説明

浮遊着床する一体茶柱及びその製造方法

【課題】本発明は、湯飲み等の容器に一体茶柱を入れ、沸点温度以下の飲料茶を注ぐことにより、浮遊、着床する時間の調整が可能な一体茶柱を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも二種類の比重の異なる粉砕茶に結合材を加え成形して得られた浮遊固体茶と沈下固体茶とを有し、該浮遊固体茶が成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊し、前記沈下固体茶が成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で沈下し、前記浮遊固体茶と沈下固体茶との体積比を調整して一体成形することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊した後着床することを特徴とする一体茶柱である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粉砕茶等の加熱温度を調整することにより沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱及びその製造方法に関する。特に粉砕茶から得られた成形茶を基礎にして浮遊固体茶、沈下固体茶又は茎等を結合して得られる浮遊着床する一体茶柱及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
茶器から茶碗に、お茶を注ぎ、茶碗に注がれた沸点温度以下の飲料茶でお茶の茎、芽、棒茶等が稀に略垂直に浮遊又は着床することがある。この現象を茶柱が立ったと言っている。さらに、茶柱が立つと縁起が良いと言われ、多くの人々に喜ばれるが、茶柱が立つことは非常に稀なことと認識され茶柱の立つことはほとんど無いと思われ諦められている。さらに、多くの茶器はお茶を漉す目の大きさからも、お茶の茎、芽、棒茶等が通過して飲料茶と同時に茶碗に入ることも稀なことであり、茶柱を見ることも稀である。
そこで、従来より種々の人工茶柱が創作されている。例えば、特許文献1には茶葉における茎の硬い部分を切断した後、その一端にもち米と塩等とを適量に混合して糊状物を結合することによって、人工的に得られた茶柱についての開示がある。
【0003】
また特許文献2には、茶葉の茎状物の一端に空気を含んだマイクロカプセル等を結合し浮力を持たせると共に、他端には澱粉質、タンパク質、微少金属片、錘の入ったマイクロカプセル等をゼラチンやタンパク質を接着剤として結合することによって得られた茶柱についての開示がある。
さらに特許文献3には、茶葉の茎の一端を切断し、先端に粉茶と食用糊を混合した重錘を結合し乾燥させて得られた茶柱についての開示がある。
【0004】
上述のように多くの人工茶柱が創作されているが、いずれも液体中で垂直に立つ茶柱についての創作であって、一定時間浮遊した後、着床する動作という観点から温度条件等を工夫して創作された浮遊着床する茶柱についての技術は開示も示唆もされていない。
【特許文献1】特開平9−313105号公報
【特許文献2】特開昭63−129479号公報
【特許文献3】特開平3−48482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、湯飲み等の容器に一体茶柱を入れ、沸点温度以下の飲料茶を注ぐことにより、浮遊着床すると共にかかる時間を調整することが可能な一体茶柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)浮遊固体茶と沈下固体茶とを成形茶によって結合した一体茶柱であって、前記成形茶はお茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形されたものであり、前記浮遊固体茶が前記成形茶を加熱処理することによって得られた沸点温度以下の飲料茶中で浮遊するものであり、前記沈下固体茶が前記成形茶を加熱処理することによって得られた沸点温度以下の飲料茶中で沈下するものであることを特徴とする一体茶柱である。
(2)前記成形茶がお茶を粉砕した後20以上100メッシュ以下篩を通した微細粉末によって形成されていることを特徴とする上記(1)に記載された一体茶柱である。
(3)前記結合材が、グルテン又は上新粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)
に記載された一体茶柱である。
(4)前記一体茶柱の表面に、お茶の茎の樹皮、棒茶の樹皮、茶葉のいずれか一以上を糊着し、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を印刷し、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を凹凸加工処理し、又は着色、金粉、銀粉を付着することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載された一体茶柱である。
【0007】
(5)お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する浮遊固体茶を得る工程と、前記成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で沈下する沈下固体茶を得る工程と、得られた浮遊固体茶と沈下固体茶とを前記成形茶を介して一体成形することによって茶柱前駆体を得る工程と、当該茶柱前駆体を加熱処理することによって結合材を固化することによって茶柱を得る工程と、を有することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法である。
(6)お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶と沸点温度以下の飲料茶中で浮遊するお茶の茎又は棒茶とを一体成形することによって茶柱前駆体を得る工程と、該茶柱前駆体を加熱処理することによって成形茶を沸点温度以下の飲料茶中で沈下する沈下固体茶に変性する工程と、を有することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法である。
【0008】
(7)お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する浮遊固体茶を得る工程と、得られた浮遊固体茶と前記成形茶とを一体成形して茶柱前駆体を得る工程と、当該茶柱前駆体を加熱処理することによって茶柱を得ることを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法である。
(8)沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する、お茶の茎又は、棒茶等の一部にお茶を粉砕した粉砕茶に結合材を加え得られた結合茶又は、食品添加物等の含浸材の含浸量を調整して得られた、含浸材を含浸した茎又は、含浸材を含浸した棒茶等の加熱温度を調整することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法。
【0009】
(9)前記粉砕茶又は成形茶から茶成分を抽出処理する工程を有することを特徴とする上記(5)〜(8)のいずれか一に記載された一体茶柱の製造方法である。
(10)前記浮遊固体茶を得る工程において、加熱温度110℃以上であることを特徴とする上記(5)、(7)又は(9)のいずれかに記載された一体茶柱の製造方法である。(11)前記沈下固体茶を得る工程において、加熱温度90〜110℃であることを特徴とする上記(5),(6)又は(9)のいずれかに記載された一体茶柱の製造方法である。
【0010】
(12)前記方法によって製造された一体茶柱の表面に、お茶の茎の樹皮、棒茶の樹皮、茶葉を糊着する工程、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を印刷する工程、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を凹凸加工処理する工程、又は着色する工程、又は金粉、銀粉を付着する工程を有することを特徴とする上記(5)〜(11)のいずれか一に記載された一体茶柱の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、湯飲み等の容器に一体茶柱を入れ、沸点温度以下の飲料茶を注ぐことにより、浮遊着床しすると共にかかる時間の調整が可能な一体茶柱及びその製造方法を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に使用される粉砕茶はお茶を粉砕して得ることができる。粉砕茶の粒度は、例え
ば、20メッシュの篩、20メッシュ以上40メッシュ未満の篩、40メッシュ以上60メッシュ未満の篩、60メッシュ以上100メッシュ未満の篩のいずれか用いて調整するのが好ましい。またこれらの粒度調整された数種類の粉砕茶を混合しても良い。
また、粉砕茶に加える結合材を配合するのが好ましい。結合材としては食用であれば何れの原料を用いても良いが、中でもグルテン、上新粉、白玉粉、すいとん粉、小麦粉、片栗粉、葛粉、食品添加物等が好ましい。特に好ましくはグルテン粉を用いるのが好ましい。浮遊着床する時間の調整が安定するからである。
かかる結合材の重量は、粉砕茶1に対して、結合材0.5〜2.0程度が好ましい。
【0013】
さらに、粉砕茶には水を加えるのが好ましい。すなわち、上記お茶を粉砕して得られた粉砕茶と、結合材及び水とを練り合わせて結合茶を製造し、更に結合茶を所望の形状に成形することによって成形茶を製造することができる。上記水は粉砕茶と結合材を加えた重量を1とした場合0.5〜2.0程度が好ましい。
成形茶の断面形状は、棒形、茎形、丸形、正方形、長方形、多角形、円錐形、ハート形等が好ましい。また成形茶の長さは2〜20mm程度であるのが好ましい。2mm未満では浮遊着床の時間の調整が難しくなり、20mmを超えると一体成形が困難となるからである。
【0014】
さらに、上記の製法によって得られた成形茶を加熱する温度を調整して、沸点温度以下の飲料茶で浮遊する浮遊固体茶を製造することができる。加熱時間が3分程度の場合、浮遊固体茶の加熱温度は100℃前後を除き、50以上90℃以下、又は110℃以上350℃以下が好ましい。発明者の度重なる試験の結果、上記温度範囲で最も浮遊固体茶の機能が発揮されることが判明した。
成形茶を加熱する温度を調整して、沸点温度以下の飲料茶で沈下する沈下固体茶をつくる。加熱時間が3分程度の場合、沈下固体茶の加熱温度は100℃前後が好ましい。かかる加熱温度では固体茶の比重が水より重くなることが、発明者の度重なる試験の結果判明した。
沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する時間数の目安に合わせて、浮遊固体茶と沈下固体茶の体積比を調整した点に特徴を有する一体茶柱である。
他の一体茶柱の作り方としては、浮遊茶と沈下固体茶の体積比を調整した一体茶柱が上げられる。
【0015】
次に一体茶柱をつくる方法の一例を図1に基いて説明する。
図1に示す如く、お茶を粉砕した後メッシュ篩した粉砕茶を結合材と水とによって練り合わせて結合茶を製造する。この際、メッシュ篩する前に茶成分を抽出しておくのが好ましい。
茶成分の抽出は、フロー図に示す如く、粉砕前に行っても良いし、粉砕後に行っても良い。茶成分の抽出を行うことによって、飲料茶に使用する際における一体茶柱からの茶成分の溶出を防止することができる。飲料茶中に一体茶柱を入れた場合に一体茶柱の成分が溶出して味や香りを変性しないようにするためである。
次に得られた結合茶の形を所望も大きさ、形状に成形し、成形茶を得る。かかる成形茶を加熱温度と時間を制御することによって浮遊固体茶と沈下固体茶とを得る。
次に一体茶柱にする方法としては、上記の方法で得られた浮遊固体茶と沈下固体茶を成形茶で結合した後、加熱温度100℃前後で3分間処理して一体茶柱茶にする方法が挙げられる。
上記の方法によって得られた一体茶柱には、表面加工を行ってもよい。例えば、一体茶柱の表面を着色したり、絵柄を印刷したり、一体茶柱の外観形状を仏像などの所望の形態にするのが好ましい。
【0016】
また浮遊するお茶の茎又は棒茶と沈下固体茶とを結合して一体茶柱にする方法としては
、浮遊するお茶の茎等と沈下固体茶を成形茶で結合し、加熱温度100℃前後で3分間処理して一体茶柱茶にする方法がある。
浮遊固体茶を成形茶で覆って加熱して一体茶柱にする方法としては、浮遊茶を成形茶で被覆した後、加熱温度100℃前後で3分間処理して一体茶柱茶にする方法がある。
以下に本発明に係る実施の形態を示す。以下に示す実施の形態は本発明に係る一体茶柱の例示であって、本発明を限定するものではない。
【0017】
実施の形態1
図2は本発明に係る一体茶柱の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
図2に示す如く、本発明に係る一体茶柱は、粉砕茶に結合材を加え成形した成形茶に更に変性することによって得られた浮遊固体茶1と沈下固体茶3とを成形茶5によって一体成形することによって、茶柱前駆体を形成した後、該茶柱前駆体を加熱処理することによって結合茶5を固化することによって形成されている。
【0018】
前記浮遊固体茶1は、成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する。また前記沈下固体茶3は成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で沈下する。前前記浮遊固体茶1と沈下固体茶3との体積比を調整することによって一体成形することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊した後着床する一体茶柱が得られる。
【0019】
実施の形態2
図3は本発明に係る他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。なお、実施の形態1と実質的に同質の部材については同じ符号を用いて説明する。
図3に示す如く、本発明に係る一体茶柱は、沸点温度以下の飲料茶で浮遊するお茶の茎又は棒茶4と沈下固体茶3とを成形茶2によって一体成形することによって形成されている。
かかる一体茶柱は、沸点温度以下の飲料茶で浮遊するお茶の茎又は棒茶等の浮遊茶4と沈下固体茶3の体積比を調整し成形茶2で茶柱前駆体を製造した後、該茶柱前駆体を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱を得る。
【0020】
実施の形態3
図4は本発明に係る一体茶柱の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
図4に示す如く、本発明に係る一体茶柱は、粉砕茶に結合材を加え成形して得られた浮遊固体茶1と沈下固体茶3とが成形茶2によって一体成形することによって茶柱前駆体を製造する。この際、浮遊固体茶1と沈下固体茶3の当接面には嵌合突起が設けられ、かかる嵌合突起を被覆するように成形茶2が形成されている。
【0021】
前記浮遊固体茶1は、成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する。また前記沈下固体茶3は成形茶の加熱温度を調整することによって沸点温度以下の飲料茶中で沈下するものである。前記浮遊固体茶1と沈下固体茶3との体積比を調整し成形茶によって一体成形し茶柱前駆体を製造した後、該茶柱前駆体を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱を得る。
【0022】
実施の形態4
図5は本発明に係る他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
図5に示す如く、本発明に係る一体茶柱は、沸点温度以下の飲料茶で浮遊するお茶の茎又は棒茶等の浮遊茶4と沈下固体茶3とを成形茶2によって一体成形することによって形成されている。
かかる一体茶柱は、沸点温度以下の飲料茶で浮遊するお茶の茎又は棒茶等の浮遊茶4と沈下固体茶3の体積比を調整し形成茶2で一体成形し茶柱前駆体を製造した後、該茶柱前
駆体を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱を得る。
【0023】
実施の形態5
図6は本発明に係る更に他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
図6に示すごとく、成形茶2の体積比を調整して浮遊固体茶1の一部を覆って、茶柱前駆体を製造する。該茶柱前駆体について加熱温度と時間を調整することにより、沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する一体茶柱が得られる。
【0024】
実施の形態6
図7は本発明に係る更に他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
本実施形態に係る一体茶柱は、浮遊茶4と成形茶2の体積比を調整して浮遊茶4の一部を覆って茶柱前駆体を製造する。該茶柱前駆体について加熱温度と時間を調整することにより、沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する一体茶柱が得られる。
【0025】
実施の形態7
図8は本発明に係る更に他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
図8に示すごとく、成形茶2の体積比を調整して浮遊固体茶1の外側全てを覆って、茶柱前駆体を製造する。該茶柱前駆体について加熱温度と時間を調整することにより、沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する一体茶柱が得られる。
【0026】
実施の形態8
図9は本発明に係る更に他の構造及び製造方法を説明するための断面図である。
本実施形態に係る一体茶柱は、お茶の茎又は棒茶4と成形茶2の体積比を調整して浮遊茶4の外側全てを覆って茶柱前駆体を製造する。該茶柱前駆体について加熱温度と時間を調整することにより、沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する一体茶柱が得られる。
【0027】
実施の形態9
図10は本発明に係わる別の方法を説明するための断面図である。
本実施形態に係る一体茶柱は、お茶の茎又は棒茶4に含浸材6を含浸することによって得られる。この含浸材が含浸された浮遊茶を加熱する温度と時間を調整することにより、沸点温度以下の飲料茶で浮遊、着床する一体茶柱を得ることができる。
【実施例】
【0028】
実施例1
先ず、ほうじ茶をミキサーで粉砕し、ステンレス製金網で粉砕茶の粒度を分類した粉砕茶を得る。
次に100メッシュ以上の粉砕茶0.5gに対して、結合材として上新粉0.25g又は0.5gと、水道水1.5gを加えて練り合わせた結合茶を成形し、長さ3〜5.2mm、体積3.6〜9.41mm3の成形茶を製造した。
【0029】
かかる成形茶を温度250℃で3分間加熱処理して、沸点温度以下の飲料茶で浮遊する浮遊固体茶をつくる。
さらに、長さ6.0〜10.4mm、体積8.6〜22.3mm3の成形茶を加熱温度
100℃で3分間加熱処理することにより、沸点温度以下の飲料茶で沈下する沈下固体茶を得る。
【0030】
次に浮遊固体茶と沈下固体茶とを成形茶で結合して一体にした茶柱前駆体を得た後、温度100℃で3分間加熱処理し、浮遊固体茶と沈下固体茶を一体とした一体茶柱を製造する。
かかる一体茶柱が温度90℃程の温度の飲料茶で浮遊、着床し横になるまでの時間の観測結果を表1に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
実施例1で使用した材料と機材の内容は以下のとおりである。
ほうじ茶 :伊藤園製
結合材 :上新粉 みたけ食品工業製
ミキサー :TML24 テスコム製
金網 :ステンレス製20,40,60,100メッシュ
デジタルはかり:HL−10とエー・アンド・アイ製
デジタルノギス:サンワ測定製
ホットプレート:PC−400Dタイテック製
【0033】
実施例2
実施例2において使用した結合材と機材は、実施例1に示された内容と同一である。
ほうじ茶をミキサーで粉砕し、ステンレス製金網で粉砕茶の粒度を分類した粉砕茶を使用した。100メッシュ以上の粉砕茶0.5gに対して、結合材としてグルテン粉と上新粉を0.25g、0.5gと水道水1.5gを加えて練り合わせて結合茶をつくり、結合茶を成形し、長さ3〜4.5mm、体積4.3〜5.6mm3の成形茶を得た。かかる成
形茶を温度250℃で 3分間の加熱処理をして、沸点温度以下の飲料茶で浮遊する浮遊
固体茶を製造した。
【0034】
さらに、長さ6.3〜9.45mm、体積9.9〜12.9mm3の成形茶で浮遊固体
茶を部分的に覆い一体成形して茶柱前駆体を得た。
かかる茶柱前駆体を温度100℃で3分間加熱処理することによって一体茶柱を製造した。この一体茶柱が温度90℃程度の飲料茶で浮遊、着床し横になるまでの時間の観測結果を表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】
実施例3
実施例3において使用した結合材と機材は、実施例1に示された内容と基本的に同一である。
実施例3においては、浮遊茶としてほうじ茶の茎を用いた。この茎の長さは4.2〜6.2mm、体積は9.1〜13.4である。粉砕茶は、ほうじ茶をミキサーで粉砕して、ステンレス製金網で粒度を分類したものを使用した。
【0037】
次に、100メッシュ以上の粉砕茶0.5gに対して、結合材として上新粉0.5gと水道水1.5gを加え練り合わせて結合茶をつくり、結合茶を成形し長さ7.2〜9.3mm、体積13.4〜27.2mm3の成形茶を製造した。
かかる成形茶で浮遊茶を部分的に覆って茶柱前駆体を得た。
かかる茶柱前駆体を温度100℃で3分間の加熱処理して一体茶柱を得た。この一体茶柱が温度90℃程度の飲料茶で浮遊、着床し横になるまでの時間の観測結果を表3に示した。
【0038】
【表3】

実施例3で使用した浮遊茶の内容
ほうじ茶(茎):伊藤園製ほうじ茶より、抽出した茎を用いた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る一体茶柱をつくる製法の一例を示すフロー図である。
【図2】本実施形態1に係る浮遊固体茶と沈下固体茶を成形茶で繋いで加熱処理した一体茶柱の断面図である。
【図3】本実施形態2に係る浮遊茶と沈下固体茶を成形茶で繋いで加熱処理した一体茶柱の断面図である
【図4】本実施形態3に係る浮遊固体茶と沈下固体茶を成形茶で繋いで加熱処理した一体茶柱の断面図である。
【図5】本実施形態4に係る浮遊茶と沈下固体茶を成形茶で繋いで加熱処理した一体茶柱の断面図である。
【図6】本実施形態5に係る浮遊固体茶の一部を成形茶で覆って加熱処理した、一体茶柱の断面図である。
【図7】本実施形態6に係る浮遊茶の一部を成形茶で覆って加熱処理した、一体茶柱の断面図である。
【図8】本実施形態7に係る浮遊固体茶の全体を成形茶で覆って加熱処理した、一体茶柱の断面図である。
【図9】本実施形態8に係る浮遊茶の全体を成形茶で覆って加熱処理した、一体茶柱の断面図である。
【図10】本実施形態9に係る浮遊茶に含浸材(結合茶又は、食品添加物)を含浸して加熱処理した、一体茶柱の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:浮遊固体茶
2:成形茶
3:沈下固体茶
4:お茶の茎又は棒茶
6:含浸材(結合茶又は、食品添加物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊固体茶と沈下固体茶とを成形茶によって結合した一体茶柱であって、前記成形茶はお茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形されたものであり、前記浮遊固体茶が前記成形茶を加熱処理することによって得られた沸点温度以下の飲料茶中で浮遊するものであり、前記沈下固体茶が前記成形茶を加熱処理することによって得られた沸点温度以下の飲料茶中で沈下するものであることを特徴とする浮遊着床する一体茶柱。
【請求項2】
前記成形茶がお茶を粉砕した後20以上100メッシュ以下篩を通した微細粉末によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載された浮遊着床する一体茶柱。
【請求項3】
前記結合材が、グルテン又は上新粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載された浮遊着床する一体茶柱。
【請求項4】
前記一体茶柱の表面に、お茶の茎の樹皮、棒茶の樹皮、茶葉のいずれか一以上を糊着し、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を印刷し、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を凹凸加工処理し、又は着色、金粉、銀粉を付着することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載された浮遊着床する一体茶柱。
【請求項5】
お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する浮遊固体茶を得る工程と、前記成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で沈下する沈下固体茶を得る工程と、得られた浮遊固体茶と沈下固体茶とを前記成形茶を介して一体成形することによって茶柱前駆体を得る工程と、当該茶柱前駆体を加熱処理することによって結合材を固化することによって茶柱を得る工程と、を有することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法。
【請求項6】
お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶と沸点温度以下の飲料茶中で浮遊するお茶の茎又は棒茶とを一体成形することによって茶柱前駆体を得る工程と、該茶柱前駆体を加熱処理することによって成形茶を沸点温度以下の飲料茶中で沈下する沈下固体茶に変性する工程と、を有することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法。
【請求項7】
お茶を粉砕して得られた粉砕茶に結合材を加えて成形茶を得る工程と、該成形茶を加熱処理することによって沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する浮遊固体茶を得る工程と、得られた浮遊固体茶と前記成形茶とを一体成形して茶柱前駆体を得る工程と、当該茶柱前駆体を加熱処理することによって茶柱を得ることを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法。
【請求項8】
沸点温度以下の飲料茶中で浮遊する、お茶の茎又は、棒茶の一部にお茶を粉砕した粉砕茶に結合材を加え得られた結合茶、又は食品添加物の含浸量を調整して得られた含浸材を含浸した茎又は、含浸材を含浸した棒茶の加熱温度を調整することを特徴とする沸点温度以下の飲料茶中で浮遊着床する一体茶柱の製造方法。
【請求項9】
前記粉砕茶又は成形茶から茶成分を抽出処理する工程を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一に記載された一体茶柱の製造方法。
【請求項10】
前記浮遊固体茶を得る工程において、加熱温度110℃以上であることを特徴とする請求項5、7又は9のいずれかに記載された一体茶柱の製造方法。
【請求項11】
前記沈下固体茶を得る工程において、加熱温度90〜110℃であることを特徴とする請求項5,6又は9のいずれかに記載された一体茶柱の製造方法。
【請求項12】
前記方法によって製造された一体茶柱の表面に、お茶の茎の樹皮、棒茶の樹皮、茶葉を糊着する工程、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を印刷する工程、又はお茶の茎模様、棒茶模様、茶葉模様、絵柄を凹凸加工処理する工程、又は着色する工程、又は金粉、銀粉を付着する工程を有することを特徴とする請求項5〜11のいずれか一に記載された一体茶柱の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−75078(P2010−75078A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245434(P2008−245434)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(598004549)株式会社ビジネスアクト (3)
【出願人】(508288205)有限会社アルゴプラン (1)
【出願人】(503457024)有限会社アイルコンサルタンツ (1)
【Fターム(参考)】