説明

浴用ボディタオル

【課題】抗菌性、洗浄性、触感等に優れた浴用ボディタオルを提供すること。
【解決手段】ナイロン糸と抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維を組合わせてなる浴用ボディタオルであり、好ましくは、ナイロン糸50〜80重量%と、抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の複合ポリエステル糸50〜20重量%を組合わせてなる浴用ボディタオルである。抗菌性ポリエステル繊維としては、銀を含有する抗菌ガラスを担持させた繊維、例えば、銀を含有する抗菌ガラスが練り込まれた繊維が好ましく、ナイロン糸及び/又は複合ポリエステル糸としては、クリンプを有する糸が好ましく用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性、洗浄性、触感等に優れた浴用ボディタオルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴時などに用いる浴用ボディタオルとしては、サラリとした風合や吸水性、制電性等が要求されるため、木綿製のパイルタオルが多く用いられてきた。しかし、かかるタオルはお湯等に濡らした際、水分を多く含みすぎるため、泡立ち性が不良で、多量の石鹸が必要となる。また、水切れ性が悪いため、濡れたまま放置すると雑菌が繁殖し、不衛生であるという問題があった。更に、木綿製の浴用ボディタオルは、乾燥時にはごわごわした感触で風合いが好ましくないという問題もあった。
【0003】
近年、ナイロン繊維等の合成繊維からなるパイルタオルやメッシュ織編物のボディタオルも開発され市販されている。これらのタオルは水切れ性などの面において改善され、泡立ち性も改善されているものの、例えば、ナイロン繊維を用いたボディタオルは非常に硬く、ざらざらした皮膚触感であり、長期間に渡って使用すると色素が沈着するという欠点があった。これらの欠点を改善するために、ナイロン繊維等の合成繊維と木綿を組合わせたもの(例えば、特許文献1〜4)など色々なものが提案されている。また、各種繊維によって作られたボディタオルに、光触媒(二酸化チタン)を塗布して抗菌・消臭・防汚性を付与したものも提案されている(特許文献5)。しかしながら、抗菌性、洗浄性、触感等の多くの点で満足できる実用的な浴用ボディタオルは、未だ提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−190527号公報
【特許文献2】特開平2000−271036号公報
【特許文献3】特開2002−1533396号公報
【特許文献4】特開2007−75235号公報
【特許文献5】登録実用新案第3133954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、抗菌性、洗浄性、触感等に優れた浴用ボディタオルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ナイロン糸と抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維を組合わせてなる浴用ボディタオルである。そして、好ましくは、ナイロン糸50〜80重量%と、抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の複合ポリエステル糸50〜20重量%を組合わせてなる浴用ボディタオルである。
【0007】
抗菌性ポリエステル繊維としては、銀を含有する抗菌ガラスを担持させた繊維が好ましい。 また、ナイロン糸及び/又は複合ポリエステル糸としては、クリンプを有する糸であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、抗菌性、洗浄性、触感等に優れた浴用ボディタオルが得られる。抗菌性ポリエステル繊維は強度等の物性が通常のポリエステル繊維に比べて低下している場合が多い。従って、ナイロン糸と組合わせて織編物を作製する場合には、製織性や製編性に問題がある場合が多い。本発明の抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維とからなる複合ポリエステル糸は、ナイロン糸と同等の強度等の物性を有しているので、これらを組合わせても、容易に所望の組成や柄の浴用ボディタオルを作製することができる。
【0009】
本発明の浴用ボディタオルに用いられる抗菌性ポリエステル繊維として、銀を含有する抗菌ガラスが練り込まれた繊維を使用した場合には、後加工によるものよりも耐洗濯性において優れており、高い抗菌効果が維持される。また、かかる繊維は、仮撚加工や染色加工、生地の熱加工等による抗菌性能の低下も殆どみられないという特徴を有している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ナイロン糸と抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維を組合わせてなる浴用ボディタオル、好ましくは、ナイロン糸50〜80重量%と、抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の複合ポリエステル糸50〜20重量%を組合わせてなる浴用ボディタオルである。抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の配合割合は、抗菌性ポリエステル繊維が20〜80重量%程度が適当である。本発明の浴用ボディタオルは、糸の形態や織編物の組織等は特に制限されるものではない。例えば、緯糸を織り込む際に、たて糸の一部(パイル糸)を緩めて布地にループ状の部分を形成し、保温性、保湿性、吸水性を高めた、いわゆるタオル地を用いたものは好ましく用いられる。パイルが片面でも両面のものでも、また、平地付のものでも、総パイルのものでもかまわない。また、メッシュ織やメッシュ編の組織のものも好ましい。
【0011】
本発明で用いられる抗菌性ポリエステル繊維としては色々なものが知られており、洗濯耐久性を向上させたものとしては、例えば、銀、亜鉛、銅イオンを担持させたゼオライト粒子やガラス粒子などの無機系抗菌剤を、繊維中に含有させた抗菌性ポリエステル繊維が多数知られている。無機系抗菌剤を繊維中に含有させた抗菌性ポリエステル繊維が抗菌性能を発現する機構は、繊維表面に存在する銀、亜鉛、銅イオンが溶出し細菌に作用することによると推定されている。本発明においては、無機系抗菌剤をポリエステル繊維の製造過程で繊維にブレンドしたタイプのものが好ましく用いられる。無機系抗菌剤の含有量は特に限定されるものではないが、最終製品が所望の抗菌性を有する程度に、無機系抗菌剤の含有量及び抗菌性ポリエステル繊維の配合量を調整すればよい。
【0012】
ナイロン糸の太さは特に限定されるものではなく、通常の浴用ボディタオルに採用される程度の太さ、例えば、20〜1200dtex程度のものでよく、撚糸あるいはクリンプ糸であってもよい。複合ポリエステル糸の太さは、通常20〜700dtex程度のものが適当である。組織表面に現れるナイロン糸又は複合ポリエステル糸は、タオルの洗浄効果や肌触りの点で重要な役目を持つので、少なくとも一部がクリンプ加工を施したものであるのが好ましい。クリンプ加工した糸としては、ニット・デ・ニット法による捲縮糸、スタフィン方式による捲縮糸、ギア方式による捲縮糸、あるいは、バンロン方式による捲縮糸等の機械捲縮糸や、サイド・バイ・サイド複合糸によるスパイラル状の捲縮糸、又は、仮撚り糸等の加工糸が好ましい。
【0013】
織編物の組織は、通常タオル地に使用される織編組織であれば、特に限定はされない。例えば、織物の場合には、平織、綾織、朱子織を基本とし、その変化組織のものも利用できる。又、一重織物でも、高級感を出すために二重織物でもよい。特に、交織等の場合には、繊維の特性に応じて表面に出す糸の種類を変えるために、平織以外の組織にするのが好ましい。例えば、より柔らかい繊維を緯糸に使用した場合、柔らかい風合いを出す場合、綾織あるいは朱子織で、緯糸を多く出すような組織にするのが好ましい。メッシュ織やメッシュ編組織も好ましく用いられる。そして、前記のような織編物は、通常の経編機、丸編織、ウォータージェットルーム等の織機の何れを使用しても製作できる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
経糸にはナイロンのクリンプ糸(30dtex)と、抗菌性ポリエステル繊維(リブフレッシュPスーパー(KBセーレン社商標))(70dtex)と通常のポリエステルフィラメント(30dtex)を複合してクリンプ加工した複合ポリエステル糸を用いた。抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の配合割合は7:3であった。緯糸としては、ナイロンのフィラメント糸(300dtex/7フィラメント)を用いた。
【0016】
前記ナイロンのクリンプ糸と複合ポリエステル糸のクリンプ糸を交互に引き揃え、緯糸として前記ナイロンのフィラメント糸(300dtex/7フィラメント)を用い、ウォータージェットルームでメッシュ織物を製造した。得られた織物は乾燥後、熱処理し、嵩高なボディタオル地を得た。その後、適当に裁断し、各裁断した布の両端を三つ巻縫製でボディタオルを製造した。
【0017】
得られたボディタオルは、非常に柔らかく、軽量感とバルキー性に優れており皮膚との摩擦が非常にソフトであった。また、石鹸の泡立ちも良好であり、しかも、タオルとしての強度にも優れたものであった。更に、使用後の水切り性も良好であり、室内で十分に乾燥することができた。
【0018】
本発明の浴用ボディタオルの製造方法は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、固めの浴用ボディタオルを形成する場合や軟らかな浴用ボディタオルを形成する場合には、経糸や緯糸の繊度を変更したり、メッシュ織の密度を変更することにより、好みの硬さのものを製造することができる。また、公知の色々な編組織で製造すると、織物とは異なった風合いのものを製造することもできる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロン糸と抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維を組合わせてなる浴用ボディタオル。
【請求項2】
ナイロン糸50〜80重量%と、抗菌性ポリエステル繊維と非抗菌性ポリエステル繊維の複合ポリエステル糸50〜20重量%を組合わせてなる浴用ボディタオル。
【請求項3】
抗菌性ポリエステル繊維が、銀を含有する抗菌ガラスを担持させたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の浴用ボディタオル。
【請求項4】
ナイロン糸及び/又は複合ポリエステル糸が、クリンプを有する糸であることを特徴とする請求項2記載の浴用ボディタオル。


【公開番号】特開2011−188959(P2011−188959A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56828(P2010−56828)
【出願日】平成22年3月13日(2010.3.13)
【出願人】(000115968)レック株式会社 (49)
【Fターム(参考)】