説明

浮動状態で支持されるパンチ(スタンプ)を備えた打抜き工具

【課題】移動可能に支持された打抜き工具において、高い精度要求が満たされる、工具の提供。
【解決手段】ダイ16に対する打抜きパンチの精密なアラインメントのために、それぞれの打抜きパンチは、浮動状態に、すなわち、当該打抜きパンチが付随するヘッドプレート8に、横方向に移動可能ように支持される。ダイの切刃についての打抜きパンチの切刃のアラインメントは、打抜きパンチとダイとの間で直接働き、作用する切刃に対し横方向の精密な相対的位置決めを行う、少なくとも一つのパンチ・ガイド装置により達成される。パンチ・ガイド装置は、例えば、長方形、円筒状または多角形の輪郭の横断面をもつセンタリング部材を備える。センタリング部材は、打抜きパンチから母型すなわちダイまで伸びてもよい。あるいは、センタリング部材は、ダイから打抜きパンチの開口まで伸びる、あるいは、当該打抜きパンチの滑りまたは位置決め表面に沿って延びてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コーティングされた連続箔のエッジを切り取るための、箔加工設備において使用される、打抜き工具に関する。
【背景技術】
【0002】
箔加工設備においては、ときとして移動する打抜き工具が使用される。コイル材の形で提供される箔材は、材料送り方向に連続的に前進する。打抜き工具は、上型と下型とからなり、上型は箔材より上に配置され、そして下型は箔材の下に配置される。打抜き動作を実行するために、閉じる打抜き工具は、当該箔材とともに箔材の動きに同期して動かされる。打抜きストロークが完了したあと、打抜き工具は開き、続いて再び定位置に後退する。従って、打抜き工具は開閉動作だけでなく、加えて前後への動作を、箔の搬送方向にそしてそれに対向して、またはワーク搬送方向に対向して、行う。各場合において、打抜きユニットは、打抜き動作の間、通過する箔とともに動く。その後、打抜き工具は、次の箔区間を機械加工するために、その元の位置に開かれた状態で戻る。
【0003】
打抜き工具が支持体に装着され、機械フレームと堅く連結されておらず、むしろ連続して前後方向への動作を行うので、加速力が打抜きパンチ(スタンプ)およびダイ(切断プレート)に作用し、不正確さの問題が生じる。薄くデリケートな箔を打ち抜く場合、および/または、実行される打抜きカットの精度あるいはそれらの品質に関し、特に高度な要求がある場合には、要求される打抜き動作の精度を保障することが困難となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これを正し、そして特に移動可動に支持された打抜き工具において、高い精度要求が満たされる方策を述べることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の打抜き工具により達成される。
【0006】
本発明の打抜き工具は箔機械加工、特に薄い金属シートまたは金属箔の機械加工に特に適する。本発明の打抜き工具により、例えば、最も高い精度要求、高速な打抜き速度、問題のある箔素材および/または打抜き工具等の長さ方向の前後へ連続動作などによる困難な条件下でも、高い機械加工精度が達成できる。例えば、加工される箔素材は、高出力充電式電池に使用される箔でもよい。この箔は、コバルト/グラファイト混合物でコーティングされた銅箔でありうる。典型的厚みは、例えば、0.2mmであり、その場合銅層はわずか0.01mmの厚さである。この箔の加工では、極めて鋭く研がれた打抜きパンチが使用され、非常に狭い切断ギャップ(クリアランス)が維持されることが必要となる。これは本発明により、打抜き工具が、始めに説明したように、打抜き動作を実行するために箔とともに動かされ、続いてその定位置に戻される、すなわちその打抜き動作に加え、当該打抜き工具が箔搬送方向に前後動作を行う場合であっても、達成される。
【0007】
打抜き工具は、打抜きストローク方向に直角に配向された少なくとも1の横方向に移動可動な、ヘッドプレートに結合された少なくとも一つの打抜きパンチを備える。打抜きパンチとヘッドプレートとの間に存在する遊びは、パンチの横位置をヘッドプレートから自由にする。従って、パンチは、ヘッドプレートにより浮動状態に支持される。ここで付随するダイ穴(打抜き開口)に対するパンチの位置決めは、もはやフレームにはよらず、打抜きパンチとダイとの間で直接作用するパンチ・ガイド装置による。この方法によると、パンチとダイとの間の相対的な位置決めが、極めて正確に達成でき、すなわち、ワークの搬送方向に打抜き工具全体が連続して前後動することによるパンチまたはダイの加減速動作とは無関係となる。従って、高速動作においても高い精度が達成される。しかしながら、極めて高い精度が達成されなければならない場合であれば、本発明は、動いている打抜き工具への使用だけでなく、動いていない打抜き工具の使用のためにも適していることが指摘される。また、ヘッドプレート上のパンチを堅固な方法で支持して、ダイまたはダイ部をパンチに対して横方向に移動可能なように支持することもきる。また、パンチ・ガイド装置は、パンチ、そしてダイまたはそれらの切刃の正確な相対アラインメントを実現する。
【0008】
打抜きパンチは、ワーク搬送方向に直角な横方向に、移動可能に支持されるのが好ましい。その際、打抜きパンチは、摺動ガイドに保持されうる。通過するコイル材または他のワークのエッジが切ら取られる場合、互いに独立に浮動状態に支持された2つのパンチは打抜き工具の適当な位置に設けられ、当該パンチの各々は当該横方向に移動可能に保持される、すなわち、それらは(横方向の)隙間(クリアランス)をもつ。2つのパンチのパンチ・ガイド装置は、ダイ上のパンチを案内し、それにより夫々のパンチと夫々のダイ穴との間の適切な相互作用を確実にし、そして、加えて、ワーク上のパンチに設けられた2つの切刃の距離が確実に正確に維持されるようにも働く。
【0009】
打抜き工具は、2つの対向する側面に通路開口を備えるのが好ましく、それによってコイル材のワークは、当該通路開口を通って打抜き工具に出入りすることができる。パンチ・ガイド装置は、通過するコイル材のワークの横隣に、すなわち、ワーク通路スペースの外側に配置されるのが好ましい。これにより、パンチ・ガイド装置の継続的な係合が可能となる。当該パンチ・ガイド装置は、例えば、線形ガイドとして構成してもよい。線形ガイドは、多角形、長方形、または異なった形の横断面をもつ一つ以上の丸められたピン(ボルト、柱)で作成することができ、当該ピンは、対応するガイド穴と係合する。例えば、ピンはパンチに設けてもよく、そして、ガイド穴はダイに設けられてもよい。この装置は、また、逆でもよく、すなわち、ガイド・ピンはダイに配置されてもよく、そして、付随するそれぞれ割当られるガイド穴はそれぞれのパンチに配置されてもよい。これは、可動パンチおよび静止ダイを備えている実施態様にも、静止パンチおよび可動ダイを備える実施態様にも、両方にあてはまる。しかしながら、いずれにしても、ガイド・ピンおよびガイド穴は継続的に係合した状態にあることが好ましい。換言すれば、ガイド・ピンは、打抜き工具の打抜きストロークより長いことが好ましい。加えて、ガイド穴のガイド・ピンは、好ましくは、横方向ガイドとしてだけでなく、必要に応じて、側方力ガイドとしての働きもする。換言すれば、ガイド装置は1度だけの自由度をもち、これが打抜きストローク方向の動きであることが好ましい。
【0010】
換言すれば、パンチ・ガイド装置は、案内方向が打抜き方向と一致する線形ガイド装置である。達成されるべき精度からみて、線形ガイド装置のあそびは、できる限り最小に保たれるべきである。
【0011】
ガイド・ピンまたは線形ガイド装置のいかなる他のガイド本体は、打抜きパンチの一体部分であってもよく、すなわち、当該打抜きパンチと同じ素材で、継ぎ目なく作成されてもよい。しかしながら、ガイド本体は、別々の部材として設計され、例えば、はんだ付け、溶接またはねじ止めによって、パンチに永久的に接続されるのが好ましい。
【0012】
本発明の有利な実施態様の更なる詳細は、図面および/または記載と同様に請求の範囲の主題である。その際記載は、発明の特徴および他の詳細を示唆する、本発明の例示的実施形態の説明に限定される。図面は、補助的に参照されるものとする。実施態様からの逸脱は、特許請求の範囲の範囲内で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の打抜き工具の概略側面図。
【図2】図1の打抜き工具の、わずかにより詳細な分解斜視図。
【図3】図2の打抜き工具の下側部分の斜視図。
【図4】図2の打抜き工具の上側部分の独立した斜視図。
【図5】図2の打抜き工具の打抜きパンチとダイの分解斜視図。
【図6】図5のダイおよび打抜きパンチの別の分解斜視図。
【図7】図5および図6の、ダイおよび打抜きパンチの係合した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、特定の輪郭を打抜くために使用される、または、好ましいケースとしては、通過する連続ワーク2、例えば、箔材3の形態のワーク、の長手方向エッジを切り取るために設置された、打抜き工具1を示す。これは、非金属箔、金属箔、単一の素材からなる箔またはいくつかの異なった材質から成る箔、例えば、多層箔であってよい。例えば、箔は、銅、コバルトおよび黒鉛の、または、コバルトおよび黒鉛の混成の層からなる積層箔でもよい。
【0015】
ワーク2は、矢印により示されるワーク搬送方向4に、特に例示しない搬送手段により、打抜き工具1を通り一定の速度で連続的に動かされることが好ましい。その際、打抜き工具1は、ワーク2に、例えば長手方向エッジの、例えば一以上のエッジを切り取るための、打抜き動作を実行する。そのために、矢印5により示されるように、打抜き工具1は、打抜き動作の間ワーク搬送方向4に、ワーク2とともに動かされる。これに対し、打抜き工具1が開いている場合は、打抜き工具1はワーク搬送方向4と反対にその定位置に戻され、同じ動作サイクルが改めて開始される。そのため、打抜き工具1は、ワーク搬送方向4に平行に、前進後退の動作をする。
【0016】
打抜き工具をワーク搬送方向4に、そしてそれと反対方向に動かし、また打抜き工具を開閉するための手段は、図1には示されていない。これは、打抜き工具を開閉し、そして、さらに、上述の前進後退動作をもたらすことができる、適切に装備された打抜き機に関する。
【0017】
打抜き工具1は、ベースプレート7とヘッドプレート8とを含むフレーム6を備える。ヘッドプレート8は、図1の矢印により示されるように、ベースプレートに対して、すなわち、打抜きストローク方向9に、ベースプレートの方へ向うように、そしてそこから離れるように動かされうる。ヘッドプレート8は、ヘッドプレート8がベースプレート7に対して適切な相対運動が与えられるように、特に図示しない打抜き機または対応する機械部分10のラムと連結される。対照的に、ベースプレート7は、打抜きストローク方向9に対して動かない支持体11で支えられるが、この支持体は、矢印5により示される機械部分10のように、さらに移動可能である。すなわち、動作の関係は逆であってもよく、パンチは静止し、そして、ダイが打抜きストローク方向9に移動可能であるよう設置されても良い。
【0018】
ガイド支柱12、13、14、15(図2および図3も参照)はベースプレート7から上方へ延び、それらのガイド支柱はヘッドプレート8のための案内として作用することが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。そのために、当該ヘッドプレートは、ガイド支柱12〜15上で摺動できるための、それに合うガイド穴を有する。
【0019】
ベースプレート7は、ダイ16(図2)を支持する。このダイは、ベースプレート7と堅く結合されるのが好ましい。あるいは、このダイ16はベースプレート7の一部として構成されてもよい。ダイ16は、一体として作成してもよい。しかしながら、ダイ16が別々の部品、すなわち、ワーク3の一方のエッジに当接する第1のダイ18、反対側のエッジに当接する第2のダイ19、そして、ワーク3の支持体の働きをする、間に入った支持板20、に分けられることが好ましい。ダイ18、19および支持板20各々は、同一平面に位置する平坦な上面を有することが好ましい。ダイ18、19と支持板20との間の突合せ接合は、図2の破線で示される。
【0020】
加えて、ダイ18、19は、所望の打抜き輪郭にならう輪郭をもつ、ダイ穴(打抜き開口)21、22を備える。図2の実施態様において、2つのダイ穴21、22は、細長い形をもち、ワーク搬送方向4と平行に配向される。しかしながら、例えば別の打抜き輪郭を形成するために、異なったダイ穴の形が選択されてもよい。
【0021】
ダイ穴21、22は、例えば、図4から明らかなように、打抜きパンチ23、24と係合する。これらの打抜きパンチ23、24は、ヘッドプレート8に保持される。それらは、ダイ穴21、22に一致する作用(アクティブ)輪郭を有し、そして、当該輪郭を有するダイ穴21、22に陥入する。その際、当該穴は、ダイのダイ穴21、22と共に、極めて密着した、正確な切断ギャップ(クリアランス)を定める。
【0022】
また、図4により示されているように、押さえ(ホールドダウン)・プレート25を打抜きパンチ23、24の間に配置することができ、その場合、それらの好ましくは平坦な底面は、打抜き動作の間、ダイ16、すなわち、ダイ18、19および支持体プレート20に対して、箔または他のワーク2を押圧するよう配置される。そのために、押さえプレート25は、打抜きストローク方向9にシフト可能であり、そしてダイ16の方へ適切なばね手段により付勢されるよう、対応するガイド26、27、28、29で支えられている。押さえプレート25は、輪郭が打抜きパンチ23、24に適合した、開口またはエッジ側の凹所を備える。
【0023】
打抜きパンチ23、24は、図5、図6および図7について、またダイ18に関連してそこに示される打抜きパンチ23について後述するように、浮動、すなわち、横に可動するように支持される。しかしながら、以下の記載は、打抜きパンチ24およびダイ19にも同様にあてはまる。
【0024】
打抜きパンチ23は、摺動ガイド58、59の2つの相対配置された側面56、57に保持される。これらは、図5に示されるボルト32、33、34、35によって、しっかりとヘッドプレート8にネジ止めされた摺動片30、31を備える。摺動片30、31の各々は、ガイドリブ36、37を有する。2つのガイドリブ36、37は、互いに平行に延び、互いに向き合う。それらは、ヘッドプレート8から定められた距離に配置され、打抜きパンチ22の側面56、57の端面に設けられた溝38、39と係合する。リブ36、37は、溝38、39中での最小限のクリアランスを有する。このクリアランスは、Y方向と同様にX方向に設けられてもよい。加えて、ヘッドプレート8に対して摺動片30、31により付勢されることなく、打抜きパンチ23の上側の、好ましくは平坦な圧力面40が、ヘッドプレート8に対し当接できるように、ヘッドプレートからのリブ36、37および溝38、39の距離は、互いに一致する。この場合、打抜きパンチ23は、ワーク搬送方向4に対して直角な方向に配向された、横方向41に移動可能であり、そして、さらに、ワーク搬送方向4にも移動可能である。説明のため、図5に対応する方向が示される。通常、説明上、ワーク搬送方向4はY方向に見て、そして横方向41はX方向に見るように、当てはめることができる。打抜きストローク方向9は、Z方向である。X、YおよびZは、デカルト座標系を形成し、それらは互いに直角で一対ずつ配置される。
【0025】
摺動ガイド58、59は、X方向(横方向41)への摺動可動性だけでなく、必要に応じて、Y方向(ワーク搬送方向4)への可動性をも、オプションとして、備えてもよい。摺動可動性が、与えられた1つの与えられた方向においてだけに、例えば、横方向41であるように、摺動ガイド58、59は、相互に、そして打抜きパンチ23に整合されてもよい。
【0026】
少なくとも一つのパンチ・ガイド装置42は、ダイ18に対するパンチ23のアライメントのために設けられており、当該パンチ・ガイド装置は、場合により線形(直線型)ガイド43であるか、または、同じような働きをする手段である。本件の例示的実施形態においては、線形ガイド43は、ガイド本体44およびガイド穴45を備える。本件の例示的実施形態においては、第2のパンチ・ガイド装置46が設けられており、当該パンチ・ガイド装置は、同じく線形ガイドで、ガイド本体47と合致するガイド穴48とを備えている。
【0027】
図5は、2つのパンチ・ガイド装置42、46の分解図である。これは図6の分解図によっても示される。明らかなように、2つのガイド本体44、47は長方形のピンとして設けられる。ガイド穴45、48は合致する長方形の穴であり、好ましくは一定の横断面を有する。ガイド本体44、47は、打抜きパンチ23にネジで留められるのが好ましい。ガイド穴45、48は、ダイ穴21のすぐ近くに配置されるのが好ましくい。
【0028】
実施例で横断面が長方形のガイド本体44、47の各々は、少なくとも2つのガイド面を備え、その各々は、ワーク搬送方向4(Y方向)と平行に配向されるのが好ましい。従って、これらの表面は、Y−Z平面に位置するのが好ましい。対応するガイド面は、ガイド穴45、48に設けられる。図7から特に明らかなように、打抜きパンチ23はパンチ・ガイド装置42、46によって、ダイ18およびそのダイ穴21に対して、横方向41にガイドされる。
【0029】
本件の例示的実施形態においては、機械加工精度にとって重要なダイ17の切刃は、ダイ穴21のエッジ49、50、51であって、当該エッジはワーク搬送方向4と平行に配向する(図5)。打抜きパンチ23は、これらのエッジ49〜51の横方向に、浮動、すなわち、移動できるように支持される。パンチ・ガイド装置42、46は、エッジ49、50、51に関して直角方向に、特にこの方向に打抜きパンチ23を配置する。
【0030】
一般的な言い方では、パンチ・ガイド装置42および、オプションにより、同様にパンチ・ガイド装置46(存在する場合)は、ダイ穴21のエッジまたはエッジの横方向に浮動するように支持された打抜きパンチを正確に位置させるように構成され、それにより所望の機械加工精度および非常に狭く定められた切断ギャップ(クリアランス)が調整されることとなる。それぞれのダイ穴の精度を定めている切刃が傾きを持つ場合であっても、打抜きパンチ23はまた、この切刃に対して、例えば、X―Y方向で、好ましくは直角で、横方向に移動可能であるように支持され、それにより、当該打抜きパンチの位置は、それゆえ切刃に対して、パンチ・ガイド装置によって、正確に定められる。
【0031】
ガイド本体44、47の長さは、すなわち、打抜きストロークの間でも、また復帰ストロークの間でも、いずれの場合でも、当該ガイド本体が、それらに付随するガイド穴45、48から飛び出さないような長さである。あるいは、当該ガイド本体がワークへ道をあける必要がある場合は特に、ガイド本体44、47はより短く、ガイド穴45、48から飛び出す物でも良い。その場合、当該ガイド本体は、それらの前側に、例えば適切に傾斜した表面の形の挿入補助具を有する。加えて、ガイド本体44、47には、図に示すように、ガイド本体44、47の外周に延びる潤滑溝が設けられてもよい。代わりに、または追加で、ガイド穴45、48に潤滑溝を設けてもよい。
【0032】
これまで説明した打抜き工具は、以下のように機能する。
【0033】
運転中、ヘッドプレート8は、連続的に打抜きストローク方向9に上下動を行う。下方へのストロークの間、打抜き工具1は、ワーク搬送方向4のワーク2に同期して動かされる。打抜きパンチ23、24がダイに18、19に陥入し、そして所望の打抜き動作を実行する。打抜きパンチ23、24をそれぞれ有効な切刃について横方向に位置決めし、図5では、切刃49、51(そして、オプションにより50)は、直接それぞれのダイ18(そして、同様に19)から、パンチ・ガイド装置42、46によって、外へ抜き出される。ヘッドプレートの案内の本来的な不正確さは、当該不正確さは支柱12から15に起因するが、打抜き動作の精度に影響を与えない。従って、切断ギャップ(クリアランス)は、フレーム6により与えられる精度より実質的に高い精度で調整されうる。
【0034】
ダイに対する打抜きパンチの正確なアラインメントのために、それぞれの打抜きパンチ23は、浮動状態で、すなわち、当該打抜きパンチが付属するヘッドプレート8に、横断方向に移動可能なよう、支持される。ダイ18の切刃49、50、51に対する打抜きパンチの切刃のアラインメントは、少なくとも一つのパンチ・ガイド装置42により達成される。それは、打抜きパンチ23とダイ18の間に直接作用し、有効切刃に横方向に正確な相対位置決めを行う。パンチ・ガイド装置42は、例えば、長方形、円筒状、あるいは多角形の輪郭をもつ横断面を有するセンタリング部材からなる。
【0035】
センタリング部材は、打抜きパンチ23から母型すなわちダイ18を通って延びてもよい。あるいは、センタリング部材は、ダイ18から打抜きパンチ23の開口まで伸びるか、あるいは当該打抜きパンチの滑りまたは位置決め表面に沿って延びてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 打抜き工具
2 ワーク
3 箔
4 ワーク搬送方向
5 矢印
6 フレーム
7 ベースプレート
8 ヘッドプレート
9 打抜きストローク方向
10 機械部分
11 支持体
12−15 ガイド支柱
16、18、19 ダイ(切断プレート)
20 支持体プレート
21、22 ダイ穴(打抜き開口)
23、24 打抜きパンチ
25 押さえプレート
26、27、28、29 ガイド
28、29 摺動ガイド
30、31 摺動片
32−35 ピン(柱)
36、37 リブ
38、39 溝
40 圧力範囲
41 横方向
42、46 パンチ・ガイド装置
43 線形ガイド
44、47 ガイド本体
45、48 ガイド穴
49−51 エッジ
56、57 側面
58、59 摺動ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート(7)およびヘッドプレート(8)を含み、当該ヘッドプレートは、当該ベースプレート(7)に対して打抜きストローク方向(9)に、当該ベースプレートに向かい、そして当該ベースプレートから離れて、移動可能なように支持された、フレーム(6)と、
当該ヘッドプレート(8)に結合された、少なくとも一つの打抜きパンチ(23)と、
当該ベースプレート(7)に配置された、またはその中に設けられたダイ(18)と
を含み、
当該打抜きパンチ(23)と当該ダイ(18)との間に、打抜きストローク方向(9)の直角方向に配向された少なくとも一つの横方向(41)への可動性が与えられ、
さらに、当該ダイ(18)と少なくとも一つの当該打抜きパンチ(23)との間で動作するパンチ・ガイド装置(42)が設けられた、
特に箔の機械加工のための、打抜き工具(1)。
【請求項2】
前記打抜きパンチ(23)が動くことのできる前記横方向(41)は、ワーク搬送方向(4)に対して横方向に配向され、コイル材のワークは、好ましくは打抜き工具(1)を通って当該ワーク搬送方向に移動するか、または前記ダイ(18)の切刃(49、51)の直角方向に向く方向に移動する、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項3】
前記打抜きパンチ(23)が遊びをもつ前記横方向(41)は、好ましくは前記コイル材の前記ワーク(2)が前記打抜き工具を通って移動する前記ワーク搬送方向(4)に平行であるかそれに近いように配向される、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項4】
前記打抜きパンチ(23)は、前記打抜きストローク方向(9)に直角に配向する2つの横方向(x、y)に移動可能であるよう、前記ヘッドプレート(8)に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項5】
前記フレーム(6)は、前記ワーク搬送方向の2つの対向する側面に開いている、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項6】
前記パンチ・ガイド装置(42)は、前記ワーク搬送方向(4)に対して横方向に、前記打抜きパンチ(23)から距離をもって配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の打抜き工具。
【請求項7】
前記各打抜きパンチ(23、24)は、場合により追加される打抜きパンチとは別に、前記ヘッドプレート(8)と、少なくとも一の横方向(x)に可動に連結され、当該方向は前記打抜きストローク方向(9)に直角に配向される、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項8】
前記各打抜きパンチ(23、24)は、個別に1つの前記パンチ・ガイド装置(42、46)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項9】
前記パンチ・ガイド装置(42)は、前記ダイ(18)と前記打抜きパンチ(23)との間に配置された少なくとも一つの線形ガイド(43)からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項10】
前記打抜きパンチ(23)は、いくつかの前記パンチ・ガイド装置(42、46)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項11】
前記線形ガイド(43)は、連続係合にある、ことを特徴とする請求項9に記載の打抜き工具。
【請求項12】
前記線形ガイド(43)は、摺動ガイドである、ことを特徴とする請求項9に記載の打抜き工具。
【請求項13】
前記線形ガイド(43)は少なくとも一つのガイド本体(44)からなり、当該ガイド本体(44)はガイド穴(45)を通って延びる、ことを特徴とする請求項1に記載の打抜き工具。
【請求項14】
前記ガイド本体(44)が前記ガイド本体部の少なくとも2つの対向する側面に配置されるガイド表面をもち、当該ガイド表面は前記ガイド穴(45)の滑り面に当接する、ことを特徴とする請求項13に記載の打抜き工具。
【請求項15】
前記ガイド穴(45)は前記ダイ(18)に設けられ、前記ガイド本体(44)は前記打抜きパンチ(23)に配置される、ことを特徴とする請求項13に記載の打抜き工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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