説明

浄水器

【課題】横向きに倒して保管した場合も水道水や浄水が漏れ出ることがなく、向きや場所を選ばず保管できる浄水器を提供する。
【解決手段】上部に開口を有し原水を貯留する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、上部に開口を有し前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を貯留する本体容器と、前記本体容器の開口に装着する栓とを有する浄水器であって、前記栓で前記本体容器を密閉するための本体容器密閉手段と、前記内部容器の開口を密閉する中蓋とを有し、中蓋には原水給水口が設けられ、前記栓で前記本体容器を密閉する時、前記栓で前記原水給水口が密閉されることを特徴とする浄水器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭で使用し、水道水をろ過する家庭用浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポット型浄水器は、注ぎ口付き蓋と内部容器と本体容器で構成され、内部容器にカートリッジを装着して使用する。各部材は嵌合で固定され、内部容器に入れた水道水は自重でカートリッジ内を通過して浄水となる構成である。保管している間に自重ろ過が完了するよう、従来、ポット型浄水器は立てて保管する形状が一般的であり、また、ポット型浄水器は飲料用途として使用されることが多く、冷蔵庫で保管する使用者が多かった。
【0003】
しかし、冷蔵庫にはポット型浄水器を立てて保管できる場所が限られており、保管場所に困っている使用者が多い現状がある。冷蔵庫内大半のスペースを閉める棚に、ポット型浄水器を横向きに倒して保管することを試みるが、従来の形状は各部材を嵌合で固定しているため、横向きに倒して保管すると、水道水や浄水が漏れ出る場合があった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−162513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点を鑑み、横向きに倒して保管した場合も水道水や浄水が漏れ出ることがなく、向きや場所を選ばず保管できる浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の浄水器は下記の構成から成る。すなわち、
上部に開口を有し原水を貯留する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、上部に開口を有し前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を貯留する本体容器と、前記本体容器の開口に装着する栓とを有する浄水器であって、前記栓で前記本体容器を密閉するための本体容器密閉手段と、前記内部容器の開口を密閉する中蓋とを有し、前記中蓋には原水給水口が設けられ、前記栓で前記本体容器を密閉するときに前記原水給水口を密閉する原水供給口密閉手段を有する浄水器である。
【0007】
ここで、前記本体容器密閉手段は、前記本体容器または前記栓のいずれか一方に形成されためねじと、他方に形成されたおねじと、本体容器シール部材とであると好ましい。
【0008】
また、本体容器密閉手段は、おねじとめねじの回転動作により前記栓を前記本体容器に対し上下方向に移動させ、前記本体容器シール部材を上下方向に圧縮することで密閉するものであると好ましい。
【0009】
また、前記中蓋は少なくとも前記原水給水口周縁に平面部を有すると共に、前記栓は少なくとも前記中蓋の平面部に対向する平面部を有し、前記栓による前記原水給水口の密閉は、前記両平面部の間に配置される原水給水口シール部材を前記両平面部により圧縮することでなされると好ましい。
【0010】
また、前記本体容器は前記浄水の注ぎ口を有し、前記原水給水口は、中蓋の水平方向において前記注ぎ口から離れる方向の偏向した位置に配置されると好ましい。
また、前記栓は、外面に持ち手を有すると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の構成により以下の優れた効果を奏することができる。すなわち、
上部に開口を有し原水を貯留する内部容器と、内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、上部に開口を有し内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を貯留する本体容器と、本体容器の開口に装着する栓とを有する浄水器であって、栓で本体容器を密閉するための本体容器密閉手段と、内部容器の開口を密閉する中蓋とを有し、中蓋には原水給水口が設けられ、前記栓で前記本体容器を密閉するときに前記原水給水口を密閉する原水供給口密閉手段を有するので、浄水や原水が入った状態で浄水器を横向きに倒して置いても、浄水および原水が漏れ出ることがなく、また、浄水と原水が混じることもない浄水器を実現することができる。
【0012】
また、本体容器密閉手段は、本体容器または栓のいずれか一方に形成されためねじと、他方に形成されたおねじと、本体容器シール部材とであるので、浄水器の栓に不用意に触れた場合も、容易に密閉が解除されることがなく、浄水が漏れ出ることを防止できる。
【0013】
また、本体容器密閉手段は、おねじとめねじの回転動作により栓を本体容器に対し上下方向に移動させ、本体容器シール部材を上下方向に圧縮することで密閉するものであるので、本体容器と栓とを小さい力で容易に密閉することができる。
【0014】
また、中蓋は少なくとも原水給水口周縁に平面部を有すると共に、栓は少なくとも中蓋の平面部に対向する平面部を有し、栓による前記原水給水口の密閉は、両平面部の間に配置される原水給水口シール部材を両平面部により圧縮することでなされるので、栓による原水給水口の密閉構造が簡素でコンパクトになると共に、栓で本体容器を密閉する時、小さい力で容易に、栓で原水給水口の密閉も行うことできる。
【0015】
また、前記本体容器は前記浄水の注ぎ口を有し、前記原水給水口は、中蓋の水平方向において前記注ぎ口から離れる方向の偏向した位置に配置されるので、カートリッジでの浄化(ろ過)中においても、原水が本体容器に流れ込まず、浄水を注ぐことができる。
【0016】
また、栓は、外面に持ち手を有するので、栓の開閉や、浄水器の持ち運び、横置きを行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの縦断面図である。
【図2】図1に直交する面でのポット型浄水器およびカートリッジの縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の密閉時の上部拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の90°開栓時の上部拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の90°開栓時における浄水を注ぐ状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態における中蓋の原水給水口の望ましい配置領域を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の例をポット型浄水器に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。本発明では、栓とは蓋の一種であるものとして記載している。また、本発明では、ある部材が別部材とシール部材等を介して接する当該部材間のシール部において、液密のシールがなされ、そのシール部を原水や浄水が行き来できない状態になっていることを、ある部材の密閉と呼ぶこととし、当該部材のシール部以外に穴等があっても良いものとする。なお本発明は以下に示す実施の形態に限定されるものではなく、上記本発明の目的を達成できるものであればよい。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器およびカートリッジの縦断面図を示したものである。図2は図1に直交する面でのポット型浄水器およびカートリッジの縦断面図である。図3は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の密閉時の上部拡大断面図である。図4は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の90°開栓時の上部拡大断面図である。図5は本発明の一実施形態に係るポット型浄水器の90°開栓時における浄水を注ぐ状態を示す断面図である。図6は本発明の実施形態における中蓋の原水給水口の望ましい配置領域を示す概略平面図である。
【0020】
ポット型浄水器1は、主に本体容器2、内部容器3、栓4、中蓋10、カートリッジ5から構成される。
【0021】
本体容器2は、上部が開口した有底筒状の容器であり、その開口の一部に浄水の注ぎ口7が形成されている。本体容器2の内側面には内部容器受け部9が設けられ、内部容器3の凸部と係合し、内部容器3を固定している。内部容器固定方式は、バヨネット方式、嵌着方式、ねじ方式などを用いることができる。図1に示すように、内部容器受け部9以外の、本体容器内側面と内部容器外側面の間には空間があり、本体容器2の浄水貯水部6に貯水される浄水が流通できるようになっている。本体容器2の形状は、持ちやすさ、横置きした時の安定性のため、ほぼ直方体であることが好ましい。もちろん直方体以外に、水平断面形状が円形、楕円やひょうたん型などの形状であっても良い。
【0022】
内部容器3は筒状であり、上部と底部に開口を有している。底部の開口はカートリッジ接続部を成しており、カートリッジ5が挿入・装着される。
【0023】
栓4は、板状部と、その周縁下方に形成される筒状の栓おねじ14と、板状部上方外面に形成されるハンドル8(持ち手)とを有している。栓おねじ14を、本体容器2の上方内面に形成した本体容器めねじ13に回転、ねじ込み、栓おねじ14の上に設けたパッキン用溝に装着した本体容器シール部材であるパッキン12を、本体容器めねじ13の上に設けたシール面に押し当て、上下方向に圧縮することで、本体容器2を栓3で密閉する。上記とは逆に、栓4にめねじ、本体容器2におねじを形成してねじ結合させる構造も可能である。またパッキン12を設ける位置は栓おねじ14の下とすることもできる。上記のおねじ、めねじ、本体容器シール部材が本体容器密閉手段を成している。
【0024】
本体容器密閉手段はこの実施形態に限定されるものではなく、例えばお弁当箱の蓋に用いられるようなツメを有する部材で機械的に密閉する構造や、栓4と本体容器2とに、互いに係合する凹と凸とを形成し嵌着する構造、栓外面の材料自身による弾性を利用して密閉する構造などであってもよい。また、パッチン錠とシール部材との組み合わせで密閉する機構でもよい。さらに本体容器シール部材であるパッキンを上下方向でなく、径方向(水平方向)に圧縮することで、密閉がなされることでもよい。
【0025】
中蓋10はほぼ板状であり、その外側面にシール部材である大Oリング15を装着し、大Oリング15を介在させて内部容器3の上部開口に嵌着、固定することにより、内部容器3の上部開口は密閉される。中蓋10の内部容器3の上部開口への固定方式は、ねじ方式など他の方式であってもよい。図1では、中蓋10は厚さの薄い平板状であるが、強度のある曲面状など別の形状でもよい。薄い平板状であると、コンパクトで本体容器2の内部に無駄なスペースを作ることがないので好ましい。
【0026】
中蓋10には、カートリッジ5で浄化する原水を供給するための原水給水口11が設けられている。図3に示すように、原水給水口11の周縁には平面部(中蓋の平面部17)が形成されると共に、Oリング溝があり、小Oリング16(原水給水口シール部材)が装着されている。この原水給水口11の上部には栓4の板状部が位置しており、かつ、栓4の板状部の、中蓋の平面部17に対向する位置には、栓の平面部18が形成されている。そして、本体容器2を栓4で密閉する時、栓の平面部18が小Oリング16を圧縮して、原水給水口11が密閉されるように構成されている。この実施形態では、上記の小Oリング16(原水給水口シール部材)、中蓋の平面部17のOリング溝、栓の平面部18が原水供給口密閉手段を成している。中蓋10や栓4の板状部が、それぞれ全体として平面なのであれば、今述べた中蓋の平面部17や栓の平面部18をことさら形成しなくてもよいが、図3に示すように、他の平面部分から少し凸状に段差を設けて、中蓋の平面部17や栓の平面部18を形成すると、本体容器2と栓4とが密閉される時の締め付け力が、集中的に原水供給口密閉手段の部分に働くので、その密閉を効果的に行うことができる。また、原水供給口密閉手段が解除される時(開栓時)、小Oリング16が栓の平面部18にくっついてしまうことがある場合は、例えばOリング溝の入口を溝の底部より狭める形状(いわゆる、あり溝)にして、くっつきを防ぐようにすることなども好ましい。
【0027】
栓4による原水給水口11の密閉構造・手段(原水供給口密閉手段)は、本体容器2を栓4で密閉する時、栓4で原水給水口11が密閉されるのであれば、上記実施形態以外の構造・手段でもよく、例えば、栓4の板状部から中蓋10の原水給水口11に向けて突き出した円筒部または円柱部が設けられ、その円筒部または円柱部の外周面にOリング(原水給水口シール部材)が装着され、円筒部または円柱部が原水給水口11の下方向に挿入された時、該Oリングが原水給水口11の内面との間で径方向に圧縮されて、原水給水口11の密閉がなされる構造などが可能である。
【0028】
また、図3、図4の実施形態では、本体容器2を栓4で密閉する時、栓4で原水給水口11が密閉され、かつ、栓4による本体容器2の密閉が解除される時(開栓時)、栓4による原水給水口11の密閉も同時に解除されるが、原水給水口シール部材や本体容器シール部材の圧縮代を調整して、もしくは上記の円筒部または円柱部長さや原水給水口11の厚さ(中蓋10の厚さ)を調整して、栓4による本体容器2の密閉が解除され始めた時でも、すぐには栓4による原水給水口11の密閉は解除されないように構成することもあり得る。
【0029】
原水給水口11が中蓋10に配置される位置は、原水の供給や原水給水口11の密閉の観点からはどこでもよいが、後述するように、浄水を注ぐ時、内部容器中の原水が原水給水口11から漏れ出すことを防止する観点から、図4に示す通り中蓋10の水平方向において本体容器2の注ぎ口7から離れる方向の偏向した位置が望ましい。即ち、原水給水口11は、本実施形態では図4のように、円形である中蓋10の中心から右側(本体容器2の注ぎ口7から離れる方向)に偏向した位置に設けられている。中蓋の水平方向において本体容器の注ぎ口から離れる方向の偏向した位置とは、図4の実施形態に限られず、図6に示すように、水平方向において本体容器の注ぎ口から離れる方向にある中蓋の半分の領域(斜線で示す原水給水口の配置領域19)内の位置を意味する。中蓋が円形でない場合も同様に、中蓋の面積の内、水平方向において本体容器の注ぎ口から離れる方向にある半分の領域内の位置を意味するものとする。
【0030】
また、原水給水口11の開口の大きさも、同様の観点から、中蓋10の面積の半分以下が望ましい。しかし、原水給水口11の開口が小さすぎると、水道蛇口からの供給される原水を給水する際、給水しづらくなるので、原水給水口11の開口は、蛇口の直径と同程度以上、例えば直径20〜30mm以上であると原水給水時に便利である。さらに原水給水口11の形状は、通常円形がその形成上やデザイン上好ましいが、多角形、三日月状など他の形状でもよい。
【0031】
原水給水口11が中蓋10の水平方向において注ぎ口7から離れる方向の偏向した位置に配置されるようにするため、本体容器2と内部容器3、及び内部容器3と中蓋10のそれぞれの固定方式が、上下方向の嵌着方式の場合は、嵌着の周方向位置を所要位置とする位置決め係合部を嵌合両部材に設け、またネジ方式やバヨネット方式の場合は、締め切って固定完了となる周方向位置が所要位置となるようネジやバヨネットの位置設計を行う必要がある。
【0032】
カートリッジ5はキャップ、ろ過フィルタ、外側ケースで構成される。ろ過フィルタはキャップの下方中心位置に接続され、外側ケースはろ過フィルタを覆う形でキャップの下方に接続される。ろ過フィルタは筒状の外メッシュ部材と内メッシュ部材を有し、内メッシュ部材の内部空間が原水の集水部となり、外メッシュ部材と内メッシュ部材の間がろ材充填部となる。ろ材充填部には活性炭やイオン交換樹脂などが充填されている。
【0033】
ポット型浄水器1の主要構成品である、本体容器2、内部容器3、栓4、中蓋10は樹脂成形品であると製作しやすく安価である。樹脂材質としては、ポリスチレン(ハイインパクトポリスチレンを含む)やAS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリプロピレンハイインパクトポリスチレンなどが使用可能である。ポット型浄水器1はろ過状態や浄水量を確認しやすい透明容器が便利であり、特に、本体容器2や内部容器3は透明度の高いポリスチレン(ハイインパクトポリスチレンを含む)やAS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)が好ましい。
【0034】
パッキン12、大Oリング15、小Oリング16などのシール部材には、シール性の高い弾性体としてシリコーンゴムを使用した。その他EPDMゴムなども使用できる。
【0035】
次に、本発明の実施形態であるポット型浄水器1の使用方法、機能、詳細構造を説明する。
【0036】
図4は、図3の全閉の密閉状態から、ハンドル8を持って、栓4を開栓方向に回動し、90°開栓した状態のポット型浄水器1の上部拡大断面図であるが、その状態からさらに開栓し、栓4を本体容器2から取り外す。そして中蓋10の原水給水口11から、内部容器3に原水を供給すると、原水が自重で、カートリッジ5のキャップの上部開口部から上開口部メッシュ部材を通過し、同時に原水集水部である内メッシュ部材を通ってろ材充填部に導かれる。その後、ろ材充填部中のろ材により浄化され、外メッシュ部材と、外側ケースの下端まで続く長さ方向に設けられた6本のスリットを介してカートリッジ5を通過する。カートリッジ5を通過する間に原水中の遊離残留塩素などは取り除かれ、浄水として本体容器2下方の浄水貯水部6に溜まっていく。
【0037】
ここで、ハンドル8を持って、栓4を本体容器2に取り付け、密閉方向に回動し、再び図4の90°開栓した状態にする。この状態では、栓4と本体容器2の間は密閉状態が解除されていると共に、栓4による中蓋10の原水給水口11の密閉も解除されているので、図4の矢印で示す通り、外部の空気が、本体容器のめねじ13と栓おねじ14の間隙を通り、さらに、栓4と内部容器3の外側面の間隙、原水給水口11の順に通って、内部容器3の内部に流入可能である。従ってこの状態においても、内部容器3に残存する原水は引き続き、カートリッジ5を通って浄化され、浄水貯水部6に浄水が溜まり続けている。
【0038】
浄水を注ぎ口7から取り出すのは、原水が全て浄化され終わってからでもよいが、本実施形態のポット型浄水器1においては、図4の状態で、原水がまだ内部容器3に残存している浄化の途中であっても、図5のようにポット型浄水器1を傾けて、注ぎ口7から浄水を取り出すことができる。すなわち、図5のように原水がまだ内部容器3に残存している状態で、ポット型浄水器1を傾けても、中蓋10が内部容器3の上部開口を密閉しているので、容易には内部容器3の中の原水が漏れ出し、取り出す浄水に流れ込むことはない。特に、図4に示す通り、原水給水口11が、中蓋10の水平方向において注ぎ口7から離れる方向の偏向した位置に配置されている場合には、ポット型浄水器1を傾けても、原水が原水給水口11から漏れ出すことがないので、より完全に浄水だけを注ぎ口7から取り出すことができる。
【0039】
原水の浄化中または浄化完了して、すぐには浄水を取り出さない場合は、図3の状態まで栓4を回動し、栓4で本体容器2を密閉する。上述の説明の通り、本実施形態ではこの時、同時に栓4で中蓋10の原水給水口11も密閉される。従ってこの密閉状態では、ポット型浄水器1を、縦置きはもちろんのこと、横置きにしても、浄水および原水が外部に漏れ出さないし、浄水中に原水が漏れ出すこともない。よって、冷蔵庫のドアポケットに置き場のない場合でも、空いている冷蔵庫保管棚に横置きにしてポット型浄水器1を冷蔵保管できるという大きな効果を得ることができる。
【0040】
ポット型浄水器1を移動する時も、冷蔵庫に横置きして出し入れする時も、栓10に備わったハンドル8を持ってポット型浄水器1を動かすことができるので、便利である。さらに、野菜室など、冷蔵庫の低い位置の引き出しにポット型浄水器1を立てて保管している場合も、ハンドル8を握ってポット型浄水器1を引き上げるようにすることで、容易に取り出すことができる。
【0041】
内部容器3の底部の開口にあるカートリッジ接続部には、カートリッジ5が装着されているが、カートリッジ接続部の内壁には、3本のカートリッジ固定凸を等間隔に配した(図示せず)。 ポット型浄水器1を立てて置いたり、横向きに倒して置いたりという操作を、繰り返し行う際、カートリッジ5の自重によりカートリッジ接続部にモーメントの力が加わり、カートリッジ接続部から緩んでくる場合があるが、上記固定凸によりカートリッジ5との嵌め合いを強くすることで、カートリッジ5が傾く余裕がなくなり、カートリッジ接続部から緩むことを防止できる。
【0042】
その他、本発明の実施形態は次のように変形させることもできる。
【0043】
本発明のポット型浄水器のシール部材は、ポット型浄水器を横向きに倒して置いた際に原水と浄水のそれぞれが漏れ出ない密閉効果を発揮すれば良く、平パッキン、O−リング、部材に嵌合するよう専用に成形されたシリコーン部材などの弾性体であってもよい。
【0044】
シール部材は、密閉を作る2つの部材の内、いずれの部材に取り付けてもよい。上記実施形態では本体容器密閉手段のシール部材であるパッキン12は栓4に取り付けたが、パッキン12を本体容器2に取り付けても良い。同様に、中蓋10の原水給水口11のシール部材を栓4に取り付けてもよい。
【0045】
本体容器めねじ13および栓おねじ14は、それぞれそ本体容器の上方内面全周および栓の下方外面全周に設けてもよく、また、一部削除した形状であってもよい。
【0046】
上述の実施形態では、中蓋に原水給水口が設けられていたが、中蓋が、原水給水口を含め開口や孔の全くない単なる板状であってもよい。中蓋に例えば直径1mm程度の空気抜きの小孔だけは設けることもあり得るが、ポット型浄水器を横置きにした時に原水が漏れ出すので、横置き可能タイプとしては好ましくない。
【0047】
この中蓋に開口や孔が全くない場合、中蓋に内部容器密閉用のシール部材を装着し、内部容器に嵌着方式やねじ方式で装着、固定すると、内部容器内の原水を完全に密閉できて、浄水を注ぐ時にもポット型浄水器を横置きにする時にも、原水が外部や浄水貯水部側に漏れ出すことがない。この場合の原水供給は、栓を本体容器から取り外した後、中蓋を内部容器から取り外し、内部容器上部開口から行う。そして原水の浄化が完了してから中蓋を内部容器に再度装着する使用手順とする。
【0048】
上記の中蓋に開口や孔が全くない実施形態をさらに変形することもできる。すなわち、栓を本体容器に取り付ける時、中蓋と栓が係合するような構造とする。そしてその係合強度を、中蓋の内部容器への取り付け(係合)強度よりも大きくする。これにより、栓を本体容器から取り外す時、同時に中蓋が内部容器から取り外せるようにすることができ、原水供給をする時、栓と中蓋をそれぞれ取り外すという2重の操作をする必要がなくなり便利となる。具体的な構造としては、例えば中蓋の上面中央に凹部(または凸部)を、栓の板状部の下面中央に凸部(または凹部)を設け、栓を本体容器に取り付ける時、上下方向に中蓋と栓の凹凸が嵌着する構造とする。その凹凸が嵌着しても、垂直軸回りには回動可能であると、栓と本体容器の取り付けがねじ方式であっても問題がなく取り付け、取り外しができるので、さらによい。この際、中蓋と内部容器の取り付け方式も上下方向の嵌着でなされるものにする。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ポット型浄水器に限らず、茶葉やコーヒーの粉を内部に収納してお茶やコーヒーを溜める液体用容器などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1:ポット型浄水器
2:本体容器
3:内部容器
4:栓
5:カートリッジ
6:浄水貯水部
7:注ぎ口
8:ハンドル
9:内部容器受け部
10:中蓋
11:原水給水口
12:パッキン
13:本体容器めねじ
14:栓おねじ
15:大Oリング
16:小Oリング
17:中蓋の平面部
18:栓の平面部
19:原水給水口の配置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有し原水を貯留する内部容器と、前記内部容器の底部に装着し原水を浄化するカートリッジと、上部に開口を有し前記内部容器を固定して前記カートリッジで浄化された浄水を貯留する本体容器と、前記本体容器の開口に装着する栓とを有する浄水器であって、前記栓で前記本体容器を密閉するための本体容器密閉手段と、前記内部容器の開口を密閉する中蓋とを有し、前記中蓋には原水給水口が設けられ、前記栓で前記本体容器を密閉するときに前記原水給水口を密閉する原水供給口密閉手段を有することを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記本体容器密閉手段は、前記本体容器または前記栓のいずれか一方に形成されためねじと、他方に形成されたおねじと、本体容器シール部材とであることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
本体容器密閉手段は、おねじとめねじの回転動作により前記栓を前記本体容器に対し上下方向に移動させ、前記本体容器シール部材を上下方向に圧縮することで密閉するものであることを特徴とする請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記中蓋は少なくとも前記原水給水口周縁に平面部を有すると共に、前記栓は少なくとも前記中蓋の平面部に対向する平面部を有し、前記栓による前記原水給水口の密閉は、前記両平面部の間に配置される原水給水口シール部材を前記両平面部により圧縮することでなされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器。
【請求項5】
前記本体容器は前記浄水の注ぎ口を有し、前記原水給水口は、中蓋の水平方向において前記注ぎ口から離れる方向の偏向した位置に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の浄水器。
【請求項6】
前記栓は、外面に持ち手を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232232(P2012−232232A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100818(P2011−100818)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】