説明

浴槽装置

【課題】半身浴ステップ付き浴槽において、半身浴をする場合でもまた、入浴姿勢の向きを変えて全身浴をする場合でもリンパマッサージを効果的に行うことができる浴槽装置を提供する。
【解決手段】浴槽と、該浴槽の長手方向に複数配設され浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを噴出させるノズルと、該ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかの噴出のさせ方を制御する制御部とを備え、前記制御部の制御により入浴者の足先側から頭側に順番に前記ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを周期的に複数回繰り返して噴出させる浴槽装置において、入浴者の姿勢を検知する検知手段を設けて、該検知手段により入浴者の姿勢を検知した結果に基づき、前記制御部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴しながらリンパマッサージができる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長い時間立ち続けてむくみが生じた場合等には、リンパ液の流れに沿って足の先端から心臓に近い方へと向けてマッサージを行うリンパマッサージが効果的とされている。
【0003】
リンパ液は、老廃物を運ぶ働きがあるものの、心臓がポンプの役割をして流れる血液と異なり、筋肉が動かないと流れが止まってしまう。そのため、長い時間立ち続けていたりすると、リンパ液が流れず老廃物がたまり、足の甲、足首、ふくらはぎ等が膨張する。リンパマッサージは、このリンパ液の流れを助けるものと言われている。
【0004】
近年、入浴の際に、手足の末端から付け根に向けて水流を発生させてリンパマッサージができ、また、浴槽の一端部側に入浴者の足先側を位置させ且つ他端部側に入浴者の頭部側を位置させるという一般的な浴槽への入浴姿勢を取るだけで、簡単な構成で、手足の先端から心臓の方に向けてのリンパ液のスムーズな流れを促進するようなリンパマッサージを効果的に行うことができる浴槽装置が提案されている。
【0005】
そして、このリンパマッサージ機能は、浴槽の側壁部の一部に半身浴ステップが設けてあり、浴槽内に入った入浴者が半身浴ステップに腰掛けて半身浴ができるように、半身浴ステップを有する浴槽にも適用可能とされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この半身浴ステップ付き浴槽では、ステップに腰掛けることで、半身浴をすることができる。半身浴は全身浴に比べ水圧が掛からないので身体の負担が少なく、長い時間ゆっくりと入浴することができるというメリットがある。
【0007】
また、入浴者が入浴姿勢の向きを変えることで、全身浴にも対応できる。この場合、足をステップに足をのせてリラックスして全身浴することもできるし、膝を曲げて足をステップ手前の浴槽底部に置くこともできる。
【特許文献1】特開2005−342491号公報(第13頁、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した浴槽によれば、入浴者が半身浴ステップに腰掛けて半身浴をしながら、ふくらはぎ対応ノズル、大腿部対応ノズル、腰背中対応ノズルの順番で吐水することにより、全身に対してリンパマッサージをすることができる。
【0009】
しかしながら、入浴者が斯かる半身浴ステップ付き浴槽で、ステップに腰掛けずに浴槽底面に腰を下ろして、全身浴を行う場合には、その全身マッサージ開始起動入力を行うと、ふくらはぎ対応ノズルで大腿部をマッサージし、大腿部対応ノズルで膝裏をマッサージした後、腰背中対応ノズルで足先をマッサージすることになり、リンパの流れに反したマッサージとなり有効なリンパマッサージを行うことができない。そのため、半身浴のみでしかリンパマッサージをすることができず、使い勝手が良いとは言えない。また、入浴者が、全身浴の場合に、誤ってリンパマッサージ開始入力を行うことがあり得、リンパの流れを悪くするおそれもある。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、半身浴ステップ付き浴槽において、半身浴をする場合でもまた、入浴姿勢の向きを変えて全身浴をする場合でもリンパマッサージを効果的に行うことができる浴槽装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る浴槽装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、浴槽と、該浴槽の長手方向に複数配設され浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを噴出させるノズルと、該ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかの噴出のさせ方を制御する制御部とを備え、前記制御部の制御により入浴者の足先側から頭側に順番に前記ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを周期的に複数回繰り返して噴出させる浴槽装置において、入浴者の姿勢を検知する検知手段を設けて、該検知手段により入浴者の姿勢を検知した結果に基づき、前記制御部を制御するものである。
【0012】
これにより、入浴者が浴槽の前後のどちらに足を向けているのかを検知して、足の方から水流を発生させることによって、最適なリンパマッサージを行うことができる。
【0013】
前記検知手段は、好適には、請求項2に記載したように、浴槽の長手方向の一方の側壁に設けられるものとすることができる。このように、浴槽の長手方向の一方の側壁に検知手段を設けることで、入浴者がどちらに足を向けているのかを簡便に判別することができる。
【0014】
また、前記検知手段は、好適には、請求項3に記載したように、マイクロ波センサを備えることが望ましい。このように、マイクロ波センサを用いると、センサを浴槽壁内部等に隠蔽させることができるので、センサの故障のおそれが低く、浴槽のデザイン性に影響を与えることなくセンサを設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る浴槽装置によれば、半身浴ステップ付き浴槽において、半身浴をする場合でもまた、入浴姿勢の向きを変えて全身浴をする場合でもリンパマッサージを効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る浴槽装置の第1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る浴槽装置1の長手方向縦断面を模式的に示す図であり、図2は、同浴槽装置1の平面を模式的に示す図である。
【0017】
浴槽10は、入浴者Pが全身浴を享受するときに腰を下ろせる底面12の四周から側面4が上方に立ち上げられ、その上端は外方に拡開してリム11が形成される。そして、浴槽10の長手方向の一端に、底面12より略170〜180mm高く、入浴者Pが半身浴を享受するときに腰掛けることができる半身浴ステップ13が設けられる。この半身浴ステップ13は、全身浴時の足置きとしても利用される。
【0018】
浴槽10の半身浴ステップ13には、浴水、気泡入り浴水、又は気泡を半身浴ステップ13から前斜め上方に向けて傾斜させて噴出させるステップノズル21が、浴槽10短手方向に平行に、21a,21b,21c…のように複数設けられる。
【0019】
このステップノズル21は、浴槽10の長手方向に沿って噴出方向を可変とするスイング機構(図示せず)を備える。このスイング機構は、例えば特開2005−342507号公報に開示されているようなものである。
【0020】
このスイング機構により、ステップノズル21は、半身浴時には、入浴者Pの臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出し、全身浴時に入浴者Pが半身浴ステップ13上に足を置いた場合には、足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行う。
【0021】
そして、底面12の長手方向中央には、浴水、気泡入り浴水、又は気泡を底面2中央から上方に向けて噴出させる底面中央ノズル22が、浴槽10短手方向に平行に、22a,22b,22c…のように複数設けられる。
【0022】
底面中央ノズル22もスイング機構を備え、このスイング機構により、底面中央ノズル22は、半身浴時においても、また全身浴時においても、入浴者Pの足首、ふくらはぎ、膝裏、大腿部に向かって順にスイングしながら噴出する。
【0023】
また、底面12の長手方向半身浴ステップ13と反対側の端部には、浴水、気泡入り浴水、又は気泡を底面12端部から前斜め上方に向けて傾斜させて上方に向けて噴出させる底面端部ノズル23が、浴槽10短手方向に平行に、23a,23b,23c…のように複数設けられる。
【0024】
底面端部ノズル23もスイング機構を備え、このスイング機構により、底面端部ノズル23は、全身浴時には、入浴者Pの臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出し、半身浴時には、足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行う。
【0025】
浴槽10は、その側面4に、浴槽10内の浴水を吸い込むための吸い込み口24が設けられる。この吸い込み口24は、水流管25を介して循環ポンプ26に接続された後、分岐水流管27,28,28,29に分岐し、それぞれステップノズル21、底面中央ノズル22、底面端部ノズル23に接続される。
【0026】
分岐水流管27,28,29には、電磁弁30,31,32が設けられ、制御部33の制御により、ステップノズル21,底面中央ノズル22、底面端部ノズル23へ浴水を供給し、或いは供給を停止する。
【0027】
また、浴槽装置1は、エアポンプ34を備え、その出口側に接続された空気管35は、分岐空気管36,37,38に分岐し、それぞれステップノズル21,底面中央ノズル22、底面端部ノズル23に接続される。
【0028】
分岐空気管36,37,38には、電磁弁39,40,41が設けられ、制御部33の制御により、ステップノズル21,底面中央ノズル22、底面端部ノズル23へ気泡を供給し、或いは供給を停止する。
【0029】
ここで、循環ポンプ26のみを作動させれば、ノズル21,22,23に浴水のみを供給し、エアポンプ34のみを作動させればノズル21,22,23に気泡のみを供給し、両者を作動させれば気泡入り浴水を供給することができる。
【0030】
浴槽10にはまた、その半身浴ステップ13側の側面14に、マイクロ波センサ62が設けられる。マイクロ波センサ62は、送信部63と、受信部64とを備え、送信部63から略水平に空間に向けてマイクロ波を送信し、物体で反射されたマイクロ波を受信部64で受信して、送信から受信までに要する時間を測定することにより、物体との距離を測るものである。
【0031】
このマイクロ波センサ62により得られた情報は、信号線50を介して制御部33に送られ、制御部33は、マイクロ波センサ62からの情報により、マイクロ波を反射する物体までの距離を計算し、これにより、入浴者Pが半身浴の姿勢にあるか、或いは全身浴の姿勢かを判断することができる。
【0032】
マイクロ波センサ62は、CCDや赤外線センサとは異なり、センサ自体を入浴者の目に付かないところに隠蔽できるので、意匠上違和感を与える事がないというメリットがある。なお、マイクロ波センサ62は、半身浴ステップ13と対向する側の側面14に設ける構成とすることも可能である。
【0033】
本実施の形態に係る浴槽装置1は上記のように構成されており、以下その動作について説明する。
【0034】
入浴者Pが、マッサージモードを起動させると、制御部33は、マイクロ波センサ62からの情報により、マイクロ波を反射する物体までの距離を計算する。計算により得られた距離が、マイクロ波センサ62が取設された側面14から対向する側面14までに距離L1に等しい場合は、入浴者Pが未だ浴槽10内に入って以内と判断して、ノズル21,22,23からの噴出を開始しない。
【0035】
そして、この距離が距離L1よりも若干短い所定範囲内にあれば、制御部33は、入浴者Pは、半身浴ステップ13と対向する側面14側に背中を置く姿勢、すなわち、全身浴の姿勢にあると判断して、全身浴時におけるリンパマッサージモードでノズル21,22,23に噴出させる。他方、この距離が距離L1より所定範囲以上に短ければ、制御部33は、入浴者Pは、半身浴ステップ13側の側面14側に背中を置く姿勢、すなわち、半身浴の姿勢にあると判断し、半身浴時におけるリンパマッサージモードでノズル21,22,23に噴出させる。
【0036】
半身浴時におけるリンパマッサージモードでの動作を、図3を参照して説明する。まず、底面端部ノズル23から噴出される。底面端部ノズル23は足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行う。
【0037】
底面端部ノズル23の噴出が終了する直前に、底面中央ノズル22からの噴出が開始される。底面中央ノズル22は、足首、ふくらはぎ、膝裏、大腿部に向かって順にスイングしながら噴出する。
【0038】
そして、底面中央ノズル22の噴出が終了する直前に、ステップノズル21からの噴出が開始される。ステップノズル21は、臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出する。
【0039】
この底面端部ノズル23、底面中央ノズル22、及びステップノズル21の一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0040】
ここで、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回マイクロ波センサ62の検知結果を読み込んで、入浴者Pの姿勢を検知するようにしてもよい。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応してステップノズル21、底面中央ノズル22、及び底面端部ノズル23の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0041】
なお、ここでは、入浴者Pが入浴姿勢を変える頻度が大きい半身浴ステップ付き浴槽の実施例について説明したが、半身浴ステップの付いていない通常の浴槽においても、入浴者Pの入浴向きに応じた最適なリンパマッサージができるようにできることはいうまでもない。
【0042】
次に、全身浴時におけるリンパマッサージモードでの動作を、図4を参照して説明する。全身浴時におけるリンパマッサージモードでは、まずステップノズル21から噴出が開始される。ステップノズル21は足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行い、次に、ステップノズル21の噴出が終了する直前に、底面中央ノズル22から噴出を開始する。底面中央ノズル22は足首、ふくらはぎ、膝裏、大腿部に向かって順にスイングしながら噴出する。
【0043】
そして、底面中央ノズル22の噴出が終了する直前に、底面端部ノズル23から噴出を開始する。底面端部ノズル23は、臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出する。
【0044】
このステップノズル21、底面中央ノズル22、及び底面端部ノズル23の一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0045】
ここでも、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回マイクロ波センサ62の検知結果を読み込んで、入浴者の姿勢を検知する構成とすることができる。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応してノズル21,22,23の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0046】
次に、本発明に係る浴槽装置の第2の実施形態について、図を参照して説明する。本実施の形態の浴槽装置1Aは、図5及び図6に示すように、スイング噴出を行わず固定された方向にのみ噴出する固定ノズル45を多数備える点で、第1の実施形態におけるスイング噴出を行うステップノズル21、底面中央ノズル22、及び底面端部ノズル23を備える第1の実施形態におけるものと基本的に相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
浴槽底面12及び半身浴ステップ13には、上方に向けて浴水、気泡入り浴水、又は気泡を噴出させる固定ノズル45が、浴槽10長手方向に平行に、45a1,45a2,45a3…のように、第1の実施形態におけるものに比べて短い間隔で多数設けられる。また、浴槽10短手方向に平行に、45a1,45b1,45c1…のように複数設けられる。
【0048】
本実施の形態に係る浴槽装置1Aは上記のように構成されており、マイクロ波センサ62の構成は上述した実施形態と同じであり、したがって、入浴者Pが全身浴の姿勢にあるか、半身浴の姿勢にあるかの判別方法も第1の実施形態の場合と同様である。
【0049】
以下この浴槽装置1Aの動作について、半身浴時におけるリンパマッサージモードと全身浴時におけるリンパマッサージモードとに分けて説明する。
【0050】
図7は、半身浴時におけるリンパマッサージモードの動作を説明するものである。まず、入浴者Pの足が位置する側の固定ノズル45a1から噴出が開始される。そして、それが終わる直前には、次の固定ノズル45a2が噴出を開始する。そうして、足先から太腿の方に向かって順番に固定ノズル45の噴出がリレーされ、最後には、半身浴ステップ13上の入浴者Pの臀部から腰、背中に位置する固定ノズル45a11の噴出が開始される。
【0051】
この足先側の固定ノズル45a1から背中側の固定ノズル45a11に至る一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0052】
ここで、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回マイクロ波52の検知結果を読み込んで、入浴者の姿勢を検知するようにしてもよい。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応して固定ノズル45の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0053】
なお、ここでは、入浴者Pが入浴姿勢を変える頻度が大きい半身浴ステップ付き浴槽の実施例について説明したが、半身浴ステップの付いていない通常の浴槽においても、入浴者Pの入浴向きに応じた最適なリンパマッサージができるようにできることはいうまでもない。
【0054】
図8は、全身浴時におけるリンパマッサージモードの動作を説明するものである。まず、半身浴ステップ13側の固定ノズル45a11から噴出が開始され、それが終わる直前に一つ後方の固定ノズル45a10が噴出を開始する。そうして、半身浴ステップ13側から反対側端部に向かって順番に噴出される。
【0055】
この半身浴ステップ13側の固定ノズル45a11から反対側端部の固定ノズル45a1に至る一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0056】
ここで、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回マイクロ波センサ62の検知結果を読み込んで、入浴者の姿勢を検知する構成にすることができる。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応して固定ノズル45の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0057】
次に、本発明に係る浴槽装置の第3の実施形態について、図を参照して説明する。本実施の形態の浴槽装置1Bは、図9及び図10に示すように、マイクロ波センサ62に代えて、水位センサ42及び荷重センサ43を備える点で、第1の実施形態におけるものと基本的に相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
水位センサ42は浴槽10の側面14に取設され、荷重センサ43は、底面12の、全身浴時において入浴者Pの臀部が位置する近傍に取設される。
【0059】
これらセンサ42,43により得られた情報は、信号線51,52を介して制御部33に送られ、制御部33は、水位センサ42からの情報により、浴槽10の底面12にかかる浴水の重量を計算し、荷重センサ43からの情報により、入浴者Pの臀部、又は足の存在を判断する。
【0060】
これにより、入浴者Pが半身浴か全身浴か、或いは全身浴時において足が半身浴ステップ13に置かれているかを判断することができる。
【0061】
続いて本実施の形態に係る浴槽装置1Bの動作について説明する。入浴者Pが、マッサージモードを起動させると、水位センサ42が浴槽の水位を検知するとともに、底面12に設けられた荷重センサ43が底面12にかかる荷重を検知する。
【0062】
ここで、水位センサ42が検知した値から算出される浴槽底面12にかかる荷重W1と荷重センサ43が検知した荷重W2とが同じであれば、制御部33は、浴槽10内に入浴者Pがいないと判断し、ノズル21,22,23からの噴出を開始しない。
【0063】
荷重W2が荷重W1よりも大きいけれども、その差が予め設定された値を越えない場合は、入浴者Pの臀部が半身浴ステップ13上にあるものと判断し、半身浴時のマッサージを開始する。
【0064】
この場合の動作を、図11を参照して説明する。まず底面端部ノズル23から噴出される。底面端部ノズル23は足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行う。
【0065】
底面端部ノズル23の噴出が終了する直前に、底面中央ノズル22からの噴出が開始される。底面中央ノズル22は、足首、ふくらはぎ、膝裏、大腿部に向かって順にスイングしながら噴出する。
【0066】
そして、底面中央ノズル22の噴出が終了する直前に、ステップノズル21からの噴出が開始される。ステップノズル21は、臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出する。
【0067】
この底面端部ノズル23、底面中央ノズル22、及びステップノズル21の一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0068】
ここで、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回水位センサ42と荷重センサ43との検知結果を読み込んで、臀部の位置又は足の位置を検知するようにしてもよい。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応してステップノズル21、底面中央ノズル22、及び底面端部ノズル23の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0069】
なお、ここでは、入浴者Pが入浴姿勢を変える頻度が大きい半身浴ステップ付き浴槽の実施例について説明したが、半身浴ステップの付いていない通常の浴槽においても、荷重センサを浴槽底面に設けることで、入浴者Pの入浴向きに応じた最適なリンパマッサージができるようにできることはいうまでもない。
【0070】
他方、荷重W2が荷重W1よりも、その差が予め設定された値を超えて大きい場合は、入浴者Pの臀部が浴槽底面12にあるものと判断し、全身浴時のマッサージを開始する。
【0071】
この場合の動作を、図12を参照して説明する。まずステップノズル21から噴出される。ステップノズル21は足先からかかと部に向かって方向を変えながら噴出を行い、次に、ステップノズル21の噴出が終了する直前に、底面中央ノズル22から噴出を開始する。底面中央ノズル22は足首、ふくらはぎ、膝裏、大腿部に向かって順にスイングしながら噴出する。
【0072】
そして、底面中央ノズル22の噴出が終了する直前に、底面端部ノズル23から噴出を開始する。底面端部ノズル23は、臀部から腰、背中の順でスイングしながら噴出する。
【0073】
このステップノズル21、底面中央ノズル22、及び底面端部ノズル23の一連の噴出を1サイクルとして、約75秒継続させ、最大15分、10サイクル程度を行い、マッサージは終了する。
【0074】
ここで、制御部33は、各サイクルの開始時に毎回水位センサ42と荷重センサ43との検知結果を読み込んで、臀部の位置、足の位置を検知する構成とすることができる。これにより、入浴者Pが姿勢を変えた場合においても、それに対応してノズル21,22,23の噴出順序を変更して、適切なリンパマッサージをすることができる。
【0075】
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る浴槽装置の第1の実施形態の長手方向縦断面を模式的に示す図。
【図2】本実施形態に係る浴槽装置の平面を模式的に示す図。
【図3】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が半身浴を行う場合を示す図。
【図4】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が全身浴を行う場合を示す図。
【図5】本発明に係る浴槽装置の第2の実施形態の長手方向縦断面を模式的に示す図。
【図6】本実施形態に係る浴槽装置の平面を模式的に示す図。
【図7】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が半身浴を行う場合を示す図。
【図8】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が全身浴を行う場合を示す図。
【図9】本発明に係る浴槽装置の第3の実施形態の長手方向縦断面を模式的に示す図。
【図10】本実施形態に係る浴槽装置の平面を模式的に示す図。
【図11】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が半身浴を行う場合を示す図。
【図12】本実施形態に係る浴槽装置において入浴者が全身浴を行う場合を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B 浴槽装置
10 浴槽
11 リム
12 底面
13 半身浴ステップ
14 側面
21 ステップノズル
22 底面中央ノズル
23 底面端部ノズル
24 吸い込み口
25 水流管
26 循環ポンプ
27,28,29 分岐水流管
30,31,32,39,40,41 電磁弁
33 制御部
34 エアポンプ
35 空気管
36,37,38 分岐空気管
42 水位センサ
43 荷重センサ
45 固定ノズル
50,51,52 信号線
62 マイクロ波センサ
63 送信部
64 受信部
P 入浴者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、該浴槽の長手方向に複数配設され浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを噴出させるノズルと、該ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかの噴出のさせ方を制御する制御部とを備え、前記制御部の制御により入浴者の足先側から頭側に順番に前記ノズルからの浴水、気泡入り浴水及び気泡のいずれかを周期的に複数回繰り返して噴出させる浴槽装置において、入浴者の姿勢を検知する検知手段を設けて、該検知手段により入浴者の姿勢を検知した結果に基づき、前記制御部を制御することを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記検知手段は、浴槽の長手方向の一方の側壁に設けられたことを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記検知手段は、マイクロ波センサを備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の浴槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−209488(P2007−209488A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31710(P2006−31710)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】