説明

浴室用壁パネル

【課題】プロジェクタの映像を壁パネルに対してシャープに映すことのできる浴室用壁パネルを提供する。
【解決手段】プロジェクタにより映像を投影される浴室用壁パネルである。少なくとも映像が投影される部分の最外層のシート2に、艶消し用の微細エンボス加工を施す。この微細エンボス加工により光沢度を16%以下に抑えることで、シャープに映すことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室用壁パネルに関し、詳しくは、プロジェクタの映像を壁パネルに対してシャープに映すための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室用壁パネルにおいては、柄を印刷した樹脂フィルムを最外層のシートとして用い、このシートを鋼板にラミネートさせたものが一般的である。上記構成の浴室用壁パネルは、当然ながらその壁柄が一定であり、ユーザが壁柄を変更したいと考えた場合には、浴室を一旦解体する必要がある。つまり、容易には壁柄を変更することができないという問題があった。
【0003】
上記問題を解決するには、映像を投影するためのプロジェクタを用い、該プロジェクタから投影される壁柄の映像を浴室用壁パネルに映すことが考えられる。例えば特許文献1には、このようにプロジェクタの映像を浴室壁パネルに映す際に、パネル表面の曇りや水滴等が映りに悪影響を及ぼさないように、浴室壁パネルに振動発生装置やヒータを備えることが提案されている。
【0004】
しかし、上記のように曇りや水滴を防止した場合であっても、浴室用壁パネルはその表面の鏡面性が高い(光沢度が大きい)ため、投影された壁柄はパネル表面に薄く映ることになる。したがって、パネル表面に細かい色調の変化を表現しにくいという問題があった。
【特許文献1】特開2002−295031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、プロジェクタの映像を壁パネルに対してシャープに映すことのできる浴室用壁パネルを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明を、プロジェクタ1により映像を投影される浴室用壁パネルであって、少なくとも映像が投影される部分に、艶消し用の微細エンボス加工が施してあるものとする。このようにすることで、パネル表面の映像が投影される部分の光沢度を小さくし、映像が薄く写ることを防止することができる。したがって、細かい色調の変化であっても鮮やかに表現することが可能となる。
【0007】
微細エンボス加工は、光沢度を16%以下に抑えるものであることが好適である。このようにすることで、映像が薄く映ってしまうという事態が効果的に防止される。
【0008】
また、微細エンボス加工を施す最外層のシート2は、ポリエステル系材料から成ることが好適である。このようにすることで、シート2表面に汚染物質が付着した際には該汚染物質を除去しやすくなり、汚染物質の付着を防止して映像を更にシャープに映すことが可能になる。加えて、シート2は耐薬品性を有するものになり、浴室掃除に使用する洗剤等の薬品が付着してもこれによりシート2が侵さることが防止される。
【0009】
また、微細エンボス加工を施してある最外層のシート2の下層に、柄付け印刷が施してあることも好適である。このようにすることで、下層に印刷してある柄をベースとしてこの上にプロジェクタ1からの映像を重ねて表現することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明は、プロジェクタの映像を壁パネルに対してシャープに映すことができ、細かい色調の変化であっても鮮やかに表現することが可能になるという効果を奏する。
【0011】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、映像が薄く映ってしまうという事態が効果的に防止されるという効果を奏する。
【0012】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、シートに汚染物質が付着することを防止して映像を更にシャープに映すことが可能になるとともに、浴室掃除に使用する洗剤等の薬品が付着してもこれによりシートが侵さることが防止されるという効果を奏する。
【0013】
また請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、下層に印刷してある柄にプロジェクタからの映像を重ねて表現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には本発明の実施形態における一例の浴室用壁パネルの断面を示し、図2には一例の浴室用壁パネルにプロジェクタ1からの映像を映した様子を示している。このプロジェクタ1はPC(図示せず)に接続させてある。
【0015】
本例の浴室用壁パネルは、浴室空間を囲む壁パネルのうち少なくともプロジェクタ1により映像を投影される部分(以下「投影部分S」という。)を形成するものであって、図1の断面に示すように、外表面に微細なエンボス加工を施してあるフィルムを最外層のシート2として用い、この最外層のシート2を鋼板3にラミネートさせている。また、鋼板3の裏面にはエポキシ樹脂4の塗装が施してある。浴室用壁パネルの裏面にエポキシ樹脂4を施してあることで、施工の際に壁面に接合させやすいものとなる。
【0016】
最外層のシート2はポリエステル系フィルムを用いて形成し、その外表面に施す微細エンボス加工は、エンボス深さdが12μmでピッチpが24μmとなるようにしている。このように、ポリエステル系フィルムに微細エンボス加工を施したことによって艶消しの効果が生じ、最外層のシート2はその光沢度が8%程度になっている。ここでの光沢度は、測定角60°で測定したものである。
【0017】
したがって、この最外層のシート2に対してプロジェクタ1からの壁柄の映像を投影させた場合には、投影部分Sの全体に壁柄の映像がシャープに映されることになり、細かい色調の変化についても鮮やかに表現することが可能となっている。なお、ここでは光沢度が8%となるように設定しているが、光沢度については16%以下(好ましくは12%以下)に抑えるものであれば構わない。また、エンボス形状についても、光沢度を上記範囲内に設定できるものであれば特に限定されない。
【0018】
プロジェクタ1から投影される映像は、接続されるPCを操作して適宜変更することができる。したがって、ユーザが壁柄を変更したいと考えた場合には、浴室を一旦解体することなく、プロジェクタ1側で投影する映像を変更するだけで容易に壁柄を変更可能である。また、投影する映像も壁柄に限定されるわけではなく、プロジェクタ1を用いて写真の映像を投影することや、或いはプロジェクタ1にテレビチューナを接続することでテレビ放送の映像を投影することも可能である。いずれの場合であっても、投影部分Sは微細エンボス加工により光沢度が16%以下に抑えられているので、細かい色調の変化までシャープに表現された映像となり、ユーザに満足感を与えることができる。
【0019】
また、この微細エンボス加工を施す最外層のシート2をポリエステル系材料により形成し、ミクロ的には鏡面性を有するものにしていることで、シート2表面に汚染物質が付着した際には該汚染物質を除去しやすいものになっている。これにより汚染物質の付着を防止し、映像が更にシャープに映されることとなる。
【0020】
つまり、本例の浴槽壁パネルは、微細エンボス加工によりマクロ的には艶消しを行って映像が薄く映ることを防止し、且つ、ミクロ的には鏡面性を有するものとして汚染物質の付着を防止したことで、より一層シャープな映写を実現したものである。
【0021】
加えて、最外層のシート2をポリエステル系材料により形成してあることで該シート2は耐薬品性を有するものになっている。したがって、浴室掃除に使用する洗剤等の薬品がシート2に付着しても、この薬品によってシート2が侵さることが防止されている。
【0022】
なお、最外層のシート2の下層である鋼板3には、柄付け印刷を施しておくことも好適である。これにより、透明又は半透明である最外層のシート2を介して鋼板3の柄を表面に映し、このシート2に対してプロジェクタ1からの映像を投影することで、鋼板3側に印刷してある柄をベースとしてこの上にプロジェクタ1の映像を重ねて表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における一例の浴室用壁パネルの断面図である。
【図2】同上の浴室用壁パネルを用いて形成した浴室の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 プロジェクタ
2 最外層のシート
3 鋼板
4 エポキシ樹脂
d エンボス深さ
p ピッチ
S 投影部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタにより映像を投影される浴室用壁パネルであって、少なくとも映像が投影される部分に、艶消し用の微細エンボス加工が施してあることを特徴とする浴室用壁パネル。
【請求項2】
微細エンボス加工は、光沢度を16%以下に抑えるものであることを特徴とする請求項1に記載の浴室用壁パネル。
【請求項3】
微細エンボス加工を施す最外層のシートは、ポリエステル系材料から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室用壁パネル。
【請求項4】
微細エンボス加工を施してある最外層のシートの下層に、柄付け印刷が施してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の浴室用壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−108505(P2009−108505A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279463(P2007−279463)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】