海洋データ測定装置及び海洋データ測定方法
【課題】プローブを繰り返し使用することができる海洋データ測定装置を提供する。
【解決手段】海洋データ測定装置1は、海洋のデータを測定するプローブ10を支持対象である船舶11に着脱可能に支持する支持ユニット20と、船舶11とプローブ10とを連結するロープ12を、船舶11側から巻き取る巻取りユニット30と、ロープ12をプローブ10の周りに巻きつける巻きつけユニット40と、を備える。
【解決手段】海洋データ測定装置1は、海洋のデータを測定するプローブ10を支持対象である船舶11に着脱可能に支持する支持ユニット20と、船舶11とプローブ10とを連結するロープ12を、船舶11側から巻き取る巻取りユニット30と、ロープ12をプローブ10の周りに巻きつける巻きつけユニット40と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋データ測定装置及び海洋データ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋データ測定装置として、プローブと呼ばれる計測器を海中に沈めて海中の各種情報を取得する海洋データ測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。例えばXCTD(eXpendable Conductivity, Temperature and Depth)方式とよばれる海洋データ測定装置では、水温センサ及び電気伝導度センサを内蔵したプローブを海中に自由落下させ、船舶の航行中に海中のプローブにより水温及び電気伝導度を検出する。この種の海洋データ測定装置では、一度使用したプロ−ブは海中に投棄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−188030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した海洋データ測定装置では、次のような問題がある。すなわち、上述のXCTD方式の海洋データ測定装置では、測定の度にプロ−ブを海中に投棄するため、測定回数に応じた数のプローブを要するという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、プローブを繰り返し使用することができる海洋データ測定装置及び海洋データ測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかる海洋データ測定装置は、海洋のデータを測定するプローブを支持対象に着脱可能に支持する支持手段と、前記支持対象とプローブとを連結するロープを、前記支持対象側から巻き取る巻取り手段と、前記ロープを前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の一形態にかかる海洋データ測定方法は、プローブと支持対象とを連結するロープを、ねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ工程と、前記プローブの支持を解除して前記プローブを解放するプローブ解放工程と、解放された前記プローブで海洋情報を測定する海洋データ測定工程と、解放された前記プローブに連結するロープを前記支持対象側から巻き取り前記プローブを回収する回収工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プローブを繰り返し利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる海洋データ測定装置を示す説明図。
【図2】同海洋データ測定装置の巻き付け時の状態を示す側面図。
【図3】同海洋データ測定装置の巻き付け時の状態を示す平面図。
【図4】同海洋データ測定装置の支持フレームの正面図。
【図5】同海洋データ測定装置の底面図。
【図6】同海洋データ測定装置のプローブ投下動作を示す斜視図。
【図7】同海洋データ測定装置の投下時の状態を示す側面図。
【図8】同海洋データ測定装置の投下時の状態を示す平面図。
【図9】同海洋データ測定装置の巻きとり動作を示す斜視図。
【図10】同海洋データ測定装置の巻きとり状態を示す側面図。
【図11】同海洋データ測定装置の巻きとり状態を示す平面図。
【図12】同海洋データ測定装置のガイド動作を示す側面図。
【図13】同海洋データ測定装置のガイド動作を示す側面図。
【図14】同海洋データ測定装置の回収後の状態を示す斜視図。
【図15】同海洋データ測定装置の回収後の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態かかる海洋データ測定装置1について、図1乃至図15を参照して説明する。図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。ここでは例えばX軸は船舶の走行方向に、Y軸は船舶の幅方向に、Z軸は上下方向に、それぞれ沿っている。
【0011】
図1乃至図15は本発明の第1実施形態に係る海洋データ測定装置1を示す説明図である。図1乃至図5に示すように、海洋データ測定装置1は、海洋データを測定するプローブ10と、プローブ10を船舶11(支持対象)に繋ぐロープ12と、プローブ10を船舶11に着脱可能に支持する支持ユニット20(支持手段)と、プローブ10を回収する際に船舶11側からロープ12を巻き取る巻取りユニット30(巻取り手段)と、ロープ12をプローブ10の外周に巻きつける巻きつけユニット40(巻き付け手段)と、プローブ10を回収する際にプローブ10をガイドするガイドユニット25(ガイド手段)と、を備えて構成されている。これらのユニット20、25、30、40は、駆動源としての各種モータM1〜M7、及び伝達機構としての各種ギアG1〜G28、プーリP1〜P8、ベルトB1〜B4、及び回転枠F3、F4、F5、を含んで構成されている。
【0012】
プローブ10は、海洋データ測定用の水温センサ及び電気伝導度センサ等の電子機器(測定手段)や、外部の通信機器との送受信を行うアンテナを搭載し、円柱状の胴部10cを有している。プローブ10の先端部10a及び基端部10bは先細形状をなしている。プローブ10の基端部10bにはロープ12の一端が連結されている。このプローブ10は、支持ユニット20に支持され、支持が解除されるとローブ12で船舶11に繋がれたまま海洋に自由落下し、船舶の航行中に水温及び電気伝導度を検出する。
【0013】
ロープ12はプローブ10と船舶11とを連結するワイヤーロープ等であり、例えば直径1.25mm、長さ2200mに構成されている。ロープ12の一端はプローブ10の基端部10bに固定され、ロープ12の他端は巻枠32に連結されて支持対象である船舶11側に固定されている。
【0014】
支持ユニット20は、支持対象としての船舶11の船尾に設けられた船体ブルワーク11aに取り付けられた板状の支持フレーム21と、支持フレーム21の上部に設けられZ方向に延びる軸心C3を中心に回転可能な弾性支持部22と、支持フレーム21の下部に設けられ支点C4を中心に回動可能なタラップ23と、を備えている。
【0015】
支持フレーム21は、船尾に固定された固定フレーム21Aと固定フレーム21Aに対してZ軸に沿って移動可能に構成された可動フレーム21Bとを備えている。ラック(ラックギヤ)21Cは可動フレーム21Bに固定されて枠上下用のモータM3との間にあるピニオンギアを介して可動フレーム21Bを上下させる。可動フレーム21Bは、後述するプローブ移動部44として機能する。
【0016】
弾性支持部22は、例えばゴム摩擦板で構成されている。弾性支持部22は、基端部10bを保持する支持ユニット20として機能するとともに、巻きつけの際に回転することによりプローブ回転部42としても機能する。
【0017】
タラップ23の上面にはベアリングリング23aが設けられている。タラップ23はC4を中心とした回動動作により昇降可能に構成され、上昇した状態でプローブ10の先端部10aをその上面に保持するとともに、下降により支持を解除してプローブ10を解放する。支持状態において、基端部10bは上部の弾性支持部22に支持され、先端部10aはタラップ23上部のベアリングリング23aに保持される。
【0018】
図12乃至図15に示すように、ガイドユニット25は、ガイドアーム26と、ガイドアーム26の先端部26aに設けられた保持部27と、ガイドアーム26に連結されたガイドワイヤー28と、回収ストッパ29と、モータM7と、伝達機構としての各種ギアを備えて構成されている。ガイドユニット25は、モータM7によってガイドアーム26を支点C5を中心にして垂直位置と水平位置との間で回動させ、プローブ10を支持ユニット20に回収する際にプローブ10の姿勢を規制する。
【0019】
ガイドアーム26は、支持フレーム21下部に設けられ支点C5を中心に回動可能に構成されている。ガイドアーム26の先端部に設けられた保持部27は、プローブ回収時にプローブ10の先端部10aを保持する。ガイドワイヤー28は、一端が保持部27に連結され、他端が支持フレーム21の巻取り部21aに連結されている。このガイドワイヤー28の長さ調節によりガイドアーム26の状態を調節する。回収ストッパ29は、支持フレーム21に対して位置決めばね29aを介して弾性的に取り付けられている。回収ストッパ29の下端部29bは支持フレーム21に回動可能に取り付けられている。回収ストッパ29の上端部のローラ29cにはプローブ10に連結するロープ12が掛けられている。
【0020】
図1乃至図5に示すように、巻取りユニット30は、例えば小型の電動ウィンチ30Aで構成され、船舶11の設置部11bに設けられたフレームF6と、フレームF6に対してY軸方向に沿う軸心C1を中心に回転可能な巻枠32(回転部)と、ロープ12を支持する支持アーム33と、ロープ12の位置を規制するロープ捌き部34と、駆動源となるモータM2と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠と、を備えて構成される。
【0021】
巻枠32は、軸心C1を中心に正逆回転可能に構成され、所定の巻き上げ方向に回転することによりロープ12をその外周に巻きつけて巻きとる。この巻枠32は巻きつけの際には逆方向に回転しながらロープ12を巻きだして供給する機能も有している。すなわち、巻枠32は正方向に回転する際には巻取りユニット30として機能し、逆方向に回転する際には巻きつけユニット40の巻戻し部41として機能する。
【0022】
支持アーム33は昇降可能に構成され、プローブ回収時にロープ12を支持する。
【0023】
図10及び図11に示すロープ捌き部34は、昇降可能な捌きアーム35と、捌きアーム35に連結される駆動源としてのモータM4〜M6と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠と、を備えて構成される。捌きアーム35は支点C6を中心に回動することで昇降可能に構成されている。捌きアーム35の先端にはロープ12を保持する一対のローラ36a,36bが取り付けられている。図10及び図11に示すように、巻取りの際に捌きアーム35が上昇して、一対のローラ36a,36bでロープ12を保持するとともに、ロープ12をY軸方向に移動させることで、ロープ12の位置を規制する。
【0024】
図2乃至図5に示すように、巻きつけユニット40は、巻取り後に巻き取られたロープ12を巻戻す巻戻し部41と、巻き戻しの際にプローブ10を回転させるプローブ回転部42と、ロープ12をプローブ10に巻きつける際にロープ12をねじるねじり部43(ねじり手段)と、プローブ10を軸方向に移動させるプローブ移動部44と、を備えて構成されている。
【0025】
巻戻し部41は、上述の巻枠32と、巻枠32を逆方向に回転させる駆動源としてのモータM2と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠とによって構成される。
【0026】
ねじり部43は、巻枠32を支持するとともに軸心C2を中心として横方向に回転可能に構成された回転フレームF3と、回転フレームF3を回転させる駆動源としてのモータM1と、伝達機構としてのギアG1〜G4と、を備えて構成される。
【0027】
プローブ回転部42は、プローブ10の上端部を支持する回転可能な弾性支持部22と、駆動源としてのモータM1と、伝達機構としてのギアG1、G2,G5〜G12、G27,28及び歯付きプーリP6〜P8と、を備えて構成されている。プローブ回転部42はZ方向に延びる軸心C3を中心にプローブ10を回転させることにより、巻枠32から供給されたロープ12をプローブ10の外周面に巻きつける。巻きつけるロープ12の長さは例えば最大水深に応じて設定され、ここでは全長2200mのロープ12のうち1000mをプローブ10に巻きつける。
【0028】
プローブ移動部44は、可動フレーム21Bと、支持フレーム21に設けられた複数の各種プーリP1〜P8と、ベルトB4と、駆動源となる上下動用のモータM3と、伝達機構としてのギアG1、G2,G5〜G12、及び歯付きプーリP7,P8と、で構成される。このプローブ移動部44は、巻きつけの際に支持フレーム21の可動フレーム21BをZ軸方向に移動させることによってプローブ10を軸心C3の方向に直線移動させ、ロープ12の巻きつけ位置を規制する。
【0029】
以上のように構成された海洋データ測定装置1は、プローブ10と支持対象とを連結するロープ12を前記プローブ10の周りに巻きつける巻きつけ工程、プローブ10が船舶11の船尾に固定されたセット状態からプローブ10の支持を解除して前記プローブ10を解放するプローブ解放工程、解放されたプローブ10で海洋情報を測定する海洋データ測定工程、解放されたプローブ10に連結するロープ12を支持対象側から巻き取りプローブ10をガイドしながら回収する回収工程、の順で動作し、測定の度にこれらの工程を繰り返す。なお、ここでは一例として巻きつけ工程から順に説明するがこれに限られるものではない。以下それぞれの動作について説明する。
【0030】
[巻きつけ工程]
図2および図3に示すように、巻枠32に巻かれたロープ12の一部をねじりながらプローブ10の外周に巻きつける巻きつけ工程を行う。
【0031】
巻きつけ工程として、プローブ10が支持ユニット20に鉛直に支持された状態で、巻戻し部41による巻戻し、プローブ回転部42によるプローブ回転、ねじり部43による巻枠32の回転、プローブ移動部44による支持フレーム21のZ方向移動、を同時に行う。以下、巻きつけ工程の一例を示す。
【0032】
モータM1は、歯車G1、G2,G5を介してリングギヤーG6を回転させる。リングギヤーG6の回転はピニオンギヤーG7からサイドギヤーG8を回転させ歯付プーリP8を回転させる。他方サイドギヤーG9の回転はG10,G11,G12から歯付プーリP7を回転させる。上下モータM3によって支持フレーム21が止まっているときは歯付プーリP7,P8は同じ方向に同じ回転数で回るので歯付プーリP6はモータM1と同じスピードで回転する。さらに、プーリP6はG27,G28から弾性支持部22介してプローブ10を回転させてプローブ10ワイヤを巻き取る。また、モータM1の回転はG1,G2,G3、G4を介して回転フレームF3をプローブ10と同じ速度で回転させる。これによって、ロープ12をねじりながらプローブ10外周に巻きつけるスピニング巻きが可能となる。
【0033】
同時にプローブ10に巻かれたロープは解けながら巻枠32を回転させG13,G14、G15,G16,G17,ベルトB2からG18,G19,G20,を経て回転枠F5からG24、G25,G26プローブ繰出回収用のモータM2を回転する。モータM2にブレーキを掛ければプローブ10に巻き張力を掛けられる。
【0034】
次にモータM1を固定したとき、フレーム上下動用のモータM3で可動フレーム21Bを上下するとプーリP7,P8は互いに逆回転する。サイドギヤーG8,G9は互いに逆回転するためピニオンギヤーG7の軸受け、回転枠F4、ピニオンギヤーG7、リングギヤーG6は回転しない。すなわちモータM1にはトルクがかからないことになる。M3はM1には独立して巻き始め、巻き終わり、ピッチ、巻き回数をプログラムすることができる。
【0035】
以上により、例えばロープ12の一端側の1000mがねじられながらプローブ10に巻きつけられ、図1乃至3に示すセット状態となる。
【0036】
[セット状態]
図1乃至図3に示すように、巻きつけ工程後のセット状態において、プローブ10は、先端部10aが下方を向くように、支持ユニット20によって船舶11の船尾に鉛直に支持される。このとき、基端部10bが弾性支持部22にセットされ、先端部10aがタラップ23部上にセットされることによって、支持手段に固定される。セット状態においてロープ12は巻枠32とプローブ10外周にそれぞれ巻きつけられた状態となっている。
【0037】
[プローブ投下工程]
プローブ投下について図6乃至図8を参照して説明する。モータM2の回転を止めて回転フレームF3が図の位置で止まっている状態から、タラップ23を下方に回動することで、プローブ10の支持を解除し、プローブ10を自由落下させる。
【0038】
プローブ10の落下に伴ってプローブ10外周に巻きつけられていたロープ12が解ける。プローブ10周囲に巻かれたロープ12は、巻きつけ工程において予めねじられているため、解放動作がスムーズに行われる。さらに、船舶11が航走すると海水に引かれて巻枠32からロープ12が巻出されて水平方向に引かれる。支持アーム33の下降によりリミットスイッチがONするとモータM2がロープ12を緩める。緩まるとリミットスイッチがOFFしてM2が止まる。巻枠32の積算回転数が規定値に達したらM2を止める。
【0039】
以上により、プローブ10がロープ12に繋がれた状態で海洋の所望の深さまで沈む。
【0040】
[測定工程]
プローブ投下工程中に、海中に開放されたプローブ10に内蔵された水温センサ及び電気伝導度センサにより、海洋データを測定する。データは、プローブ10内の記憶部に記憶され、プローブ回収後に取得される。あるいは無線によりプローブ10と船舶とでデータを送受信して取得してもよい。
【0041】
[回収工程]
測定工程後に、回収工程として、巻取りユニット30でロープ12を巻き取りつつガイドユニット25でプローブ10の姿勢を規制してプローブ10を回収し、再び船尾の支持ユニット20にセットする。
【0042】
図9乃至図11に示すように、巻取り動作としてモータM2によって巻枠32を正回転させることにより、船舶11側にロープ12を巻き取り、プローブ10を引きよせる。
【0043】
このときロープ捌き部34によりロープ12捌き動作を行う。すなわち、まず左舷ローラ用のモータM5で左舷ローラ36aを左舷に開いておく。同じく右舷ローラ用のモータM6で右舷ローラ36bを右舷に開いておく。一対のローラ36a,36bが開いた状態で捌きアーム35をモータM4で上昇させる。さらに一対のローラ36a,36bでロープ12を所定の位置で挟持する。一対のローラ36a,36bはプログラムに応じてY軸方向に移動し、ロープ12の巻き位置を規制する。以上によりロープ12が巻枠32の外周に太鼓状に巻きつけられる。
【0044】
図12に示すように、プローブ10が巻き取られて船尾に近寄って来たらロープ12が保持部27の間にあることを確認しながらモータM7によってガイドアーム26を支点C5を中心にして垂直位置から水平位置へ下ろす。
【0045】
さらにモータM2によってロープ12を巻き取るとプローブ10と共にガイドアーム26も垂直に立ち上がる。同時にモータM7によってガイドワイヤー28も巻き取られる。
【0046】
さらにモータM2によって巻き取りを進めると、図13に示すように、ガイドアーム26は位置決めバネ29aによって反発を受けながら回収ストッパ29を固定フレーム21Aに押し付けていく。プローブ10の位置が弾性支持部22の真下に来たときリミットスイッチが働いて回収モータM2を止める。次にタラップ23が上昇し、プローブ10を弾性支持部22に押し付ける。
【0047】
さらにモータM2によってロープ12を巻き取ると、図13乃至図15に示すように、ガイドアーム26はプローブ10から離れ、第2のリミッタによって回収動作が終了する。このとき、ロープ12は全て巻枠32によって巻き取られた状態となっており、プローブ10の外周には巻きつけられていない。
【0048】
以上により、一連の動作が終了する。この後、再び巻きつけ工程を行うことによりプローブ10の外周にロープ12をねじりながら巻きつけ、上記一連の工程を繰り返す。
【0049】
本実施の形態に係る海洋データ測定装置1によれば、プローブと支持対象とを連結するロープをねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけユニット40と、ロープを巻き取りプローブを回収する巻取りユニット30と、を備えた構成により、一連の動作を自動化し、かつ、プローブ10を回収して繰り返し使用出来、迅速かつ航行しながら測定を行うCTD(Conductivity, Temperature and Depth)システムを提供することが可能である。すなわち、従来のXCTDシステムでは、一度使用したプローブを回収する事が出来ずに測定回数に応じて多くのプローブを用意しなければならないが、本実施形態によれば、プローブを回収して繰り返し使用することが可能となるため、コスト低減が図れるとともに廃棄物を減少することが可能となる。また、巻きつけ工程において、巻きとり手段としての巻枠32を巻取り方向と交差する横方向に回転させてねじりながらプローブに巻きつけることで、プローブ落下の際にロープ12が絡まず、スムーズに落下動作が行われる。
【0050】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や、各工程における具体的な制御手順等は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変功可能である。さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…海洋データ測定装置、10…プローブ、10c…胴部、11…船舶(支持対象)、
12…ロープ、20…支持ユニット(支持手段)、21…支持フレーム、
25…ガイドユニット(ガイド手段)、30…巻取りユニット(巻取り手段)、30A…電動ウィンチ、32…巻枠(回転部)、40…巻きつけユニット(巻きつけ手段)、
42…プローブ回転部、43…ねじり部、44…プローブ移動部、M1〜M7…モータ、G1〜G28…ギア、P1〜P8…プーリ、B1〜B4…ベルト、C1〜C3…軸心、C4、C5、C6…支点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋データ測定装置及び海洋データ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋データ測定装置として、プローブと呼ばれる計測器を海中に沈めて海中の各種情報を取得する海洋データ測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。例えばXCTD(eXpendable Conductivity, Temperature and Depth)方式とよばれる海洋データ測定装置では、水温センサ及び電気伝導度センサを内蔵したプローブを海中に自由落下させ、船舶の航行中に海中のプローブにより水温及び電気伝導度を検出する。この種の海洋データ測定装置では、一度使用したプロ−ブは海中に投棄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−188030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した海洋データ測定装置では、次のような問題がある。すなわち、上述のXCTD方式の海洋データ測定装置では、測定の度にプロ−ブを海中に投棄するため、測定回数に応じた数のプローブを要するという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、プローブを繰り返し使用することができる海洋データ測定装置及び海洋データ測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかる海洋データ測定装置は、海洋のデータを測定するプローブを支持対象に着脱可能に支持する支持手段と、前記支持対象とプローブとを連結するロープを、前記支持対象側から巻き取る巻取り手段と、前記ロープを前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の一形態にかかる海洋データ測定方法は、プローブと支持対象とを連結するロープを、ねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ工程と、前記プローブの支持を解除して前記プローブを解放するプローブ解放工程と、解放された前記プローブで海洋情報を測定する海洋データ測定工程と、解放された前記プローブに連結するロープを前記支持対象側から巻き取り前記プローブを回収する回収工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プローブを繰り返し利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる海洋データ測定装置を示す説明図。
【図2】同海洋データ測定装置の巻き付け時の状態を示す側面図。
【図3】同海洋データ測定装置の巻き付け時の状態を示す平面図。
【図4】同海洋データ測定装置の支持フレームの正面図。
【図5】同海洋データ測定装置の底面図。
【図6】同海洋データ測定装置のプローブ投下動作を示す斜視図。
【図7】同海洋データ測定装置の投下時の状態を示す側面図。
【図8】同海洋データ測定装置の投下時の状態を示す平面図。
【図9】同海洋データ測定装置の巻きとり動作を示す斜視図。
【図10】同海洋データ測定装置の巻きとり状態を示す側面図。
【図11】同海洋データ測定装置の巻きとり状態を示す平面図。
【図12】同海洋データ測定装置のガイド動作を示す側面図。
【図13】同海洋データ測定装置のガイド動作を示す側面図。
【図14】同海洋データ測定装置の回収後の状態を示す斜視図。
【図15】同海洋データ測定装置の回収後の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態かかる海洋データ測定装置1について、図1乃至図15を参照して説明する。図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。ここでは例えばX軸は船舶の走行方向に、Y軸は船舶の幅方向に、Z軸は上下方向に、それぞれ沿っている。
【0011】
図1乃至図15は本発明の第1実施形態に係る海洋データ測定装置1を示す説明図である。図1乃至図5に示すように、海洋データ測定装置1は、海洋データを測定するプローブ10と、プローブ10を船舶11(支持対象)に繋ぐロープ12と、プローブ10を船舶11に着脱可能に支持する支持ユニット20(支持手段)と、プローブ10を回収する際に船舶11側からロープ12を巻き取る巻取りユニット30(巻取り手段)と、ロープ12をプローブ10の外周に巻きつける巻きつけユニット40(巻き付け手段)と、プローブ10を回収する際にプローブ10をガイドするガイドユニット25(ガイド手段)と、を備えて構成されている。これらのユニット20、25、30、40は、駆動源としての各種モータM1〜M7、及び伝達機構としての各種ギアG1〜G28、プーリP1〜P8、ベルトB1〜B4、及び回転枠F3、F4、F5、を含んで構成されている。
【0012】
プローブ10は、海洋データ測定用の水温センサ及び電気伝導度センサ等の電子機器(測定手段)や、外部の通信機器との送受信を行うアンテナを搭載し、円柱状の胴部10cを有している。プローブ10の先端部10a及び基端部10bは先細形状をなしている。プローブ10の基端部10bにはロープ12の一端が連結されている。このプローブ10は、支持ユニット20に支持され、支持が解除されるとローブ12で船舶11に繋がれたまま海洋に自由落下し、船舶の航行中に水温及び電気伝導度を検出する。
【0013】
ロープ12はプローブ10と船舶11とを連結するワイヤーロープ等であり、例えば直径1.25mm、長さ2200mに構成されている。ロープ12の一端はプローブ10の基端部10bに固定され、ロープ12の他端は巻枠32に連結されて支持対象である船舶11側に固定されている。
【0014】
支持ユニット20は、支持対象としての船舶11の船尾に設けられた船体ブルワーク11aに取り付けられた板状の支持フレーム21と、支持フレーム21の上部に設けられZ方向に延びる軸心C3を中心に回転可能な弾性支持部22と、支持フレーム21の下部に設けられ支点C4を中心に回動可能なタラップ23と、を備えている。
【0015】
支持フレーム21は、船尾に固定された固定フレーム21Aと固定フレーム21Aに対してZ軸に沿って移動可能に構成された可動フレーム21Bとを備えている。ラック(ラックギヤ)21Cは可動フレーム21Bに固定されて枠上下用のモータM3との間にあるピニオンギアを介して可動フレーム21Bを上下させる。可動フレーム21Bは、後述するプローブ移動部44として機能する。
【0016】
弾性支持部22は、例えばゴム摩擦板で構成されている。弾性支持部22は、基端部10bを保持する支持ユニット20として機能するとともに、巻きつけの際に回転することによりプローブ回転部42としても機能する。
【0017】
タラップ23の上面にはベアリングリング23aが設けられている。タラップ23はC4を中心とした回動動作により昇降可能に構成され、上昇した状態でプローブ10の先端部10aをその上面に保持するとともに、下降により支持を解除してプローブ10を解放する。支持状態において、基端部10bは上部の弾性支持部22に支持され、先端部10aはタラップ23上部のベアリングリング23aに保持される。
【0018】
図12乃至図15に示すように、ガイドユニット25は、ガイドアーム26と、ガイドアーム26の先端部26aに設けられた保持部27と、ガイドアーム26に連結されたガイドワイヤー28と、回収ストッパ29と、モータM7と、伝達機構としての各種ギアを備えて構成されている。ガイドユニット25は、モータM7によってガイドアーム26を支点C5を中心にして垂直位置と水平位置との間で回動させ、プローブ10を支持ユニット20に回収する際にプローブ10の姿勢を規制する。
【0019】
ガイドアーム26は、支持フレーム21下部に設けられ支点C5を中心に回動可能に構成されている。ガイドアーム26の先端部に設けられた保持部27は、プローブ回収時にプローブ10の先端部10aを保持する。ガイドワイヤー28は、一端が保持部27に連結され、他端が支持フレーム21の巻取り部21aに連結されている。このガイドワイヤー28の長さ調節によりガイドアーム26の状態を調節する。回収ストッパ29は、支持フレーム21に対して位置決めばね29aを介して弾性的に取り付けられている。回収ストッパ29の下端部29bは支持フレーム21に回動可能に取り付けられている。回収ストッパ29の上端部のローラ29cにはプローブ10に連結するロープ12が掛けられている。
【0020】
図1乃至図5に示すように、巻取りユニット30は、例えば小型の電動ウィンチ30Aで構成され、船舶11の設置部11bに設けられたフレームF6と、フレームF6に対してY軸方向に沿う軸心C1を中心に回転可能な巻枠32(回転部)と、ロープ12を支持する支持アーム33と、ロープ12の位置を規制するロープ捌き部34と、駆動源となるモータM2と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠と、を備えて構成される。
【0021】
巻枠32は、軸心C1を中心に正逆回転可能に構成され、所定の巻き上げ方向に回転することによりロープ12をその外周に巻きつけて巻きとる。この巻枠32は巻きつけの際には逆方向に回転しながらロープ12を巻きだして供給する機能も有している。すなわち、巻枠32は正方向に回転する際には巻取りユニット30として機能し、逆方向に回転する際には巻きつけユニット40の巻戻し部41として機能する。
【0022】
支持アーム33は昇降可能に構成され、プローブ回収時にロープ12を支持する。
【0023】
図10及び図11に示すロープ捌き部34は、昇降可能な捌きアーム35と、捌きアーム35に連結される駆動源としてのモータM4〜M6と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠と、を備えて構成される。捌きアーム35は支点C6を中心に回動することで昇降可能に構成されている。捌きアーム35の先端にはロープ12を保持する一対のローラ36a,36bが取り付けられている。図10及び図11に示すように、巻取りの際に捌きアーム35が上昇して、一対のローラ36a,36bでロープ12を保持するとともに、ロープ12をY軸方向に移動させることで、ロープ12の位置を規制する。
【0024】
図2乃至図5に示すように、巻きつけユニット40は、巻取り後に巻き取られたロープ12を巻戻す巻戻し部41と、巻き戻しの際にプローブ10を回転させるプローブ回転部42と、ロープ12をプローブ10に巻きつける際にロープ12をねじるねじり部43(ねじり手段)と、プローブ10を軸方向に移動させるプローブ移動部44と、を備えて構成されている。
【0025】
巻戻し部41は、上述の巻枠32と、巻枠32を逆方向に回転させる駆動源としてのモータM2と、伝達機構としての各種ギア、プーリ、回転枠とによって構成される。
【0026】
ねじり部43は、巻枠32を支持するとともに軸心C2を中心として横方向に回転可能に構成された回転フレームF3と、回転フレームF3を回転させる駆動源としてのモータM1と、伝達機構としてのギアG1〜G4と、を備えて構成される。
【0027】
プローブ回転部42は、プローブ10の上端部を支持する回転可能な弾性支持部22と、駆動源としてのモータM1と、伝達機構としてのギアG1、G2,G5〜G12、G27,28及び歯付きプーリP6〜P8と、を備えて構成されている。プローブ回転部42はZ方向に延びる軸心C3を中心にプローブ10を回転させることにより、巻枠32から供給されたロープ12をプローブ10の外周面に巻きつける。巻きつけるロープ12の長さは例えば最大水深に応じて設定され、ここでは全長2200mのロープ12のうち1000mをプローブ10に巻きつける。
【0028】
プローブ移動部44は、可動フレーム21Bと、支持フレーム21に設けられた複数の各種プーリP1〜P8と、ベルトB4と、駆動源となる上下動用のモータM3と、伝達機構としてのギアG1、G2,G5〜G12、及び歯付きプーリP7,P8と、で構成される。このプローブ移動部44は、巻きつけの際に支持フレーム21の可動フレーム21BをZ軸方向に移動させることによってプローブ10を軸心C3の方向に直線移動させ、ロープ12の巻きつけ位置を規制する。
【0029】
以上のように構成された海洋データ測定装置1は、プローブ10と支持対象とを連結するロープ12を前記プローブ10の周りに巻きつける巻きつけ工程、プローブ10が船舶11の船尾に固定されたセット状態からプローブ10の支持を解除して前記プローブ10を解放するプローブ解放工程、解放されたプローブ10で海洋情報を測定する海洋データ測定工程、解放されたプローブ10に連結するロープ12を支持対象側から巻き取りプローブ10をガイドしながら回収する回収工程、の順で動作し、測定の度にこれらの工程を繰り返す。なお、ここでは一例として巻きつけ工程から順に説明するがこれに限られるものではない。以下それぞれの動作について説明する。
【0030】
[巻きつけ工程]
図2および図3に示すように、巻枠32に巻かれたロープ12の一部をねじりながらプローブ10の外周に巻きつける巻きつけ工程を行う。
【0031】
巻きつけ工程として、プローブ10が支持ユニット20に鉛直に支持された状態で、巻戻し部41による巻戻し、プローブ回転部42によるプローブ回転、ねじり部43による巻枠32の回転、プローブ移動部44による支持フレーム21のZ方向移動、を同時に行う。以下、巻きつけ工程の一例を示す。
【0032】
モータM1は、歯車G1、G2,G5を介してリングギヤーG6を回転させる。リングギヤーG6の回転はピニオンギヤーG7からサイドギヤーG8を回転させ歯付プーリP8を回転させる。他方サイドギヤーG9の回転はG10,G11,G12から歯付プーリP7を回転させる。上下モータM3によって支持フレーム21が止まっているときは歯付プーリP7,P8は同じ方向に同じ回転数で回るので歯付プーリP6はモータM1と同じスピードで回転する。さらに、プーリP6はG27,G28から弾性支持部22介してプローブ10を回転させてプローブ10ワイヤを巻き取る。また、モータM1の回転はG1,G2,G3、G4を介して回転フレームF3をプローブ10と同じ速度で回転させる。これによって、ロープ12をねじりながらプローブ10外周に巻きつけるスピニング巻きが可能となる。
【0033】
同時にプローブ10に巻かれたロープは解けながら巻枠32を回転させG13,G14、G15,G16,G17,ベルトB2からG18,G19,G20,を経て回転枠F5からG24、G25,G26プローブ繰出回収用のモータM2を回転する。モータM2にブレーキを掛ければプローブ10に巻き張力を掛けられる。
【0034】
次にモータM1を固定したとき、フレーム上下動用のモータM3で可動フレーム21Bを上下するとプーリP7,P8は互いに逆回転する。サイドギヤーG8,G9は互いに逆回転するためピニオンギヤーG7の軸受け、回転枠F4、ピニオンギヤーG7、リングギヤーG6は回転しない。すなわちモータM1にはトルクがかからないことになる。M3はM1には独立して巻き始め、巻き終わり、ピッチ、巻き回数をプログラムすることができる。
【0035】
以上により、例えばロープ12の一端側の1000mがねじられながらプローブ10に巻きつけられ、図1乃至3に示すセット状態となる。
【0036】
[セット状態]
図1乃至図3に示すように、巻きつけ工程後のセット状態において、プローブ10は、先端部10aが下方を向くように、支持ユニット20によって船舶11の船尾に鉛直に支持される。このとき、基端部10bが弾性支持部22にセットされ、先端部10aがタラップ23部上にセットされることによって、支持手段に固定される。セット状態においてロープ12は巻枠32とプローブ10外周にそれぞれ巻きつけられた状態となっている。
【0037】
[プローブ投下工程]
プローブ投下について図6乃至図8を参照して説明する。モータM2の回転を止めて回転フレームF3が図の位置で止まっている状態から、タラップ23を下方に回動することで、プローブ10の支持を解除し、プローブ10を自由落下させる。
【0038】
プローブ10の落下に伴ってプローブ10外周に巻きつけられていたロープ12が解ける。プローブ10周囲に巻かれたロープ12は、巻きつけ工程において予めねじられているため、解放動作がスムーズに行われる。さらに、船舶11が航走すると海水に引かれて巻枠32からロープ12が巻出されて水平方向に引かれる。支持アーム33の下降によりリミットスイッチがONするとモータM2がロープ12を緩める。緩まるとリミットスイッチがOFFしてM2が止まる。巻枠32の積算回転数が規定値に達したらM2を止める。
【0039】
以上により、プローブ10がロープ12に繋がれた状態で海洋の所望の深さまで沈む。
【0040】
[測定工程]
プローブ投下工程中に、海中に開放されたプローブ10に内蔵された水温センサ及び電気伝導度センサにより、海洋データを測定する。データは、プローブ10内の記憶部に記憶され、プローブ回収後に取得される。あるいは無線によりプローブ10と船舶とでデータを送受信して取得してもよい。
【0041】
[回収工程]
測定工程後に、回収工程として、巻取りユニット30でロープ12を巻き取りつつガイドユニット25でプローブ10の姿勢を規制してプローブ10を回収し、再び船尾の支持ユニット20にセットする。
【0042】
図9乃至図11に示すように、巻取り動作としてモータM2によって巻枠32を正回転させることにより、船舶11側にロープ12を巻き取り、プローブ10を引きよせる。
【0043】
このときロープ捌き部34によりロープ12捌き動作を行う。すなわち、まず左舷ローラ用のモータM5で左舷ローラ36aを左舷に開いておく。同じく右舷ローラ用のモータM6で右舷ローラ36bを右舷に開いておく。一対のローラ36a,36bが開いた状態で捌きアーム35をモータM4で上昇させる。さらに一対のローラ36a,36bでロープ12を所定の位置で挟持する。一対のローラ36a,36bはプログラムに応じてY軸方向に移動し、ロープ12の巻き位置を規制する。以上によりロープ12が巻枠32の外周に太鼓状に巻きつけられる。
【0044】
図12に示すように、プローブ10が巻き取られて船尾に近寄って来たらロープ12が保持部27の間にあることを確認しながらモータM7によってガイドアーム26を支点C5を中心にして垂直位置から水平位置へ下ろす。
【0045】
さらにモータM2によってロープ12を巻き取るとプローブ10と共にガイドアーム26も垂直に立ち上がる。同時にモータM7によってガイドワイヤー28も巻き取られる。
【0046】
さらにモータM2によって巻き取りを進めると、図13に示すように、ガイドアーム26は位置決めバネ29aによって反発を受けながら回収ストッパ29を固定フレーム21Aに押し付けていく。プローブ10の位置が弾性支持部22の真下に来たときリミットスイッチが働いて回収モータM2を止める。次にタラップ23が上昇し、プローブ10を弾性支持部22に押し付ける。
【0047】
さらにモータM2によってロープ12を巻き取ると、図13乃至図15に示すように、ガイドアーム26はプローブ10から離れ、第2のリミッタによって回収動作が終了する。このとき、ロープ12は全て巻枠32によって巻き取られた状態となっており、プローブ10の外周には巻きつけられていない。
【0048】
以上により、一連の動作が終了する。この後、再び巻きつけ工程を行うことによりプローブ10の外周にロープ12をねじりながら巻きつけ、上記一連の工程を繰り返す。
【0049】
本実施の形態に係る海洋データ測定装置1によれば、プローブと支持対象とを連結するロープをねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけユニット40と、ロープを巻き取りプローブを回収する巻取りユニット30と、を備えた構成により、一連の動作を自動化し、かつ、プローブ10を回収して繰り返し使用出来、迅速かつ航行しながら測定を行うCTD(Conductivity, Temperature and Depth)システムを提供することが可能である。すなわち、従来のXCTDシステムでは、一度使用したプローブを回収する事が出来ずに測定回数に応じて多くのプローブを用意しなければならないが、本実施形態によれば、プローブを回収して繰り返し使用することが可能となるため、コスト低減が図れるとともに廃棄物を減少することが可能となる。また、巻きつけ工程において、巻きとり手段としての巻枠32を巻取り方向と交差する横方向に回転させてねじりながらプローブに巻きつけることで、プローブ落下の際にロープ12が絡まず、スムーズに落下動作が行われる。
【0050】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や、各工程における具体的な制御手順等は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変功可能である。さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…海洋データ測定装置、10…プローブ、10c…胴部、11…船舶(支持対象)、
12…ロープ、20…支持ユニット(支持手段)、21…支持フレーム、
25…ガイドユニット(ガイド手段)、30…巻取りユニット(巻取り手段)、30A…電動ウィンチ、32…巻枠(回転部)、40…巻きつけユニット(巻きつけ手段)、
42…プローブ回転部、43…ねじり部、44…プローブ移動部、M1〜M7…モータ、G1〜G28…ギア、P1〜P8…プーリ、B1〜B4…ベルト、C1〜C3…軸心、C4、C5、C6…支点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋のデータを測定するプローブを支持対象に着脱可能に支持する支持手段と、
前記支持対象とプローブとを連結するロープを、前記支持対象側から巻き取る巻取り手段と、
前記ロープを前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ手段と、
を備えたことを特徴とする海洋データ測定装置。
【請求項2】
前記巻きつけ手段は、前記ロープを前記プローブに巻きつける際に前記ロープをねじるねじり手段を備えることを特徴とする請求項1記載の海洋データ測定装置。
【請求項3】
前記巻取り手段は、前記支持対象に設けられ、所定の巻きとり方向に回転してロープを巻き取る回転部を有し、
前記巻き付け手段は、前記回転部を前記巻きとり方向とは逆方向に回転してロープを巻戻す巻き戻し部と、前記回転部を前記巻取り方向と交差する方向に回転してロープをねじるねじり部と、前記プローブを回転させて前記プローブの周りに前記ロープを巻きつけるプローブ回転部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の海洋データ測定装置。
【請求項4】
前記巻きつけ手段は、前記プローブに前記ロープを巻きつける際に前記プローブを前記プローブの回転軸方向に移動させるプローブ移動部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の海洋データ測定装置。
【請求項5】
前記ロープを前記支持対象側から巻き取る際に、前記プローブの姿勢を規制するガイド手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の海洋データ測定方法。
【請求項6】
プローブと支持対象とを連結するロープを、ねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ工程と、
前記プローブの支持を解除して前記プローブを解放するプローブ解放工程と、
解放された前記プローブで海洋情報を測定する海洋データ測定工程と、
解放された前記プローブに連結するロープを前記支持対象側から巻き取り前記プローブを回収する回収工程と、
を備えたことを特徴とする海洋データ測定方法。
【請求項1】
海洋のデータを測定するプローブを支持対象に着脱可能に支持する支持手段と、
前記支持対象とプローブとを連結するロープを、前記支持対象側から巻き取る巻取り手段と、
前記ロープを前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ手段と、
を備えたことを特徴とする海洋データ測定装置。
【請求項2】
前記巻きつけ手段は、前記ロープを前記プローブに巻きつける際に前記ロープをねじるねじり手段を備えることを特徴とする請求項1記載の海洋データ測定装置。
【請求項3】
前記巻取り手段は、前記支持対象に設けられ、所定の巻きとり方向に回転してロープを巻き取る回転部を有し、
前記巻き付け手段は、前記回転部を前記巻きとり方向とは逆方向に回転してロープを巻戻す巻き戻し部と、前記回転部を前記巻取り方向と交差する方向に回転してロープをねじるねじり部と、前記プローブを回転させて前記プローブの周りに前記ロープを巻きつけるプローブ回転部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の海洋データ測定装置。
【請求項4】
前記巻きつけ手段は、前記プローブに前記ロープを巻きつける際に前記プローブを前記プローブの回転軸方向に移動させるプローブ移動部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の海洋データ測定装置。
【請求項5】
前記ロープを前記支持対象側から巻き取る際に、前記プローブの姿勢を規制するガイド手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の海洋データ測定方法。
【請求項6】
プローブと支持対象とを連結するロープを、ねじりながら前記プローブの周りに巻きつける巻きつけ工程と、
前記プローブの支持を解除して前記プローブを解放するプローブ解放工程と、
解放された前記プローブで海洋情報を測定する海洋データ測定工程と、
解放された前記プローブに連結するロープを前記支持対象側から巻き取り前記プローブを回収する回収工程と、
を備えたことを特徴とする海洋データ測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−209228(P2011−209228A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79330(P2010−79330)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390034588)株式会社鶴見精機 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390034588)株式会社鶴見精機 (6)
【Fターム(参考)】
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