのボール260が移動抵抗低減手段とされている。
【0078】
図7に示すように、円板部214には、周方向に間隔をあけて凹部213が形成されている。凹部213の底部には穴215が形成されている。この穴215にボール260が配置され、この凹部213にボール260の直径よりも小さな孔263が形成された嵌込部262が嵌め込まれ接合されている。なお、図7(B)の断面図において、ボール260は、断面を示すハッチングを省略している(ボール260のみ外観図となっている)。
【0079】
このような構成とすることで、ボール260が円板部214から脱落することなく露出し、しかも、ボール260が回転自在となっている。なお、露出したボール260は、ストレーナ管250に形成されたスリットや孔よりも格段に大きい。
【0080】
また、図7(B)に示す、露出したボール260を含む円板部214の外形Kは、パッカー212が収縮した状態では、パッカー部210の最外形部となる。また、外形Kの直径は、ストレーナ管250の直径よりも少し小さい。なお、円板部216も同様の構成であるので、説明は省略する。
【0081】
そして、図4に示すように、パッカー装置200をストレーナ管250に挿入する。このとき、各パッカー部210、220、230、240のパッカー212、222、232、242は収縮した状態(図6(B)も参照)で挿入する。また、挿入(軸方向の移動)の際には、ストレーナ管250の内壁面250Aに回転体としてのボール260が当接し、回転することで、移動抵抗が低減する。なお、このとき、前述したように露出したボール260は、ストレーナ管250に形成されたスリットや孔よりも格段に大きいので、ボール260がスリットや孔に嵌ることはない。
【0082】
パッカー装置200を所定の深度まで挿入すると、パッカー212、222、232、242を膨張させることで、揚水兼注入井戸130(ストレーナ管250)の内壁面250Aに密着して閉塞する。これにより、揚水兼注入井戸130は、パッカー部210、220、230、240で仕切られ、揚水区間132と注入区間134とが形成される。
【0083】
また、揚水孔334が形成された先端部分332が揚水区間132に位置することになり、注入孔364が形成された先端部分362が注入区間134に位置することになる。
【0084】
また、止水層50の内側にパッカー部210、220、230、240が位置するように配置される。
【0085】
つぎに、注入井戸110と揚水井戸120とについて説明する。なお、注入井戸110と揚水井戸120は、揚水兼注入井戸130とは、斜め井戸と垂直井戸との違いと、パッカー装置の違い以外は、略同様である。つまり、従来の井戸と同様の構成である。よって、詳しい説明は省略する。また、図2では省略しているが、注入井戸110と揚水井戸120にも、ストレーナ管250が挿入され、ストレーナ管250の外側には、止水層50とフィルター層52とが交互に形成されている。なお、同様にパッカー部に対応する位置に止水層50が形成される。
【0086】
図2に示すように、注入井戸110には、パッカー113、115を備えるパッカー部112、114と注入管118とを主要な構成部品とするパッカー装置111が挿入されている。
【0087】
注入井戸110は、パッカー113、115を膨張させたパッカー部112、114で仕切られることで、注入区間116が形成されている。パッカー部112、114は、前述したパッカー部210(図5〜図7参照)とは、円板部214、215を有しない以外は同様の構成とされている。
【0088】
注入井戸110には先端部分119に注入孔117が形成された注入管118が挿入されている。注入管118は、パッカー部112を貫通し、且つパッカー部112の筐体部分(図示略)と溶接等によって接合されている。なお、注入孔117が形成された先端部分119が、注入区間116に位置する。
【0089】
また、各パッカー部112、114には、パッカー113、115を膨張・収縮させるための液体又は気体を送るパッカー管(図示略)が接続されている。
【0090】
揚水井戸120には、パッカー123を備えるパッカー部122と揚水管128とを主要な構成部品とするパッカー装置121が挿入されている。
【0091】
揚水井戸120は、パッカー123を膨張させたパッカー部122で仕切られることで、揚水区間126が形成されている。パッカー部122も、前述したパッカー部210(図5〜図7参照)とは、円板部214、215を有しない以外は同様の構成とされている。
【0092】
揚水井戸120には先端部分129に揚水孔127が形成された揚水管128が挿入されている。揚水管128は、パッカー部122を貫通し、且つパッカー部122の筐体部分(図示略)と溶接等によって接合されている。揚水孔127が形成された先端部分129が、揚水区間126の上部近傍に位置する。
【0093】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0094】
図3と図4とに示すように、揚水兼注入井戸130(のストレーナ管250)にパッカー装置200を挿入する際、パッカー212、222、232、242を収縮させた状態で挿入する。その際、ストレーナ管250の内壁面250Aに、露出したボール260が当接し回転することで、軸方向の移動抵抗が低減される。これにより斜め井戸であってもスムーズにパッカー装置200を挿入することができる。
【0095】
また、このとき、ゴム製のパッカー212、222、232、242が内壁面250Aに当接して擦られ破損したりつかえたりすることがない。同様に、注入管330と揚水管360も内壁面250Aに当接し、破損したりつかえたりすることなく、スムーズに挿入することができる。
【0096】
また、後述する汚染土壌16の浄化作業が終了し、パッカー装置200を引抜き際も、同様にスムーズに引き抜くことができる。
【0097】
更に、ボール260は、軸方向のみなく、軸回りに回転する際にも同様に抵抗を低減させるので、よりスムーズに挿入及び引抜きを行なうことができる。
【0098】
また、後述する揚水区間132(揚水管330の先端部332の深度)及び注入区間134の深度調節の際にも、同様に移動をスムーズに行なうことができる。
【0099】
つぎに、汚染土壌16の浄化(汚染物質の除去)について説明する。なお、浄化対象の主要な汚染物質は、以下の説明では鉱物油とされている。また、薬剤は発泡性薬剤と界面活性剤とが混合した薬剤とされている。
【0100】
図2(A)に示すように、注入井戸110の注入管118から薬剤を注入区間116に注入する。注入区間116に注入された薬剤は、ストレーナ管250(図3参照)とフィルター層52(図3参照)を透過し、汚染土壌16に浸透する。浸透した薬剤が汚染物質と反応することで、汚染物質の移動が促進される。
【0101】
具体的には、薬剤中の界面活性剤の乳化作用等によって、土壌中の土粒子から汚染物質が剥離されると共に地下水に可溶化される。また、発泡性薬剤が発泡した気泡によっても土壌中の土粒子から汚染物質が剥離される。この結果、汚染物質が地下水中に混合又は溶解され、汚染物質の汚染土壌中の移動が促進される。なお、発泡性薬剤及び界面活性剤のいずれか一方のみを含む薬剤であってもよい。
【0102】
また、パッカー装置111の挿入時に、注入区間116を汚染物質の濃度の高い深度に合わせて薬剤を注入することで、汚染物質と薬剤とが反応し、より効果的に汚染物質の移動が促進される。なお、挿入後であっても、パッカー113、115を収縮させてパッカー装置111全体を軸方向に移動(上下)させて、注入区間116を汚染物質の濃度の高い深度に合わせて薬剤を注入してもよい。
【0103】
注入作業と同時に、揚水兼注入井戸130の揚水管330から、薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水することで、汚染物質を除去する。このとき、汚染物質は、本実施形態では、鉱物油とされ、水(地下水)よりも比重が軽いので、汚染物質は地下水位の近傍に移動し集まる。よって、パッカーを収縮した状態(図6(B)参照)でパッカー装置200全体を軸方向に移動(上下)させ、揚水区間132(揚水管330の先端部332)の深度を地下水位W近傍にあわせることによって、効率的に汚染物質が除去される。
【0104】
なお、軸方向に移動させる範囲は、止水層50が露出しない範囲において行なわれる。また、このとき、ボール260が内壁面250Aに当接することで、スムーズにパッカー装置200が軸方向に移動される。
【0105】
揚水された汚染物質を含む地下水は、排水処理設備30の分離槽32で地下水が分離され地下水貯留槽34に送られ貯蔵される。そして、薬剤を注入する際に、この浄化された地下水を混合させることで、汚染土壌中に地下水が戻される。
【0106】
つぎに、図2(B)に示すように、揚水兼注入井戸130の注入管360から薬剤を注入区間134に注入する。注入区間134に注入された薬剤は、ストレーナ管250(図3参照)とフィルター層52(図3参照)を透過し、汚染土壌16に浸透する。浸透した薬剤が汚染物質と反応することで移動が促進される。このとき、パッカー装置200全体を軸方向に移動(上下)させ注入区間134を汚染物質の濃度の高い深度に合わせて薬剤を注入する。なお、軸方向に移動させる範囲は、止水層50が露出しない範囲において行なわれる。また、このとき、ボール260が内壁面250Aに当接することで、スムーズにパッカー装置200が軸方向に移動される。
【0107】
同時に、揚水井戸120の揚水管128から、薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水することで、汚染物質を除去する。このとき、同様にパッカー装置121全体を軸方向に移動(上下)させ、パッカー部122の下面近傍を地下水位W近傍にあわせることによって、効率的に汚染物質が除去される。
【0108】
そして、揚水された汚染物質を含む地下水は、排水処理設備30の分離槽32で地下水が分離され地下水貯留槽34に送られ貯蔵される。そして、薬剤を注入する際に、同様に浄化された地下水を混合させることで、土壌中に地下水が戻される。
【0109】
このように汚染物質の移動を促進させる薬剤を汚染土壌16に浸透させ、更に、注入井戸110と揚水井戸120との間に揚水作業と注入作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸130を設けることで、注入井戸110と揚水井戸120との間が広くても、すなわち、浄化する領域が広くても、汚染物質が効率的に汚染土壌から除去される。つまり、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0110】
また、揚水兼注入井戸130は、汚染土壌中に斜めに形成した斜め井戸であるので、垂直井戸と比較し、水平方向の広範囲に亘って浄化が可能となる。よって、更に効率的に汚染土壌から汚染物質が除去される。つまり、汚染土壌が更に効率的に浄化される。
【0111】
また、既存建物12の直下にも揚水兼注入井戸130を設けることができる。よって、汚染土壌(汚染物質)が既存建物12の直下であっても、汚染土壌が効率的に浄化される。言い換えると、既存建物12が大きく、注入井戸110と揚水井戸120との間が広くても、汚染土壌が効率的に浄化される。
【0112】
ここで、上記説明では、図2(A)に示すように、注入井戸110の注入管118から薬剤を注入区間116に注入しつつ揚水兼注入井戸130の揚水管330から薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水することで汚染物質を除去し、その後、図2(B)に示すように、揚水兼注入井戸130の注入管360から薬剤を注入区間134に注入しつつ揚水井戸120の揚水管128から薬剤と反応し移動が促進された汚染物質が含まれる地下水を揚水することで汚染物質を除去している。つまり、揚水兼注入井戸130における揚水作業と注入作業とを別々に順番に行なっている。
【0113】
しかし、図10に示すように、これらを同時に行なってもよい。つまり、注入井戸110の注入管118から薬剤を注入区間116に注入しつつ揚水兼注入井戸130の揚水管330から薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水し、これらと同時に揚水兼注入井戸110の注入管360から薬剤を注入区間134に注入しつつ揚水井戸120の揚水管1280から薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水してもよい。つまり、言い換えると、揚水兼注入井戸130における揚水作業と注入作業とを同時に行なっている。
【0114】
このように揚水作業と注入作業とを同時に行なうことで、より短時間で、汚染土壌16から汚染物質を除去される。言い換えると、更に効率的に汚染土壌16を浄化することができる。
【0115】
また、上記実施形態では、揚水兼注入井戸130は斜め井戸であったが、垂直井戸であってもよい。なお、この場合は、既存建物12の直下には井戸を掘ることはできない。
【0116】
また、上記実施形態では、浄化井戸100は、注入井戸110、揚水井戸120、揚水兼注入井戸130の三つの井戸から構成されていたが、これに限定されない(図2を参照)。
【0117】
例えば、図11に示すように、注入井戸110、揚水井戸120、揚水兼井戸130A、揚水兼注入井戸130Bの四つの井戸から構成された浄化井戸105であってもよい。
【0118】
このような構成の場合は、注入井戸110から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させて注入井戸110に隣接する揚水兼注入井戸130Aから揚水すると共に、この揚水兼注入井戸から薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる。更に、この揚水兼注入井戸130Aに隣接する揚水兼注入井戸130Bから揚水すると共に、薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる。そして、最終的に揚水井戸120から揚水することで、注入井戸110と揚水井戸120との間の汚染土壌16から汚染物質が除去される。
【0119】
また、注入井戸は少なくとも注入作業を行なうことが可能であればよく、揚水井戸は少なくとも揚水作業を行なうことが可能であればよい。よって、注入井戸110と揚水井戸120のいずれか、或いは両方を揚水兼注入井戸130と同様の構成の井戸(パッカー装置200(図4参照)を挿入した井戸)とした浄化井戸であってもよい。すなわち、注入作業と揚水作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸を二つ又は三つ備える構成であってもよい。
【0120】
更に、浄化井戸は二つ以上の井戸から構成され、そのうちの一つ以上が、注入作業と揚水作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸とされていればよい。
【0121】
ここで、例えば、揚水兼注入井戸を二つ設けた場合、一方から薬剤を注入し他方から揚水した後に、今度は他方から薬剤を注入し一方から揚水してもよい。このようにすることで、汚染物質の除去をより確実に、しかも、複数の井戸を設ける構成と比較し、効率的に浄化される。
【0122】
或いは、例えば、一方側から他方側に向かって順次、揚水兼注入井戸を掘削して形成し、揚水兼注入井戸で注入作業と揚水作業を順番に行なうことで広範囲に渡る汚染物質の除去が可能である。
【0123】
浄化井戸で四つ以上井戸から構成されていてもよいし、或いは二つの井戸で構成されてもよい。すなわち、浄化井戸は二つ以上の井戸から構成され、そのうちの一つ以上が、注入作業と揚水作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸とされていればよい。
【0124】
また、上記実施形態は、パッカー部の少なくとも軸方向の移動抵抗を低減させる移動抵抗低減手段としてのボール260(回転体)を有する円板部は、揚水兼注入井戸130のパッカー装置200のパッカー部210、220、230、240に設けられていたが、これに限定されない。注入井戸110のパッカー装置111のパッカー部112、114や揚水井戸120のパッカー装置121のパッカー部122に設けてもよい。
【0125】
つぎに、他の例の移動抵抗低減手段を有する円板部の変形例について説明する。
【0126】
まず、第一変形例の円板部314について、図8を用いて説明する。なお、図8(A)は、円板部314の要部を拡大した部分拡大図であり、(B)は、(A)のB−B線(軸方向と直交する方向)に沿った断面図である。
【0127】
図8に示すように、円板部314の周壁314Aには、周方向に間隔をあけて凹部313が形成されている。凹部313には、半球状(山形状)の凸部370が形成された嵌込部372が嵌め込まれ接合されている。よって、円板部314の周壁314Aから、周方向に所定の間隔をあけて複数の半球状(山形状)の凸部370が突起する構成となっている。
【0128】
なお、凸部370が形成された嵌込部372は、円板部314の周壁314Aよりも摺動性の良い材質、例えば、フッ素樹脂等で構成されていることが望ましい。
【0129】
このような構成とすることで、ストレーナ管250の内壁面250Aに、移動抵抗低減手段としての凸部370の頂点部分が当接することで、パッカー部の軸方向及び軸方向回りの回転の抵抗が低減される。
【0130】
つぎに、第二変形例の円板部414について、図9を用いて説明する。なお、図9(A)は、円板部414の要部を拡大した部分拡大図であり、(B)は、(A)のB−B線(軸方向)に沿った断面図である。よって、図9(B)の上下方向が軸方向である。
【0131】
図9に示すように、円板部414の周壁414Aには、周方向に間隔をあけて凹部413が形成されている。凹部413には、車輪460の回転軸461が回転自在された車輪保持部材462が嵌め込まれ接合されている。なお、凹部413の底面には、車輪460が干渉しないように穴415が形成されている。
【0132】
車輪460の回転軸461は、軸方向と直交する方向とされている。よって、車輪460は軸方向に回転する。
【0133】
このような構成とすることで、ストレーナ管250の内壁面250Aに、移動抵抗低減手段としての車輪460(回転体)が当接し回転することで、パッカー部の軸方向の移動抵抗が低減される。
【0134】
さて、本実施形態では、図4に示すように、パッカー装置200は、パッカー部210、220、230、240の間隔が固定されていたが、パッカー部210、220、230、240の間隔が可変(調整可能)となった構成であってもよい。よってつぎにパッカー部210、220、230、240の間隔が可変(調整可能)となったパッカー装置の変形例について説明する。
【0135】
なお、図14は、変形例のパッカー装置700のパッカー部210を示す斜視図である。図15は、変形例のパッカー装置700の要部を模式的に示す正面図である。なお、この図15では、パッカー管310、320と注入管360の図示を省略している。
【0136】
図14と図15に示すように、揚水管630は先端部にフランジ632を有している。図15に示すように、上側の揚水管630と下側の揚水管630との間に、両端部にフランジ632を有する調整用揚水管629が配置され、それぞれフランジ部632同士が接合(例えば、ボルト接合)されている。言い換えると、上下の揚水管630を調整用揚水管629で接続した構成とされている。なお、揚水管630及び調整用揚水管629は、負圧の影響を受けるので、剛性が高い材料、例えば、鋼鉄、鋳鉄、アルミなどの金属製の管とされている。
【0137】
調整用揚水管629は全長が異なる種類があり交換可能となっている。また、後述するロッド600(正確には、調整ロッド620)も全長が異なる種類があり、交換可能となっている。よって、調整用揚水管629及び調整ロッド620を交換することでパッカー部210、220の間隔を変える(調整する)ことができるようになっている。
【0138】
ロッド600は、連結ロッド610と調整ロッド620とで構成されている。図14に示すように、パッカー部220には、円板部224、226から軸方向に延びる連結ロッド610が設けられている。同様に、パッカー部210には、円板部216から軸方向に延びる連結ロッド610が設けられている(図15参照)。連結ロッド610、及び調整ロッド620の先端部には雄ネジ部602が形成されている。調整ロッド620は、全長が異なる種類がある。
【0139】
そして、図16の(1)〜(3)に順番に示すように、一方の連結ロッド610と他方の連結ロッド610との間に調整ロッド620を配置し、連結ロッド610の雄ネジ部602と調整ロッド620の雄ネジ部602とに高ナット650を螺合させることで、パッカー部210、220とが連結される(前述の通り、パッカー部210、連結ロッド610、調整ロッド620、連結ロッド610、パッカー部220の順に連結されるので、結果としてロッド600全体が可変(調整可能)となる)。
【0140】
前述したように、調整ロッド620は、全長が異なる種類があり調整用揚水管629の長さに応じたパッカー部210、220の間隔に調整することができる。更に、雄ネジ部602と高ナット650との螺合代を調整することで、ロッド600の全長を微調整することも可能である。このようにして、パッカー部210、220の間隔を調整することができる。
【0141】
また、図示は省略するがパッカー部230、240にも、同様のロッド600が設けられており、調整ロッド630の長さ変えることで、パッカー部220、230、240の間隔を調整することができる。
【0142】
なお、本実施形態ではロッド600は三本設けられているが、これに限定されない。ロッド600は一本以上あればよい。また、上述した鋼製のロッド600を一本とし、他のロッド600に相当する部材は、スチール製のワイヤー等であってもよい。
【0143】
また、連結ロッド610と調整ロッド620とは、高ナット650以外の部材で連結されていてもよい。例えば、図17(A)に示すように、連結ロッド610と調整ロッド620とをスリーブ管660で連結してもよい。
【0144】
スリーブ管660は、周壁660Aに軸方向に間隔をあけて雌ネジ孔662が形成されている(本実施形態では雌ネジ孔662は4つ形成されている)。
【0145】
図17(B)に示すように、スリーブ管660を調整ロッド620に予め挿通させた状態で、連結ロッド610と調整ロッド630の軸心を一致させる。図17(C)に示すように、その状態で、軸方向にスリーブ管660をスライドさせて、連結ロッド610と調整ロッド620との両方に挿通した状態とする。そして、スリーブ管660の各雌ネジ孔662にボルト661を螺合させ締付けることで(図17(A)参照)、連結ロッド610と調整ロッド620とが連結される。なお、連結ロッド610及び調整ロッド630がスリーブ管660に挿入されている挿入代を調整することで、全長を微調整することもできる。
【0146】
一方、パッカー管310、320及び注入管360は、可撓性があり伸縮自在な材料、例えば、ゴム製や合成樹脂製のホースとされている。また、それぞれの全長は、パッカー部210、220、230、240の想定される間隔よりも若干長く設定されている。よって、パッカー部210、220、230、240の間隔を変えても(調整されても)、屈曲することで追従する。なお、パッカー管310、320及び注入管360は蛇腹状とすることで、更に屈曲しやすくなるので好ましい。なお、管(ホース)全体に亘って蛇腹状となっていてもよいし、部分的に蛇腹状になっている構成であってもよい。或いは、パッカー管310、320及び注入管360の一部分のみが、可撓性があり伸縮自在な材料(ゴム製や合成樹脂製)のホースで構成されていてもよい。
【0147】
また、揚水管630と同様に、パッカー管、注入管、ロッドも先端にフランジ部が形成されており、全長の異なるパッカー管、注入管、ロッドに交換することで、全長を変更可能に構成されていてもよい。
【0148】
なお、本変形例は、パッカー部210、220、230、240の間隔が可変(調整可能)とすることができる構成の一例であって、このような構成に限定されない。パッカー部210、220、230、240の間隔が可変(調整可能)であれば、どのような構成であってもよい。
【0149】
このように、パッカー部210、220、230、240の間隔を可変(調整可能)とすることで、最適なパッカー部210、220、230、240の間隔や位置とすることができる。また、同じ浄化現場であっても井戸の場所によって(例えば、図11に示す揚水兼注入井戸130Aと揚水兼注入井戸13Bとで)、最適なパッカー部210、220、230、240の間隔や位置が異なる場合があるが、このような構成とすることで容易に対応が可能である。
【0150】
なお、図15に示すように、調整用揚水管629で上下の揚水管630の間を接続する構成でなく、上下の揚水管630のフランジ632同士を接続する構成であってもよい。この場合、揚水管630は、円板部との接合部分(根元部分)からフランジ632までの全長が異なる種類があり、交換可能となっている。そして、異なる全長の揚水管630に交換して揚水管同士を接合することで、パッカー部210、220の間隔を変える(調整する)ことができる。
【0151】
つぎに、図12を用いて本発明の第二実施形態の浄化井戸について説明する。なお、第一実施形態と同様に部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0152】
図12は、第二実施形態の浄化井戸107を模式的に示す図である。本実施形態では、浄化井戸107は、注入井戸110、揚水井戸520、揚水兼注入井戸(斜め井戸)530の三つの井戸で構成されている。なお、第一実施形態と同様に、揚水兼注入井戸530は、斜め井戸であるが、図12では垂直に図示している。
【0153】
パッカー装置510は、パッカー部230、240、注入管360を主要な構成部品とされ、これらが一体となって構成されている。
【0154】
注入管360は、パッカー部230を貫通すると共に、パッカー部230を構成する筐体部(図示略)及び円板部234、236に溶接等によって接合されている。注入管360の先端部362は、パッカー部230とパッカー部240との間に位置するように設けられている。また、先端部362には複数の注入孔364が形成されている。
【0155】
これにより、揚水兼注入井戸530は、パッカー部230、240で仕切られ、揚水区間532(実際には、パッカー部230から地下水位Wまでの区間)と注入区間134とが形成される。
【0156】
揚水孔539が形成された揚水ポンプ538が先端に取り付けられた揚水管536が挿入されている。揚水ポンプ538は地下水位Wよりも若干下方に位置するように挿入される。
【0157】
また、揚水井戸520も同様に、揚水孔529が形成された揚水ポンプ528が取り付けられた揚水管526が、揚水ポンプ528は地下水位Wよりも若干下側に位置するように挿入されている。
【0158】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0159】
注入井戸110の注入管118から薬剤を注入区間116に注入する。注入区間116に注入された薬剤は汚染土壌16に浸透する。浸透した薬剤が汚染物質と反応することで移動が促進される。
【0160】
同時に、揚水兼注入井戸530の揚水管536に取り付けられた揚水ポンプ538から、薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水することで、汚染物質を除去する。このとき、本実施形態においては、汚染物質は鉱物油とされ、水(地下水)よりも比重が軽いので、汚染物質は地下水位の近傍に移動し集まる。揚水ポンプ538を軸方向に移動(上下)させ地下水位W近傍にあわせることによって、効率的に汚染物質が除去される。
【0161】
また、揚水兼注入井戸530の注入管360から薬剤を注入区間134に注入する。注入区間134に注入された薬剤は汚染土壌16に浸透する。浸透した薬剤が汚染物質と反応することで移動が促進される。このとき、パッカー装置510全体を軸方向に移動(上下)させ注入区間134を汚染物質の濃度の高い深度に合わせて薬剤を注入する。
【0162】
同時に、揚水井戸520の揚水管526に取り付けられた揚水ポンプ528から、薬剤と反応し移動が促進された汚染物質の含む地下水を揚水することで、汚染物質を除去する。このとき、揚水ポンプ528を軸方向に移動させ地下水位W近傍にあわせることによって、効率的に汚染物質が除去される。
【0163】
なお、本実施形態でも第一実施形態と同様に、揚水兼注入井戸530における揚水作業と注入作業とを、別々に順番に行なってもよいし、同時に行なってもよい。
【0164】
また、四つの井戸から構成された浄化井戸であってもよいし、或いは二つの井戸で構成された浄化井戸であってもよい。すなわち、浄化井戸は二つ以上の井戸から構成され、そのうちの一つ以上が、注入作業と揚水作業との両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸とされていればよい。
【0165】
また、第一実施形態の変形例(図14〜図17を参照)と同様に、パッカー部230、240にロッド600が設けられており、調整ロッド630の長さ変えることで、パッカー部230、240の間隔を調整可能な構成にしてもよい。
【0166】
つぎに、薬剤について詳しく説明する。
【0167】
界面活性剤としては、陰イオン(アニオン)界面活性剤、もしくはHLB値7〜18の非イオン界面活性剤等、具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0168】
また、発泡性薬剤としては、水に溶解すると過酸化水素に解離し酸素を発生させる過酸化水素発生剤(過酢酸塩、硫酸アルカリ土類金属塩過水素負荷物、尿酸過酸化水素付加物、アミノ酸過酸化水素過付加物、メラニン過酸化水素付加物、アミノ酸過酸化水素付加物)や過酸化水素等が挙げられる。
【0169】
なお、汚染物質は、鉱物油に特定されない。例えば、揮発性有機塩素化合物や重金属類においても、同様の装置(浄化井戸)及び浄化方法で、汚染土壌から除去し、汚染土壌を浄化することが可能である。
【0170】
また、用いられる薬剤は汚染物質に応じて選択される。例えば、上述した界面活性剤や発泡性薬剤の他に、酸化剤、金属系還元剤、微生物薬剤、栄養塩類などが挙げられる。
【0171】
要は汚染土壌中の汚染物質と反応し、例えば、汚染物質を地下水に混合又は溶解させることで、汚染物質の移動を促進する薬剤であればよい。
【0172】
なお、図13の表に、汚染物資(除去対象物質)と使用する薬剤との組み合わせの例を示している。
【0173】
なお、パッカー装置111、121、200、510、700、揚水ポンプ528、538が先端に取り付けられた揚水管526、536の、挿入及び引抜き、或いは深度調整は、パッカー装置111、121、200、510、700、揚水管526、536を軸方向に移動可能な既存の軸方向移動装置(図示略)、例えば、ウィンチ、クレーン等によって行なわれる。また、人力で行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の第一実施形態に係る浄化井戸を備える浄化装置を示す断面斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る浄化井戸を模式的に示すと共に、(A)は注入井戸から薬剤を注入し、揚水兼注入井戸から揚水する様子を説明する説明図であり、(B)は揚水兼注入井戸から薬剤を注入し、揚水井戸から揚水する様子を説明する説明である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る浄化井戸の揚水兼注入井戸を示す断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る浄化井戸の揚水兼注入井戸に挿入するパッカー装置を示す正面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る浄化装置の揚水兼注入井戸に挿入するパッカー装置のパッカー部を示す斜視図である。
【図6】(A)は本発明の第一実施形態に係る浄化井戸の揚水兼注入井戸のパッカー装置のパッカー部が膨張した状態を示す図であり、(B)はパッカー部が収縮した状態の図である。
【図7】(A)は、図6(A)のA部を拡大した部分拡大図であり、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図8】(A)は、第一変形例の円板部の要部(図7(A)に対応する部位)を拡大した部分拡大図であり、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図9】(A)は、第二変形例の円板部の要部(図7(A)に対応する部位)を拡大した部分拡大図であり、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図10】揚水兼注入井戸で揚水作業と注入作業とを同時に行なう様子を説明する説明図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る浄化井戸の他の例を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る浄化井戸を模式的に示す図である。
【図13】汚染物資と使用薬剤との組み合わせ例を示す表である。
【図14】変形例のパッカー装置のパッカー部を示す斜視図である。
【図15】変形例のパッカー装置の要部を模式的に示す正面図である。
【図16】調整ロッドと連結ロッドの連結を、(1)〜(3)へと順番に説明する説明図である。
【図17】(A)は調整ロッドと連結ロッドとの連結部位の他の例を示す斜視図であり、(B)と(C)は調整ロッドと連結ロッドの連結を順番に説明する説明図である。
【符号の説明】
【0175】
100 浄化井戸
105 浄化井戸
107 浄化井戸
110 注入井戸
120 揚水井戸
130 揚水兼注入井戸
130A 揚水兼注入井戸
130B 揚水兼注入井戸
210 パッカー部
212 パッカー
220 パッカー部
222 パッカー
230 パッカー部
232 パッカー
240 パッカー部
242 パッカー
250 ストレーナ管
250A 内壁面
260 ボール(移動抵抗低減手段)
330 揚水管
334 揚水孔
360 注入管
364 注入孔
370 凸部(移動抵抗低減手段)
460 車輪(移動抵抗低減手段)
520 揚水井戸
530 揚水兼注入井戸
536 揚水管
538 揚水ポンプ
630 揚水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を汚染土壌に浸透させ、薬剤によって移動が促進した汚染物質を含む地下水を揚水する浄化井戸であって、
汚染物質の移動を促進させる薬剤を注入して汚染土壌に浸透させる注入作業と、薬剤によって移動が促進された汚染物質を含む地下水を揚水する揚水作業と、の両方を行なうことが可能な揚水兼注入井戸を備える浄化井戸。
【請求項2】
少なくとも前記注入作業を行なうことが可能な注入井戸と、
前記注入井戸と離れて設けられ、少なくとも前記揚水作業を行なうことが可能な揚水井戸と、
前記注入井戸と前記揚水井戸との間に一つ又は複数配置された前記揚水兼注入井戸と、
を備える請求項1に記載の浄化井戸。
【請求項3】
前記揚水兼注入井戸は、汚染土壌中に斜めに形成された斜め井戸である請求項1又は請求項2に記載の浄化井戸。
【請求項4】
前記揚水兼注入井戸は、収縮した状態で前記揚水兼注入井戸に挿入されたのち、気体又は液体を注入して膨張させることで前記揚水兼注入井戸の内壁面に密着して閉塞するパッカーを備える複数のパッカー部によって、前記揚水作業を行なう揚水区間と、前記揚水区間の下方側に設けられ前記注入作業を行なう注入区間と、に仕切られ、
前記パッカー部には、内壁面に当接し、前記パッカー部の少なくとも軸方向の移動抵抗を低減させる移動抵抗低減手段が備えられている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の浄化井戸。
【請求項5】
前記揚水兼注入井戸に挿入され、周壁が透液可能なストレーナ管と、
前記ストレーナ管に挿入され、前記パッカー部の前記パッカーに接続され、該パッカーに液体又は気体を注入するパッカー管と、
前記ストレーナ管に挿入され、前記揚水区間に揚水孔が開口した揚水管と、
前記ストレーナ管に挿入され、前記注入区間に注入孔が開口した注入管と、
を有する請求項4に記載の浄化井戸。
【請求項6】
前記揚水区間を仕切っている前記パッカー部のパッカーが収縮されて、前記パッカー部が軸方向に移動され、地下水位に合わせて前記揚水区間の深度が調整される請求項4又は請求項5に記載の浄化井戸。
【請求項7】
前記揚水管は、先端部に揚水ポンプが設けられると共に、地下水位に合わせて前記揚水ポンプの深度が調整される請求項5に記載の浄化井戸。
【請求項8】
前記注入区間を仕切っている前記パッカー部の前記パッカーが収縮されて、前記パッカー部が軸方向に移動され、前記注入区間の深度が調整される請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の浄化井戸。
【請求項9】
前記薬剤は、発泡性薬剤及び界面活性剤の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の浄化井戸。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の浄化井戸を用いる汚染土壌の浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−452(P2010−452A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161574(P2008−161574)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【Fターム(参考)】