説明

浴室乾燥機

【課題】 天井から浴室乾燥機を外さないまま、ヒータユニット部分裏側の掃除がしやすい浴室乾燥機構造を提供する。
【解決手段】 浴室の空気を吸引しヒータを経由させて浴室方向に空気を噴出する循環モードを備えた浴室乾燥機において、浴室の天井に固定される本体と、前記本体内に格納される送風機と、前記本体内の前記送風機よりも上流側であって前記浴室側となる下部に設けられ、浴室側に開口した吸引口と、前記本体内であって浴室側となる下部に設けられ、前記送付機から吹き出される空気を浴室内に噴出する循環吹出口と、前記循環吹出口内に配置されるように前記本体に対して固定されたヒータユニットと、を備え、前記ヒータユニットは、前記本体に対する固定が解除されると浴室側となる下方に降下可能であり、且つ、そのヒータユニットの一辺を回転軸として浴室側となる下方に回動可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室の天井に設置して、浴室内から吸引した空気を加熱して前記浴室内に吹き出すことで、衣類の乾燥や浴室内の暖房を自動的に行えるようにする浴室乾燥機に関するものであり、詳しくは空気を加熱するヒータユニットの取付構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
浴室内から吸引した空気を加熱して前記浴室内に吹き出す浴室乾燥機において、吸引口に設けられたフィルターでは埃を完全に補足することは難しく、循環風路やファンの羽根に堆積してしまう。そして風路に堆積した埃や羽根に堆積した埃の塊がさらに下流に吹き飛ばされると、最終的にハニカム状のヒータ上流部に堆積していくことになる。直接ヒータ上部に堆積してしまった埃とも合わせ、ヒータの風路が塞がれ、風量の不足や、或いは、ヒータフィンの間から埃が塊になって浴室内に落下する、という問題があった。
そこで、浴室内から吸引した空気を加熱して前記浴室内に吹き出す循環運転の開始初期に、本来は浴室側に連通するダンパーを排気側と連通させて、埃を浴室吹出口から吹出さずに排気側から排出することで、ヒータが設けられた循環吹出口に流れる埃を少なくするようにするものが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−25450号(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された循環運転の開始初期制御を実行したとしても、ヒータに至る埃を無くすことはできず、運転時間が長くなるとヒータ上面には埃が堆積することがあり、結局、ヒータの風路が塞がれ、風量の不足や、或いは、ヒータフィンの間から埃が塊になって浴室内に落下するという問題は発生する。
そして、このような風量不足や埃落下を防止するため、ヒータ上面に付着した埃を取り除く必要があるが、ヒータは電線で本体と連結されており、天井に浴室乾燥機本体を取り付けた状態での作業は、電線への引っ張り力を回避しつつ、ヒータ裏面を掃除するという行為となるため、天井裏に取り付けれれた浴室乾燥機本体を取外して、そこから、ヒータを取外して掃除するという作業を余儀なくされていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、天井から浴室乾燥機を外さないまま、ヒータユニット部分裏側の掃除がしやすい浴室乾燥機構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の浴室乾燥機は、浴室の空気を吸引して加熱してから浴室方向に空気を噴出する循環モードを備えた浴室乾燥機において、浴室の天井に固定される本体と、前記本体内に格納される送風機と、前記本体内の前記送風機よりも上流側であって前記浴室側となる下部に設けられ、浴室側に開口した吸引口と、前記本体内であって浴室側となる下部に設けられ、前記送付機から吹き出される空気を浴室内に噴出する循環吹出口と、前記循環吹出口内に配置されるように前記本体に対して固定されたヒータユニットと、前記送風機及び前記ヒータユニットの動作を制御する制御部と、を備え、前記ヒータユニットは、前記本体に対する固定が解除されると浴室側となる下方に降下可能であり、且つ、そのヒータユニットの一辺を回転軸として浴室側となる下方に回動可能であることを特徴とする。
【0006】
従って、循環吹出口内に配置されたヒータユニットは、本体に対する固定を解除すると、浴室側となる下方に降下させて循環吹出口内から取出すことができ、それからそのヒータユニットの一辺を回転軸として浴室側となる下方に回動させることで、循環吹出口に配置された状態において送風機から吹き出される空気が流入してその空気中の埃が溜まりやすいヒータユニットの上面側を浴室側に露出させることができる。そのため、本体を浴室の天井から取外さなくてもヒータ上面を浴室側から掃除することができ、ヒータユニット内の風路が塞がれることによる風量の不足や、或いは、ヒータフィンの間から埃が塊になって浴室内に落下するといった不具合の発生を防止することを可能とした。
【0007】
また、請求項2記載の浴室乾燥機は、前記ヒータユニットが前記循環吹出口内から降下していることを検出する降下検出手段を備え、前記制御部は、前記降下検出手段からの検出信号に基いて前記送風機及び前記ヒータユニットの駆動を禁止することを特徴とする。
よって、ヒータユニットの清掃時に感電などをする恐れを排除することを可能にした。
【0008】
また、請求項3記載の浴室乾燥機は、前記制御部は、前記降下検出手段によって前記ヒータユニットが降下を検出した状態が解除されたことを検出した最初の循環モードの運転開始時において、前記ヒータユニットへの駆動を停止した状態で前記送風機を駆動させる準備運転を行うことを特徴とする。
よって、ヒータユニットの清掃時に剥がれ易い状態でヒータユニットに残った埃を浴室側に吹出すことができ、ヒータユニットの加熱により埃が焼けて異臭が発生することを防ぐことができる。
【0009】
また、請求項4記載の浴室乾燥機は、前記ヒータユニットの側面と前記吹出口表面の其々の少なくとも一部は、一方は強磁性体、他方は磁石で構成されていることを特徴とする。
よって、ヒータユニットの清掃時、ヒータユニットを磁力で固定出来るため、埃の除去を一層しやすくすることが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吹出口に取り付けられたヒータユニットを、一辺を回転軸として利用して降下・揺動させることで、浴室乾燥機本体を天井裏から取外すことなくヒータ上面を露出することができ、付着している埃を容易に掃除できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係わる浴室乾燥機を示す断面図。
【図2】発明に実施形態に係わる浴室乾燥機を示す平面図。
【図3】第一実施形態に係わるヒーターユニットと本体ケーシングの構成図。
【図4】図3のヒータユニットの移動状態を示す図。
【図5】制御部の動作フローを示す図。
【図6】第二実施形態に係わるヒーターユニットと本体ケーシングの構成図。
【図7】図6のヒータユニットの移動状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に実施形態に係わる浴室乾燥機を示す断面図である。この図1に示されるように、浴室BRの天井に浴室乾燥機の本体としての本体ケーシング2が固定されている。この本体ケーシング2の内部には送風機としてのファン15と、このファン15によって吸引された浴室内の空気を再び浴室内へ戻すか、または、浴室外へ排気するのかを切替える切替ダンパー60が格納されている。本体ケーシング2の下面を構成する下蓋ユニット2aには、浴室内に対向した面には、ファン15によって浴室内の空気を吸引するための吸引口30と、ファン15からの空気を浴室内へ吹き出す循環吹出口31が形成されている。また、本体ケーシング2の側壁には排気口32が形成されており、その排気口32に接続された排気ダクト70を通じて、ファン15によって吸引された浴室内の空気を浴室外へ排出することが可能である。
【0013】
循環吹出口31にはヒータユニット1が嵌め込み固定されている。そして、ヒータユニット1やファン15や切替ダンパー60は制御部50によって制御される。制御部60によって、切替ダンパー60が(a)の位置にある状態でファン15を駆動することで、浴室内の空気を排気ダクト70から排気する排気運転を行うことができ、切替ダンパー60が(b)の位置にある状態でファン15を駆動すると共にヒータユニット1へ通電することで、浴室内の空気の一部を排気ダクト70から排気しながら残りの空気を加熱して循環吹出口31から浴室内へ吹き出して、浴室内の洗濯物を乾燥する乾燥運転を行うことが可能であり、また、切替ダンパー60が(c)の位置にある状態でファン15を駆動すると共にヒータユニット1へ通電することで、浴室内の空気を加熱して循環吹出口31から浴室内へ吹き出して、浴室内を暖房する暖房運転を行うことが可能である。
【0014】
なお、浴室乾燥機の浴室側においては、吸引口30と循環吹出口31とを覆うようにフロントカバー40が設けられており、このフロントカバー40には、吸引口30と対向するように吸引する空気中の埃を吸着するためのフィルター41が着脱できるように取り付けられており、循環吹出口31と対向する位置には、吹き出す温風を所定の方向に向けて吹き出すためのルーバー42が形成されている。なお、フロントカバー40は、本体ケーシング2に対してビス止め固定されている。
【0015】
図2は発明に実施形態に係わる浴室乾燥機を示す平面図である。この図2示すように、ヒーターユニット1は発熱部となるPTC特性を有する抵抗体から成るヒーター19と、それを取り囲むように形成されているヒーターケース20とで構成されている。ヒーターケース20は樹脂製である。このヒーターケース20は、4本の取付ねじ11〜14によって、本体ケース2の下蓋2aに固定されている。
【0016】
次に、第一実施形態に係わるヒーターユニット1の本体ケーシング2への固定構造について説明する。図3は第一実施形態に係わるヒーターユニットと本体ケーシングの構成図。であり、図4は図3のヒータユニットの移動状態を示す図である。
【0017】
この図3に示すようにヒーターケース20は本体ケーシング2に接続するための凸部3を備えており、その凸部3の両横側面には半球状の出っ張り6、7が形成されている。一方、本体ケーシング2の下蓋2aはヒーターケース20の凸部3が嵌まり込むように一対の凸部4、凸部5が下方向(浴室内に向かう方向)に形成されている。凸部4、5は直方体で縦に長い構造である。凸部4、5の先端(下端)は本体ケーシング2の下蓋2aの底面から凸部3の厚み以上浴室側に飛び出して設けられている。
【0018】
また、凸部4、5は横方向に貫通する長穴8、9を持つ。凸部4、5は先端の内側の角に、ヒーターケース20の出っ張り6、7を誘い込むための、斜め方向に切断されたテーパー形状を持つ。長穴8、9を含む凸部4、5は対称形状をしている。凸部4、5の距離は凸部3の横幅よりも少し大きめである。
【0019】
ヒーターユニット1組み付け状態では、凸部3は凸部4、5の間に挟まれる状態で、凸部3の下面と凸部4、5の下面とが一致する場所でねじ11、12、13、14によって本体ケーシング2に固定されている(図2参照)。このとき、半球状の出っ張り6、7は長穴8、9に嵌っている。取付ねじ11、12、13、14を外すことにより、ヒーターユニット1を本体ケーシング2の浴室方向に動かすことができる。
【0020】
図4において(a)はヒーターユニット1組み付け時、(b)はヒーターユニット1下降時、(c)はヒーターユニット1清掃時を示している。ヒーターユニット1掃除時は、まず、取付ねじ11、12、13、14を外し、図4(b)に示すようにヒーターユニット1を長孔8,9の一番下まで移動させる。それから、出っ張り6、7を軸としてヒーターユニット1を90度回転させ、(c)の状態にする。この状態で、浴室側からヒーター19に付着した埃を取り除くことができる。
【0021】
更に本実施形態において、図4に示す様に、本体ケーシング2にヒーターケース20の上面と接触する部分に、浴室乾燥機駆動のための電気回路に直列に接続したタクトスイッチ10を設置すれば、ヒーターユニット1組み付け時(図4(a)の状態)には常にこれをヒーターユニット1が押している状態になり、またヒーター清掃時にヒーターユニット1を降下させている場合(図4(b),(c)の状態)は、タクトスイッチ10を押していない状態になる。
【0022】
この制御を図5で説明する。タクトスイッチがONの場合はヒーター19とファンモーター15aに通電する経路が閉じて通電可能となっており、タクトスイッチがOFFの場合はヒーター19とファンモーター15aへの通電経路が開放されて通電が強制的に停止する。このタクトスイッチ10の設置によって、ヒーターユニット1を外しヒーター19を清掃しているときに、清掃作業者が誤って感電及びケガをすることのないように安全面に配慮することができる。
【0023】
更に本実施形態において、タクトスイッチ10が開から閉になった後での最初の循環吹出口31からの吹出しを伴う乾燥運転や暖房運転といった循環モード運転時に、ヒーター19に通電せずに、ファン15を動かし送風を行い、一定時間この準備運転を行った後、循環モードの運転に移行する制御を設定すれば、ヒーター清掃後にヒーター19に残った埃を浴室内に落下させないようにすることができる。
【0024】
次に他の実施形態について図6,7を参照して説明する。図6は第二実施形態に係わるヒーターユニットと本体ケーシングの構成図。であり、図7は図6のヒータユニットの移動状態を示す図である。この例ではヒーターユニット1を下降させ90°回転させてから、さらにヒーターユニット1を固定する。この回転機構は第一実施形態と異なり、ヒーターケース20に貫通する縦穴21が、本体ケーシング2の下蓋2aに取り付けられている取付金具16に差し込まれることによって構成されている。
【0025】
縦穴21はヒーターケース20端部に縦方向で直方体状に貫通している。取付金具16は略コの字型をしており、厚さは穴21の長辺よりも薄くなっている。コの字の一辺は本体ケーシング2の下蓋2aから少し飛び出すように設置されている。
【0026】
図7において(a)はヒーターユニット組み付け時、(b)はヒーターユニット下降時、(c)はヒーターユニット清掃時を示している。ヒーターユニット1組み付け時、取付金具16は縦穴21に差し込まれていない。ヒーター清掃時にはヒーターユニット1を固定している取付ねじ11〜14を外し、ヒーターユニット1を浴室側に下降させる。下降させると、ヒーターケース20の縦穴21に取付金具16の先が差し込まれ、(b)の状態になる。すると、縦穴21と取付金具16でヒンジ構造が形成され、ヒーターユニット1が縦穴21を軸として、取付金具をスライドしながら回転して(c)の状態になり、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
更に本実施形態において、ヒーターケース20の側面と本体ケーシング2の下蓋2aの下面に互いに引き合う磁性体17、18を設置すれば、ヒーターユニットを90°回転させた状態で固定することができる。つまり、磁性体17、18が引き合う力によって、ヒーターケースは固定される。ヒーター部を浴室側に露出した状態で固定することによって、ヒーター裏面の清掃をさらに容易に行うことができる。
なお、本体ケーシング2の下蓋2aには、磁性体17によって動作するリミットスイッチ10aが設けられており、前述した第一実施形態と同様に、ヒーターユニット1の清掃時に、ヒーター19とファンモータ15aへの通電を強制的に停止することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1…ヒーターユニット
2…本体ケーシング
3…ヒーターケース凸部
4、5…本体ケーシング凸部
6、7…出っ張り
8、9…長穴
10…タクトスイッチ
11、12、13、14…ヒーターユニット取付ねじ
15…ファン
16…取付金具
17、18…磁性体
19…ヒーター
20…ヒーターケース
21…縦穴




【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の空気を吸引して加熱してから浴室方向に空気を噴出する循環モードを備えた浴室乾燥機において、浴室の天井に固定される本体と、前記本体内に格納される送風機と、前記本体内の前記送風機よりも上流側であって前記浴室側となる下部に設けられ、浴室側に開口した吸引口と、前記本体内であって浴室側となる下部に設けられ、前記送付機から吹き出される空気を浴室内に噴出する循環吹出口と、前記循環吹出口内に配置されるように前記本体に対して固定されたヒータユニットと、前記送風機及び前記ヒータユニットの動作を制御する制御部と、を備え、前記ヒータユニットは、前記本体に対する固定が解除されると浴室側となる下方に降下可能であり、且つ、そのヒータユニットの一辺を回転軸として浴室側となる下方に回動可能であることを特徴とする浴室乾燥機。
【請求項2】
前記ヒータユニットが前記循環吹出口内から降下していることを検出する降下検出手段を備え、前記制御部は、前記降下検出手段からの検出信号に基いて前記送風機及び前記ヒータユニットの駆動を禁止することを特徴とする請求項1記載の浴室乾燥機。
【請求項3】
前記制御部は、前記降下検出手段によって前記ヒータユニットが降下を検出した状態が解除されたことを検出した最初の循環モードの運転開始時において、前記ヒータユニットへの駆動を停止した状態で前記送風機を駆動させる準備運転を行うことを特徴とする請求項2記載の浴室乾燥機。
【請求項4】
前記ヒータユニットの側面と前記吹出口表面の其々の少なくとも一部は、一方は強磁性体、他方は磁石で構成されていることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載の浴室乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207805(P2012−207805A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71455(P2011−71455)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】