説明

消泡剤組成物

本発明は、珪素に対して直接結合し、かつ定められた数の炭素原子を提供する基を有する、オルガノ珪素化合物を含有する組成物に関する。さらに本発明は、前記化合物の製造方法およびその消泡剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定められた数の炭素原子を有する珪素に直接結合した基を有するオルガノ珪素化合物を含有する組成物、その製造方法、その消泡剤としての使用に関する。
【0002】
所望の成分としてまたは不所望の成分として界面活性化合物を含有する多くの液状の系、特に水性系において、前記系がガス状の物質と程度に差はあるが集中的に接触する場合に、例えば排水のガス処理、液体の集中的な撹拌、蒸留プロセス、洗浄プロセスまたは着色プロセスまたは充填プロセスにおいて、起泡により問題が生じることがある。
【0003】
この泡の抑制は、機械的方法または消泡剤の添加によって行うことができる。この場合、シロキサンベースの消泡剤が特に有利であることが判明している。シロキサンベースの消泡剤は、例えばDE-AS 15 19 987により、ポリジメチルシロキサン中での親水性シリカの加熱により製造される。例えばDE-OS 17 69 940に開示されているように、塩基性触媒の適用により、この種の消泡剤の作用を改善することができる。別の方法は、例えばDE-OS 29 25 722による、ポリジメチルシロキサン中での疎水化されたシリカの分配である。しかしながら、得られた消泡剤の作用は、大体において改善に値するものである。US-A 4,145,308は、例えば、ポリジオルガノシロキサン及びシリカの他に、なお(CH33SiO1/2成分とSiO2成分とからなるコポリマーを含有する消泡剤配合物を記載している。(CH33SiO1/2成分とSiO2成分とからなるコポリマーは、例えばEP-A 301 531に記載されているように、末端の長鎖アルキル基を有するシロキサンと組合せた場合にも有利である。架橋した、部分的に既にゴム状のポリジメチルシロキサンを使用することは、消泡作用の向上に寄与する。これについては、例えばUS-A 2,632,736、EP-A 273 448及びEP-A 434 060に示唆されている。もちろん、これらの生成物は一般に極めて高粘度でありかつ取り扱い性が悪いかまたは加工性が悪い。
【0004】
大抵は、有利にメチル基を有するポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサンが使用される。ケイ素に一連の他の脂肪族または芳香族炭化水素基を有するポリマーは公知であり、かつ、多く、消泡剤の製造のために提案されているにもかかわらず、ケイ素にこれらの置換基を選択することにより消泡作用の著しい改善が達成できることはあまり示唆されていない。EP-A 121 210には、6〜30個の炭素原子を有するアルキル基を有するポリシロキサンの使用が推奨され、その結果、鉱油との組合せにおいてCH2基として存在する炭素の割合は30〜65%である。実施例において、特にオクタデシル基を有するポリシロキサンが挙げられている。30個を上回る炭素原子を有するアルキル基を含むシロキサンの、アミノシロキサンとの接触は、US-A 4,584,125によれば、同様に、気泡抑制に対して有利であるとされている。EP-A 578 424では、40〜100%のシロキサン構成単位で、9〜35個の炭素原子を含有する炭化水素基を有するシロキサンである、消泡剤が請求されており、その際、70質量%を上回る炭素は、この長鎖アルキル基に依存する。
【0005】
公知消泡剤配合物は、しかしながら著しく起泡する界面活性剤を多く含む系では常には十分に長時間持続する作用を有していないか、または達成された分枝化度または架橋度による高い粘度によって取扱が困難である。
【0006】
本発明の対象は、(A)少なくとも1種のオルガノ珪素化合物、この場合、これは、式(I)
【化1】

[式中、Rは同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子、一価の、場合によっては置換されたSiC−結合脂肪族炭化水素基を意味し、
は同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
aは0、1、2または3であり、
bは0、1、2または3であるが、
但し、a+bの合計は≦3であり、オルガノ珪素化合物中で、すべての基R中の炭素原子の数は平均して3〜6であり、かつオルガノ珪素化合物中のすべての式(I)の単位の少なくとも50%において、a+bの合計が2である]の単位から成り、ならびに、
(B)少なくとも1種の添加剤、この場合、これは、
(B1)充填剤粒子、および/または
(B2)式(II)
【化2】

[式中、Rは同じまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合により置換されたSiC−結合炭化水素基を意味し、
は同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
cは0、1、2または3であり、かつ、
dは0、1、2または3であり、
但し、c+dの合計は≦3であり、かつオルガノポリシロキサン樹脂中式(II)のすべての単位の50%未満において、c+dの合計は2である]のオルガノポリシロキサン樹脂、および場合によっては、
(C)式(III)
【化3】

[式中、Rは同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合により置換されたSiC−結合炭化水素基を意味し、
は同じかまたは異なっていてもよく、かつ水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
eは0、1、2または3であり、かつ、
fは0、1、2または3であり、
但し、e+fの合計は≦3であり、オルガノ珪素化合物中で、すべての脂肪族基R中の炭素原子の平均の数が3よりも少ないかまたは6よりも大きく、かつ式(III)のすべての単位の少なくとも50%は、オルガノ珪素化合物中で、e+fの合計が2である]のオルガノ珪素化合物を含有する組成物である。
【0007】
基Rの例は、アルキル基、たとえばメチル−、エチル−、n−プロピル−、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル−、シクロペンチル−、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基およびn−オクタデシル基である。
【0008】
置換された基Rの例は、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、シアノエチル−、グリシドオキシプロピル−、ポリアルキレングリコプロピル−、アミノプロピル−、アミノエチルアミノプロピル−、メタクリルオキシプロピル基である。好ましくは、基Rは、1〜18個の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、特に好ましくはメチル−、n−ヘキシル−、n−ヘプチル−、n−オクチルおよびn−デシル基、特にメチル−、n−ヘキシル−、n−ヘプチルおよびn−オクチル基である。
【0009】
本発明により使用された成分(A)は、分子当たりの基Rの全数に対して、好ましくは最大25モル%、特に好ましくは最大10モル%、基当たり8個を上回る炭素原子を有する基Rを含有する。
【0010】
基Rの例は、水素原子およびアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基及びナフチル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トルイル基、キシリル基およびエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α-およびβ−フェニルエチル基である。
【0011】
有利に、基Rは、水素原子または場合により置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利に水素原子または1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基、殊にメチル基またはエチル基である。
【0012】
好ましくは、bは0または1、特に好ましくは0である。
【0013】
成分(A)として使用されるオルガノ珪素化合物は、この場合、式(I)の単位から構成され、好ましくは、分枝または直鎖のオルガノポリシロキサンである。
【0014】
本発明の範囲内で、オルガノポリシロキサン並びにポリマーの、オリゴマーの、例えばダイマーのシロキサンの概念は一緒に包含される。
【0015】
好ましくは、本発明により使用された成分(A)は、本質的に、式(IV)
【化4】

[式中、基Rは前記意味を有し、かつポリシロキサン(IV)の重合度ひいては粘度を定める指数nは、1〜10000、好ましくは2〜1000、特に好ましくは10〜200の範囲であり、
但し、オルガノポリシロキサン中のすべての基R中の炭素原子の数は平均3〜6である]の線状オルガノポリシロキサンである。
【0016】
式(IV)中では挙げられていないにもかかわらず、これらのオルガノポリシロキサンは、すべてのシロキサン単位に対して10モル%までの他のシロキサン単位、たとえば、≡SiO1/2−、−SiO3/2−およびSiO4/2−単位を含有する。
【0017】
好ましくは、それぞれ、式(IV)中の基Rの合計に対して、5モル%未満、特に1モル%未満の基Rを有し、その意味は水素原子である。
【0018】
本発明に関して本質的であるのは、基Rが、式(I)、式(IV)または式(V)の構造におけるこれら基R中での炭素原子の平均の数が3〜6、好ましくは3.5〜5.5、特に好ましくは3.8〜5.0であるものを選択することである。これに関して、基の種類は、たとえば、ブチル基またはペンチル基であってもよいか、あるいは、2またはそれ以上の異なる基の混合物、たとえばメチル基およびオクチル基またはメチル基、ヘキシル基およびオクタデシル基である。
【0019】
特に好ましくは、本発明により使用された成分(A)は、本質的に、式(V)
【化5】

[式中、o+pの合計は、前記に示された意味を有し、かつR’は同一または異なっていてもよく、かつ水素原子または1〜18個の炭素原子を有するn−アルキル基を意味するが、但し、オルガノポリシロキサン中の炭素原子の数は、すべてのSiC−結合基中で平均3〜6である]の線状のオルガノポリシロキサンである。
【0020】
本発明による成分(A)のための例は、
【化6】

であり、その際、Mはメチル基、Hexはn−ヘキシル基、Octはn−オクチル基、Ddはドデシル基およびOdはオクタデシル基を意味し、かつ指数は、SiC−結合基当たりの炭素原子の平均の数を示す。
【0021】
本発明によるオルガノ珪素化合物(A)は、それぞれ25℃で測定して、有利に10〜1000000mPas、特に有利には50〜50000mPas、殊に500〜5000mPasの粘度を有する。
【0022】
オルガノ珪素化合物(A)の製造は、任意の、珪素有機化学においてすでに知られた方法にしたがって実施され、たとえば相当するシランの共加水分解によって実施することができる。特に、式(V)のオルガノポリシロキサンは、好ましくは、相当するSi−結合水素を含有するオルガノ珪素化合物と、オレフィンとのヒドロシリル化反応によって製造する。ヒドロシリル化の際、Si−結合水素(1)を有するオルガノ珪素化合物を、相当する脂肪族不飽和化合物(2)、たとえばエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンと、Si−結合水素の、脂肪族多重結合への付加(ヒドロシリル化)を促進する触媒(3)、たとえば白金金属または白金金属の群からの化合物または錯体の存在下で、公知方法により反応させる。
【0023】
本発明による組成物は、添加剤(B)を、成分(A)100質量部に対して、それぞれ有利に0.1〜30質量部、特に有利に1〜15質量部の量で含有する。
【0024】
本発明により使用される添加剤(B)として、もっぱら成分(B1)、もっぱら成分(B2)または成分(B1)と(B2)とからなる混合物であってもよく、その際、混合物が有利である。
【0025】
成分(B1)は、有利に粉末状の、特に疎水性の充填剤である。
【0026】
有利に、成分(B1)は20〜1000m2/gのBET表面積、10μm未満の粒径及び100μm未満の凝塊径を有する。
【0027】
成分(B1)の例は、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、金属セッケン、石英粉、PTFE−粉末、脂肪酸アミド、例えばエチレンビスステアルアミド及び微細に分散された疎水性ポリウレタンである。
【0028】
有利に、成分(B1)として、20〜1000m2/gのBET表面積、10μm未満の粒径及び100μm未満の凝塊径を有する二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタンまたは酸化アルミニウムが使用される。
【0029】
特に好ましくは、成分(B1)としてケイ酸、特にBET−表面積50〜800m/gを有するもの、である。これらのケイ酸は、熱分解法シリカまたは沈降シリカであってもよい。成分(B1)として前処理されたシリカ、つまり市販の疎水性シリカ、並びに親水性シリカも使用可能である。本発明により使用することができる市販の疎水性シリカの例は、HDK(R) H2000、ヘキサメチルジシラザンで処理された、BET表面積140m2/gの熱分解法シリカ(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、により市販されている)及びポリジメチルシロキサンで処理された、BET表面積90m2/gの沈降シリカ(Degussa AG、ドイツ国、により、「Sipernat(R) D10」の商品名で市販されている)である。
【0030】
成分(B1)として疎水性シリカを使用する場合に、消泡剤組成物の所望な作用に対して有利である場合には親水性シリカをin situで疎水化することができる。シリカの疎水化方法は多くのものが公知である。親水性シリカのin situ疎水化は、この場合、例えば成分(A)中にまたは(A)及び(C)との混合物中に分散されたシリカを、100〜200℃の温度に数時間加熱することにより行うことができる。この場合、前記反応を、触媒、例えばKOH、及び疎水化剤、例えば短鎖OH末端ポリジメチルシロキサン、シランまたはシラザンの添加により促進することができる。この処理は、市販の疎水性シリカを使用する場合でも可能でありかつ効果の改善に寄与することができる。
【0031】
他の方法は、in situ疎水化されたシリカと市販の疎水性シリカとの組合せの使用である。
【0032】
基Rの例は、基Rについて挙げられた基である。
【0033】
有利に、基R3は場合により置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利に1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、殊にメチル基である。
【0034】
基Rの例は、基Rについて挙げられた基である。
【0035】
特に、基Rは水素原子または1から4個の炭素原子を有する炭化水素基、特に水素原子、メチル基またはエチル基である。
【0036】
有利にcについての値は3または0である。
【0037】
本発明により場合により使用される成分(B2)は、有利に式(II)の単位からなる珪素樹脂であり、その際、樹脂中の単位の30%未満、有利に5%未満においてc+dの合計は2である。
【0038】
特に有利に、成分(B2)は、本質的にRSiO1/2(M)−単位及びSiO4/2(Q)−単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、その際、Rは上記の意味であり;この樹脂はMQ樹脂とも言われる。M−単位とQ−単位とのモル比は、好ましくは0.5〜2.0、特に好ましくは0.6〜1.0である。これらの珪素樹脂はさらに10質量%までの遊離ヒドロキシ基またはアルコキシ基を含有することができる。
【0039】
有利に、オルガノポリシロキサン樹脂(B2)は、25℃で、1000mPasより大きな粘度を有するかまたは固体である。この樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定された質量平均分子量(ポリスチレン標準に関して)は、この樹脂は、有利に200〜200000g/mol、特に1000〜20000g/molである。
【0040】
成分(B2)は、市販の生成物または珪素化学において常用の方法、たとえば「Parsonage, J.R.; Kendrick, D.A. (Science of Materials and Polymers Group, University of Greenwich, London, UK SE18 6PF)Spec. Publ.-R.Soc. Chem. 166, 98-106, 1995」、US-A 2,676,182またはEP-A 927 733にしたがって製造することができる。
【0041】
本発明により使用された添加剤(B)が成分(B1)と(B2)とからなる混合物である場合には、前記混合物中の(B1)対(B2)の質量比は、有利に0.01〜50、特に有利に0.1〜7である。
【0042】
基Rの例は、基Rについて挙げられた基である。
【0043】
有利には、基Rは水素原子または場合により置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利には1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基、殊にメチル基である。
【0044】
基Rの例は、基Rについて挙げられた基である。
【0045】
有利に、基Rが水素原子または場合により置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利に水素原子または1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基、殊にメチル基またはエチル基である。
【0046】
eの値は、有利に1、2または3である。
【0047】
fの値は、有利に0または1である。
【0048】
場合により使用されたオルガノポリシロキサン(C)は、25℃で有利に10〜1000000mm2/sの粘度を有する。
【0049】
本発明による場合により使用された成分(C)の例は、原則的にすべてのオルガノ珪素化合物であり、この場合、これらは、成分(A)または成分(B2)とは異なって、たとえばメチルポリシロキサン、たとえば粘度100〜1000000mPasを、25℃で有するポリジメチルシロキサンである。これらのポリジメチルシロキサンは、たとえば、RSiO3/2−またはSiO4/2−単位を、すべての単位の最大5%まで導入することによって分枝していてもよい。この分枝されたまたは架橋されたシロキサンは、次いで粘弾性特性を有する。
【0050】
有利に、場合により使用された成分(C)は、式(III)のほぼ線状のオルガノポリシロキサンを含有する単位、特に有利にシラノール基および/またはアルコキシ基および/またはトリメチルシロキシ基を末端に有することができるポリジメチルシロキサンであるか、あるいは、アルコキシ基を有するシロキサンまたはポリエーテル基を有するシロキサンである。この種のポリエーテル変性されたポリシロキサンは公知であり、例えばEP-A 1076073に記載されている。
【0051】
成分(C)として使用することができる化合物の他の好ましい群は、一般式(III)の構成単位を有するオルガノケイ素化合物であり、その際、Rはメチル基を表し、かつRは少なくとも6個の炭素原子を有する線状及び/または分枝状の炭化水素基を表し、fは0.005〜0.5の平均値を表し、合計(e+f)は1.9〜2.1の平均値を表す。この種の生成物は、例えば25℃で、50〜50000mPasの粘度のシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンと、6個より多い炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、4−エチル−ヘキサデカノールまたはエイコサノールとのアルカリ接触縮合により得られる。
【0052】
本発明による組成物が、成分(C)を含有する場合には、これは成分(A)100質量部に対してそれぞれ、有利に1〜900質量部、特に有利に2〜100質量部、殊に2〜10質量部の量である。
【0053】
成分(C)は、市販の生成物であるかもしくは珪素化学において通常の方法により製造することができる。
【0054】
成分(A)、(B)及び場合による(C)の他に、本発明による組成物は、今まで消泡剤配合物において使用されているような他の全ての物質、例えば水不溶性有機化合物(D)を含有することができる。
【0055】
「水不溶性」の概念は、本発明の範囲内で、水中で25℃で101,325hPaの圧力で最大で3質量%の溶解性であると解釈される。
【0056】
場合により使用される成分(D)は、有利に周囲雰囲気の圧力、つまり900〜1100hPaで100℃より高い沸点を有する水不溶性有機化合物であり、特に鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子量の合成カルボン酸のエステル、脂肪酸エステル、例えばオクチルステアラート、ドデシルパルミタート、脂肪アルコール、低分子量のアルコールのエーテル、フタラート、リン酸のエステル及びワックスから選択されるものである。
【0057】
本発明による組成物は、水不溶性有機化合物(D)を、成分(A)、(B)及び場合により(C)の全質量の100質量部に対してそれぞれ、有利に0〜1000質量部、特に有利に0〜100質量部の量で含有する。
【0058】
本発明による方法に使用される成分は、それぞれ、前記成分の1種類でも、それぞれの成分の少なくとも2種の種類の混合物であってもよい。
【0059】
好ましくは、本発明による組成物は、
(A)式(IV)の少なくとも1種のオルガノ珪素化合物、
(B)(B1)充填剤粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂から選択された、少なくとも1種の添加剤、場合によっては、
(C)式(III)の単位を含有するオルガノ珪素化合物および
場合によっては、
(D)水不溶性の有機化合物、
を含有する。
【0060】
特に好ましくは、本発明による組成物は、
(A)式(IV)のオルガノ珪素化合物、100質量部
(B)(B1)充填剤粒子および/または
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂、
から選択された添加剤、0.1〜30質量部、
(C)式(III)の単位を含有するオルガノ珪素化合物、および、
場合によっては、
(D)水不溶性の有機化合物、
から構成される。
【0061】
本発明による組成物は、有利には粘性の、透明〜不透明の、無色〜褐色を帯びた液体である。
【0062】
本発明による組成物は、それぞれ25℃で、有利には100〜2000000mPas、特に有利には500〜50000mPas、殊に1000〜10000mPasの粘度を有する。
【0063】
本発明による組成物は、溶液、分散液または粉末であってもよい。
【0064】
本発明による組成物の製造は、公知の方法により、例えば、高い剪断力を適用しながらコロイドミル、ディソルバーまたはロータ−ステータ−ホモジナイザー中で、例えば全成分の混合により行うことができる。この場合、例えば高分散充填物中に含有している空気の混入を避けるために混合工程を減圧で行うことができる。引き続き、必要な場合に充填剤のその場での(in situ)疎水化を行うことができる。
【0065】
本発明による組成物がエマルションである場合には、シリコーンエマルションの製造のために当業者に公知の全ての乳化剤、例えばアニオン性、カチオン性または非イオン性乳化剤を使用することができる。乳化剤混合物を使用するのが有利であり、その際、少なくとも1種の非イオン性乳化剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化されたソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化された脂肪酸、エトキシル化された10〜20個の炭素原子を有する線状または分枝状のアルコール及び/またはグリセリンエステルを含有しているのが好ましい。さらに、増粘剤として公知の化合物、例えばポリアクリル酸、ポリアクリラート、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、天然ゴム、キサンタンゴム及びポリウレタン並びに保存剤、及び他の通常の当業者に公知の添加剤を添加することもできる。
【0066】
本発明によるエマルションの連続的相が好ましくは水である。しかしながら、本発明による組成物を、連続層が成分(A)、(B)及び場合により(C)により形成されたかまたは成分(D)により形成されたエマルションの形で製造することもできる。これは複合エマルションであってもよい。
【0067】
シリコーンエマルションの製造方法は公知である。通常では、この製造は全ての成分を簡単な撹拌によりかつ場合により引き続く噴射式分散機、ロータ−ステータ−ホモジナイザー、コロイドミルまたは高圧ホモジナイザーを用いて均質化することにより行われる。
【0068】
本発明による組成物がエマルションである場合には、成分(A)〜(D)5〜50質量%、乳化剤及び増粘剤1〜20質量%及び水30〜94質量%を有する水中油型エマルションが有利である。
【0069】
本発明による組成物は、自由に流動する粉末として調製することもできる。これは、例えば粉末洗剤中での適用の際に有利である。成分(A)、(B)、場合により(C)及び場合により(D)の混合物から出発するこの粉末の製造は、当業者に公知の方法により、例えば噴霧乾燥または構造化造粒で、当業者に公知の添加剤を使用して行われる。
【0070】
この本発明による粉末は、有利には成分(A)〜(D)2〜20質量%を含有する。担体として、例えばゼオライト、硫酸ナトリウム、セルロース誘導体、尿素及び糖が使用される。本発明による粉末の他の成分は、例えば洗剤であるか、または例えばEP-A 887097及びEP-A 1060778に記載されているような有機ポリマーである。
【0071】
本発明の他の対象は、本発明による組成物を含有する洗剤及び洗浄剤である。
【0072】
本発明による組成物は、有機ケイ素化合物系の組成物が今まで使用されていた全ての領域で使用することができる。特に、本発明による組成物は消泡剤として使用することができる。
【0073】
本発明の他の対象は、本発明による組成物を媒体に添加することを特徴とする、媒体の消泡及び/または抑泡する方法である。
【0074】
驚くべきことに、本発明による組成物の効果は、成分(A)がSiC−結合脂肪族基中の炭素原子の定められた平均の数を含有するが、個々のSiC−結合基の大きさに本質的には影響しない場合に生じるか、あるいは、特に大きいアルキル基が有利である。
【0075】
本発明による組成物を起泡する媒体に添加することは、直接行うか、適当な溶剤、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトンまたはt−ブタノール中に溶解するか、粉末としてまたはエマルションとして行うことができる。所望の消泡作用を達成するために必要な量は可変であり、例えば媒体の種類、温度及び生じる乱れに依存する。
【0076】
有利に、本発明による組成物は、0.1質量ppm〜1質量%の量で、特に1〜100質量ppmの量で起泡する媒体に添加される。
【0077】
本発明による方法は、有利には−10〜+150℃の温度で、特に有利には5〜100℃で、周囲雰囲気の圧力で、つまり約900〜1100hPaで実施される。本発明による方法は、より高い圧力またはより低い圧力、例えば約3000〜4000hPaまたは1〜10hPaで実施することもできる。
【0078】
本発明による消泡剤は、妨げとなる気泡を抑制できる程度に使用することができる。これは、例えば非水性媒体、例えばタール蒸留または石油加工の場合にも、水性媒体中でも当てはまる。特に、本発明による消泡剤組成物は、水性界面活性剤系中の起泡を撲滅するために、洗剤および洗浄剤中での使用のために、洗浄装置中の起泡の撲滅のために、繊維染色工程において、天然ガス洗浄において、ポリマー分散液中で、かつ電池製造において生じる水性媒体の消泡に適している。本発明による組成物は、前記組成物が消泡剤として容易に取扱可能であり、かつ多様な媒体中でわずかな添加量で高くかつ長く維持される作用により優れているという利点を有する。このことは経済的にも環境的にも極めて有利である。
【0079】
本発明による組成物は、媒体中での使用に有利であり、たとえばラッカーまたは接着剤として使用することができる。
【0080】
本発明による方法は、実施が容易でかつ極めて経済的であるという利点を有する。
【0081】
以下の例において、部および百分率のすべての用語は、別記しない限りにおいて、質量に基づく。他に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力で、従って約1000hPaで、かつ室温で、従って約20℃、もしくは反応物を室温で付加的加熱または冷却をせずに合わせる場合に生じる温度で実施される。実施例において挙げた粘度の記載の全ては、25℃の温度に対するものである。
【0082】
以下において、略記Meはメチル基であり、Octはn−オクチル基、Ddはドデシル基、Hdはヘキサデシル基およびHexはn−ヘキシル基を使用する。
【0083】
消泡作用の試験
1.消泡特性値(Antischaumkennzahl) AKZ
DE-A 25 51 260に相応する装置中で、ナトリウムアルキルスルホネートの4質量%水性溶剤200ml(Mersolat)、この場合、これは、10mgの試験すべき消泡剤(10倍量のメチル−エチル−ケトンに溶解したもの)を含有するものを、1分間に亘って、2個の反転撹拌機で起泡した。引き続き泡の崩壊を記録した。時間に対する泡の高さのプロットの面から消泡特性値を計算した。この数が低ければそれだけ、消泡剤はより有効である。
【0084】
2.撹拌試験
試験A)消泡剤不含の洗剤粉末1質量%を含有する溶液300mlを、5分間に亘って、撹拌機で、1000rpmの速度で起泡させた。引き続き、メチルエチルケトン中の消泡剤の10質量%溶液100μlを添加し、撹拌をさらに25分間続けた。全時間に亘り泡の高さを記録した。
【0085】
この作用の尺度として、消泡剤なしでの2〜3分後の泡の高さに対する平均的な泡の高さを計算した。この値が低ければそれだけ、消泡剤はより有効である。
【0086】
試験B)試験Aと同様に行ったが、しかしながら洗剤粉末の代わりに、非イオン性架橋剤(SASOL GmbH、ドイツ、ハンブルグ、商品名「Marlipal NE 40」として市販されているもの)を使用した。
【0087】
3.粉末洗剤を用いた洗濯機中での試験
消泡剤不含の洗剤粉末100gに対して、消泡剤0.1gを添加した。その後に、洗剤粉末を、きれいな綿の洗濯物3500gと一緒に、ドラム式洗濯機(Miele Novotronik W918タイプ、ファジー理論なし)に入れた。引き続き、この洗濯プログラムを開始し、55分間の期間にわたる泡の高さを記録した。全期間に亘り測定した泡の評点(0は測定可能な起泡なし〜6は過剰な起泡)から、平均的な泡の評点を決定した。これが低ければそれだけ、消泡剤は全期間に亘り有効である。
【0088】
4.液体洗剤を用いた洗濯機中での試験
消泡剤不含の液体洗剤180gに対して、0.03gの消泡剤を添加した。その後に、洗剤を、きれいな綿の洗濯物3500gと一緒に、ドラム式洗濯機(Miele Novotronik W918タイプ、ファジー理論なし)に入れた。引き続き、この洗濯プログラム(40℃で)を開始し、かつ、55分間の期間に亘り泡の高さを記録した。全期間に亘り測定した泡の評点(0は測定可能な起泡なし〜6は過剰な起泡)から、平均的な泡の評点を決定した。これが低ければそれだけ、消泡剤は全体の時間に亘り有効である。
【0089】
オルガノ珪素化合物A1〜A5およびVA1およびVA3の製造
A1:62gの式
【化7】

[式中、個々の単位は、分子中で統計的に分配する]のポリシロキサンを、0.5gの白金触媒(白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−錯体(Karstedt)、その際、1質量%の白金含量を有する)の存在下で、100gのオクテンと一緒に、60〜80℃の温度で反応させた。反応混合物の揮発性成分を分離した後に、183gの透明な油が、572mPasの粘度で得られた。29Si−NMR分析によれば、これらの油は以下の構造を有していた:
【化8】

A2:65gの式
【化9】

のポリシロキサンを、0.5gの白金触媒(白金−1,3−ジビニル−1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt)、その際、1質量%の白金含量を有する)の存在下で、101gのn−ヘキセンと一緒に、60〜80℃の温度で反応させた。反応混合物の揮発性成分を濾過および分離した後に、149gの透明な油が、572mPasの粘度で得られた。29Si−NMR分析によれば、これらの油は以下の構造を有していた:
【化10】

【0090】
同様の方法により、以下のオルガノ珪素化合物を製造した:
【化11】

【0091】
例1〜5
第3表中で記載されたオルガノ珪素化合物90部、5部のBET表面積400m/gを有する熱分解法シリカ、この場合、これは、WackerChemie GmbHから、HDK(R) T40の名称で市販されているもの、5部の室温で固体の珪素樹脂であり、この場合、これは(29Si−NMRおよびIR−分析によれば)、40モル%の(CHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCSiO3/2単位および2モル%のHOSiO3/2単位から構成され、その際、質量平均分子量7900g/モル(ポリスチレン標準に対する)を有し、この場合、これは、ディソルバーを用いて混合し、かつ1500ppmのKOH(メタノール中20%溶液として)の存在下で、4時間に亘って150℃の温度で加熱し、かつ冷却後に、再度ディソルバーを用いてホモジナイズした。すべての場合において、第1表で示した粘度を有する消泡剤配合物が得られた。
【0092】
こうして得られた組成物を、消泡特性値AKZ、撹拌試験及び洗濯機中での試験に関して試験した。この試験の結果を、表1にまとめた。
【0093】
例6
90部の前記に示されたオルガノ珪素化合物A3および10部の室温で固体の珪素樹脂、この場合、これは(29Si−NMRおよびIR−分析によれば)、40モル%の(CHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCOSiO3/2単位および2モル%のHOSiO3/2単位から構成され、その際、7900g/モルの質量平均分子量を有するもの(ポリスチレン標準に対して)を、ディソルバーを用いて混合し、かつ1500ppmのKOHの存在下で(メタノール中20%溶液として)、4時間に亘って、150℃で加熱し、かつ冷却後に、再度、ディソルバーを用いてホモジナイズした。第1表に示された粘度を有する消泡剤配合物が得られた。
【0094】
こうして得られた組成物を、消泡特性値AKZ、撹拌試験及び洗濯機中での試験に関して試験した。この試験の結果を表1にまとめた。
【0095】
比較例1(V1)
消泡剤ベースを、オクチルドデカノールとシラノール基末端ポリジメチルシロキサン、その際、粘度40mPasを有する、から製造される、粘度180mPasを有する縮合生成物2.5部と、40モル%のトリメチルシロキシ基および60モル%のSiO4/2−基から成る、珪素樹脂の50%トルエン系溶剤5部とを混合し、引き続いて、揮発性成分を除去することにより製造した。
【0096】
25℃で粘度1000mPasを有するトリメチルシロキシ基末端ポリジメチルシロキサン(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「Siliconoel AK 5000」で市販されている)89.3質量部、上記の消泡剤ベース5質量部、BET表面積300m2/gを有する親水性熱分解法シリカ(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「HDK(R) T30」で市販されている)5部およびメタノール性KOH 0.7質量部からなる混合物を150℃で、2時間加熱した。粘度25600mPasを有する消泡剤が得られた。
【0097】
こうして得られた組成物を、消泡特性値AKZ、撹拌試験及び洗濯機中での試験に関して試験した。この試験の結果を表1にまとめた。
【0098】
比較例2(V2)
分枝のポリオルガノシロキサンを、25℃で粘度1000mPasを有するトリメチルシロキシ基末端ポリジメチルシロキサン(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「Siliconoel AK 1000」で市販されている)378g、25℃で粘度10000mPasを有するシラノール基末端ポリジメチルシロキサン(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「Polymer FD 10」で市販されている)180gおよびエチルシリケート(Wacker-Chemie GmbH社、ドイツ、商品名「SILIKAT TES 40」で市販されている)18gを、KOH0.3gの存在下で、140℃に加熱して反応させることにより製造した。引き続き、BET表面積200m2/gを有する親水性熱分解法シリカ(Wacker-Chemie GmbH社、ドイツ国在、商品名「HDK(R) N20」で市販されている)30gおよび粘度40mPasのシラノール基末端ポリジメチルシロキサン30gを添加し、この混合物を、さらに4時間に亘って180℃に加熱し、かつ、50hPaで、揮発性成分を除去した。粘度68640mPasを有する粘性の無色の消泡剤配合物が得られた。
【0099】
こうして得られた組成物を、消泡特性値AKZ、撹拌試験及び洗濯機中での試験に関して試験した。この試験の結果を表1にまとめた。
【0100】
比較例3〜5(V3〜V5)
例1〜5中に記載された実施を、繰り返したが、しかしながら、オルガノ珪素化合物Aの代わりに、オルガノ珪素化合物VA1〜VA3を使用した。
【0101】
こうして得られた組成物を、消泡特性値AKZ、撹拌試験及び洗濯機中での試験に関して試験した。この試験の結果を表1にまとめた。
【0102】
【表1】

【0103】
洗浄装置試験:粉末洗剤を用いて1)、液体洗剤を用いて2)
比較例V1〜V5の場合に、洗濯機中の試験の過程は、洗浄液の排水口に対しておこなった。例1〜6による消泡剤は、長時間の作用において撹拌試験により、かつ、洗濯機中で得られた結果を示した。
【0104】
例7
86部のMeSi−O−[SiMeOct−O]60−SiMe(この場合、珪素に結合した基は、平均3.6の炭素原子を有する)、この場合、粘度1108mPasを有するもの、4部の熱分解法シリカ、この場合、これは、BET表面200m/g(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「HDK(R) N20」として市販されている)を有するもの、および、4部の室温で固体の珪素樹脂、この場合、これは、(29Si−NMRおよびIR−分析によれば)、40モル%の(CHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCSiO3/2単位および2モル%のHOSiO3/2単位から構成されるものであり、その際、7900g/モルの質量平均分子量を有するもの、および、6部のポリジメチルシロキサン、この場合、これは、式CH(CH19−O−のα,ω−末端アルコキシ基を有し、かつ、粘度100mPasを有する、6部のポリジメチルシロキサンを、1500ppmのKOHの存在下で、4時間に亘って、150℃の温度で加熱した。
【0105】
粘度8200mPasを有する、100部の消泡剤配合物が得られた。これを60℃で、ソルビタンモノステアラート(Uniqema 社、商品名「Span 60」で市販されている)30部と、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート(Uniqema 社、商品名「Tween 60」で市販されている)20部を混合し、水500部と一緒に段階的に希釈した。この混合物に、ポリアクリル酸(BF Goodrich社、商品名「Carbopol 934」で市販されている)2部を添加し、混合し、さらに水345部と、イソチアゾリノン系の保存剤(Thor-Chemie Speyer社、ドイツ、商品名「Acticide MV」で市販されている)3部とを添加した。引き続き、このエマルションを100barで、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、10%のNaOHで6〜7のpH値に調整した。
【0106】
この得られた消泡剤エマルションは、水性ポリマー分散液の消泡のために特に適していた。これらのポリマー分散液は、分散着色剤の使用下で、にじみを有しないものである。
【0107】
例8
84部のMeSi−O−[MeOctSi−O−]47[SiMe−O]13−SiMe(この場合、珪素に結合した基は、平均3.6の炭素原子を含有し、この場合、粘度は572mPasであった)、その際、個々の単位は分子中で統計的に分布していてもよい、3部の熱分解法シリカ、この場合、これは、300m/gのBET表面積を有するもの(Wacker Chemie社、商品名「HDK(R)T30」で市販されている)および5部の室温で固体の珪素樹脂、この場合、これは、(29Si−NMRおよびIR−分析によれば)、40モル%の(CHSiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のCSiO3/2単位および2モル%のHOSiO3/2単位から構成されるものであり、その際、7900g/モルの質量平均分子量を有するもの、を、1500ppmのKOHの存在下で、4時間に亘って、150℃の温度で加熱した。引き続いて、ポリジメチルシロキサンで予め処理されたケイ酸5部、この場合、これは、90m/gのBET表面積を有し、かつ、5μmの平均粒径を有するもの(Degussa AG、ドイツ、商品名「SIPERNAT(R) DlO」で市販されているもの)を添加し、かつディソルバーを用いて混合物をホモジナイズした。得られた消泡剤は、4080mPasの粘度を有していた。
【0108】
アクリル酸、メタクリル酸ステアラート及びペンタエリトリットジアリルエーテル(100:2:0.3のモル比)からなる高分子量のコポリマーの2%の溶液(これは、中和される場合には、17500mm2/sの粘度を有する)35mlをビーカーガラス中に装入し、羽根撹拌機を用いて強力に撹拌しながら上記の消泡剤配合物10gをゆっくりと添加することで、10分間の撹拌後にポリマー溶液中の消泡剤配合物エマルションが生じた。撹拌を続けながら、このエマルションに88.5gの軽質ソーダを添加し、引き続き水を混合を続けながら真空中で除去した。その後に、0.5gの親水性ケイ酸、この場合、BET表面積200m/gを有するもの(Wacker-Chemie GmbH、ドイツ、商品名「HDK(R)N20」)、を一緒に混合した。
【0109】
流動性の白色粉末が得られた。これは、粉末洗剤または粉末農薬濃縮物中で抑泡のために効果的に使用された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(I)
【化1】

[式中、Rは同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子、一価の、場合によっては置換されたSiC−結合脂肪族炭化水素基を意味し、
は同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
aは0、1、2または3であり、
bは0、1、2または3であるが、
但し、a+bの合計は≦3であり、オルガノ珪素化合物中で、すべての基R中の炭素原子の数は平均して3〜6であり、かつオルガノ珪素化合物中のすべての式(I)の単位の少なくとも50%において、a+bの合計が2である]の単位から成る、少なくとも1種のオルガノ珪素化合物、ならびに、
(B)少なくとも1種の添加剤、この場合、これは、
(B1)充填剤粒子および/または
(B2)式(II)
【化2】

[式中、Rは同じまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換されたSiC−結合炭化水素基を意味し、
は同じまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
cは0、1、2または3であり、かつ、
dは0、1、2または3であるが、
但し、c+dの合計は≦3であり、かつ、オルガノポリシロキサン樹脂中のすべての式(II)の単位の50%未満において、c+dの合計が2である]の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂から選択されており、
(C)式(III)
【化3】

[式中、Rは同じかまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子、一価の、場合によっては置換された、SiC−結合炭化水素基を意味し、
は同じまたは異なっていてもよく、かつ、水素原子または一価の、場合によっては置換された炭化水素基を意味し、
eは0、1、2または3であり、かつ、
fは0、1、2または3であるが、
但し、e+fの合計は≦3であり、オルガノ珪素化合物中で、すべての脂肪族基R中の炭素原子の平均の数は3より小さいかまたは6より大きく、かつ、オルガノ珪素化合物中のすべての式(III)の単位の少なくとも50%において、e+fの合計が2である]の単位を有するオルガノ珪素化合物、を含有する、組成物。
【請求項2】
成分(A)が、式(IV)
【化4】

[式中、基Rは前記意味を有し、かつポリシロキサン(IV)の重合度ひいては粘度を定める指数nは、1〜10000、好ましくは2〜1000、特に好ましくは10〜200の範囲であり、
但し、オルガノポリシロキサン中のすべての基R中の炭素原子の数は平均3〜6である]の本質的に線状のオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)が、式(V)
【化5】

[式中、o+pの合計は、nに関して前記に示された意味を有し、かつ、
R’は同じかまたは異なっていてもよく、かつ水素原子または1〜18個の炭素原子を有するn−アルキル基を意味するが、
但し、オルガノポリシロキサン中で、すべてのSiC−結合基中の炭素原子の数は平均3〜6である]の本質的に線状のオルガノポリシロキサンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
添加剤(B)が、100質量部の成分(A)に対して、0.1〜30質量部の量で含有されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
添加剤(B)が、成分(B1)および(B2)からなる混合物である、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
(A)式(IV)の少なくとも1種のオルガノ珪素化合物、
(B)少なくとも1種の添加剤、この場合、これは、
(B1)充填剤粒子、および/または、
(B2)式(II)の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂、
から選択されており、場合によっては、
(C)式(III)の単位を含有するオルガノ珪素化合物、および場合によっては、
(D)水不溶性有機化合物、
を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物を含有する、洗剤及び洗浄化剤。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物を、媒体と一緒に混合することを特徴とする、媒体の消泡及び/または抑泡方法。
【請求項9】
組成物を、起泡する媒体に0.1質量ppm〜1質量%の量で添加することを特徴とする、請求項8記載の方法。

【公表番号】特表2008−517748(P2008−517748A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538294(P2007−538294)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011037
【国際公開番号】WO2006/045445
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】