説明

消泡剤組成物

【課題】各種コーティング液に対して高い消泡性能と、分散性と、ペインタブル性とを併せ持つ消泡剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)


[式中、R1は独立に水酸基又は炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2は独立に下記一般式(2)


(式中、R3は独立に炭素原子数1〜21の1価炭化水素基である。)で表される有機酸エステル変性基、上記R1、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基]で表される有機酸エステル変性オルガノポリシロキサン(B)微粉末シリカ:0.1〜30質量部(但し、上記(A)成分と上記(B)成分の合計量は100質量部である。)からなる消泡剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コーティング液(塗料、インキ、ラテックスなど)に有効である消泡剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種コーティング液(塗料、インキ、ラテックスなど)には、顔料などの分散のため又は塗膜欠陥(クレーター、ハジキ及びピンホールなど)を改善するために多量の界面活性剤が添加されており、塗工時に泡が発生するために消泡剤が配合されることが多い。
【0003】
しかし、従来の疎水性ポリジメチルシロキサンをベースに用いた消泡剤をコーティング剤に配合すると、ハジキ現象による塗膜欠陥(ピンホール、フィッシュアイ及びオイルスポットなど)が発生することが多く、その解決が求められていた。
【0004】
その解決のために、長鎖アルキル基又はアラルキル基を含有するポリシロキサンとポリオキシアルキレン鎖含有ポリシロキサンとを組み合わせた消泡剤(特開昭56−129013号公報:特許文献1)、1分子中にポリオキシアルキレン基と長鎖アルキル基又はアラルキル基を共に有するポリシロキサンからなる消泡剤(特開昭57−180407号公報:特許文献2)、シルカルベン単位とシロキサン単位からなるポリシルカルベンシロキサンを主成分とする消泡剤(特開平8−108007号公報:特許文献3)、アルキレンオキシド化合物とアルコール性水酸基を有するシリコーンとイソシアナート化合物の反応物からなる消泡剤(特公平7−90126号公報:特許文献4)、シロキサン−グリコール共重合体とポリプロピレングリコールからなる消泡剤(特公昭54−9144号公報:特許文献5)等が提案されているが、消泡性と分散性、ペインタブル性のバランスのとれた消泡剤組成物を得ることは難しく、更なる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−129013号公報
【特許文献2】特開昭57−180407号公報
【特許文献3】特開平8−108007号公報
【特許文献4】特公平7−90126号公報
【特許文献5】特公昭54−9144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、各種コーティング液に対して高い消泡性能と、分散性と、ペインタブル性とを併せ持つ消泡剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)一般式(1)で表される有機酸エステル変性オルガノポリシロキサン70〜99.9質量%と(B)微粉末シリカ0.1〜30質量%からなる消泡剤組成物が、各種コーティング液に対して高い消泡性能と、分散性と、ペインタブル性とを併せ持つ消泡剤組成物となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記に示す消泡剤組成物を提供する。
〔請求項1〕
(A)下記一般式(1)
【化1】

[式中、R1は独立に水酸基又は炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2は独立に下記一般式(2)
【化2】

(式中、R3は独立に炭素原子数1〜21の1価炭化水素基である。)
で表される有機酸エステル変性基、上記R1、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、但し、前記一般式(1)の分子中に含まれるR2のうち、少なくとも1つは前記一般式(2)で表される有機酸エステル変性基である。mは3〜100の整数、nは0〜5の整数である。]
で表される有機酸エステル変性オルガノポリシロキサン: 70〜99.9質量部、
(B)微粉末シリカ: 0.1〜30質量部
(但し、上記(A)成分と上記(B)成分の合計量は100質量部である。)
からなる消泡剤組成物。
〔請求項2〕
ウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、フレキソインキ、グラビアインキ又はラテックス用である請求項1記載の消泡剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消泡剤組成物は、各種コーティング液に対して高い消泡性能と、分散性と、ペインタブル性とを併せ持つため、例えばウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料、フレキソインキ、グラビアインキ、各種ラテックス等に配合する消泡剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳しく説明する。
[(A)成分]
本発明における(A)成分の有機酸エステル変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される。
【化3】

【0011】
上記式中、R1は独立に水酸基又は炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12の1価炭化水素基であり、R1としては、例えば、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中でも消泡性能の点、及び入手が容易であること等からメチル基が好ましく、全R1の85モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0012】
上記R2は、独立に下記一般式(2)
【化4】

で表される有機酸エステル変性基、上記R1、水素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基から選ばれる有機基である。
炭素原子数1〜4のアルコキシ基として、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、1−メチルプロポキシ基等が挙げられる。
【0013】
上記式(2)中、R3は独立に炭素原子数1〜21、好ましくは5〜21の1価炭化水素基であり、R3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−ブチルヘプチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、1−ヘキシルノニル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、1−ヘプチルデシル基、1−(1,3,3−トリメチルブチル)−4,6,6−トリメチルヘプチル基、オクタデシル基、1−メチルヘプタデシル基、ノナデシル基、エイコサニル基、ヘンエイコサニル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1−シクロヘキシルメチル基、2−シクロペンチルエチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、4−ウンデシレン基、8−ペンタデシレン基、8−ヘプタデシレン基、10−ノナデシレン基、12−ヘンエイコサニレン基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中でも消泡性能、及びコーティング剤への分散性、ペインタブル性、及び原料有機酸の入手の容易さの観点から、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、ウンデシル基、ペンタデシル基、1−ヘキシルノニル基、ヘプタデシル基、1−ヘプチルデシル基、8−ヘプタデシレン基であることが好ましい。
【0014】
ここで、前記一般式(1)の分子中に含まれるR2のうち、少なくとも1個は前記一般式(2)で表される有機酸エステル変性基である。
【0015】
mは3〜100の整数であり、mが3未満であると、(A)成分の分子量が小さくなりすぎるため消泡性能が低下することがあり、mが100を超えると、(A)成分の分子量が大きくなりすぎるためコーティング剤への分散性及びペインタブル性が低下することがある。また、nは0〜5の整数であり、nが5を超えると、(A)成分の極性が高くなりすぎるため消泡性能が低下することがある。
【0016】
(A)成分の具体例としては、次のものが挙げられる。
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
上記(A)成分の有機酸エステル変性オルガノポリシロキサンは、オストワルド粘度計により測定される25℃における動粘度が10〜10,000mm2/s、特に50〜5,000mm2/sの範囲であることが好ましい。
(A)成分の有機酸エステル変性オルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0019】
上記(A)成分の有機酸エステル変性オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、有機酸化合物とを、白金又はロジウム等の白金族金属系触媒、若しくは各種アルキルアミンの脱水素反応触媒存在下で、脱水素反応させることによって得ることができる。
【0020】
例えば、下記の反応例を挙げることができる。
【化7】

【0021】
上記の脱水素反応に用いられる白金族金属系触媒としては、白金触媒が好ましく、例えば塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体等が挙げられる。また、アルキルアミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ジエチルヒドロキシアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジプロピルヒドロキシアミン、トリプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、ジブチルヒドロキシアミン、トリブチルアミン、モノヘプチルアミン、モノヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘキシルヒドロキシアミン、トリヘキシルアミン、モノオクチルアミン、ジオクチルアミン、ジオクチルヒドロキシアミン、トリオクチルアミン、モノラウリルアミン、ジラウリルアミン、ジラウリルヒドロキシアミン、トリラウリルアミン、モノステアリルアミン、ジステアリルアミン、ジステアリルヒドロキシアミン、モノオレイルアミン、ジオレイルアミン、ジオレイルヒドロキシアミン、トリオレイルアミン等が挙げられる。
【0022】
なお、脱水素反応触媒の使用量は有効量であればよく、特に制限されないが、白金、ロジウム等の白金族金属量として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと有機酸化合物の合計量に対し、質量基準で、通常50ppm以下であることが好ましく、特に20ppm以下であることが好ましい。また、アルキルアミンの使用量も同様に特に制限されないが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと有機酸化合物の合計量に対し、質量基準で、通常2質量%以下であることが好ましく、特に1質量%以下であることが好ましい。
【0023】
また、上記の脱水素反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。有機溶剤としては、活性水素を持たないものが望ましく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。脱水素反応の条件は特に制限されるものではないが、還流下で1〜10時間程度反応させることが望ましい。
【0024】
上記の脱水素反応の他に、水酸基や低級アルコキシ基を有するオルガノヒドロキシポリシロキサンと有機酸化合物とを、酸触媒又はアルカリ触媒の存在下で、遊離する水分又は低級アルコールを除去しながら加熱混合し、エステル化反応させることによっても(A)成分を得ることができる。
【0025】
例えば、下記の反応例を挙げることができる。
【化8】

【0026】
このときに用いられる酸触媒又はアルカリ触媒は、通常のエステル化反応に使用するものでよく、従来公知の方法、即ち、希硫酸や希塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を使用し、ディーンスターク脱水装置等を使用して生成する水分又は低級アルコールを系外に除去しながら反応させればよい。
【0027】
[(B)成分]
本発明における(B)成分の微粉末シリカは公知のものでよく、親水性シリカ、疎水性シリカのいずれでもよい。親水性シリカとしては、例えば、沈降シリカ等の湿式シリカ;シリカキセロゲル、ヒュームドシリカ等の乾式シリカが挙げられる。その具体例としては、アエロジル(登録商標)[商品名、日本アエロジル(株)製]、ニップシール[商品名、東ソー・シリカ(株)製]、サイリシア(登録商標)[商品名、富士シリシア化学(株)製]などが挙げられる。
【0028】
前記疎水性シリカとしては、例えば、親水性シリカの表面を有機シリル基で疎水化処理して得られる微粉末シリカが挙げられる。該疎水化処理は従来公知の方法によって、即ち、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノジシラザン、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で親水性シリカを処理することによって行うことができる。
【0029】
また、(B)成分の微粉末シリカは、BET法による比表面積が50m2/g以上700m2/g以下、特に100m2/g以上500m2/g以下のものが好ましい。比表面積が50m2/g未満では好ましい消泡性能が得られない場合があり、700m2/gより大きいと消泡剤組成物の粘度が高くなりすぎる場合がある。また、微粉末シリカは、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明組成物は、上記(A)成分70〜99.9質量部、好ましくは80〜99質量部と、上記(B)成分0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部とを含有するものである(但し、上記(A)成分と上記(B)成分の合計量は100質量部である。)。
上記(A)成分の量が70質量部未満で、上記(B)成分の量が30質量部を超えると、得られる組成物の粘度が増加しやすくなって作業性及びコーティング剤に添加したときの分散性が悪くなり、上記(A)成分の量が99.9質量部を超え、上記(B)成分の量が0.1質量部未満であると、得られる組成物の消泡性能が劣る。
【0031】
本発明の製造方法において、(A)成分と(B)成分を混練するために使用される混練機としては、ゲートミキサー、ニーダー、二軸混練機等が挙げられるが、特に限定されない。また、必要に応じて混練時に加熱することもできる。
【0032】
上記成分を混練して得た消泡剤組成物は、そのまま使用されるか、あるいは
HO−[CH2(CH3)CHO]35−H、
HO−[CH2(CH3)CHO]70−H、
HO−(CH2CH2O)4−[CH2(CH3)CHO]30−H、
CH2=CHCH2O−(CH2CH2O)32−[CH2(CH3)CHO]8−H、
CH2=CHCH2O−(CH2CH2O)22−[CH2(CH3)CHO]22−C49
CH2=CHCH2O−(CH2CH2O)10−CH3
で例示されるようなポリオキシアルキレン重合体や、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤と混合して使用してもよい。なお、上記に例示したポリオキシアルキレン重合体の組成式及び非イオン性界面活性剤は一例であり、本発明を制限するものではない。
本発明の消泡剤組成物を上記非イオン性界面活性剤と混合して使用する場合、消泡剤組成物100質量部に対して非イオン性界面活性剤を0.1〜300質量部、特に5〜100質量部混合することが好ましい。
【0033】
なお、本発明の消泡剤組成物は、各種コーティング液、例えば、ウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料、フレキソインキ、グラビアインキ、各種ラテックス等に配合する消泡剤として有用であり、この場合、各種コーティング液に対して本発明の消泡剤組成物を0.001〜5質量%、特に0.01〜1質量%添加することが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、粘度はオストワルド粘度計で測定される25℃における動粘度である。
【0035】
(A)成分として、下記のものを使用した。
【化9】

(粘度:90mm2/s、淡黄色透明液体)
これを、「A1」とする。
【0036】
【化10】

(粘度:650mm2/s、淡黄色透明液体)
これを、「A2」とする。
【0037】
【化11】

(粘度:1,500mm2/s、淡黄色透明液体)
これを、「A3」とする。
【0038】
【化12】

(粘度:2,800mm2/s、淡黄色透明液体)
これを、「A4」とする。
【0039】
【化13】

(粘度:1,800mm2/s、淡黄色透明液体)
これを、「A5」とする。
【0040】
ジメチルポリシロキサン(粘度:3,000mm2/s、無色透明液体)
これを、「A6」とする。
【0041】
(B)成分として、下記のものを使用した。
アエロジルR812[商品名、日本アエロジル(株)製、BET比表面積260m2/g]
これを「B1」とする。
【0042】
ニップシールSS−10F[商品名、東ソー・シリカ(株)製、BET比表面積90m2/g]
これを「B2」とする。
【0043】
[実施例1〜4、比較例1〜8]
表1に記載の量比で(A)成分及び(B)成分を混合して組成物を調製した。なお、比較例1は(B)成分を使用せず、(A)成分のみを使用した例である。比較例2、7は(B)成分を使用せず、且つ規定外の(A)成分のみを使用した例である。比較例3〜6、8は規定外の(A)成分を使用した例である。
【0044】
【表1】

【0045】
[性能評価]
市販のウレタン樹脂塗料に、実施例1〜4及び比較例1〜8の消泡剤組成物を0.5質量%添加し、下記に示す性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0046】
<消泡性能>
消泡剤組成物を添加したウレタン樹脂塗料をステンレス鋼板にローラー塗装したときの塗膜表面の泡の個数をカウントし、下記基準で評価した。
○:2個以下、△:3〜10個、×:10個以上
【0047】
<分散性>
消泡剤組成物を添加したウレタン樹脂塗料をガラス瓶に入れ、遠心分離機で5,000rpm×10分間撹拌したときの分離の有無を目視で観察し、下記基準で評価した。
○:分離無し、△:僅かな分離有り、×:分離有り
【0048】
<ペインタブル性>
消泡剤組成物を添加したウレタン樹脂塗料をステンレス鋼板にローラー塗装し、乾燥後の塗膜表面にマジックペンを用いてペインタブル性を確認し、下記基準で評価した。
○:ハジキ無し、△:僅かなハジキ有り、×:ハジキ有り
【0049】
【表2】

【0050】
[評価]
表2の結果から明らかなように、本発明の消泡剤組成物は、コーティング液に添加したときの消泡性能、分散性、ペインタブル性に優れるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
【化1】

[式中、R1は独立に水酸基又は炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2は独立に下記一般式(2)
【化2】

(式中、R3は独立に炭素原子数1〜21の1価炭化水素基である。)
で表される有機酸エステル変性基、上記R1、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、但し、前記一般式(1)の分子中に含まれるR2のうち、少なくとも1つは前記一般式(2)で表される有機酸エステル変性基である。mは3〜100の整数、nは0〜5の整数である。]
で表される有機酸エステル変性オルガノポリシロキサン: 70〜99.9質量部、
(B)微粉末シリカ: 0.1〜30質量部
(但し、上記(A)成分と上記(B)成分の合計量は100質量部である。)
からなる消泡剤組成物。
【請求項2】
ウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、フレキソインキ、グラビアインキ又はラテックス用である請求項1記載の消泡剤組成物。

【公開番号】特開2010−279889(P2010−279889A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134710(P2009−134710)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】