説明

海底鉱物資源の揚鉱システム及び揚鉱方法

【課題】揚鉱時に移送管が閉塞せず、深海の過酷な環境下においても安定して揚鉱することができ、且つ揚鉱に必要な動力費を縮減することが可能な海底鉱物資源の揚鉱システム及び揚鉱方法を提供する。
【解決手段】海上に配置される揚鉱基地11と、揚鉱基地11と海底との間に配設され、海底で採掘した鉱物資源Mを海水と共に揚鉱基地11に移送する揚鉱ライザー13及び鉱物資源Mが分離された海水を海底に戻す返送ライザー12と、鉱物資源Mが分離された海水を返送ライザー12に送り込む循環ポンプ16と、海底に配置され、返送ライザー12によって返送される海水によって作動するハイドロモータ22、23、24、並びにハイドロモータ22、23、24によって駆動し、鉱物資源Mを細粒化する破砕装置25、細粒化された鉱物資源Mを搬送するスクリューコンベア26、及び鉱物資源Mを海水と共に揚鉱ライザー13に送り込む水中ポンプ27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底で採掘した鉱石などの鉱物資源を海上まで揚鉱する揚鉱システム及び揚鉱方法に関し、特に、鉱物資源を海水と共にフレキシブルライザーなどの移送管を用いて海上に移送する揚鉱システム及び揚鉱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底には様々な鉱物資源が存在する。特に水深数千mの深海底にはマンガン団塊やコバルト・リッチ・クラスト鉱床等の貴重な金属資源が豊富に存在している。例えば、マンガン団塊はマンガンや鉄の酸化物を主成分とし、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を含んでおり、太平洋の水深4000〜6000mの深海底に分布するマンガン団塊が上記有価金属を多く含んでいるといわれている。また、コバルト・リッチ・クラスト鉱床はマンガンや鉄の酸化物を主成分とし、水深500〜3500mの海山の山頂や斜面をクラスト(皮殻)状に被覆している。
【0003】
海底を採掘して鉱物資源を揚鉱するための技術開発は従来より続けられているが、水中ブルドーザや浚渫機などを用いて水深100m以浅の海底を採掘した実績があるに止まっており、水深500〜2000mといった深海から鉱物資源を揚鉱した例は世界的に見ても未だ無い状況にある。
【0004】
他方、水深500m以上の海底で採掘した鉱物資源を揚鉱するための技術として、ライザー管式揚鉱システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で提案されている揚鉱システムは、海上に配置された揚鉱基地と、揚鉱基地と深海底との間に配置されたU字管と、揚鉱基地内に設置されたポンプと、海底に配置され、採掘した鉱石を鉱物供給ホースを介してU字管内に送り込む集鉱機とを備え、ポンプでU字管の一端から他端に海水を輸送することでU字管内に海水の循環流を形成し、この海水の上昇流を利用して鉱石を海上までスラリー輸送することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−269070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の技術では、集鉱機から鉱物供給ホースを介してU字管内に鉱物資源を送り込むようになっているが、集積された鉱物資源は様々な大きさの鉱物資源から構成されるため、U字管が閉塞するおそれがある。また、ライザー管式揚鉱システムの場合、水深が深くなるにつれて海水を循環させるのに必要な動力費が高額になるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、揚鉱時に移送管が閉塞せず、深海の過酷な環境下においても安定して揚鉱することができ、且つ揚鉱に必要な動力費を縮減することが可能な海底鉱物資源の揚鉱システム及び揚鉱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明は、海底で採掘した鉱物資源を海上まで揚鉱する揚鉱システムであって、
海上に配置される揚鉱基地と、前記揚鉱基地と海底との間に配設され、海底で採掘した鉱物資源を海水と共に前記揚鉱基地に移送する揚鉱用の移送管と、前記揚鉱基地と海底との間に配設され、鉱物資源が分離された海水を海底に戻す返送用の移送管と、前記揚鉱基地に設置され、鉱物資源が分離された海水を前記返送用の移送管に送り込む循環ポンプと、
海底に配置され、前記返送用の移送管によって返送される海水の圧力によって作動する複数のハイドロモータと、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、海底で採掘した鉱物資源を細粒化する破砕装置と、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を海水と共に吸入して前記揚鉱用の移送管に送り込む水中ポンプとを備えることを特徴としている。
【0009】
第1の発明では、採掘した鉱物資源を、海底に配置した破砕装置を用いて、揚鉱用の移送管を介して海上まで移送できる大きさに細粒化した後、水中ポンプにより海水と共に揚鉱用の移送管に送り込むので、揚鉱時に移送管が閉塞することがない。また、洋上に設置した循環ポンプを駆動して海水を返送用の移送管に送り込んでハイドロモータ(水車タービン)を作動させることにより破砕装置及び水中ポンプを駆動するので、海中で電動モータを使用する必要が無く、深海の過酷な環境下においても安定して揚鉱することができ、且つ揚鉱に必要な動力費を縮減することができる。
【0010】
また、第1の発明に係る海底鉱物資源の揚鉱システムでは、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプの所まで搬送する搬送コンベアを備えていてもよい。
当該構成では、破砕装置によって細粒化された鉱物資源を、ハイドロモータで駆動する搬送コンベアを用いて水中ポンプの所まで搬送するので、鉱物資源の定量切り出しが可能となる。その結果、鉱物資源を一定量ずつ連続的に揚鉱することが可能となり、オーバーフローを防止して鉱物資源を安定的に供給することができる。
【0011】
また、第1の発明に係る海底鉱物資源の揚鉱システムでは、流入した海水を分岐して流出させる機能に加えて、分岐された各海水の圧力及び流量を調節する機能を有するバルブユニットが前記返送用の移送管の途中に設けられ、前記バルブユニットと複数の前記ハイドロモータがそれぞれ前記返送用の移送管で連結されていてもよい。
破砕装置、搬送コンベア、及び水中ポンプは、それぞれ駆動力が異なる一方、各装置ごとに返送用の移送管を設けるのは現実的でない。そのため、本構成では、返送されてきた海水をバルブユニットで分岐して、破砕装置、搬送コンベア、及び水中ポンプを駆動するのに適した圧力及び流量の海水に調節したうえで、各ハイドロモータにそれぞれ供給される。
【0012】
また、第1の発明に係る海底鉱物資源の揚鉱システムでは、前記バルブユニットが流路切替機能を有し、該バルブユニットが前記揚鉱用の移送管の途中に設けられた切替バルブとバイパス管で連結されていてもよい。
当該構成では、揚鉱用の移送管の途中に切替バルブを設けると共に、バルブユニットに流路切替機能を持たせて、切替バルブとバルブユニットとをバイパス管で連結することにより、水中ポンプ等が故障した際に、返送用の移送管によって海底に返送される海水をバイパス管を経由して揚鉱用の移送管に送給するものであり、揚鉱用の移送管内に滞留する鉱物資源を揚鉱基地まで移送することができる。
【0013】
また、第2の発明は、第1の発明に係る海底鉱物資源の揚鉱システムを用いた海底鉱物資源の揚鉱方法であって、
前記揚鉱基地に設置された前記循環ポンプを駆動して海水を前記返送用の移送管に送り込んで複数の前記ハイドロモータを作動させることにより前記破砕装置及び前記水中ポンプを駆動させ、海底で採掘した鉱物資源を前記破砕装置で細粒化した後、細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプにより海水と共に前記揚鉱用の移送管に送り込むことを特徴としている。
【0014】
また、第2の発明に係る海底鉱物資源の揚鉱方法では、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動する搬送コンベアを用いて、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプの所まで搬送するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、海底に配置した破砕装置を用いて、採掘した鉱物資源を細粒化した後、水中ポンプにより海水と共に揚鉱用の移送管に送り込むので、揚鉱時に移送管が閉塞することがない。また、洋上に設置した循環ポンプを駆動して海水を返送用の移送管に送り込んでハイドロモータを作動させることにより破砕装置及び水中ポンプを駆動するので、深海の過酷な環境下においても安定して揚鉱することができ、且つ揚鉱に必要な動力費を縮減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る海底鉱物資源の揚鉱システムの全体構成図である。
【図2】破砕装置の側断面図である。
【図3】破砕装置の正面図である。
【図4】(A)は、ハイドロモータをその駆動軸に平行な平面で切断したときの断面図、(B)はハイドロモータを構成するランナーの斜視図である。
【図5】スクリューコンベアの側断面図である。
【図6】水中ポンプ及び水中ポンプを駆動するハイドロモータをその駆動軸に平行な平面で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。
【0018】
図1に、本発明の一実施の形態に係る海底鉱物資源の揚鉱システム10の全体構成を示す。
本実施の形態に係る海底鉱物資源の揚鉱システム10(以下では、単に「揚鉱システム」と呼ぶ。)は、海上に配置される揚鉱基地11と、揚鉱基地11と海底との間に配設され、海底で採掘した鉱物資源Mを海水と共に揚鉱基地11に移送する揚鉱用の移送管13と、揚鉱基地11と海底との間に配設され、鉱物資源Mが分離された海水を海底に戻す返送用の移送管12とを備えている。
【0019】
また、海底には、返送用の移送管12によって返送される海水の圧力によって作動するハイドロモータ22、23、24、並びにハイドロモータ22、23、24によってそれぞれ駆動し、海底で採掘した鉱物資源Mを細粒化する破砕装置25、細粒化された鉱物資源Mを海水と共に吸入して揚鉱用の移送管13に送り込む水中ポンプ27、及び破砕装置25によって細粒化された鉱物資源Mを水中ポンプ27の所まで搬送する搬送コンベアの一例であるスクリューコンベア26とを備えている。
【0020】
洋上に停泊する船舶、あるいは海上に建設されたプラットホームなどが揚鉱基地11として利用される。揚鉱基地11には、揚鉱用の移送管13を介してスラリー移送されてくる鉱物資源Mを海水から分離するセパレータ17が設置されている。セパレータ17は連設された沈降槽から構成されている。鉱物資源Mを含む海水が沈降槽からオーバーフローして隣接する沈降槽に移動していく間に、沈降槽内で鉱物資源Mが自然沈降する。
【0021】
また、揚鉱基地11には、鉱物資源Mが分離された海水を返送用の移送管12に送り込む循環ポンプ16がセパレータ17の後段に設置されている。循環ポンプ16には、最後尾の沈降槽内の海水を吸入するための吸入ライン18と、海面付近の海水を吸入するための吸入ライン19が接続されている。吸入ライン19は、例えば水中ポンプ27を駆動するハイドロモータ24等の効率ロス分を補い全体の循環流量を確保するためのものである。
【0022】
移送管12、13は、可撓性を有するライザー管(フレキシブルライザー)などから構成されている。以下では、便宜上、揚鉱用の移送管を「揚鉱ライザー」、返送用の移送管を「返送ライザー」と呼ぶことにする。
【0023】
本実施の形態では、返送ライザー12の途中にバルブユニット14が設置されている。バルブユニット14は、流入した海水を分岐して流出させる機能に加えて、分岐された各海水の圧力及び流量を調節する機能を有している。揚鉱基地11から第1の返送ライザー12aによってバルブユニット14まで返送された海水は、破砕装置25、スクリューコンベア26、及び水中ポンプ27を駆動するのに適した圧力及び流量の海水に調節された後、3本の第2の返送ライザー12b、12c、12dによってハイドロモータ22、23、24にそれぞれ供給される。
【0024】
また、このバルブユニット14は流路切替機能も有しており、揚鉱ライザー13の途中に設けられた三方バルブなどの切替バルブ15とバイパス管21で接続されている。これにより、水中ポンプ27やハイドロモータ24等が故障した際に、返送ライザー12によって海底に返送される海水をバイパス管21を経由して揚鉱ライザー13に送給することで、揚鉱ライザー13内に滞留する鉱物資源Mを揚鉱基地11まで移送することができる。
【0025】
次に、ハイドロモータ22、23、24によって駆動する各装置について詳細に説明する。
本実施の形態では、破砕装置25として、シングルトグル型のジョークラッシャーを使用する。破砕装置25の側断面図及び正面図を図2、図3に示す。破砕装置25は、前面に配置されたフロントフレーム30a及び両側面に配置された一対のサイドフレーム30bを有する角筒状のフレーム30と、一対のサイドフレーム30bの上端部間に回転自在に横架された偏心軸32と、上端部が偏心軸32に揺動自在に取り付けられ、下端部が上端部に比べて前方に位置するスイングジョー31とを備えている。
【0026】
スイングジョー31の前面には可動歯34が装着されると共に、可動歯34に対峙するフロントフレーム30aの後面には固定歯35が装着されている。可動歯34、固定歯35、及び一対のサイドフレーム30bで画成された空間が、鉱物資源Mを破砕する破砕室36となる。破砕室36は側面視してV字状とされ、上端面が鉱物資源Mの投入口36a、下端面が鉱物資源Mの排出口36bになっている。
【0027】
また、一対のサイドフレーム30bの後部には、排出口36bの間隙を調整するための調整手段38と、スイングジョー31の下端部を弾性保持するバネ部40が設置されている。調整手段38はトグルプレート37を介してスイングジョー31の下端部と連結され、バネ部40はテンションロッド39を介してスイングジョー31の下端部と連結されている。
【0028】
図3に示すように、偏心軸32の一方の端部には、偏心軸32に回転力を付与するハイドロモータ22が、偏心軸32の他方の端部には、偏心軸32の回転を滑らかにするフライホイール33が取り付けられている。
ハイドロモータ22によって偏心軸32が回転すると、スイングジョー31の下端部は楕円軌道を描くように揺動する。この動きに伴って、可動歯34が固定歯35に対して前後及び上下に往復運動することにより鉱物資源Mが順次破砕される。破砕された鉱物資源Mは排出口36bから下方に排出される。
【0029】
ハイドロモータ22は水車タービンとも呼ばれ、水流により水車を回転させることにより、回転力を得る装置である。図4(A)、(B)にハイドロモータ22の一例を示す。本実施の形態では、反動水車を使用している。なお、ハイドロモータ23、24もハイドロモータ22と同様である。
ハイドロモータ22は、第2の返送ライザー12bに流入口(図示省略)が接続された渦巻状(蝸牛状)のケーシング41と、ケーシング41内に流入した海水の圧力によって回転するランナー43と、ランナー43の回転軸を構成する駆動軸44と、ランナー43の周囲に配置されたガイドベーン45と、ランナー43の中心軸方向に開口し、流入した海水が流出する流出口42とを備えている。
図4(B)に示すように、ランナー43は、中央部がコーン状に突出する円盤部43aと、円盤部43a上に配置され、先端部が湾曲する羽根部43bとを有している。
【0030】
第2の返送ライザー12bによって返送された海水は渦巻状のケーシング41内に流入する。ケーシング41内に流入した海水はガイドベーン45に案内され、ランナー43の接線方向からランナー43内に流入し、羽根部43bに作用してランナー43を回転させる。ランナー43の回転に伴って駆動軸44が回転し、破砕装置25の偏心軸32を回転させる。
一方、ランナー43の中心部に流入した海水は流出口42から海中に放出される。
【0031】
図5は、スクリューコンベア26の側断面を示したものである。スクリューコンベア26は、螺旋状の羽根48bがシャフト48aの周面に形成されたスクリュー48と、スクリュー48を収納するケーシング47と、シャフト48aの一端に連結されたハイドロモータ23とから概略構成される。また、ケーシング47の上面には、鉱物資源Mが投入される投入口49が一方の端部に、鉱物資源Mが排出される排出口50が他方の端部にそれぞれ設けられている。
第2の返送ライザー12cによって返送された海水がハイドロモータ23に流入することにより、ハイドロモータ23の駆動軸44に連結されたスクリュー48が回転する。これに伴って、投入口49から投入された鉱物資源Mは、螺旋状の羽根48bによって一定量ずつ連続的に排出口50側へ搬送される。
【0032】
図6は、水中ポンプ27及び水中ポンプ27を駆動するハイドロモータ24の断面を示したものである。水中ポンプ27は、ハイドロモータ24の駆動軸44に連結されて回転するインペラ52と、インペラ52を収納し、揚鉱ライザー13に流出口(図示省略)が接続されたケーシング51と、鉱物資源Mを含む海水の流入口53とを有している。
第2の返送ライザー12dによって返送された海水がハイドロモータ24に流入することにより、ハイドロモータ24の駆動軸44に連結されたインペラ52が回転する。これに伴って、鉱物資源Mを含む海水が流入口53からケーシング51内へ吸入され、揚鉱ライザー13を介して揚鉱基地11へ移送される。
【0033】
続いて、上記揚鉱システム10を用いて海底から鉱物資源Mを揚鉱する手順(海底鉱物資源の揚鉱方法)について説明する。
(1)先ず、返送ライザー12及び揚鉱ライザー13を破砕装置25やハイドロモータ22、23、24等に接続した状態で、揚鉱基地11に設置されているクレーン(図示省略)等を用いて、これらの装置を海中に沈めて海底に配置する。
【0034】
(2)次いで、揚鉱基地11に設置されている循環ポンプ16を駆動して、海水を返送ライザー12に送り込む。
(3)揚鉱基地11から第1の返送ライザー12aによってバルブユニット14まで返送された海水は、バルブユニット14において、破砕装置25、スクリューコンベア26、及び水中ポンプ27を駆動するのに適した圧力及び流量の海水に調節され、3本の第2の返送ライザー12b、12c、12dによってハイドロモータ22、23、24にそれぞれ供給される。
(4)海水が供給されることにより、ハイドロモータ22、23、24が作動し、破砕装置25、スクリューコンベア26、及び水中ポンプ27が駆動する。
【0035】
(5)一方、海底では、図示しないROV(Remotely Operated Vehicle)によって鉱物資源Mが採掘、集鉱され、破砕装置25の投入口36aに投入される。
(6)投入口36aに投入された鉱物資源Mは、破砕装置25によって、揚鉱ライザー13を介して揚鉱基地11まで移送できる大きさに細粒化され、排出口36bから下方に排出される。
【0036】
(7)破砕装置25の排出口36bから排出された鉱物資源Mは、スクリューコンベア26の投入口49からスクリューコンベア26内に装入され、排出口50の位置まで搬送される。
(8)スクリューコンベア26の排出口50の位置まで搬送された鉱物資源Mは、水中ポンプ27によって流入口53からケーシング51内に吸入され、揚鉱ライザー13により海水と共に揚鉱基地11へ移送される。
(9)揚鉱基地11へ移送された海水は、セパレータ17によって鉱物資源Mが海水から分離される。鉱物資源Mが分離された海水は、循環ポンプ16によって返送ライザー12に送り込まれ、ハイドロモータ22、23、24の駆動水として供給される。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、破砕装置としてシングルトグル型のジョークラッシャーを使用しているが、ダブルトグル型のジョークラッシャーでも良いし、あるいはジョークラッシャー以外の破砕機でも良い。また、上記実施の形態では、破砕装置から水中ポンプまでスクリューコンベアを使用しているが、スラットコンベアやバケットコンベア等、他の形式の搬送コンベアでも良い(定量供給可能な搬送コンベアであるほうが好ましい。)。要は、ハイドロモータによって駆動する破砕機及び搬送コンベアであれば良い。
【符号の説明】
【0038】
10:揚鉱システム、11:揚鉱基地、12:返送ライザー(返送用の移送管)、12a:第1の返送ライザー(返送用の移送管)、12b、12c、12d:第2の返送ライザー(返送用の移送管)、13:揚鉱ライザー(揚鉱用の移送管)、14:バルブユニット、15:切替バルブ、16:循環ポンプ、17:セパレータ、18、19:吸入ライン、21:バイパス管、22、23、24:ハイドロモータ、25:破砕装置、26:スクリューコンベア(搬送コンベア)、27:水中ポンプ、30:フレーム、30a:フロントフレーム、30b:サイドフレーム、31:スイングジョー、32:偏心軸、33:フライホイール、34:可動歯、35:固定歯、36:破砕室、36a:投入口、36b:排出口、37:トグルプレート、38:調整手段、39:テンションロッド、40:バネ部、41:ケーシング、42:流出口、43:ランナー、43a:円盤部、43b:羽根部、44:駆動軸、45:ガイドベーン、47:ケーシング、48:スクリュー、48a:シャフト、48b:羽根、49:投入口、50:排出口、51:ケーシング、52:インペラ、53:流入口、M:鉱物資源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底で採掘した鉱物資源を海上まで揚鉱する揚鉱システムであって、
海上に配置される揚鉱基地と、前記揚鉱基地と海底との間に配設され、海底で採掘した鉱物資源を海水と共に前記揚鉱基地に移送する揚鉱用の移送管と、前記揚鉱基地と海底との間に配設され、鉱物資源が分離された海水を海底に戻す返送用の移送管と、前記揚鉱基地に設置され、鉱物資源が分離された海水を前記返送用の移送管に送り込む循環ポンプと、
海底に配置され、前記返送用の移送管によって返送される海水の圧力によって作動する複数のハイドロモータと、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、海底で採掘した鉱物資源を細粒化する破砕装置と、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を海水と共に吸入して前記揚鉱用の移送管に送り込む水中ポンプとを備えることを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱システム。
【請求項2】
請求項1記載の海底鉱物資源の揚鉱システムにおいて、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動し、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプの所まで搬送する搬送コンベアを備えることを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱システム。
【請求項3】
請求項2記載の海底鉱物資源の揚鉱システムにおいて、流入した海水を分岐して流出させる機能に加えて、分岐された各海水の圧力及び流量を調節する機能を有するバルブユニットが前記返送用の移送管の途中に設けられ、前記バルブユニットと複数の前記ハイドロモータがそれぞれ前記返送用の移送管で連結されていることを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱システム。
【請求項4】
請求項3記載の海底鉱物資源の揚鉱システムにおいて、前記バルブユニットが流路切替機能を有し、該バルブユニットが前記揚鉱用の移送管の途中に設けられた切替バルブとバイパス管で連結されていることを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱システム。
【請求項5】
請求項1記載の海底鉱物資源の揚鉱システムを用いた海底鉱物資源の揚鉱方法であって、
前記揚鉱基地に設置された前記循環ポンプを駆動して海水を前記返送用の移送管に送り込んで複数の前記ハイドロモータを作動させることにより前記破砕装置及び前記水中ポンプを駆動させ、海底で採掘した鉱物資源を前記破砕装置で細粒化した後、細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプにより海水と共に前記揚鉱用の移送管に送り込むことを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱方法。
【請求項6】
請求項5記載の海底鉱物資源の揚鉱方法において、海底に配置され、前記ハイドロモータによって駆動する搬送コンベアを用いて、前記破砕装置によって細粒化された鉱物資源を前記水中ポンプの所まで搬送することを特徴とする海底鉱物資源の揚鉱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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