説明

浄水器

【課題】容器外側に取っ手があり、横向きに倒して保管した際の高さが低く、横向きに倒して安定して保管できる浄水器を提供する。
【解決手段】原水の給水口31を有する内部容器12と、前記内部容器12の底部に装着し原水を浄化するカートリッジ2と、前記内部容器12を固定して前記カートリッジ2で浄化された浄水を溜める本体容器11と、前記内部容器12から原水が、前記本体容器11から浄水が漏れ出ないよう密閉手段とを備える浄水器であって、前記本体容器は把持部71と連結部72で構成される取っ手61と、浄水を注ぎ出す注ぎ口43とを備え、前記浄水器に浄水が満たされたときの前記浄水器の重心と前記把持部71と前記注ぎ口43とが一直線上にあり、かつ、前記浄水器を横置きにしたときに前記本体容器11と前記把持部71とが同時に接地することを特徴とする浄水器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭で使用し、水道水をろ過する家庭用浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポット型浄水器は、注ぎ口付きフタと内部容器と本体容器で構成され、内部容器にカートリッジを装着して使用する。各部材は嵌合で固定され、内部容器に入れた水道水は自重でカートリッジ内を通過して浄水となる構成である。保管している間に自重ろ過が完了するよう、従来、ポット型浄水器は立てて保管する形状が一般的であり、また、ポット型浄水器は飲料用途として使用されることが多く、冷蔵庫で保管する使用者が多かった。
【0003】
しかし、冷蔵庫にはポット型浄水器を立てて保管できる場所が限られており、保管場所に困っている使用者が多い現状がある。冷蔵庫内大半のスペースを閉める棚に、ポット型浄水器を横向きに倒して保管することを試みるが、従来の形状は各部材を嵌合で固定しているため、横向きに倒して保管すると、水道水や浄水が漏れ出る場合があった(特許文献1)。
【0004】
特許文献2には、注ぎ口側正面は注ぎやすいよう水平断面が半円となる形状を採用し、背面側上方は安定して置けるよう水平断面が角型の形状を維持し、背面側下方は水平断面角型の中央を凹ませて、凹んだ範囲内に取っ手を具える密閉型冷水筒が開示されている。しかし、水平断面角型の中央を凹ませているため、凹み両横に細くて洗えない空間ができており、衛生的に好ましくない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−162513号公報
【特許文献2】特許第3954971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような問題点を鑑み、容器外側に取っ手があり、横向きに倒して保管した際の高さが低く、横向きに倒して安定して保管できる浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の浄水器は下記の構成から成る。すなわち、
本発明によれば、原水の給水口を有する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を溜める本体容器と、前記内部容器から原水が、前記本体容器から浄水が漏れ出ないよう密閉手段とを備える浄水器であって、前記本体容器は把持部と連結部で構成される取っ手と、浄水を注ぎ出す注ぎ口とを備え、前記浄水器に浄水が満たされたときの前記浄水器の重心と前記把持部と前記注ぎ口とが一直線上にあり、かつ、前記浄水器を横置きにしたときに前記本体容器と前記把持部とが同時に接地することを特徴とする浄水器が提供される。
【0008】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記本体容器は前記内部容器を装着する略円筒状の内部容器受け部と略直方体の浄水貯水部とで構成され、前記浄水貯水部の略直方体部上端の短辺よりも前記内部容器受け部の外径の方が大きいことを特徴とする浄水器が提供される。
【0009】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記密閉手段を、ねじを用いて形成することを特徴とする浄水器が提供される。
【0010】
また、前記取っ手が、前記浄水貯水部の略直方体部短辺または長辺に対して20〜25°傾いていることを特徴とする浄水器が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の構成により以下の優れた効果を奏することができる。すなわち、
本発明によれば、原水の給水口を有する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を溜める本体容器と、前記内部容器から原水が、前記本体容器から浄水が漏れ出ないよう密閉手段とを備える浄水器であって、前記本体容器は把持部と連結部で構成される取っ手と、浄水を注ぎ出す注ぎ口とを備え、前記浄水器に浄水が満たされたときの前記浄水器の重心と前記把持部と前記注ぎ口とが一直線上にあり、かつ、前記浄水器を横置きにしたときに前記本体容器と前記把持部とが同時に接地することにより、持ち運びやすく注ぎやすい取っ手の効果と、ポット型浄水器を横向きに倒した際に安定して保管できる効果と、浄水を注ぐ際に、常に注ぎ口が把持部の鉛直下方に位置して注ぎやすい効果を有するポット型浄水器を実現できる。
【0012】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記本体容器は前記内部容器を装着する略円筒状の内部容器受け部と略直方体の浄水貯水部とで構成され、前記浄水貯水部の略直方体部上端の短辺よりも前記内部容器受け部の外径の方が大きいことにより、冷蔵庫のドアポケットに収納しやすいコンパクトさを備え、かつ、一度に多くの浄水が得られる大きな内部容器を備えるポット型浄水器を実現できる。
【0013】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記密閉手段を、ねじを用いて形成することにより、ポット型浄水器を横向きに倒して安定して保管する際に浄水が本体容器から漏れ出ることを防ぐ効果を高めることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記取っ手が、前記浄水貯水部の略直方体部短辺または長辺に対して20〜25°傾いていることにより、上記複数の効果を有するポット型浄水器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態であるポット型浄水器の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの縦断面図である。
【図3】カートリッジの縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る浄水貯水部の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器のカバーを外した右側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の取っ手縦断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の横向きに倒したときの上面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る本体容器のドアポケット収納時の上面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るカバーの縦断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るカバーの背面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る把持部と連結部の右側面図である。
【図12】図4の把持部上面の拡大図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るスライダーの斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るスライダーを左側面から見た縦断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の取っ手の背面図である。
【図16】内部容器の右側面から見た縦断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る内部容器の右側面から見た断面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る内部容器の上面図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る栓の右側面から見た断面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る内部容器と栓を組み立てた状態の右側面図である。
【図21】図20の状態における正面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る製品を組み立て、栓を180°回転したときの状態の右断面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る栓を180°回転したときの内部容器とカバーの位置を示す上面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの正面縦断面図である。
【図25】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器における本体容器密閉手段を緩めた状態の上方拡大図である。
【図26】図4の下面図である。
【図27】図4の溶着凸63の拡大図である。
【図28】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器のドアポケット収納時の斜視図である。
【図29】本発明にかかる本体容器形状の一例を示すポット型浄水器の横向きに倒したときの上面図である。
【図30】本発明にかかる本体容器形状の一例を示すポット型浄水器の横向きに倒したときの上面図である。
【図31】本発明に係るストッパー付栓の斜視図である。
【図32】本発明に係るストッパー付栓の斜視図である。
【図33】本発明に係るレバーの右側面図である。
【図34】本発明に係るレバーの上面図である。
【図35】本発明に係るレバーの下面図である。
【図36】本発明に係る栓の上面図である。
【図37】本発明に係る把持部とカートリッジ交換時期表示部材の位置関係を示す把持部の水平断面図である。
【図38】本発明に係る把持部とカートリッジ交換時期表示部材の位置関係を示す把持部の水平断面図である。
【図39】本発明に係る把持部とカートリッジ交換時期表示部材の位置関係を示す右側面図である。
【図40】図37における把持部の水平断面図である。
【図41】本発明に係る把持部とカートリッジ交換時期表示部材の位置関係を示す把持部の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の例をポット型浄水器に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。本案件では、蓋の一種として栓の場合を以下に記載する。また、本案件では、シール部材を介して接する複数の部材の間が締結され、原水や浄水が行き来できない締結部分のみの状態を密閉と呼び、該当部材に締結部分以外の穴があっても良いものとする。なお本発明は以下に示す実施の形態に限定されるものではなく、上記本発明の目的を達成できるものであればよい。
【0017】
図1は本発明の一実施形態であるポット型浄水器の概略図を示したものである。図2は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの右側面縦断面図で、図3はカートリッジの縦断面図を示す。図24は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの正面縦断面図である。図25は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器における本体容器密閉手段を緩めた状態の上方拡大図である。
【0018】
ポット型浄水器は本体部1とカートリッジ2から構成され、本体部1は本体容器11、内部容器12、栓13から構成される。カートリッジ2は内部容器12の底面に開口しているカートリッジ接続部32に挿入した状態で使用する。
【0019】
本体容器11は、下方の浄水貯水部14と上方の内部容器受け部15を超音波溶着により固定した。浄水貯水部14と内部容器受け部15の固定は、接着剤での接着でも良く、水漏れがなく、一定の強度を得られれば、超音波溶着に限らない。
【0020】
内部容器12は、外側に形成した外周ねじ33を、内部容器受け部15の内側に形成しためねじ41にねじ込み、外周ねじ33の下に設けたパッキン大用溝106に装着した本体容器シール部材であるパッキン大34を、内部容器受け部15の内側下方に設けたシール面42に押し当て、上下方向に圧縮することで、本体容器11と内部容器12を密閉する。本体容器密閉手段はこの様式に限定される訳ではなく、例えばお弁当箱のフタに用いられるようなツメを有する部材で機械的に密閉する構造や、内部容器12の原料による弾性を利用して密閉する構造であっても良い。
【0021】
栓13は、外側に形成したおねじ51を、内部容器12の内側に形成した内周ねじ35にねじ込み、おねじ51の上方に設けたパッキン小用溝58に装着した内部容器シール部材であるパッキン小52を、内部容器12の内側に設けたシール面36に押し当て、上下方向に圧縮することで、内部容器12と栓13を密閉する。内部容器密閉手段はこの様式に限定される訳ではなく、例えばお弁当箱のフタに用いられるようなツメを有する部材で機械的に密閉する構造や、栓13の原料による弾性を利用して密閉する構造であっても良い。
【0022】
カートリッジ2はキャップ121、ろ過フィルタ122、外側ケース123で構成される。ろ過フィルタ122はキャップ121の下方中心位置に接続され、外側ケース123はろ過フィルタ122を覆う形でキャップ121の下方に接続される。
【0023】
ろ過フィルタ122は筒状の外メッシュ部材133と内メッシュ部材134を有し、内メッシュ部材134の内部空間が原水の集水部135となり、外メッシュ部材133と内メッシュ部材134の間がろ材充填部136となる。ろ材充填部136には活性炭やイオン交換樹脂などを充填している。
【0024】
図24において、内部容器12の外周ねじ33と内部容器受け部15のめねじ41の間を緩めた状態で、栓13のおねじ51と内部容器12の内周ねじ35の間を緩めて栓13を取り外し、内部容器12に原水を入れると、原水が自重でカートリッジ2を通過し、遊離残留塩素などが取り除かれ、浄水として本体容器11下方の浄水貯水部14に溜まる。
【0025】
原水は、図3において、内部容器12に入れられ、キャップ121の上部開口部137から上開口部メッシュ部材138を通過し、同時に原水集水部135である内メッシュ部材134を通ってろ材充填部136に導かれる。その後、ろ材充填部136中のろ材により浄化され、外メッシュ部材133と、外側ケース123の下端まで続く長さ方向に設けられた6本のスリットを介してカートリッジ2を通過する。
【0026】
浄水が貯水された状態で、栓13を内部容器12に取り付けて、図25のように内部容器12と栓13のみを密閉し、内部容器12の外周ねじ33と内部容器受け部15のめねじ41の間を緩めたままポット型浄水器を傾けると、浄水を得ることが可能となる。
本体容器11は浄水貯水部14と内部容器受け部15で構成し、浄水貯水部14には把持部71と連結部72とカバー73とスライダー74とで構成される取っ手61を設け、浄水貯水部14には注ぎ口43を設けた。
【0027】
浄水貯水部14について図4〜図8および、図26から図30を用いて説明する。図4は本発明の一実施形態に係る浄水貯水部14の斜視図、図5は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器のカバー73を外した右側面図、図6は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の取っ手61縦断面図、図7は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の横向きに倒したときの上面図、図8は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器のドアポケット収納時の上面図、図26は図4の下面図、図27は図4の溶着凸63の拡大図、図28は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器のドアポケット収納時の斜視図、図29と図30は本発明にかかる本体容器形状の一例を示すポット型浄水器の横向きに倒したときの上面図をそれぞれ示したものである。ポット型浄水器において、注ぎ口43を有する面を正面、取っ手61を有する面を背面、栓13側を上面と定義する。
【0028】
本体容器11の下方を構成する浄水貯水部14は、底と側面から成る略直方体状の液体保存容器で、背面に取っ手61を有し、ポット型浄水器を横に倒す際に接地してポット型浄水器を安定して置く補助を担う台座62を右側面上方に有する。プラスチック製の容器は、鉄製や木製など他の材質でできた容器より強度が小さく割れやすく、また、角があると応力が集中して容易に割れる危険性があるため、角を設けず、さらに、剛性を上げるために、側面を曲面で形成することが多い。したがって、ポット型浄水器も同様に、横に倒して置いた際に曲面で構成された側面が設置するだけでは転がりやすく、不安定な保管となる。本実施の形態のように、台座62を接地させれば、ポット型浄水器を横に倒して置いた際も、安定して保管することができる。台座62は複数設けても良いが、浄水貯水部14の下方と取っ手61と台座62の少なくとも3箇所が接地すれば、ポット型浄水器を安定して置くことができるので、デザインの面も踏まえ、台座は上方1箇所が好ましい。
【0029】
浄水貯水部14はポリスチレンで形成した。上端には、図14のように内部容器受け部15と超音波溶着を行うための溶着凸63を図27の形状で全周に渡って設けた。ポット型浄水器はろ過状態や浄水量を確認しやすい透明容器が便利であり、特に、浄水貯水部14は透明度の高いポリスチレンやAS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)が好ましい。その他にも、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリプロピレンなどの樹脂成形品であっても良い。
【0030】
ポット型浄水器を横向きに倒す際に、台座62と浄水貯水部14の下方と取っ手61の3点を接地させる。ポット型浄水器を安定して置くために、台座62と浄水貯水部14の下方の間に、ポット型浄水器の重心が位置する形状が良く、台座62は浄水貯水部14の右側面の中央に設けても良いが、上半分に付いている方がより好ましい。
【0031】
取っ手61は、使用者が実際に握る把持部71と、浄水貯水部14と把持部71を上下で繋ぐ連結部72と、把持部71と連結部72を覆うカバー73と、カートリッジの使用開始時期から交換時期までの範囲を示すスライダー74(カートリッジ交換時期表示部材)で構成し、カートリッジの交換時期を示すカートリッジ交換時期表示手段に該当する。連結部72は把持部71に対して1本だけで構成しても良いが、ポット型浄水器は浄水や原水が入ると重量が約4[kg]となるため、1本だけでは重量による連結部72への負荷が大きく、繰り返し使用するうちに連結部72が折れる危険性がある。逆に3本以上ある場合、連結部72と浄水貯水部14の接続部強度に問題はないが、使用者が取っ手61を握りにくい形状となる。連結部72と浄水貯水部14の接続部強度と使い勝手の点から、連結部72は上下2本が好ましい。
【0032】
また、取っ手61は浄水貯水部14に繋がっていれば良く、流線型の形状であっても良い。 本実施の形態において、取っ手61は、図7のように、ポット型浄水器を横に倒した際に台座62および浄水貯水部14と共に接地する。台座62と浄水貯水部14の下方だけでなく取っ手61も接地する形状としたことで、ポット型浄水器の重心を囲む3点でポット型浄水器を支えることができるようになり、効果的に、安定して横向きに倒して保管することができる。
【0033】
このとき、図7のようにポット型浄水器の右側面が接地する向きで横向きに倒して保管して台座62と浄水貯水部14の下方と取っ手61が接地する向きに取っ手61を設けると、冷蔵庫のドアポケットにポット型浄水器の右側面が手前になる向きで立てて収納した場合に、図8および図28のように取っ手61が右側手前に伸び出る形となり、従来の取っ手付き液体容器よりも楽に取り出すことができる。また、取っ手61が手前に伸び出る形となっているので、取っ手61の奥に、従来の取っ手付き液体容器よりも広いスペースをつくることもでき、そのスペースに他の保管物、例えば調味料などを置くことも可能となる。ポット型浄水器を横向きに倒して安定して保管できる取っ手61の配置により、ドアポケットの保管容量を有効活用できる効果も得られるようになる。
【0034】
また、本実施の形態は、浄水が満たされたときのポット型浄水器の重心と取っ手61の把持部71と注ぎ口43が一直線上にあるよう、注ぎ口43を配した。本件において、ポット型浄水器の重心と把持部71と注ぎ口43が一直線上にあるとは、ポット型浄水器に浄水が満たされた状態で、浄水を注水するために把持部71を持って注ぎ口43を下に向けたときに、注ぎ口43が把持部71の鉛直下方に位置する配置のことを指す。そのため、ポット型浄水器を横に倒して置いた際に接地するよう配した取っ手61の角度に関わらず、使用者が注ぎ口43の位置を調整せずとも、常に、注ぎやすい位置に注ぎ口43が位置する効果がある。本実施の形態は内部容器受け部15を水平断面が円形に近い形状とし、浄水貯水部14を水平断面が長方形に近い形状としたが、この形状に限定される訳ではなく、内部容器受け部15や浄水貯水部14の水平断面形状が、図29や図30のような楕円やひょうたん型などの形状であっても良い。
【0035】
取っ手61について、図6および図9〜15を用いて説明する。図9は本発明の一実施形態に係るカバー73の縦断面図、図10は本発明の一実施形態に係るカバー73の背面図、図11は本発明の一実施形態に係る把持部71と連結部72の右側面図、図12は図4の把持部71上面の拡大図、図13は本発明の一実施形態に係るスライダー74の斜視図、図14は本発明の一実施形態に係るスライダー74を左側面から見た縦断面図、図15は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の取っ手61の背面図をそれぞれ示したものである。
【0036】
カバー73は、取っ手61の背面側を形成する空洞の略半円柱で上面と下面を有する形状とし、ABS樹脂で形成した。上面は上側の連結部72に重ねて浄水貯水部14と内部容器受け部15の境目まで伸ばし、さらに、内部容器受け部15に沿って内部容器受け部15の上端まで上向きに伸ばし、内部容器12を装着した内部容器受け部15上端の上方で鉤型にしている。鉤型の鉤部分の空間中央に垂直平面を設け、内部容器固定壁82とした。上面、下面と空洞の略半円柱部分で、把持部71を覆って使用する。略半円柱部分を構成する曲面の中央付近には、円柱の軸方向に沿って、長径約10[cm]短径約5[mm]の縦長の楕円状の窓穴81を開けた。下面には直径約1.5[cm]のカバー固定用穴83を開け、上面の裏側には、直径約1[cm]高さ3[mm]程度のカバー固定用凸84を設けた。円柱部分外周には、窓穴81の右側に数字を樹脂の凹凸により縦に施し、カートリッジの有効期間を示す有効期間カレンダー85とした。カバー73は把持部71を覆った状態で固定できれば良いので、カバー73の下面はなくても良いが、上面と下面で把持部71を挟み込み、さらに、カバー固定穴83にカバー固定凸93を嵌める形状としているため、カバー73だけがポット型浄水器から簡単に外れてしまうことを予防できる。カバー73の窓穴81は楕円以外の形状でも良く、面の中央になくても良い。デザインや成形金型の構造に合わせ、位置や形状を変更することができる。有効期間カレンダー85は、窓穴81の左側や両側に施しても良い。また、有効期間カレンダー85は樹脂の凹凸により形成する必要はなく、印刷、シール、加飾インサート成形など、カレンダー機能を有する文字や数字、記号であれば良い。カバーが略半円柱形状のため、印刷や加飾インサート成形、シールの貼り付けは難しいが、樹脂の凹凸で設ければ、容易に安く製品を作ることができ、より好ましい。
【0037】
把持部71は、取っ手61の正面側を形成する曲面である指掛け面97と連結部72の延長である上面と下面を有する。指掛け面97とカバー73の略半円柱形状で、一つの円柱形状を形成して取っ手61の外形を形成する。指掛け面97の背面側に、指掛け面97の背面に直交する面を設け、使用開始時期表示面91とした。使用開始時期表示面91のさらに外側にあたる浄水貯水部14の最背面部には、柱98を設け、柱98の背面側に、カバー73の窓穴81に嵌る形状の窓92を凸で設けた。柱98の正面側は円柱とした。柱98と使用開始時期表示面91との間に、スライダー74を上下に移動させる空間が構成される。空間は上端を一部広くし、スライダー74を嵌め込むスペースを設けた。使用開始時期表示面91の右側面における窓92側には、複数のスライダー位置決め凹95を等間隔に施した。使用開始時期表示面91の右側面における浄水貯水部12側、つまり、スライダー位置決め凹95の横には、数字を樹脂の凹凸により縦に施し、カートリッジの使用開始時期を示す使用開始時期カレンダー96とした。下面には、直径約1.5[cm]高さ約2[mm]の、カバー73を固定するためのカバー固定凸93を設け、背面側に寄るに従い高さが低くなる形状とした。
【0038】
上面には、カバー73のカバー固定用凸84をカバー固定用穴99に誘導するためのカバー固定溝94を設けた。深さは約1[mm]とし、幅はカバー固定用穴99側が狭く背面側が広くなる形状とした。カバー固定用穴99は、係止部72上で、直径約1[cm]深さ約3[mm]で設け、カバー73のカバー固定用凸84を固定する形状とした。
【0039】
把持部71および連結部72にカバー73を装着する方法を説明する。把持部71下面のカバー固定凸93に、カバー73下面のカバー固定用穴83を引っ掛け、カバー73上面裏側のカバー固定用凸84を把持部71上面のカバー固定用溝94の背面側に乗せる。カバー73の上側を背面側から押してカバー固定用凸84をカバー固定溝94に沿って移動させ、カバー固定溝94先端のカバー固定用穴99に嵌める。把持部71上面のカバー固定溝94の幅を、背面側に寄るに従い広げているため、カバー固定用凸84をカバー73の上面裏側に配しているにも関わらず、カバー固定溝94に挿入しやすく、カバー73をスムーズに装着できる。
【0040】
スライダー74は把持部71の使用開始時期表示面91と柱98の間に装着して使用する。H鋼に近い形状とし、ABS樹脂で形成した。窪みは正面側と背面側に向け、平面が右側面と左側面となる位置で使用する。正面側の窪みはコの字型に窪ませ、背面側の窪みは半円形状に窪ませ、背面側の窪みが把持部71の柱98の円柱形状に嵌る形状とした。スライダー74は、把持部71に設けた空間上端の一部広げた空間を利用し、柱98の半円柱部分にスライダー74の半円形状の窪みを当て、柱98を支点にスライダー74の右側面を押しながら回転させて嵌め込む。
【0041】
コの字部分内側の右側面の下寄りに、把持部71のスライダー位置決め凹95と噛み合い、スライダー74の位置を固定する位置決め凸101を設けた。位置決め凸101はコの字部分内側の左側面でも良く、また、コの字部分内側の左右両側面に設けても良いが、使用者がスライダー74を動かすため、片側面裏のみが噛みあう形状の方が、小さい力で動かすことができて好ましい。スライダー74は空間上端に嵌め込んだ後、下にスライドさせることで装着する。位置決め凸101はコの字部分内側の中央や上寄りでも良いが、下寄りにあると、最も近いスライダー位置決め凹95に嵌めるまでの移動距離が小さく、嵌め込んだスライダー74をすぐに固定できて好ましい。
【0042】
スライダー74の位置決め凸101と把持部71のスライダー位置決め凹95の凹凸は、噛み合ってスライダー74の位置を固定できれば良く、スライダー74に位置決め凹を把持部71にスライダー位置決め凸を設けても良い。
【0043】
成形精度が良く、スライダー74を繰り返し移動させても削れにくい特性のあるABS樹脂で形成したが、その他ポリプロピレンなどの樹脂成形品であっても良い。
【0044】
スライダー74のコの字部分外側の右側面には使用開始矢印102を樹脂の凹凸により設けた。カートリッジを交換する際には、カバー73を外し、スライダー74を移動させ、使用開始矢印102を把持部71上の使用開始時期カレンダー96の該当する数字に合わせる。カバー73を装着すると、図15のようにカバー73の窓穴81から把持部71の窓92を介してスライダー74が見える。窓穴81の右側に配置した交換時期カレンダー85に対し、スライダー74の上端がカートリッジ使用開始時期、下端がカートリッジ交換時期を表す。
【0045】
カバー73を取り外さないとスライダー74に触れることができないため、使用者がポット型浄水器を通常使用する際に、スライダー74を誤って動かすことを予防できる。また、交換時期カレンダー85に対しカートリッジの使用開始時期から交換時期までの範囲を表しているため、今日現在、カートリッジの寿命に対してどれくらいカートリッジを使用したのかを使用者に感覚的に伝えることができ、交換時期のみを表示する方法より、使用者に多くの情報を与えることができる。
【0046】
スライダー74は、カートリッジの有効期間を明確に伝えるために、窓92を介しても見やすい有色の部材とすると良い。
【0047】
内部容器受け部15について、図16を用いて説明する。図16は内部容器の右側面から見た縦断面図を示す。
【0048】
本体容器11の上方を構成する内部容器受け部15は、内壁に、内部容器12の外周ねじ33に締結可能なめねじ41と、めねじ41の下方に内部容器12の外周に装着されたパッキン大34を押し当てるシール面42と、上端に浄水を注水する注ぎ口43とを有する形状とし、ポリスチレンで形成した。また、下端には、浄水貯水部14と超音波溶着を行うための溶着溝44を全周に渡って設けた。
【0049】
浄水貯水部14と内部容器受け部15は同一原料を使用しているため、超音波溶着の接着性が良い。内部容器受け部15周辺は、内部容器受け部15と内部容器12や、内部容器12と栓13など、部材やねじ構造が多く、透明原料では雑然としている状態が透けて見えるため、内部容器受け部15は不透明な有色部材の方が好ましい。
【0050】
透明原料を使用する浄水貯水部14に溶着凸を、有色原料を使用する内部容器受け部15に溶着溝を設け、超音波溶着の際に透明原料の方を溶かすことにより、有色原料が溶けて透明部材に侵食することによる外観不良を回避できる。
【0051】
内部容器受け部15のシール面42と内部容器12のパッキン大34の隙間から浄水を注ぐ。浄水はめねじ41を形成した内壁面を通過し流れ出る。めねじ41は内部容器受け部15の内壁に一周以上あっても良いが、注ぎ口43付近のねじ山を削除したため、この部分を浄水が通り、流れ出る浄水の形状がまとまって注ぎやすい。また、取っ手61付近のねじ山も削除したため、成形金型のコア部分をスクリューでなくスライドで造ることができる効果もある。
【0052】
浄水貯水部14と内部容器受け部15は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)などの樹脂成形品であっても良く、シール性能を有する嵌め合いによる接続や接着剤による接着で固定しても良い。ただし、横向きに倒して保管することがあるポット型浄水器としては、嵌め合いによる接続では水漏れが懸念され、また、接着剤による接着では浄水への溶出が懸念されるため、全周を超音波溶着により接着した方が、水漏れを確実に予防でき、かつ、接着剤による溶出も確実に予防できるため、好ましい。
【0053】
内部容器受け部15は浄水貯水部14の上に配す。浄水貯水部14は、長辺約11[cm]短辺約8[cm]とから成る底面から抜き勾配2°で上方にいくに従い広がる略直方体で形成することで冷蔵庫のドアポケットに容易に収納できる形状とし、上方約1.5[cm]は、略直方体から急激に開口を広げ、内部容器受け部15と接続する偏曲面の形状とした。本件では、浄水貯水部14の上方にあたる内部容器受け部15と接続する偏曲面を除いた下方の略直方体の部分を略直方体部と呼ぶ。内部容器受け部15は、略直方体部の上端が長辺約12[cm]、短辺約10[cm]であるのに対し、最大径約15[cm]の略円柱状で形成した。浄水貯水部14の略直方体部上端の短辺10[cm]という寸法にとらわれず、内部容器受け部15を略直方体上端の外形より大きく形成したため、内部容器受け部15の内側に装着する内部容器12の内径も最大約10.5[cm]確保できた。最大内径が10[cm]以上あるため、使用者は内部容器12の内部に手を入れやすく、カートリッジ2を容易に脱着できる効果がある。また、原水を入れる容量を大きくすることができたため、1回のろ過で得られる浄水量を増やすことができた。浄水貯水部14上方の短辺よりも内部容器受け部15の最大径を大きくすることで、冷蔵庫のドアポケットに収納しやすく、かつ、1度に多くの浄水が得られる、相反する2つの利点を有するポット型浄水器を実現した。
【0054】
このとき、ポット型浄水器を横に倒して置いた場合、浄水貯水部14と内部容器受け部15の外周が接地するため、ポット型浄水器は転がりやすく不安定な保管となるが、本実施の形態は取っ手61が接地するため、ポット型浄水器の転がりを防止し、安定して横向きに倒して保管できる利点がある。
【0055】
内部容器12、栓13の構造と使い方について、図17から19を用いて説明する。図17は本発明の一実施形態に係る内部容器の右側面から見た断面図、図18は本発明の一実施形態に係る内部容器の上面図、図19は本発明の一実施形態に係る栓の右側面から見た断面図をそれぞれ示している。
【0056】
内部容器12は、底面部にカートリッジ接続部32の開口を有し、上方に原水を入れる給水口31を有する椀状の形状とし、ハイインパクトポリスチレンで形成した。カートリッジ接続部32の内壁には、3本のカートリッジ固定凸105を等間隔に配した。ポット型浄水器を立てて置いたり、横向きに倒して置いたりという操作を、繰り返し行う際、カートリッジ2の自重によりカートリッジ接続部32にモーメントの力が加わり、カートリッジ接続部32から緩んでくる場合がある。カートリッジ接続部32の内壁に、カートリッジ2との隙間0.6[mm]に対し厚さ0.9[mm]のカートリッジ固定凸105を3箇所設けた。カートリッジ2との嵌め合いを強くすることで、カートリッジ2が傾く余裕がなくなり、カートリッジ接続部32から緩むことを防止できる。外周面には、上方に外周ねじ33と、外周ねじ33の下にパッキン大用溝106を設け、パッキン大34を装着した。内周面には、上方に内周ねじ35を、内周ねじ35の上にシール面36を設けた。上端には一部に面をつくり、注ぎ口を覆う面37とした。注ぎ口を覆う面37には、注ぎ口43の先端付近にあたる位置に切り欠き38を設け、注ぎ口を覆う面37のほぼ中央には、高さ約3[mm]の係止凸39を設けた。
【0057】
外周ねじ33は二乗ねじで形成し、内部容器受け部15のめねじと締結した。内部容器12の外周ねじ33と内部容器受け部15のめねじ41の間を緩めて浄水を注ぐ。二乗ねじのため、一乗ねじよりも少ない回転で内部容器12を上方に移動させ、浄水を注ぐ流路を確保することができ、注ぎやすい。注水後は、外周ねじ33をねじ込み、パッキン大34を内部容器受け部15内壁のシール面42に押し当て圧縮することで、浄水貯水部14に溜まった浄水が漏れ出ないようシールする。
【0058】
栓13は、外周にねじ山を有する側面と天面から成る形状で、内部容器12の内周ねじ35にねじ込み装着して使用する。側面外周には一乗ねじでおねじ51を設け、おねじ51の上のパッキン小用溝58にパッキン小52を装着して使う。おねじ51を内部容器12の内周ねじ35にねじ込み、パッキン小52を、内部容器12のシール面36に押し当て圧縮することで、内部容器12に残った原水が漏れ出ないようシールする。栓13の天面裏側には、高さ約2[mm]の円周リブ57を設けた。本実施形態とは別のカートリッジ200を使用する場合、内部容器12のカートリッジ接続部32内壁に設けたカートリッジ固定凸105に別のカートリッジ200の側面が接触せず、カートリッジ固定凸105が効果をなさない。別のカートリッジ200を栓13の天面裏側に設けた円周リブ57で支えることで、別のカートリッジ200の傾きによるカートリッジ接続部32からの緩みを予防することができる。
【0059】
天面には、天面外径とほぼ同じ長さのハンドル53を設けている。ハンドル53を握って栓13を回すことができるため、おねじ51をねじ込みやすい。また、冷蔵庫の棚に寝かせて保管する場合、ハンドル53を手前にし、浄水貯水部14が奥になる向きで棚に保管すると、手前にあるハンドル53を利用して、ポット型浄水器を楽に取り出すことができる。さらに、野菜室など、冷蔵庫の低い位置の引き出しにポット型浄水器を立てて保管している場合も、ハンドル53を握ってポット型浄水器を引き上げるようにすることで、容易に取り出すことができる。
【0060】
ハンドル53の上方には、片持ちのレバー54がある。すべてのねじを締め切った状態で注ぎ口43の上に位置する方の先端は、上下に変位することが可能である。
【0061】
ここで、本実施の形態におけるレバー54の有用性を図20〜23を用いて説明する。図20は本発明の一実施形態に係る内部容器と栓を組み立てた状態の右側面図、図21は図20の状態における正面図、図22は本発明の一実施形態に係る製品を組み立て、栓を180°回転したときの状態の右断面図、図23は本発明の一実施形態に係る栓を180°回転したときの内部容器とカバーの位置を示す上面図をそれぞれ示している。
【0062】
本実施の形態は、本体容器11と内部容器12、および、内部容器12と栓13が、ねじ込みによってそれぞれ密閉され、浄水および原水の水漏れを防いでいる。この場合、本体容器11と内部容器12の間のねじを緩めれば、浄水貯水部14に溜まった浄水を注ぐことができ、内部容器12と栓13の間のねじは緩める必要がない。しかし、内部容器12には握れる部分がなく、内部容器12の側面を持って内部容器12を回転させる作業では、非常に使い勝手が悪い。また、内部容器12に握れる部分を設けると、栓13にハンドルが付けられなかったり、栓13のハンドルと内部容器12の握れる部分とが干渉したりと、使い勝手の向上にはつながらない。さらに、内部容器12上方の給水口31に原水を入れてろ過を行なう場合、栓13を内部容器12から取り外すだけでなく、本体容器11と内部容器12の間のねじを緩めて本体容器内の空気出口を確保しなくては、ねじを締めたままでは本体容器内の空気を排出できないため、原水がカートリッジ2の内部に流れ込むことができない状態となる。原水を給水してろ過する度に2つのねじを忘れず開けなければならず、こちらも使い勝手が良いとは言えない。
【0063】
そこで、すべてのねじを締め切った状態から、栓13を10〜180°回転させることで、本体容器11と内部容器12の間のねじのみを緩めて浄水を注ぐことができ、かつ、栓13を180°以上回転させることで内部容器12と栓13の間のねじを緩めて原水を給水できる構造として、栓13のハンドル53にレバー54を付け、レバー54の裏側に引っ掛け凸55と引っ掛け凸55よりもさらに外側に位置する、厚さ約2[mm]高さ約3[mm]の半円状の乗り越え凸56の2つの凸を設けた。
【0064】
まず、栓13を約5°回し開く。内部容器12の注ぎ口を覆う面37上に設けた係止凸39に引っ掛け凸55が接触する。そのままの状態で更に栓13を回し開くと、引っ掛け凸55が係止凸39を引っ掛けたまま栓13を回し開くので、内部容器12が栓13と連動し、共に回転を始める。本実施の形態では、引っ掛け凸55と係止凸39とが係止手段に該当する。栓13を10〜180°回し開いた範囲では、内部容器12のパッキン大34と内部容器受け部15のシール面42の密閉が解除され、浄水を注ぐことができるようになる。栓13を180°程度回し開くと、乗り越え凸56が取っ手61のカバー73上端に接触する。そのまま更に栓13を回し開くと、乗り越え凸56がカバー73上端を乗り越えるために、レバー54が上方に約3[mm]弾性変形する。このとき、内部容器12の切り欠き38がカバー73の内部容器固定壁82に当たり、内部容器12が180°回転した位置で停止する。本実施の形態では、内部容器固定壁82が停止手段に該当する。栓13をさらに回して開くと、内部容器12は停止したまま、乗り越え凸56がカバー73上端を乗り越え、図22のように係止凸39と引っ掛け凸55の係止状態が解除される。本実施の形態では、カバー73が解除手段に該当する。この状態で栓13をさらに回し開くと栓13を取り外すことができる。栓13を取り外したとき、内部容器12のパッキン大34と内部容器受け部15のシール面42の密閉は解除されており、内部容器12上方の給水口31に原水を入れると、原水は自重でカートリッジ2内を通過し、ろ過される。ろ過が終わり、栓13を取り付けて閉栓方向に回すと、引っ掛け凸55が係止凸39に当たり、栓13と内部容器12が共に回転を始め、さらに回すと内部容器12と内部容器受け部15の間および栓13と内部容器12の間のねじが締結を始める。ねじが締結すると、まず、内部容器12のパッキン大34と内部容器受け部15のシール面42が密閉状態になり、次に、引っ掛け凸55が係止凸39を乗り越え、最後に、栓13のパッキン小52と内部容器12のシール面36の間が密閉される。係止凸39の左側を傾斜させているため、ねじ締結後、引っ掛け凸55は係止凸39を容易に乗り越えることができる。
【0065】
本実施の形態は、栓13のおねじ51を内部容器12の内周ねじ35にねじ込みパッキン小52を内部容器12のシール面36に上下方向に圧縮することで内部容器12を密閉する内部容器密閉手段と、内部容器12の外周ねじ33を内部容器受け部15のめねじ41にねじ込みパッキン大34を内部容器受け部15のシール面42に上下方向に圧縮することで本体容器11を密閉する本体容器密閉手段とを、それぞれ別の密閉手段で構成している。したがって、浄水やろ過前の原水が入った状態でポット型浄水器を横向きに倒して置いても、浄水および原水が漏れ出ることがなく、また、浄水と原水が混じることもない。ポット型浄水器を横向きに倒して保管できるため、冷蔵庫のドアポケットに入らない場合には冷蔵庫内の棚に寝かせて保管するなど、保管場所や向きを自由に選ぶことができる。
【0066】
本実施の形態は、栓13の引っ掛け凸55が内部容器12の係止凸39を引っ掛けたまま栓13を回し開き、内部容器12が栓13と連動して共に回転する、栓13の回転力を内部容器12に伝達する係止手段を有するので、栓13を10〜180°回転させることで、本体容器11と内部容器12の間のねじのみを緩めて浄水を注ぐことができる。
【0067】
また、栓13を180°程度回し開くと、栓の乗り越え凸56が取っ手61のカバー73上端に接触し、乗り越え凸56がカバー73上端を乗り越え、係止凸39と引っ掛け凸55の係止状態を解除する解除手段を有するので、栓13を180°以上回転させるだけで内部容器12と栓13の間のねじを緩めて原水を給水することができる。
【0068】
さらに、係止凸39と引っ掛け凸55の係止状態を解除する際に、内部容器12の切り欠き38がカバー73の内部容器固定壁82に当たり、内部容器12が180°回転した位置で停止する停止手段を有するので、係止状態の解除を確実に実施することができる。
【0069】
本体容器密閉手段を二条ねじで形成し、内部容器密閉手段を一条ねじで形成したので、栓13を持って2つのねじを締結した際、一条ねじの内部容器密閉手段の方が固く締まりやすく、したがって、栓13を持って開栓する際に本体容器密閉手段の方を先に開けやすい効果がある。また、二条ねじの方が一乗ねじよりも少ない回転で内部容器12を上方に移動させられるので、浄水を注ぐ流路を確保しやすく注ぎやすい効果がある。
【0070】
取っ手をなくして側面の一部を平面で構成することで横に倒して保管できる従来の冷水筒の形状に対し、本実施の形態は、まず、取っ手61を付けることで持ち運びやすさや注ぎやすさを付帯した。その上で、横向きに倒して保管した際に転がりやすく不安定であった従来の冷水筒などのプラスチック製容器に、付帯した取っ手61の把持部71を、横向きに置いた際に浄水貯水部14下方と同時に接地するポット型浄水器の形状とした。横向きに置いた際の転がりを防止し、安定して保管することができる効果がある。また、取っ手61の角度に関わらず、浄水を注ぐ際は常に、注ぎ口43が把持部71の鉛直下方に位置する形状とした。使用者が調整せずとも注ぎやすい位置に注ぎ口43が位置する効果がある。
【0071】
さらに、浄水貯水部14の略直方体部上端の短辺よりも内部容器受け部15の外径を大きくすることで、冷蔵庫のドアポケットに収納しやすく、かつ、一度に多くの浄水が得られるポット型浄水器特有の利点を実現した。このような、横向きに倒して置いた際に転がりやすい形状とした場合も、浄水貯水部14下方と把持部71が同時に接地する形状であるため安定して保管することができる。
【0072】
上記、冷蔵庫のドアポケットに収納しやすく、かつ、一度に多くの浄水が得られるポット型浄水器の形状は、図26のように、取っ手61が浄水貯水部14の略直方体部短辺または長辺に対して20〜25°傾けることで、注ぎ口43が把持部71の鉛直下方に位置する注ぎやすい形状をつくることができる。
【0073】
本実施の形態は、従来、使用者が握るだけのデッドスペースであった取っ手61にカートリッジ交換時期表示手段を備えた。カートリッジ交換時期手段のためのスペースを用意する必要がないためポット型浄水器自体をコンパクトに仕上げることができる。また、カートリッジの有効期間を示すカートリッジ交換時期表示部材202としてスライダー74を、把持部71を挟み込む形で移動可能に装着することで、有効期間カレンダー85に対しスライダー74を動かすことで一年のいつカートリッジを使用開始してもカートリッジの交換時期を表すことができる。
【0074】
把持部71に位置決め凹部としてスライダー位置決め凹95を備え、スライダー74の内側には位置決め凸部101を備えたため、カートリッジの使用期間中、スライダー74を一定の位置に固定することができる。使用者がポット型浄水器使用中に誤ってスライダー74に触れた際、カートリッジの有効期間が容易に変わってしまうことを予防する効果がある。
【0075】
スライダー74を把持部71の長手方向に移動させることで、取っ手61の空間を最も有効に使うことができる。スライダー74の移動範囲を大きく取れるため、有効時期カレンダー85の文字を表示できる範囲も大きく取ることができ、一文字ずつが大きい見やすい表示を行なうことが可能となる。
【0076】
スライダー74を装着した把持部71にカバー73を取り付け、カバー73を取り外さないとスライダー74に触れることができない形状とした。使用者がポット型浄水器使用中に誤ってスライダー74を動かすことを予防する効果を一層高めることができる。カバー73に窓92を設け、スライダー74をカバー73の外側から目視可能な構造としたため、カバー73を装着したままカートリッジの有効期間を確認することができる。使用中にカバー73を外す必要がないため、スライダー74に触れ、誤って動かす頻度を低減することができる。
【0077】
把持部71に使用開始時期カレンダー96を配した。使用開始時期カレンダー96の、カートリッジ使用開始時期に該当する数字にスライダー74の使用開始矢印102を合せ、カバー73を被せるだけで、スライダー74がカートリッジの有効期間を示すよう、カバー73外周に交換時期カレンダー85の文字を配した。使用者は考慮せずとも、カートリッジの有効期間を表示させることができる。
【0078】
その他、形態は次のように変形させることもできる。
【0079】
片持ちのレバー54はレバー54端部の支え一つでも良いが、図25のようにレバー54の中央付近にレバー支え200を増設しても良い。支えを増設することで、作用点である乗り越え凸56と支点である支えの距離を短くすると、手を引っ掛けたり子供が遊んだりする小さい力にで、レバー54が容易に持ち上がり破損することを予防できる。
【0080】
また、レバー54にストッパー201を付け、一定の高さまでしかレバーが持ち上がらない構造とすることで、上記破損を防ぐ手法もある。ストッパーとしては、図31のようにレバー54とハンドル53を幅方向に挟み込む形状や、図32のようにレバー54とハンドル53に貫通して、外れない形状としたピンを立てる形状などがある。
【0081】
さらに、レバー54はハンドル53に対して着脱可能に取り付けられた別部材で構成しても良い。この場合、図33のようなレバー54が上下する向きでヒンジ構造を用いてレバー54を取り付けると、レバー54を必要以上に持ち上げた際にレバー54が外れるため、上記破損を発生させない効果がある。また、ヒンジ中央付近において、図34のようにレバー54とハンドル53のそれぞれに、軸と軸受けとは別に凸または凹の形状を持たせて互いに嵌め込むと、栓13の回転に伴い係止凸39に発生する接線方向の力の反力でレバー54が容易に外れることを防止できるため好ましい。
【0082】
係止手段は、前述のように係止凸39と引っ掛け凸55が互いに側面で接触し、栓13の回転方向に引っ掛ける機構に限らず、内部容器12の注ぎ口を覆う面37上に係止凹を設け、栓13のレバー54裏側の引っ掛け凸55を係止凹に嵌めて内部容器12と栓13を連動させるような、上下方向の嵌め込みで係止する機構でも良い。引っ掛け凸が内部容器12に、係止凹がレバー54にあっても良い。
【0083】
レバー54とハンドル53は、レバー54の裏とハンドル53の上面にそれぞれツメを設け、レバー54をハンドル53の上から押し込み、互いのツメを嵌めることでつなぐ図35のような形状とすることもできる。この場合、ツメを嵌めるために設けた空間を利用してレバーを上下に動かすことができる。この上下運動を利用すれば、レバー54の裏側に設けた乗り越え凸56がカバー73上端を乗り越える解除手段においてレバー54が弾性変形する必要がない。繰り返す弾性変形によってレバー54が疲労破損する可能性をなくすことができる。また、ツメのひっかかる量を調整することで、レバー54を必要以上に持ち上げた際にレバー54がハンドル53から外れる形状を実現でき、レバー54の誤使用による破損を防ぐ効果を持たせることもできる。
【0084】
レバー54の代わりに、栓13の径方向に伸縮可能な伸縮バー106をハンドル53に設けても良い。伸縮バー106はバネなどの弾性部材を有し、先端は丸みを帯びた形状とする。伸縮バー106の裏側には引っ掛け凸55を設け、通常は伸びた状態を維持する。伸縮バー106が伸びた状態でハンドル53を回すと、内部容器12の注ぎ口を覆う面37上に設けた係止凸39に引っ掛け凸55が接触する。そのままの状態で更にハンドル53を回すと、係止凸39と引っ掛け凸53による係止手段により、内部容器12と栓13が共に回転する。ハンドル53を180°程度回すと、伸縮バー106の丸みを帯びた先端が、取っ手61のカバー73の側面に接触する。そのまま更にハンドル53を回すと、伸縮バー106がカバー73との接触により押され、ハンドル53上で栓13の径方向に縮む。カバー73が伸縮バー106を押す解除手段により伸縮バー106が縮み、係止凸39と引っ掛け凸55の係止状態が解除される構成を作ることができる。
【0085】
本実施の形態では、本体容器密閉手段を二条ねじで形成し、内部容器密閉手段を一条ねじで形成したが、本体容器密閉手段と内部容器密閉手段に同じ条数で同じピッチのねじを採用しても良い。
【0086】
一条ねじと二条ねじに限らず、条数の異なるねじを採用しても良く、また、同じ条数で異なるピッチのねじを採用しても良い。
【0087】
いずれの場合も、本体容器密閉手段と内部容器密閉手段のどちらかが固く締まりやすい状態となる。締結力の差を利用することで、係止手段を有さない形状であっても、内部容器12を栓13に連動させることができる。
【0088】
同様の理由により、本体容器密閉手段と内部容器密閉手段それぞれのシール部材に異なる摩擦力を発生させるシール部材を選定しても良い。硬度の異なる平パッキンを選定することでも効果を発揮できる。
【0089】
右ねじと左ねじで挟まれた部材を回転させることで、挟まれた部材の両側を同時に緩め、同時に締めるターンバックルのような構造を用いても良い。例えば、栓13と本体容器11を繋いでおき、内部容器12の両側に右ねじと左ねじを切り、栓13と本体容器11をそれぞれ装着すると、内部容器12を回転させることで、内部容器密閉手段と本体容器密閉手段を、同時に締めたり緩めたりできる連動構造を実現できる。
【0090】
本体容器密閉手段に二条ねじを用いる場合、本体容器11と内部容器12の締結時の位置関係は2つある。内部容器12がどちらの位置に締結されても良い場合は、内部容器12を180°対象のデザインとすることで、使いやすい印象を与える。また、内部容器12を、本体容器11に対し一定の位置に締結したい場合、内部容器12が必ず一定の位置からねじ込まれるよう、他方のねじ込み開始位置にねじ込みできない阻害形状を設けることが好ましい。
【0091】
また、磁石を用いて内部容器12を栓13に連動させても良い。さらに、電磁石を用い、内部容器12を栓13に連動させる構造でも良く、その場合、例えばハンドル53とレバー54を接触させたり離したりすることで、電磁石のONとOFFを切り替えることができる構造でも良く、使いやすく好ましい。
【0092】
本体容器密閉手段と内部容器密閉手段は、ポット型浄水器を横向きに倒して置いた際に原水と浄水のそれぞれが漏れ出ない密閉効果を発揮すれば良く、シール部材は平パッキン、O−リング、部材に嵌合するよう専用に成形されたシリコン部材などの弾性体であっても良い。
【0093】
本体容器密閉手段と内部容器密閉手段は前述のシール部材とねじの組み合わせに限らず、ねじの他にバヨネット機構やツメを有する形状での固定、例えばお弁当箱のフタに用いられるようなツメを有する部材で機械的に密閉する機構などとシール部材との組み合わせであっても良い。
【0094】
その他にも、パッチン錠とシール部材との組み合わせで密閉する機構でも良く、さらにはフタ自体の原料による弾性を利用して密閉する手法であっても良い。
【0095】
また、栓13の外周にO−リングを嵌めるための異なる径の2つの溝を設け、O−リングを1つ嵌める機構を用いると、栓13を内部容器12に押し込むことで内部容器密閉手段とすることもできる。下方のO−リングを嵌めるための溝を、上方のO−リングを嵌めるための溝より小さい径とする。上方より下方の内径が小さくなるテーパーを内部容器12の内壁に設けておく。栓13の下方の溝にO−リングを嵌めて栓13を内部容器12に押し込むと、O−リングが内部容器12の内壁に設けたテーパーに当たる。さらに栓13を押し込むと、テーパーとの摩擦によりO−リングが転がり、上方の溝に移動する。上方の溝の径の方が大きくなっているため、O−リングのシール効果が発生し、栓13を内部容器12に押し込むだけでO−リングにより内部容器12を密閉することができる。また、栓13を取り外すと、内部容器12の内壁との摩擦によりO−リングが転がり、栓13の上方の溝から下方の溝に移動する。下方の溝の径の方が小さいため、O−リングが内部容器12の内壁から離れ、密閉状態を解除できる。本機構は、本体容器密閉手段に用いることもできる。
【0096】
シール部材は、密閉を作る複数の部材の内、いずれの部材に取り付けても良い。本実施の形態では本体容器密閉手段のシール部材であるパッキン大34は内部容器12に取り付けたが、パッキン大34を本体容器11に取り付けても良い。
【0097】
同様に、内部容器密閉手段のシール部材を内部容器12に取り付けても良い。
【0098】
シール部材を装着した栓13は、本体容器11または内部容器12とヒンジ機構でつないだ構造であっても良い。例えば、栓13にツメを設け、開栓ボタンとツメを、バネを用いて繋ぎ、内部容器12には栓13のツメが引っかかるツメ掛け凹を設けておく。通常は栓13のツメが内部容器12のツメ掛け凹に引っかかる内部容器密閉手段により、栓13は内部容器12に固定される。開栓ボタンを押すと、開栓ボタンにつながったバネの力でツメがツメ掛け凹から外れる。栓13を回動させたりすることなく、開栓ボタンを押しながら栓13をヒンジ中心に持ち上げる1つの動作で、栓13と内部容器12の密閉状態を解除し、給水口31を開けることができる。バネはツメ掛け凹に取り付けられていても良い。ツメとバネと開栓ボタンとツメ掛け凹は、それぞれ、栓13と内部容器12、もしくは栓13と本体容器11のいずれに設けても良い。
【0099】
栓13は内部容器12と繋がっていることに限らず、本体容器11と繋がっていても良い。
【0100】
また、例えば、シール部材を装着した内部容器12と本体容器11の外周を、同時に挟み込むことで内部容器12と本体容器11を密着させることで本体容器密閉手段を形成する構造であっても良い。外周を挟み込む形状は、内部容器12や本体容器11に設けても良く、別の部材で形成しても良い。外周の挟み込みを緩めることで本体容器の密閉を緩め、浄水を注ぐことができる。密閉および密閉の解除はワンタッチでできると好ましく、密閉効果が高まるよう、外周を挟み込む形状は複数設けた方が好ましい。
【0101】
また、本体容器11と内部容器12と栓13とは、ポット型浄水器を横向きに倒して置いた際に原水と浄水のそれぞれが漏れ出ないことが必要である。本体容器11と内部容器12、内部容器12と栓13のそれぞれに密閉手段を設けた本実施の形態が、上記目的に最も効果のある密閉方法であるが、その他にも、本体容器11と内部容器12は互いに密閉ではないが、栓13を締結することで、本体容器11と栓13、内部容器12と栓13がそれぞれ密閉され、原水と浄水のそれぞれが漏れ出ない構造を実現することも可能である。この場合、本体容器密閉手段は本体容器11と栓13と、本体容器11と栓13のいずれかに取り付けるシール部材とで構成された手段を指し、内部容器密閉手段は内部容器12と栓13と、内部容器12と栓13のいずれかに取り付けるシール部材とで構成された手段を指す。
【0102】
めねじ41および内周ねじ35は、内部容器受け部15および内部容器12の内壁全周に設けてもよく、また、一部削除した形状であっても良い。
【0103】
浄水貯水部14の水平断面形状は、略長方形に限らず、ひし形などの多角形であっても良い。また、内部容器受け部15の水平断面形状も、略円形に限らず、楕円やひょうたん型などの曲線を有する形状でも良く、また、密閉機構に合せて多角形を採用しても良い。
【0104】
取っ手61は、ポット型浄水器を横向きに倒して保管した際に接地すると、安定して保管できる効果がある。注ぎ口43は把持部71と浄水を満たしたポット型浄水器の重心と一直線上に設ける形状に限定されることはなく、ポット型浄水器を横向きに倒して保管した際、水平方向を向いていても良い。
【0105】
本実施の形態では、ポット型浄水器を右側面が手前になる向きで冷蔵庫のドアポケットに立てて保管した際、右側手前に伸び出る形状としたが、左側手前に伸び出る形状であっても良い。左利きの使用者が取り出しやすい効果がある。また、冷蔵庫の左側を軸に開く扉のドアポケットに収納した場合に取り出しやすかったり、右側を軸に開く扉を右手で開いた際に空いている左手で取り出せたりといった利便性がある。
【0106】
また、前述のように、使用者により使いやすい方向が異なるため、取っ手61が可動式であると好ましい。
【0107】
取っ手61と注ぎ口43を近づけて設けても良い。例えば、従来のように手前側に取っ手61、奥に注ぎ口43がある場合、ポット型浄水器を奥に倒して注水するが、手前側に取っ手61、左側に注ぎ口43がある場合、ポット型浄水器を左側に倒して注水できるため、前述の形状よりも手首を動かしやすい。特に、取っ手61と注ぎ口43の配置が90°に近いと注ぎやすく、90°±45°の範囲にあると好ましい。このとき、右利き左利きに関わらず注ぎやすい形状とすることができるため、取っ手61を中心に±90°付近に注ぎ口43を2箇所設けても良い。
【0108】
カートリッジ交換時期表示部材202は、本実施の形態のようにスライドする形態でも良いが、嵌めこむことでカートリッジ交換時期表示部材202と取っ手71や把持部61との摩擦だけで固定する形態であっても良い。
【0109】
カートリッジ交換時期表示部材202を嵌めこむ取っ手61は曲線で形成されても良く、把持部71と連結部72は一連の曲線で滑らかに繋がる形状であっても良い。
【0110】
また、取っ手61や把持部71の水平方向に凹みを設けても良い。この場合、図37やのように、取っ手61や把持部71の凹みにカートリッジ交換時期表示部材202を収めると、カバー73を付けなくても、ポット型浄水器を使用する際にカートリッジ交換時期表示部材202を誤って移動させる頻度を小さくすることができる。
【0111】
さらに、把持部71の両側面に凹みを設け、両側の凹によって薄くなっている部分に穴を空けた形状としても良い。この場合、図38や図39のように、把持部61の凹みに収まるようにカートリッジ交換時期表示部材202を嵌めてしまうことで、カバー73を付けなくても、ポット型浄水器を使用する際にカートリッジ交換時期表示部材202を誤って移動させる頻度を小さくする効果をさらに高めることができる。カートリッジ交換時期表示部材202を図41のような形状で形成すると、把持部71の片側側面から押し込むだけで簡単に取り付けられる。
【0112】
これらは取っ手61や把持部71が円筒形状であっても同様の効果を発揮する。
【0113】
図37から図39に示すような構造の場合、不用意にカートリッジ交換時期表示部材202が動かないよう、摩擦を大きくすると良い。カートリッジ交換時期表示部材202に凸部を設けておくと、カートリッジの交換時期を変更する場合のみ、凸部を持つことでカートリッジ交換時期表示部材202を容易に移動させられるため、使いやすくて好ましい。凸部が凹で形成されていても、同様の効果を得ることができる。
【0114】
カートリッジ交換時期表示部材202にカートリッジの有効期間を示す機能を持たせる場合、大きさが異なるなど数種類のカートリッジ交換時期表示部材202を用意しておけば、使用するカートリッジの寿命にあわせ、該当するカートリッジ交換時期表示部材202を選択して使用することができる。
【0115】
また、カートリッジ交換時期表示部材202に限らず、有効期間カレンダー85に並列するようLEDライトを配しておき、カートリッジの有効期間に該当する部分のみ点灯させることでカートリッジ交換時期表示手段を設けても良い。
【0116】
カートリッジ交換時期表示手段はスライダーのような移動可能なカートリッジ交換時期表示部材に限らず、ダイヤルを用いた表示やデジタル表示などであっても良い。
【0117】
ダイヤルを回転させることで、カバー73に設けた窓92から、カートリッジの交換時期を示す文字が表示される形態であっても良い。
【0118】
紙やフィルム、シールなどにカートリッジの交換時期を使用者が記載し、把持部71に挟んだり貼り付けたりした上からカバー73を取り付け、カバー73越しにカートリッジの交換時期が確認できる形態でも良い。
【0119】
カートリッジ交換時期表示手段は、有効期間カレンダー85を利用する形態に限らず、複数色のLEDライトを配し、例えば、カートリッジの使い始めは青色が点灯し、交換時期が近づいたら黄色が点灯、交換時期になったら赤色が点灯するなど、ライトの色で交換時期を促す方法であっても良い。
【0120】
複数のライトに限らず、1つのライトが異なる色を発し、交換時期を促す方法であっても良い。
【0121】
これらカートリッジ交換時期表示手段を栓13のハンドル53に設けても良い。軽量かつコンパクトな浄水器など、取っ手を有さない浄水器において、既存部材のデッドスペースにカートリッジ交換時期表示手段を設けることで、容量を減らすことなくコンパクトサイズに仕上げることが可能となる。
【0122】
ハンドル53に設けるカートリッジ交換時期表示手段は、前述のとってに設けるカートリッジ交換時期表示手段と同じ機構を適用することができる。
【0123】
また、図1に示す実施形態のように、ハンドル53の上にレバー54のような部分がある場合、カートリッジ交換時期表示手段は、レバー54にあたる最上面を構成する部分を用いて形成すると、見やすい利点がある。
【0124】
取っ手は61、内部容器12や栓13に設けても良い。本体容器11の容量が大きく、一度につくれる浄水の量が多くなると、例えば内部容器12に取っ手を設けた場合、浄水器の重みで内部容器12と本体容器11の接続部が外れてしまう場合も考えられるため、取っ手61は本体容器11に設けた方が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、ポット型浄水器に限らず、冷水筒など液体用容器などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0126】
1:本体部
2:カートリッジ
11:本体容器
12:内部容器
13:栓
14:貯水部
15:内部容器受け部
31:給水口
41:めねじ
43:注ぎ口
71:把持部
72:連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水の給水口を有する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を溜める本体容器と、前記内部容器から原水が、前記本体容器から浄水が漏れ出ないよう密閉手段とを備える浄水器であって、前記本体容器は把持部と連結部で構成される取っ手と、浄水を注ぎ出す注ぎ口とを備え、前記浄水器に浄水が満たされたときの前記浄水器の重心と前記把持部と前記注ぎ口とが一直線上にあり、かつ、前記浄水器を横置きにしたときに前記本体容器と前記把持部とが同時に接地することを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記本体容器は前記内部容器を装着する略円筒状の内部容器受け部と略直方体の浄水貯水部とで構成され、前記浄水貯水部の略直方体部上端の短辺よりも前記内部容器受け部の外径の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記密閉手段を、ねじを用いて形成することを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記取っ手が、前記浄水貯水部の略直方体部短辺または長辺に対して20〜25°傾いていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−135752(P2012−135752A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11734(P2011−11734)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】