説明

浴室

【課題】内部に水通路部を含んだ機能ユニットを浴室内に設置した浴室において、浴室外の外気と連通する連通ホースを設け、浴室内の高湿度によって機能ユニット内の機器への影響を防止するとともに、機能ユニット内の漏水が浴室外に漏れ出ることを防止する。
【解決手段】浴室は、内部に水通路部を含んだ機能ユニット3を備え、機能ユニット3内の空気層と、浴室外の空気層とを連通させる連通ホース30が接続されており、連通ホース30内に機能ユニット3の水通路部からの漏水が、浴室外へ排出されることを防止するための逆止弁ボールを備えた漏水防止弁を備え、この漏水防止弁は連通ホース30が水平方向に維持されるように取り付けられている機能ユニット3に接続される接続部の近傍位置に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に関し、内部に水通路部を含んだ機能ユニットを浴室内に設置し、機能ユニットと浴室外の外気と連通する連通ホースを設けるとともに、連通ホース内に漏水を防ぐ漏水防止弁を設けた浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の底面に洗浄ノズルを設けて、浴槽内面に洗浄水を噴射する浴槽続浄装置は、従来、知られているが、洗浄ノズルに洗浄水を供給する機能ユニットは、通常、浴槽に近接して設置される。
【0003】
浴室内は入浴やシャワー等で相対湿度100%となるが、上記機能ユニット等の浴室内へ設置する機器が高湿度の空気を吸気すると、故障等の一因となる。浴室内へ設置する機器の防湿対策として、従来、防水リモコンのように完全防水仕様とする構成が知られている。例えば、浴室の洗浄装置において、機能部を防水ケースに収容し、内部に逆止弁を設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、浴室内へ設置する機器の防湿のための他の対策として、シャワーリモコン等では、リモコン内の熱膨張等で設置雰囲気の高湿度の空気を吸い込まないように、ステーパイプを通じて浴室外(屋外)と連通し、浴室外の空気を吸わせている構成が知られている。
【0005】
その他、浴槽において、吸気管の途中に逆流防止弁を設けたものが知られている(特許文献2参照)。さらに、逆流を防止するためのボール弁の構造は知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平10−328060号公報
【特許文献2】実開平5−070538号公報
【特許文献3】特開昭59−113374号公報
【特許文献4】実開平2−138287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、洗浄ノズルに洗浄水を供給する機能ユニットでは、パッキンを介して機能ユニットのケースを蓋で水密的に封止していたが、機能ユニット内の湿度を積極的に下げて維持するという点では十分ではなかった。
【0007】
本発明は、従来の問題点を解決することを目的とし、機能ユニット内の防湿のために設けられた機能ユニットと浴室外の外気とを連通ホースで連通する構成において、機能ユニット内で万が一漏水が発生した場合、連通ホースから浴室外へこの漏水が流れ出すという問題が生じることに対し、本発明は浴室において、機能ユニットからの漏水が連通ホースから流れ出すことを防止する構成を実現しようとすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、内部に水通路部を含んだ機能ユニットを備えた浴室であって、機能ユニット内の空気層と、浴室外の空気層とを連通させる連通ホースが接続されており、連通ホース内に機能ユニットの水通路部からの漏水が、浴室外へ排出されることを防止するための漏水防止弁を備えていることを特徴とする浴室を提供する。
【0009】
漏水防止弁は連通ホースが機能ユニットに接続される接続部の近傍位置に位置していることが好ましい。
【0010】
漏水防止弁は一方向の水の流れを閉止する逆止弁ボールを備えているとともに、連通ホースが水平方向に維持されるように取り付けられていることが好ましい。
【0011】
機能ユニットは浴槽洗浄のための浴槽洗浄ユニットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の浴室によれば、連通ホースへ漏水防止弁を設けたので、機能ユニット内に漏水が発生した場合に、漏水防止弁にて止水して浴室外への漏水を防止することができ、浴室外への漏水等の二次災害を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の浴室を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の浴室における浴槽洗浄装置の配管を含む配管系統の全体構成を説明する斜視図であり、図2は、洗浄ノズルに洗浄水を供給する機能ユニットを中心とした全体構成を説明するブロック図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明の浴室における浴槽洗浄装置は、浴槽1に取り付けられる洗浄ノズル2と、洗浄ノズル2に洗浄水を供給する浴槽洗浄のための浴槽洗浄ユニットである機能ユニット3と、機能ユニット3に洗剤を供給する洗剤供給部である洗剤供給タンク4と、機能ユニット3に湯水を供給する湯水供給部5とを備えている。
【0016】
湯水供給部5は、水を加熱し湯水として供給する装置であり、通常は、浴槽1、水栓6、台所等に給湯する給湯器が使用される。この湯水供給部5には、水道管7から水道水が供給され、また追い焚き用の配管8を通して浴槽1からの湯水も供給され、加熱されて浴槽用供給管9から浴槽1に湯水が供給される。湯水供給部5は、洗浄リモコン10、浴室リモコン11、台所リモコン12等の操作によって、制御される。
【0017】
湯水供給部5から湯水供給管5’を通して機能ユニット3及び水栓6に湯水を供給する。洗浄ノズル2は、浴槽1の内面に向けて洗浄水を噴射するノズルであり、洗浄水供給管13を介して機能ユニット3のベンチュリ14に接続されている。
【0018】
機能ユニット3は、ケース15を備えており、ケース15は、パッキンを介して蓋16(図1参照)で水密的に封止されている。図3は、機能ユニット3のケース15の内部の構成を示す正面図である。図1〜図3を参照して、機能ユニット3を説明する。
【0019】
図2及び図3に示すように、機能ユニット3は、水通路部17を有しており、この水通路部17に、順次、フィルタ18、水量サーボ弁19、流量センサ20、注湯電磁弁21、逆止弁22、2つの縁切り弁23、23、逆止弁24及びベンチュリ14が配置されている。また、機能ユニット3は、ベンチュリ14に連通する洗剤電磁弁25を備えている。
【0020】
水通路部17に設けられた各機器は、制御装置26で制御される。制御装置26からの洗浄開始信号が注湯電磁弁21に送られると注湯電磁弁21が開き、湯水供給部5から湯水水供給管5’を通して、機能ユニット3内に湯水が送られる。機能ユニット3のフィルタ18は、湯水供給部5から出湯された湯水を受けてろ過し、流量センサ20が湯水の瞬間的な流量(流量/時間)を計量して計量信号を制御装置26に送信する。
【0021】
制御装置26は、その計量値を水量サーボ弁19に送信し、水量サーボ弁19はその計量値に応じて適宜、弁の開閉度合いを制御し、洗浄ノズル2が噴射するに適した流量となるように刻々と制御する。2つの逆止弁22、24は洗浄水の逆流を防止し、縁切り弁23、23は、逆止弁22、24で止水された洗浄水を水通路部17から機能ユニット3外に排水管23’、23’を通して排出する。
【0022】
洗剤供給タンク4は、洗剤液を入れるタンクであり、洗剤液の充填状態は、フロートスイッチ27で検知されており、充填量が少なくなったらその検知信号を制御装置26に送信し、制御装置26で洗剤切れ信号を発生するように構成されている。
【0023】
制御装置26は、洗浄リモコン10で操作されるが、この操作に応じて、浴槽1の洗浄のために注湯電磁弁21が開き、洗浄水である湯水を洗浄ノズル2に一定量供給する。制御装置26は、注湯電磁弁21が開いている間、洗剤電磁弁25を開くように制御し、洗剤液を洗剤供給管45を通してベンチュリ14に供給する。ベンチュリ14に供給された洗剤液は、ベンチュリ14を通過する湯水に混入される。これによって、洗剤入りの洗浄水が調製されて洗浄ノズル2に供給される。
【0024】
本発明の浴室の全体構成は、以上のとおりであるが、本発明の浴室の特徴的構成を以下さらに説明する。
【0025】
機能ユニット3は、図4に示すように、浴槽フランジ28の下方であり洗い場29近くに設置されるので、浴室の高湿度の影響を受けたりする。そこで、図1、図3〜5に示すように、機能ユニット3内の空気層と浴室外とを連通するための連通ホース30が配設されている。なお、機能ユニット3内の「空気層」とは、ケース15内の空間15’(水通路部17のフィルタ18を除く水量サーボ弁19等の機器が収納されているケース15内の単なる空間)を言うのであり、特に空気タンクを設けたというような特別な意味ではない。
【0026】
図3、図5(a)、(b)に示すように、連通ホース30は、その一端は、機能ユニット3のケース15の側壁31に貫通して取り付けられた取り付け栓32に嵌合され、その他端は、浴室壁に形成された電装ケーブル用の貫通孔44(図1参照)を通して浴室外に延びている。取り付け栓32のケース15側の開口は、ケース15内の空気層に連通している。要するに、ケース15内の空間15’に面している。
【0027】
図5に示すように、連通ホース30内には、漏水防止弁33が装着されている。この装着位置は、連通ホース30が機能ユニット3に接続される接続部の機能ユニット3の近傍であり、具体的には、取り付け栓32のケース15と反対側の開口に隣接している。この位置に装着されることで、機能ユニットに連通ホースを接続する際に、漏水防止弁が取り付けられているか、あるいは逆向きに取り付けられていないか等、確認しやすいという効果がある。
【0028】
図5(c)、(d)は、漏水防止弁33の構造を示す。漏水防止弁33は、円筒体から成る漏水防止弁本体34と、漏水防止弁本体34の一端開口35に圧入、螺着又は嵌着されたフランジ筒36と、逆止弁ボール37とから構成されている。
【0029】
漏水防止弁本体34には、その円筒孔38から他端開口39に向けて縮径するテーパ面40が形成されている。円筒孔38には逆止弁ボール37が装入されている。逆止弁ボール37は、水流により押されて移動する程度の重量を有する。フランジ筒36は漏水防止弁本体34に嵌合する筒部41を有し、筒部41の内端にはフランジ筒36の通孔42に連通する切り欠き孔43が形成されている。
【0030】
漏水防止弁33の一端側(フランジ筒36側)は、機能ユニット3の取り付け栓32側に向けられ、他端開口39側は、連通ホース30における浴室外の方向に向けられている。連通ホース30を通して他端開口39から円筒孔38内に流入する浴室外からの空気は、図5(e)に示すように、逆止弁ボール37と円筒孔38の隙間から、切り欠き孔43、フランジ筒36の通孔42、取り付け栓32を通過して機能ユニット3のケース15内の空間15’に流入する。この場合、仮に空気の流れで逆止弁ボール37を図5(e)に示すように同図中左方向に押して移動しても、切り欠き孔43から空気は流通するので、封止されることはない。
【0031】
これとは逆に、機能ユニット3内の湿気は、漏水防止弁33の通孔42から他端開口39を通過して浴室外に自然に排出される。即ち、逆止弁ボール37を移動させない程度の湿気が自然に排気する程度では、漏水防止弁33は封止されることはない。しかしながら、漏水防止弁33のフランジ筒36側から円筒孔38内に流入する水は、図5(f)に示すように、逆止弁ボール37を同図中右方向に押して移動させてテーパ面40に嵌るようにして他端開口39を封止するので、連通ホース30を通して浴室側には流れ出ない。
【0032】
また、取り付け栓32は機能ユニット3から水平方向に突出しており、連通ホースが接続される接続部の近傍位置では連通ホースが水平方向に維持されているので、漏水防止弁33が水平方向に維持されて取り付けられている。したがって、漏水防止弁33の逆止弁ボール37が重力の影響を受けずに、動作することが可能である。
【0033】
(作用)
以上の構成の本発明の浴室の作用を浴槽洗浄装置を中心に以下に説明する。浴槽1の洗浄時には、洗浄リモコン10で操作された制御装置26によって、注湯電磁弁21が開くと、湯水供給部5から洗浄水である湯水を機能ユニット3の水通路部17を通して洗浄ノズル2に供給する。
【0034】
機能ユニット3の水通路部17では、湯水の瞬間的な供給流量(供給流量/時間)を流量センサ20で計量し、その計量値に基づき、制御装置26が水量サーボ弁19の開閉を制御し刻々と供給流量を調整し、さらに、ベンチェリ14で洗剤液を混合し、洗剤入り洗浄水として洗浄水供給管13を通して洗浄ノズル2に送る。
【0035】
通常は、漏水防止弁33において、閉じられることがなく、機能ユニット3内の空間15’と浴室外との間では、連通ホース30で互いに空気が流通している。そのために、浴室内は高湿度であるが、機能ユニット3内の湿気は浴室外に自然に排除され、或いは浴室外の比較的湿度の低い空気が機能ユニット3内に流入し、機能ユニット3内は浴室外とほぼ同等の湿度に保たれて、浴室内のように高湿度とならない。
【0036】
ところで、機能ユニット3の水通路部17から何らかの原因で漏水が生じ、機能ユニット3内の空間15’に水が溜まった場合には、連通ホース30を通して浴室外に漏れ出ようとする。しかし、そのような場合でも、漏水防止弁33において逆止弁ボール37が他端開口39を閉じて止水し、浴室外に機能ユニット3内の水が漏れ出るようなことを防止することができる。この結果、浴室外の浸水という二次災害を防止することができる。
【0037】
なお、漏水防止弁33により止水されて機能ユニット3内に漏水が充満してしまうが、機能ユニット3内の水圧が高まると、その水圧によってケース15と蓋16との隙間をこじ開けるようにして、機能ユニット3外に流出するので、機能ユニット3の破損等の問題は生じない。
【0038】
以上、本発明に係る浴室を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る浴室の実施例における浴槽洗浄装置の配管を含む配管系の全体構成を説明する斜視図及びその要部拡大図である。
【図2】本発明に係る浴室の実施例の浴槽洗浄装置の機能ユニットを中心とする全体構成を説明するブロック図である。
【図3】実施例の浴槽洗浄装置の機能ユニットを説明する正面図である。
【図4】実施例の浴槽洗浄装置を説明する斜視図である。
【図5】実施例の浴槽洗浄装置の漏水防止弁を説明する図であり、(a)、(b)は取付状態を示す図であり、(c)は漏水防止弁の長手方向の断面図であり、(d)は(a)のA−A断面図であり、(e)、(f)は漏水防止弁の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
1 浴槽
2 洗浄ノズル
3 機能ユニット
4 洗剤供給タンク
5 湯水供給部
5’ 湯水供給管
6 水栓
7 水道管
8 追い焚き用の配管
9 浴槽用供給管
10 洗浄リモコン
11 浴室リモコン
12 台所リモコン
13 洗浄水供給管
14 ベンチュリ
15 機能ユニットのケース
16 蓋
17 機能ユニットの水通路部
18 フィルタ
19 水量サーボ弁
20 流量センサ
21 注湯電磁弁
22、 24 逆止弁
23 縁切り弁
23’ 排水管
25 洗剤電磁弁
26 制御装置
27 フロートスイッチ
28 浴槽フランジ
29 洗い場
30 連通ホース
31 ケースの側壁
32 取り付け栓
33 漏水防止弁
34 漏水防止弁本体
35 漏水防止弁本体の一端開口
36 フランジ筒
37 逆止弁ボール
38 漏水防止弁本体の円筒孔
39 漏水防止弁本体の他端開口
40 漏水防止弁本体のテーパ面
41 フランジ筒の筒部
42 フランジ筒の通孔
43 フランジ筒の切り欠き孔
44 貫通孔
46 洗剤供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水通路部を含んだ機能ユニットを備えた浴室であって、機能ユニット内の空気層と、浴室外の空気層とを連通させる連通ホースが接続されており、連通ホース内に機能ユニットの水通路部からの漏水が、浴室外へ排出されることを防止するための漏水防止弁を備えていることを特徴とする浴室。
【請求項2】
請求項1記載の浴室であって、漏水防止弁は連通ホースが機能ユニットに接続される接続部の近傍位置に位置していることを特徴とする浴室。
【請求項3】
請求項1または2記載の浴室であって、漏水防止弁は一方向の水の流れを閉止する逆止弁ボールを備えているとともに、連通ホースが水平方向に維持されるように取り付けられていることを特徴とする浴室。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の浴室であって、機能ユニットは浴槽洗浄のための浴槽洗浄ユニットであることを特徴とする浴室。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−307160(P2008−307160A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156204(P2007−156204)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】