説明

消し忘れ防止機能付きコンロ

【課題】消し忘れによる加熱運転を確実に防止することができるだけでなく、消し忘れではない場合の調理中の消火を防止することができる消し忘れ防止機能付きコンロを提供する。
【解決手段】加熱手段2の制御を行う制御手段4と、加熱開始時に起動する消し忘れ防止タイマ6と、消し忘れ防止タイマより優先して任意の時間が設定可能な調理タイマ7と、調理タイマ7の設定時間及び残り時間を表示する表示手段13とを設ける。制御手段4は、消し忘れ防止タイマ6が予め定められた所定の残り時間となったとき、当該所定の残り時間を調理タイマ7に設定して調理タイマ7を起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火後一定時間内に消火がなされなかったときに、自動的に消火を行う消し忘れ防止機能を有するコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロにおいては、加熱時間を任意に設定できる調理タイマと、設定時間が固定されて点火時から作動する消し忘れ防止タイマとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そしてこの種のガスコンロにおいては、バーナが点火されてから前記消し忘れ防止タイマがタイムアップするまでに消火がなされなかったときには、消し忘れ防止タイマのタイムアップ時にバーナの消火を行うようにして、消し忘れによる長時間使用を防止している。一方、前記調理タイマを使用した場合、調理タイマにより設定された加熱時間が前記消し忘れ防止タイマの設定時間よりも長いときには、調理タイマを消し忘れ防止タイマよりも優先させ、消し忘れ防止タイマがタイムアップしても調理タイマによる調理途中でのバーナの消火が行われないようにしている。
【0003】
しかし、このようなコンロでは、調理タイマを使用しないで調理を行ったときに、調理中に消し忘れ防止タイマによりバーナが消火されてしまうおそれがある。具体的には、例えば、使用者が比較的長時間を要する調理を行う際に調理タイマの設定をし忘れると、消し忘れではないにもかかわらず、調理中に消し忘れ防止タイマがタイムアップしてバーナが消火する。このとき、使用者がその消火に気づかない場合には調理物の加熱が停止された状態で長時間放置され、その後の再加熱が煩わしいだけでなく、再加熱に掛かる時間や燃料が余分に必要となったり、調理物によっては調理に失敗してしまうおそれがある。
【特許文献1】特公平8─6928号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる不都合を解消して、本発明は、消し忘れによる加熱運転を確実に防止することができるだけでなく、消し忘れではない場合の調理中の消火を防止することができる消し忘れ防止機能付きコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明は、調理物を加熱する加熱手段と、該加熱手段の運転に関する操作を行う操作手段と、該操作手段の操作に応じて前記加熱手段の制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記加熱手段の加熱開始時に起動する消し忘れ防止タイマと、該消し忘れ防止タイマより優先して任意の時間が前記操作手段を介して設定可能であり、設定された時間が経過したとき前記加熱手段の停止を行う調理タイマとを備え、該調理タイマの作動時に該調理タイマの設定時間及び残り時間を表示する表示手段が設けられた消し忘れ防止機能付きコンロにおいて、前記制御手段は、前記消し忘れ防止タイマが予め定められた所定の残り時間となったとき、当該所定の残り時間を前記調理タイマに設定して該調理タイマを起動することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、使用者が調理タイマを用いて調理を行う場合には、調理タイマが消し忘れ防止タイマより優先するので、調理タイマの設定時間が消し忘れ防止タイマに予め設定されている時間より長くても、調理の最中に消し忘れ防止タイマにより前記加熱手段が自動的に停止されることはない。これにより、使用者が前記加熱手段の自動消火に気づかずに調理に失敗してしまうということがない。
【0007】
更に、本発明によれば、使用者により調理タイマが使用されなくても、消し忘れ防止タイマが予め定められた所定の残り時間となったときには、前記制御手段によって当該所定の残り時間を前記調理タイマに設定して該調理タイマが起動される。これにより、消し忘れ防止タイマの残り時間が該調理タイマの残り時間として表示手段に表示されるので、加熱手段が自動停止されるまでの時間を使用者が容易に確認することができる。具体的に説明すれば、例えば、消し忘れ防止タイマに予め設定された時間が30分であり、所定の残り時間が5分とされている場合、消し忘れ防止タイマがタイムアップする5分前、即ち消し忘れ防止タイマによって計時した時間が25分経過したときに、前記制御手段によって調理タイマに5分が設定され、その設定された時間により調理タイマが起動する。そして、調理タイマが起動した後には、調理タイマがタイムアップするまでに使用者の操作等により加熱手段が停止されなければ、調理タイマがタイムアップしたときに加熱手段が停止する。この間、使用者は、消し忘れ防止タイマの残り時間に対応する調理タイマの残り時間を表示手段を介して確認でき、自動停止に備えることができる。
【0008】
また、本発明において、前記制御手段は、前記調理タイマが前記消し忘れ防止タイマの所定の残り時間が設定されて起動した後に、該調理タイマの設定時間が前記操作手段を介して変更されたときには、変更された設定時間が経過したとき前記加熱手段の停止を行うことを特徴とする。
【0009】
これによれば、使用者は、消し忘れ防止タイマの残り時間に対応する調理タイマの残り時間を前記表示手段を介して確認し、表示された残り時間が調理に必要な時間より短かった場合には、使用者が前記操作手段を操作して調理タイマの残り時間を変更(延長)することができる。これによって、調理中に加熱手段が自動停止されることなく使用者の所望の時間まで調理を行うことができるので、使い勝手の良いコンロを提供することができる。
【0010】
また、本発明においては、音声による報知を行うための報知手段を設け、前記制御手段は、前記消し忘れ防止タイマが予め定められた所定の残り時間となったとき、その旨を前記報知手段を介して報知することを特徴とする。これによれば、使用者は、消し忘れ防止タイマの残り時間が少なくなったこと及び調理タイマによる設定時間の変更が可能となったことを音声により確実に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のコンロの構成を模式的に示すブロック図、図2は本実施形態のコンロに備えた制御手段の動作を示すフローチャートである。
【0012】
本実施形態の消し忘れ防止機能付きコンロ1は、図1に模式的に示すように、加熱手段であるガスバーナ2と、各種の運転操作を行う操作手段である操作パネル3と、該操作パネルの操作に応じてガスバーナ2の運転を制御する制御手段4とを備えている。
【0013】
制御手段4は、制御に必要な各種の演算処理を行うCPU等の演算処理部5を備えると共に、消し忘れ防止タイマ6と、調理タイマ7とを備えている。更に、制御手段4は、音声発生器8を介して音声による報知を行う報知手段である音声駆動部9を備えている。
【0014】
操作パネル3には、運転スイッチ10と、各種の調理モードを選択する操作スイッチ群11とが設けられている。また、該スイッチ群11のひとつとして調理タイマスイッチ12が設けられていると共に、操作パネル3には、調理タイマ7の残り時間を表示する表示手段13と、調理タイマ7の時間を設定する調理タイマ用時間設定スイッチ(アップ・ダウンスイッチ)14とが配設されている。
【0015】
ガスバーナ2にガス燃料を供給するガス供給管15には、その上流に設けられた図示しない電磁弁に直列に接続されて制御手段4によりガス流量が制御される電磁比例弁16が設けられている。また、図1において、17はスパーカであり、制御手段4と接続されて点火電極18を介してガスバーナ2の点火を行う。19は燃焼検知器であり、制御手段4に接続されてガスバーナ2の燃焼を検出する。20は温度検出器であり、調理物21が入った容器22の底に接して、検出した温度を制御手段4へ出力する。
【0016】
次に、図2のフローチャートに従って制御手段4の消し忘れ防止運転に係る動作を説明する。なお、消し忘れ防止タイマ6は、操作パネル3のスイッチ群11の特殊操作等(例えば、調理タイマ用時間設定スイッチ14を構成するアップ・ダウンスイッチの同時押し等)により消し忘れ時間の設定時間を、例えば、30分〜120分の間で変更することができるようになっている。本実施形態においては消し忘れ防止タイマ6が予め30分に設定されているものとして説明する。
【0017】
先ず、STEP1で運転スイッチ10がONされて、ガスバーナ2が点火されると、STEP2で消し忘れ防止タイマ6が起動する。消し忘れ防止タイマ6は予め設定された消し忘れ時間(本実施形態では30分)を計時する。
【0018】
次いで、STEP3で運転スイッチ10がOFFされることなく、また、STEP4で調理タイマ7の起動がないときには、STEP5に進んで、消し忘れ防止タイマ6が予め定められた所定の残り時間である5分になるまで、即ち、本実施形態では消し忘れ防止タイマ6の計時時間が25分経過するまで、STEP3〜5のループを実行する。そしてこの間には、ガスバーナ2の燃焼運転が継続される。
【0019】
ここで、STEP3で運転スイッチ10がOFFされるとSTEP14に進んで電磁比例弁16をOFFすることによりガスバーナ2を消火する。また、STEP4で調理タイマ7が起動されると、STEP6で運転スイッチ10がOFFされない限り調理タイマ7による計時を行い、STEP7で調理タイマ7がタイムアップしたとき、STEP14に進んでガスバーナ2を消火する。調理タイマ7は調理タイマスイッチ12の操作によるだけでなく、揚げ物モード等の調理モードによっても起動される場合がある。
【0020】
一方、STEP3〜5のループを実行した後、STEP5において消し忘れ防止タイマ6の残り時間が5分になると、STEP8に進んで音声駆動部9を作動させ、音声発生器8を介して消し忘れ防止時間の終了が近づいた旨を音声によって報知する。次いで、STEP9により調理タイマ7の時間を5分(消し忘れ防止タイマの残り時間)に設定し、STEP10で調理タイマ7が起動し、更に、前記表示手段13により調理タイマ7の残り時間を表示する。STEP10で調理タイマ7が起動した後には、調理タイマ用時間設定スイッチ14による調理タイマ7の設定時間の変更が可能となる。従って、使用者は、音声による報知及び残り時間の表示により、消し忘れ防止機能により消火されるまでの時間を容易に確認することができ、この確認後、使用者は調理の状況に応じて調理タイマ7の設定時間を変更すること、或いは、消し忘れに気付いて運転スイッチ10により即座に消火することができる。
【0021】
そして、STEP11において使用者による調理タイマ7の設定時間の変更操作がなく、STEP12において運転スイッチ10がOFFされないときには、使用者による消し忘れが想定されるので、調理タイマ7がタイムアップ(5分経過)するまでSTEP11〜13のループを実行し、STEP13により調理タイマ7がタイムアップ(5分経過)したとき、STEP14に進んでガスバーナ2を消火する。これにより、予め定められた消し忘れ時間によりガスバーナ2が自動消火され、不用意な長時間の燃焼継続を防止することができる。
【0022】
一方、STEP11において使用者による調理タイマ7の設定時間の変更操作が行われたときには、STEP15において調理タイマ7の設定時間を変更し、STEP16において運転スイッチ10がOFFされないときには、STEP17で調理タイマ7がタイムアップしたとき、STEP14に進んでガスバーナ2を消火する。これにより、使用者はガスバーナ2が自動消火される前に、調理の状況に応じて所望の時間だけ調理を継続させることができる。よって使用者が消し忘れ防止タイマ6の作動を確認して調理を行う限り、ガスバーナ2が自動的に消火して調理に失敗することはない。
【0023】
また、本実施形態のコンロ1は、操作パネル3の操作スイッチ群11により各種の調理モードを選択することができる。調理モードの一つとして、揚げ物モードが挙げられる。揚げ物モードでは、制御手段4は、温度検出器20によって検出される温度が一定となるように電磁比例弁16の制御を行ってガスバーナ2へのガスの供給量を調節し、ガスバーナ2による加熱量を変化させる。そしてこの場合にも、制御手段4は前述したような消し忘れ防止タイマ6及び調理タイマ7による消し忘れ防止運転が行われる。
【0024】
更に、他の調理モードとして、湯沸かしモード(沸騰状態を検知した後、自動で燃焼を停止するモード)や炊飯モード(自動炊飯を行うモード)が挙げられる。これらの調理モードでは、自動で燃焼が停止するが、正常な使用でないために温度によって燃焼が停止しなかった場合を考慮して、前述した消し忘れ防止タイマ6及び調理タイマ7による消し忘れ防止運転を行う方が好ましい。この場合には、操作パネル3の操作スイッチ群11による湯沸かしモードや炊飯モードの選択に連動して制御手段4が消し忘れ防止タイマ6の設定時間を比較的長い時間(例えば120分)に設定する。これにより、湯沸かしモードや炊飯モードによる正常な調理中に消し忘れ防止タイマ6及び調理タイマ7による自動消火がなされないようにすることができると共に、正常に燃焼が停止しなかった場合には確実に自動消火することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態のコンロの構成を模式的に示すブロック図。
【図2】本実施形態のコンロに備えた制御手段の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0026】
1…消し忘れ防止機能付きコンロ、2…ガスバーナ(加熱手段)、3…操作パネル(操作手段)、4…制御手段、6…消し忘れ防止タイマ、7…調理タイマ、9…音声駆動部(報知手段)、13…表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を加熱する加熱手段と、該加熱手段の運転に関する操作を行う操作手段と、該操作手段の操作に応じて前記加熱手段の制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記加熱手段の加熱開始時に起動する消し忘れ防止タイマと、該消し忘れ防止タイマより優先して任意の時間が前記操作手段を介して設定可能であり、設定された時間が経過したとき前記加熱手段の停止を行う調理タイマとを備え、該調理タイマの作動時に該調理タイマの設定時間及び残り時間を表示する表示手段が設けられた消し忘れ防止機能付きコンロにおいて、
前記制御手段は、前記消し忘れ防止タイマが予め定められた所定の残り時間となったとき、当該所定の残り時間を前記調理タイマに設定して該調理タイマを起動することを特徴とする消し忘れ防止機能付きコンロ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記調理タイマが前記消し忘れ防止タイマの所定の残り時間が設定されて起動した後に、該調理タイマの設定時間が前記操作手段を介して変更されたときには、変更された設定時間が経過したとき前記加熱手段の停止を行うことを特徴とする請求項1記載の消し忘れ防止機能付きコンロ。
【請求項3】
音声による報知を行うための報知手段を設け、
前記制御手段は、前記消し忘れ防止タイマが予め定められた所定の残り時間となったとき、その旨を前記報知手段を介して報知することを特徴とする請求項1又は2記載の消し忘れ防止機能付きコンロ。

【図1】
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【図2】
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