説明

浴室ユニット

【課題】導光設備が結合される浴室ユニットであって、洗い場にいる入浴者の身体を効率的に暖めることができる浴室ユニットを提供する。
【解決手段】屋外から光を導入する光ダクトが結合される浴室ユニット1において、光ダクトにより導入された光を浴室ユニット1内に放光する放光口6は、浴室ユニット1の天井4における洗い場3側の領域に設けられている。放光口6の下方には、ブラケット7が取り付けられており、このブラケット7の下面をなす円板部材12の透光率は、ブラケット7の側面をなす円筒部材11の透光率よりも高い。これにより、光ダクトにより導入された光は、放光口6を介して洗い場3に向けて照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関し、特に、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建築物に光ダクトを設ける技術が開発されている。光ダクトとは、建築物の屋外から屋内まで連通し、その内面が光反射面となった筒状の部材であり、屋外の自然光を屋内に導入するものである。建築物にこのような光ダクトを設けることにより、日中の豊富な自然光を室内の照明に利用することができるため、照明コストを節約し、省エネルギー効果及び環境負荷軽減効果を得ることができる。また、室内に自然光を導入することにより、室内の居住性を向上させることができる。
【0003】
特許文献1には、浴室ユニットに連通された排気ダクトの内部に光ダクトを設けることにより、浴室ユニットに光ダクトを結合する技術が開示されている。この技術においては、排気ダクトの内部に光ダクトを収納しているため、光ダクトにより導入された外光を浴室ユニット内に放光する放光口は、浴室ユニット内の空気を排気ダクトに導入する排気口の内部に設けられるか、又は排気口に隣接して設けられる。通常、排気口は浴室ユニットの天井における浴槽側の領域に設けられているため、光ダクトの放光口も、浴槽側に設けられることになる。
【0004】
一方、一般に浴室ユニット内においては、入浴者が浴槽内で湯につかっているときは、入浴者の身体は湯によって十分に暖められるが、入浴者が洗い場にいるときは、身体を暖める手段がなく寒いことが多い。特に、冬季にはその傾向が顕著である。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−033240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、導光設備が結合される浴室ユニットであって、洗い場にいる入浴者の身体を効率的に暖めることができる浴室ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、前記導光設備により導入された光が、洗い場に向けて照射されることを特徴とする浴室ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導光設備が結合され、洗い場にいる入浴者の身体を効率的に暖めることができる浴室ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図であり、
図2は、本実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図であり、
図3は、この浴室ユニットにおけるブラケットを例示する斜視図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット1は、建築物、例えば住宅101に設置されている。住宅101においては、導光設備としての光ダクト102が配設されている。光ダクト102の一方の端部は、例えば住宅101の屋根に設けられた採光部103に結合されており、他方の端部は、浴室ユニット1に結合されている。採光部103は、透明板からなるドームによって覆われており、砂や埃は通過させないが光は透過させる。光ダクト102の内部は中空であり、その内面は光反射面とされている。これにより、光ダクト102は、住宅101の外部から採光部103を介して導入された自然光Lを、その内面において反射しつつ導光して、浴室ユニット1の内部まで導入する。
【0011】
図1及び図2に示すように、浴室ユニット1においては、床の一方の側に浴槽2が設けられており、他方の側が洗い場3となっている。また、浴室ユニット1の天井4における洗い場3側の領域には、光ダクト102により導入された外光Lを浴室ユニット1内に放光する放光口6が設けられており、放光口6にはブラケット7が取り付けられている。放光口6と光ダクト102との接続部は、例えば、インシュロック、アルミニウム製テープ又はホースバンドなどの接続材(図示せず)によって固定されている。これにより、放光口6は、光ダクト102と光学的に結合されている。なお、放光口6は、天井4に設けられた点検口(図示せず)を塞ぐ蓋板に設けられていてもよい。
【0012】
一方、天井4における浴槽2側の領域には、排気口8が設けられており、この排気口8上には排気フィン9が設けられている。排気フィン9は、住宅101に配設された排気管104に接続されている。これにより、排気口8は、排気フィン9及び排気管104を介して住宅101の外部に連通されている。
【0013】
また、例えば、浴槽2の足側の側壁のうち、洗い場3側の側壁14には、入浴者のほぼ全身が映せるような大型の鏡15が取り付けられている。そして、例えば、鏡15の向かって右側の側方には多段の収納棚16が造り付けられており、鏡15の向かって左側の側方にはシャワー17が取り付けられており、鏡15の下方にはカウンター18が設けられている。
【0014】
図3に示すように、ブラケット7の形状は円柱形であり、その中心軸は垂直方向に延びている。ブラケット7においては、ブラケット7の側面をなす円筒部材11と、ブラケット7の下面をなす円板部材12とが設けられている。そして、円板部材12の透光率は、円筒部材11の透光率よりも高い。例えば、円板部材12は、光を透過させる透明な樹脂により形成されており、円筒部材11は、光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。又は、円筒部材11及び円板部材12の双方が乳白色の樹脂により形成されており、円筒部材11の厚さは、円板部材12の厚さよりも厚くなっている。又は、円板部材12は乳白色の樹脂により形成されており、円筒部材11は内面が光反射面、例えば鏡面とされた遮光材により形成されている。いずれの場合も、円板部材12の透光率は、円筒部材11の透光率よりも高くなっている。なお、光反射面としては、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属面や、これら金属面の表面に酸化アルミニウムや樹脂などの被覆層が積層されたものを用いることができる。
【0015】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
図1に示すように、住宅101の外部から外光L、例えば太陽光が、採光部103を介して光ダクト102の内部に導入される。この外光Lは、光ダクト102の内面によって繰り返し反射されながら光ダクト102内を伝達し、浴室ユニット1の放光口6から、ブラケット7を介して、浴室ユニット1の内部に照射される。
【0016】
このとき、放光口6は、浴室ユニット1の天井4における洗い場3側の領域に設けられているため、放光口6から出射した光は、浴槽2よりも洗い場3により多く照射される。また、ブラケット7においては、その側面をなす円筒部材11の透光率よりも、下面をなす円板部材12の透光率の方が高いため、ブラケット7に入射した光は、側方よりも下方により多く照射される。これによっても、洗い場3により多くの光が照射される。
【0017】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態においては、洗い場3により多くの外光が照射されるため、入浴者が洗い場3にて身体を洗う際に、太陽光などの外光が上方より身体に直接当たり、暖かい。この効果は、特に冬季において有効である。これに対して、特許文献1に記載の技術においては、光ダクトの放光口は浴槽側に設けられているため、光ダクトにより導入された光の大部分は浴槽に向けて照射されてしまい、洗い場には十分に照射されない。このため、洗い場にいる入浴者の身体を効率的に暖めることができない。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図であり、
図5は、この浴室ユニットにおけるブラケットを例示する斜視図である。
なお、図4及び図5において、図1乃至図3に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0019】
図4に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット21においては、洗い場3の側壁14における鏡15の上方に放光口6が設けられており、放光口6に、ブラケット27が取り付けられている。
【0020】
図5に示すように、ブラケット27の形状は円柱形であり、その中心軸は水平方向に延びている。そして、ブラケット27においては、上部28と下部29とで透光率が異なっている。すなわち、ブラケット27の下部29の透光率は、ブラケット27の上部28の透光率よりも高い。例えば、下部29は、光を透過させる透明な樹脂により形成されており、上部28は、光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。又は、上部28及び下部29の双方が乳白色の樹脂により形成されており、上部28の厚さは、下部29の厚さよりも厚くなっている。又は、下部29は乳白色の樹脂により形成されており、上部28は内面が光反射面、例えば鏡面とされた遮光材により形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0021】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
採光部103(図1参照)によって取り込まれ、光ダクト102(図1参照)内を導光された外光Lは、浴室ユニット21の放光口6から、ブラケット27を介して、浴室ユニット21の内部に導入される。このとき、放光口6は、浴室ユニット21の洗い場3の側壁14に設けられているため、放光口6から出射した光は、浴槽2よりも洗い場3により多く照射される。また、ブラケット27においては、上部28の透光率よりも下部29の透光率の方が高いため、ブラケット27に入射した光は、上方よりも下方により多く照射される。これによっても、洗い場3により多くの光が照射される。
【0022】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態においては、放光口6から出射した太陽光などの外光は、洗い場3により多く照射される。これにより、洗い場3にいる入浴者を効率よく暖めることができる。また、通常、入浴者が身体などを洗う際には、鏡15に向かっている。このため、本実施形態においては、入浴者は放光口6から出射した外光を正面上方から浴びることができる。この結果、入浴者は鏡15に映った自分の身体をはっきり視認することができるため、身体を洗うなどの作業の作業性が高い。
【0023】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る浴室ユニットを例示する模式的断面図であり、
図7は、この浴室ユニットを例示する斜視図である。
なお、図6及び図7において、図1乃至図3に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0024】
図6に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット31の側方には、縦型ダクト32が設けられている。縦型ダクト32の本体部33は垂直方向に延びており、本体部33の下端から、延出部34が水平方向に向けて延出しており、全体としてL字形状をなしている。また、縦型ダクト32の内面は光反射面となっており、例えば、鏡面又は白色面となっている。そして、本体部33の上端は光ダクト102(図1参照)に連結されており、延出部34の先端は浴室ユニット31の側面に連結されている。浴室ユニット31における縦型ダクト32が連結されている部分は、放光口6となっている。また、縦型ダクト32の内部における屈曲部には、補助ミラー35が設けられている。補助ミラー35は、例えば、本体部33を介して補助ミラー35に到達した光を、延出部34に向けて反射するような角度に設置されている。更に、縦型ダクト32における浴室ユニット31との連結部分の外周には、パッキン36が設けられており、この連結部分の水密性を担保している。
【0025】
図7に示すように、浴室ユニット31においては、洗い場3の側壁14における鏡15の側方に、放光口6が設けられている。放光口6は、例えば、鏡15の向かって右側であって、鏡15の垂直方向中央部に相当する位置、例えば、収納棚16内に設けられている。放光口6には、光を散乱させながら透過させる透光材料、例えば、乳白色のアクリル材料からなる光透過板37が、水密的にはめ込まれている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0026】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
採光部103(図1参照)によって取り込まれ、光ダクト102(図1参照)内を導光された外光Lは、縦型ダクト32内に導入され、縦型ダクト32の内面及び補助ミラー35によって反射されながら導光され、放光口6を介して浴室ユニット31の内部に導入される。このとき、放光口6は、浴室ユニット31の洗い場3の側壁14に設けられているため、放光口6から出射した光は、浴槽2よりも洗い場3により多く照射される。
【0027】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態においては、放光口6から出射した外光は、洗い場3により多く照射されるため、洗い場3にいる入浴者を効率よく暖めることができる。特に、本実施形態においては、放光口6は鏡15の側方に配置されているため、比較的低い位置から光を照射することができる。このため、入浴者に対して至近距離から光を照射することができ、極めて効率的に入浴者を暖めることができる。また、放光口6をより低い位置に設ければ、入浴者が洗い場3において座っているときでも、入浴者の身体に光を照射し、暖めることができる。更に、通常、入浴者が身体などを洗う際には、鏡15に向かっているため、外光を正面から浴びることができる。このため、身体を洗う作業などにおける作業性が高い。
【0028】
従来の浴室ユニットにおいて、光源を低い位置に設けようとすると、光源に水がかかりやすくなるため、漏電及び感電に対する厳重な対策が必要であった。このため、光源を設けるためのコストが増大してしまうという問題があった。これに対して、本実施形態においては、光源としての放光口6は外光を利用しており、電気的な部品は設けられていないため、漏電及び感電の可能性を考慮する必要がない。これにより、低い位置に配置された光源を低コストで設けることができる。なお、放光口6には光透過板37が水密的にはめ込まれているため、シャワーの水が放光口6にかかっても、この水が縦型ダクト32内に侵入することがなく、浴室ユニット31内で発生した蒸気が縦型ダクト32内に侵入することもない。また、浴室ユニット31における縦型ダクト32との連結部分にはパッキン36が設けられているため、シャワー水及び蒸気が浴室ユニット31の外部に漏洩することがない。
【0029】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
なお、図8において、図1乃至図3に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0030】
図8に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット41においては、放光口6は、洗い場3の側壁14におけるカウンター18の下方の領域に設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。すなわち、浴室ユニット41の側方には、光ダクト102(図1参照)と放光口6との間に連結された縦型ダクト32(図6参照)が設けられている。また、縦型ダクト32には、補助ミラー35及びパッキン36が設けられており、放光口6には、光透過板37が設けられている。
【0031】
本実施形態においては、放光口6から出射した外光は、洗い場3にいる入浴者の足元に照射され、入浴者の足元を暖めることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0032】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図9(a)及び(b)は、本実施形態に係る浴室ユニットのブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
図9(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る浴室ユニットにおいては、前述の第1の実施形態と同様に、放光口6は浴室ユニットの天井4に設けられており、放光口6の下方にはブラケット57が取り付けられている。ブラケット57には、下方に凸となった略半球状のドーム状部分57aが設けられており、このドーム状部分57aの内面には、円錐台形状に成形された半透光配光板57bが設けられている。半透光配光板57bによって構成された円錐台形状構造物は、上方に向けて凸となるように配置されており、その中心軸は垂直方向に延び、放光口6の中心軸からずれた位置に配置されている。また、ドーム状部分57aは、光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態においては、光ダクト102を介して放光口6に供給された外光は、ブラケット57に入射し、その一部は半透光配光板57bに入射する。円錐台形状構造物の斜面部分をなす半透光配光板57bに入射した光の一部は、この半透光配光板57bによって反射されて、ドーム状部分57aを介して、斜め下方を中心とした方向に向けて出射する。このとき、半透光配光板57bの中心軸が放光口6の中心軸からずれていると、半透光配光板57bによって反射された光の進行方向の分布が非対称になり、ある方向に対しては他の方向よりも多くの光が出射する。具体的には、例えば、半透光配光板57bの中心軸が放光口6の中心軸に対して、浴槽2側にずれていると、放光口6のうち最も光束密度が高い中心軸付近の光は、円錐台形状構造物の洗い場3側の斜面をなす半透光配光板57bによって反射され、洗い場3に向けて出射する。これにより、洗い場3に対して、浴槽2よりも多くの光を供給することができる。
【0034】
なお、図10(a)及び(b)は、比較例におけるブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
図10(a)及び(b)に示すように、比較例のブラケット157においては、半透光配光板157bからなる円錐台形状構造物の中心軸が放光口の中心軸と一致している。このため、半透光配光板157bによって反射された光の進行方向の分布は対称となる。
【0035】
本実施形態によれば、放光口6を必ずしも洗い場3に設ける必要がなく、放光口6を浴室ユニット内のどの位置に設けても、放光口の位置に応じて放光口から出射する光の方向を規制することにより、洗い場3により多くの光を照射することができる。これにより、例えば、放光口6を、天井4における浴槽2側の領域に設け、排気口8と一体化させることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0036】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図11(a)及び(b)は、本実施形態に係る浴室ユニットのブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
図11(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る浴室ユニットにおいては、前述の第1の実施形態と同様に、放光口6は浴室ユニットの天井4に設けられており、放光口6の下方にはブラケット67が取り付けられている。ブラケット67には、下方に向けて凸となった略半球状のドーム状部分67aが設けられている。このドーム状部分67aは、光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。
【0037】
また、ドーム状部分67aの表面には、複数枚の短冊状の光反射板67bが取り付けられている。これらの複数枚の光反射板67bは、ドーム状部分67aの表面に沿って略マトリクス状に配列されている。また、光反射板67bの片面は光反射面となっている。そして、光反射板67bは、その光反射面が相互に平行になるように配置されており、これらの光反射面は、放光口6の中心軸に対して傾斜している。更に、ドーム状部分67aの外縁は、環状のレール67cによって天井4に取り付けられている。これにより、ドーム状部分67a及び光反射板67bは、天井4に対して、ドーム状部分67aの中心軸を回転軸として回転自在に支持されている。更にまた、放光口6には、光を透過させる透光板62が取り付けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態においては、光ダクト102を介して放光口6に供給された外光は、透光板62を透過した後、ブラケット67に入射し、その一部は光反射板67bに到達してその光反射面によって反射され、斜め下方に向けて出射する。このとき、光反射板67bの光反射面は相互に同じ方向を向いているため、これらの光反射面によって反射された光の進行方向も、ある一方向を中心として分布する。そして、ドーム状部分67aを天井4に対して回転させて光反射板67bの傾斜方向を選択することにより、放光口6から出射する光の方向を制御することができる。
【0039】
本実施形態によれば、放光口6を浴室ユニット内のどの位置に設けても、ドーム状部分67aを天井4に対して回転させることにより、光反射板67bの光反射面の傾斜方向を任意に選択して、反射光の出射方向を制御することができる。これにより、放光口6の設置位置にかかわらず、入浴者が好みの位置に外光を照射させることができる。例えば、洗い場3に対して浴槽2よりも多くの光を照射させて、身体を暖めることができる。また、放光口6の設置位置が限定されないため、例えば、天井4における浴槽2側の領域に設けられた排気口8と一体化させることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る浴室ユニットの放光口を例示する断面図である。
図12に示すように、本実施形態に係る浴室ユニットにおいては、洗い場の側壁14に放光口6が設けられており、この放光口6には、半透光性セラミック板72が嵌め込まれている。半透光性セラミック板72は、可視光の一部を吸収して遠赤外線を発生する遠赤外線放射板である。
【0041】
本実施形態においては、光ダクト102(図1参照)及び縦型ダクト32を介して放光口6に導入された外光Lが、半透光性セラミック板72に照射される。これにより、半透光性セラミック板72は、入射した外光Lのうち可視光の一部を吸収して残部を透過させる。このとき、可視光の一部を吸収することにより、遠赤外線を発生し、浴室ユニット内に照射する。これにより、入浴者は遠赤外線を浴びることができる。遠赤外線は入浴者の皮膚の内側に浸透するため、入浴者は身体の芯から暖まることができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、入射した可視光の一部を吸収して残部を透過させる半透光性セラミック板72の替わりに、入射した可視光の全てを吸収して遠赤外線に変換する遮光性の遠赤外線放射板を設けてもよい。また、これらの遠赤外線放射板が配置される位置は放光口6には限定されず、浴室ユニット内における光ダクトにより導入された光が照射される位置であれば、どこに配置されていてもよい。例えば、洗い場の床材をこれらの遠赤外線放射板により形成してもよい。これにより、入浴者は、放光口6から照射される太陽光を上方から浴びると共に、床材から放射される遠赤外線を下方から浴びることができ、より効率よく暖まることができる。
また、本実施形態は、前述の第1乃至第6のいずれかの実施形態と組み合わせて実施することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を参照しつつ、本発明の特徴を説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、前述の各実施形態に係る浴室ユニットを構成するいずれかの要素について、当業者が適宜追加、省略又は設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。例えば、前述の各実施形態においては、屋外から浴室ユニット内に外光を導入する導光設備が光ダクトである例を示したが、本発明はこれに限定されず、導光設備は例えば光ファイバであってもよい。
【0044】
また、前述の実施形態においては、ブラケットの一部を乳白色の樹脂により形成する例を示したが、これに限定されない。例えば、浴室ユニット内に暖かみのある光を供給するために、ブラケットの一部の色調をオレンジとしてもよく、涼しさを演出するために、ブルーとしてもよい。又は、ブラケットの一部を透明材料により形成し、その内面に微小な凹凸を形成してもよい。これにより、光を効果的に拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る浴室ユニットにおけるブラケットを例示する斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る浴室ユニットにおけるブラケットを例示する斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る浴室ユニットを例示する模式的断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図9】(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係る浴室ユニットのブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
【図10】(a)及び(b)は、比較例におけるブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
【図11】(a)及び(b)は、本発明の第6の実施形態に係る浴室ユニットのブラケットを例示する模式図であり、(a)は断面図であり、(b)は下面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る浴室ユニットの放光口を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1、21、31 浴室ユニット、2 浴槽、3 洗い場、4 天井、6 放光口、7、27、57、67、157 ブラケット、8 排気口、9 排気フィン、11 円筒部材、12 円板部材、14 側壁、15 鏡、16 収納棚、17 シャワー、18 カウンター、28 上部、29 下部、32 縦型ダクト、33 本体部、34 延出部、35 補助ミラー、36 パッキン、37 光透過板、57a、67a ドーム状部分、57b、157b 半透光配光板、62 透光板、67b 光反射板、67c レール、72 半透光性セラミック板、101 住宅、102 光ダクト、103 採光部、104 排気管、L 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、
前記導光設備により導入された光が、洗い場に向けて照射されることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記導光設備により導入された光を前記浴室ユニット内に放光する放光口は、前記浴室ユニットの天井における洗い場側の領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記放光口に取り付けられたブラケットを備え、
前記ブラケットの下面の透光率は、前記ブラケットの側面の透光率よりも高いことを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記導光設備により導入された光を前記浴室ユニット内に放光する放光口は、前記洗い場の側壁に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記洗い場の側壁に取り付けられた鏡と、
前記放光口に取り付けられたブラケットと、
を備え、
前記放光口は前記鏡の上方に配置されており、
前記ブラケットの下部の透光率は、前記ブラケットの上部の透光率よりも高いことを特徴とする請求項4記載の浴室ユニット。
【請求項6】
前記洗い場の側壁に取り付けられた鏡を備え、
前記放光口は前記鏡の側方に配置されていることを特徴とする請求項4記載の浴室ユニット。
【請求項7】
前記洗い場の側壁に設けられたカウンターを備え、
前記放光口は前記カウンターの下方に配置されていることを特徴とする請求項4記載の浴室ユニット。
【請求項8】
前記導光設備により導入された光を前記浴室ユニット内に放光する放光口に設けられ、前記導光設備により導入された光の進行方向を前記洗い場に向けて規制する光線方向規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項9】
前記光線方向規制手段は、入射された光の一部を前記洗い場に向けて反射する光反射板を有することを特徴とする請求項8記載の浴室ユニット。
【請求項10】
前記光線方向規制手段は、相互に平行に配置され、入射された光を反射する複数枚の光反射板を有することを特徴とする請求項8記載の浴室ユニット。
【請求項11】
前記導光設備により導入された光が照射される位置に配置され、可視光の少なくとも一部を吸収して遠赤外線を発生する遠赤外線放射板を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の浴室ユニット。
【請求項12】
前記導光設備は、その内面が光反射面とされた管状部材を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−82077(P2008−82077A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264977(P2006−264977)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】