説明

海岸線での土地の造成方法

本発明は、接触面で合成物質により安定的に連結している石からなる少なくとも一種の水透過性成型物を含む設置物からなる海岸線の土地を造成する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
海岸線(沿岸)における土地造成は、土地の開拓や利用可能な土地の確保のために、昔より重要であった。このため、海岸線地域での土地造成により、長期的には農地となりまた人が居住する開拓地となる地域が得られる。昔と同様に、特に人口の急増地域では、居住空間と栄養源の栽培場所の確保は、非常に重要なことである。また、海岸線地域や河口における土地の造成は、護岸のためにも重要な貢献をする。
【0002】
土地造成の際に、開拓地域の直前に洪水の際の保護のための非冠水地域を設けてもよい。また、波による海岸に近い地域の侵食が、多くの地域で深刻な問題となっているが、この問題は沖合いに土地を造成することで解決が可能である。
【0003】
一般に、土地は、大きな潮汐のある海より実質的には、プラットホームと泥ダムと織り合わせられたフェンスとブラシフェンスとからなるシステムにより分離され、満潮時には少なくとも一部の水がその周りを流れ、干潮時には海の外部となるようになっている。泥ダムは、前浜をフィールド状に分割しており、流入水と流出水用の狭い流路を形成して、水を横溝に送る。このため、水は穏やかで、干潮の間は水が流出する。穏やかな水中では、より多くの堆積物(シルトとも呼ばれる)が海底に堆積する。満潮の度に、シルト化した材料が徐々にプラットホームとフェンスの上に堆積し、土地が徐々に上昇する。海底が満潮の高さに達すると溝を除き、シルトを土地の上に散布して、さらに土地の高さを上げる。新しい堆積物が溝中に堆積してもよい。新たに造成した土地は、原則として保護のため堤で囲われる。
【0004】
もう一つの方法では、土地造成において海の自然のシルト化を利用するのでなく、固定した堤防を水中にまず建設し、潮が堤防内に入らないようする。その後、環状の堤防を建設し、干潮時にポンプステーションを用いて水を除く。ドイツではこの方法で、短時間に土地造成を行っている。
【0005】
廃棄物、例えば都市ごみを含む構造物の建設も知られており、このような構造物では、海中に堆積物が堆積する。
【0006】
DD222070には、耐食性のリング、特に車両タイヤのビーズ状の環で相互に連結されたフェンスからなる固定フェンスが設置され、この中で堆積物が堆積する。海岸線保護方法及び土地の埋め立て方法が述べられている。しかしながら、このような装置の安定性は不十分で製造も難しい。
【0007】
JP17590070では、合成樹脂性のシート又はワイアネットで覆われたごみのブロックが、このようにして海岸線地域(沿岸地域)の土地造成に導入された。
【0008】
DE3842668には、安定な合成物質をごみから除き、さらに繊維を除き、バインダーと砂でスラリーとし、予め設置されているシート状の杭材の裏にこれを置く土地造成方法が記載されている。
【0009】
この方法の欠点は、ごみが、その沿海部の汚染を引き起こす環境的に有害な物質を含んでいることである。また、ごみから作った成型物は、ごみ組成が異なるため、不均一でまた不安定である。
【0010】
DE3438204には、砂で海岸を覆う装置が述べられている。この装置には、プレハプ状の構造部品からなる人口の礁が含まれる。スチール製ネットの基盤層を海底に設置し、プレハプ状の部品をこのスチール製のネットの上に橋状に設置する。
【0011】
WO03/021046には、締め具で底部が締め付けられた、土地造成用のネット状プラットホームが述べられている。
【0012】
WO2002/092917A1には、複数の支柱で支えられたスクリーンで多くの孔を持つ土地造成用の多孔性プラットホームが述べられている。このスクリーンは、PE、PP、他のポリマーやポリマーブレンドからできていてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、建設が容易で、特に高い機械的安定性をもち、さらに異なる空洞によりいろいろな流動条件に対応可能な土地の造成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、少なくとも一種の石と合成物質(プラスチック)からなる多孔性複合物を少なくとも時々水がその上を流れるように並べた装置を用いて土地造成を行うと、本目的が達成可能である。
【0015】
本発明は、それも石と合成物質からなる多孔性複合物を含む装置を用いて、その一部の付近及び/又はその一部の上を、少なくとも時々水が流れるようにして、土地を埋め立て造成する方法に関する。
【0016】
この土地造成装置の少なくともいくつかは、主に水の流れる方向に対して横方向に配列されている。
【0017】
また、他の装置は主たる水流方向に対して実質的に平行に配置され、その地域がフィールド状に分画されていてもよい。主たる水流方向に対して実質的に平行に配置されている構造物は、多孔性成型物であってもよく、あるいは固体状の壁面及び/又はネットであってもよい。主たる水流方向に平行に配置された装置内に、内部を水が流れることが可能な流路がさらに形成されていると有利であろう。これにより、水がフィールドに逆流するのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の装置は、土地の埋め立て造成に通常通り使用できる。ある実施様態においては、これらの装置を、したがって、フィールド上に閉鎖構造又は不連続構造で、主たる水流方向に対して実質的に平行にまたは不規則に配置することが可能である。
【0019】
もし装置が不連続構造で設計された場合、これらの装置を、クランプ及び/又はブリッジなどの適当な構造部品、により、特に金属製の構造部品により、交互に連結することが好ましい。不連続成型物を複数列に並べて配置することも可能である。このような配置構成(配置構成物)で、ある列にギャップがある場合、次の列に成型物を配置することが好ましい。
【0020】
本発明により使用される装置は、水がその上又はその付近を、少なくとも時々流れるように取り付ける必要がある。この装置上の及び/又は装置付近の水流は、波の運動の結果起こるものである。沿海部では、潮の干満により、干潮時には水面上に出て、満潮時には水中に沈むように装置を設置する。
【0021】
波によりまた干満により装置は水に浸される。石(小石)と合成物質からなる多孔性複合物は水透過性であるため、土地側にある水は、この中を透過する。装置を超えて流れると、その水の動きは穏やかとなる。この過程で、堆積物が沈降する。
【0022】
この多孔性成型物の厚みは、好ましく20cm〜2mの範囲である。
【0023】
この水透過性成型物は、垂直な壁面状の形状であってもよい。
【0024】
本発明のもう一つの実施様態においては、この水透過性成型物は傾斜した形状をもち、ある好ましい角度で上昇しているか下降している。海側方向に傾斜して海岸の方向に降下した形状であってもよく、土地側方向に垂直な形状、あるいは土地側方向に降下し海岸方向に垂直な形状であってもよい。
この石と合成物質からなる多孔性複合物は、石を含んでおり、これらは相互に合成物質で結合している。この合成物質としては、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレートやメタクリレート類があげられる。ポリウレタンの使用が好ましい。
【0025】
石の大きさは、一般的には1〜50cm、好ましくは1〜20cm、特に好ましくは2〜15cm、特に2.5〜6.5cmである。この石は、好ましくは砕石である。
【0026】
成型物中の石の大きさに変動があることが有利であろう。流れの条件にもよるが、好ましくは、石の大きさが、土地側から海側に向かって/又は底から頂上に向かって増大する。
【0027】
石は、その接触面のみで合成物質により相互に安定的に結合している。したがって、この複合物胴体部は多孔性であり、水が成型物の内部に流入しうる。
【0028】
石は、表面のみが合成物質で覆われている。石上の合成物質層の厚みは、一般的には数ミリメーター、好ましくは5mm未満、特に好ましくは0.1〜5mmである。したがって、複合物胴体部に必要な合成物質の量は少ない。しかし、石と合成物質との結合は強固であり、かなりの力に耐えるようになっている。
【0029】
水が多孔性複合物内に流入できるため、水が複合物胴体部を打つエネルギーが、水が空洞内に逃げ込むために吸収されて、かなりの大きさの力の下でも成型物が破壊に至ることがない。さらに、このため波の力が大幅に減少する。
【0030】
用いる石の大きさ、即ち複合物の孔径は、特にそれぞれの流動条件に支配される。水の流れる空洞の大きさが装置内で変化している構造も可能である。
【0031】
プラットホーム、堤防及び/又は泥ダムは、この石と合成物質の複合物のみでできていてもよい。
【0032】
他の実施様態においては、この複合物胴体部を、土台の上に、例えばコンクリートまたは石積みの上に設置する。
【0033】
本発明で使用する複合物は、いろいろな方法で製造できる。最も単純な場合では、石を目的位置に所望の形状と大きさでゆるく堆積させ、合成物質用の液体開始成分をその上に散布し、養生させる。
【0034】
複合物胴体部を基礎の上に載せる場合、まずその基礎を底に造る。これは、従来既知の方法により実施できる。
【0035】
複合物胴体部をこの構造物上に載せて、波により移動しないようにする。最も単純な場合は、上述のように実施できる。また、プラットホーム、堤防及び/又は泥ダムを間隙をあけて造り、複合物にその間隙に導入してもよい。
【0036】
いずれの場合も、上述のように、まずゆるい石の床を造り、そこに例えば吹き付けまたは注入により合成物質の液体開始成分を散布し、養生して合成物質を造ることができる。
【0037】
本発明のある好ましい実施様態においては、まず石と合成物質の液体開始成分とを混合して目的の場所に敷き、そこで合成物質を硬化させる。
【0038】
原理的には、もし実質的に合成物質の液体開始成分で完全にぬれた石が得られるのなら、どのような種類のミキサーも、石と合成物質の開始成分との混合用ミキサーとして使用可能である。開放容器、例えばドラムからなり、好ましくは内部構造物を持つミキサーが、特に好適であることがわかっている。このミキサーでは、ドラムを回転させてもよいし、内部構造物を動かせてもよい。
【0039】
この種のミキサーは既知であり、例えば生コン製造の建設業において使用されている。
【0040】
この混合物を被処理表面に直接塗布する場合には、ミキサーを、車両、例えばトラクター、シャベルカーまたはトラックに載せるのもよいであろう。本発明の方法のこの実施様態においては、いずれの場合も、この混合物を散布場所まで運んでもよい。混合物を散布後、この混合物を、手で、例えばくま手を使用して広く延ばしてもよい。
【0041】
本発明の方法のある実施様態においては、石と合成物質の液体開始成分との混合を連続的に行ってもよい。この際には、石と合成物質液体開始成分とを連続的にミキサーに供給し、ぬれた石を連続的に排出する。この際、石が十分にぬれるまで出発原料がミキサー中に存在するように注意する必要がある。好ましくは、合成物質液体開始成分でぬれた石が固化に必要な量でミキサーから排出される速度で、このようなミキサーを固化が必要な場所に沿って動かせてもよい。また、定置型の装置を連続的に運転して、ミキサーから排出されるぬれた石を目的の場所に運んでもよい。
【0042】
本発明の連続法の他の実施様態においては、回転ドラムに石を連続的に供給して、混合を行ってもよい。このドラムは、合成物質開始成分を連続的に石上に散布させるノズルを有している。なお、ドラムの回転で合成物質と石との混合が確実となる。合成物質/石複合物は、次いでドラム末端にある開口部から連続的に排出される。この回転ドラムは、横型であってもよいが、払出しを促進するためいろいろな角度に傾いていてもよい。
【0043】
連続法の他の実施様態においては、石がトンネル内を移動しているコンベアベルトに載せられ、連続的に輸送される。このトンネルは開口部を有しておい、これで、合成物質の出発原料が石の上に連続的に供給される。搬送ベルトの末端で、石は開口混合ドラム内に落ち、ここより複合物が、可変輸送速度で排出される。
【0044】
本発明の方法のもう一つの実施様態においては、この複合物が成型物として製造し、この成型物を目的場所に設置する。
【0045】
複合物本体の製造は、同様にいろいろな方法で実施される。
【0046】
このような成型物の製造においては、石と合成物質の液体開始成分との混合物を、型に、好ましくは上方が開放された型に入れ、そこで合成物質の養生を行う。この成型物は、問題なく輸送可能で、基礎の上に設置できることが好ましい。特に、そのサイズは、100+50×100+50×15+10cmの範囲である。
【0047】
この成型物の製造にあたり、石を型に入れ、合成物質の液体開始成分をこの床上に散布してもよい。液体開始成分は、石の表面をぬらし、養生の結果、目的の合成物質を与える。製造のある好ましい実施様態においては、石と合成物質の液体開始成分とを混合装置で混合し、このようにしてぬれた石を型に入れ、そこで養生して成型物を得る。この実施様態の利点は、まず混合が良いこと、また大きな厚みの成型物が生産可能であることである。混合時間は、短くとも石が液体混合物で完全にぬれるが、合成物質の硬化が起こらない時間である。また、表面にゆるく不純物を付着して含んでいる石を使用してもよい。混合プロセス中の機械的な力により、これらの不純物は石表面から除かれ、石間の接着に悪影響を示さなくなる。
【0048】
プラットホーム、堤防及び/又は泥ダムのデザインは、流れの条件により変化してもよい。
【0049】
したがって、その構造物は、直線的な壁面状の形状をもっていてもよく、ある好ましい角度で上昇又は下降している傾斜した形状をもっていてもよい。したがって、この構造は海側に傾斜し土地側に真直ぐな外形であってもよく、またその逆であってもよい。
【0050】
使用できる合成物質は、上述のポリマーであり、好ましい長期安定性を得るためには、合成物質を疎水的にすべきであろう。
【0051】
好ましく使用される合成物質は、ポリウレタンやエポキシ樹脂である。
【0052】
本発明のある好ましい実施様態においては、この合成物質として、特に硬質ポリウレタンを使用できる。
【0053】
好ましく使用されるポリウレタンとしては、次のものがあげられる:
本発明においては、ポリウレタン成分は、非常に広く、遊離イソシアネート基を有する化合物、及びイソシアネート基と反応する基を持つ化合物を意味するものとする。イソシアネート基と反応する基は、一般的には水酸基またはアミノ基である。アミノ基は反応性が非常に高く反応混合物を速やかに処理する必要があるため、水酸基が好ましい。これらの成分の反応により生じた生成物は、一般にはポリウレタンと呼ばれる。
【0054】
上記の二つのプロセスのいずれにおいても、石が乾燥状態で存在している必要はない。驚くべきことに、湿った石が混ざっていても、あるいは水中においても、ポリウレタンと石との間に優れた接着が得られた。
【0055】
使用するポリウレタンは、従来既知のこの種の化合物であってもよい。これらの材料の製造は、ポリイソシアネートと少なくとも2個の反応性水素原子をもつ化合物とを反応させて行われる。室温の液体であるなら、原理的にはすべてのポリイソシアネート、その混合物、及び少なくとも二個のイソシアネート基を持つプレポリマーを、このポリイソシアネートとして使用できる。
【0056】
これらは、ヘキサメチレンジイソシナネート(HDI)やイソホロンジイソシナネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート、またはそれ自体と例えばウレトジオン基またはイソシアヌレート基との反応生成物であってもよい。
【0057】
芳香族のポリイソシアネートの使用が好ましく、特にトリレンジイソシナネート(TDI)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体の使用が好ましく、特にMDIとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物の使用が好ましい。これらのポリイソシアネートは変性されていてもよく、例えばイソシアヌレート基の導入、特にウレタン基の導入により変性されていてもよい。最後に述べた化合物は、ポリイソシアネートと化学量論量未満の少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物とを反応することで得られ、通常NCOプレポリマーと呼ばれる。これらのNCO含量は、一般的には2〜29重量%の範囲である。
【0058】
イソシアネート基と反応する少なくとも二個の水素原子を持つ化合物としては、一般に、多価アルコール類、いわゆるポリオール類が使用され、これよりは好ましくはないが、多価アミン類が使用されることもある。
【0059】
本発明の方法のある好ましい実施様態によれば、使用するポリウレタンが硬質ポリウレタン、特に疎水性の硬質ポリウレタンである。特に、ポリウレタン系の開始成分の少なくとも一種に、脂肪化学の分野で従来より使用されているヒドロキシル官能性成分を添加することで、好ましくはポリオール成分を添加することで、この疎水性を達成することができる。
【0060】
脂肪化学で使用されるヒドロキシル官能性成分は、数多く知られており、これらを使用できる。その例としては、ヒマシ油;グレープシード油、黒クメン油、カボチャ種子油、ルリヂサ種子油、豆腐油、麦芽油、ナタネ油、ひまわり油、落花生油、アンズ種子油、ピスタシオ油、アーモンド油、オリーブ油、マカデミアナット油、アボガド油、シーベリー油、ゴマ油、ハーゼルナッツ油、マツヨイグサ油、野バラ油、ヘンプ油。アザミ油、クルミ油などの水酸基で変性された油脂類;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸; ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、イワシ酸またはセルボン酸などの脂肪酸エステルで水酸基で変性されたものがあげられる。ヒマシ油及びそのアルキレンオキシド付加物またはケトン/ホルムアルデヒド樹脂との反応生成物の使用が好ましい。最後の化合物は、例えばデスモフェン(R)1150という商品名で、バイエルAGより販売されている。
【0061】
脂肪化学の分野で好ましく使用されるポリオール類は、エポキシ化脂肪酸エステルの開環と同時に起こるアルコール類との反応、また必要なら続くエステル交換反応により得ることができる。油脂への水酸基の導入は、これらの生成物中に存在するオレフィン性二重結合のエポキシ化と続く生成エポキシド基の一価又は多価アルコールとの反応により行われる。エポキシド環は水酸基に、多官能性アルコール類はOH基を多く含む構造に変換される。油脂は一般にはグリセリルエステル類であるため、上記の反応の間に同時にエステル交換反応が進行する。このようにして得られる化合物の分子量は、好ましくは500〜1500g/molの範囲である。このような製品は市販されており、例えばヘンケルより入手可能である。
【0062】
本発明の方法の特に好ましい実施様態においては、使用する硬質ポリウレタンが、ポリイソシアネートと、イソシアネート基に反応性をもつ少なくとも2個の水素原子をもつ化合物との反応により得られるものである。ただし、この少なくとも2個の反応性水素原子をもつ化合物は、従来から脂肪化学で使用されている少なくとも一種のポリオールとフェノールで変性された少なくとも一種の芳香族炭化水素樹脂、特にインデン/クマロン樹脂とを含んでいる。これらのポリウレタンとその成分は高い疎水性を有し、原理的には水中でも硬化可能である。
【0063】
好ましい末端フェノール基を有するフェノール変性芳香族炭化水素樹脂は、フェノール変性のインデン/クマロン樹脂であり、特に好ましくは芳香族炭化水素樹脂の工業混合物、特に主要成分として一般式(I)で表される化合物を含むものである。
【0064】
【化1】

【0065】
式中、nは2〜28である。このような製品は市販されており、例えば、商品名ノバレス(R)としてラトガーズVFT・AGより入手可能である。
【0066】
フェノール変性の芳香族炭化水素樹脂、特にフェノール変性のインデン/クマロン樹脂のOH含量は、一般的には0.5〜5.0重量%である。
【0067】
好ましくは、脂肪化学で通常使用されるポリオールとフェノール変性の芳香族炭化水素樹脂、特にインデン/クマロン樹脂の使用比は、重量比で100:1〜100:50である。
【0068】
上記の化合物とともに、他の少なくとも2個の活性水素原子を持つ化合物を使用することができる。ポリエーテルアルコールは高い対加水分解安定性のため、好ましい。これらは従来既知の方法により製造され、一般的にはH官能性開始剤の存在下でのアルキレンオキシドの付加反応により製造される。併用するポリエーテルアルコールの官能基数は少なくとも3であることが好ましく、ヒドロキシル数は少なくとも400mg−KOH/g、好ましくは少なくとも600mg−KOH/g、特に好ましくは400〜1000mg−KOH/gの範囲にある。これらは、従来法により少なくとも三官能性の開始剤物質とアルキレンオキシドとを反応させて合成される。使用可能な開始剤物質は、好ましくは分子内に少なくとも三個の水酸基をもつアルコールであり、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールやショ糖があげられる。好ましく用いられるアルキレンオキシドはプロピレンオキシドである。
【0069】
また、既知の成分、例えば触媒や既知の助剤や添加物を、ポリウレタン製造用の反応混合物に添加することができる。特に、組成中の水の蓄積を避けるため、またポリウレタンの発泡を避けるため、乾燥剤、例えばゼオライトを反応混合物に添加する必要がある。これらの物質は、好ましくは、イソシアネート基と反応性の少なくとも2種の水素原子を持つ化合物に添加する。この混合物は、当業界ではポリオール成分とよく呼ばれる。複合物の長期安定性を改良するため、微生物の攻撃を防ぐ物質を添加することがさらに好ましい。また、UV安定剤の添加も成型物の脆化を防ぐ上で有利である。
【0070】
使用するポリウレタンは、原理的には無触媒で製造可能である。硬化を促進するのに触媒を同時に用いてもよい。選択する触媒は、反応時間が可能な限り長くなるものが好ましい。この結果、反応混合物が長時間、液体で存在することとなる。上述のように、原理的には、無触媒で実施することが可能である。
【0071】
ポリイソシアネートと、イソシアネート基に反応性をもつ二個の水素原子を持つ化合物との組み合わせは、イソシアネート基が化学量論的に過剰となる、少なくとも5%過剰、特に5〜60%過剰で存在する比率とすることが必要である。
【0072】
好ましく使用される疎水性ポリウレタンは、特に加工性に優れている。したがって、これらのポリウレタンは、 湿った物質、例えば湿った岩石、特に砕石に対して、良好な接着性を示す。ポリウレタンの硬化は、水が存在しても進行し、実質的に硬質の生成物が得られる。使用する硬質ポリウレタンは、層が薄くても、完全に緻密となるまで硬化する。
【0073】
合成物質を疎水性とすることで、合成物質の加水分解性の劣化を効果的に抑制することができる。本発明の装置は、土地造成後もそのままその場所に置いておくことができる。これらは、造成地区の土地の強化に寄与し、海岸線の保護に寄与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成物質で安定的に連結している石からなる少なくとも一種の水透過性成型物を含む設置物からなることを特徴とする海岸線の土地を造成する装置。
【請求項2】
該成型物を、海水がその上を洗い、その海水の一部が該成型物を通過して海に流れ戻るように設置する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記成型物が底にある基礎の上に設置されている請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記透水性成型物が、時々完全に海水中に没する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
上記透水性成型物が部分的に水没している請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記水透過性成型物が連続的に配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記水透過性成型物が、空間的に分離され、また構造部品により相互に連結されて配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記水透過性成型物が、垂直な壁面状の形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記水透過性成型物が、ある望ましい角度で上昇又は下降する傾きを持つ形状を有する
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記水透過性成型物が、海側の方向に、海側方向に下降する傾きを持ち、陸側の方向に垂直な形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記水透過性成型物が、陸側の方向に、陸側方向に下降し、海側の方向に垂直な形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項12】
主たる水流の対して実質的に横方向に広がって配置される請求項1に記載の装置。
【請求項13】
主たる水流方向に対して実質的に横方向に広がって配置される上記装置に加えて、主たる水流方向に対して縦方向に作動する装置が設置されて、底面がフィールド状に分割されている請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記成型物の厚みが20cm〜2mの範囲である請求項1に記載の装置。

【公表番号】特表2009−516105(P2009−516105A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540592(P2008−540592)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068372
【国際公開番号】WO2007/057366
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】