説明

浴槽自動洗浄装置

【課題】洗剤タンク(22)と、洗剤タンク(22)から送り出される洗剤に湯水供給路(33)から送り出される湯水を混合させて洗浄液を生成する洗剤混合部(24)と、洗剤混合部(24)から送り出される洗浄液を浴槽内壁面に向かって噴射させる洗浄ノズル(17a)(17b)を具備する浴槽自動洗浄装置において、狭い箇所や既設の浴槽への施工を容易とすること。
【解決手段】洗剤混合部(24)を具備させた洗剤用回路(21)を、湯水供給路(33)が接続され且つ浴槽(20)と熱源機(3)とを繋いでいる配管(3a)の一部に並列に接続し、洗浄運転時には、回路切替弁(29)によって湯水供給路(33)から続く配管を洗剤用回路(21)側へ切り替え、その下流側に続く回路を洗浄ノズル(17a)(17b)へ連通させたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に洗浄液を自動的に噴射させて、浴槽内壁面の汚れを落とす浴槽自動洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽の内壁面に付着した湯垢等の汚れを自動的に洗浄する浴槽洗浄装置付きの風呂装置として、例えば、特許第3509089号(特許文献1)に開示されているものがある。
このものでは、図7(イ)に示すように、浴槽(20)の底面に、洗浄ノズル(4a)とすすぎノズル(4b)が設けられ、これらにそれぞれ洗浄配管(40a)及びすすぎ配管(40b)が接続されている。屋外に設置されている熱源機(3)内には、給湯回路(30)と、風呂落し込み回路(32)と、追焚循環回路(31)が設けられてあり、洗浄配管(40a)とすすぎ配管(40b)とは、前記追焚循環回路(31)の往き管(3b)に、洗浄切替三方弁(41)を介してそれぞれ接続されている。
【0003】
浴槽(20)内の湯水の追い焚き運転時には、浴槽(20)に設けられている湯水吸込口(15)から、戻り管(3a)、追焚循環回路(31)を経由して、往き管(3b)に送られる。このとき、洗浄切替三方弁(41)は往き管(3b)に対して洗浄配管(40a)とすすぎ配管(40b)を遮断した状態にあり、追焚循環回路(31)の追焚用熱交換器(31a)によって加熱された湯は、往き管(3b)から三方弁(47)を介して配管(34)に送られ、浴槽(20)に設けられた湯水吐出口(10)から吐出される。尚、この湯水吐出口(10)は、噴気運転時には、配管(34)からの湯水に、エア配管(45)からのエアが混合されたエア混じりの湯水の噴射口としても機能する。
【0004】
湯張り運転時には、給湯回路(30)内に入水された水が、給湯回路(30)で加熱され、温水となって、風呂落し込み回路(32)及び追焚循環回路(31)を通過した後、三方弁(47)を介して配管(34)に送られ、浴槽(20)に設けられた湯水吐出口(10)から吐出される。尚、洗浄切替三方弁(41)の洗浄配管(40a)側及びすすぎ配管(40b)側は遮断した状態となっている。
そして、浴槽洗浄運転時には、湯張り運転時と同様に、給湯回路(30)内に入水された水が、風呂落し込み回路(32)、及び追焚循環回路(31)を通過した後、洗浄切替三方弁(41)から、洗浄配管(40a)又はすすぎ配管(40b)に至るように設定されている。尚、このときは、三方弁(47)は閉じられている。
【0005】
洗浄切替三方弁(41)から洗浄配管(40a)に至る通路は湯水供給路(33)として機能し、洗浄ユニット(46)へ導かれる。
洗浄ユニット(46)には、洗剤が収納されている洗剤タンク(22)と、洗剤タンク(22)に繋がる洗剤供給路(26)を開閉する洗剤開閉弁(23)と、洗浄切替三方弁(41)を通過した湯水供給路(33)から洗浄配管(40a)へ供給される湯水の流れによって負圧を発生させて洗剤を洗浄配管(40a)へ引き込むためのベンチュリ構造の洗剤混合部(24)が配設されている。
洗剤開閉弁(23)が開くことにより、洗剤タンク(22)から洗剤供給路(26)を介して洗剤混合部(24)に送られてくる洗剤が、洗浄配管(40a)に送られた湯水と混ざって洗浄液となり、洗浄ノズル(4a)から浴槽(20)内に噴射される。
【0006】
又、三方弁(47)や洗浄切替三方弁(41)や洗浄ユニット(46)を構成している各部品の駆動源の電源として、電源ボックスが浴室内に取り付けられてあり、各部の駆動は、図7(ロ)に示すように、マイクロコンピュータで構成される制御本体部(100)で制御されてあり、台所等に設置される台所リモコン装置(102)と、浴室内に設置される浴室リモコン装置(103)と、浴槽洗浄専用のリモコン装置(101)によって遠隔制御可能である。
又、特開平10−234645号公報や特開2003−135298号公報にも、浴槽自動洗浄装置が開示されてあり、後者のものには、洗浄ノズルが浴槽(20)に設置されている循環金具に設けられた構成が開示されてある。
【特許文献1】特許第3509089号公報
【特許文献2】特開平10−234645号公報
【特許文献3】特開2003−135298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来の浴槽洗浄装置では、洗浄ノズルへ続く洗浄配管やすすぎ配管は、既存の湯張りや追焚用の配管とは別個に設けられているため、既設の浴槽に浴槽自動洗浄装置を新設するには、洗浄用の専用配管を新たに設けなければならず、施工が大掛かりとなり多大なコストがかかるといった問題がある。又、浴槽に連通している湯張りや追焚用の配管を、浴室内で分岐させて、洗浄ユニット(46)に取り込む工事が必要であるから、施工するスペースが狭く、既設の浴槽(20)への設置は困難である。
本発明は、『洗剤タンクと、前記洗剤タンクから送り出される洗剤に湯水供給路から送り出される湯水を混合させて洗浄液を生成する洗剤混合部と、前記洗剤混合部から送り出される前記洗浄液を浴槽内壁面に向かって噴射させる洗浄ノズルを具備する浴槽自動洗浄装置』において、狭い箇所や既設の浴槽への施工を容易とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するための請求項1に係る発明の浴槽自動洗浄装置は、『前記洗剤混合部を具備させた洗剤用回路を、前記湯水供給路が接続され且つ前記浴槽と熱源機とを繋いでいる配管の一部に並列に接続させ、
洗浄運転時には、回路切替弁によって、前記湯水供給路から続く前記配管は前記洗剤用回路側へ切り替わると共に、前記洗剤用回路の下流側に続く回路は前記洗浄ノズルへ連通すること』を特徴とするものである。
上記手段は次のように作用する。
浴槽洗浄用の洗浄液を浴槽に供給するための洗剤用回路を、浴槽と熱源機を繋いでいる既設の配管の一部に並列接続させることにより、湯水供給路から洗剤用回路の上流端に至るまでの回路、及び、洗剤用回路の下流端から洗浄ノズルに至るまでの回路として、既設の配管を利用することができる。これにより、洗浄液を送るための配管を別途新設する必要がない。
【0009】
(2)請求項2に係る発明のものは、請求項1に記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記配管は、前記熱源機から浴槽へ湯水を供給する往き管と、前記浴槽から前記熱源機へ湯水を戻す戻り管の2本からなる追焚用循環回路とし、
前記洗剤用回路は前記戻り管の一部に並列に接続され、
前記往き管及び前記戻り管の各浴槽側端部は、前記浴槽の構成壁に取り付けられている循環金具に各々接続され、
前記循環金具には、浴槽内の湯水を前記戻り管へ吸い込む湯水吸込口と、前記往き管内の湯水を浴槽内に吐出する湯水吐出口と、さらに、前記洗浄ノズルが設けられてあり、
前記戻り管の浴槽側端部は、追い焚き運転時には前記湯水吸込口に連通し、洗浄運転時には前記洗浄ノズルへ連通するように、前記循環金具内にて回路切替可能に設定されていると共に、
前記往き管の浴槽側端部は、前記追い焚き運転時には前記湯水吐出口に連通するように設定されている』もので、熱源機と、浴槽に従来から取り付けられている循環金具とは、追焚用循環回路を構成する往き管と戻り管の2本の配管で接続されている。そして、洗浄用配管を戻り管に並列接続させることにより、湯水供給路から洗剤用回路の上流端に至るまでの回路、及び、洗剤用回路の下流端から洗浄ノズルに至るまでの回路として、戻り管を利用することができる。尚、洗浄ノズルは循環金具内に設ける構成とする。
追い焚き運転時には、戻り管の浴槽側端部が湯水吸込口に連通していることから、浴槽内の湯水が循環金具内の湯水吸込口から戻り管へ吸い込まれ、追焚循環回路を通過する間に加熱されて、往き管へ送られる。往き管の浴槽側端部は湯水吐出口に連通していることから、湯水は前記往き管から循環金具の前記湯水吐出口から浴槽内へ吐出される。このように、浴槽内の湯水は追焚用循環回路内を循環しながら加熱される。
洗浄運転時には、湯水供給路から送り出される洗浄用の湯水は戻り管へ送られる。このとき、回路切替弁を、戻り管と洗剤用回路を繋ぐ状態に切り替えることにより、湯水供給路からの湯水は、洗剤用回路へ流れ込み、洗剤混合部で、洗剤タンクからの洗剤と混合されて、洗浄液となり、洗剤用回路の下流端から戻り管へ戻される。戻り管の浴槽側端部は洗浄ノズル側へ連通しているから、洗浄液は前記戻り管から洗浄ノズルへ送られ、洗浄ノズルから浴槽内へ噴射される。
【0010】
(3)請求項3に係る発明のものは、請求項2に記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記循環金具は、浴槽内壁面に添設され且つ前記湯水吸込口と前記湯水吐出口が開口しているケース体を具備し、
前記ケース体には、前記湯水吸込口から吸込まれる湯水の導入室が形成されていると共に、前記導入室と前記戻り管とは戻り管連通路を介して連通され、
前記導入室と前記戻り管連通路との間には第1逆止弁が設けられ、
前記導入室と前記往き管とは往き管連通路を介して連通されると共に、 前記往き管連通路は第2逆止弁を介して前記湯水吐出口と連通しており、
前記戻り管連通路は前記洗浄ノズルに第3逆止弁を介して連通し、
追い焚き運転時には、前記第3逆止弁が閉じられた状態で前記第1逆止弁が開弁し、前記湯水吸込口から前記ケース体内に吸込まれる浴槽内の湯水は、前記導入室と前記戻り管連通路を通って戻り管に導入されると共に、追焚用循環回路を経て往き管から前記往き管連通路を通り、前記第2逆止弁を開弁させて、前記湯水吐出口から吐出され、
洗浄運転時には、前記湯水供給路から送られてくる湯水は、前記戻り管、前記回路切替弁を介して前記洗剤用回路に送られ、前記洗剤混合部で洗剤タンク内の洗剤と混合して洗浄液となった後、戻り管連通路を通り、前記第3逆止弁を開いて、洗浄ノズルに送られる』もので、追い焚き運転時には、浴槽内の湯水は、循環金具の湯水吸込口→湯水導入室→第1逆止弁→戻り管連通路→戻り管→追焚用循環回路(加熱)→往き管→往き管連通路→第2逆止弁→湯水吐出口の順に循環する。
洗浄運転時には、湯水供給路から戻り管を流れてくる湯水と洗剤タンクからの洗剤が洗剤用回路の洗剤混合部で混合されて洗浄液が作られる。この洗浄液は、戻り管→戻り管連通路→第3逆止弁→洗浄ノズルの順に流れ、洗浄液は洗浄ノズルから浴槽内に噴射可能となる。
【0011】
(4)請求項4に係る発明のものは、請求項1から請求項3のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記洗浄ノズルは、前記浴槽内壁面から斜め上方に向かって噴射可能な第1洗浄ノズルと、上方に向かって噴射可能な第2洗浄ノズルとから構成されている』もので、浴槽内壁面のうち、洗浄ノズルが設置されている面を洗浄ノズル設置面とすると、洗浄ノズルのうち、第1洗浄ノズルからは、洗浄ノズル設置面以外の他の浴槽内壁面に向かって洗浄液が噴射され、第2洗浄ノズルからの噴射によって、洗浄ノズル設置面に洗浄液を噴射させることができる。又、洗浄ノズル設置面に、半身浴用の段部が設けられた形状の浴槽であっても、第2洗浄ノズルより、前記段部より上方の面に洗浄液をかけることができる。
【0012】
(5)請求項5に係る発明のものは、請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記湯水供給路は熱源機の給湯回路に接続されている』もので、上水道からの水が、熱源機内の給湯回路、湯水供給路を経て、洗剤用回路に送られ、洗剤用回路内の洗剤混合部で洗剤と混合されて洗浄液となって、浴槽内に噴射される構成となっている。
【0013】
(6)請求項6に係る発明のものは、請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記湯水供給路は、湯張り用給湯路である』もので、浴槽に湯水を送る湯張り用の給湯路を、洗剤混合部へ湯水を送る湯水供給路として利用できるようにしたものである。
【0014】
(7)請求項7に係る発明のものは、請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、『前記湯水供給路は、上水道から引き出された給水回路に接続されている』もので、上水道からの水は、熱源機内の給湯回路や追焚循環回路や湯張り用の給湯路を通ることなく、直接洗剤用回路に送られ、洗剤混合部で洗剤と混合されて洗浄液となって、浴槽内に噴射する構成となっている。
尚、湯水供給路とは、浴槽洗浄用の湯又は水を供給する回路とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、洗浄用回路は、浴槽と熱源機を接続している既設の配管の一部に並列接続させる構成としたから、既設の浴槽に浴槽自動洗浄装置を設置する場合に、洗浄液を送るための配管を別途新設する必要がない。よって、浴槽自動洗浄装置の設置工事を簡略化することができ、施工費用も安価に抑えることができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、上記効果に加えて、上記既設の配管は、浴槽と熱源機を接続している追焚用循環回路を構成する往き管と戻り管の2本であり、戻り管に洗浄用回路を並列接続させると共に、これら2本が循環金具に接続される構成としたから、洗浄ノズルを取り付けるために、浴槽に、循環金具の設置部以外に穴を別途あける必要がなく、漏水問題も生じない。
【0017】
また、請求項3に係る発明によれば、請求項2の効果を確実に実行できると共に、追い焚き運転時には、第3逆止弁が閉じる構成としたから、洗浄ノズルの先端から浴槽内の湯水が吸い込まれることはない。よって、追い焚き運転時に、浴槽内の湯水中のゴミや垢等が洗浄ノズル内に付着する不都合を防止することができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明によれば、洗浄液を、洗浄ノズル設置面を含む浴槽の内壁面全域に確実に噴出させ付着させることができるので、浴槽内壁面全域の洗浄が確実となる。又、半身浴用に段部が設けられた形状の浴槽であっても、前記段部の上面やそれを囲む内壁面にも確実に洗浄液をかけて洗浄することができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明によれば、熱源機の給湯回路を運転させると、湯水供給路に湯水が通水されて、浴槽自動洗浄装置を駆動させることができる。
【0020】
また、請求項6に係る発明によれば、熱源機内の湯張り用の給湯路を洗浄用の湯水供給路として利用できるようにしたから、湯水供給路としての配管を別途配設する必要がない。
【0021】
また、請求項7に係る発明によれば、上水道からの水を直接、洗剤用回路に引き込んで、洗浄液を構成するようにしたから、給湯回路や追焚用循環回路を駆動させることなく、浴槽自動洗浄装置を駆動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1番目の実施の形態に係る浴槽自動洗浄装置を備えた風呂装置の概略説明図であり、図面の略中央に記載されている二点鎖線の縦線の左側が、浴槽(20)が設置された浴室内であり、右側が、熱源機(3)が設置されている浴室外(例えば屋外)を示す。
【0023】
熱源機(3)には、給湯回路(30)と追焚用循環回路(42)とが設けられてあり、給湯時には、給水回路(K)内に上水道からの水が通水し、給湯回路(30)の給湯バーナ(37)で加熱されて出湯される。
追焚用循環回路(42)は、湯水を浴槽(20)へ供給する往き管(3b)と、浴槽内の湯を熱源機(3)へ戻す戻り管(3a)とから構成されてあり、これら往き管(3b)と戻り管(3a)は、浴槽(20)の構成壁に取り付けられている循環金具(5)に接続されている。
又、追焚用循環回路(42)には、風呂用ポンプ(P)が組み込まれており、追焚用熱交換器(35)の出口側に往き管(3b)が接続されてあり、入口側には戻り管(3a)が接続されている。
【0024】
浴槽(20)内の湯水の追焚き運転時には、追焚バーナ(36)を燃焼させて追焚用熱交換器(35)を加熱させると共に、風呂用ポンプ(P)を駆動させることにより、浴槽(20)内の湯は、循環金具(5)から戻り管(3a)を通って風呂用ポンプ(P)に送られ、風呂用ポンプ(P)から吐出された後、追焚バーナ(36)で加熱され、往き管(3b)を介して循環金具(5)から浴槽(20)内へ戻される。こうして、浴槽(20)内の湯水は、追焚用循環回路(42)を循環することによって、加熱昇温される。
尚、浴室内側に位置する戻り管(3a)には、戻り管(3a)の一部(3a1)と並列な回路を構成する洗剤用回路(21)が接続されてあり、洗剤用回路(21)は、浴槽(20)の上端外周に張り出しているフランジ部(25)の下方に取り付けられる洗剤タンク(22)に、洗剤供給路(26)を介して連通している。
【0025】
洗剤タンク(22)の上端部には、筒状の洗剤投入口(27)が、フランジ部(25)を貫通して突設されてあり、底部には、洗剤供給路(26)が接続されている。洗剤供給路(26)は、洗剤開閉弁(23)によって開閉可能となっており、洗剤開閉弁(23)の下流側は、洗剤用回路(21)に設けられたベンチュリ構造の洗剤混合部(24)に接続している。
追焚用循環回路(42)の戻り管(3a)には、洗剤用回路(21)と戻り管(3a)の一部(3a1)との分岐点に、切替弁(29)が設けられている。
本実施の形態では、これら洗剤開閉弁(23)と洗剤混合部(24)と洗剤用回路(21)と切替弁(29)で室内ユニット(2)が構成され、前記洗剤タンク(22)と共に、浴槽(20)のフランジ部(25)の下方で且つ浴槽(20)と浴室壁面との間の空間(S)内に設置される。
【0026】
洗剤タンク(22)には、洗剤補充検知部(28)として、長さの異なる複数の電極が差し込まれてあり、各電極と洗剤間に流れる電流によって洗剤タンク(22)内の洗剤の量を検知することができ、必要に応じて、洗剤投入口(27)から洗剤を投入することができる。
洗剤混合部(24)には、洗剤タンク(22)から洗剤開閉弁(23)を介して洗剤が送り出されると共に、給水回路(K)から、浴室外の熱源機(3)内の給湯回路(30)、湯水供給路(33)及び室外ユニット(1)を介して湯水が供給され、洗剤混合部(24)にて、洗剤と前記湯水が混合されて、浴槽洗浄用の洗浄液が作られる。
【0027】
室外ユニット(1)は、熱源機(3)の近傍に設置されてあり、その内部には、上流側から順に、流量制御弁(14)、流量センサ(11)、流路開閉弁(12)、大気開放弁(16)、逆流防止弁(13)、銀イオン発生部(6)が配設されている。
流路制御弁(14)には、熱源機(3)内の給湯回路(30)を経由した後の湯水が流れる湯水供給路(33)が接続されると共に、流量制御弁(14)はステッピングモータ等により弁開度が調節できるようになっている。尚、大気開放弁(16)は、熱源機(3)内の給湯回路(30)が負圧状態に陥ったときに大気に開放させるための弁である。
【0028】
浴室壁面には、浴室リモコン装置(103)と洗浄専用リモコン(101)が配設されてあり、浴室リモコン装置(103)には、風呂の湯張りや追い焚きに関するスイッチが設けられてあり、洗浄専用リモコン(101)には、浴槽洗浄に関する各種スイッチが設けられてあり、それぞれ、熱源機(3)や室外ユニット(1)及び室内ユニット(2)内の各部を遠隔操作可能としている。
【0029】
戻り管(3a)及び往き管(3b)の浴槽側端部が接続されている循環金具(5)は、図2及び図3に示すように、浴槽内壁面(200a)に向って開放しているケース体(50)と、ケース体(50)内に収納される第1、第2仕切り板(51)(52)と、浴槽(20)の構成壁(200)を貫通している雄ネジ筒部(53)と、雄ネジ筒部(53)が螺合され且つその開放端部がパッキン(58)を介して浴槽外壁面(200b)に添設される雌ネジ筒部(54)とから構成されている。
【0030】
ケース体(50)は、円形の前面とそれに連設される周壁とからなり、前記前面には、多数の孔が貫通しており、全体として、浴槽(20)内の湯水が吸い込まれる湯水吸込口(15)を構成している。又、前記前面の中央と前記周壁の頂部には、それぞれ、洗浄ノズル(17a)(17b)(図3参照)を露出させるための開口(50a)(50b)が貫通している。さらに、前記周壁の所定位置には、熱源機から往路(3b)を通って送られてくる湯水を浴槽内に吐出するための湯水吐出口(10)が形成されてある。
【0031】
第1仕切板(51)は、前記ケース体(50)内にちょうど内嵌可能な円板であり、開口(50a)に連通する中央には、開口(51a)が形成されていると共に、ケース体(50)の前記前面との間に、湯水吸込口(15)からの湯水が導入する湯水導入室(57)が形成される。
開口(51a)の両側には、複数の貫通孔からなる第1、第2窓部(511) (512)が形成されている。尚、図2において向って右側に位置する第1窓部(511)の方が左側に位置する第2窓部(512)よりもやや上方に位置するように設けられている。そして、第1仕切板(51)の上部域は前方へ張り出しており、ケース体(50)の開口(50b)を前方及び両側方から囲む包囲部(513)が上方及び後方に開放するように形成されている。
【0032】
ケース体(50)内にて、第1仕切板(51)の後方側に内嵌させる第2仕切板(52)は、頂部に、第1仕切板(51)の包囲部(513)内に収容される形状の張り出し部(523)が第1仕切板(51)側に向って張り出しており、その中央には、前記ケース体(50)の頂部の開口(50b)に対応する開口(52b)が形成されてある。又、第2仕切板(52)の中央には、雄ネジ筒部(53)内に挿入可能な筒部(43)が、張り出し部(523)とは反対の方向に突設されている。又、第1仕切板(51)の第1窓部(511)に対応する部分には、第1部屋部(521)が前方及び開口(52b)に向って斜め上方に開放するように形成されてあり、第2窓部(512)に対応する部分には、第2部屋部(522)が前方及び下方に開放するように形成されている。尚、第1部屋部(521)で囲まれた範囲の一部分のみを筒部(43)に連通させている。
そして、各第1、第2部屋部(521)(522)の開放端にはそれぞれ合成ゴム製の第1、第2逆止弁体(55a)(55b)が設けられている。
【0033】
第1逆止弁体(55a)は、第1部屋部(521)の開放端縁に架設されている軸部(56)の上下に第3逆止弁(553)と第1逆止弁(551)がそれぞれ設けられているもので、第2逆止弁体(55b)は、第2部屋部(522)の開放端縁に架設されている軸部(56)の上下に第4逆止弁(554)と第2逆止弁(554)がそれぞれ設けられた形状とする。
【0034】
雄ネジ筒部(53)は、第2仕切板(52)側の開放端に、パッキン(59)を介して浴槽内壁面(200a)にシール状態に添設されるフランジ部(53a)が張り出した形状を呈しており、雄ネジ筒部(53)内に筒部(43)を挿入させることにより、雄ネジ筒部(53)内には、筒部(43)内の内通路とその周囲のドーナツ状の外通路の二重の通路が形成される。
雄ネジ筒部(53)は、浴槽(20)の構成壁(200)の外側にて、雌ネジ筒部(54)に螺入される。雌ネジ筒部(54)には、戻り管(3a)が接続される戻り管接続筒(54a)と、往き管(3b)が接続される往き管接続筒(54b)が連設されてあり、戻り管接続筒(54a)は筒部(43)内の前記内通路に連通し、往き管接続筒(54b)は前記外通路に連通するように設定されてある。すなわち、前記内通路は、戻り管(3a)に連通する戻り管連通路(43a)として機能し、外通路は、往き管(3b)に連通する往き管連通路(53b)として機能することとなる。
【0035】
第1逆止弁(551)は湯水導入室(57)から戻り管連通路(43a)へ湯水が流れる方向を順方向とし、第2逆止弁(552)は往き管連通路(53b)から湯水吐出口(10)へ湯水が流れる方向を順方向とし、第3逆止弁(553)は戻り管連通路(43a)から洗浄ノズル(17a)(17b)側へ向う方向を順方向としている。又、第4逆止弁(554)は、湯水導入室(57)から往き管連通路(53b)へ湯水が流れる方向を順方向としているが、実際には、湯水導入室(57)から往き管連通路(53b)に湯水は流れることはない。
【0036】
上記構成の風呂装置において、まず、追焚き運転動作について説明する。
浴室リモコン装置(103)にて追い焚き運転が選択されると、風呂ポンプ(P)が作動し、浴槽(20)内の湯水は、図4に示すように、ケース体(50)の湯水吸込口(15)から湯水導入室(57)内に強制的に吸い込まれ、第1仕切板(51)の第1窓部(511)を通る前記湯水の水圧により、第1逆止弁(551)が開き、戻り管連通路(43a)から戻り管(3a)を介して追焚用循環回路(42)へ送られる。
【0037】
追焚用循環回路(42)へ送られた前記湯水は、追焚バーナ(36)で加熱された後、図5の矢印に示すように、往き管(3b)を介して往き管連通路(53b)へ送られ、第2逆止弁(552)を開いて、ケース体(50)の湯水吐出口(15)から浴槽(20)内に吐出される。
すなわち、追い焚き運転時には、風呂用ポンプ(P)の作動により、浴槽(20)内の湯水は、循環金具(5)の湯水吸込口(15)→湯水導入室(57)→第1逆止弁(551)→戻り管連通路(43a)→戻り管(3a)→追焚用循環回路(42)→往き管(3b)→往き管連通路(53b)→第2逆止弁(552)→湯水吐出口(10)の順に循環する。
【0038】
この追い焚き運転動作時では、第4逆止弁(554)は、往き管連通路(53b)から流れ来る湯水によって第2窓部(512)を閉塞し、第3逆止弁(553)も閉じられたままである。よって、湯水が往き管連通路(53b)から第2窓部(512)を介して、ケース体(50)内の湯水導入室(57)に流れ込んで、湯水吸込口(15)からの吸水力を低下させたり、洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)内の湯水が吸い込まれて、浴槽(20)内のゴミや垢等が洗浄ノズル(17a)(17b)内に付着したりすることがない。
【0039】
浴室リモコン装置(103)にて湯張り運転が選択されると、給水回路(K)から通水される水は、給湯回路(30)にて、給湯バーナ(37)で加熱され、湯張り用給湯路(18)に送られる。その後、風呂用ポンプ(P)を介して往き管(3b)へ送られて、循環金具(5)のケース体(50)に設けられた湯水吐出口(10)から浴槽(20)内に吐出されて湯張りされる。
尚、湯張り運転時には風呂用ポンプ(P)は駆動させないことから、湯張り用給湯路(18)から風呂用ポンプ(P)を介して戻り管(3a)側にも流れようとするが、室外ユニット(1)内に設けられてある切替弁(39)によって、循環金具(5)へ到達しないように設定されている。
【0040】
次に、浴槽洗浄動作について説明する。
洗浄用リモコン装置(101)の洗浄運転スイッチ(104)が入力されると、洗剤補充検知部(28)の電極間に電流が流れ、洗剤の量が確認される。満タンの場合は、満タン表示が洗浄専用リモコン(101)の表示画面(105)に満タン表示が表示され、満タンでない場合は、満タン表示が解除されるから、必要に応じて、前記洗剤投入口(27)から洗剤タンク(22)内に洗剤を投入すれば良い。
【0041】
次に、浴槽洗浄の順序とその内容を詳述する。
まず、浴槽(20)の排水のため、排水栓駆動部(48)が作動し、排水栓(44)が開弁される。浴槽(20)の排水が完了後、浴槽(20)の洗浄動作が開始する。
この洗浄動作では、予備すすぎ→洗剤洗浄→待機→仕上げすすぎが順次行なわれ、最後に、銀イオン洗浄が行なわれて洗浄動作が終了する。
予備すすぎ洗浄工程では、室外ユニット(1)の流量制御弁(14)が所定開度に設定されると共に、流路開閉弁(12)が開く。このとき、給水回路(K)からの通水を熱源機(3)が検出すると、これに内蔵された給湯バーナ(37)が燃焼して温水加熱動作が開始し、加熱された温水は湯水供給路(33)を通って、室外ユニット(1)に送り込まれる。
【0042】
室外ユニット(1)内には、流量制御弁(14)により制御された一定水量の温水が流れ、室外ユニット(1)を通過した後は戻り管(3a)の一部(3a1)を通って、循環金具(5)の戻り管接続筒(54a)から、戻り管連通路(43a)へ流れ込む。戻り管連通路(43a)は第2仕切板(52)の第1部屋部(521)に連通していることから、図3に示すように、第1部屋部(521)内に流れ込んだ前記湯水の水圧によって、第3逆止弁(553)を開弁させて、第1部屋部(521)から第1仕切板(51)の包囲部(513)と第2仕切板(52)とで囲まれた範囲(この範囲は、第1、第2洗浄ノズル(17a)(17b)に連通している。)へ送られると共に、前方へ向って送られ、洗浄ノズル(17a)(17b)から、浴槽(20)の内壁面に噴射される。これにより、浴槽(20)の内壁面に付着している湯垢や毛髪等の汚れが予備的に洗い流される。
このとき、第1部屋部(521)内に流れ込んだ湯水の水圧によって、第1逆止弁(551)が第1窓部(511)を閉塞するから、湯水が第1窓部(511)から湯水導入室(57)に流れ込むことはない。よって、予備すすぎ洗浄用の湯水が湯水吐出口(10)から浴室(20)内に無駄に流れ出てしまうことはない。
予備すすぎ洗浄工程終了後、洗剤洗浄工程に移行する。
【0043】
洗剤洗浄工程では、上記予備すすぎの状態から、洗剤供給路(26)の洗剤開閉弁(23)が開かれると同時に、洗剤用回路(21)の上流端に設けられている切替弁(29)が洗剤用回路(21)側に切り替わる。これにより、洗剤用回路(21)に温水が流れ、この温水がベンチュリ構造の洗剤混合部(24)を通過する際に生じる負圧によって、洗剤タンク(22)からの洗剤が洗剤混合部(24)で温水と混合される。そして、温水と混合された洗浄液が洗剤用回路(21)の下流端から、戻り管(3a)に戻り、後は、前述した予備すすぎ工程の場合と同様に、戻り管(3a)→第2仕切板(52)の第1部屋部(521)→第3逆止弁(553)→洗浄ノズル(17a)(17b)へと送られ、洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)の内壁面に向けて噴射される。これにより、前記内壁面に付着している前記汚れが洗浄される。
この洗浄液の噴射が所定時間実施されると、室内ユニット(2)の洗剤開閉弁(23)及び室外ユニット(1)の流路開閉弁(12)が閉じられて、洗浄ノズル(17a)(17b)からの洗浄液の噴射が停止され、洗剤洗浄工程が終了する。この洗剤洗浄工程が終了すると、待機工程に移行される。
【0044】
待機工程では、洗浄ノズル(17a)(17b)からの一切の噴射を停止し、浴槽(20)の内壁面に洗浄液が付着した状態で、所定時間(本実施の形態では3分)が経過するまで待機する。この間に、洗浄液が浴槽(20)の内壁面に付着した湯垢等の汚れに浸透し、汚れを浮き上がられて次のすすぎ工程で洗い流し易くする。待機工程の終了後、仕上げすすぎ工程に移行する。
仕上げすすぎ工程では、基本的には上述した予備すすぎ洗浄工程と同様に、室外ユニット(1)の流路開閉弁(12)が開かれると共に、切替弁(29)が、予備すすぎ洗浄工程と同じ状態に切り替わり、熱源機(3)からの温水は、上記した通路を通って、洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)の内壁面に向けて噴射される。これにより、浴槽(20)の内壁面にて洗浄液により浮き上がらせていた湯垢等の汚れが洗浄液と共に洗い流される。
この温水の噴射が所定時間(本実施の形態では2分)行なわれると、流路開閉弁(12)が閉じられ、洗浄ノズル(55)からの温水の噴射が停止し、仕上げすすぎ工程が終了される。
そして、上記工程が終了すると、銀イオン洗浄が実施される。
【0045】
銀イオン洗浄工程では、室外ユニット(1)の流量制御弁(14)が所定開度に設定されると共に流路開閉弁(12)が開かれ、且つ、銀イオン発生部(6)が稼動される。銀イオン洗浄工程では、給湯バーナ(37)を燃焼させず、加熱されない水が湯水供給路(33)から室外ユニット(1)に送り込まれ、流量制御弁(14)によって一定水量の水が室外ユニット(1)内を流れる。室外ユニット(1)を通過する際に、銀イオン発生部(6)にて発生させた銀イオンが水に混入される。そして、この銀イオンを含んだ銀イオン水は、戻り管(3a)の端部に達し、浴槽洗浄のための各工程と同様な通路を介して、洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)内に噴射される。これにより、浴槽(20)の内壁面や風呂蓋、さらには、排水口や循環金具の内部も銀イオンでコーティングされることとなり、銀イオンの抗菌・除菌効果により、カビや雑菌の繁殖を抑えることができる。
【0046】
この銀イオン水の噴射が所定時間(本実施の形態では2分)行なわれると、室外ユニット(1)の流路開閉弁(12)が閉じると共に、銀イオン発生部(6)の稼動が停止して、銀イオン洗浄工程が終了する。これで、浴槽洗浄の全工程が終了する。
尚、この実施の形態の洗浄ノズル(17a)(17b)は、すすぎ用の湯水又は洗浄液を、ケース体(50)の正面中央に設けた開口(50a)から前方斜め上方に向って噴出させる洗浄ノズル(17a)と、ケース体(50)の頂面に設けた開口(50b)から垂直方向に直噴出させる洗浄ノズル(17b)の二つのノズルを有する構成としてあるから、浴槽(20)の、循環金具(5)が設けられてある構成壁(200)には、洗浄ノズル(17a)からの噴出により、その浴槽内壁面(200a)にすすぎ用の湯水又は洗浄液を付着させることができ、他の浴槽内壁面には、洗浄ノズル(17a)からの噴出により湯水又は洗浄液を付着させることができる。
特に、構成壁(200)に、段部が設けられている構成の浴槽(20)の場合でも、段部の上方の浴槽内壁面(200a)にも洗浄ノズル(17a)から湯水又は洗浄液を噴出させて、洗浄やすすぎを実施することができる。このように、浴槽(20)の形状にかかわらず、浴槽内壁面全体にすすぎ用の湯水及び洗浄液をかけることができるので、浴槽の自動洗浄を確実に実施することができる。
【0047】
上記した第1番目の実施の形態は、洗剤用回路(21)に湯水を送り込む湯水供給路を熱源機(3)内の給湯回路(30)に接続させている。室外ユニット(1)には、逆流防止弁(13)が設けられてあるから、浴槽水や洗浄液や銀イオン混合液等が湯水供給路(33)を逆流して飲料用湯水に混入されるおそれはない。
図6に示すものは、第2番目の実施の形態の浴槽自動洗浄装置の概略構成図である。
このものは、湯水供給路(33)を、給湯回路(30)で加熱された温水を浴槽(20)へ送り込む湯張り用給湯路(18)としたものである。
【0048】
室外ユニット(1)は、上述した第1番目の実施の形態と同様に、浴室外に設置されてあり、その内部には、湯水供給路(33)として機能する湯張り用給湯路(18)から追焚用循環回路(42)の戻り管(3a)を介して送り込まれる温水の流量を制御する流量制御弁(14)と銀イオン発生部(6)が収納されてあり、浴室内に設置させる室内ユニット(2)には、上記第1番目の実施の形態と同様に、洗剤タンク(22)に連通する洗剤用回路(21)と洗剤開閉弁(23)と洗剤混合部(24)と切替弁(29)が配設されている。
【0049】
この実施の形態のものでは、洗浄運転が実行されると、予備すすぎ洗浄を実施するために、湯張り用給湯路(18)に設けた弁装置(300)を開弁させ、給湯回路(30)に通水された水は給湯バーナ(37)で加熱され、温水となって、湯張り用給湯路(18)から、風呂用ポンプ(P)を介して追焚用循環回路(42)の戻り管(3a)に流入する。このとき、湯水は、往き管(3b)側にも流れ込むが、室外ユニット(1)内に設けた切替弁(49)を切り替えることにより、往き管(3b)は切替弁(49)で堰き止められる。
【0050】
戻り管(3a)に流入した湯水は室外ユニット(1)へ送られ、室外ユニット(1)内の切替弁(19)にて、銀イオン発生部(6)を配設した洗浄回路(38)を経由して、流量制御弁(14)で調節された流量の湯水が室内ユニット(2)へ送られ、室内ユニット(2)内の戻り管(3a)の一部(3a1)側を通過した後、上記第1番目の実施の形態と同じ構造の循環金具(5)に至り、洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)の内壁面に向かって噴射される。
【0051】
前記予備すすぎ洗浄工程にて浴槽(20)の内壁面の汚れを洗い流した後、次の洗剤洗浄工程に移行すると、室内ユニット(2)内の切替弁(29)が洗剤用回路(21)へ切り替わると同時に、洗剤開閉弁(23)が開弁する。これにより、給湯回路(30)から湯張り用給湯路(18)を介して、追焚用循環回路(42)の戻り管(3a)から室外ユニット(1)に流入した温水は、洗浄回路(38)の流量制御弁(14)にて所定流量に制御されると共に室内ユニット(2)の洗剤用回路(21)を通過する際に、洗剤タンク(22)内から送り出された洗剤が洗剤混合部(24)にて混合されることにより、洗浄液となって、循環金具(5)の洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)の内壁面へ噴射される。
【0052】
その後の仕上げすすぎ工程では、基本的には上述した予備すすぎ洗浄工程と同様の流路を通って、温水のみが洗浄ノズル(17a)(17b)から浴槽(20)の内壁面に向けて噴射される。
上記した各実施の形態では、洗剤用回路(21)を、追焚循環回路(42)の戻り管(3a)に並列に接続させる構成としたから、浴槽自動洗浄装置用に別途配管を新設する必要がない。よって、浴槽自動洗浄装置の設置工事が容易となり、施工費用も安価に抑えることができる。特に、第2番目の実施の形態の場合では、湯水供給路(33)として従来の湯張り用給湯路(18)を利用しているから、湯水供給路(33)として別途配管を新設する必要がないから、戸外の施工もシンプルになる。
又、洗浄ノズル(17a)(17b)を、従来からの循環金具(5)内に設ける構成としたから、洗浄ノズル(17a)(17b)を浴槽(20)に穴を開けて取り付ける必要がなく、既設の浴槽(20)にも問題なく対応できると共に、漏水も問題もない。
【0053】
上記各実施の形態では、湯水供給路(33)に続く洗剤用回路(21)を、追焚循環回路(42)の戻り管(3a)に接続し、戻り管(3a)から洗浄ノズル(17a)(17b)へ湯水又は洗浄液を送る構成としたため、循環金具(5)内において、追焚運転時とは、逆方向の水流が生じるが、循環金具(5)内に設けた逆止弁体(55a)(55b)の各逆止弁の作用により、循環金具(5)内に逆方向の水流を生じさせることを可能としている。
尚、上記各実施の形態では、湯水供給路(33)を熱源機(3)の給湯回路(30)に接続するか、あるいは、湯水供給路(33)を湯張り用給湯路(18)自体で構成して、洗浄時に湯が供給されるようにしたが、これに限らず、湯水供給路(33)を、上水道から引き出される給水回路(K)に直接接続し、加熱されない水で洗浄を行なうようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1番目の実施の形態の浴槽自動洗浄装置の概略構成図。
【図2】本発明実施の形態の浴槽自動洗浄装置に使用される循環金具の分解斜視図。
【図3】本発明実施の形態の浴槽自動洗浄装置に使用される循環金具の縦断面図であって、矢印は洗浄運転時の湯水及び洗浄液の流れを示している。
【図4】本発明実施の形態の浴槽自動洗浄装置に使用される循環金具の縦断面図であって矢印は追焚き運転時の湯水の流れを示している。第3番目の実施の形態の浴槽自動洗浄装置の概略構成図。
【図5】本発明実施の形態の浴槽自動洗浄装置に使用される循環金具の縦断面図であって矢印は追焚き運転時の湯水の流れを示している。
【図6】第2番目の実施の形態の浴槽自動洗浄装置の概略構成図。
【図7】従来の浴槽自動洗浄装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0055】
(17a)(17b)・・・・・洗浄ノズル
(20)・・・・・・・・浴槽
(21)・・・・・・・・洗剤用回路
(22)・・・・・・・・洗剤タンク
(24)・・・・・・・・洗剤混合部
(29)・・・・・・・・切替弁
(33)・・・・・・・・湯水供給路
(3) ・・・・・・・・熱源機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤タンクと、前記洗剤タンクから送り出される洗剤に湯水供給路から送り出される湯水を混合させて洗浄液を生成する洗剤混合部と、前記洗剤混合部から送り出される前記洗浄液を浴槽内壁面に向かって噴射させる洗浄ノズルを具備する浴槽自動洗浄装置において、
前記洗剤混合部を具備させた洗剤用回路を、前記湯水供給路が接続され且つ前記浴槽と熱源機とを繋いでいる配管の一部に並列に接続させ、
洗浄運転時には、回路切替弁によって、前記湯水供給路から続く前記配管は前記洗剤用回路側へ切り替わると共に、前記洗剤用回路の下流側に続く回路は前記洗浄ノズルへ連通することを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽自動洗浄装置において、前記配管は、前記熱源機から浴槽へ湯水を供給する往き管と、前記浴槽から前記熱源機へ湯水を戻す戻り管の2本からなる追焚用循環回路とし、
前記洗剤用回路は前記戻り管の一部に並列に接続され、
前記往き管及び前記戻り管の各浴槽側端部は、前記浴槽の構成壁に取り付けられている循環金具に各々接続され、
前記循環金具には、浴槽内の湯水を前記戻り管へ吸い込む湯水吸込口と、前記往き管内の湯水を浴槽内に吐出する湯水吐出口と、さらに、前記洗浄ノズルが設けられてあり、
前記戻り管の浴槽側端部は、追い焚き運転時には前記湯水吸込口に連通し、洗浄運転時には前記洗浄ノズルへ連通するように、前記循環金具内にて回路切替可能に設定されていると共に、
前記往き管の浴槽側端部は、前記追い焚き運転時には前記湯水吐出口に連通するように設定されていることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の浴槽自動洗浄装置において、前記循環金具は、浴槽内壁面に添設され且つ前記湯水吸込口と前記湯水吐出口が開口しているケース体を具備し、
前記ケース体には、前記湯水吸込口から吸込まれる湯水の導入室が形成されていると共に、前記導入室と前記戻り管とは戻り管連通路を介して連通され、
前記導入室と前記戻り管連通路との間には第1逆止弁が設けられ、
前記導入室と前記往き管とは往き管連通路を介して連通されると共に、 前記往き管連通路は第2逆止弁を介して前記湯水吐出口と連通しており、
前記戻り管連通路は前記洗浄ノズルに第3逆止弁を介して連通し、
追い焚き運転時には、前記第3逆止弁が閉じられた状態で前記第1逆止弁が開弁し、前記湯水吸込口から前記ケース体内に吸込まれる浴槽内の湯水は、前記導入室と前記戻り管連通路を通って戻り管に導入されると共に、追焚用循環回路を経て往き管から前記往き管連通路を通り、前記第2逆止弁を開弁させて、前記湯水吐出口から吐出され、
洗浄運転時には、前記湯水供給路から送られてくる湯水は、前記戻り管、前記回路切替弁を介して前記洗剤用回路に送られ、前記洗剤混合部で洗剤タンク内の洗剤と混合して洗浄液となった後、戻り管連通路を通り、前記第3逆止弁を開いて、洗浄ノズルに送られることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、前記洗浄ノズルは、前記浴槽内壁面から斜め上方に向かって噴射可能な第1洗浄ノズルと、上方に向かって噴射可能な第2洗浄ノズルとから構成されていることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、前記湯水供給路は、熱源機の給湯回路に接続されていることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、前記湯水供給路は、熱源機の湯張り用給湯路であることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴槽自動洗浄装置において、前記湯水供給路は、上水道から引き出された給水回路に接続されていることを特徴とする浴槽自動洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−22633(P2010−22633A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188441(P2008−188441)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】