説明

浴用剤

【課題】 本発明は、皮膚に対し刺激性がなく、深部体温を高める効果を有する浴用剤を提供することを目的とする。また、本発明は、血行促進して保温効果、保湿効果を高めるという優れた効果を有する浴用剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化第二鉄および酸化カルシウムを含有する組成物を含むことを特徴とする浴用剤を提供する。また、本発明は、組成物が酸化ルビジウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、フッ素、五酸化二リン、塩素および三酸化硫黄からなる群より選択される成分をさらに含有することを特徴とする上記浴用剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴用剤に関する。より詳細には、本発明は、鉱石由来の組成物および/またはその化合物を含有する浴用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浴用剤は、その成分として硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび塩化ナトリウム等のいわゆる無機塩類を主成分とする。これに香料、油分および色素等の補助成分を適宜配合することにより、多種多用のものが上市されている。既存の浴用剤は、入浴時の気分を爽快にし、血行を促進させ、新陳代謝を高める効果があるとされている。
【0003】
しかし、現在の浴用剤は、血行を促進して新陳代謝を高めることによる発汗効果、保温効果、および優れた美肌作用効果を得るためには、十分な効果が得られていないといった問題があった。
【0004】
血行を促進して新陳代謝を高めることによる発汗効果、保温効果、および優れた美肌作用効果を得るための従来の浴用剤は、浴槽のお湯200lに対し25g〜30g程度の量を使用するのが一般的である。
【0005】
血行促進または新陳代謝を高めるに充分なほどの発汗効果および保温効果を得るためには、浴槽のお湯200lに対して、その使用量を増加するか、または有効成分の1つである生薬成分を増加する方法等が考えられる。しかし、使用量を増加したり、有効成分を増加したりすると、皮膚に対する刺激が強くなってしまったり、無機塩のアルカリ成分で脱脂されたり、肌がザラついたりするという欠点がある。
【0006】
さらに、美肌作用を得るために油分を増加すると、入浴後に肌がべたついてしまうし、浴槽が汚れてしまうことによって掃除に手間がかかってしまう。また、粉末状の浴用剤の場合、粉末が固結してしまうことによって流動性が悪くなったり、製造時に扱いにくかったり、さらに容器からスムーズに出にくかったりする。また、保存時の安定性が悪くなったり、製品の外観が悪くなったりする。
【0007】
一方、浴用剤には、天然鉱石を素材とする成分が含まれている。たとえば、特許文献1は、銀粉末0.1〜35重量%と、トルマリン鉱石粉末65〜99.9重量%が配合されており、銀による殺菌作用と、トルマリンの帯電現象による水のクラスターを小さくする作用を得ることが記載されている。
【0008】
また、特許文献2は、化学薬品配合の入浴剤ではなく、素材としての麦飯石の特性を活かした入浴剤が記載されている。この入浴剤は、心身の健増進に役立つように浴槽に添加して用いる他、泥パックやオリジナルのスキンケアの素材として用いられている。
【0009】
また、特許文献3は、遠赤外線セラミックス粒子(微粒子も含む)と、陰イオン電気石粒子(微粒子も含む)とシルク微粒子と麦飯石粒子(微粒子も含む)と天然海水塩を混合した入浴剤を開示している。この入浴剤は、入浴に際して香りや肌さわりや一時的保温でなくそれに加えてより身心の活性化を促進し健康に少しでも役立つことを目的としている。
【0010】
これらの特許文献は、いずれも天然鉱石を含有する入浴剤を記載しているものの、深部体温を上昇させる効果を有するものではなく、保温効果を有するものでもなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−269427号公報
【特許文献2】特開2007−169255号公報
【特許文献3】特開平10-194963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、二酸化ケイ素を主成分とし、酸化アルミニウムおよび酸化第二鉄を含む天然鉱石を粉末加工した組成物を含有する浴用剤が、上記のような従来の浴用剤の欠点をことごとく解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化第二鉄および酸化カルシウムを含有する組成物を含むことを特徴とする浴用剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、組成物が酸化ルビジウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、フッ素、五酸化二リン、塩素および三酸化硫黄からなる群より選択される成分をさらに含有することを特徴とする上記浴用剤を提供する。
【0015】
また、本発明は、組成物が65重量%〜85重量%の二酸化ケイ素、8重量%〜19重量%の酸化アルミニウム、3重量%〜11重量%の酸化カリウム、1重量%〜3重量%の酸化ナトリウム、0.1重量%〜0.3重量%の酸化マグネシウム、0.07重量%〜0.9重量%の酸化第二鉄および0.07重量%〜0.8重量%の酸化カルシウムを含有することを特徴とする上記浴用剤を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記組成物の粒径が20μm以下である上記浴用剤を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記組成物が0.01重量%以上含まれる、上記浴用剤を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の浴用剤は、皮膚に対し刺激性がなく、深部体温を高める効果を有する。また、本発明の浴用剤は、血行促進して保温効果、保湿効果を高めるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の浴用剤の有無による皮膚の表面温度変化を示す図。
【図2】本発明の浴用剤の有無による深部体温変化を示す図。
【図3】本発明の浴用剤の有無による種々の評価を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の浴用剤は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化第二鉄および酸化カルシウムを含有する組成物を含む。また、本発明の浴用剤には、上記成分に加えて、酸化ルビジウムおよび二酸化ジルコニウムを含む組成物を使用することができる。さらに、フッ素、五酸化二リン、塩素および三酸化硫黄を含む組成物を使用することができる。また、本発明の浴用剤は、上記成分に加えて、その他の微量成分を含む組成物を使用することができる。
【0021】
本発明の浴用剤に使用される組成物における各成分は、以下のとおりの組成を有することができる。
【0022】
二酸化ケイ素は、約65〜85重量%、特に約65.9重量%〜84.2重量%であることができる。
【0023】
酸化アルミニウムは、約8重量%〜19重量%、特に約8.1重量%〜18.2重量%であることができる。
【0024】
酸化カリウムは、約3重量%〜12重量%、特に約3.4重量%〜11.8重量%であることができる。酸化ナトリウムは、約1重量%〜3重量%、特に約1.9重量%〜2.1重量%であることができる。
【0025】
酸化マグネシウムは、約0.1重量%〜0.3重量%、特に約0.113重量%〜0.2重量%であることができる。
【0026】
酸化第二鉄は、約0.07重量%〜0.9重量%、特に約0.08重量%〜0.8重量%であることができる。
【0027】
酸化カルシウムは、約0.07重量%〜0.8重量%、特に約0.07重量%〜0.7重量%であることができる。
【0028】
その他、本発明の浴用剤に使用される組成物は、微量成分として、上記以外の無機金属化合物を含むことができる。微量成分は、約0.1重量%〜3重量%、特に約0.6重量%〜1重量%であることができる。たとえば、酸化ルビジウムを約0.05重量%〜0.06重量%、特に約0.054重量%含むことができる。また、二酸化ジルコニウムを約0.03重量%〜0.04重量%、特に約0.031重量%含むことができる。また、二酸化チタンを約0.1重量%〜0.03重量%、特に約0.2重量%含むことができる。
【0029】
さらに、本発明の浴用剤に使用される組成物は、無機金属化合物以外の無機化合物を含むことができる。たとえば、フッ素を約1重量%〜2重量%、特に約1.4重量%含むことができる。また、五酸化リンを約0.1重量%〜0.2重量%、特に約0.128重量%含むことができる。また、塩素を約0.07重量%〜0.08重量%、特に約0.076重量%含むことができる。また、三酸化硫黄を約0.03重量%〜0.04重量%、特に約0.034重量%含むことができる。また、本発明の浴用剤に使用される組成物は、その他の微量成分を約0重量%〜3重量%、特に約0.5重量%〜約0.6重量%含むことができる。
【0030】
上記のような組成物は、たとえば天然に存在する鉱石から得ることができる。たとえば、東北地方(福島)および南アルプス(岐阜・愛知)を産地とする長石または石英斑岩を粉末にした材料を使用することができる。長石または石英斑岩は、鉱石成分として比較的多くの二酸化ケイ素を含んでおり、本発明の浴用剤に使用するために適している。実施例に示したように、福島県近隣を産地とする長石は、以下の組成を有する:65.9%の二酸化ケイ素、18.2重量%の酸化アルミニウム、11.8重量%の酸化カリウム、2.1重量%の酸化ナトリウム、0.113重量%の酸化マグネシウム、0.083重量%の酸化第二鉄、0.071重量%の酸化カルシウムおよび1.733重量%のその他の成分。
【0031】
また南アルプス(岐阜・愛知)を産地とする長石は、以下の組成を有する:84.2%の二酸化ケイ素、8.1重量%の酸化アルミニウム、3.4重量%の酸化カリウム、1.9重量%の酸化ナトリウム、0.2重量%の酸化マグネシウム、0.8重量%の酸化第二鉄、0.7重量%の酸化カルシウムおよび0.7重量%のその他の成分。
上記長石は、天然鉱石を採鉱し、以下の処理をした鉱石である:疎粉砕、中粉砕、分級、乾式粉砕、湿式粉砕、乾燥焼成および微粉砕。これらの工程を経て、粒径6μ以下でのSiO・Al焼成物が作成する。上記工程は、当業者に公知の任意の方法で行うことができ、当業者であれば、適切な処理条件を容易に設定することができるであろう。たとえば、乾燥焼成は、約300℃で行うことにより、上記組成を有すSiO・Al焼成物を得ることができるであろう。このようにして得られた鉱石は、本発明の浴用剤のための組成物に適しており、これらの粉砕および焼成した鉱石を本発明の浴用剤に使用することができる。
【0032】
また、上記範囲の組成を有する組成物は、天然に存在する材料を混合して製造することもできる。たとえば、上記南アルプス(岐阜・愛知)および東北地方(福島)の鉱石に由来する粉末を混合した組成物を使用することもできる。このような組成物は、市販の鉱石粉末を使用することもできる。
【0033】
一方、本発明の浴用剤に使用される組成物は、それぞれの化合物を、上記組成を有するように適宜配合して製造することもできる。
【0034】
本発明の浴用剤は、上記組成物を任意の割合で含むことができる。通常、浴用剤に鉱石を含有する場合、浴用剤中に0.01重量%〜数重量%程度含んでいる。したがって、本発明の浴用剤は、上記組成物を0.01重量%以上含むことができる。具体的には、本発明の浴用剤は、上記組成物を約0.1重量%〜約2重量%含むことができる。
【0035】
また、上記組成物は、任意の粒径を有することができる。通常、浴用剤として水中に鉱石を混合した場合、鉱石は、水に溶解せずに、拡散した状態で混合される。したがって、本発明の浴用剤に使用する組成物は、水中で拡散しやすいように、小さな粒径を有していてもよい。上記組成物は、たとえば100μm以下および20μm以下である。
【0036】
本発明の浴用剤は、上記組成物に加えて、種々の成分を含むことができる。たとえば、無機塩類、無機酸類、有機酸類、油脂類、粘結剤類、多価アルコール類、保湿剤、香料類、植物粉末および生薬類(エキス、粉末)等の成分を適宜配合することができる。
【0037】
具体的には、本発明の浴用剤は、以下の成分を含むことができる:
1)無機塩類
塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、尿素、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウムおよびミョウバン等。
【0038】
2)無機酸類
メタケイ酸およびホウ酸等。
【0039】
3)有機酸類
安息香酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸およびサリチル酸等。
【0040】
4)油脂類
オリーブ油、大豆油、アーモンド油、ひまし油、やし油、パーム油、タートル油、ヌカ油、ホホバ油、ミンク油、卵黄油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリン、DHAおよびEPA等。
【0041】
5)粘結剤類
カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、カーボポールおよびグルコマンナン等。
【0042】
6)多価アルコール類、保湿剤
グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ビタミンC及びその誘導体、加水分解シルク、コラーゲン、コンドロイチン及びその蛋白複合体、グリチルリチンおよびその誘導体等。
【0043】
7)香料類
ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料等。
【0044】
8)植物粉末および生薬類(エキス、粉末)
レモンの皮、海藻、スピルリナ、クロロフィル、ドナリエラ、ヒノキ、ヒバ、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、トウヒ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、コウカ、ゲンノショウコ、トウガラシ等の粉砕物およびその水溶性または油溶性抽出液。
【0045】
さらに、本発明の浴用剤は、上記のもの以外にも、必要に応じて、殺菌剤、界面活性剤、ビタミン類、アミノ酸および医薬品、医薬部外品、並びに化粧品用タール系色素等を適宜含むことができる。
【0046】
本発明の浴用剤は、任意の濃度で使用することができる。通常、浴用剤は、浴槽のお湯150〜220lに対し25g〜30g程度の使用量が一般的である。また、浴用剤に鉱石を含有する場合、入浴時の水中の鉱石濃度は、通常1ppb〜20,000ppmである。したがって、本発明の浴用剤は、たとえば入浴時に、二酸化ケイ素を主成分とする組成物の濃度が1ppb〜20,000ppm(2重量%)の濃度となるように使用することができる。たとえば、本発明の浴用剤は、実施例に示したように、250mgの組成物を含有する25gの浴用剤を180lの湯に混合することにより、使用することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明の浴用剤の効果を詳細に説明する。
【0048】
実施例1
材料
本実施例では、組成物として、福島県を産地とする長石の粉末を使用して実験を行った。この長石を上記したように乾燥焼成および微粉砕することによって得られた組成物を組成物Fと呼ぶ。また、この長石は、以下の組成を有する:
65.9%の二酸化ケイ素、
18.2重量%の酸化アルミニウム、
11.8重量%の酸化カリウム、
2.1重量%の酸化ナトリウム、
0.113重量%の酸化マグネシウム、
0.083重量%の酸化第二鉄、
0.071重量%の酸化カルシウムおよび
1.733重量%のその他の成分。
【0049】
また、その他の成分は、以下の組成を有する:
1.41重量%のフッ素、
0.128重量%の五酸化リン、
0.076重量%の塩素、
0.054重量%の酸化ルビジウム
0.034重量%の三酸化硫黄(無水硫酸)および、
0.031重量%の二酸化ジルコニウム。
【0050】
1.本発明の浴用剤の有無における皮膚の表面温度変化
方法
上記組成物の効果を調べるため、20lの簡易浴槽を40℃に保ち、組成物の有無による皮膚の表面温度変化を測定して比較した。上肢を組成物1%水溶液および水道水(温水)に10分間浸け、それぞれの浴前、浴後の皮膚温度変化をサーモグラフィー(日本電気製)にて測定した。
【0051】
結果
図1は、本実験の結果を示す。腕浴前は、両者に大きな温度差は見られないが、腕浴後は、組成物の1%溶液の温度が1.2℃上昇している。したがって、上記組成物の1%溶液は、さら湯よりも保温効果が高いことが分かる。
【0052】
実施例2
2.本発明の入浴剤の有無における深部体温の変化
方法
180lのお湯に対して上記組成物を250mgおよび500mg添加した場合と、添加していない場合の被験体の深部体温を測定した(水温41±1℃、室温25±1℃、湿度50±5%)。成人健常人8名の被験者に対して、それぞれ組成物を添加した場合および添加していない場合について実験を行った。深部体温は、被験者が入浴してから15分間の間1分おきに測定し、入浴後5分間までは1分おきに測定し、そして入浴後6分からは2分おきに測定した。測定は、左胸にプローブを装着することによって行った。
【0053】
結果
図2は、本実験の結果を示す。図中、丸は、水道水を示し、三角は、組成物250mgでの結果を示し、および四角は、組成物500mgでの結果を示す。それぞれ、8人の被験者の入浴してからの深部体温変化の平均値を示してある。深部体温は入浴により上昇し、出浴後緩やかに下降して行く。上記組成物を添加したお湯では、いずれの時点においても上記組成物を添加していないさら湯よりも深部体温が高いことが分かる。
【0054】
3.本発明の浴用剤の評価
方法
上記8人の被験体に対し、入浴中のお湯の感触、香り、残香性、入浴後の暖まり感、および総合評価に関して評価した。
【0055】
実施例2
浴用剤(全身浴用) 重量%
組成物F 0.1
炭酸水素ナトリウム 1.0
炭酸ナトリウム 5.0
香料 1.0
オレイン酸PDE(20)ソルビタン 0.05
色素 微量
無水硫酸ナトリウム TO 100
【0056】
結果
図3は、本実験の結果を示す。8人の被験者による各評価の平均値を示してある。上記組成物を添加したお湯では、いずれの評価においても上記組成物を添加していないさら湯よりも評価が高いことが分かる。
【0057】
実施例3
本実施例では、組成物として、以下の化合物の粉末を混合した:
84.2重量%の二酸化ケイ素、
8.1重量%の酸化アルミニウム、
3.4重量%の酸化カリウム、
1.9重量%の酸化ナトリウム、
0.2重量%の酸化マグネシウム、
0.8重量%の酸化第二鉄、
0.7重量%の酸化カルシウムおよび、
0.7重量%のその他の成分
組成物Gとする。これを用いて以下の浴用剤を常法に準じて作成した。
【0058】
浴用剤(部分浴用) 重量%
組成物G 2.5
炭酸水素ナトリウム 40.0
塩化ナトリウム 5.0
塩化カリウム 1.0
香料 1.0
オレイン酸PDE(20)ソルビタン 0.03
色素 微量
無水硫酸ナトリウム TO 100
【0059】
結果を示していないが、上記組成物を添加したお湯では、いずれの評価においても上記組成物を添加していないさら湯よりも評価が高かった。
【0060】
以上より、上記組成物を添加した場合は、皮膚に対し刺激性がなく、血行を促進して発汗作用を高め、保温効果にも優れていることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化第二鉄および酸化カルシウムを含有する組成物を含むことを特徴とする浴用剤。
【請求項2】
前記組成物が酸化ルビジウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、フッ素、五酸化二リン、塩素および三酸化硫黄からなる群より選択される成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の浴用剤。
【請求項3】
前記組成物が65重量%〜85重量%の二酸化ケイ素、8重量%〜19重量%の酸化アルミニウム、3重量%〜12重量%の酸化カリウム、1重量%〜3重量%の酸化ナトリウム、0.1重量%〜0.3重量%の酸化マグネシウム、0.07重量%〜0.9重量%の酸化第二鉄および0.07重量%〜0.8重量%の酸化カルシウムを含有することを特徴とする、請求項1に記載の浴用剤。
【請求項4】
前記組成物の粒径が20μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の浴用剤。
【請求項5】
前記浴用剤において前記組成物が0.01重量%以上含まれる、請求項1〜5のいずれか1項記載の浴用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−251938(P2011−251938A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126734(P2010−126734)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】