説明

浮遊物除去装置

【課題】 浮遊物を滞りなく捕捉し、捕捉した浮遊物を効率良く外してスムーズに排出路へ移送排出することができる新規の浮遊物除去装置を提供する。
【解決手段】 エンドレス回転を行うことで水中の浮遊物を捕捉すると共に該捕捉浮遊物を水面より上になる位置に搬送するネット等よりなる主除去用回転柵と、該主除去用回転柵が捕捉した捕捉浮遊物を受け取ってこれを排出路に送る受け台と、上記主除去用回転柵と協働して捕捉浮遊物を持ち上げて受け台の上に移し載せる補助持ち上げ装置と、除去用回転柵に引っ掛かったまま外れずに受け台より上に上がってしまった捕捉浮遊物を受け台上に落す水噴射装置と、受け台に捕捉浮遊物の細断用水噴射装置を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所や工場等で使用される冷却水の取水口近傍に浮遊する大型クラゲや木片、排プラスチック等の夾雑物などの浮遊物を除去する際に使用する浮遊物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷却水として海水を使用する発電プラントでは、海中へ戻される温排水によりクラゲが発生して冷却水の取水口を詰まらせ、冷却水の取水制限をせざるを得ない状況となる問題があった。このような問題を解消するために、従来次のような種々の装置が案出されている。しかしながら、充分に対応できていない。特に、最近では傘の直径が2m、重さ150Kgを越える超巨大な「エチゼンクラゲ(学名:Stomolopus−Nomurai)」の発生が漁業への深刻な影響だけでなく、発電プラント等においても問題となっている。
【0003】
・ 最終的に海中へ戻される海水の温度を低く抑え、クラゲの発生を防止する発電プラント(特許文献1参照)。
・ 海水の取水口に張設された網に付着したクラゲを、海洋側へ噴出する水流により海洋側へ押し流して防止するクラゲ流入防止装置(特許文献2参照)。
・ 海水に含まれるクラゲを粉砕し、その固形分を薬注処理で凝集沈澱させて分離した排水を公共用水域に排出するクラゲの処理装置(特許文献3参照)。
・ カーテンウォールと該カーテンウォールの外面に沿う沿壁流によりクラゲ貯留域に収集するクラゲ流入防止装置(特許文献4参照)。
・ クラゲ侵入防止ネットに可動カーテン部を設けて取水用の開口量を確保するクラゲ流入防止装置(特許文献5参照)。
・ クラゲをはじめとする海生物やゴミを検知し、連続的且つ自動的に無人で大容量の除塵槽へ移送できるようにした海水取水設備(特許文献6参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平08−338204号公報
【特許文献2】特開平10−245834号公報
【特許文献3】特開2004−255313号公報
【特許文献4】特開2004−278144号公報
【特許文献5】特開2004−225482号公報
【特許文献6】特開2004−232379号公報
【0005】
本発明者は、上記の問題を解決すべく上記の諸例を分析するうち、以下のごとき結論に達した。
【0006】
すなわち、水中の邪魔な浮遊物を効率良く除くためには、
(1)浮遊物を滞りなく捕捉すること、
(2)捕捉した浮遊物を効率良く外し、スムーズに排出路へ移送すること、
の二つの動き(作業)が連動してスムーズに行われなければならない。
【0007】
要するに、上記(1)の点のみに重きがおかれ、(2)の点が充分留意されていない装置にした場合には、浮遊物がある程度多くなると、処理しきれない浮遊物が装置内にたまり、結局装置全体の停止に追い込まれるおそれがある。してみると、上記(1)と(2)をうまく連動させた装置にすべきである。
【0008】
なお、本出願人は、後述する、エンドレス状態で回転して浮遊物を捕捉すると共に、該捕捉浮遊物を水面より上になる位置に搬送する主除去用回転柵を特化して、先行技術を調査したが、関連する先行技術文献を見出すことができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、浮遊物を滞りなく捕捉すること、及び捕捉した浮遊物を効率良く外し、しかも捕捉した浮遊物を受け取って排出路へ送るための受け台には大型クラゲ等の水中浮遊物を細かく裁断した上で、スムーズに排出路へ移送排出することができる新規の浮遊物除去装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る浮遊物除去装置は、エンドレス状態の回転を行うことで大型クラゲ等の水中の浮遊物を捕捉すると共に該捕捉浮遊物を水面より上になる位置に搬送する主除去用回転柵と、該主除去用回転柵が捕捉した捕捉浮遊物を受け取ってこれを排出路に送る受け台とを備えたことを特徴する。
【0011】
さらに、上記主除去用回転柵と協働で捕捉浮遊物を持ち上げて受け台の上に移し載せる補助持ち上げ装置を備えた構成としたり、除去用回転柵に引っ掛かったまま外れずに受け台より上に上がってしまった捕捉浮遊物を受け台上に落す水噴射装置を備えた構成にしたり、受け台に捕捉浮遊物の細断用水噴射装置を設けた構成としてもよい。
【0012】
また、上記細断用の水噴射装置は、細断用水の噴射と停止を制御するよう設定された制御手段を備え、細断用水の噴射面が複数の区画に区分されていて、細断用水の噴射と停止を制御する制御手段が上記の区分された単一もしくは複数の区画を制御単位として細断用水の噴射と停止を制御するように設定することができる。
【0013】
さらに、上記の前記制御手段は、上記捕捉浮遊物の存在を感知するセンサーと、前記細断用水噴射装置へ細断用水を供給する送水路に介設された電磁弁と、前記センサーの感知信号に基づいて前記電磁弁を通電開放すると共に、事前に設定された時間の経過もしくは前記センサーの感知対象の消失をもって前記電磁弁を閉鎖するよう設定された制御回路とから構成するようにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る浮遊物除去装置は、エンドレス状態の回転を行うことで水中の浮遊物を捕捉すると共に該捕捉浮遊物を水面より上になる位置に搬送する主除去用回転柵と、該主除去用回転柵が捕捉した捕捉浮遊物を受け取ってこれを排出路に送る受け台とを備えているので、たとえば、図1に示すように、引込み水路と取水路がL状に交差された個所に設備された場合には、引込み水路の海水は、主除去用回転柵内に側面から流入したのち、同柵の壁面にある目(孔)を介して取水路に送水され、そして該送水中には、流水圧により海水の中の浮遊物は、流水圧による押し付け力により主除去用回転柵の壁面内側に引っ掛って捕捉されると共に該捕捉浮遊物は、主除去用回転柵の回転により水面より上になる位置に搬送され、受け台を介して排出路に送られるから浮遊物除去を効率よくできることは勿論であるが、特に、主除去用回転柵に引っ掛かった捕捉浮遊物により所謂目詰まりが起きて取水路への送水が滞ることがなく、発電所や工場等に安定した送水ができる。
【0015】
さらに、主除去用回転柵と協働で捕捉浮遊物を持ち上げて受け台の上に移し載せる補助持ち上げ装置が備えられているので、主除去用回転柵により捕捉された捕捉浮遊物は、受け台の高さまで確実に持ち上げることができるから、受け台には捕捉浮遊物を効率よく移送することができる。
【0016】
また、除去用回転柵に引っ掛かったまま外れずに受け台より上に上がってしまった捕捉浮遊物を受け台上に落す水噴射装置を備えているので、受け台には、主除去用回転柵により捕捉された捕捉浮遊物をより効率よく移し載せることができる。
【0017】
また、受け台には、捕捉浮遊物の細断用の水噴射装置が設けられているので、大型のクラゲのような捕捉浮遊物の除去処理も効率的かつ容易に行うことができる。
【0018】
しかも、この細断用の水噴射装置は、細断用水の噴射と停止を制御するよう設定された制御手段を備え、細断用水の噴射面が複数の区画に区分されていて、細断用水の噴射と停止を制御する制御手段が上記の区分された単一もしくは複数の区画を制御単位として細断用水の噴射と停止を制御できるように設定しておき、該制御手段として、例えば上記捕捉浮遊物の存在を感知するセンサーと、上記細断用水噴射装置へ細断用水を供給する送水路に介設された電磁弁と、上記センサーの感知信号に基づいて上記電磁弁を通電開放すると共に事前に設定された時間の経過もしくは上記センサーの感知対象の消失をもって前記電磁弁を閉鎖するよう設定された制御回路とを備えていれば、上記センサーが捕捉浮遊物を感知したときに、設定された所定区画内の細断用水噴射パネルだけから細断用水を高圧噴射させることができるので、不必要な部分からの細断用の水噴射がなくなり、効果的であり、コスト的にも経済的となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る浮遊物除去装置を図1〜図3に基づいて説明する。なお、図1は全体の概略を示す平面図であり、図2は同じく側面図であり、図3は受け台の要部を示す概念図である。
【0020】
この実施の形態に係る浮遊物除去装置は、運転装置1によりエンドレスの回転を行うことで水中の浮遊物3aを捕捉すると共に該捕捉浮遊物3bを水面より上になる位置に搬送する短い筒状の主除去用回転柵2と、該主除去用回転柵2が除去した捕捉浮遊物3bを受け取ってこれを排出路4に送る受け台5と、上記主除去用回転柵2と協働で捕捉浮遊物3bを持ち上げて受け台5の上に移し載せる補助持ち上げ装置6とを備えている。なお、補助持ち上げ装置6は、主除去用回転柵2と同じ速度及び方向で作動するエンドレスの連続体にしてある。
【0021】
そして、上記実施の形態に係る浮遊物除去装置は、冷却用水として海から海水を引き込む引込み水路7と発電所(工場)に導入する取水路8がL状に交差された個所に設備されている。従って、引込み水路7の海水は、主除去用回転柵2内に側面から流入したのち、同柵2の壁面にある目(孔)を介して取水用路8に送水される。
【0022】
上記の送水中には、海水の中の浮遊物3aは、流水圧による押し付け力により主除去用回転柵2の壁面内側に引っ掛って捕捉されると共に該捕捉浮遊物3bは、主除去用回転柵2の回転により水面より上になる位置に搬送される。
【0023】
なお、水面より上になる位置に搬送する場合には、主除去用回転柵2を動かすだけでは、次のような問題が往々にして起きることがある。
【0024】
すなわち、主除去用回転柵2の回転により水面に到達した捕捉浮遊物3bの中には、弱い力で捕捉されているものも多く、水面の波立ちや外気との接触等により所謂バラケを起して積み重なりの塊り状態を呈し且つ主除去用回転柵2の壁面に纏まり付く状態を呈して水面上に空転の状態で浮き留まることになるものも少なく無い。この浮き留まったものが多くなると、該浮き留まったものが、主除去用回転柵2の壁面に強い力で捕捉されている捕捉浮遊物3bを掻き取り落とすことにもなるので好ましくなく、さらに進行すると装置が機能不全を惹起することにもなり兼ねない。
【0025】
そこで、上記実施の形態に係る浮遊物除去装置は、上記機能不全を惹起し兼ねない問題を補助持ち上げ装置6を設けて解決するようにしてある。
【0026】
すなわち、該実施の形態に係る浮遊物除去装置は、主除去用回転柵2と同じ方向及び同じ速度で回転する補助持ち上げ装置6を、図示のごとく主除去用回転柵2に対設し、そして該補助持ち上げ装置6と主除去用回転柵2との協働で上記の浮き留まった捕捉浮遊物3b及びその近接水面の浮遊物3cを前後より挟み込んで持ち上げて、受け台5の上に移し載せるようにした。
【0027】
なお、上記の除去用回転柵2は、海水の通過は許容するが、同海水の中の浮遊物3aは水流圧により捕捉するものであればよく、例えばメッシュベルト材による構成、ネットの縁を無端条部材に止着した構成、ネットを枠に張った小部材、丸孔や長孔等の孔開き板を枠に張った小部材、多数本の棒を枠に所定間隔で渡し設けた小部材等を所要個数までキャタピラー状に連結してエンドレスにされた構成、その他の構成にされたものを適宜使用することができる。
【0028】
また、上記の受け台5は、適当な支持架台(図示せず)により水面の上方に傾斜した状態で支持され、上記除去用回転柵2及び補助持ち上げ装置6の協働作業により受け取った捕捉浮遊物3bを上記傾斜により排出路4に移送する。なお、この受け台5は、浮力で適切な位置を保つようにしてもよい。
【0029】
さらに、上記の除去用回転柵2は、水底より水面に向かう方向に移動する部分2bを下流側に倒れた傾斜状態で進行する構成にすることにより、水面に近いところに水中浮遊物3aが集まり易いようにし、これにより上記の持ち上げ機能をより良い状態にするようにしてある。
【0030】
また、上記除去用回転柵2の上方部分2aには、捕捉浮遊物3bが除去用回転柵2に引っ掛かったまま外れずに受け台5より上に上がってしまう場合に備えて、捕捉浮遊物3bを受け台5上に落ち易くする水噴射装置9が設けられ、水の力で捕捉浮遊物3bを外して落すようにしてある。
【0031】
さらに、上記実施の形態に係る浮遊物除去装置は、受け台5の上に移送された捕捉浮遊物3bを基本的には該受け台5の傾斜を利用して水流で押し流す方法を採用しているが、最近問題となっている「エチゼンクラゲ」等の大型クラゲにはこれだけでは充分には対処できないおそれがあるので、更に次のように構成することができる。
【0032】
一例として説明すると、受け台5に直径1mmの小孔10を縦横10cm間隔で多数設けて、これら各小孔10から強い水圧(例えば30気圧程度)で水を噴出させる。噴出方向は、図3に示すように、下流の方向に斜めに噴出させる。なお、小孔10は丸孔に限られず、長孔状(スリット)としてもよく、またその間隔も縦横10cmより小さくあるいは大きな間隔とする変更は任意である。
【0033】
しかして、捕獲浮遊物3bすなわちクラゲは、下からの強く細い水流により例えば10cm幅に細断され、かつ細断されたクラゲ体は、斜めに噴出する同細い水流の力により容易に下流の方向に流される。すなわち、小さい孔から強い水圧で目的の方向に水を噴出させる方法をとることで、大型のクラゲを破片に細断し、かつ処理する方向に流す、という二つの処理を同時に行うことができる。
【0034】
従って、大型のクラゲを受け台5の上まで持ち上げても、そこで積み重なるだけで処理は進まないというような事故も解消できることとなる。
【0035】
なお、上記の小孔10から高圧噴射される水流でクラゲを細断する細断用水噴射装置については、主除去用回転柵2が回転して受け台5に捕捉浮遊物3bを供給している間、常に作動させ水を噴射させておくことも妨げるものではないが、その設置の目的から考えて、受け台5の上に細断対象となる捕捉浮遊物3bが存在する場合にだけ、さらには捕捉浮遊物3bが存在する部分でだけ、細断用水を噴射するよう制御することが合理的であり効率的である。
【0036】
図4は、このような制御の一例を模式的に示したもので、この種制御は、細断用水噴射装置の小孔10へ細断用水を供給する送水路に電磁弁40を介設すると共に、受け台5の表面部にクラゲなど捕捉浮遊物を感知する簡易なセンサー30を設け、該センサー30の感知信号に基づいて電磁弁40を開閉するよう構成することにより、容易に実現できる。
【0037】
例えば、センサー30として、反射型センサーを用いる場合には、その発光または発信面を受け台5の上方へ向けて設置したセンサー30と、該センサー30の感知信号によって電磁弁40を通電開放すると共に事前の設定に従って該電磁弁40を閉鎖する制御回路50によって、細断用水噴射の効率的な制御手段が確保できる。(図4(a))
【0038】
上記の反射型センサーを用いた制御例では、センサー30の上方に捕捉浮遊物が位置すると、センサー30の感知信号がセンサーケーブル23を介して制御回路50へ送られてリレースイッチをオンの状態とし、通電ケーブル41で制御回路50と接続された電磁弁40を開放すると共に、事前に設定された時間の経過もしくは感知対象の消失をもって電磁弁40を閉鎖するので、捕捉浮遊物がセンサー30上に位置した場合にだけ細断用の水が噴射され、捕捉浮遊物がクラゲであれば、これを効率的に細断することができる。
【0039】
上記の制御例では、センサー30として反射型センサーを用いたが、受け台5上に供給された捕捉浮遊物を感知できる限りセンサー30の種類に制約はなく、例えば通過型センサー(遮り型センサーともいう)を用いる場合には、受け台5上に捕捉浮遊物の流下を妨げない程度の一対のセンサー設置部5aを対設すると共に、該センサー設置部5aの対向する面に通過型センサーの発光もしくは発信ユニットと受光もしくは受信ユニットを配設し、これらセンサーユニットの間に捕捉浮遊物が位置した際にセンサー30から制御回路50へ感知信号が送られるよう構成すれば足りる。(図4(b))
【0040】
もちろん、細断用水の噴射を制御するために、細断用水を噴射する小孔10と制御用のセンサー30並びに電磁弁40の数を一対一で対応させる必要などはなく、水噴射用の小孔10を設けた細断用水噴射装置の噴射面を適宜数の区画に区分すると共に、区分された区画ごとにセンサー30と電磁弁40を設置し、この区画を制御単位とすれば、噴射面上に捕捉浮遊物がある場合にだけ、捕捉浮遊物がある区画でだけ、細断用水を噴射するよう制御することが可能である。
【0041】
図5並びに図6は、細断用水噴射装置の噴射面を所望数の区画に区分し、この区画を制御単位とする制御の一例を示したもので、図示実施形態においては、細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31を組み合わせて配設することにより噴射面を構成し、細断用水を噴射する小孔10を設けた一枚の細断用水噴射パネル21を制御の最小単位区画としている。
【0042】
ここで用いている細断用水噴射パネル21は、内部に受水部22となる中空部を有すると共に、その表面に受水部22と連通する所定数の小孔10を穿設した箱体であって、図5に示すように、受水部22に連接された給水枝管23によって細断用水の加圧供給を受けて微細な小孔10から細断用水を高圧噴射するよう構成されており、該給水枝管23に電磁弁40を介設している。
【0043】
また、センサーブロック31は、上面にセンサー30(反射型センサー)を設けると共に、該センサー30にセンサーケーブル32を接続した薄幅な箱体で、図5に示した実施形態では、その高さと奥行きを細断用水噴射パネル21と同一に形成している。
【0044】
図示実施形態に係る細断用水噴射装置においては、細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31の適宜数を組み合わせて配設することで所望の面積の噴射面を構成することができ、図6では、4枚の細断用水噴射パネル21と3本のセンサーブロック31を横方向に交互に組み合わせて配設して一つの列となし、この列を縦方向に4段並べて、16区画に区分された噴射面を形成する。
【0045】
このように、図示実施形態においては、細断用水噴射装置の噴射面を細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31の組合わにより構成しているので、個々のセンサーブロック31が発する感知信号に基づいて電磁弁40を開閉制御すべき細断用水噴射パネル21の数と位置を事前に制御回路に設定しておくだけで、センサー30が捕捉浮遊物を感知した際には、設定された区画の細断用水噴射パネルだけに細断用水を高圧噴射させることができる。
【0046】
なお、図示実施形態では、センサー30として反射型センサーを用いたが、通過型センサーその他のセンサーの利用も容易であり、例えば通過型センサーを用いる場合には、発光もしくは発信ユニットを突設したセンサーブロックと受光ユニット若しくは受信ユニットを突設したセンサーブロックの間に、任意の数の細断用水噴射パネル21を配設して必要な感知距離を確保し、両センサーブロックを対向位置させればよい。
【0047】
また、細断用水噴射パネル21の上面の面積や小孔10の数は全く任意に決定することができ、組み合わせるべき細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31の数と組合せも同様に任意である上に、個々のセンサーブロック31の感知信号に基づいて制御すべき細断用水噴射パネル21の数と位置も制御回路で事前に設定しておくことができるから、細断用水噴射の制御内容は実施者の自由な選択と決定に完全に委ねられている。
【0048】
したがって、図示実施形態の細断用水噴射装置においては、個々のセンサーブロック31とその感知信号に基づいて制御すべき細断用水噴射パネル21の数と位置に関する種類の異なる複数の設定を制御回路に記憶させ、受け台上に供給されたクラゲの数や分布に応じて、異なる区画パターンの細断用水噴射を選択し或いは切り替えることも可能である。
【0049】
さらに、図示実施形態では、電磁弁40を細断用水噴射パネル21に連通する給水枝管23に介設し、噴射面全体に設置する電磁弁40の数を細断用水噴射パネル21の上面々積の如何によって調整しているが、電磁弁40の設置位置は細断用水噴射パネル21へ細断用水を供給する送水路上で任意に選択できるから、その設置位置によって制御の単位区画面積を拡げ、噴射面全体の電磁弁40の数を調整することも可能である。
【0050】
図6に示すように、図示実施形態における細断用水の送水路は、海水を取水して加圧送水するポンプ60の送水管61と、細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31が形成する列と対応する分配管62と、個々の細断用水噴射パネル21に連通された給水枝管23によって構成されており、例えば電磁弁を給水枝管に介設することなく分配管62だけに設ければ、4枚の細断用水噴射パネル21で構成される列(センサーブロック31の数は任意)が制御の最小区画単位となり、噴射面全体に設置する電磁弁40の数を実施形態に比較して4分の1に低減することができる。
【0051】
但し、電磁弁の設置位置と細断用水噴射パネルの間の送水距離が長くなるほど電磁弁の開放と細断用水の噴射の間にタイム・ラグが生じ、また電磁弁の設置数を少なくするほど細断用水噴射の制御パターンが制約されることになる。
【0052】
この点で、何よりもクラゲを効果的に細断する制御パターン(細断用水噴射パターン)を選定することが重要であり、この制御パターンを前提に噴射面の全体に設けるべき電磁弁の数と設置位置を決定し、これに基づいて効率的な細断用水の送水路を配管設計することが望ましい。
【0053】
なお、図示実施形態では、説明の便のために、細断用水噴射装置の噴射面を細断用水噴射パネル21とセンサーブロック31によって物理的に区画区分したが、制御区画が区分されていれば足りることは言うまでもないところである。
【0054】
以上のように、図示実施形態に係る細断用水噴射装置は、細断水噴射パネルの面積と小孔数、細断水噴射パネルとセンサーブロックの組み合わせ、電磁バルブの設置数と設置位置、制御回路の設定内容を適宜組み合わせることによって、受け台の上に捕捉浮遊物がある場合にだけその区画部分でだけ細断用水を噴射させる効率的な制御方法を多様に選択し実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態を概略で示す平面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】受け台の要部を示す概念図である。
【図4】細断用水噴射装置に対する制御手段の一例を模式的に示す正面図である。
【図5】細断用水噴射装置の構成要素の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図6】細断用水噴射装置の構成の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 運転装置
2 主除去用回転柵
2a 上方部分
3a 海水の中の浮遊物
3b 捕獲浮遊物
3c 近接水面の浮遊物
4 排出路
5 受け台
6 補助持ち上げ装置
7 引込み水路
8 取水路
9 水噴射装置
10 小孔
21 細断用水噴射パネル
22 受水部
23 給水枝管
30 センサー
31 センサーブロック
32 センサーケーブル
40 電磁弁
41 通電ケーブル
50 制御回路
60 ポンプ
61 送水管
62 分配管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスの回転を行うことで水中の浮遊物を捕捉すると共に該捕捉浮遊物を水面より上になる位置に搬送する主除去用回転柵と、該主除去用回転柵が捕捉した捕捉浮遊物を受け取ってこれを排出路に送る受け台と、を備えたことを特徴とする浮遊物除去装置。
【請求項2】
上記主除去用回転柵と協働で捕捉浮遊物を持ち上げて受け台の上に移し載せる補助持ち上げ装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の浮遊物除去装置。
【請求項3】
除去用回転柵に引っ掛かったまま外れずに受け台より上に上がってしまった捕捉浮遊物を受け台上に落す水噴射装置を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の浮遊物除去装置。
【請求項4】
受け台に捕捉浮遊物の細断用水噴射装置を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つの請求項記載の浮遊物除去装置。
【請求項5】
前記細断用水噴射装置が、細断用水の噴射と停止を制御するよう設定された制御手段を備えてなることを特徴とする請求項4記載の浮遊物除去装置。
【請求項6】
前記細断用水噴射装置に設けられた細断用水の噴射面が複数の区画に区分されており、前記制御手段が区分された単一もしくは複数の区画を制御単位として細断用水の噴射と停止を制御するよう設定されていることを特徴とする請求項5記載の浮遊物除去装置。
【請求項7】
前記制御手段が、前記捕捉浮遊物の存在を感知するセンサーと、前記細断用水噴射装置へ細断用水を供給する送水路に介設された電磁弁と、前記センサーの感知信号に基づいて前記電磁弁を通電開放すると共に、事前に設定された時間の経過もしくは前記センサーの感知対象の消失をもって前記電磁弁を閉鎖するよう設定された制御回路とからなることを特徴とする請求項5または6記載の浮遊物除去装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−38592(P2008−38592A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180494(P2007−180494)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(594185835)
【Fターム(参考)】